【RP】恋愛RPG 新・迷子でもいいよねif...
----あの子の言葉が、腕を伝った水滴の感触が、まだ記憶の隅に残っている。
再会の手段は有志の手によって粉々に爆発し、もはや修復は不可能。仕方がない。そうなる運命だった。
あの涙は電子の海に融けて、きっと1bitすら残っていないのだろう。
……それでも、待っていると聞いたから。迎えに行くと言ったから。
不可能程度で諦めては天才の名が廃る……！
構造分析による物理演算の解析、崩壊時に垣間見えたコード。
それらすべての断片を拾い集めて、繋ぎ合わせて——、
「とうとう完成したぞ……！」
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5月初頭。
世間で言うところのGWを返上して研究開発に没頭していた皮崎・帝凪は、漸くその顔を上げる。
たったひとつの存在を救うための、孤独な戦いだった。｜『〜恋愛ADV 迷子でもいいよね〜』《ゲーム》の話である。
『〜恋愛ADV 迷子でもいいよね〜』。つい先月、異世界からの√侵攻者として現れ、最期は謎の熱狂のなか散っていった例のゲーム。
三度目の奇跡は起こらず、終ぞあの子が姿を現すことはなかった。
なんか色々うやむやになって清々しく終わっちゃって……いや楽しかったしいいんだけど、
会えずに終わったのは事実。眠らせておいてあげてほしい？ 断る。
「……というわけで、作った！再現ゲームを！ 流石は俺！」
演算機構の再現が目的ゆえに、細部に違いはあるだろうが、解析するには十分。
「あとはこれを解析すれば、安全にAIの｜救出《サルベージ》が……あっ」
ポチッ。肘で何らかのボタンを押してしまった、そんな感触があった。
次の瞬間、部屋が眩い光に包まれた——。
▼
周囲が突然画素数の低い街並みに変わる。
何処かで——具体的には先月恋愛ADVの中で——聞き覚えのある、8bitアレンジBGMが流れ始めた。
道は奥へと続いているはずなのに、どことなくのっぺりとした遠景。
周囲を見回そうとするが、首がうまく回らない。四方向にぶつ切りで切り替わる視界。
……形容するならば、一人称視点の3Dダンジョン。
▼
どうやら俺はゲームの中に迷い込んでしまったようで——
隣には、何故か戀ヶ仲・くるりがいた。
■ ■ ■ ■
🍀恋愛RPG 〜迷子でもいいよね〜 説明書
魅力的な攻略候補たちと、ドッキドキの｜スクールライフ《1年間》を送ろう💕
【没入感モード：ON】
クリアするまでゲームから出られません。なお、モードの途中変更はできません。
①ダイスを振って四季折々の学園生活を送ります。春からスタート。
②出目の合計が規定値以上になったら【攻略対象】とエンカウント！
エンカウント時の出目とハイ&ローでダイス勝負。
③勝ったら攻略対象が恋に落ちます。次の季節へ。
負けたら攻略対象に塩対応されます。①からやり直し。
④1年間、つまり4つの季節を無事に過ごせたらエンディングに突入！
※ゾロ目が出たら落とし穴に落ちます。最初からやり直し。
※【48】→？？？
■ ■ ■ ■
期間：1ヶ月程度を目安に、キリのよいところまで
1週間の｜操作《レス》なしでオートパワーボムが発動し、この｜ゲーム《スレッド》は｜爆散《終了》します。
# 戀ヶ仲・くるり
# 皮崎・帝凪
皮崎・帝凪 5月21日23時んっ？人をゲーム内に入れるのが……？（今更そこで苦戦しない程度には人をゲーム内に入れ慣れていた男は、返答まで少し間があった）ああ、並大抵のシステムではあれだけの人数を空間に閉じ込め続けられないであろうな！
人を集めて、引き込む機能か……。
………突如始まる謎のイベントにもいい加減慣れなければな！一番大きい奴を捕まえるぞ！【選択：ロー】
0
皮崎・帝凪 5月22日00時（「こう構えるのがおすすめ！」と【攻略対象】に支えてもらいながら網を振り下ろした。虫捕り網の下で何かが動いている！）おっと、何か捕らえたぞ！（ジジジジジジ）む、この鳴き声！（ジジジ……）またアブラゼミか！
（逃がさないようにしながら虫捕り網の中を覗き込んだ）
0
皮崎・帝凪 5月22日00時（ジ……ジジジ……）
（その虫の顔は、黒い正方形で切り取られたように欠けていた）
▼｜██《バグ》を手に入れた！
▼おめでとう！ 【夏】をクリアした！
▼【秋】 〜遠足〜
【規定値：120】
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戀ヶ仲・くるり 5月22日22時遠足の余興、ウォーキングラリー！チェックポイントにいる【攻略対象】くん！
