【1:1】三日月が夢見るは
記憶とは連続性の証明。過去とは自意識の養分。
自分という個を認識する為に人間に過去は必要なものだよ。
√能力者にとっても大事だよね。欠落から生まれる渇望とそれを埋めるためのAnkerへの執着も、記憶と過去って積み重ねが無ければ薄っぺらになりがちだからさ。そういう意味で、記憶を欠落した√能力者ってちょっと特別なんじゃないかなって私は思ってるんだぜ?
それに√能力者にも色々な種族がいるけど、人以外にとって記憶ってどういう扱いなのかな。物言わぬ植物は記憶を残すのか。感情が無いとされている虫や魚は過去を必要とするか。命のない石や鉄はどうだろう。神々は?
私はさ……もしも、欠けた三日月に心があれば。太陽ならざる人工の光で照らされてでも、無欠の満月に戻りたいと願うのかなって。偶にそんなことを思うんだよね。
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フォー・フルード(理由なき友好者・h01293)様との1:1RPスレッド。
フォー・フルード 4月19日11時(仮想人格は現在のフォーの記憶を読み込みつつあった。澪崎遼馬。警視庁異能捜査官所属。現在のフォーと交戦経験有り)
……質問に答えます。
機械群所属。任務は人類の抹殺です。
(そんなわざとらしい表面だけをなぞった回答をして目の前の警察官の表情を観察した)
(少し間を空けてハハハと無機質な機械音声の笑い声を響かせて。動作がそう、人間らしくなっていく)
ジョークです。部隊名は「Comp-Eq」。何の略称かは残念ながらわかりません。この人格再現は完璧ではないようで。
(続けて話そうとしてふむ、と)
再現された私はフォールドとでも呼んでください。現在のフォーの事をいう時はフォーと私も呼ぶので。
(今のフォー、過去のフォーなんて呼び方面倒でしょうと言いながら)
さて任務。それは勿論決まっています。|完全機械《・・・・》への到達。それ以外はありません。補足するならそれを目指す為に戦闘を繰り返す事でしょうか。
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澪崎・遼馬 4月19日23時「Comp-Eq」……と。協力的で大変嬉しい。こちらも労力は少ない方が助かるゆえ。
(試すようなわざとらしい答えにはさしたる反応もせずサラサラと調書にペンを走らせてゆく。)
その部隊でどういった|役割と仕事《ポジション》を担当していたのかも聞きたいところだな。
(様々な状況に対応するためそれに応じた換装を行ってはいたが、男からのフォー・フルードへのイメージは狙撃手だ。過去の彼についてもそこから大きく逸れることはないだろうと予想はしつつも、)
ああ、待て。当ててみせよう。ジョークの上手い君ならそうだな……さしずめ、|お笑い担当《コメディリリーフ》だったのではないか?
(意趣返しなのか、挑発なのか。どちらにも見えない無表情でそんなことを口にする)
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澪崎・遼馬 4月20日00時|フォールド《重なり》?随分瀟洒な呼び名だな。だが、状況に適した名称ではある。遠慮なくそう呼ばせて貰おう。
(実用的ながらどこかセンスのある言葉選び。思えばフォーも武装や道具にはどこか拘りのあるチョイスをしていたようにも感じる。記憶の有無に関わらずセンスは変わらないのかもしれないと、そこも調書に書き加えてゆく)
完全機械……その定義の仕方によっていくつもの派閥に分かれているらしいな。フォールド君がどの派閥に属していたかの記録は残っているだろうか。
(先ほどの人間らしい所作がこちらを試す為の“フリ”でなければ比較的人間に対して穏健派の派閥だった可能性もある。人間を完全に否定するような派閥であれば人間らしさなど排してしまうはず。人間を害したことがないのでは───そんな甘い期待をしているわけではないが、フォールドの危険度を測る物差しにはなるだろうと問いを投げた)
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フォー・フルード 4月20日22時(警察官の表情は変わらない。煽り、挑発は余り意味をなさない人物像なのもフォーの記録通りか)
惜しいと言わせて貰いましょう。
私自身は狙撃と潜入が主な役割でした。
ですが部隊そのものは確かにコメディリリーフと言ってもいい。
部隊設立当初の戦績は酷いものでして。人間の部隊に幾度撃破されたか。
どの派閥がという具体的な記録はありません。
ですがそもそも私達は特定派閥に所属する部隊ではありませんでした。それぞれの派閥の中である思想を持つもの達が共同研究の場として「Comp-Eq」という部隊の編成を決定。そしてその為に製造されたのが私達、部隊員でした。
共同研究者達が共通して持ってたのは人間という資源の消費速度への危惧。その様な意味では大量破壊を是とする派閥よりは人間よりと言えるかもしれませんね。
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澪崎・遼馬 4月22日00時おや、惜しかったか。だがそう自虐することはあるまい。共同研究……複数の派閥からなる実験部隊、というわけだ。その口ぶりだと、設立から時間を経るにつれて戦績は変わったのだろう。
(失敗から学ぶのは人類より機械のほうが余程上手いはずだ。データを積み上げ勝率を上げることに不思議はない。問題は人間を相手にどういった勝負をしていたかだ)
……具体的にどのような作戦を行っていた?人間寄りの穏健派らしく穏やかな内容なら当人も笑えるのだが。
(表現も話し方も変わらぬまま、声だけが一段重くなる)
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澪崎・遼馬 4月22日00時もう一つ。部隊を設立したのは人類の消費速度を危惧した連中だと言ったな。フォールド君はどう思っていたのだ?与えられた任務や仕事、君という個体にとって人間は君達に……否、君にとって有意義な資源足り得たか?君は人間をどう定義する?
