宵牙楼

【闲话休题:01】

黑・宵刃 8月16日23時


√仙術サイバー、Ⅳ層。香港行政自治区に該当するこの地域は、夜に関わらず喧騒が犇めいて、相変わらず蒸し暑い。
夏用の衣服を手に入れた黑家の末妹といえば、影をゆらりと渡り歩いて、時折|このような《呪われた》血筋の人間にも持て成す酔狂な店主らに、羽振りよく金を振りまいて、人間とは思えないほどの量の飯を買う。
袋をたくさん、十指に引っかけるだけかけてみたら、背の高いビルの屋上でじっくり貪る。空はこんなに近いのに、どうやら星空は人工的であれ見えない。
――長閑な居を恋しく思いながら、一先ず、体に蓄えるための栄養を口にしていた。

・【誰でも歓迎】1:1中~長文RP
雰囲気で〆のご連絡をさせていただきます。
・当キャラクターは少々、設定が特殊です。
・道案内をするか、誰かに絡まれているところを助太刀するか、――共にご飯を食べるのもOKです。便利な案内人だと思ってください。
・一週間ほど返信が空いた場合、こちらからご連絡のお手紙をお送りさせていただきます。
・お気軽に、ゆっくりと、雰囲気をお楽しみください。
黑・宵刃 8月18日15時
(風は、あなたの香りを運んだだろう。)
(大きな耳はあなたの足音を聞いていた。大体の重さ、歩くリズムから歩幅、身長を推測できるうえ、足取りの重心で性別もおおよそ判別がつく。――まず、あなたがこの場に来るまでで、『余所者』であることは理解した。)
(|黑家の末妹《きらわれもの》に話し掛けるには、あなたはあまりに、|人が良さそう《・・・・・・》だったからだ。) 
(額のゴーグルを、貌に宿した。この|貌《・》は人を狂わせるのだ。あなたに耐性があるかどうかは判別がつかない。――怪物は、|花嫁《生贄》によく言い聞かせられていることを守る。)

|嗨~《こんばんは》、……どうされました?
(あなたの|言語《・・》を聞き取って、怪物は模倣することで共通語を使うことにした。ほとんど丸呑みした栗らの袋を丸めながら、あなたに振り返る。長い尾は左右に揺れた。)
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リオル・プラーテ 8月19日22時
(青年は一介の魔術師。だがそれ以前に、ある|世界《√》に生きる人間だ)
(何かを付けるような仕草を見て、それがゴーグルだったと気づく)

(……魔術を使った様子は無い。なら、何故?)
(素性を隠すため、そのゴーグルで力を抑えるため──それか、見られたら困る"何か"があるのか)
(……とはいえ、会ってすぐ詮索するほど不躾な真似はしない。
こちらの言葉を聞き取り、同じ言葉で返してきたのだ。……今はそれだけで十分だろう)
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リオル・プラーテ 8月19日22時
(安心したように胸を撫で下ろしてから、少し困ったような表情をして)

あぁ、助かります。……実は、僕の飼っている鳥が逃げてしまいまして。
赤い、小さな小鳥なのですが、見かけませんでしたか?
……いえ、見ていなくとも構いません。何か心当たりがあれば、それだけでも。
(勿論、必死に探すような仕草は|ふり《演技》だが。野放しにしておくには少々面倒な性質がある以上、早めに見つける必要がある)
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黑・宵刃 8月19日23時
赤い、小鳥が?
(胸を撫でおろすあなたは、どうやら嘘をついているわけではないらしい。生きている人間ならば、皆不可逆に発するものだ。|犬の鼻《・・・》は確かだった。)
(言葉を反芻しながら、――光が乱反射する世界を、怪物は紅い瞳で見遣る。)

ここまで|にぎやか《・・・・》ですと、その色は紛れてしまうやもしれませんね。
申し訳ない。あまり目が利く|性質《たち》ではないのです。
(あなたより、ゆうに高い背丈が、ゆったりと、大きな歩幅で近づいてくる。それはまるで、影が伸びるように。)
(ゴーグル越しに、あなたを紅い瞳が見下ろす。)

