CHILLED.

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森本・依鹿 9月6日10時

 √汎神解剖機関――で、山の下見をしている。
秋から冬にかけては、私も山に籠らないといけない。都心に住んでいては雪を降らせて交通網を麻痺させてしまうし、かといって国籍がないからパスポートも作れないせいで、諸外国にも飛ばせないんだ。
機関も扱いに苦慮しただろうな、と思って、私から提案した習慣。
 元から雪山だったら、慣れたものだから。
 雨が降っているけれど、特に問題ない。ぬかるむ地面をしっかり踏みしめて、獣の気配がするのを爪痕や足跡で確認した。
少し体調がいい――イライラしづらい。|角《・》をレンくんに折られて、ウェンディゴは勢いをなくしたようだった。寒さも、うんとマシだ。

 川のせせらぎを頼って、上流へ登っていくところだった。

◆【誰でも歓迎】
1:1 長文RP(中~低速)
始めましてでも、既知のかたでも。
雰囲気で〆 お手紙お送りします。
◆山中を散策中。
道案内でも、一緒に山行しても、救助でもOKです。死体を埋めていても、……。

◆一週間ほど返信が空いた場合、こちらから安否確認のご連絡をさせていただきます。
◆お気軽に、ご無理なく。
。
水藍・徨 9月6日12時
(……あれ、ここ、どこだろう?)
(いつの間にか、見知らぬ場所に行き着いてしまったらしい。……雨が降っているから、フードを被り直して)
(なにかの目印になるようにと、|精霊燈火《プネーマフォス》の淡い橙色の光を灯しておく)

誰かいると、いいけど……
(辺りをきょろきょろ、として、近くを歩いてみることにする。……少し、両腕をさすった)
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森本・依鹿 9月6日13時
――、?
(足音が、私のもの以外で存在する……。)(獣?)(いや、それにしてはおぼつかないか。)
(ケガをした鹿かもしれない、とか色々思いながら、服の下で携帯してる斧を手にした。手負いの獣は何であれ凶暴だ。)(恐怖はない。もちろん。)(ただ、これは癖みたいなものだよ。)

(オレンジ色の光が見えて、「あ」と思った。炎みたいなそれは、救難信号に近い。)
(私は目が良い。良すぎるくらいだ。)(明かりに照らされる、輪郭の薄い影を見た。)

――おーい!
そこのキミ、大丈夫?
(斧を担いで、空いた手を振る。子供がどうしてこんなところに――)
(女の割に低い声で、そう声をかけた。出来る限り、穏やかに。誤解されやすいからね……。)
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水藍・徨 9月6日18時
──! あ、えっと……
(反射的にビクッとしてしまった。穏やかそうな声だったけど、聞きなれない声だと、つい身構えてしまう)
(……声のする方を見たら、手を振っている人がいた。声の主はその人かな、と思って)

は、はい、大丈夫、です。
あの、ここって……どこ、なのでしょう? 山の中……?
(こくこく、と静かに頷いてから、小首を傾げてみる)
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森本・依鹿 9月6日18時
(わ、ビックリさせちゃった。そうだよね、まさか人が居るわけないと思うだろうし……フードを脱いだ。)

ごめんごめん。驚かせちゃった……。(何もなかったみたいに、斧を服の下に隠す。)
(臆病な子に刃物を見せるのはよくない。)
(私より背が低い。威圧感を与えないように、ちょっと背を曲げた。)

うん、山の中だよ。
ここは登山道じゃないから……人がいるところまで案内しよう。ケガとか、してない?
(まだ虫も、何なら水場が近いからヒルだっているかもしれない。私は虫が寄り付く熱源を持ってないから、キミのほうが心配だった。)
(受け答えはきちんとしているから、――中高生くらい、か。)

寒くない? 上着、貸そうか?
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水藍・徨 9月6日20時
あ、いえ、その……僕も、すみません。つい、その、身構えてしまったと、言いますか……
(斧がちら、と見えた気がした。木こりなのだろうか、なんて考えて)
(もう|■《怖》いとか、特に何も感じずに、淡々と話していく)

ケガはない、です。さっき、来たばかりで……あ、上着も、その、大丈夫です。
まだ、そんなに寒くない、ですし……
(ひんやりはしているが、耐えられる寒さだ。このままでも大丈夫、と思うし、何より、あなたが冷えてはいけないのでは、と思って)
(ふるふる、と首を横に振ってみる)
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森本・依鹿 9月6日21時
いや、こちらこそ。
(――感情の鈍麻? 思春期の子には|よく見られる《・・・・・・》から、気にはするけれど、一旦置いておこう。)

そっか、そっか。それならよかったんだけど……。
(ケガしてる様子もない。発熱もなさそう。拘束された風もないし、連れ去られたとかでもなく、……) 