(返答を復唱し噛み砕いてゆく中で浮かんだ疑問。フォー・フルードは仲間という言葉を口にした。その中には人外の者達も含まれているのだろうが、当然人間も含まれているはずだ。そう判断できる程度には価値を見いだしてくれたのだ。ならばそのフォーの過去たるフォールドはどうなのだろう)
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フォー・フルード 4月23日17時(目の前の男の表情は変わらない。それは尋問のテクニック、身につけた技術なのだろう。ならば声のトーンが変わるのも一つの技術なのだろうか)
ええ。大抵の武装での破壊経験はありますがその度に対策を提案。改善を目指して人間の言う作戦会議を部隊内で行いました。
ユニークだと感じていただければ良いのですが。
作戦内容は毎回研究者達が考案していました。内容は流動的。個人の暗殺から施設の破壊、待ち伏せをして部隊を破壊する事もあれば、事前情報無しに待ち伏せをされているエリアに送られる事もありました。
そして|資源《・・》を効率よく、そして使い切る事ができる様に、大量破壊兵器と呼称される物は使用禁止。
また装備は人類側が使っている物、あるいは使い得る物に限られました。
(人差し指をくるくると回す)
つまるところ、「Comp-Eq」は人類に対して拮抗する存在を作りイーブンの勝負を繰り返すことを目的として設立されたのです。
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フォー・フルード 4月23日17時(人間の定義。くるくると回す指を止めた)
|手本《・・》でしょうか。イーブンの存在を目指すとはいえ丁度良い戦闘能力を目指すのという事に研究者達は頭を悩ませたそうで。
なので最初からイーブンを目指すのではなく脆弱な、あえて初期戦闘能力を抑えた上で学習能力だけを備え付けた機体、つまり私たちですね。それを作り被破壊前提の任務を繰り返し徐々にイーブンに持っていく事にしました。
なので最初は拳銃を構えてただ敵へと突撃し、破壊されました。
その後改善案を考える訳です。忍び寄り奇襲する、遠距離からの射撃により行動不能にする。そんな新たなアプローチを思考する上で人類の戦闘技術は非常に優れていました。
ただ殺すだけなら機械群は人類の遥か上にいる。しかし人類の武器を使ってどの様に人類を殺すか。それはまさに人類が積み上げてきた芸術品の様なもの。とても良い参考でした。
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澪崎・遼馬 4月25日04時生かさず殺さず、獲り過ぎないよう配慮した漁のようなものか。敗北が前提の部隊では確かにコメディリリーフと自称したくなるのも分かる。
(人間が他の生き物にしてきたことの意趣返しをされている皮肉な構図。恐らくは設立に携わった研究者達にそうした意図がなかったであろうことも喜劇じみている)
だが、行為が面白いかは別の話だ。
フォー君は己の過去が他者を害する可能性を憂慮していた。ゆえに今更な質問ではあるが、問わねばなるまい。君は人を殺したことはあるか?
(インクを流していたペンが止まる。はぐらかしや黙秘は許さないと蒼い瞳が射抜くようにカメラアイを見据えた。空気が凍る)
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澪崎・遼馬 4月25日04時人類ほど人類を殺し、人類の生かし方を熟知している存在はいないだろう。確かに君が教本にするにはうってつけの相手だな。
(人間らしい振る舞いのせいか、己の存在意義に適した学習の過程と試行錯誤の一端を語る姿は嬉しげに見える。彼が学んだことは彼にとって有意義なものであり、価値のあるものだったと。そう伝わってくる)
だが、だからこそ思う。どうして|戦闘機械群《君達》は人間の悪いところばかり学んでしまうのだ。本当の芸術を知る前に、殺人技巧を芸術と評するのは些かナンセンスに過ぎるとも。
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フォー・フルード 4月27日00時(こちらを射抜く蒼眼。自分よりよっぽど死に近いものでは無いだろうか。そんな予測が走る。返答によってはこの体ごと破壊するのだろうか。……しかし一方でその質問は何とも──)
……その眼、私は死後の世界に興味はありませんでしたが死後の裁きとはこのようなものだろうかと思ってしまいます。
ええ。|殺しました《・・・・・》。手段は片手では数えきれません。数は更に多い。付け加えて被告として語るならば罪悪感というものはありません。それを行うことが製造理由でしたので。
そのような意味で言うと私としては自由意思を持ちながら人を殺す人間の思考の方に興味があります。
(緑のランプが本当の一瞬、赤みを帯びて緑に戻る)
もしよろしければ教えていただきたいのですが澪崎さん。貴方はどうでしょうか。貴方が人間と認めたものを殺した経験は?
