くらがり

【呼出】ひとつのくらがり #2

ダゴール・トムテ 3月30日09時

√妖怪百鬼夜行、平時は往来も賑わう都の目抜き通り。

今朝から降り続く雨は夕刻に差し掛かるころに勢いを増して。
ましてやとっぷりと日の暮れた今となっては、
牛車のすれ違えるほどの朱色の大橋さえ通るものはおらず。

橋の袂。
アカマツの樹の下に、小さく灯ったあかりが見える。

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・ご招待:野分・時雨(h00536)
・20~30レスを目安に
ダゴール・トムテ 3月30日09時
(強い雨粒も、広く茂った松の下には届かない。ローブひとつ纏ったせいたかの男は、景観に不釣り合いな西洋風のランタンひとつ掲げてそこに立っていた。目深に被ったとんがり帽子の下から、青い双眸がごうごうと流れる黒い川を眺める)
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野分・時雨 3月30日13時
(怪しい光が目に入った。平時なら気にしないが、住まいの近くとなればどうにも見過ごせないもので。強い雨音に紛れ、静かに足を踏み出す。間合いを測るように慎重に歩を進め、相手を確認できる距離まで近づき――)

……うっそ、意外な人!ダゴールのにーさんですよね?

(闇に滲む灯りの主を認め、思わず目を見開いた。喉奥にあった警戒が、僅かに緩む)
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ダゴール・トムテ 3月30日22時
ン…(蒼が動き、貴方の方を見た。雨と似たような冷たさを貼り付けていたおもてが、ニッとヒトらしい笑みを浮かべる) なんだあ?そういうお前は野分の時雨じゃねえか。こんなとこで何を――(と言いかけて、思い出したように周囲を見回す妖精) いや、場違いはオレか。時雨はこの辺の生まれかい?
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野分・時雨 3月31日19時
|野分の時雨《そう》で~す。お名前バッチリ覚えてもらえて嬉し。

ぼくも夏にここいらに来たばかりでして。生まれはもっとド田舎です。にーさんどうしたの?まさかの……アレ、迷子……?
(驚いたように目を見開きながら、わざとらしく声を潜めて。彼が道を見失うなど考えにくいが。もし本当にそうだったとしたら——それはそれで面白いなと。)
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ダゴール・トムテ 3月31日21時
(問いかけに、肩を竦めて返す) オレぁあんまり”道”ってもんを使わねえんだ。暗がりにはどこだって泡のように湧いて出るから、言ってみりゃいつだって迷子のようなもんだな。……現れた先が、|飛行船《空の上》だったときはさすがにギョッとしたがね。kec-kec-kec!!(妖精の喉から、板を叩くような奇妙な音がする。笑ったらしい)
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野分・時雨 4月1日00時
にーさんの笑い声、下駄を鳴らす……とも違うけど。耳慣れない言語みたいで良いね。笑ったらすぐわかる。

("道"を使わないなら、どう進むのか。思えば|飛行船《同じ場所》で会えば話す仲とはいえ、知らないことの方が多く。面と向かって話したことは無い。どうせなら許される限り聞いてみるかと、臆面もなく松の下に入り。)

迷子じゃないけど、迷子。謎かけ?不思議な状態ですねぃ。暗いところならどこでも移動できるんです?
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ダゴール・トムテ 4月1日14時
……褒めてるつもりかもしれんが、あまり他人の癖を指摘するもんじゃねえぜ。(嫌がるというほどでもないが、むず痒そうに片眉を上げて目を逸らす妖精。貴方が木陰に入ってくれば、ひとりぶんの場所を空けるよう半歩退く)
移動というか……(言葉を探し、数秒の間を置いて。掌を前に差し出す。松の葉を伝って落ちる大粒の雫が、手の上ではじけた)今はこうしてモノに干渉できるほど固まっているが、普段のオレはもっと|薄い《・・》んだ。そう、霧みたいにな。いろんな暗がりにぼんやりと存在していて、気が向いたときに一箇所に集まり、気儘にうろつき回る。目的の場所もなく、帰る家もない。迷子だ。
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野分・時雨 4月1日20時
すみません、不躾なもので。
迷子さん。帰る家無いなら、何処へでも帰れるとも言えますね。しかし、はて。薄いとは。
(言葉が今ひとつ理解できず、考え込むように視線を落とす。彼の言葉を反芻しながら、頭を働かせ。)
勝手ながら影のような存在かと思っていましたが。どちらかと言うと煤みたいな?いや、例えて定義することが失礼ですかね。………わかんない!
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ダゴール・トムテ 4月1日21時
煤か。kec-kec-kec…上手いこと言いやがる。燃え損ねた薪。不出来な炎の滓。ああ、オレは煤だ。オレを呼ぶときは、暖炉の中に声を掛けるんだな。いつでも出てきてやるからよ。(妖精は喉の奥で可笑しそうに笑う)
お前も妖魔に近いみたいだが、オレみたいな妖精とは随分性質が違うな。(帽子の下から小さな瞳が、貴方の頭の両脇にあるものへ視線を遣った) オニってやつか?かなり力の強いものだと聞く。
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野分・時雨 4月2日23時
暖炉かぁ……無いな。囲炉裏じゃだめかな。
(火のある場所という点では同じだろうと、どこか本気のような、戯れのような声音で。)

