【個】昔話は露と流れて
──その日は、雨が降っていた。時刻は夕方
仕事が片付いた課内のデスクにて
→ミユファレナ
☔️(継続)

(気晴らしに点けたラジオから流れる、雨の予報。今日は一日中降っていたが、夜中まで続くそうだ!
(とは言え、地下にいて天気もへったくれもないのが現実だが)
(そんな、とある日の夕方──)
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ミユファレナ、其方は片付いたか?
(ぎし、と椅子の背凭れを軋ませ、一息吐きながら問いかける)
(今の時間は部下の姫様──らしい子と二人。ラジオをBGM代わりに流しながらの仕事だったが、粗方片付いた男は、パソコンの陰から声を飛ばし)
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ええと、これを添付して……送信、と(ぽちっ、と、キーボードをたたき終え、目元を抑えて何度か首を回す)
ええ、大方は。 本日分はほぼ終わりました。 他、何か手伝えることあります?
(勤務時間である限りは積極的にこなしていくスタンスらしい)
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いや、此方も片は付いた。
後は外回りが帰宅したら、今日は店仕舞いってトコだな。
(ふ、と安堵の息を吐く。人が増え、協力者が増え、だいぶ課も回り始めた。残業も、多少は減りつつある)(自分を除いて)
なら、定時になったら上がれよ。
俺は他の帰りを待つが、…って、まだ定時までは30分あるのか。
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そうですか? しかし……(手元にある仕事の束を眺めていると、30分ではまとまり切らないものであった。下手に手を付けると長引くこと必至だろう)
そう言って七瀬課長が定時で上がっている所、見たことないですよ?
上に立つものの矜持もあるのかもしれませんけれど……(んん、と、身体を伸ばして立ちあがる)
お茶、入れましょうか。 課長も、残るつもりなら英気は養っておいてくださいね。
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帰れる時は帰ってはいるさ。怪異が俺を逃してくれやしないのさ。
(勢いつけ、椅子から立ち上がる。肩や腰がぱきぽき音を鳴らし、固まった身体を伸ばす)
矜持というか、そうあれかしってとこさ。
…それに、こんな雨の日は特に、早く帰る気をなくさせると言うかな。
(デスクから離れ、ソファに歩み、どかっと座る。今日は未成年達も外回りか、休みだ)
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そういう所を見ると部下から見れば、心配ではあるんですけれど(お茶汲みになれなかったのも最初の頃だけ。 手慣れた様子でお茶とお茶請けを用意し、ソファの近くの机に置いておき、自分も対面に座る)
長引きそうですかね。この雨。 傘、持ってきてなかったんですよね……
怪異が逃がしてくれない、とは言いますけれど。 どんな事件が印象深かったとか、あります?
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問題ないさ。
伊達にサイボーグになったわけじゃあない、多少のハードさは折り込み済みだ。
(対面に座った相手を見る。…姫様が茶汲み、か。家臣がいたらひっくり返るな、と苦く笑う)
傘なら俺のがあるから貸してやるさ──て、ん?…印象、か。
(問いかけに、目を丸くしながら考え、唸り)
…あまり、愉快な話じゃないかもしれんが。
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いかに超人でも、崩れる時は崩れるものですからね。
回せる仕事は、私たちにも回していってくださいね、本当に。
(といいつつも、できる限りをやろうとするのは少しわかってしまう部分もあるのだけれど)
二つあるならお借りしますけれどね。
怪異が逃がしてくれない、という分には……道を志すことになった、とか、強く記憶に残る事件もあったのだろうか、なんて思いまして。
良ければ、後学のためにも。
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善処はするよ。
…全く、皆しておれを休ませようとすんだからな。
(肩を竦め、淹れて貰った茶を手に取り、ゆっくり啜る)
二つ、は──あいや待て、折り畳みがあったような気もするな。
…そっちは、………またの、話にな。(珍しく、目を逸らし、言葉を濁し)
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それだけ、皆さん課長の事を見てらっしゃるんですよ。課長が見てくださっているのと同じように。(お茶請けのクッキーを齧る。 程よい甘さ。)
あ、はい……(少し言葉を濁したことに、何か重い事情があったのであろうな、とは察するものの)
学校、ですか。 小中高の、いずれかですか?