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フォー・フルード 4月27日00時さて何故でしょうね。今の私は完全機械と言うものが何かすら分かっていません。何を目指して殺していたのかも分からず今は記録を語るだけです。
もし音楽を持って完全機械になるとでも指示が出されていればそちらを芸術的と言い表していたでしょうか、分かりませんね。
人が人を殺すからこそ、その技術を認める事に人間は抵抗がある。一方、第三者から見れば音楽も殺人技巧も等しく素晴らしい芸術の様に捉えられるのでは無いでしょうか。
しかし一方で確かにこの|世界《√汎神》では殺人技巧がナンセンスというのは納得があります。何せ人間災厄、世界を破滅させうる上でコントロールも怪しい存在が多くいるのですから。
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澪崎・遼馬 4月29日01時泰山府君を気取るつもりはないが……そうだな。フォー・フルードが当人の友人でなければ腰の拳銃に手を掛けていたところだ。
(人を撃つことに思い悩む銃が存在しないように、戦闘機械群が殺人に罪悪感を覚えることもないのだろう。冷静にそう理解している自分とは別の部分にある黒い感情)
(ランプの一瞬の変色は「真の人格」の兆しだろうか。だとすれば相対している男もまたランプが切り替りかねない心境にある)
……人が人を殺すのは人を守る為だ。自分や家族、友人の生命と尊厳、幸福を守る為に殺す。だが、当人は己の行いを正当化するつもりはない。───217名。√能力者に与えた仮初の死を含めれば346回。今日までにそれだけ殺した。
(静謐に事実のみを連ねてゆく冷たい声。心情の開示も弁明もない返答は、どのような罪も罰も背負う覚悟の証左だ)
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澪崎・遼馬 4月29日01時君達も難儀だな。目的地を目指していながら誰も正しい目的地を知らないとは。当人としては|音楽《それ》を選んでいてくれればどれほど良いかと思うがな。
少なくとも当人が知る限り、殺しの手管を芸術と称する人間は狂人しかいなかった。が、君の言にも一理あるか。
(人間にとっては特別でも美しくもないモノであったとしても。人が過酷な自然の営みに美を見出すように、機械もまた人の営みに美を見出すものなのかもしれない)
さてな、当人からすれば大差ない。殺人技巧も災厄がもたらす破滅も、スケールの差こそあれ理不尽に人を脅かすモノという点においては同じものだ。
それに人間災厄とて人間に過ぎない。フォールド君が積み上げた殺人技巧で殺せる相手───とは考えないのか?
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フォー・フルード 4月30日00時フォーの友好関係作成能力は自分より優秀な様ですね。
(事実としてそうなのだろう。フォーに存在する友好AIは人格を変えるものではない。あくまで行動に制限をかけ優先順位を変更したもの。それだけでこうなるのかと静かな驚きがあった)
そうですか。ならば私欲によって殺人を行う者は貴方にとって人ではないのですね。そしてその正当化を行わないなら、貴方はまるで自分のことを人間ではないと仰っている様にすら思えます。
(合計346回。偶発的には到達できない数。彼にとってそれは統計としての数字では無いのだろう)
付け加えると澪崎さんが喜ばないと言うことを知った上で言いましょう。貴方の戦闘技術は優れている。その技術とそしてその結果を良いものとして捉えられないのは残念です。
(……機体スペックの確認終了。逆光異聞体の解析を開始)
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フォー・フルード 4月30日00時我々の命題には未だ答えは出ていない。再現された私でもそれは少し残念です。……それが為されれば自分達のような存在がいた事にも意義あったと思えるというのに。
スケールの差は重要と捉えています。戦術と戦略の差は余りに大きい。人間に過ぎないと言うのは詭弁でしょう。災厄の人間、ではなく、人間の災厄。カテゴリは災厄側にあるのでは。
こちらが完全に認識されておらず暗殺という手段が順調に行けば一度は殺せるかもしれません。
しかし√能力者は結局のところ死なない。復活した後周辺の被害を顧みなくなれば自分には手の出し用は無いかと。
研究者たちはあまり√汎神には興味がありませんでした。新物質にはある程度興味があった様ですが人類社会を崩壊させる要素があまりに多過ぎる。ウォーゾーンに持ち込むにはコントロールが厳しいと判断したのでしょう。
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澪崎・遼馬 5月1日20時欲望とて本質的には己の幸福を守りたいという欲求だろう。……より正確に言えば当人はどれほど正しく同情の余地がある理由があろうと殺人という行為を肯定しない。肯定すれば当人は警官ではいられなくなってしまう。死に物狂いで修めた技量を他ならぬ君に褒められるのは嬉しいが……やはり誇る気にはならんな。
その上で当人が人間か否かと問われれば───どうだろうな。今は当人自身にもわからないのだ。
(もしも今の君に対怪異用のセンサー類やプログラムがあれば。目の前の男は人であり神であり魔でもある。そんな分析結果が得られるかもしれない)
逆に問うが、君はどうだ?フォー・フルードに戻ることを望むか、それとも叶うならフォールド君のまま在り続けることを望むか、或いは成れるのなら完全機械に成ることを望むか?
(在り方を問う言葉。止まっていたペン先がトントンと紙面を叩く。視線は射抜くようなモノから試すようなモノへと移り変わる)
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澪崎・遼馬 5月1日21時的確な分析だ。確かに戦うとなれば通常の人間とは異なる想定をしなければならない。だが当人から見るとな、彼らは良く笑い良く泣く、人間にしか見えないのだ。災厄は友人にはできないが……人間災厄は友人にできる。
(誰かしらの顔を思い浮かべたのか、柔らかな鳥の羽を思わせる慈しむような声で語る。張り詰めていた空気が僅かに弛緩して)
謙虚さはフルード君とフォールド君の共通点のようだな。当人としては、一度とはいえ災厄を殺せる君のほうが災厄より余程恐ろしい。
|こちら《√汎神》の技術や力は制御が難しいものが多いゆえな。兵器として扱うのは難しいだろう。君から見ても人間災厄や新物質は美しさに欠けるか?