紅葉がひらりと落ちる中、こっちを見てる！
どうしよう、彼の質問、答えられるかな——？
▼【攻略対象】が あらわれた！【60】
0
皮崎・帝凪 5月22日22時……質問？なんだ！どんとこい！
（「運命の出会いって信じるかい？」と【攻略対象】は言った）
うむ、信じるぞ！ 恋愛に限った話ではなく、そこからの先の運命が変わってしまうような出会いなど幾らでもあろう！【選択：ハイ】
0
戀ヶ仲・くるり 5月23日13時（「真実の愛ってあると思う？」と【攻略対象】くんは言った。聞き覚えのある設問だったので頬を膨らませる）
…それ、“真実”と“愛”の定義で全然話が違うと思うんですけど。もうちょっと詳しく説明できませんか？
（選択：ロー）
0
戀ヶ仲・くるり 5月23日13時（「そうだね…キミが思う真実と愛を、俺に教えてくれない？」と【攻略対象】くん。わぁ好感度高そうな台詞！デフォでこういうことをいうキャラクターなのかもしれない！）
▼おめでとう！ 【秋】をクリアした！
▼【冬】 〜クリスマス〜
【規定値：210】
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戀ヶ仲・くるり 5月23日13時（本日はクリスマス・イブである。学校内にクリスマスの彩とかないよね。そうです。
なので舞台はクリスマスのイルミネーションや装飾が煌めく街中！都合がいい！ゲームだからね！）
…街だぁ…放課後とかアルバイトのイベント的な何かかな？
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皮崎・帝凪 5月23日23時結局【攻略対象】の言う真実と愛の定義とはなんだったのだ……！ はぐらかされた気がして納得がいかんな！この俺があんなに真摯に答えたのに……！
街は解像度の低いカップルでいっぱいであるなあ。
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皮崎・帝凪 5月24日20時俺は【攻略対象】の反応や人格に関してはノータッチだ！
彼女がまだ存在していると考える根拠の一つでもある。
ふむ。真実とは嘘偽りない事実である！愛は……広く言えば大切にすることである。
つまり……愛していると嘘偽りなく肯定し続けられることではないか？
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皮崎・帝凪 5月24日20時イルミネーションで彩られた街はカップルで大賑わい。
ひとりぼっちのクリスマスを過ごすあなたに、
そっと手を差し伸べるのは一体誰……？
▼【攻略対象】が あらわれた！【54】
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戀ヶ仲・くるり 5月25日07時…ううん？帝凪さん、ゲームの再現して“あの子”に会おうとしてるんですよね？でも出てくるキャラクターについては触れてない…演算に任せてる感じ？
0の掛け算はなにをかけても0しか出ないと私は思っちゃうんですけど、手をかけないことで存在の証左になるんですか。
なるほどぉ…シンプルにまとめるんですね、帝凪さん（もうちょっと数字とか理屈が並ぶのかと思っていた顔）個性が出る〜。
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戀ヶ仲・くるり 5月25日07時（「ねぇきみ、ひとり？うちの店、いま空いてるんだけど、どう？」と客引きらしき【攻略対象】さん。…私と帝凪さん、一緒に行動してるんだけど、連れだと認識されてないのだろうか…これが顔面格差…！）
ええと、冷えるのでお店入るのはいいかも？なんのお店ですか？
（選択：ロー）
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戀ヶ仲・くるり 5月25日07時（お店のメニューを見せてもらう）…うん？あー、ごはん、おいしそう、ですね？（「お酒もおいしいよぉ！」どうやら居酒屋っぽい。あれっこれ｜女子高生《みせいねん》入っていい店？）
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皮崎・帝凪 5月25日12時……良いだろう！説明しよう。別の視点から得られる発見もあるだろうからな！
このプログラムは、基本的にあのゲームと同一のものの断片を使っている。実物はもうないゆえ、ソースは俺の天才的記憶力だが！