……待って、|さっき《・・・》来たっていうのは……。
(意図して山に入った、って感じじゃなさそうだ。虫だか魚だとかを採りにきたにしては装備もないし。)
(まさか、――)

ああ、ちょっと待ってね。
(いつもタイミングが悪い!仕事用のスマートフォンに連絡が来て、)はい、森本です。(機械音声が、響く。)
(『――対象は、人間災厄。ナンバリング|想像の創造《ディミウルグ》。対象への接触は慎重に、速やかに、――』)

(振り返る。)(通話を切る。)……|EDEN《・・・・》かな?(二択だ。だから、そう聞いた。)
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水藍・徨 9月6日21時
……?
(なんだろう? 何か変なことを言っただろうか)
(あなたが電話をしている間も、じっとしていた。何の話をしていたのかも、良く聞こえなかった)
(金色の瞳は、振り返ったあなたを見て)

EDEN……あ、はい。√EDENから、歩いて来ました。その|世界《√》に戻りたくて……
(どの道、同じような答えだろう。こくり、と小さく頷く)
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森本・依鹿 9月6日22時
(たとえば、キミを――案内するふりをして、鎮圧せず、そのまま『√』を歩いて機関の独房に送り込めば。)
(私の待遇はうんとよくなるだろう。万年係長なんてすっ飛んで、キャリアコースまっしぐらかもしれない。窓際雑用部署なんて抜け出して、実家の母親への仕送りも、実父のタカリにも、どうぞどうぞと与える金があるかもしれない。)
(社会的な信用は自分の価値を高めるだろう。周りからの信頼は厚くなるだろう。)
(でも。)

気にしないで。間違い電話だった。
よくあるんだよ。私の番号、出前やってるうどん屋さんと間違えられやすくて。
(私と言う人間は、――どこまでも、平和主義で、ことなかれだ。)

そっか、そっか。√EDENに普段住んでるんだ……大変だったね、全然景色が違うでしょ。
私の歩いたところを歩けば、滑らないと思う。足元濡れてるから、気を付けてね。
(そう、確かめながら下山を始める。ところどころ、靴で踏みしめながら。)
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水藍・徨 9月6日22時
そう、なんですか。間違われるの、大変ですね……
(素直に、あなたの言葉を受け取る。疑問を持つ要素が見当たらなかったからだ)

はい、その、考え事をしながら街の中を歩いていたら……景色が変わって。でも、山の中に来るとは、思わなかったです。
(あなたの歩いた所を、一歩ずつ、教えられたとおりに踏みしめていく。確かに、滑りにくい気がした)
……あなたがいて、良かった、です。あ、その、僕は……|水藍《すいら》・|徨《こう》、といいます。
(よろしくお願いします、と少し頭を下げるだろう)
(ここはどこの|世界《√》だろう、とは思ったけれど……人がいるところまで行けば、何となくわかるかな、と、今は静かについていくことに集中する)
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森本・依鹿 9月6日23時
慣れっこだよ。
(肩を竦めた。)

(それにしても、こんな――子供が『魅入られる』ことはあるけれど、災厄か。)
(今の私は、爆弾を持たされているようなものだ。しかも自分から。で、それを処理班に渡さず、誰にも感謝されず、爆破させずに別の√に送り出す。)(裏切りとかじゃないよ。私じゃちょっとできませんでしたって報告するだけだから。)
そうだよね、まさか、――街から山かぁ。
(やんなっちゃうよね、なんて笑って、)通りすがっただけだよ、たまたまね。水藍くんだね。森本・|依鹿《えりか》って言います。

(同じく、少し頭をさげて――)(キミが、緊張しないと良いな、と思って。)
ただの事務員。秋から冬は……(免許ないけど、)……猟師をやるから、その山の下見に来てたんだ。
ほら、こういうの。獣の足跡があるでしょ。イノシシだと思う。
(キミには、カミガリだって言わないほうが良いだろう。収容されてないのは、理由があるはずだ。)
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水藍・徨 9月6日23時
依鹿……さん……
(あなたがとても落ち着いた雰囲気をしているから、"さん"を付けるべきな気もして……なんとなく悩んでしまう。呼び方に悩むのは……もしかしたら、初めてかも)

(そう思いながらも、示された足跡を見れば)
なるほど……わ。これがイノシシ……? ……あ。
あの、これ、少し、観察させてもらっても、いい、ですか? すぐ、終わるので……!
(普段、自由帳と万年筆を入れるだけの鞄から、その二つを取り出して)
(……表情はあまり変わりない。だが、どこか期待するような視線をあなたに向けてみるだろう)
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森本・依鹿 9月6日23時
うん。依るに鹿で依鹿なんだけど、これまたよくバンド名と間違えられて……。
(好きなんだけどね、そのバンドも。なんて。)
(そんなことを言いながら、キミが何かしらを決めあぐねているらしいことを聞きながら。)