――ですが、お手伝いさせていただく方法はございますよ。何か、その|小鳥《・・》の香りがするものはお持ちでありませんか。
(親しみのあるあなたを疑っていない。愛想のいい貌が、あなたに微笑みかけた。)
(まるで、――|犬《・》のように。)
 
|鼻《・》ならばよく利くので。
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リオル・プラーテ 8月21日01時
いえ、仕方がないですよ。まだ手のひらサイズなので、目が良かったとしても……この喧騒の中で見つかるかどうか、でしょうし。
(笑みを返し、改めてあなたという人物を認識する)
(単純な身長差だけでも威圧感があるのだが……生憎、その程度で揺らぐほど生易しい|精神《メンタル》をしていない。――まぁ、今の僕はあくまで人当たりの良い青年だ)
(近づかれたことによる身長差に、ほんの少し驚く|ふり《・・》を混ぜて、半歩遅れて手持ちのものを探す。……取り出したのは、赤い羽根)
(羽先が黄色に染まっているものを、あなたに差し出してみるだろう)

えっと、こちらで大丈夫でしょうか? あ、でも、あまり嗅ぎすぎない方が良いかも……
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リオル・プラーテ 8月21日01時
(心配するそぶりを見せながらも、内心はほぼ確信している)
(きっと、犬の特徴を有しているのだろう。視覚はあまり利かず、嗅覚には自信がある……恐らく、聴覚も強いはず)

(羽根には、陽光の香りと、甘い香りを感じるだろう。その甘さは、小鳥に含まれる|魔力《魅了》によるもの)
(下手に隠す必要はないため、あらかじめ注意を促しておいたが、あなたの嗅覚がどこまで作用するやら……)
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黑・宵刃 8月21日10時
(身じろぐあなたは、|驚き《・・》らしい動きをしたが、怪物が嗅ぎなれた恐怖の匂いを漂わせてはいない。)
(侮蔑、嘲笑、殺意、嫌悪、――妖魔人間である限り、そして、黑家の末妹となると殊更不吉とされているから、慣れ親しんだ匂いだった。しかし、やはりあなたからはどれも漂わない。匂いは気体であり、あなたが熱を持って生きている限り発せられるものだ。)

(ただ。誰もが|あなたのように《・・・・・・・》あるべきだと、怪物は思っている。)

(この世は、少々――怪物からすれば、無防備すぎるのだ。)
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黑・宵刃 8月21日10時
ええ、問題ありません。
(差し出された羽を、爪先が受け取る。自分の鼻先にちらつかせて、少し集中する。)
(甘い香りには親しみがある。この怪物もよく扱うものだ。何度か嗅いでから、次は空気に集中した。漂う数多の匂いを嗅ぎ分けて、甘い香りだけに集中すれば、まるで足跡のように、怪物には痕跡が見えるのである。)

|哟 《おや》、……存外遠くには行っていないようです。
(小さな羽を、くるくると回しながら美しさを愉しんでいた。)

ご案内しましょうか、|遊客《観光客さん》。
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リオル・プラーテ 8月22日10時
(問題ない、とあなたが羽根の香りに集中する様子を見て、瞬時に思考を巡らせる)
(あの羽根には、多少なりとも|魔力《魅了》が付着している。臆せず匂いを嗅いだこと、楽しんでいる様子といい、元から精神的な耐性が高いのか、それとも)
(──そもそも|あなた自身《・・・・・》に、精神に影響する何かしらの力がある、とか)

(だとするなら、最初にゴーグルを付けていたのも納得がいく)
(──目を隠せば、その人がどういう|表情《かお》をしているか、容易には思い出せなくなる。自分が所属していたある組織でも、その印象を利用して、皆、仮面を着用するようにしていたのだから)

(もっとも、僕は|ピユ《赤い小鳥》の駄々洩れの魔力に備え、常時|精神的な結界《空間魔術》を張っている……が、強度は最低限だ)
(もし、最初にあなたの赤い目を見ていたのなら……なんて、まぁ、今は関係ないか)
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リオル・プラーテ 8月22日10時
(……そこまで思考を巡らせていた時。あなたの言葉に引っ掛かった)


(──“|遊客《観光客さん》”?)
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リオル・プラーテ 8月22日10時
あぁ、大丈夫そうで良かったです……え、もう居場所が見つかったのですか?
あ、その、ある程度の場所を教えていただくだけでも、ありがたいのですが……そうですね。
(喜んだり、苦笑したり。一通り表現してから)


──どうして、僕を"観光客"と思いました?
(|にこやかに《演技を続け》、あえて尋ねてみることにした)
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黑・宵刃 8月22日12時
(たとえ、あなたが――完璧に、|普通話《標準語》でなく、|広東語《香港訛り》を演じて見せても。)
(怪物の、あなたの問いに対する答えは変わらなかっただろう。)

