神寄せの香
大通りの喧騒から外れた細い隙間のような路地。両脇には雑居ビルが並び、頭上には配管と看板が入り組んでいる。
その合間に敷かれた趣の異なる石畳。
奥へと続く其れは、店の入り口まで続いているようで。
目の前の通りを歩けば、誰もがその石畳へと視線を誘われた。
ビルの壁を背に小さな暖簾が風に揺れている。
※招待した方のみ書き込み可能
ルイ・ミサ 8月11日10時(店……?)
(不意に足が止まる。昼食を終え、ホテルへ戻るつもりで街をふらふら歩いていた。食欲はもう満たされているはずなのに、目の前の異質な空間に視線を奪われる。情緒――そう呼べばいいのだろうか。ここだけ時間が切り取られたように、和の趣が漂っていた。石畳の奥からは、甘いお茶の香りが微かに漂ってくる。飲食店だとすぐに分かったが、表にはメニューも看板もない。迷いながらその場に立ち尽くしていた)
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神花・八華 8月11日10時(店の前に立つ、あなたの耳に)
――こんにちは。
こんなに暑いというのに、|ミサ《・・》は入らないのですか?
(涼やかな、金の鈴を転がすような声)
(気配を感じさせぬ――否、気配が無いようにも思える)
(桜色の髪に、濃藤色の眸。一見14~5歳の少女だが、纏っているのは何千年も前のような時代錯誤な衣装だった)
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ルイ・ミサ 8月14日14時(気づけばすぐ傍らに人がいた)――――!!?
(不覚。相手が暗殺者だったらやられていたに違いない。思わず一歩下がってしまう。見目麗しい少女ではあったが、古風な衣装を纏ったその風貌と気配のなさに警戒心が高まる。何より――)
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神花・八華 8月14日15時……あら、驚かせてしまったかしら……。
ごめんなさい、そんなに警戒しないで頂戴。
(おろおろと宥めようとする様子。だがその姿は、周囲にいる誰にも見えていないように思えるだろう)
この姿で会うのは初めてだけど、私はあなたを知っている。
そしてあなたも、私を知っているはずです。
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神花・八華 8月14日15時そうね……初めて会った時に買ったのは、交通安全のお守り。
はんばーがーのお店でも、はんばーがーを食べずに飲み物だけ口にしていたと思うのだけど……間違っていたかしら……。
(目の前の少女が指折り述べていく、あなたのこれまでの行動)
(それはどれも、あなたがよく知っている少女が共にいた時のものだった)
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ルイ・ミサ 8月17日19時(彼女の装いが珍しいからか、通り過ぎる人が皆こちらを――違う。視線は彼女じゃない。私?)
(周囲の目は明らかに自分に注がれていた。これほど目立つ彼女が、まるで誰の目にも映っていないかのように――)
……いや、キミを知らない。なのに、私のことをやけに細かく……。(監視役?でもそれなら、こんなふうに声をかけてくるはずがない)
(この姿で……?)まさか、怪異だ、なんて言わないでほしいけど……。(敵かもしれない。手はさりげなく、ナイフホルダーの近くへ)
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八代・和茶 8月18日16時ちょっとぉおおお!!! 勝手にふらふらしないでくださいって言ったじゃないですか!! 退魔道具も付けずに!!
(ぜぇぜぇと息を切らせながら走ってきたのは、あなたがよく知る少女)
……す、……すみません、ミサさん……はぁ、……お、お騒がせして……。
(和茶が少女の手を取り、桃色の組紐を腕に付けると)
(「何だ、あの子?」「コスプレかしら……」と、周囲の視線があなたから少女に移った事が分かるだろう)
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ルイ・ミサ 8月19日09時(和茶君が話して聞かせたから私のことを知っていた?いや、それは考えにくい。注文の細かい話なんて、わざわざ口にするはずがない)
(ふと気づけば、通行人の視線は不思議な彼女に向かっているようで――先ほどとは明らかに何かが違うと感じた)(……妙だなぁ)
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八代・和茶 8月20日00時……はあ、全く……。
知り合いですよ、私が生まれた時から見てたらしいですから。
前に|うち《八代家》に来てくれた時に話しましたよね?
