くらがり

【1:1】どこかのくらがり #9

ダゴール・トムテ 5月7日13時

街の中だか、森の中だか、あるいは屋内。
あなたはどこかのくらがりを訪れる。
休もうとして、逃げようとして、あるいは何かに誘われて。

気づけばとなりに、せいたかの人影が立っている。

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白・とわ 5月7日14時
(真夜中。草木も眠るという時間に窓からコツンと音がした)
…締め忘れましておりましたかしら?
(不思議に思い、窓に近づく。風も通さぬくらいに綺麗に締められ窓に首を傾げ、振り向くと大きな人影)
…あら、まぁ…驚きました。
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ダゴール・トムテ 5月7日17時
(蒼い双眸、高い鷲鼻、長い耳。奇妙なとんがり帽子を被ったその影は、唐突に貴方の背後に立った。まるで銀幕のワンシーンに、あとから人物を差し入れたかのように。不自然にそこへ|在った《・・・》のだ)
……。(奇妙な登場人物は口元を押える貴方を目の前にして、無言で首を回して部屋を眺める。ややあってから、ようやくその目線が下を――貴方を見た。きゅっと、眉間にできる皺) 人魚か。部屋に入ったのは悪かったが、齧りつくのは遠慮してくれねぇかな。見ての通り、骨ばった食いでのない妖精だぜ。
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白・とわ 5月7日23時
あら、まぁ…(世の不思議には慣れたと思ったが、急に現れたようでまるで初めからいたようで…なんとも不思議な客人に目を見張る。だが、彼ら紡がれる言葉を聞くと楽しげに笑い始めた)
うふふ、おかしなお客様。あなたさまがとわを食べるのではなく、とわがあなた様を齧りますの?(ひと通り笑うと、ふと窮屈そうに屈んでいる姿が目に入った。古い日本家屋には彼の背にはあまりにも小さすぎるのだろう。)
どうぞ、中にお入りになってくださいませ。
大したものはございませぬが、立ったままでは窮屈でございましょう?(部屋には最低限と言って良いほどのものしか置いていなかった。座布団を持ってくると、どうぞと彼に座るように即す)
それで…妖精さんはどうしてこちらにいらしたの?(尋ねる声は明るく弾み、目の前の妖精に興味を隠さずにいられないようだ。)
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ダゴール・トムテ 5月8日14時
(可笑しそうに笑うのを見て、梁の近くで首を傾げる妖精。貴方に勧められれば足を踏み出そうとして――固まる。踵を上げたまま一瞬の逡巡のあと、靴を脱いで”畳”の上に足の裏を着地させた。心なし、その顔は得意げにも見えたかもしれない) 語れるほどの理由はないが……まあ、散策だ。まさか人魚の家に出るとは。(細長い脚が座布団の上で胡坐を組む) 海で暮らさない人魚は、ヒトでなければなにを喰うんだ?
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白・とわ 5月10日02時
あら、妖精さんはお行儀がよろしいのでございますね。(靴を脱ぎ、畳に足を運ぶどこか得意げな表情に微笑ましげに笑みを浮かべた。)
散策で、ございますか。あらまぁ…それでしたら本日はハズレでございますねぇ。(古いだけの日本家屋だ。取り立てて楽しいものも無いだろう。さて、この真夜中の客人をいかにもてなそうかと首を捻る。)
なにも、でございますね。他の人魚さまは知りませぬが…とわは食べることはできますが、食べる必要はございませぬ。
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ダゴール・トムテ 5月10日11時
そうとも限らんさ。散歩に当たりはずれもないだろう。(胡坐の上に肘をついて、妖精は貴方を見ている。その目には、先ほどよりも興味の色を滲ませて) 食べない。ふうん。妖精と同じようなものだな。尤も近頃のオレは、長いこと何も口にしていないと”そろそろ何か食べるか”と思うようになってきた。まるで本当に腹が減っているみたいだ。 ……人魚のお嬢ちゃんは、食に興味もないのか?好物とかは?
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白・とわ 5月11日02時
確かに、左様でございますわね。(合点がいったのか深く頷いた)妖精さまは、夜中に良くお散歩しておりますの?