そう。シカに似てるんだけど、ほら、後ろにも一対、爪のあとがあるでしょ――うん? いいよ、もちろん。
(私は、快く微笑んで見せた。よかった。少し緊張はほぐれてくれたかな。)
(その間に、私も周囲を|視る《・・》。)
(――うん、まだ機関の人間は回収に来てない。まあ、来れないだろう。かなり山奥だから、慣れてないとDクラスさんたちじゃあ難しい。) 

……絵、描くの好き? なの?
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水藍・徨 9月7日00時
(ありがとうございます、と言ってから、自由帳をぱらぱら、と開く)
(中世ヨーロッパ風の建物や、ポーションといったアイテム類、自分と似た黒仮面の主人公や、人々のイラストのページを通り過ぎて……まだ残っている白紙のページに辿り着く)

(爪の形を正確に描いてから、思いついたイノシシの姿を隣に描いていく)
(温厚そうなイノシシの姿が、ふんわりとした幻として出来上がる。足の形がU字板ばねのようになっているようだ)
(それがぴょーん、と虚空に跳ねて……すぐに消えていくだろう)

……ちょっと、変に跳ねすぎた、かな? あ、えっと、はい。
昔から、絵を描くのは好きです。それと……想像したものが、現実になるんです。さっき、みたいに。
(ぎゅ、と自由帳と、万年筆を抱きしめて)(再びいつでも歩けるように、立ち上がるだろう)
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森本・依鹿 9月7日00時
絵、うまいね。
(絵が描ける人って、きっと私とは脳の遣っているところが違うんだろうな、って思う。見たものを見たまま描くって難しいと思うんだよね。目をカメラにするってことでしょ……?)
(自分が描いたことある猫とか犬とか思い出した。)(うん……残念な出来だな……。)

(子供らしい|二次元《イラスト》から、写実的なデッサンまで。すごいな、ってなんとなく眺めながら)わ、(飛び出したイノシシを見て、)(それが野生のものとはかけ離れた穏やかさを持っているから、斧を構えなくて済んだ。)

(直感する。)(――間違いなく、キミが『災厄』に至る理由だ!)

(キミに、大量に銃を描かせたら? キミに、死を恐れない兵士たちを描かせたら? キミに、――大きな、国一つを揺るがすような、大打撃を与えるような|武器《・・》を、描かせてしまったならば。)

(なるほど、機関が必死になるわけだ。)
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森本・依鹿 9月7日00時
(だとしたら、余計に|私の仕事《・・・・》じゃないな。割に合わない。責任も、もてない。)

動物の動きは、観察しないと難しいよね。足の動き方とか、それぞれみんな違うから。
(キミの描いたイノシシが消えた方向を見送って、)(また、キミが立ち上がったなら「行こう」を声をかけるだろう。)

……いつから描いてるの? 小さい時から?
(そんな雑談は、描かされるだろう報告書のためでもあるし、キミという人間を知るためでもある。)
(石の上に塗れた葉っぱが合って、「滑るから、気を付けてね」って言った。念のために手も差し出しておく。つながなくていいよ、もしフラついたときに受け止めるためだから。)
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水藍・徨 9月7日01時
(声をかけられたら、素直に頷いて、またあなたの後ろからついていく)
はい、イノシシとか、鹿とか、図鑑くらいでしか見たことがなくて……
今のは、こういうイノシシがいたら……いいな、と、何となく想像してみただけなんです。
(|■《楽》しい、というより、近い言葉を伝える)
依鹿……依鹿さん、は、やっぱり、猟師だから……鹿とか、イノシシとか、よく見るんですか?
あ、その、呼び捨ては、失礼です、よね……すみません。
(怒っていないだろうか、とあなたの表情を伺って)

……えっと、はい、確か、小学校くらいから、です。
誕生日に、両親からこの自由帳と万年筆をもらって……それからずっと、自分が想い描いた、理想の世界があればいいな、と思って描いています。
(濡れた葉っぱに引っかからないように、慎重に、降りていく)
(でも慣れない道だから、ふらついて、あなたの手を借りるかもしれない。体力は、あまりない方だから)
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森本・依鹿 9月7日09時
そうなんだ。
……優し気なイノシシだから安心したよ。
(想像したもの、「見たり、知ったり、よく観察したもの」よりも曖昧になるのかな。つまり、生物として正しいイノシシは、この場に召喚できないのか。逆に言えば、『良く知ってしまえば』本物みたいになるのかもしれない。本当に、屏風から虎が出てくるような。)

うん? まあね。よく見るし、よく狩るかな。どっちも最近増えてるから。
(で、まあ、食べるわけでもなく猟師の小屋の前に置いたり、その場において置いたりしていたけど、今年からは……食べてもいいかもしれない。)
ああ、別にいいよ。どっちでも。……結構いい歳だから、呼び捨てにされることは少ないけど。
(それこそ、恋人にも普段は「さん」付けで呼ばれるくらいには。)(アラサーです。)
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森本・依鹿 9月7日09時
(キミが降りるのを支える。今は多分、触れてもらっても大丈夫。キミを凍えさせたりもしないはずだ。強いて言うなら、雨の冷たさがちょっと増したかもね。)
そっか、自由帳と万年筆……。(尽きないのかな、ページ数とか、インクとか。)
(あんまり質問すると、それこそ『そこまで聴けて、何故』と言われるだろうから。)