ああいった場所には、集団生活による人口密度の多さや噂の集積によって怪異が発生しやすい、とは聞いています。
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買い被りすぎだ。
単純に過保護なだけで、あとは仕事であるからってだけだよ。
(照れ隠しに、茶請けを口に運び、もっくもっく口を動かす)
小学校だったかな。
…ま、噂や都市伝説が跋扈し、学校というカテゴリから、怪異が出やすい。
──そう、俺もたかを括っていた。
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だが、実際は違った。
都市伝説、嘘や作り話から発生した類ではなかった。…被害が、特定の場所にだけ集中していたからだ。
(思い出し、深く息を吐いた)
さらに言えば、目撃された怪異の姿形も合致しななった。
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では、活躍を重ねて過保護を解除してもらうところからでしょうか(冗談めかして笑い)
小学校……が、最もそういうものが発生しやすいんでしたっけ。
特定の場所に集中していた……となると、誰か特定の人物による呪い、みたいな考えもできますけれど。
そう考えると、目撃された怪異の姿形が一定ではないのはどこか腑に落ちない部分も出てきますね……(自らの知識と照らし合わせながら、話に聞き入っている)
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10年早ぇわ。
(呵呵、と笑って首を振る)
俺も最初はそれを疑った。誰かに対する恨み辛みからくる呪いだと。
だが、調べるうちに、“見知らぬ女の子の姿だった” “変な着ぐるみみたいなものだった”“グラウンドで影が追いかけてきた”“声が廊下で迫ってきた”──etc、全く姿が安定しない。
…さらにおかしいのは、特定の誰かを狙い撃ちではなく、不特定に、教師にまで体験がきている。
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ええと……その現れたものは、
いわゆる類似のあるものに近い姿をしていたりとかしたんですか?
ほら、あるじゃないですか。学校の七不思議……みたいな。
複数の噂が混在して発生してしまった……とか、
それともそもそも複数の事件が同時に発生していたか……
ううん、おそらくどれも違いそうですね……
後考えるならば、被害者に共通点があるか…でしょうか?
(確かに、とらえどころのない不思議な案件だ、と思考を深めながらお茶で口を湿らせた)
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類似性は無い。
時々同じものは現れるが、タイミングはランダムかつ、規則性が無い。さらに言えば、学校の七不思議の類に引っかかるものも無かった。
被害者は、とある1クラスの生徒及び教師が中心であって、たまにそれ以外の教師も被害有り。
(茶を啜り、ふうっと息を吐いた)
…そして被害と言っても、最初は驚かされたり追いかけられたりするくらいのものだった。
それが、少しずつ過激になりはじめ、怪我人が出たところでウチに来た、と。
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と、なると……どう考えても、そのクラスの生徒の誰か、
が原因となって起きた怪異と考えるのがよさそうですね。
それ以外の教師、というのは別の科目を教えていた……とか、の関連性があったりします?
理科だけ教えていた、体育だけ教えていた…とか。
最初はほぼ無害であったものが過激化していく原因……が何かまでは、少しまだ思考が及びませんね。
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そうだな、体育や音楽等は違う教師が担当していた。
ふむ、ではさらに情報を開示していこうか。
(背凭れに身体を預け、足を組んでリラックスをしながら)
クラスに所属する生徒は39人。男子20の女子19。
クラス内に至って問題はなし、いじめや仲間はずれもなく、理想的な環境だったと言えよう。
…いや、一点だけ。
(サングラスで目を隠し、唇を一文字に結びながら)
日々の出席は、38人。これは春から、冬まで変わらなかった。
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理想的なクラスであったならば……登校したくてもすることができない
保健室登校、もしくは長期入院もしくは自宅療養を余儀なくされている生徒がいた……ということでしょうか
理想的なクラスであった、というならば、身体的に何かハンデのある方がいた、というのがあり得る可能性となるでしょうか。
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──ん。(頷く)
ここまで踏み込めば、流石に気付くか。
(正解、と小さく答えた。笑顔はない)
幼少期から病弱で、学校に行けなくても中々行けない子がいてな。
それでも、昔からの友人とかが見舞いにいったりしていて、悪くはなかったんだ、が。
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周りの皆は楽しそうなのに、何故私は行けないのか。
私も皆と混ざりたいのに、何故私だけ病に蝕まれたのか。
…それでも、我慢し治療していたのだから、強い子だった。
(だが。そこで、天井を仰ぎ)
その気持ちを、利用した外道がいた。
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………よかった(少しだけ、表情を緩ませると慌てて手を振って)
……良かった、というと、勿論良くないんですけれど…!