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フォー・フルード 5月1日23時警官と云う役割の為ですか。ならばそれは仕方ありません。殺人の否定が役割へと繋がるのなら尊重されるべきです。
(澪崎遼馬。フォーの記録では人間と観測していた男。今の再現状態ではフォーの思考はあやふやな記憶でしかない。それはやはり今の主導がフォールドにあるからだろうが……フォーはこの目の前の存在の観測を怠ったのだろうか。会話と同時思考的に行なっている目の前の存在の殺害の予測が立たない。実力差とは恐らく違う、存在が確定しない事により永遠に計測が終わらないのだ。|殺せるだろうか《・・・・・・・》、自分に)
今か過去か完全機械か。それには明確に答えましょう、フォールドとして。
記憶を失う少し前、初めて私は自分自身で任務を定めました。そしてそれに失敗した。その結果、人格を消され現在のフォーとなったのでしょう。
であればフォールドはもう|死んだ《・・・》と、そう定義します。ですので全てフォーに任せます。
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フォー・フルード 5月1日23時(友人。甘い想定だと感じる一方で、彼の柔らかな表情。それは出会った経験があるのだろう、友人と言える存在になった災厄に)
褒め言葉として受け取っておきましょう。あなたの方がよほど災厄を殺せるとしても。
兵器として扱えなくても有用なものは幾らでも存在します。ですので両者とも悪く考えた事はありません。ですがあの|世界《√汎神》を覆う悲観思想と終末思想は好ましくありませんでした。行き着く先に終末があったとしてもただ前を向き自ら歩むべきだと思うのは、そう私の驕りなのでしょう。殺しておきながら生き物のその様なところが私は好きです。
(逆光異聞体概念の一部を把握。友好AIにアクセス。一時的に……一瞬でもいい、行動制限の停止を指示)
……ところで泰山府君を気取るつもりはないと無いと言っていましたね。ほんの少しの間だけ気取っていただく事は可能でしょうか。
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澪崎・遼馬 5月2日23時……そうか。君は自身を死者だと認識するか。素直に言えば、その答えは当人にとって好ましい。
(潔く己を死していると認める姿は蘇りを否定死神から見れば好ましいものだ。なればこそ、その最期を知りたいと思う。フォー・フルードの頼みだから、というだけでなく死神として知らねばならない)
造られた理由に従ってきた君が、己で決めた任務というものには興味がある。もしも記録が残っているのなら───聞かせてもらえるだろうか、その最後の任務はどのようなもので、君はどう感じたのか。
(調書を翻し机に伏せる。記憶を有しているにせよ、いないにせよここからは公的記録として残すことはできない。死者の想いは個人に継がれるものだ。知るべきなのは彼から全てを任されたフォー・フルードだけなのだ)
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澪崎・遼馬 5月2日23時生き物は進んでこそ、か?
いつか終わるものであるからこそ、生きる限り走らねばならない。他者から見れば傲慢な考えなのだろうが、当人も同じように思う。
(これまでの問答を踏まえても、殺人についての考え以外の部分では共感できる部分があった。本来であれば簒奪者とEDENとして対峙していたのかもしれない。それがフォー・フルードと友人として接することができている。この|if《もしも》に今更ながら深く感謝した)
ふむ、そうだな。フォールド君と話すのはこれで最後かもしれない。頼みの一つくらいは聞こう。君が欲するのは懺悔か?それとも裁きか?
(先に彼自身が言っていたように、彼にとって今は非常にあやふやな、死後の夢のような心地なのかもしれない。であれば死神の紛い物には適した状況だろう。分不相応な役を演じるのも悪くはない)
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フォー・フルード 5月3日17時(死後と言える時間に、本質はどうあれ人の形をしたものに思考を好ましいと言われるとは。おかしな話だ)
「Comp-Eq」隊員の|全機破壊《・・・・》私はそれを任務として自己決定し、実行しようとしました。
今の私は……なぜそれをしようとしたのかは分かりません。死者は生前の感情を覚えていてはいけないのかも知れませんね。
部隊の半数以上を破壊。その後、部隊の精鋭に囲まれ攻撃を受け、後は分かりません。私が知る最後の状況はそれです。
部隊の任務成功率は上がっていった。人間を資材とし成長すると言う点では成功していた。
しかし完全機械へ到達する見込みは無いと判断されつつあったのは覚えています。そして近々部隊は凍結、隊員の廃棄も予定に入っていました。
それでも我々は受け入れていた。後続が我々を見てそれは失敗だったと分かればそれだけでいいと。
なのでやはり何故私がそれをしたのか、この私には分かりません。……以上になります。
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フォー・フルード 5月3日17時走り続けるべきだ。その点だけでも理解し合えた事は嬉しく思います。
後悔なき懺悔には意味は無いかと。そして断罪を受ける時は過ぎ去りました。望みは別の物です。
とても奇妙な事を言いますが。