オニさんは幅広いですからねぇ。単なる力持ちさんもいれば、恐ろしい存在だけで呼ばれることもありますゆえ。でも、ぼくの角は牛さん。尻尾も。オニより牛って言われるほうが確かですね。
(機嫌の良さを隠そうともせず、雨に濡れている尾をゆったりと揺らしながら。)
にーさん、妖精さんなんだ。名前は聞くけどイマイチ分かってないんですよねぃ。妖怪とは違う?
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ダゴール・トムテ 4月3日11時
ああ、そうか。そういや無いよな、こっちには……じゃああれだ、かまどとかでいいや。それなら牛さんの家にもあるだろう。(妖精と妖怪の違いを聞かれると、腕を組んで首を傾げる。とんがり帽子の先っぽが、傾いた方に垂れた) 妖怪の方には詳しくねえからなあ。妖精ったって色々あるんだが、だいたいは当たり前のようにそこに|居る《・・》もんだ。仕舞ってあったあった菓子が消えてる。放り出した仕事がいつの間にか終わっている。泣いていた赤子が突然笑う。……そういうのは、オレたち妖精の仕業なのさ。妖怪と似てるかい?
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野分・時雨 4月6日00時
かまどならありますけど~……そこに居る、かぁ。分かりそうで難しい。

妖怪は、ヒトの恐れた不可思議が形になったような、地続きの関係だと思っています。
その点、妖精さんは……もっと自然現象に近いのかな。『良き隣人』なんて表現を聞きますが。あくまでヒトとは異なる、線引きされた印象ですね。
(言葉を並べながら、自分でもどこか的を射ていない気がして。苦笑いを浮かべながら、肩を竦めた。)
あくまで、ぼくの主観ですが。にーさんは良き隣人?
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ダゴール・トムテ 4月8日15時
そりゃあそうよ。悪戯好きな妖精の中でも、オレはうーんと親切な部類なんだぜ。幸運の妖精、ダゴールとはオレのことよ。(傾いた帽子を直しながら、ニヤッと笑う) こうして逢えたことだ。時雨は何か、願い事はないか?オレに手伝えることなら、力になるぜ。
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野分・時雨 4月12日13時
……うさんくさ~い。すごい対価を要求されそうで怖いんですけど。自分のことを親切って言う方にろくな人はいないと、古今東西昔話から学んでおりますゆえ。
(腰が引けたように話しながら、興味は隠しきれず。こういう時に首を突っ込みたくなるのも、自分の悪癖のひとつだと自覚もしている。)
じゃ、願いを3つに増やす願いとかは?ダメ?
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ダゴール・トムテ 4月12日16時
いいよ。あと2つ。
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野分・時雨 4月12日21時
ねぇ!軽すぎる。空気より軽いお返事ありがと。対価に対して何も言われないの不安すぎるんですけど。(ぐるぐる考え)
……まーいいや。勢いと好奇心は大事ですよね。にーさんのお財布で奢って。あとなんだろ。綺麗なおねーさんにちやほやされたいとか?
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ダゴール・トムテ 4月13日00時
kec-kec-kec!! ンな警戒すんなよ。オレは善良な妖精だって言ってんだろ。(細腕が貴方の背中を叩き、肩を組んだ。耳元に低い声が囁く) なあ。お前だってアヤカシ――人外の化身だろう。さっきから何を出し惜しんでんだよ。もっとあるだろう……ここに。(妖精の爪の先が、胸を叩いた) 良い子ぶらずに、言うだけ言ってみるがいいさ。このダゴールが聞いてやるぜ?
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野分・時雨 4月13日20時
そんな急に言われてもさぁ。思いつきませんて!怖いよ~。今のぼく、悪い人に絡まれてる可哀想な子。
(組まれた肩に重い、と抗議しながら)
ぼくはいま、飢えてるんです。お仕事帰りで腹ぺこさんなんです。『頑張ったね~』って褒めてもらいたいんですよう……。