なるほど、妖精さまたちもお食事は必要とされませんのねぇ。うふふ、親近感が湧きます。
あら、それは何か素敵なものを召し上がられましたのでしょうか?(その感覚を芽生えさせる何か、それはとても興味を惹かれた)

そうでございますねぇ…肉以外はなんでも好みますのですが、特に甘味、洋菓子は好きでございますよ。とわが産まれた時にはありませんでしたから。
妖精さまは、何がお好きでございますの?
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ダゴール・トムテ 5月11日14時
(繰り出される質問の数々に、細い目を見開く) ……好奇心が旺盛なんだな、白い人魚……いや、めんどくせえや。そろそろ名前を聞いておくか。(妖精は”人魚”ではなく、個として貴方の名前を尋ねた) オレは妖精トムテ、”舌なし”のダゴールだ。
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ダゴール・トムテ 5月11日14時
オレは昼夜構わずだいたい暗がりを渡り歩いてるから、色んなところに浮かび上がる。ここにきたのはたまたまだな。(右の小指を折る) 昔は世界中の甘味を食べ尽くす勢いだったが、事情があって今は野望を中断してることろだ。(薬指を折る) んで、その”事情”によって今は好物を食べられずに灰色の時間を過ごしている。慰みものは茶と酒だな。甘味ほどじゃないが悪くない。(中指を折る) どうだ?(答え終わると、満足か。というようににやりと笑った)
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白・とわ 5月14日22時
あらあら、申し訳ございませぬ。ここにお客様が来るのが珍しいものでございますのでついつい。
それに、その…童話の妖精さんはこう小さくて愛らしいでしょう?大きな妖精さまは珍しくて…(見開かれた目に気付きバツが悪そうに赤くなる顔を隠した)
名も名乗っておりませぬでしたね。「とわ」と申します。
あなたさまはトムテさま…ダゴールさまと言うのは妖精さまの種族ですの?
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白・とわ 5月14日23時
暗がり…なるほど、ですから此処に辿り着きましたのね。(器用だことと折られた小指を見る)
まぁ!大きな野望をお持ちですわね。あら、中断してしまいましたの?(折られた薬指をじぃっとみつめる)
あら、それはなんてお気の毒な話でございますねぇ。お茶とお酒…あゝ、お酒はございませぬがお茶ならご用意できますよ。緑茶はお好きかしら?(ふ、と客人に茶も出してない事に気付き慌ただしく用意をし始めた)
代わりになるものがみつかりましてようございましたねぇ。(まるで読み聞かせを聞く子供のようにじぃっと話に聞き入っていた)
なるほど!なんとなくでございましたがトムテさまのご事情はわかった…気がいたします!(その瞳はまだ話が聞き足らないと物語っている。むしろ好奇心に火がついたようだ。)
とわはトムテさまのお話、もっと聞きたいのですけど…(物語はおしまいと語るその笑みに首を傾げて)こういう時は何か捧げ物とかすれば良いのかしら?
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ダゴール・トムテ 5月16日16時
いや、ダゴールの方で呼んでくれ。トムテの、ダゴールだ。大きくて可愛げがなくて悪いな、人魚のとわ。(妖精はニヤリと笑って、頭の上のとんがり帽子をぴんと弾く) |緑茶《グリーンティー》は好きだぜ。……ああ、”お構いなく”って言うんだったか?だがせっかくならいただこう。こんな闖入者でも歓迎してもらえるならな。(慌ただしく動き回る姿、懐っこく興味を向ける視線にあてられて、妖精は奇妙な音を発した) kec-kec-kec!!(どうやら、笑ったらしい)
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ダゴール・トムテ 5月16日16時
オレの話を聞きたい……それは、お前の”願い”かい?(座ったまま上体を沈ませて、青の双眸が貴方を覗き込む) 捧げものは要らない……いや、お前の淹れたお茶ということにしようか。――”舌なし”ダゴールに望むのならば、ひとこと『お願いします』と言ってくれ。人魚のとわ。
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白・とわ 5月21日01時
なるほど、ダゴールさまでございますね。
…ふふ、見透かされてしまいましたねぇ(悪戯がみつかった子供のようにバツが悪そうに、でもどこか楽しげな笑みを浮かべた)して、トムテさまとはどのような妖精でございますか?