この今の人格、フォールドはどうも……あるタイミングと地続きの様な感覚があります。恐らくですが、本来この逆光異聞は成功しなかった。
だが一度、何の因果か過去の人格が出てくるタイミングがあった。そのタイミングを経由した結果成立しているのでしょう。
初めてフォーがこの|世界《√汎神》に着いた時のアクシデント。名前も知らぬ神に撫でられた事により発生したフォーとあなたの戦闘。フォーは気づかなかったのでしょう。あの戦闘中、過去人格が引きずり出された事に。
生に未練は無い、これは事実です。ですが縁が、死んだ後に出来たのならそれは別。
何より──負けっぱなしは気に食わない。
あなたが死を、今だけでもいい、司ると言うなら──
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フォー・フルード 5月3日17時(パキパキと何かが音を立てる。フォーが着ている服が、手が、脚が、溶けていく。全身が融解している様になり、ついに全身が黒い塊になる。
──頭部から、赤い光。
それが灯ると椅子から立ち上がり、腕と言える部分を振ると、黒いタールが全て振るい落とされた。
現れるのは黒い、異形とも取れる体躯の一体の機体)
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フォー・フルード 5月3日17時リベンジマッチを。言い訳がましいのは百も承知ですがあの時は全力では戦えなかった。
消える前にもう一度、自分の技巧がどの様な存在にまで通用するのか試したいのです。
お願い出来るでしょうか。
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澪崎・遼馬 5月3日22時自身が所属する部隊の壊滅……それが君自身が己に命じた最期の任務。半数を破壊したとなれば半分は遂行したと言えるが、フォールド君は納得していないのだろう。そこにどれだけの熱量があったのか……知る術が無いのは惜しいな。
(自分達に見切りをつけた連中ではなく、何もせずとも廃棄される部隊との戦い。それも単なる壊滅ではなく全機破壊という徹底ぶり。何が彼を駆り立てたのか。推し測るのは難しい。否、推し測ろうとすること自体が無粋なのだろう)
感謝する、フォールド君。当人が知りたいことを知ることができた。君が最期に何を想ったか。それがいつか分かる日を当人は祈っていよう。
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澪崎・遼馬 5月3日22時そうか。印象が近しいと思ったが、やはりあの時もフォールド君だったのだな。ならばここに当人が居るのも必然か。君達とは余程、縁が有るらしい。
(記憶が戻っていないことを考慮すれば厳密には異なるのだろう。だが、厳密などというものはこの際関係がない。この瞬間はフォールドにとって本来在り得ざるモノ。二度とはない、最期の機会。それだけが重要なのだ)
それにしても……随分と人間のような願いだな。負けっぱなしは気に食わない、か。
(恐らくは己の存在を賭けた願い。応じるなら全力で相手をしなければならない。だが、人間災厄に指定された今の男が政府の承認を得ずに全力を出せばどうなるか。この戦いにそこまでのリスクを負うメリットは無い。そして√能力者である両者で殺し合う意味も無い。総じてこの戦いに乗る利点は皆無だ。不意を突きその鋼の頭部に、今すぐ弾丸を撃ち込んでしまえば良い。フォー・フルードとの約束はそれできちんと守れる)
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澪崎・遼馬 5月3日22時(けれど、再戦を望む言葉。そこにはあのとき感じた熱があった。或いは、その渇望は彼の最期にも通ずるのかもしれない。……ならば返すべき答は決まっていた)
───引き受けた。
(背負ってみせよう。フォーとフォールド両名の願いを)
第一第二第三拘束解除。廃神体接続、神罰破却。権能代行権限起動───ベツレヘムの星骸よ、此処に。
(席を立ち、腰から拳銃を抜き払う。男の背に鎮座していた黒い棺のベルトが弾けるように解け、蓋がひとりでに開く。現れるのはゆっくりと廻天する黒い円)
さて……|挑戦者《チャレンジャー》はそちらだ。好きなようにかかってくると良い。
(告げる姿は冥府の神のように悠然と。それでいて紅蒼の瞳は眼前の機体を捉えて離さない。彼自身がそう言っていたように、災厄さえ殺せるほどの技巧を有しているのだ。丸腰だからといって油断できるほど甘い相手ではない。異形の黒い機体はそれだけの脅威だと認識している)
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フォー・フルード 5月3日23時(人間らしい。皮肉というべきか当然というべきか)
……伝え忘れていましたが「Comp-Eq」の部隊は人間に合わせた武器を使った。それは|人格《・・》も同じです。我々の部隊に所属した隊員の共通事項はただ一つ。搭載された人格は√を問わず人間に制作されたAIである事。機械群は人間から簒奪したAIを兵士に調整し使用したのです、私も含めて。
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フォー・フルード 5月3日23時(引き受けた。微かな驚き。まさか受けてくれるとは。フォローは全てフォーに任せよう)
ありがとうございます。挑戦者側なのはいつもの事ですが……。
本当に…この様な機会が与えられるとは。