――――この方なんですよ、八華姫。
元人間で元神で元祟神で、現在は護霊兼幽霊です。
私より狭い世界で生きたらしくて、現世が珍しくて仕方ないんでしょ。
見知った顔を見かけたからってふらふら~っとどっか行っちゃうんですから。
(物凄く大きな溜息を付きながら)
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神花・八華 8月20日00時だって、これ痛いんですもの……。
(腕に巻かれた組紐を見つめて)
えぇと……改めて、初めましてかしら。
私の事は|神花八華《かんばなやつか》、と呼んで頂戴。
あなたの事を知っていたのは、|この子《和茶》の目を借りていたからです。
驚かせてしまってごめんなさいね。
(しょんぼりとした表情を浮かべながら頭を下げて)
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ルイ・ミサ 8月22日00時え、あ……ああ、前聞いたあの八華姫?神さまで今は――幽霊?え、ちょっと待って混乱する。(待て待てこれは神様に遭遇できたチャンスでは?)(頭を抱えて指の隙間から八華姫を見つめる)
八華君ね。いや、八華神って呼ぶ方がよくない?目を借りれるのか。なるほどそういう力もいいな。幽霊になっても――
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ルイ・ミサ 8月22日00時(そう言いかけて止まる。突如、暖簾の向こうから甘い紅茶のような香りが漂ってきたので視線をそちらへ向けた。和風の店に見えたので少し不思議そうに目を細める。どうやら洋菓子や紅茶もある喫茶店のようで――)暑いし、良ければそこの店に寄っていかない?冷たい物くらいあるだろうし。
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八代・和茶 8月22日16時……まあ、混乱しますよね。私だって同じ立場なら混乱します。
(うんうん分かる、とでも言うように何度も頷いて)
そうですね、この暑さで長話もなんですし。
八華姫も入りましょう、お気に入りのいちごパフェもあるみたいですよ。
(傍らでしょんぼりしている少女に声をかけて)
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神花・八華 8月22日16時もう神ではありませんから、八華で構いませんよ。
ええ、|和茶《この子》の同意があれば。護霊契約している事が条件ですが。
(いちごパフェ、と聞いて目を輝かせて)
まあ、あのいちごぱふぇが……?
ええ、入りましょう。もう一度食べてみたかったのです。
(そこであなたの顔を見て)
ミサ、あなたは知りたい事があるのでしょう?
私の知る限りでよければ、お話しましょう。
(まるであなたの目的を知ってるかのように、にこりと笑った)
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ルイ・ミサ 8月26日09時(内心を見透かすような彼女の言葉を、否定はしなかった。もし本当に目を借りていたのなら、和茶からお守りを買ったあの日の会話も知っていて当然だろう)
……うん、聞きたいことはある。
(石畳を進み暖簾をくぐる。入口の引き戸には小さく「神寄せ」と書かれていた。どうやら店名らしい。店内は少し暗めの照明で落ち着いていて、こげ茶色の柱が何本も立ち、レトロな洋風のソファや椅子が並んでいる)
(クラシカルなメイド服の店員に案内されたのは窓際の席。外には雑居ビルを隠すように、小さな和風の庭園が造られている)
空いていて良かったな。
(メニューには種類豊富な紅茶が並び、日本茶や抹茶、珈琲の文字もある。軽食とデザートのページを開き、二人の前に差し出した)
お望みのパフェは……これ?
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神花・八華 8月26日22時(店内が珍しいのかそわそわと見渡したり、時々足を止めたり)
(和茶に手を引かれて漸く席に座ると、見せられたページに)
……そう、これ……!
現代の食べ物で初めて食べたのです、とても美味しくて……。
幽霊なので、本来は飲食を必要としないのですが。
(|紅玉《ルビー》の様に艶やかないちごの乗ったそれを迷わず注文した)
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八代・和茶 8月26日22時まったくもう、うろちょろしないでくださいってば。
(大きな溜息をつきながら座って)
……ですね、一般人の方には余り聞かせられないお話ですし。
(ひそひそ、と小さな声で)
私は……クリームあんみつと抹茶にしましょうかね。
えっと、ミサさんが聞きたいことって……。
(ちらり、とそわそわしながら待っている八華に顔を向ける。「私が聞いてもいいのかな」と一瞬考えるも)
……難しい所は、私が解説しましょうか。
ミサさん日本の神様には疎いみたいですし。
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ルイ・ミサ 8月27日20時へえ……飲食を必要としないのに、美味しいと感じるものなのか。
それほどなら、私も同じものを試してみようかな。
(苺パフェに温かい紅茶を注文した。店員が和茶の分も聞き取り、一礼して去っていく。静かな空間には、小さくクラシック音楽が流れていた)
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ルイ・ミサ 8月27日20時(和茶に促され、改めて八華を見つめる)
キミはさっき、自分は幽霊であって神ではないと言ったな。
……なら、神の力は死ねば消えるものなのか?