かわいいはかわいいでございますよ、そのお帽子とか。(己の世界には珍しいとんがり帽子を見つめ)
人魚、はカタチだけでございますの。とわは人魚の肉を食べたなれ果てとでも言いましょうかね。

構わなくてよろしいのですわ。とわもちょうどお話し過ぎで喉が渇きましたので(そそくさと奥に行き、二人分の湯呑みを乗せた盆を持って戻ってきた)
びゃっ!(妖精の笑い声に驚いたらしい。かろうじて盆を落とさなかったことにほっと胸を撫で下ろす)
…失礼いたしました。ダゴールさま、笑いになるのね。(彼の前、自分の前に茶を置く。目の前の妖精は思ったより…感情豊かな方のようだ)
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白・とわ 5月21日01時
願い…、まぁ、願いと言えば他にございますが…(覗き込まれた青い瞳をじぃっと覗きこむ。覗き込んでもその心は計り知れない)
(少しの逡巡の後)そうでございますね…妖精さまに頼むのは眠りにつくまでの御伽噺がようございましょう。では、ダゴールさまのお話を聞くことを『お願いします』(まるで魔法の言葉のように、悪魔との契約のようにその言葉を紡いだ)
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ダゴール・トムテ 5月22日15時
……そりゃあ妖精だって笑うさ。そんなに可笑しかったかい。(驚く貴方を見て、妖精も笑った顔を固くしてぴたりと音を止める。少しばかり傷ついたようで、口先を尖らせていたが。帽子を褒められ、お茶を出されると、ひと口飲んで聞かれたことに答えた) 本来のトムテは、家憑きの妖精だ。こっそり住み着いて、食べ物をもらう代わりにその家に奉仕する。もっともオレは、家出中の放蕩妖精だがね。
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ダゴール・トムテ 5月22日15時
ようし、いいだろう。お前の願いを請け負った。(無警戒に、というわけでもなかっただろうが。貴方が云われる儘にそれを口にすると、妖精は満足そうに笑った) |語り聞かせ《ストーリーテリング》は得意さ。なにせグリム兄弟の数百倍長い間、様々な物語を観て、聴いてきたんだから。 それに、とわ。お前は欲深いようだから、いずれは真の願いってやつも聞き届けてやろう。
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白・とわ 5月24日02時
も…申し訳ございませぬ。可笑しかったわけではないのですが、初めて聞く笑い声でしたので、驚いてしまい…気を悪くさせてしまいましたら、ごめんなさい。(そう謝罪の言葉を告げるも、口先を尖らせるその様子がまるで幼い男の子のようで、なんだか微笑ましく思わず微笑みが緩んでしまった。)
なるほど、ダゴールさまは…愛らしい妖精さまでございますのね。(それは、心からの言葉だ。初めこそ驚いたが、話上手で表情豊か。それはまるで童話の妖精のよう。)
まぁ!それはなんて便利な…一家にお一人は欲しい妖精さまでございますねぇ。放蕩中?でも、それではダゴールさまは食べ物貰えないのではないのですか?お家が嫌になられましたの?
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白・とわ 5月24日02時
それはそれは、楽しみでございます。(きちんと座り直すとぱちぱちと拍手をする。まるで紙芝居を待つ子供のように)
何からお話を聞きましょうか…。それでは、ダゴールさまは産まれた時からトムテさまでございましたの?
あら、バレてしまいましたか。
ダゴールさま、あなたさまはどんな願いでも叶えられますの?(それを聞く声は真剣で、眼差しはじっとその瞳の奥を見つめている)
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ダゴール・トムテ 5月24日14時
愛らしい、ねえ……別に笑われたって構わねえがよ。(妖精は複雑そうな顔をして、文字通り湯飲みでお茶を濁す。その間も喋り続ける貴方を見て、くつくつと小さく笑い声を立てた。にやつく口元を拭う) ……本当に質問が多いなお前は。"お願い"されたからにはひとつずつ話してやるから、ちょっと待ちな!
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ダゴール・トムテ 5月24日14時
……なんだっけ。Ah... トムテのことか。(脚を組みなおし小さく咳ばらいをすると、妖精はもったいぶって話を再開した) オレがいつ生まれたかは覚えてないが、一番古い記憶は最後の家に仕えたとき。暖炉の灰の中から生まれたことだ。(語りながら、真剣に見つめる貴方の視線をあやすように、人差し指を左右に振る) トムテが食べ物をもらって働くっていうのは、古くからの慣習でな。契約みたいなもんでもあるんだ。逆に言えば、主が|捧げ物《食べ物》を忘れたら、オレたちはその家を離れることができる。オレはその家で働くことのうんざりしてたから、奥さんがうっかりした日を狙って逃げ出したのさ。
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白・とわ 5月25日23時
はっ!また、とわ話し過ぎておりましたか!やってしまいました!(慌てて口をおさえた)
えぇ、それに…ダゴールさまは優しい方でございますのね。だって、とわの質問攻めに答えてくださるのですもの。(お茶のおかわりはいかがでしょうと首を傾げ、じっと話を聞いている)
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白・とわ 5月25日23時
(彼の話に引き込まれたのか、先程までの忙しなさを隠して頷いたり驚いたりしながらじっと聞き入っている)
なるほど、契約でございましたか。(それでは自分が差し出したお茶も捧げ物というわけかと、ひとりごちた。)
逃げ出して…恐くはありませぬか?だって、トムテさまとして産まれたのに、そのレールを外れてしまったら…(ふと、自分に置き換えて考えてしまう。望まれるように、与えられた命を全うする為に、ただその為に生きてきたのに)
とわには、どうやって生きていくのかわからなくなってしまいそうでございます。
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ダゴール・トムテ 5月27日17時
オレは優しいかい?kec-kec-kec!! ああ、ああ。そうだろうな。(|優しく《そう》しているのだから。板を叩くような奇妙な笑いが再度、愉快そうに響く)

