【新入】三波・ななか【会員】
「すいませーん！」十代半ばな人間の子、わかるものが見ればギャルと表現する雰囲気の子が、ビル前の往来で声を張り上げる。
「ここってどこ……え、何あれ！ 妖怪！？ デカ！ 写真撮っちゃだめかな！？」
いかにも迷子らしいことを言いかけたが秒でどうでもよくなった。スマホ片手に牛車妖怪で興奮している。典型的なお上りさんだ。
「つーか疲れたー。もうずっと歩き回ってるしどっか休めるとこほしー。足ぱんぱんなんだけどってか休めるとこどこ？ ミルクホールってなに──」
（以下略）
迷子のくせに危機感もへったくれもない雰囲気でしゃべり倒している。すべて独り言だ。明らかに目立つだろう。メニューに何を書くのとかサイズや牛の種類で商品を差別化するのかとかひとりで議論している。
「ＸＸＬとかあるの？ どう思う？ ここ入ったことある？」
ついにあなたにまで質問してきた。
※
●新入会員「三波・ななか」
人間（√EDEN）のルートブレイカー × 護霊「たまに遊びにくる白いワンコ」
年齢： 16歳 女（7月6日生まれ）
https://tw8.t-walker.jp/character/status/h00168
・スレ設置期間【～12/22（日）】
・会員みんなでこのスレに書き込んで新参者を囲もう！
神薙・ウツロ 12月16日23時（～√妖怪百鬼夜行、｜禍津宮《マガツノミヤ》市・五常ビル前にて～）
…。……。………。
（なんか。すごい。元気で。落ち着きのない。そんなギャルがのべくまつなし｜燥《ハシャ》いでいる様子を、ビル出入口の横っちょでボケッと突っ立ったまんま眺めていた）
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神薙・ウツロ 12月16日23時（ＸＸＬとかあるの？ どう思う？ ここ入ったことある？）
うぇ？ あ、私？ （こっちに来た！ 声ェ掛けられた！）
あー、XXLねぇ。どうだろ。あんまり馴染みのないコールだし、とりあえず「大盛り」言っとけば願いは叶うよ、うん。
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三波・ななか 12月16日23時「大盛り」って、盛りって！
（飲み物なのに盛るのかと一人で勝手にウケた。キャラメル ホットミルク・ウィズ チョコレートソース・チョコレートチップ・大盛り。想像してみたらまた面白くなってきた。手をパンパン叩く）
んー、どうしよっかなー？
（こちら女子高生。相手は年齢が倍くらいのおじさんだが、変な下心があるようには見えない。なら良しと判断する）
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三波・ななか 12月16日23時じゃあおじさんも何か注文し
（てみてよ、と続けるより先に気になる情報がやってきた。顔役とな。顔役とは一体）
顔役って何？ 看板娘ってこと？ 呼び込み担当か～～じゃあ呼び込まれてやろうかな～～。
（ミルクホールなんて聞いたことのない店だが、そんなものこの『場所』に迷い込んでたくさん見てきた。とりあえず座れて飲み物が手に入るならそれで十分）
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三波・ななか 12月17日00時（ばたばたと横を通り抜けるようにビルへ踏み込んで、踏み込んで、振り返る）
るーと能力者。あー、うんたぶんそう。
（たぶんそう、部分的にそう。自信がないのはその単語をフワッとしか理解してないせい）
店にいる人だいたいそうなの？ 集まって何してんの？
（問いながら、まあ見ればわかるかとそのまま進んだ）
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神薙・ウツロ 12月17日22時ヘイヘイよってらっしゃい見てらっしゃいお嬢ちゃーん！ ヤスイヨヤスイヨー。クーポンアルヨー。
手をパンパン叩きながら腰低くして三波の周りを練り歩く。大正じゃなかったら即条例違反で引っ張られそうな客引き呼び込みムーブだった）
…とまあ、そいつはさておき。あと「お兄さん」ね。 （そこ大事。）
「たぶんそう」て。
（知ってることだけはなんでも知ってるフワフワ診断なんとかネーターみてえなことを言うJKである。なんなら絞り込んでやろうか。武器を持ってるジョブ？ 魔法が使える？ 超能力が使える？ 生きている？ 死んでいる？ うん、そう、部分的にそう。閑話休題――）
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神薙・ウツロ 12月17日22時√能力者向けネットワーク『YellowDragon』。私は主宰の神薙・ウツロ。
早い話、冒険者の酒場だよ。やってることやろうとしてることに応じて情報交換したり、頭数募ってみたりさ。
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三波・ななか 12月18日19時えー？ じゃあお兄さんクーポンよろしくねー？
（仕方ないなの声色だけ作ったナマイキ100%の笑みで、ウツロに振り向いたままの後ろ歩き。仕方ないからお兄さんと呼んであげよう。その代わりに貰えるものはしっかり貰う）
うわでっか！ すご！
（店内を見た感想第一号。でかい。天井高い。広々とここまで気合の入った店構えは故郷でも類を見ないほどだ。もしかしてミルクホールというのが大流行してるのかと一瞬考え）