神はそもそも|死ぬ《・・》のか?
私はもっと、生死を超えた存在だとばかり思っていた。西洋の神なら復活する者もいるし、天国という概念もある。だが、キミはそのどれにも当てはまらない……?
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八代・和茶 8月27日21時あれ、ミサさんって政府機関のライブラリ見てません?
幽霊って退魔道具を付けると一般人みたいに実体化出来るんですよ、痛いらしいですけど。
私の味覚を貸したら霊体でも味も分かりますけど、何か私が食べてる気しないのでやです(きっぱり)
……まあ、望んで神になったわけじゃなさそうですから……。
|この人《八華姫》の場合、人間の魂には過ぎた生贄を与えられた結果祟神になったらしいです。
(涼しい店内に一息つきながら、運ばれてきたお冷をこくり)
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神花・八華 8月27日21時ええ、|この子《和茶》達に怨念を封印されて漸く神でなくなりました。
今の私は神ではなく、この世に未練を残した唯の幽霊です。
そうですね……神にも、死の概念は存在します。
西洋の事は余り詳しくないけれど、きっと古い神話はそうではないかしら。
――ミサ、神は如何にして神であるか分かりますか?
(あなたに向けられた瞳は見た目通りの少女ではなく、何千年と生きた年長者としての光が湛えられていた)
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ルイ・ミサ 8月29日16時そうなんだ。幽霊を調査することはなかったから、ライブラリは見ていなかった……。(八華に問われ、静かに視線を移した。苺パフェに喜んでいた少女の雰囲気とは違う瞳が向けられる)
そうだなぁ……人の理を超えた存在だからそう呼ばれるのだと思っていた。
祟り神……前にも和茶君から聞いたな。キミは死んでからも力はあったことになる。けれどそれを封印されてしまうということは――和茶君達の方が、人の方が強いということになってしまわないか?
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ルイ・ミサ 8月29日16時(目の前にいるのは神だった者。それならばこちらの情報を一部開示しても組織は何も言わないだろう。盗聴されていてもきっと邪魔は入らない。なぜなら彼らこそ神化する為の情報を欲しがっているからだ――そう考えて、少しの沈黙の後口を開いた)
私は……|神の核《・・・》と呼ばれる物質を幾度となく体に埋め込まれている。くだらない実験だが、人間はそれをやめようとしない。条件さえ揃えば、誰でも神になれると信じているからだ。……結果はいつも失敗。
如何にして神か、むしろ私が聞きたい質問かな。
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八代・和茶 8月29日19時……弱くなんてありませんでしたよ、あの時は。
文字通り|命懸けで《・・・・》封印しましたから。
今はまあ、私たちと同じくらいの√能力者になったみたいですけど。
うーん……人の理を超える存在なら、妖怪とか人間災厄もそうでしょ?
八華姫は祟神ではあったんですが、……あれは……、
…………いえ、何でもないです。
(何か言おうとして口篭もり、再びお冷を口にした)
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神花・八華 8月29日19時――何時の時代も、考える事は同じなのですね。
その様な事をしても、神になどなれないというのに。
神が神たるのは、人に恐れられ、崇められ、奉られる事。
人々に己を神と信じてもらう事……分かりやすく言えば、信仰心が神を神と至らしめているのです。
逆に言えば、己が望まなくとも「神である」とされてしまえば、その者は神となってしまうのですよ。――私の様に。
そして、人々から忘れられた神は弱り、死……消滅を迎えます。
私の場合は元人間でしたので、正しく輪廻の理に……祟神から幽霊になる事が出来ましたが、信仰を失った神が辿るのは死と言って間違いないでしょう。
今、世界には様々な宗教があると聞き及んでいます。
その大きな宗教によって信仰心を失い、古い土着の神が幾柱消えた事でしょう……最も、それだけ力のある宗教という訳なのですが。
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ルイ・ミサ 9月2日20時まあ、そうなんだが……なんて言うか、それらよりも上位の存在――そういうのを神と呼ぶのかと思っていたから。種族の一つ……能力者から見たらそうかもしれないが。(口篭もる和茶に気づいたが、すぐに八華の言葉に耳を傾けた)
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ルイ・ミサ 9月2日20時なるほどー…面白い。(スマホをわざとテーブルに置いた。八華の声も盗聴しているであろう、組織の彼らに聞こえやすくするためだ。そして、あえてスマホに話しかける用に口を近づける)聞いたか?私も人々に奉られるようにならなければ、神にはなれないということだ。
いくら実験をしても無駄だと、元神様に言われたんだ。教祖になる準備でもしたほうが近道かな?(嬉しそうに笑った。そして腕組して少し考えるように遠くを見る)
……ふうん、忘却が死因か。神になるにも、神でなくなるにも、力の強さは問題ないというわけか。
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神花・八華 9月3日00時ないと言えばそうなりますし、あると言えばそうなります。
神と崇められる|理由《・・》は必要になりますから。
――偽りの力を見せても、それが露見すれば辿るのは破滅のみですが。
(テーブルに置かれたスマホを見て)
ミサ、これは何処かと繋がっているのですか?