その尾鰭も、お前に敷かれたレールか?(妖精は、ぐっと天井を仰ぐように湯飲みを傾ける) オレには不思議だがな。お前はオレに色々尋ねるだろう。なぜだ、どうしてだと。(湯飲みの底が、落ちた畳の上でとんと音を立てた) お前のその好奇心が、お前の生きていく指針ではいかんのか?レールがなくても知りたいがままに、好きなものの方へ歩いていけばいいじゃねえか。オレは甘味こそ奪われたが、だからって自分がしたいままに生きたことを悔やみはしないぞ。(kec-kec-kecと笑いながら、おかわり、と湯飲みを指さす)
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白・とわ 5月30日01時
優しいお方…でも、これだけお話してもカタチが掴めぬ、夜のようなお方ですわねぇ。(軽快な笑い声が、しんと静まり返ったこの世界に響き渡る。己しかおらぬこの世界に。)
…ほんに、奇妙で愉快な夜だこと。(心のうちで思った言葉は、小さな音で唇から溢れた)

レール…。(あれだけ問い詰めながらも、己への問いには虚をつかれたように驚いてみせた)
さようでございますね。これは、レールを踏み外した先に得たモノでございます。でも、そうですね。ダゴールさまの言う通り、その代わりに得たレールでもございます。(そうやって生きていく術しか知らぬ。レールの外を歩く人を羨ましく見ながらも、己は何よりもレールを外れる事をおそれている)