(急所は何処だ。何が有効打になりうる。何処をどう刺せばいい撃ち抜けばいい。思考が熱を持つ。自分の機能を最大限に使い続ける事の何という充足感)
|増設《Expansion》。
(背中に腕が2本増築される。神すら名乗り得る相手だ。腕がいくらあってもいい)
|動作再現《Emulate》。
(さて、何ならこの相手に致命傷を与え得る?単純だ。相手と同じものを使えばいい)
まずは、こちらを。
(武器がフォールドの手の中に現れる。基本となる両腕には機械群用の刀を2本。そして増設腕には目の前の相手が使う|二つの銃《・・・・》を。そして、跳ねた。後ろに跳びながらコピーした彼岸と此岸をあなたの胴体に向けて撃ち出した)
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澪崎・遼馬 5月5日09時君に与えられた任務の性質上、人の思考をトレースした結果だと推測していたが……そうか。根本的に君達は人の子だったのだな。
(明かされた事実に対する驚きと納得。人間が作る電子生命体やAIは「どこまで人間に近づけるか」を無意識に望まれていることも多い。√を問わず集められたのなら、「Comp-Eq」の隊員達はは人間の部隊と同じようにそれぞれの個性があったのだろう)
それが効率的なのか非効率的なのかは判断しかねるが。当人の行いもそう的外れではなかったようで安心したとも。
(人には人への、銃には銃への向き合い方というものがある。ともすれば鋼の君との向き合い方を間違えているのではないかとそう憂慮したこともあった。結局のところはフォー・フルードが己をどう定義しているかだが───彼を人間らしいと思ったことは間違いではなかった)
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澪崎・遼馬 5月5日09時そうこなくてはな。
(増設された腕と作り出された刀、そして模倣された双銃。丸腰であっても油断ならない敵は一気にその脅威度を増した。)
確かに、その銃なら当人を仕留めるのに不足はないだろう。だが───。
(寸分の狂いなく胴体に迫ってくる弾丸を同じ黒白の銃による弾丸で迎え撃つ。激突した双方の弾はその衝撃であらぬ方向に飛んでゆく)
これを誰よりも使ってきたのは当人だ。正面からの撃ち合いでは君に勝ち目はない、と言っておこう。
(続けて放たれる銃弾。先に放たれたものと違い、速度と質量を増している。|黒い影《重力》を纏った2発の弾丸は|弾道を曲げながら《・・・・・・・・》模倣された双銃へと走る)
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フォー・フルード 5月5日12時人に使われている期間は短いものでしたが、人が居なければフォーもフォールドも存在しなかった。人の子という表現は適しているのでしょう。
(それが最終的に|親殺し《殺人》に繋がったとしても、生まれたことには意味があったのか。考えた事はない。過去は今の思考材料でしか無い)
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フォー・フルード 5月5日12時(曲芸じみた捌き方。そして曲がる弾丸。恐らく後者は見た事が有る、が精度がより高い)
……!
(こちらが跳んでいる最中に模倣品を正確に撃ち抜く…やはり良い技能だ)
(破壊された模倣品を床に投げ捨て──)
|重複《Duplicate》。
(瞬間、もう一度銃が増設腕に現れる。そして跳ねた先には壁。爬虫類の足にも似た脚部は壁に吸い付き、フォールドは壁に|立つ《・・》)
ご安心を。撃ち合いに勝つ気はありません。あなたが避けるにしろ捌くにしろ、銃弾を喰らわない様にするかが知りたかった。
(銃弾で相殺するのはデモンストレーションで喰らってもダメージは無いという可能性。つまりブラフという可能性はある。だが、最初から狭い勝ち筋。起点としては悪く無い)
(膝関節を深く曲げ、跳ねた。模倣銃を撃ち続ける。無論当てるつもりだがこれが致命傷になるとは考えない。銃撃の対処で動きの制限を狙い、跳ねた勢いのまま両の腕の刀で切り掛かる)
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澪崎・遼馬 5月7日01時……だろうな。ゆえに破壊を狙ったわけだが、再構築も可能ときたか。厄介だな……!
(壁からの跳躍。凡そ人間ではあり得ない動きだが、日々怪異を相手取ってきた男に驚きはない。問題は既に行動の二択を迫られていることだ。銃弾に気を取られれば迫る刃への対応が疎かになる。しかし、あの双銃は澪崎遼馬の命に届く数少ない武器であり、刀を防ぐなら数発の被弾は避けられない。何方にしても重傷を負うのは必至)
また見事に誘導するものだ。これは、甘んじて受けねばならんな。
(選んだの弾丸の迎撃。肩から袈裟に深々と。身体に刃が食い込みながらも凍る表情は変わらず。だが、血飛沫が噴き上がるのは左肩からのみ。フォールドが左腕で握っていた刀は男の身体へ届く前に不可思議な力によって“左腕ごとひしゃげて”いた)
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澪崎・遼馬 5月7日01時これ以上跳ばれると厄介ゆえ、ここに縛らせてもらおう。
(君の全身に負荷がかかる。それは地に縛りつけんとする力。神の領域たる宇宙でさえ作用する重力そのもの。左腕と刀を歪めたのも今機体に負荷をかけているのも、男の背に浮かぶ黒い天体から発せられるこの重力に他ならない)
さて、冥府の神であればここで判決とするが。|異議《次の手》はあるかフォールド君?