へえ、小学校から? 物持ちいいんだね。
(羨ましいな、って何も知らないみたいに微笑んで。)
いいね。理想の世界。……水藍くんは、どんな世界を想像してるの?
(年若い割にキミは体力がないみたいだったから。食べる?って携帯食料を差し出した。ちょっとしっとりめの食感が評判のチョコバー。冷えてる。|ポケット《・・・・》にあったのに。)
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水藍・徨 9月7日21時
本物のイノシシは、怖そうですから。だから、親しみやすさがあればいいかな、と……
(鹿も後で考えてみよう、なんて思う)
(本物を見ると、それだけ実物みたいに創れるから。もちろん、そうじゃなくても想像次第で実体に出来るけれど……)

じゃあ、……依鹿、で。
(ありがとうございます、と頭を下げる。)
そうですか……その、狩りの様子とか、知ってみたいと思うことも、あったので、気になって。
ですが、すみません。お仕事の邪魔になりますよね。
(忘れてください、と、首を横に振る)
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水藍・徨 9月7日21時
(あなたの手に触れると、少しだけ寒さが増した気がする)
(ただ、雨に濡れて、体温が下がっているのだろう、とも思っていたけれど)

(チョコバーを受け取れば、その冷たさは伝わってきた)
良いのですか? ありがとうございま、わ、冷たい……?
(ポケットから出していたけれど、こんなに冷たいものなのだろうか? と首を傾げて)
(それでも、食べられないことはない。もぐもぐもぐ、と食べていく)

あ、描いたり、消したりしていて……白紙のページも、増えるんです……
(褒められているのは分かる。でも、|■《嬉》しい気持ちは、どこか胸がくすぐったいような、変な感じになるばかり)
(代わりに、と言うべきか、問われた問いに答えようと顔を上げて)

えっと、人や、エルフ、ドワーフ、精霊とか、色んな種族が一つの国に集まって、共に支え合いながら暮らしている、そんな世界です。
国王が治めていて……僕は、その世界を舞台にした物語も考えています。
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森本・依鹿 9月8日08時
確かに、本物はちょっとね。
(彼ら、臆病だからね。だなんて言って。)
(……一体、どこまで再現し得るんだろうか。ただ、頭のどこかで『良いなぁ』って思ってた。だって、銃弾一発でもすごい価格がするから……。)(ああ、いや。この発想は、私が人食いだからだね。キミにはないものだ、きっと。)

(年上を呼び捨てにするほうが気安い感じがするけれど、キミはなんだか礼儀正しい。気楽にね、って声をかけたけれど、そこの|乖離《・・》もまた、キミに何かしらの影響があるせいかもしれないな……。)(その、『災厄』に至る何かからの。)

ああ――、(思春期の子に、命を奪って、解体して、食べるところまで見せて良いものか悩んだ。まぁ、学習ではある……か?)……狩りは、ほら。周りにもハンターがいるから。
気を付けないと弾がお互いに当たったりするかもしれないからね。
歴戦の猟師さんなら、安全な範囲で見学できるかもしれないよ。
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森本・依鹿 9月8日08時
(私は未だ若輩だから。)
(なんて。)(――機関が手を回しているとはいえ、私の存在は他の猟師も『知ってるけどどういう人か知らない』だろう。キミは、クリーンな範囲で接したほうが良い気がする。)

ふふ。私、ちょっと人より……体温が低くてね。
(今は、その程度で済んでるけど。)(うん、しっかり栄養も摂れてるな。じゃあ、低血糖とかの心配もない。)(……山は降りるほうが大変だからね。)

白紙のページが増えるの? へえ、便利だね。
(……キミは、なんて無警戒だろうか。早くEDENに帰れる狭間を探さないと。)
(ええっと、レンくんが言うには、私もレンくんの能力が少しは使えるんじゃないかって話で、――『引き寄せ』られるように意識を集中しよう。)(機関のヘリが、上空を飛び始めている。幸い、森の木々が隠してくれているから、まだ大丈夫。)
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森本・依鹿 9月8日08時
……いいなあ。そういうの。ファンタジーとか、思いつけないタイプだから。
(樹の肌を撫でながら、わざと音を立てて歩く。獣を散らしたり、蛇をどかしたりするためだ。ちょっと遠くで、何かが逃げ出す音がしただろうね。)
漫画家、とかになるの? 将来。
(コケを生やした石、滑るから気をつけてね、ってキミに注意を促しながら、そう問いかける。)
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水藍・徨 9月8日20時
歴戦の猟師さんなら、見学出来るかもしれない……そうなんですね。ありがとうございます。
(きっと、すごいんだろうな)
(なんて思うと、なんだか胸がどきどきするような、不思議な感覚になって……少年の周りに、ふわふわ、パチッとした何かが漂い)
……あ、わ。消えて、消えて……すみません、大丈夫です。
(そう言うと、すぐに消えてなくなるだろう)