不思議でございます?
それはね…羨ましいからです。
(彼のいう通り、好奇心のままに生きれたらどれだけ良いか。好きなものを追えればどれだけ良いか。)
…そのように話せるダゴールさまがとわは羨ましい。
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白・とわ 5月30日02時
(清々しく自由を悔やまないと語る姿は、虚栄にも思えず…)
ほんに、ダゴールさまは憎らしいほど羨ましい。
(微笑みながら溢れたのは心からの言葉だ)
とわは、悔いてばかりでございます。
(世に、人に。恨んで、羨んで、やがて全て諦めた。己はそういうモノだと。冷めた己のお茶をぐいっと飲み干す)
しかし…そうですね。レールを踏み外してみましょうか。どうせ、長き世。それもまた一興。(女は軽快に笑う)

とわを唆したのは、ダゴールさまでしてよ?
もし、何かありましたら…愚痴ぐらい付き合ってくださいませ。
『お願いします』、ね?
(空になった湯呑みに新しいお茶を淹れると、これが新しい契約だと言わんばかりに不適な笑みを浮かべた)
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ダゴール・トムテ 5月31日16時
……。(纏う雰囲気の変化に、妖精は片眉を上げた。童子の如き無邪気さは霧散して、妖しい気配を放つ貴方を注意深く見る) ――なあ、とわ。嘗てはヒトだったというとわ。よかったら聞かせてくれ。今のお前は、なんなんだ?お前はお前のことを、何者だと思っている?(供された茶には手を伸ばさず、立ち上る湯気の向こうから問いかける)
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白・とわ 6月1日23時
あら、お茶は飲んでくださらないの?毒など入れてはおりませぬよ?(湯呑みに手を伸ばそうとしない様子に、変わらぬ様子で微笑みかける。飲むという行為が彼にとって契約というのは承知の上で)
今度はダゴールさまがお問いになられますか。…ふふ、己はあれやこれやと問うて、答えぬとは…いささか身勝手が過ぎますわね。(ゆるりと己の湯呑みに手を伸ばすと一口呑み、息をついた)
…それは、一番難しい質問ですわね。何者にもなれなかったのが、とわでございますから。(答えになっていない答えに自分でも苦笑する。しかし、己がどう思っているかと問われるとそう答えるしかない。)
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ダゴール・トムテ 6月2日16時
何者にもなれなかった。(妖精は貴方の言葉を鸚鵡返しにする。口の中で、それを咀嚼するように) ならば今のお前はどんな命運の上にもなく、どんな責務の下にもないことになる。肩書がないってことは、そういうことだ。(双眸に隠しきれない恨めしさを滲ませて、妖精は貴方を見る) オレは”舌なし”ダゴール。いつかはこの肩書を外して、”ただの妖精”ダゴールになる。……”ただの”とわ。それとも今は、”人魚の”とわか。――お前はなぜ迷うんだ?
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白・とわ 6月9日02時
確かにダゴールさまのおっしゃる通りでもございますね。今のとわには、何もございません。ですが…何処にも行けませぬの。(障子を閉めた窓の外を見る。外は真夜中と言えども音一つ無い。まるで他には誰もいないように)