(刀による負傷を気にすることなく、握った2挺を祈るように重ね合わせる。君へ必殺の一撃が訪れようとしていた)
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フォー・フルード 5月7日14時(このまま刀を振り抜く。腕を切り飛ばし次は頭、いや臓器を。刀を肉に沈みこませながら思考を続ける。次手の思考が止まったのは機能停止の信号が来るよりも先に左腕がひしゃげたのを目が捉えた時だ)
これ、は…。
(右腕の刀を地面に突き刺し無理矢理姿勢を留めようと全身に指示を出す。それでも重力により脚は曲がり、身体が跪く様な姿勢へと強制される)
(黒い、星?フォーが読んだ本にあったか。皆既日食を元にした神性が、いると。いや、ベツヘレム…星)
さ、て。賢者を、旅に導いた星も、骸になれば重力を産むものでしかない、と。
異議、は。
(√能力を好ましく思っていなかった。万能に近い力。そんな物は殺人には過ぎた代物。技術を学ぶ事という目標からもそれる。しかし、今でこそ思う。やはりこれも技術の一つであり使い方というものが、あると)
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フォー・フルード 5月7日14時(……行われているのは戦闘。目の前の存在は敵であり、行動は黒い天体により縛られている。|敵《・》が|自分《・・》を縛るのならその縛るものは|武器《・・》であると、捉えられる、いや捉えろ)
動作再現、開始。対象、黒き天体。
(あの二丁の銃の再現負荷も通常の火器の比ではなかったが、これは、耐えうるのか?…違う。それでしか殺せないのならやる以外の選択肢は無い)
(劣化も劣化、それでも同じ性質のもの。複製した黒い天体をもって縛り付ける重力を相殺させる)
(2丁拳銃との並列はあまりに、思考が、止まる。この状況で、扱えるのは完璧に使いこなせるものしか、ない)
(右腕は刀を手放した。相殺しきれない重力は破損覚悟の脚部出力で無理矢理突破、背後へと跳ねる。増設腕にやらせる事は変わらない。致命傷になり得る拳銃での牽制。そして右手には狙撃銃が現れた。片手で構えたそれは即座にあなたの頭部へと構えられ、弾を、撃ち込んだ)
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澪崎・遼馬 5月9日01時(星骸を模倣された以上、牽制の弾丸を重力で完璧に墜とすことは難しいだろう。防ごうにも両手は祈りで塞がっている)
ARMA CHRISTI起動。
(呟くような声。両者の間へ割り入るように現れる4つの黒い棺、四天響棺が模倣された彼岸と此岸の弾丸を防いでゆく。これだけの盾があれば、牽制だけでなく続く本命も防ぎ切るのは容易だろう。そう───敵が卓越した殺人技巧とそれを扱うだけの人間性を持つマシンでなければ)
良い異議だった、そうこなくては。ゆえにこそ、私は汝に告げよう……!!
(狙撃銃。フォー・フルードとフォールドの代名詞といえばそれだろう。それなくして君の全霊とは言えず、それに勝たずして勝利とは言えない。当然、相対するには決死の覚悟が必要だ。君が狙撃銃を構築したのと同時に魔銃が完成し、昏い光が銃口に収束する)
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澪崎・遼馬 5月9日01時───|二度とない《ネバーモア》。
(研鑽に裏打ちされた計算による狙撃は思考の臨界であっても寸分の狂いなく。防御の為構えられた4つの棺の隙間を縫い、吸い込まれるように男の頭へ。全てを無に帰す魔弾もまた魔銃から放たれ、昏い光を曳いて鋼の頭部へと疾駆する。2つの銃弾が交差し、そして───)
(衝撃と閃光、熱。次いで激痛。束の間ホワイトアウトする意識)
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澪崎・遼馬 5月9日01時……………っ、見事だ。
(どろり、と。熱い血が左頬を流れていくのがわかる。出血は止めどなく、先に浴びた刀傷を含めれば立っていることさえ奇跡的。神を装った姿も意地することができず元の姿へと戻っている)
ベツレヘムの星骸による減衰がなければ、当人は死んでいただろう。
(模倣による2つ目の黒い天体の相殺によって不完全な稼働であったものの、星骸が生む重力によって左目を撃った弾丸は貫通せずに停止したのだ。あと僅かにでも弾頭が進んでいれば、脳漿を散らし声も無く倒れていたはずだ)
(黒白の双銃に依らない銃撃で男を殺せるのか、疑問に思う者もいるかもしれないが。真に信念ある一撃は神に届き得る。|自然の摂理《神》を殺せるのは人の子をおいて他にないのだから)
君は、どうだ?