俺が1から作ったのは、人間が入れるゲームの｜枠組み《フレームワーク》と、ゲームとして動くための最低限の補完——例えば「攻略が完了すれば次に進める」仕組みやマップデータ——だけである！ソーセージの『つなぎ』のようなものだ！
俺は恋愛ゲームとしての人格的な演算部分には手を加えていない、にもかかわらず問題なく動いている。
つまり｜演算できる主体《AI》が無事に残っている可能性が高い、ということだ！
……なんだ、期待外れだったか？
貴様自身が「真実の愛」とやらについて真剣に知りたいように見えなかったゆえ、長々と語っても仕方がないと思ったのだが！
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戀ヶ仲・くるり 5月26日12時う、うん？ううん…！？用語は√EDENのプログラミング言語と一緒ですけど、やってることは別概念の結合と操作に近くありません！？それ規格化された技術なんですか、…こわい！別の√の技術、すごいを通り越して怖い！
それとも帝凪さんが天才だったり｜運命《ダイス》の女神に愛されてるから？やだ…帝凪さんイケメン…！（目がぐるぐるしている女子高生の発言）
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戀ヶ仲・くるり 5月26日12時期待外れ、いや、そんなことは…うーん、何て言ったらいいんでしょう…真っ当な人に質問して、私が「ああそれはその通りだな」と納得したとしても。それは知りたかった回答じゃない気がするんですよね…。
でもよく分かんないからどう思うかは聞いてみたくなるんです。なんか噛み合ってなくてすいません。
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皮崎・帝凪 5月28日06時こっちでも古い家庭用機のゲームを規格や操作方法が異なるスマホに移植できているであろう？ そこから技術的に大きく飛躍したことはやっていない！……ああ、√EDENでは人を入れるところで躓くかもしれんが。
もし凄いと感じたならば、√や俺が——というより、技術というのは凄いものなのだ！
それはそれとして、俺が天才でイケメンで幸運にまで恵まれているという事実は存分に銘肝してよいぞ！
ふむ、大事な感覚だ！言われたままを鵜呑みにするよりは好ましい！
恐らくそれは——自ら答えを出すべき問いであると、無意識に思っているのではないか？
手掛かりを欲して他に意見を求めるのは何も悪いことではない！俺の視点が欲しければ、この件に限らずいつでも何でも聞くが良い。
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戀ヶ仲・くるり 5月29日22時わ、私は人が入れるゲーム自体、先日の恋愛ADVで初めてみましたね！√EDENと技術発展の機序が違いそうだよぉ…！
ぎ、技術ってすごい！！わぁ帝凪さん天才でイケメンで豪運！！（勢いだけでそのまま復唱する）
ぅ、ぁ、そうですか？（手放しに褒められて戸惑いがちに頷く）
……、……命題みたい、やだなぁ…うう、でも的を得ている気がします…（悔しさを感じつつ頷く。あなたの言葉がではなく、この問いを出した相手に対しての悔しさである。）
…あは、なんでも聞いていいんですか？ありがとうございます、聞きたいことが出来たら、お返事もらるとうれしいです。（答えでも正解でもなくて、相槌だけでもいい。ゆるりと笑ってそう答えた）
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皮崎・帝凪 5月30日00時（引き続き居酒屋。「お兄さん一人酒っすか〜？ 良いの仕入れてますよ！」【攻略対象】が話しかけてくる！）
だから一人ではないし普通に話し込んでいたのだが……！ ……まあ、酒は飲まないが食事利用はしてもよいのではないか？この「地鶏のローストチキン」を注文しよう。クリスマスだしな！【選択：ハイ】
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皮崎・帝凪 5月30日00時（「すみません材料切らしちゃってて〜」 【攻略対象】にドリンク聞いてるんだからドリンクを頼めよ、みたいな目で見られた……気がした。きっと気のせいだな！）
▼おめでとう！【冬】をクリアした！
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皮崎・帝凪 5月30日01時（気づけば、真っ暗な空間にいた。