(彼の瞳に滲む感情。ふわりと宙に浮かぶと、その顔を良く見ようと顔を近づけまじまじと見つめた)あゝ、なるほど…あなたさまは『自由』が欲しいのでございますか?(初めて、彼の本心に触れた気がした。満足したのか、ふっと離れるとゆるりと微笑む)
でも、とわも自由が欲しいのでございますよ。ダゴールさま。あなたが“舌なし”を外したいように、とわは“人魚”であることを外したい。…ただの“ヒト”になりたい。
“ヒト”と契約をしていましたあなた様ならご存知でしょう?“ヒト”とはいかに身勝手で自由な存在であるか。
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白・とわ 6月9日02時
とわは不思議で仕方ありませぬの。
あなた様は家付きの妖精様。そして、契約された方が違えた事で、その家を逃げ出せた。
あなた様はそれでも、自由ではございますぬの?
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ダゴール・トムテ 6月9日15時
(淡黄色の瞳につられて、障子を見る。どうにも周囲が静かすぎることに気付いて、眉を寄せた。その間にふわりと顔が迫っていたものだから、驚いて少し身を引く) ……それがお前の、真の願いか。(閉じられた部屋の中で、間近の淡黄色に相対しながら独り言のように呟く) ……オレの舌については少し話したな。オレの今の枷は、この呪いだ。(妖精は口を開くと、自分の灰色の舌を指で示した) オレの生きがい、家を出た理由。天上の幸福である|甘味《・・》を消す呪い!これがある限り、オレは息苦しい水底から世界を見上げているようだ!くだらないと笑ったやつには痛い目をみせてきた!(口調に熱が籠っていく。憎い相手がそこにいるかのように、貴方に向けて言葉をぶつけた) オレの”自由”とは!存在する意味とは!甘いものを好きなときに、好きなだけ楽しむことだ!
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白・とわ 6月10日13時
えぇ、それがとわのほんとうの願いでございます。そして、叶わぬ願いでございます。(まるで石のようなる灰色の舌。まるで魅入ったかのようにじぃっと見つめている)

それが、あなたさまの枷。

(すっとその頬に手を伸ばす。叫ぶ声は怒りに震え魂を焼き尽くすかのよう、なのにとても哀しくて痛い。まるで…泣いているようにも見えた。)

羨ましいと思いましたのは…違いましたね。あなたさまも充分に不自由でございました。
(ふっと自然に微笑みが溢れた。憧れを感じた者が己と同じようにその枷に、身を焦がれて嘆き苦しんでいる。暗くて醜くて孤独の淵を満たす唯一の喜び。)

ふふ…うふふ、げに、この世は地獄…でございますわね。(ゆるりと尾鰭が揺れる。ひび割れた隙間から金の星が溢れる。)

