夜の悉に徒花愛づる

🎐夏季限定企画:風鈴便り

逢生・蒼士 6月25日09時

 夕暮れ時。
 祭りの帰り道でもなく、観光地でもない。いつもの帰り道を歩いていたはずなのに。

 ――ちりん。

 あまりにも不釣り合いな場所に、その屋台はあった。
 木製の荷車にも似た、小さな店。艶の落ちた飴色の木材は長い年月を感じさせるのに、不思議と傷みは見当たらない。
 屋根からは無数の風鈴が吊るされていた。

 硝子。
 陶器。
 真鍮。

 形も色も様々なそれらは、夕暮れの光を受けて淡く輝いている。
 風が吹く。

 ちりん。
 りぃん。
 ころころ。

 幾つもの音色が重なり合いながらも、不思議と耳障りではない。
 それはまるで、誰かの囁き声のようだった。

 屋台の奥には、ひとりの店主が腰掛けていた。深く被った編笠が顔を隠している。
 肩には褪せた藍染の羽織。袖口や裾は幾度も繕われた跡があり、長く使い込まれていることが窺えた。着流しに草履という出で立ちは、まるで時代劇から抜け出してきたかのようだ。
 それなのに、その姿は妙に風景へ溶け込んで見えた。

 店主が僅かに顔を上げる。けれど、編笠で表情はやはり見えない。
 ただ。風が吹いた瞬間だけ、口元が笑ったような気がした。

「いらっしゃい」

 硝子の触れ合うような声が響く。
「ちょうど良かった。あなたを待っていたんですよ」
 そう言って差し出された風鈴は、不思議と目を離せなかった。
 揺れる短冊は、まだ真っ白だ。――店主は言う。
「伝えたい言葉があるのなら、その短冊に」
 短冊へ綴られた言葉は、風鈴の音に乗って誰かのもとへ届くという。
 ――それが遠く離れた誰かであっても。もう二度と会えない誰かであっても。

 伝えたかった言葉。
 届かなかった想い。
 もう会えない誰かへの願い。

 夏に現れる風鈴売りは、そんな声を運んでくれるのだとか。

 ――ただし、その返事が届くかどうかは、風だけが知っている。

 🎐𓂃𓈒𓂂

 夏の夕暮れに現れた風鈴売りの屋台を訪れ、風に想いを託してみませんか?

■詳細
企画名:風鈴便り
合言葉:リクエスト文の冒頭に【🎐】
人数:2名まで
★:お好きな文字数(余剰分は調整・返却対応の場合あり)
√世界:指定なし(各√に対応)

■いれていただきたい情報
《必須》
・風鈴に綴る言葉
 例:伝えたい言葉、感謝、謝罪、告白など一言でも可
・届けたい相手
 恋人、友人、家族、師弟、片想いの相手、故人など
・届けた相手からの返事
 例:返事あり(内容指定可)/返事なし、など自由に設定可
・あればNG事項

《任意》
・状況
 その言葉に至った背景や関係性
・ノベルの雰囲気
 しっとり、切ない、ほのぼの、など

余った文字数は、PC様の心情や関係性描写など、たくさん書いていただけると嬉しいです。

■アイテム提案について(任意)
風鈴にまつわるアイテムの提案を希望される場合は、その旨をご記載ください。
その際、ノベル本編に加えてアイテム設定の描写も行います。
※アイテム提案ありの場合、希望文字数の★に★0.5分を追加してください。

✒️MSページ
https://tw8.t-walker.jp/scenario/master/show?master_id=msh0051105
逢生・蒼士 6月25日09時
【受付期間】
秋祭りノベル終了までを予定しています。
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