(きっとこれほど魅了の香りを纏わせているのだから、そこかしこで|茶餐廳《地元の飲食店》の主たちが、きっと気になって、捕り網を持ち出すころだろうか。怪物は、あなたにまだ羽を返すつもりはないらしい。)
(代わりに、あなたに告げる。)

|地元《・・》の人間であれば、|私など《・・・》に声はかけません。
――|黑家《・・》の末妹。とびきり濃く妖魔の血を継ぐ、悍ましい家の者ですから。
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黑・宵刃 8月22日13時
(そう、疎まれることを誇りに思っている。)
(怪物は、己の血筋を畏怖されることを悦んでいた。偉大である証だからだ。祖である妖魔の血を濃く遺すために、近親での交配と多産を繰り返した|気高き《狂気の》一族に声をかけるのは、決まって――上の階から落ちぶれたものか、下の階から昇ったものの、限界を感じたものか、何も知らない|余所者《・・・》だけだ。)

すすんで声をかけてくるのは……|廢柴《負け犬》くらいなものですが、あなたは違うでしょう?

(怪物の伸びた影から、蠢く紅い瞳がいくつもあなたを見る。演技を看破したいのではない――あなたが演ずるのならば、怪物は、その舞台を視ているのだ。)
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リオル・プラーテ 8月23日15時
(あなたの回答を聞き、|演出《紅い瞳》を見る)

(どうやら、声をかける瞬間から……僕は|狩られる側《・・・・・》だったらしい。怪物の前に迷い込んだ小さな鼠、それが──人当たりの良い青年である|僕《演者》)
(──だから? 舞台から降りてしまえば、興ざめだろう? 最後まで演じ切り、|あいつ《ピユ》をさっさと回収すれば良い。そうだろう?)

(あいつには、事前にはぐれたときにするべき行動を伝えている。まだ、大きな騒ぎにはならないはずだ)
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リオル・プラーテ 8月23日15時
……なるほど。それなら、観光客と思われても、仕方がありませんね。
この街のことや、あなたのことも良く知らずにいましたし。
(まぁ、この|世界《√》について全く何も知らないわけではないが。資料で知ることと、実際にそこで生活し、得る情報には、どうしても隔たりが生まれるのだから)

ふふ。まぁ、僕は迷子を探していただけだったのですが……随分と思いがけない出会いになりましたね?
(|あなた《・・・》が視つづけるのであれば、僕もそれに応えよう)
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黑・宵刃 8月24日10時
(あなたの思惑を知る由はない。しかし、あなたが|役者《・・》であるなら、行儀よく観賞するのがマナーである。怪物は社会性という知識を得て、あなたを穏やかに愉しむことにした。)
(――武強社会のはずだ。しかし、それ一辺倒ではつまらない。)

ご安心を。誰彼構わず喧嘩を売るほど、名声も、地位にも興味がありません。
|この点では《・・・・・》、あなたも私も、幸運だったのかもしれませんね。 
(怪物は、あなたに愛想よく笑んだままだ。あなたを見ていたいくつもの瞳も、怪物が笑むと同時に瞳を閉じた。 )
(ぎらぎらと輝く夜景には百万ドルの価値があると――どこかの√では謳われる。)
(悍ましき混沌たる|魔都《九龍城砦》から、富の象徴たる高層ビルが発するサイケデリックな光の明滅まで。あなたを|ただの《・・・》青年に落とし込むには相応しい装置が揃っているのだ。)  
|歡迎《ようこそ》、√仙術サイバー、Ⅳ層の香港へ!
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黑・宵刃 8月24日10時
黑・宵刃と申します。
あなたの小鳥の居場所まで、歩き方をご案内しても?

(小鳥の羽を、弧を描く口元で少し撫ぜるように覆い、紅いゴーグルの向こうで妖艶に笑う。)

……お代は、こちらの羽だとありがたいのですが。
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リオル・プラーテ 8月24日20時
えぇ、確かに仰る通りです。
(と、にこやかに返してから)

(──あなたの名を聞いて、一瞬、名乗るべきか否か迷う)
(昔からの癖のようなものだ。だが、ここで名乗らないのは、かえって不自然すぎるだろう)

僕は……リオル。リオル・プラーテです。それと、小鳥の名は|ピユ《πῦρ》と言います。
その羽根で構わないのでしたら、もちろん、差し上げましょう。
(|魔力《魅了》を纏い、触れれば今も仄かな温かさを感じる程度のもの。成長すれば何か変わるかもしれないが……ともあれ、|それ《羽根》だけで済むなら安いものだ)