(体温が低いと、そうなるんだ、とごく自然に納得していると)
……? キア?
(|精霊燈火《プネーマフォス》が、ほんのり明滅する。この灯りは、さっきみたいに照らすだけじゃなく、精霊の住処にもなっているのだ)
……さっき、精霊みたいな気配……感じたような?
(灯りに手を触れると、|時空精霊《キアノス》からの思いを感じ取って)
近くに、何かいたのかな……?
(一人静かに、首を傾げる。細々とした会話は、前を進むあなたの耳に届くかどうか、だろう)
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水藍・徨 9月8日20時
(あなたが音を立てて歩くと、何かが、がさがさと動いていく音がした)
(特に驚くことなく、|■《怖》いのも分からないから、視線を音の方に向けたり、またあなたの行動を見ていたりを繰り返しながら、ついていく)
(苔むした石に注意を促されたら……注意された通りに、ゆっくり足を踏みしめて)

(……問われた問いには、目をぱちくりとした)
えっ、と。……分かり、ません。何をしたいか、あまり、考えたことがなくて……
(将来のこと、やりたいことも考えたことはなかった。ただ、言われた通りに過ごす日々が……随分、長かったのだから)

(それでも──願いはあった)
でも……両親に、もう一度会いたい、とは、思っています。
(それが|逃げ出した理由《・・・・・・・》なのだから)
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森本・依鹿 9月8日22時
(男の子ってそう言うの好きそうだもんね、とか言ってみた。じゃあなんで女の人なのにハンターやってるんですか、って言われたら、まあ、難しいね。|天職《・・》だから、としか言いようがないし。)
ん? 大丈夫? 
(虫でもまとわりついたかな、と思って振り返った。でも、大丈夫って言ってたから、)そう? (そのまま、一旦進む。)
(――爆ぜるような音? 小枝を踏んだ感じじゃ、なかったような。)

(キミの一連の声を聴いてた。今度は、振り返らないまま声をかけるよ。)

ああ、私の精霊だよ。気にしないで。
今はちょっと、|休憩中《・・・》でね。キミに、ひどいことしたりしない。
(精霊は、齎すものだって聞いた。それは悪意を伴っていることもあるけれど、だいたいは、そう在るべくして在るものだとも、ね。)
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森本・依鹿 9月8日22時
……憑かれてるんだ。まあ、うまくやってるから。ね。
(嘘だ。)(うまくやっていく最中です。)

あら、そうなの? 絵うまいし、お話考えるの好きなんだったら、漫画とか描きたいのかなと思ってた。
(私がキミくらいの歳のとき、誰かの記録を超えることしか頭になかったな。)
(高いバーを無理やり挑んでみたりとかして、上手くいかなくて頭を掻きむしったりとかして、血が出て、馬鹿らしくなって。)
(……今の子ってもしかしてちょっとドライ? いや、私が昔から苛烈なだけなのか。)

(一歩踏みしめて、)……ご両親に。
(子供らしいけれど、悲痛な願いだな、と思って。)
……今、どうしてるの? キミも。一人暮らし?
(√EDENなら問題ないだろうけれど、とは頭によぎった。でも、大人として少し、気になっちゃうな。)
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水藍・徨 9月9日01時
(男の子はそう言うの好きそう、と聞くと、一瞬、そういうものなのだろうか? と首をかしげる)
(何せ、一人でいる時間が長くて、友達とどんなふうに過ごしていたかは|覚えていない《・・・・・・》ことが多いから……結局、そうなのですね、としか言えなかった)
はい、大丈夫です……時々、変に実体化するのもあるので、ちょっと、消してただけです。
(今はもう大丈夫です、と改めて伝えるだろう)

(……そして、気配はあなたの精霊、だったようだ。|時空精霊《キアノス》は、納得はしたのだろう。灯りが消えていく)
精霊に、憑かれる……あ、はい、それなら、良かった、です。
(自分たちの関係とは、また違うのだろうか? そうは思ったけど……気にしないでと言われたから、口には出さないことにした。キアも、静かだし)
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水藍・徨 9月9日01時
(ふるふる、とゆるく首を振って)
……考えたこと、なかったです。どんな物語にしようかは、ずっと考えていますけど……漫画を描く、とか、将来、何になりたいとかは、全然、でした。
(逃げ出すまでは、毎日指示通りのことを行い、与えられた食事をして、何もない時は物語を考える。その繰り返しだった)
(今は、生き方を教えてくれる人もいるし、自分なりに出来ることをやってみているけれど……)