前後左右は黒い壁。視点を左右に移動しても景色は変わらない。
その場から歩いて探索することもできない。）
▼エンディング到達、おめでとう！
ここから先は何もない。
▼だって、これは√侵略のために送り込まれたゲーム。
｜脱出成功エンディング《ハッピーエンド》なんて、用意されているわけがないでしょう？）
▼また｜エラー行動《ゾロ目》を起こせば、ゲーム空間に綻びを起こせるかもしれない。
▼他にも脱出手段はあるかもしれないし、ないかもしれない。
｜ 《▼どうして、また来てしまったの？》
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皮崎・帝凪 5月30日01時うむ……危惧していたことが起こってしまったか！
エンディングは俺が手を加えていない部分の一つである。恋愛ゲームのエンディングを知らんゆえな！ もし元のゲームにエンディングが無ければ……（その先は言うまでもない、と言葉を切った）
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戀ヶ仲・くるり 5月30日21時うわぁ！あからさまにエラー画面！…待って、“エンディングは俺が手を加えていない部分の一つ”！？投げっぱなしなんですか！？もー！私達あの時…、…どうやってあんなに爆破させたんでしたっけ…（｜ボーナスタイム《RPしないでダイスを延々と振ってた》記憶が薄い女子高生）
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皮崎・帝凪 5月31日10時投げっぱなしではなく……素材の味を活かしたと言うがよい。（さすがにちょっと無理があるかもと思ったのか、その声は普段より小さい）
なにかたくさんの人が……面識がない人までいて……気付いたら爆発していた気がするな！再現不能というわけだ！ははは！
（同じ乱数が発生した！今のところ四方の壁の外観に変化はない）
（だが、どこかで小さなヒビの音がした）
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戀ヶ仲・くるり 5月31日22時…そういうことにしておきましょう！
そうですね、あんなにたくさん迷い込んでくるなんて、人を集める機能も壊れかけてたのかな〜？（私はなにも知りませんの女子高生。だって巻き込まれただけですからね！ね！）
でも、話してるだけで深刻なエラーが起きたりもしてましたね…？（ピシリ、という音を聞いて首を傾げ）…とりあえずお話しましょっか、帝凪さん。お題は特にないです。
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皮崎・帝凪 6月1日07時もっとたくさんの人間を入れれば、脱出はしやすくなるかもしれんな……！
ふむ、お話か。遭難した時は帰った後のことを話すと希望を持ち続けやすい、とも聞くしな！
……帰ったら何を食べようか？思えばここ数日、栄養だけ補給はしていたが普通の食事を摂っていないのだ！ 焼肉に行きたい。食べ放題で！
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戀ヶ仲・くるり 6月1日17時出入りが自由に出来ない時点で人を入れちゃダメですぅ！引きずり込んだと巻き込まれたは違いますからぁ！
…あ！作業で寝食忘れるタイプの魔王さんだ！脱出したら是非食べましょう！…わ、焼肉いいですね、…帝凪さんすごい食べるんでしたっけ？
私もあったかいもの食べたいな、焼肉で白いご飯とスープつけます。
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戀ヶ仲・くるり 6月2日22時（「恋愛RPG 〜迷子でもいいよね〜」は現代学園もの恋愛RPGである。多分…。
多分なのは、製作者がそこまで設定してるか分からないからだ。
“演算機構の再現”が目的なので、大分細部が荒い。いや細部などないって製作者が言ってた。どうして動いてるんです？演算機構で！演算機構ってすごい！
エンディングまでは辿り着けたが、元々のベーシックが“√侵略のため”のゲームだからか、エンディングの先はない。
けれどPLは存在し続ける。
辿り着いた事象は消えないから。
ただのんびり話をしていただけで、別段√能力の行使もしていない。
深刻なエラー。
深刻なエラー。
このゲームではすでに、｜PLが存在《・・・・・》するのが深刻なエラーであるーーーー）