案内はぜひ、お願いしたいところですね。
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黑・宵刃 8月24日22時
リオルさん。そして小鳥はピユさん。承知しました。
(怪物があなたに名乗るのを躊躇わなかったのは、あなたが観光客であることに起因しているし、――同時に、この名は知られすぎている。何せ、|一度見たら《・・・・・》忘れられない貌なのだ。もし、あなたを余所者だと察せていなければ、この貌があなたの脳裏に付きまとっていたかもしれない。勿論、そのような事故がないよう、|花嫁《生贄》によって教育されていた。)
(あなたの香りから、嘘がないことを鼻で嗅ぎ取る。)

|嘻嘻《ふふ》、助かります。一度|執着《・・》してしまうと、中々手放せない性質でして。ああ、それにしても良い羽だ。
(分離不安。)
(一度与えられた玩具であれ、何であれ、簡単に手放すことができないのだ。あなたに手荒な真似をしないで済むのなら、怪物としてもこれ以上のことはない――社会という群れの秩序を重んじる故に、もめ事は避けたい。)
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黑・宵刃 8月24日22時
では、……|跳ぶ《・・》ほうが早いのですが、跳べますか?
(あなたの願いに応ずる。怪物は、ちらりと下界を見た。)
(ここは、――誰とも知らぬ成り上がりが築きあげた高層ビルの屋上だ。空飛ぶ高級車を見下ろし、繁華街の明かりも小さく見える。即ち、跳ぶということは、この高さから|落ちる《・・・》のだ。)

もし難しければ、抱えましょう。
ご安心ください。こう見えて力は強いのです。
(何の恐れもなく、怪物はそう宣う。あなたが|どちらで《・・・・》演じても、何の問題はない。)
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リオル・プラーテ 8月25日01時
……そんなに気に入っていただけるのなら、何よりですよ。
(執着心が異様に強そうだ。……羽根だったからよかったものの、もし、案内を終えた対価に|本人《ピユ》と言われたなら?)

(──ピユ自身の意思を尊重するだけだ、と結論付けてから)
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リオル・プラーテ 8月25日01時
(──なるほど。|そう《・・》くるか)

(今演じているのは、いかにも一般人らしい、観光客の青年。普通なら、高層ビルの屋上から落下するというだけで青ざめ、足がすくみ、助けを願うしかないだろう)
(だが、|僕《・》なら、高所からの落下など造作もない。|自分の魔術《時空魔術》を使えば良いのだから。とはいえ……問題は別にある)

(得意の時空魔術は強力だ。強力だが、一度種が割れると、対処しやすくなる|弱点《・・》がいくつかある)
(できれば人前で使いたくはない。ましてや、今目の前にいる相手は|あなた《・・・》だ)

(ほんの一瞬だけ、強い|躊躇い《・・・》を見せる。だが、すぐに元の表情へと|戻って《演じて》)
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リオル・プラーテ 8月25日01時
……改めて見ると、随分高いですね。
ご心配、ありがとうございます。……なんとか、大丈夫かと。
(そう告げてから、人差し指を口元に当て)

──|άνεμος《風よ》 、|εγώ《僕を》 |αγκαλιάσε《包め》
(そう詠唱すれば……青年の周りに、風が起こる)
(これは四大元素の一つ、“風”を使った基本の魔術。不慣れな分、集中力がいるが……少なくとも、高所から降りる程度なら問題ないだろう)

……それでは、行きましょう。
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黑・宵刃 8月25日22時
(あなたを試すのは、そのほうが怪物にとって|面白そうだ《・・・・・》と判断したからだ。従順にあなたの演目に乗ってしまってもよかった。同じ舞台に立って踊っても問題なかっただろう。しかし、それは、|忘れられない《・・・・・・》一日になるだろうか?)
(享楽的なものが好ましい。怪物は、あなたを観察している。)
(あなたの強く躊躇うそぶりを見てから、――手札を決めたらしい次の表情とでは、随分差が激しく思う。あなたから特段恐怖は感じないが、怪物への警戒は、僅かながら風に乗って嗅ぎ取れた。しかし、その邪魔はしない。)
(――|なんとか《・・・・》大丈夫だと言ったのに。)
(あなたの風は、聞きなれない言語と共に巻き起こる。)哈哈哈!魔術の類ですか。悪くない精度だ。(きっと、この怪物の称賛も風に乗ってあなたに届いただろうか。)