(後から、一歩歩み寄って)
両親は……小学校の時に、離れ離れになって、……。(少しの間があってから)
どうしているのかは、その、分かりません。でも、今も|きっと待っていると思う《・・・・・・・・・・・》んです。
(フードをぎゅ、と握って)
僕は、一人でアパートに住んでいます。たくさん、人がいて……お隣さんもいて、その、大丈夫、ですよ。
(昔ほど、|■《寂》しくない。どう伝えたら良いか分からなくて、代わりに、大丈夫という言葉を選んだ)
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森本・依鹿 9月9日08時
(なるほど、ちょっと不安定な能力だ。)
(――強大なのに。)
(キミに悪意というものがなさそうでよかった。暴力性が少しでもあれば、……やっぱり、キミにはあまり、人や動物を傷つけるようなシーンは見せないほうが良い気がする。)(私が不安になりやすいせいもあるけれど。)

|今は《・・》ちょっと、周りの気温を下げるくらいだから。安心して。
(困った相方だよ、なんて笑いながら。)(キミの精霊はキミを守っているのだろうか。ただ探知しただけなのだろうか。まあ、納得して引っ込んでくれたならよかった。)
(雨が、しとしとと降っているのに、大して私たちにかからないのは頭上で犇めく葉っぱたちのおかげだ。自然のドームみたいに、雨除けになっている。)
(何となく、|こっち《・・・》だと思うほうにすすんでいた。確信はない。でも、|信じている《引き寄せてる》。)
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森本・依鹿 9月9日08時
そうなんだ、じゃあ、これからだね。
(寄り添っているけれど、他人事だから言える言葉だ。)
せっかくだから活かしたほうが良いと思うけれど、……まあ、水藍くんがなりたいものに、なっていくと思う。
(私には無い感覚だから。)(――一等賞が欲しかった。金メダルが欲しかった。そうすれば社会的に認められて、ああ、人生って苦労した甲斐あったなぁとか満足してさ。現役引退したらコーチでもやって、過去の栄光を掲げて悠々自適までいかなくとも、のんびり生きていけたらいいって、思ってたから。)
(……今思えば、『記録を出したい』じゃなくて、将来っていう逃げ道まで考えていたから、栄光にすら届かなかったのかもしれない。)

そ、っか。
(待っててくれる、と思えるくらい。優しいご両親だったんだろうな。)
(……いいご家庭に生まれて、何だってこういう子が、災厄なんかになってしまうんだろう。)
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森本・依鹿 9月9日08時
(一人で暮らしていて、周りには頼りになる大人もいて、隣人仲もよくて。……精神的な支柱があるなら、キミは、感情的になって『暴走』しづらい状況だろうから、その点は安心した。勿論、保護すべきだろう未成年としてもね。)
(私は、知っている。)
(人間災厄とされる未成年の、保護者の生存率の低さを。)

……|会えるといい《・・・・・・》ね、ご両親に。 
(残酷な嘘を言わないといけない。大人だから。)
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水藍・徨 9月9日20時
今は……
(それまでは、何か大変だったのだろうか? そう思うも、零れる言葉はそれだけで)
(……もしかしたら、雪の精霊なのかな、なんて、勝手に考えていた)

(ぽた、と葉から滴る水が頬に当たるのを感じた。少し空の方へと、視線を向けて)
これから……そう、ですね、これから、なりたいものを考えてみます。
(すぐには浮かばなくても、漫画家という道はある。そう思ってから)
……依鹿は、将来の夢とか……あ、えっと、すみません、急に。
(ふと、あなたを見る。どうして聞こうと思ったのか分からないけれど……胸がざわざわして、聞いてみたくなってから、口ごもる)
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水藍・徨 9月9日21時
……はい。会えると、嬉しいです。
(ゆっくりと頷いた。頭の片隅にある|真実《ほんとう》は、無意識に奥へと寄せられていく)

(そしてようやっと、歩くのに慣れてきた、と気付く。辺りを見渡す余裕も、少し出てきただろうか)
(──このまま山を降りていくのだろうか。まだしばらく、距離がありそうな気もするが……)
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森本・依鹿 9月9日22時
(ウェンディゴの名前を教えなかったのは、キミがもしかしたら、あとで調べて、描いてしまうかもしれないから。)(そして、――恐ろしいものだからだ。)

私? そうだなぁ。挫折しちゃったからね。次かぁ……。
(次なんて、って思ったけれど、)ああ、あるよ。一応。
(そんなうじうじしたところ、こどもに見せられないから。気丈ぶって、明るく、頼れるような……それで、ちょうど無害な人でいようと思った。)
(挫折の内容を聞かせたくはないから、一応ね。)