自由を奪われた先に、あなたは何を見ましたの?
ダゴールさま。
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ダゴール・トムテ 6月12日14時
(頬に触れられても、妖精は顔を変えなかった。ただじっと、貴方に目線を据えたまま微動もしない) 自由を。奪われても一路、ひたすらに再び手に掴む自由を見据えている。幾百、幾千の季節が廻ったかもしれん。その道中、多少なりとも目を引く面白いものもあった。だが、それでもだ。(言葉を切ると、置かれた湯飲みに手を伸ばす。少しぬるくなったそれを、一息に飲み干した) ――オレに願え、とわ。お前をニンゲンにしろと。(未だ怒りを湛えたまま、挑むように言う) 今は叶えられん。だがオレが見つけてやる。叶わん願いなどあるものか。いや、――|敵わず《・・・》諦めてたまるものか!
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白・とわ 6月15日05時
奪われても、その先を…あなたさまは、諦めないのでございますね。あなたさまを、自由を、取り戻す事を(嗚呼…この方は、似てるのに違う。その瞳には燃えるような怒りが灯っている。)
…とわは、海の神を喰らいました。神を人の身に納め不老不死の薬となる為、その為に育てられましたのに…。それがとわの役目でございましたのに、その役目を果たす事が叶いませんでした。
罪だけが残り、神にもなれず人にも戻れず、海にも陸にも在る事を許されず、永遠に彷徨い続ける…それがとわの罰でございます。(まだ希望の灯る瞳を、どうして己の深海に引き摺り込めようか。)
ダゴールさま…とわの願いを叶える事はあなたさまの業を増やしてしまうやもしれませぬ。
(体温の無い冷たい両手でその頬を覆う。)
それでも、とわに約束してくださいますか?とわが願えば、いつか叶えてくださると。
…とわも今なら一夜の夢と忘れます。とても幸せな夢を見たと。
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ダゴール・トムテ 6月16日14時
(冷たい手の中で、妖精は不敵に嗤った) 愚かな願いなら飽くほど叶えてきた。オレに願いの貴賎なぞわからん。ただ、叶えるだけだ。(貴方の手首を、骨ばった長い指が掴む) それが業だというのなら、尚のこと喜んで引き受けよう。愚かな子どもの過ちを請け負ったとは、いかにも悲劇で偽善的な行いだ!今度こそこの忌々しい呪いに届くかもしれん!(白く細い手首を、妖精が締め上げる。このままきっと、共に沈んでいくのだろう) さあ。願え、とわ。”舌なし”ダゴールが、お前に約束してやる!
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白・とわ 6月18日18時
(手を伸ばしたのは己なのに、その手を掴まれて思わず目を丸くしてしまった)
ふふ、あなたさまにとってはどのような願いも等しく同じなのでございますね。
…困った方。水底へ引き摺り込む人魚の腕を掴むだなんて…これでは、とわは逃げようが無いではありませぬか。(観念したように、でも少しだけ安堵と喜びを滲ませながら微笑んだ。永劫の中、一人はさびしい。幾年過ぎようとそれだけは慣れる事なく変わらなかった。)
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白・とわ 6月18日18時
(ふわりと彼の耳元に顔を寄せる。この願いはあなただけに聞かせるよう。静かな小さな囁きで)
ダゴールさま、とわを人間に戻してくださいませ。
たとえあなたさまがこの先、呪いを解こうとも、とわはこの約束を決して忘れたりはいたしませぬよ。(女は嗤う)
約束を違えましたら、その時は本当に水底へご招待いたしますわ?ゆめゆめお忘れなさいますな。
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ダゴール・トムテ 6月19日14時
kec-kec-kec… いいだろう。オレがひとりで自由になろうとしたならば、そのときは連れていくがいい。(妖精は満足そうに笑う。貴方の願いを仕舞いこむように、胸にもう一方の手を当てて) 今日のところは、オレの|お話《・・》は仕舞いだ。話がしたければ、くらがりに向かって呼ぶがいい。ダゴールの名前をな。(手首に絡んだ指を解くと、座布団の上ですくと長身が立ち上がった)
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ダゴール・トムテ 6月19日14時
イテ…(なんとも格好つかず、天井の梁に頭をぶつける)
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白・とわ 6月20日15時
えぇ、その時が来ぬことを願っておりますわ。
とても楽しい寝物語でございました。さすがは、妖精さまでございますね。(物語の終わりは常に一抹の寂しさを感じるもの。空になった手を眺める。)
…あら、それでしたら、眠れぬ夜はお呼びしても良いの?(初めのように無邪気な笑顔で微笑みかけた)
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白・とわ 6月20日15時
…ふふ(天井の梁に頭をぶつけた姿に思わず笑ってしまう)
次に来てくださる時は、お気をつけくださいませね。(さようなら…と言いかけて、ふと口をつぐんだ。)
またね、ダゴールさま。
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ダゴール・トムテ 6月23日14時
……。(貴方の問いに応える声ははなった。頭を抑えるのっぽの妖精は、不貞腐れた顔で小さく頷く)(そうして貴方が次に瞬きをするときには、大きな影は跡形もなく消えてしまっているだろう。残されたのは、座布団の前に置かれた湯飲みだけ。内側にほんの少し、茶葉が張り付いている)

またな、人魚のとわ。

(最後に聞こえた小さな声は、音のない夜の耳鳴りを聞き違えたのかもしれない)
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白・とわ 6月28日02時
(まるで初めから何も無かったかのように、夜と静寂が部屋を包み込む。残った湯呑みだけがこれが夢では無かったと証明してくれた。それを見て、静かに微笑むと横たわり静かに目を瞑る。未だ『人魚』の女はいつか『呪い』が解けるその時を夢見て眠りについた。)
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ダゴール・トムテ 6月28日13時
(時の止まったような部屋の中で、やがて貴方は規則正しく寝息をたてはじめることだろう)

(――そして、暗がりは静寂を取り戻した)【〆】
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