――よろしい、では行きましょう!
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黑・宵刃 8月25日22時
(あなたが大事な魔術を隠して正解だった。この怪物の得意は『模倣』である。【千变万化】と名付けた能力が、あなたの前で封切られた。大きなコウモリのような翼を生やして、あなたの風に乗るようにして体を浮かせ、グライダーのように鋭く空を切って滑るように落ちていく。)
(ネオンのレーザー光を大きな影が遮り、地上の人間たちは少し見上げただろう。しかし、それも一瞬だ。次に起きるのは、速度を伴った風である。怪物が、大きく翼で羽ばたいたのだ!)
(あなたならば追いつくだろうが、追い風があったほうが『少し魔術が扱える青年』には良いだろう。怪物は、あなたの演目が続いてほしいのだ。出来れば、――話が終わるまで。)

(身軽な長躯が、少し翼でホバリングをさせてから、ごみごみとした繁華街の豪奢なレストランの看板に、足音もさせずに立つ。それから、すん、と鼻を鳴らした。)
(あなたが追い付くのを、待っている。)
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リオル・プラーテ 8月26日12時
(あなたが素早く落下する間、自分も屋上から足を踏み出していたのだが……不意に強まった追い風に、僅かに眉を顰める)

(──余計なことを)

(元より、他者にすべて委ねることを好まない。たとえそれが、善意からのものであろうと)
(……ただ、使えるものは使わせてもらう)

(指先を振り切り、ヒュゥッ、と軽い口笛を奏でる。その音を魔力に乗せ、強まった風の流れをコントロールする技術)
(見よう見まねのため|本職《友人》には劣るが……あなたの一歩後ろへ、そう時間を置かずに辿り着くだろう)

っと、お待たせしました。
(繁華街だろうか。その眩しさに目を細める)
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リオル・プラーテ 8月26日12時
(そうして、周囲へ視線を向けている時)

『ぴ、ぴぃぃ……リオル、リオル、どこぉ……? 人、集まってきたなぁ……ぴぃ……』
(と、ごくか細い鳴き声があなたの耳に届くかもしれない)
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黑・宵刃 8月26日21時
お早い到着。さすがですね、リオルさん。
(直ぐにたどり着くあなたの足音には振り返らない。代わりに、大きな犬の耳だけがあなたに向いた。)
(少しは心配する素振りを見せるべきかと思ったが、それよりも――ヒトの集まる流れと、か細い鳴き声に集中している。)

|良《よ》いですか。
私が今から、人を散らします。あなたはその間に、ピユさんを迎えに行くと良い。
(ゴーグルの向こう、紅の瞳はまるで狂気を孕んでいるように弧を描く。)

――|怪物《わたし》の貌を見てはなりませんよ。リオルさんという少し不幸な青年は、珍しい色の鳥を連れて私から逃げおおせる。
(蝙蝠に似せた翼を仕舞う。あなたには、背中に跡形もなく吸われたように見えただろうか。)
そうすれば、このあたりをまた旅行するときに、あなたは労われることでしょう。
黑家の末妹から、逃げることがかなった幸運な者、としてね。
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黑・宵刃 8月26日21時
(言い終われば、貌を覆っていたゴーグルを外した。『人々は、この貌から逃げる』。)

|汪汪《Wāng wāng》!

(犬のように吠え、人々の中に『降り立った』。まるで気配のなかった黒い影が、人間たちの中で吠え立てる。あなたは、きっとこの光景を異様に思うかもしれない。)
(誰もが、この黒い女から目を逸らした。まるで痛みを伴ったかのように、顔を押さえた者もいる。母親は子供の顔を隠し、店主たちは顔を腕で覆うか、首を垂れて蹲った。まるで、どうやってもこの怪物の存在を認めないような恐れ方は――。)

|喂喂各位《おやおやみなさん》! 随分楽しそうではありませんか!
何を見ているのです? 何を探しているのですか!?

(吠え声のような声量に、苦しそうに耳を塞ぐ誰かも居た。しかし、怪物は気にしない。)
(代わりに、人差し指が――物陰を示す。)

|あちら《・・・》に、何か面白いものが?
良いでしょう!捕えてさしあげますよ!
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リオル・プラーテ 8月27日01時
(いえ、それほどでもありませんよ、と首を横に振ってから、あなたの提案を聞き、頷く)
ふむ、人払いを任せられるのは助かります。
分かりました。僕はピユを捕まえますね。
(と、そう答えた直後だった。あなたがゴーグルを外し、人々の中へと降りていったのは……)