……好きな人が、誰かに自慢できる|お嫁さん《・・・・》かな。 
(ちょっと浮かれた、穏やかなお姉さんだと思ってもらえたら、それでいいんだ。)
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森本・依鹿 9月9日22時
(うん、って返事をして、キミの何かに蓋をしてしまった気がするけれど、正解だったかもしれない。)
(――獣じゃない足音が、少しずつ聞こえる。派遣されたDクラスさんたちが昇ってきてるんだ。)

……こっちに来て。焦らなくていい。
(太い樹を指さして、)あっちに行こう。もしかしたら、クマかもしれない。川が近いから。
(これは、キミ用の嘘だ。)(あの大木のむこうには、洞窟がある。それこそ、クマの巣みたいなやつがね。)
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水藍・徨 9月10日00時
お嫁さん……
(どこかの……多分女の子だったのかな。お嫁さんになりたい、みたいな話を聞いた、気がする。女の子にとって、幸せ、とか……)
(一瞬、間が空いて)
──とても、素敵な夢だと思います。依鹿は、素敵なお嫁さんに、なると思います。
(素直にそう思ったから。自然と言葉が紡がれた)

(そう言っていたら、雨の音に紛れて何かが聞こえてくる気がした。なにかは、分からないけれど)
あっちに……はい、わかりました。
(あなたが指さす太い樹を見て、言われたとおりについていく)
(クマについては、図鑑と、本に書いてあったことを少し知っているくらいだ。母熊と小熊が一緒に居たらとても危険だとか、目が合ったら、急に動いてはいけない、とか)
(だから、目が合う前に、離れておく必要があるのだと……そう思って、あなたについていく)
(無効票)
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森本・依鹿 9月10日01時
そうかな? そうだと良いけど。
今はまだまだ、花嫁修業中でね。
(そんな軽口は――まあ、八割くらい事実だ。)
(皿洗いもまともにできたもんでもなければ、一人暮らしの部屋はごみ屋敷。そろそろ業者に入ってもらわないと不味いかななんて思っていたら、都合の良いお掃除好きの恋人ができたものだから。……今度、一緒に掃除でもしようかな。山にこもる前にね。)
(キミに「しっかりしてそうな人」と思ってもらえたら、何よりだよ。)
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森本・依鹿 9月10日01時
うん、――えらい。
よく知ってるね、クマと目を合わせちゃいけないの。
(キミの動きを褒めた。勿論、振り返ったりさせないためだ。常人の眼だと視認できないだろうけれど、私の|目《・》には、生憎見えている。)
(よく目立つ、回収しやすいオレンジ色の制服は、まだ夏の緑のなかじゃ目立つからね。)
(太い樹までたどり着いたら、狭い洞窟を見た。)……あそこから、多分、元の居場所に帰れる。

(私の手で持ち上げられるくらいの石を拾って、向かってやや右に投げた。転がっていく音は、ちょうど二人分の足音くらいだ。)(キミが渡る時間くらいは稼げるはず。)

確証はないけど、――試してみる価値はあるんじゃないかな。どう? やってみる?
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水藍・徨 9月11日00時
花嫁修行、……やっぱり、あるんですね。
(頑張ってください、と応援する)
(詳しいことは知らないけれど、大変だと聞いたことがある。でも、だからこそ……幸せになるのかな)
(そう、ぼんやりと考えていた)
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水藍・徨 9月11日00時
その、読んでいた本に、書いてあったので……それを実行してみただけ、です。
(|■《嬉》しい気持ちが、再びむずむずとした心地になるが、目的地に着けば、それもすぐに落ち着いて)

(太い樹に辿り着き……その先には洞窟が見える。あそこから帰れると聞けば、素直にそうなんだ、と足を動かして)
(ふと、雨に濡れないためにフードをしていたことに気付いて、入る前に外しておく)

その、えっと……僕は、依鹿のこと、信じます。
でも、危なくなったら、大声、出してください。
(助けに行きますから、と淡い桃色の前髪をふわりと揺らして頷き、金色の瞳は、真っ直ぐにあなたを見るだろう)
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森本・依鹿 9月11日10時
(まあ、なんというか。家族になるとしても私じゃ機能しないというか……。そういうのを直すことを修行だと思っているし、本来とはちょっと違う意図だけど、いいか……!)
(ありがとう、と頷いた。ちょっと照れくさい。)
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森本・依鹿 9月11日10時
(そっか、今の本ってト書きで注意とか添えてくれるもんね――納得したよ。)
(獣の生態のことだけじゃなくて、人間を襲うリスクのある種、しかも、割と遭遇しやすいものには子供あてにもきちんと説明を書いてあげたほうがいい。)
(だって、子供は素直だ。『立ち入り禁止』を守ってくれるからね。)

大丈夫だよ。
(そう、笑った。)
(それから。)
(真っ直ぐな金色の瞳に胸が苦しくなる。)

……ごめんね。
(困ったように、眉間にしわを寄せていた。)
(スマホを手に取る。キミを見つめたまま、電話をかけた。)