(言葉と共に、残った右目で君の姿を確認しようとする)
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フォー・フルード 5月9日22時(狙撃銃の引き金を押し込む瞬間、他の機能は全て停止した。この1発を完璧な位置へ撃ち込む、それだけに全リソースが捧げられる。棺桶型の遠隔武装が現れる予測、完了。2丁拳銃の特殊形態の発生、予測、完了。
──|当たる《・・・》。それは確定している。だが殺せるかと言う問いの予測は終わらない)
(回避行動は意味が無い、あの統合された銃を避けたとして次が無い。ならばひとつしか選択肢はない)
(そして弾丸は放たれ、目の前の敵の眼孔へ。撃つ事を選んだ時点で相手から撃たれた弾を認識する様な余裕は無く、ネバーモアの魔弾はフォールドの頭部へと)
(一瞬の風切り音、次にけたたましいノイズ。そして)
(魔弾は電脳を貫いた。撃ち抜かれた反動によりそのままフォールドの身体は床を転がる)
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フォー・フルード 5月9日22時(思考が続いているのはインビジブル化という特殊な状態によるもの。澪崎遼馬という存在が放った1発は確実に、明確に、命を終わらせた。だから、ここからは本当のロスタイムなのだろう。倒れたままの状態でフォールドは声を発した)
どうだ…どうだ、ですか。
…敗北ですね。本当に、締まらない。次…次があれば、今度、は。
……ああ、|二度とない《ネバーモア》。皮肉…いえ相応の末路、ですね。
過去を…私は振り返る事をしなかった。過去はあくまで現在の、判断材料でしかない。だからこそ、この末路。再試行が許されない、敗北。これを…これを……抱えて消えるのが罰というわけ、ですか。
…………申し訳、無いのですが、最初に使った、USB…を手に、握り込ませて、いただけない、でしょうか。関節、一つ、動かないもので。
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澪崎・遼馬 5月11日00時本来殺し合いに二度目はない。その敗北感はずっと昔に、君が支払わねばならなかったものだ。罰を望むなら抱えて逝け。
だが───フォー・フルードからの|再戦《リベンジ》ならいつでも受けて立とう。
(或いは、何かの拍子に再び過去の記録が呼び起こされることがあるかもしれない。だが、澪崎遼馬にとってのフォールドはここで終わる。フォー・フルードという続きが存在することが、消えゆく彼にとって救いになるか否かはわからない。だが少なくとも男にとっては喜ばしいことだった)
……承知した。
(戦いの余波で倒れた机、その周辺に転がっているUSBメモリを拾い上げる。メモリの状態が気がかりではあったが、目立った損傷はない。メモリも部屋と同じく頑強な素材で出来ていたらしい。やや覚束ない足どりで君へ近寄り、その手にメモリを握らせる。まるで、死者への手向けのように)
これでお別れだ、フォールド君。
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フォー・フルード 5月12日21時……罪はついぞ、理解、できませんでしたが…それでも何も無いより、罰だけでも、抱えているだけマシ、というやつです。
意味も分からず、動作を繰り返すのは、得意な物で。
(ただでさえひどい音声装置のノイズがいよいよ聞き取れない物へとなっていく)
…………さ…よ……ら。わた…の死を……に…したにんげ…。
(握りしめられたUSB。それに対して融合能力を使った最後の書き込みを行う。フォールドが使った事がある装備の情報。新物質を回収する際などに使われた特殊外装や、構築した戦術。交戦データのログ。それはフォーへのある種のエールであり、迷惑をかけたこの施設へのせめてもの返礼だった。そして最後に伝言程度のテキストファイル。それを書き込み終え──)
…………。
(インビジブル化が解け、フォーの姿は元へと戻る。……この先もインビジブル化をすればこの過去の装備の状態になることは有るのだろうが人格の再現は行われないだろう。)
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澪崎・遼馬 5月14日01時……やはり、寂しいものだな。
(フォールドと過ごした時間は僅かだと言って良い。彼が善良と呼べる存在ではないことも、人を殺めた殺戮マシンであることも承知している。それでも、看取った後に去来するのは空虚さ一つ。今回の実験における目的は全て遂げられたがこの空洞だけは埋まらない)
(扉の向こうからは硬い足音が聞こえてくる。間もなく事後処理を行う連中が雪崩込んでくるはずだ。この後を考えると億劫ではある)
───だが、答えは出た。
(フォー・フルードが再び立ち上がるまでどれほどかかるのかは分からないが、機能の停止は一時的なものだろう。握られたUSBメモリを再び見やる。フォーが己の過去を知ろうとしたのは友人達の未来の為だった。過去そのものといえるフォールドは、しかし回帰も残留も望まず未来へ託すことを選んだ)
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澪崎・遼馬 5月14日01時夢見ることはあるのだろう、だがそれは所詮夢だ。行く先が終末であっても、前を向き自ら歩むべきだと彼は言ったのだから。
(三日月は満月へ回帰することを望まず。未来へ進み続けることを選んだ。例え、その結末が輝かぬ新月であったとしても)
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フォー・フルード 5月15日23時(奇妙に意識が揺蕩う中、漫然とした思考だけが生きていた。全てでは無いにしろ空白の一部分が消えてそこに風が通っている様な、おかしな清涼感。この後は流石に多少の勾留……いや、それで済むだろうか。交渉の余地は……。まぁ、良いだろう。久しぶりに頭の中が静まり返っている、それを享受する時間なのだ今は。
月、月か。姿が見えない日はあってもそこにあるもの。潮の満ち引きは月によって引き起こされる。輝いていなくとも引力は他に影響を及ぼす。
留まる水は澱む。月はそうならない様に海を動かすのだ。姿は見えなくとも、月はそこにある。だから、それで良いのだ──)
(硬い足跡が扉を開こうとしているのが見えた。それを申し訳なく思う気持ちと、どこか他人事で眺めて……フォーの意識は一度途切れることになる。この後に事後処理の問題は発生するのだが、主題では無い)
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フォー・フルード 5月15日23時USBはもちろん一度カミガリに没収される事になる。名前も知らない捜査官がUSB内のデータを閲覧していた。
……装備や戦術データ等のファイルがスクロールで流される中、一つのテキストファイルのところで止まる。遺書と名付けられたそれ。
「あえて情報は残しません。|あなた《フォー》と|私《フォールド》は分岐した存在。ですが心残りを託すとしたらやはりあなたしかいない。
あなたに依頼します。もし部隊の仲間に会った時、あなたはそれが彼らとは分からないでしょうが、倒せそうなら倒しておいてください。
それをしたい理由は分かりませんが、残った仕事があるのはよろしくない。ですので因果が回る時があれば私の代わりにお願いします。それでは。
PS:後、リベンジも。
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