お仕事が消化不良だったので。|妖精さん《にーさん》がどんな攻撃手段を持っているのか興味があります。見せて。
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ダゴール・トムテ 4月14日12時
チェッ。妖精ごときに本音は明かせないってのか?(妖精は口をとがらせて、つまらなそうに貴方を解放した) いいよ、奢ってやるから通いの店連れていきな。お気に入りの女に慰めてもらった方が元気出るだろ。
っていうかお前それ、3つ目だぞ。まあ飯と女はひとつに数えておいてやるか……ちゃっかりしやがって。
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野分・時雨 4月15日20時
やりぃ 儲け~!よっ、太っ腹! 男前!……あとなんだろ。思いつかないや。にーさん潰すまで飲むぞ~。
(ごねる様子から一転。早くしろと言わんばかりに尾を揺らし付きまとい )
そんじゃ、攻撃見たい。妖精さんは魔法使うの?ぼく受けましょうか?しなない程度に浴びたい。
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ダゴール・トムテ 4月17日14時
酒については侮るなよと言っておくが……攻撃だあ?おいおい、ケルト生まれがどいつも戦い好きの野蛮人だと思うなよ。こちらとら儚い儚い妖精さんだぜ。(歩き出そうとして妖精は、アカマツの下から空を見上げる。降りしきる雨がまだ止まないとみると銀色のティースプーンを取り出して、自分の両肩、頭をトン、トン、トンと叩いた。そうして木陰を出ていけば、不思議なことに降りしきる雨はとんがり帽子の頭上を除けて落ちる)
簒奪者を相手に精々できることといったら、こけおどしに驚いてくれてる隙を突いて風のように逃げるだけさ。
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野分・時雨 4月20日18時
ちぇっ。妖怪ごときに使うまでもないってことですか。
(先程のあなたを真似て。態とらしく眉下げつつも笑みは忘れず)
こけおどしも戦況よく把握していないと通用しないと思いますけど。侮れないなぁ。

(次いで木の下を出ようとした矢先。スプーンを振るう彼を訝しげに眺めるも、雨が避ける様子に目を見開き )
なにそれ!それこそ魔法じゃん。ぼくにもやって。
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ダゴール・トムテ 4月21日00時
おいおい拗ねんなよ。こいつはマジな話さ。そりゃあその辺にいるニンゲンだったら魔弾一発でお終いだろうけどな。√能力者同志の力のぶつけ合いだったら、オレの実力は良く見積もっても下の上ってところだ。(妖精は貴方にも同じように、雨除けの魔術を施す) その代わり、逃げっぷりといったらすごいぜ。機関のエリート|異能捜査官《カミガリ》でも、オレに手錠をかけるのはちょっと骨が折れるだろうさ。(肩を竦めて、雨の下を歩き出した。肩越し、貴方を振り返って。) 本気の鬼ごっこだったら、今度付き合ってやるよ。
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野分・時雨 4月22日22時
はぐらかされた感じがする。にーさん|薄い《・・》んでしょ。霧や煤相手に手錠を掛けることはできないでしょうに。
まーいいや。願いごと──追加に一つ。飯とおねーさんはこの後。魔法は見せてもらえた。鬼ごっこは約束。四つも叶えて貰っちゃった。妖精さんのこと大好きになっちゃいそう。ありがと~にーさん。
(魔法を受けた箇所を気にするように眺める。くすぐったいような、不思議な感覚がするようで。)
そんじゃ~付いてきて。一番高いとこ行くからね!
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ダゴール・トムテ 4月24日12時
kec-kec-kec!! その通りだ。例え捕まったとしても、連中はオレを容れておく檻を選ぶのに苦労する羽目になる。(愉快そうに笑っていたが、貴方の”ありがとう”を聞くと、妖精は意表を突かれたふうで目を見開いた) ……おや、請求する前に代金をいただけるとはな。オレもお前のことが気に入ったぜ、時雨。店が詫び入れてくるまでいいボトル空けちまいな!(先を行く貴方に足跡を重ねて、縦長の影はあとをついていくだろう)
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野分・時雨 4月26日20時
代金、払った覚えないんですけど……なんか盗った? なに? なに!
(歩き出した先で思わぬ言葉に振り返り、首を傾げながら、自分の服を上からまさぐる。特に何かを渡した覚えはないが――まあ、損をしていないならいいか、と単純に思考を切り替える。足取りは自然と軽くなり、)

にーさん、変な人だね~
(そう苦笑いを零しながら、慣れた夜道を足早に歩き出していった。)
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ダゴール・トムテ 4月28日15時
(足音ふたつ遠ざかり、やがて雨音も遠慮がちに消えていく。半刻ものちには、雲をかき分けて月が様子を見に来るだろう)

(――そして、暗がりは静寂を取り戻した)【〆】
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