(元より、あなたは“普通ではない”と思っていた。影から蠢く紅い瞳が覗いていたことも、コウモリの翼が背中に出入りしていたことも)

(……けれど)
(周囲の人々があなたに向ける、存在の否定ともいえるような反応に、既視感と……非常に強い苛立ちを覚えていた)
(自分の理解を超える存在を前にすれば、どいつもこいつも“|見て見ぬふり《・・・・・・》”……まったく、反吐が出る)
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リオル・プラーテ 8月27日01時
(そうして魔術を解いた青年は、あなたの脇を通り過ぎ、人々の合間へ足を踏み入れようとするだろう)
(ピユを迎えに行けば、それで全てが丸く収まる──その、つもりだった)

『ぴっ!? リオル、リオルなの!? ぴぃぃぃぃ!! 僕寂しかったよぉぉぉぉぉ!!』
(煤汚れた換気扇の上からひょっこり現れた小さな赤い小鳥──ピユは、うるうると涙目を浮かべながら、何故か|あなた《・・・》に猛突進していくだろう)
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黑・宵刃 8月27日07時
(|黑家《・・》に名を連ねるうえで、誰もに恐れられるというのは即ち、――|祖《・》への究極の奉公である。)
(己の存在を誰もが拒否するということは、誰もが|認めざるを得ない《・・・・・・・・》ということだ。この怪物の力を、この怪物の有様を。この怪物の様相を、この怪物の|貌《・》を――狂気を!)
(恐怖は|信仰《おそれ》である。振りまくのは災いだ! 幾ら金を積まれても証拠になれど力には及ばぬ。怪物は誰もが貌を伏せるこの瞬間に、一番己の価値を感じ、優越感を得た。)

(あなたが怪物の脇を通り過ぎる。小鳥が換気扇から現れるのを見遣る。総て筋書き通りだ、と怪物も油断した。)
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黑・宵刃 8月27日07時
哎呀。
(――これはこれで、|おもしろい《・・・・・》。)
(あなたは怪物の悪癖を覚えているだろうか。この怪物は執念深い。一度手に入れてしまったら、遊び飽きてしまうまで離せないのだ。たとえ擦り切れ、羽を毟りつくし、啼くことが出来なくなっても、怪物が満足するまで。)

(そして、怪物とあなたの簡易的な|契約《・・》はここまでだ。羽一枚で、約束したのは『案内』である。確かに一度も、怪物はあなたに『身柄の約束』はしていない!)

(猛突進してくる小鳥を、まるでボールを受け止めるかのように、片手を掲げて受け止めるかたちで、腕を伸ばした。)

如何します?|演員《役者》さん。
(声は、あなたの耳に届いただろうか。)
(|台本にないトラブル《アドリブ》に、あなたはどこまで食らいつけるのか。怪物は、――あなたを視ている。手中に、小鳥が収まってしまうのか、それともあなたが)
(|隠し技《とっておき》の封を、切るのか。)
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リオル・プラーテ 8月27日19時
(すぐ気づき、声を掛けられたら良かったが……あまりに自然と向かっていたことから、理解することに数秒要してしまった)

──は? あのバカ……!
(そう、あの羽根一枚の対価は"ピユのいる場所へ案内すること"。|本人の身柄《・・・・・》は約束されていないことくらい、ハナから気付いていた)
(……そしてあなたの手に渡れば、執着心の強いあなたのことだ。容易に手放すことも無いだろう、とも)

(咄嗟に振り返れば、小鳥はあなたの手に収まろうとしている。今から声をかけたとしても間に合わない!)
(迷うよりも、悩むよりも先に……衣服に隠された、青年の左腕の紋様が青白く、そして黒く煌めく)
(あなたの耳には、サァァァ……と砂が流れるような|音《・》を感じたかもしれない)


(──|_στάσις《時よ止まれ》!)


(……カチッ、と音がする所までは、聞こえただろうか)
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リオル・プラーテ 8月27日19時
(概念に干渉するには、青年の場合、|魔力《精神力》だけではなく集中力と、的確な処理能力を要する。そして、時間の流れに逆らう分だけ、逆らい続ける|魔力《精神力》が必要だ)
(そして、時を止めながら|自分《空間》の座標を移動させることで、結果、"瞬間移動"という術が成立する)

(安定して、時を止めながら動ける時間は、今の実力でおよそ五秒程度)
(止まった人々は、青年にとってもただの障害物だ。その合間を悠長に縫っていては、限られた時間をすぐに使い切ってしまう)