……森本です。
『対象』と接触後、交渉しましたが、――『収容失敗』。
『対象』は√間移動済み。速やかに報告のため、|本庁《・・》に戻ります。
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水藍・徨 9月11日18時
──え?
(今、あなたがなんと言ったのか、それを理解するのに時間がかかった)
(『対象』? 『収容失敗』? それに、|本庁《・・》って……)
(衝撃に一歩だけ、後ずさる。本当ならすぐにでも逃げるところだが、状況が違う。少なくとも、あなたが自分を騙そうという気がないことは、このやりとりで十分わかっていたからだ)

あの、え、と。どう、して……?
(あなたはきっと、自分を捕まえる側の人間なのだろう。どうして、捕まえないのか。どうして、逃がしてくれるのか)
(自分は人間災厄で、本当は管理されるべき存在で、収容違反を起こしている。……一刻も早く収容しないといけないはずなのに)
(……それが、出来たはずなのに)
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森本・依鹿 9月11日21時
(半歩、洞窟から身を引いて。)

……そうだね。どうして、かぁ。参ったな。
(キミは、素直で、まだ夢も見つからない、可能性に満ちて、良い縁にも恵まれた若人だから。まだ、私がどういう人間だとか、……組織に対して忠誠心がないこととか、知らないほうが良いと思った。)
(私なんかを頼ってはいけないよ。)
(よく言うでしょう、|知らない大人《・・・・・・》に、ついていくなって。)

(キミを眺める私は、きっと逆光で、然程表情が読めなかったかもしれない。)
(斧を手にする。キミに刃を向けたりはしないよ、ただ、これは儀式だ。)
(あたりが急激に冷えるだろう。雨のせいじゃない。濡れた地面が凍っていくのがわかるかな?)
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森本・依鹿 9月11日21時
(私の赤い瞳が、煌々と輝くのが、視えるだろうか?) 

|お腹が空いて《・・・・・・》なかった。
それだけだよ。 

(だから、もう、知らない人の言うことなんて、素直に聞いちゃだめだよ。)
(そう、微笑む私の頭には、きっと、ヘラジカのような角が生えていた。)

(さあ、逃げて。うんと遠く。寒さも届かない、優しい場所に。)
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水藍・徨 9月11日22時
……。
(多分、怖がらせようとしたんだろう。そうして逃げて、あぁ良かった、助かった……と思ってもらうためだろうと)
(けれど)
(僕は──|■《怖》いという感情も、|■《怒》りも、|■《楽》しいも、|■《喜》びも、……ぽっかりと穴が空いたように、分からないから)

(急激に周囲の温度が下がる。息が白くなる。それでも、依鹿の赤い瞳を、変わらない表情で、じっと見て)
(鹿の、立派な角のようなものが見えても物怖じしなかった)
(それでも、僕を捕まえることができたはずなのに、収容することだってできたはずなのに……逃がそうとしてくれることだけは、分かったから)

そう、ですか。その……依鹿、ありがとう、ございました。
(ぺこり、とお辞儀をして、ほんの少しその場に留まる。けれど、これ以上ここにいてはいけないのだと理解して、洞窟の中へと進んでいくだろう)
(。)
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森本・依鹿 9月11日22時
(落ち着け、落ち着け、落ち着け――。自分に言い聞かせて、胸を撫でおろした。キミが勿論、視えなくなってからね。)
(ああ、よかった。もう少しでボロが出るんじゃないかって。ひやひやするよ。教員免許は持ってたけど、更新してないってことは、そういうことなわけで……。)
(私は、子供を導いたり、話を聞いたりしていい大人ではないから。)

……ああ、はい。お疲れ様です。
いやあ、そうなんですよ。さすがに私じゃちょっと、保護ってのは無理ですね……。

(やってきたDクラスの職員たちが、何処か安心していた。この人たちだって使い捨てだ。炭鉱の中のカナリアよろしく、――『人間災厄』がどんなものか、視て来いって送り出される、死んでも良いと思われている人たち。)
(きっと、そんなことはなかった人たち。)
(そんな彼らに首を振った。)
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森本・依鹿 9月11日22時
――|狩る《ころす》ならともかく。
でも、ダメだ。ガワが子供だと、そういう気が削げちゃう。まだまだ狩人として半人前だなぁ。

(そんな嘘を並べるのは楽だった。――ぞろぞろとオレンジの制服たちを連れて、山を下りていく。彼らを護送車に渡して、『係長も乗っていきますか』って言われて。頷いた。)
(がたがたと、私を運んでいく。)
(後ろに乗っているのが、キミじゃなくてよかったと思ってしまうのは。)

(やっぱり、私って――いやな大人なんだろうな。)

(礼儀正しいキミの行く先が、せめて実りの多い場所でありますように。)
(。)
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森本・依鹿 9月11日22時
(〆)
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