――聞いての通りです。|この子《ミサ》を神にしようなど、お止めなさい。
自らの破滅を望むのなら、私が口出し出来る事ではありませんが。
(スマホの原理等は知っているようで、ミサに習うように語りかけた)
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八代・和茶 9月3日01時……うわ、これって……。
(同じくスマホに目をやる。盗聴されている事に気付いたようで)
…………。
(ペーパーナプキンを取ると、袂から取り出した筆ペンを走らせる)
『八華姫の権能は、“他者の願いを叶える”ことだったそうです。
ですが私達が初めて会ったのは、数千年穢を溜め込んだ祟神でした。
話せるようになって一年弱ですけど、……そうは見えないでしょ?
まだ何とも言えませんが、あの時の八華姫には“何か”がついていたような……とても元祟神には見えないんですよね……』
(書き終えると八華姫にも見えないよう、そっと手渡した)
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ルイ・ミサ 9月4日11時(私がこう言おうが、元神様が提言しようが……彼らは止めないだろう。そんなことは分かっている)
(時折、こうして盗聴相手に話しかけるのは、反抗期の子供のそれと似ている。八華の穏やかな声に、思わず柔らかな笑みを浮かべてスマホを再びしまった。しまった所で音量が小さくなるだけだが、このまま置いておけば、彼女らも気になるだろう)
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ルイ・ミサ 9月4日17時(和茶から渡されたペーパーナプキンにさりげなく視線を落とし、文字を追う。そこに書かれた言葉を読んで、わずかに目を細めた。そのまま紙を指先でたたみ、静かにポケットへとしまってから、改めて八華を見る。穢れを溜め込んだ祟神だったと言われても、今目の前にいる彼女からは想像できない。その面影すらも感じない)
……八華姫。
祟神だった頃のキミは、誰の願いを叶えていたんだ?……記憶は、あるのか?
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神花・八華 9月8日16時…………、記憶は、ありますが……。
私がいたのは、右も左も分からない真っ暗な場所でした。
目に映るのは、|この子《和茶》達代々の神子が見てきた物のみ。
あの時感じていたのはその視覚と、我欲に満ちた穢れた願い――それと、「死にたくない」「もっと生きたかった」と望む、怨嗟の嘆きでした。
私は後者の願いを叶えようとしましたが、今思えばそれは無理な話だったのでしょう――あの子達は、私に願いを叶えさせる為捧げられた生贄だったのですから。
もっとも、それだけでは……いいえ、何でもありません。
(濃藤色の瞳を伏せると、小さく首を振って)
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八代・和茶 9月8日16時……???
(八華が言葉を濁した事に首を傾げながらも)
……八華姫が叶えてきたのは、八代家の権力者の願いですね。
八代家は山奥にある小さな村の一族ですが、ロケーション最悪なのにどの分家も必ず成功を収めているんですよ。
|私の家《藤の分家》には公家の方も参拝に来ますし、『八代』って苗字の議員は9割|兄さんの家《桐の分家》の人らしいですし。
……そんな醜い欲望で肥え太った一族なんですよ、うちって。
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ルイ・ミサ 9月19日09時右も左も分からない真っ暗な場所……?驚いた。神ともあろう者が、そんな窮屈で死にたくなるような場所に閉じ込められてしまうなんて。人の目が借りられるとしても、そんな場所は御免だな。(神の力は思ったよりも不自由なのか?やはり覚醒させるなら悪魔の力の方がいい……)
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ルイ・ミサ 9月19日09時生贄こそ祟り神になりそうなものだが。キミが叶えようとした願いは彼らの生存欲であった――にも関わらず、それは叶えられなかった。権力者の願いが優先されるとは、生贄というのは単に人が決めた儀式ではないようだな。
(少し考えるように目を逸らすと、店員がデザートや飲み物をクラシカルな銀のワゴンに乗せて運んできた。静かに置かれていく色鮮やかなデザート。重たい話を和ませるかのように、テーブルの上が華やかになった)
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