──|_ταχύτητα《時の流れよ》。

(自分のみの時の速度を変える魔術も、自らに行使する。そして、人々の間を風を切るように走り抜けていき……)
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リオル・プラーテ 8月27日19時
(──青年の中の五秒が、経過する)

(青年はあなたの視界から消え──次の瞬間には目の前に現れている)
『ぴゅぅ!?』
(そしてピユという小さな存在は、あなたの手に収まる寸前──その間へと滑り込んだ青年の手の平に収まるだろう)

……。
(警戒するように細められる金の瞳は、普段から人の表情を見つめていた。もちろん、あなたの忠告も聞いていたのだが……|咄嗟の出来事《アドリブ》を前に、あなたを見る。|見てしまう《・・・・・》)
(無効票)
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黑・宵刃 8月27日20時
(――耳にホワイトノイズのようなものが奔った。)
(怪物が不快から、眉間にしわを寄せる。それから、何かしらの『針』が音を立てたような気がして)

(鳥が、己の目の前から消えている。)

(その事実には安堵した。この手に渡ってしまえば、いよいよあなたと友好的では在るのは難しい。あなたの術の正体を看破するのに、そう時間はかからない。これと似た術を、|長兄《・・》が使う。尤も、彼はあなたともう少し違った仕組みの仙術のようだったが。)
(しかし、――あなたは不運にも。)

|視てはならない《・・・・・・・》と申し上げたのに。
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黑・宵刃 8月27日20時
(|人間が認識できる《・・・・・・・・》範囲の貌が、この怪物がかの家の、|无貌《Wúmà》たる証拠だった。)
(あまりに美しい貌は呪いの象徴である。あなたが視界に入れてしまったのは、総ての耐性のない人間を狂わせ、惑わせ、『どうしても手に入れたい』という加虐心を煽り、恐怖と狂気を駆りたたせる、一目見れば忘れられない災いの貌だ!)
(あなたに怪物から残せる感想は、――それだけだった。) 

(あなたが、この|貌《・》に耐性があれば、良いのだが。)
(無効票)
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リオル・プラーテ 8月28日12時
(他人は、いつ裏切るか分からない。信用ならないから常に警戒する。故に、表情や言葉、仕草から、何を考えているのか汲み取りながら日々生きてきたのだ)
(慣れない土地に、魔力の消耗……腕を伸ばしていたあなたにピユが触れず、ホッとしたのが大きいか)
(ともあれ……油断してしまい、見るなと言われていたあなたの|貌《・》を認識する)

(──綺麗だ)

(昔、どこかで満天の星空を見上げた時のように……何かを求めるでもなく、ただそこにあるものを美しいと感じる。そういう感覚は知っていた)
(……だが、それだけではない)

な……
(欠け落ちていた|何か《・・》を感じる。自分でも分からない|何か《・・》が違和感となってこみ上げる。その違和感の正体が分からず、あなたをじっと見つめて)

──っ!
(手に包み込んでいた小鳥がもぞもぞと動いたことでハッと我に返る。……ようやく、視線を小鳥に向けることが出来た)
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リオル・プラーテ 8月28日12時
……見惚れてしまうほどの美しさをお持ちのようで。
すみません、つい、お顔を拝見してしまいました。
(嘘は言っていないはずだ。妙な感覚を覚えながらも|苦笑いを浮かべ《演技を戻し》、小鳥を見やる)

『わーい、リオルー……っ!? 〜〜!』
(出てきた小鳥は、青年の肩に乗るや否や頬ずり……する前に、その嘴を青年の指先に摘まれた)
(小鳥は全力で抗議している)
(無効票)
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黑・宵刃 8月28日13時
(これは、|花嫁《・・》に叱られてしまいそうだ。)
(怪物は貌に出さなかったものの、気を落とした。慢心が招いたものである。あなたは――きっと、|EDEN《味方》だろうとは、扱う魔力の強さやその規模で推測できている。)
(まあ、愛しい女に言わなければ、知られることではないか、とそれでもどこか、小癪な考えを持っていたが。)
(怪物を見つめたあなたが、小鳥でようやく意識を戻したらしい。苦笑いする様を微笑みながら眺め、)

