冥婚
「あら先輩。丁度良いところに」
|杖を突いた少女《星詠みのメイヴ》はあなたを見るなり、嬉しそうに早足で歩み寄る。
長話を覚悟で足を止めて待ってくれれば、大袈裟に涙ぐむ仕草をして見せて「頼み事がありまして……」と直近で見た|ゾディアック・サイン《気味の悪い未来予知》を語り出す。
その|√《世界》は妖怪百鬼夜行。
緑豊かな田園風景が広がる片田舎の集落で“神様が死んだ”。
……というのも、遥か昔から大雨が降ると近くの川が氾濫して水害が起こり易い土地であったが、未来を見通す瞳を持って産まれた娘を天界へ送り祀って以降、ぴたりとそれが無くなったという。
しかし近年、呪いや祟りの類を疑ってしまう程に被害が増えてきた。
何十年も昔のことだ、力を使い果たしてお役目を終えられたのだと集落の者達は考え、未婚のまま神として恵みを齎し続けてくれた彼女を憐れみ、仮初の婚姻を……ということらしい。
さて正直、人の手で山の自然が破壊され始めているからでは、とか、未婚のままは可哀想なんてお節介でしかないと感じつつも、仮初の婚姻ならば何も問題は無さそう──と思いきや事件は起こってしまう。
その人物は余程気に入られてしまったのか、彼女の遺した簪と共に一晩を過ごした山中の古いお社から、忽然と姿を消して戻って来なかった。
「……と言う訳で、先輩に身代わりをお願いしたいんです」
本来選ばれた人物は将来を約束したお相手が集落の外に居るにも関わらず、年頃の若者が他に居なかった為、仕方無く役を引き受けた。それを周囲も知っているから、興味を示して代役を申し出れば余所者でも難無く身代わりとなれるだろう。
とても煌びやかとは言えない質素な式を終えて、簪と夜を共に過ごす時。抗えぬ眠気に襲われたあなたは、神と、或いは神々の戯れであなたと縁ある死者と対峙する。
紫陽花の咲くこの世ならざる場所で共に語らい、現世の未来を生きる為に何らかの誓いを立てれば戻って来られるだろうが……揺らいでしまえば攫われ、永久に囚われてしまう。
「先輩ならきっと大丈夫だと信じています。お願い出来ませんか?」
祈る手でじーっと見つめるメイヴに、あなたは──。
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●マスターより
お世話になっております、四葩です。
ジューンブライド。死者、或いは神様との冥婚ノベル企画になります。
睡魔に襲われ目覚めてから死者か神様とひと時を過ごし、現世の未来を生きる為に何らかの誓いをして終了。といった形になります。
おひとりさま用のノベルになりますが、亡くなっているAnker様とのご依頼であれば複数人でも大丈夫です。
その場合、お誘い合わせの方が分かるようにお名前様とIDやグループ名の明記にご協力頂ければ幸いです。
お一人様★1.5~で、リクエスト冒頭に【冥婚】という記載をお願い致します。
お届け後『 #冥婚 』とタグを付けさせて頂く予定です。
出来るだけご再送のお手間をおかけしないよう努力を致しますが、どうしてもの場合はその旨をマスターの自己紹介文とXにてお知らせ致します。
リクエストの際のお願い事は上記のみです。ただお喋りをするでも、式を挙げるでも、不穏な雰囲気でも優しい雰囲気でも大丈夫です。
ご縁を頂けましたら、宜しくお願い致します。