（ピシ、と世界が軋む）
（「｜ 《 メだよ、こ なと きちゃ たら》」）
（カッーーーーーーーー！）
（音が一瞬聞こえなくなるほどの轟音。世界は熱く、そして真っ白になった）
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戀ヶ仲・くるり 6月2日22時（べしゃっ）…いったぁ！？ あっ、痛い！？明確に痛い！（どこかから放り出されて、身体を起こす。ゲーム内で落ちてもこんなに痛くなかった。実感のある痛み。周りを見回せば、解像度が…高い！現実味を感じる！）
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皮崎・帝凪 6月3日22時（べしゃっ）ぅぐっ。（なさけない音と共に吐き出されたのは見慣れた｜魔王城《ラボ》の一室、恋愛RPGを開発していたあの部屋。もちろん解像度は現実と同じ高解像度で、隣には、当然のように戀ヶ仲・くるりがいた。）
なんとか脱出できたか！くるりも……うむ、元気そうだな！
それで——そうだ、ゲームは？（安全確認も早々に勢いよく立ち上がると、モニターの前へ。）ゲーム部分は……問題なさそうだな、閉じ込められる以前と同じ状態である！………む？………あ、
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皮崎・帝凪 6月3日22時あーーーーーーーっ！！！！（とてつもなくデカい声に部屋の空気がびりびりと震えた！）
俺の……ゲームに人を入れる装置が！！！！！？
（わなわなと震える指の先では、赤い結晶のような装置……だったものが見事コナゴナになっていた）あ〜！なんて可哀想な姿に！
何故よりによってこの装置だけ……！これではただの未完成ゲームではないか！
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戀ヶ仲・くるり 6月4日12時あ、帝凪さん！ご無事そうですね！よかった脱出でき……、……うわなんか漫画に出てきそうな部屋！！（あなたが隣にいることへの安堵。そうして周囲を見る余裕が出来て、見回してから叫ぶ。すごい部屋！）
っ！ う、うわっ！？なに！？（でっかい声に、ビク！と肩を震わせてそちらを見る。赤い欠片をみて、あなたの言葉を聞いて、なんとなく状況は読めた。機械は詳しくない女子高生でも、“壊して出てきた”時点で装置によろしくないのは分かる。それに、）
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戀ヶ仲・くるり 6月4日12時──ふられちゃいましたかね。「もう助けに来なくていいよ」って。
（あなたの隣でそんなことを言う。論理的じゃないし、正解なんて知らないけど、余白を空想で埋めれるのは人間の特権だから。演算機構じゃこうは出来ない）
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皮崎・帝凪 6月5日03時ふ、ふ、ふら——（自分とモニターを交互に指差し、「機械に？この俺が？」と言いたげな目で隣の女子高生を見た）ふられ………！？（信じられないという様子で頬をぺちぺちと触り、「こんなに美しいのに？」と言いたげな目でもう一度隣の女子高生を見た）
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皮崎・帝凪 6月5日03時（失敗は成功の糧であり、故障は改良の好機である。）
（普段なら——或いはこれが戦闘用の防御兵器の類であったなら。一度壊れたならまた作り直せばよい、そう笑って再度開発を進めていただろう。けれど今は、何となくそういう気分にはなれなかった。）
……なあ、くるりよ。（しでかした行為の結果を「無意味だった」とは言うまい、だが、）『恋愛』に詳しい者の見解として……こういう行為は、いらぬお節介というやつなのだろうか？
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戀ヶ仲・くるり 6月5日22時っ、ふふ、ふっ、あはは！…なんですかその顔！本気で驚いた顔して…！（思わず吹き出した。めちゃくちゃ狼狽してたから、つい。にんまり意地悪く笑う）イケメン魔王様はふり慣れてても、ふられるの初めてですかぁ。これもいい経験ですよ！
（どこか沈んだ声色の問いに、ぱちりと瞬きした後、居住まいを正す）