――それは|呪い《狂気》だ。
(小鳥の嘴を指先でつまむあなたに、そう、声をかけた。)
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黑・宵刃 8月28日13時
私では解呪できない。リオルさん、可哀想なかた。
(今夜のことは忘れなさい、とも言えなくなってしまった。怪物の|貌《・》が黒く塗られる。紅い瞳が、ゆらりと眼光を連れた。)
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黑・宵刃 8月28日13時
|お逃げなさい《・・・・・・》。どこまでも。
――その小鳥を、離さないように。
(無効票)
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リオル・プラーテ 8月29日00時
(気配が変わった。小鳥はあなたを見て、驚き、終ぞ失神してしまう。そんな様子にため息を零して、再度手のひらに収めてから)
(|あなた《・・・》を、もう一度見る)

……。逃げろ、ですか。
(ふ、と|笑顔が消える《演技をやめる》。金の瞳は真っ直ぐ見据えたまま、真正面に向き直って)

あなたは、『|怪物《わたし》の貌を見てはなりませんよ』と言って警告しました。ですが……実際に|見る選択をしたのは僕《・・・・・・・・・・》だ。
あなたが僕に危害を加えようとして、起こした訳じゃないはずです。

それに、可哀想? ははっ、僕が選んだ結果でしょう。
……勝手に決めないでください。

(それに、|呪い《狂気》と言ったか。その言葉の意味は、まだ理解出来ていない)
(何が起きたのかも、自分の中に生じた違和感が何なのかも、よく分かっていないのだ)


(だから──)
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リオル・プラーテ 8月29日00時
──|_δημιουργώ《空間創造》。
(左腕の紋様が青白く光る。創造するのは、手のひらサイズの半透明の黒い小箱。容易に壊れないように、ゴムのような弾力性を十分組み込んで)

これは、僕の持つ小箱と通信できる、通信機です。触れれば音声か思念で会話出来ますし……ある程度は、壊れにくいようにはしてあります。
今は……大人しく退きましょう。
(創造した小箱を、あなたに差し出してみる。受け取るも受け取らないも、自由だ)


ですが──幕引きには、物足りないと思いませんか?
(無効票)
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黑・宵刃 8月29日00時
(あなたが|また《・・》こちらを見る様に、怪物は少し目を眇めた。)
(――強まるだけだ。そんなことをしても、この|貌《呪い》から、耐性が無いならば逃れられない。)
(魅了というものは多岐にわたる。「どうしても手に入れたい」という感情は、執着であり、嗜虐なのだ。支配である。決めつけである。曖昧になる境界が、加害性を伴う。)
(だから『視るな』と警告した、のに。)

では、言い換えましょう。
|愚かな人《・・・・》だ。
(人々がこの貌を恐れる理由を、まだ実感できないのだから。)
(怪物は、どこか同情めいた声で、そして諦めと共にあなたに告げる。それでもまだ、この怪物との関りを|役を捨てた《・・・・・》あなたが、行うのだから。)
(それを、――呪われているという以外に何といえばいいのだろうか。)

(差し出された黒い小箱を受け取ろうと、手を伸ばす。)

これを対価とします。あなたがたを、今宵見逃すための、ね。
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黑・宵刃 8月29日01時
(そして、あなたの問いに。)

……まだ何か、|出し物《・・・》が?
(怪物は、少しばかりの期待を含ませた。)
(無効票)
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リオル・プラーテ 8月29日12時
(愚か、まぁ、そうかもしれない。呪いの正体が分からないまま、真正面からあなたと対峙したのだから)
(……とはいえ、改めて|道化《愚か者》らしく演じる必要はないだろう)

幕引きに必要なのは、ただ|出し物《・・・》だけではありませんよ。
(見逃される対価として、あの小箱を受け取られた。なら、あとやることは一つ)
(あなたに背を向けるようにして)

……さようなら、宵刃。
(|別れの挨拶《・・・・・》を)
(。)
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黑・宵刃 8月29日17時
(小箱を片手で弄ぶように、指先が転がす。)
(背を向けるあなたを追わない。分離不安の執着は、この小箱に向かったからだ。怪物が、あなたの背を見ないで、箱に視線をやった。)

さようなら、リオルさん。
――どうか、息災で。 

(あなたの耳に、届いたかはわからない。)
(怪物が闇夜に姿を失せるころには、あなたの姿もなければ、小鳥の気配もなかった。皆がざわつきはじめて、誰かが誰かの頬を張る。お前があの犬などに怖気づくから、鳥を逃がしたのだ!と。)
(それを聞いて、また誰かは誰かの頬を殴る。お前が、お前が、お前が――)

(その場にいない二人と、一羽のことを忘れて、人々の動きは元通り。)

(役者たちが去った舞台には、丸められた栗の紙袋だけが転がっていた。)
(。)
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黑・宵刃 8月29日17時
(〆)
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