その、その子の思いが事態を引き起こした……なんてことがなくて。
しかし……そのような子供に目を付けるこの件の首謀者は、まさしく外道と呼ぶに相応しい所業ですね。
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詳細は省くが、この腐れは“これを用いたら、自由に外に出れる”という触れ込みで少女に呪物を渡した。
ああ、確かに外には出れた。…怪異の姿となってな。
(ふー…と、熱を吐き出すように、天に溜息)
最初は喜んだ。喜んで学校に行った、家にも行った。
…なのに、皆は逃げるし独りぼっち。
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どうして?皆私を嫌いになったの?
…まさか、本当は私なんかと──と、幼子がネガティヴになり、助けがなければもう負のスパイラル。
(視線を前に戻し、渋い表情を見せて)
そんな世界を、皆を、その子が嫌いになるまであっという間だった。
….それを、俺は浄滅した。
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……そんな、事って……
それでは、怪異は彼女そのものだった……という事ですか…!?
それを、祓ったということは………
その、彼女は……?(呪物との接触が短ければ、助けられることもあった……そんなケースを拠り所にしながら、小さな声で聴き返す)
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(首を左右に振る)
呪物は名前の通り、呪われた代物だ。
故にリスクがあり、代償がある。…外に出る自由の代償は、魂の汚染と生命力の吸引。
それを以てさらに力を増し、次なる宿主を──という、寄生型呪物だった。
(だから、祓った。そう、淡とした声で述べた)
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…………そう、でしたか(手にしたカップが震えて、そんな激情を手が伝えなくなるころに、カップを置きなおした。少女については聞かない。淡々とした言葉が何よりも語っているように思えたから。)
首謀者は、どうなりましたか?
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決まっている。
焼滅し、地獄に叩き落とした。
(茶をくい、と飲み干し、湯呑みを置く)
だが…少女が亡くなった事実は消えない。
その哀しみも、残された家族や友人たちも、…全て、暗い影を落とした。
(はぁぁ、と溜息をつきながら、ソファに横になり)
(無効票)
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──“なんで、わたしだけきえちゃうの”、か…。
どうしてあの子だけがこんな目に、か。
なんでもっと早く助けてくれなかった…もあったな。
(その仕事に、賞賛は無い。後悔、絶望、悲壮、そして──怨恨)
全く、誰も救われない事件だったな…おしまい。
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(その台詞を聞いたのが、こんな雨の日だったんだろうか。 と、ふと窓の外を見た)
怪異が逃がしてくれない、か。
……この話を聞いた後だと、先ほどより……ずっと、重く聞こえます
ずっと、何かできるんではないか……って、考えてしまうの。わかります。
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──は、そんな殊勝な考えじゃないさ。
(ごろん。天井を見上げながら、目を閉じる)
単純に、気に入らないだけだよ…何もかもな。
(よいせ、と起き上がる)
いずれ、似たような経験があるかもしれないから、先に言っておく。
(☔️(継続))
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ええ、覚えておきます。
ここは怪異から人を護るための場所。
その私達がしくじるということは、誰かが傷つくという事……必ず成功させなければならない事です。
私はロッシュアルムの姫ではありますけれど、同時にこの課の一員でもありますからね。
その責任は、わかっているつもりです。
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ならば良い。
…それでも無理だってなったら、俺を呼べ。
(必ず滅するから──そう言って、立ち上がる。この男は、やると言ったら必ず、殺る)
…そろそろ定時だ。
傘、貸してやるから帰ると良い。
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……っ、と、そうですね。では、お言葉に甘えて。傘、お借りします。
(立ち上がって飲み終わったカップと湯飲みを片付け、お茶菓子も片づける
手早く自分のデスクへと寄って、帰り支度を整える。)
お疲れ様でした。
……それと、私達を護ってくれるのは良いですけれど、私達にも護らせてくださいね?
つまり、借りっぱなしではない、という事です。今にみていろ、ですよ
それでは(微笑んで一礼する)
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