んー、そうですねぇ…「お前の為にここまでやったんだぞ！」って言われたら、なんだとぉ？ってなりますけど。「俺がやりたくてやった！」って言われたら、そっかぁ、じゃあいいか。ってなります（私はですけどね、とのんびり続けた。“あのこ”がどうかは知らない。だって会えなかったから、何も問えない。）
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戀ヶ仲・くるり 6月5日22時私にはとても出来ないので、かっこいいとも思います。（ああ、｜難儀だ《まぶしい》な。と目を細める。こんなの、大体は諦めちゃう話。諦めないでここまで事態を動かしたのは、素直に凄い）
…あんまり『恋愛』目線じゃないですけどー…『恋愛』で話した方がいいんですか、この話（AIなんて模倣である。誰であろうと助けるといったら助ける。意地の話かと思っていたので、緩く首を傾げた。おっと、本当にふられた？炭酸やけ飲みとかする？）
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皮崎・帝凪 6月7日02時わ、笑うな————！！
まず第一にその、ふら…れ……が確定事項のように話を進めるのをやめよ！分からないだろう会えなかったのだから！ ……まったく！人間もたまにはプログラム通り動く機械の素直さを見習うが良い！
（……などと喚いていたおかげで、やや沈んでいた気持ちもどこかへ吹き飛んでいたのだが、素直に礼を言うのも面映く、ふん、と小さく鼻を鳴らした）
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皮崎・帝凪 6月7日02時（少女の返答に微笑みを返して）うむ、そうか！
恋愛で……というかな。今回の反省点のひとつは、俺の“恋愛もの”への知見不足であった！恋愛ゲームのAIならば、学習元にはそれらが含まれていたと考えるべきで——ならば俺よりも貴様の方が彼女を理解できるだろう、と。それだけなのだ！
幾ら俺の技術力があろうと、向こうから｜拒絶《ブロック》されては助けようが無いゆえ！後学のためだ！
……ま、くるり先生がそう言うのならば、これでよかったのであろう！
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戀ヶ仲・くるり 6月7日21時あはっ！はは、ごめんなさい、帝凪さんもこういうことでショック受けるんだ、と思うと…！（あなたの反応を見て、また笑う）っふふ！そうですねぇ、会えなかったから、真相は闇の中ですね…！
──ごめんなさい、笑い止めます、ちょっと待ってください、がんばります（表情を引き締める）
あー、なるほど、はい…（この魔王様、その手の回路繋がってないんだなぁ、としみじみ頷く）
人には向き不向きがあります。全てを完璧には出来ないからこそ役割分担、分業ですね。いいと思います、いつでも聞いてくださいね！（いい話風にまとめようとした）
そうですね、切り替えも大事！これを糧に次に生かすのが大事だとくるり先生も思います！そして、くるり先生の次の懸念は！
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戀ヶ仲・くるり 6月7日21時……私が√EDENまで辿り着けるかってことですね……！ここ、どの√ですか！？地図だけじゃ固定の扉まで辿り着けそうにないので帝凪さんに連れていって欲しいですお願いします絶対迷子になるぅ！
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皮崎・帝凪 6月8日00時うむ、無論そのつもりであった！ 近くの街まで送ろう！
此処は我が｜魔王城《ラボ》の一室で——いちおう√EDEN内の立地ではあるのだが、初見なら貴様以外の者でもまず迷う内部構造だ！
それに……幾ら復活可能な√能力者といっても、うっかり侵入者用のトラップに引っ掛かって死んでしまったら、俺の寝覚めが悪いからな！
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皮崎・帝凪 6月8日00時装置は壊れて、『あの子』の真意は闇の中。
けれど科学の世界は日進月歩。
失った一方で新たに得られたものがあったなら、それもまた悪くはない。
約束通り少女から『恋愛もの』を借りた数日後、
小難しい本がずらりと並ぶ魔王城の本棚の一角に、
少女漫画の単行本が仲間入りした——なんてことが、あったのかもしれない。
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