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三波・ななか 12月18日19時……もしかしてかなりガチなとこ？
（『能力者のたまり場』ゆえと察した。何やらネットワークらしいし、名前もすごそうだし。ずんずん進んでいた足がぴたりと止まる）
私が入って大丈夫なやつ？ るーと能力とかふんわりしか知らないよ？ ミルク飲むだけでいい？
（入る。入る。敷地を跨ぐという意味。かつ、ネットワークへの参加という意味も。都会でぬくぬく育った自分に戦いなんてできるとは思わないし、そんな勇気もない。碌な情報もきっとない。ただ、参加したい気持ちはある。また迷い込んだときのための知り合いは作っておきたい。自分にとってここは異世界なのだから）
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神薙・ウツロ 12月18日23時大丈夫ダヨー。コワクナイヨー。――なんてね。 （戯けた口調をここらで切り上げ、）
ま、大丈夫大丈夫。マジでそんなお堅いルールとか敷いたりもしてないし。簒奪者の目の前で腹切って来い！ とか言われると思った？ でひゃひゃ。
ミルク飲みに来るだけでも、いいよ全然。ちなみに飲み物なら、レモン牛乳とかレモン牛乳とかコーヒーとかレモン牛乳とかもあるよ。
｜閑話休題《さておき》――おんなじ√能力者なんて一人だっていないんだし、君という君が居てくれたり来てくれたりするだけで起こることもあれば行き交う変化もある。『YellowDragon』はそんなささやかな営みだって歓迎する――大歓迎する。
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三波・ななか 12月19日21時レモン牛乳ばっかじゃん！ ……いやさておくなよ大事だろミルクホール名乗ってんなら！ ちょっといい話風のコト言えば流せると思うな！
あとその流れでコーヒー出すならせめてミルクコーヒーって言え！！
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三波・ななか 12月19日21時……はぁ。
（深呼吸。ほぼノー呼吸で言い切ったから酸欠気味。さてレモン牛乳の前と後に何を言われたんだったか）
そこまで言ってくれるんなら参加しちゃおうかな。
（ただ敵の目の前で腹を切る意味は全く分からなかった。何らかの責任を取る儀式だろうか。気にしてもしょうがない気がしたから適当に空いたテーブル席へくるりと腰掛ける）
三波ななか、お察しの通り女子高生一年。よろしく。
（オラッお前も対面に座るんだよとテーブルをぱんぱん叩く）
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神薙・ウツロ 12月19日23時最近のJKこわ…キレるポイントがわっかんね…ひぃっオラッとか言いながらテーブルばんばん叩いてる…あのぅお客様、カスハラ勘弁してくれませんか…？ （クソわざとらしく肩を縮こまらせながら、言い付けられるまま三波の対面に座るよ）
ん？ YellowDragonの黄色の意味～？ そうだよ、よく分かったね。すごいじゃん。さあ、飲むんだ…レモン牛乳を飲め…たんとお飲み…
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三波・ななか 12月20日21時いかにもミルク専門店ですって雰囲気出しといてラインナップが変なの１つだけだったら全人類からツッコミ入るじゃん？
（JK奥義のひとつ、クソデカ主語だ）
だからこれはお客様のご意見。カスハラじゃないからセーフ。
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三波・ななか 12月20日21時シュサイってことはお兄さんここの偉い人なんだ？ お店の名前付けたのもお兄さん？
お兄さんがレモン牛乳好きだからメニューまで染まっちゃった感じ？
なんでそんなにレモン牛乳推しなのさ。せっかくだから頼んでみるけど。
（つい、とカウンターへ視線をやる。本当にレモン牛乳とコーヒーしかないのかの確認と、クーポン出すならはよ、の時間である。既にクーポン受け取る気満々の手がウツロに伸びている）
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神薙・ウツロ 12月20日23時（「偉い人なんだ」？）
そだよん、トップ。店の立ち上げからぼちぼち手掛けたオーナーでもある。
（「名前付けたのもお兄さん」？）
イェス。「イエドラ」って略すとナウいよ。
（「お兄さんがレモン牛乳好きだからメニューまで染まっちゃった感じ」？）
推したのは私だけど、メニューが染まったのは「世界」に求められていた証左だね。
（「なんでそんなにレモン牛乳推しなのさ」。）
甘いの摂って脳は回るし、牛乳で骨もジョウブになるから。
ん、ご堪能あれー。
（クーポン。っていうか、レモンぎうにうってしたためられた伝票を二足直立したカワウソみたいな妖怪店員から受け取り、ななかの手の上に…乗っけて…ピャッと自分で取り上げて見せた。支払いは私持ち。クーポンどころか｜100％オフ《オゴリ》だった。そして運ばれ来る――レモン牛乳！ キンキンに冷えたガラスジョッキになみなみ継がれた、着色料と甘味料で再現されたレモン風味をまとった牛乳だ！）
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三波・ななか 12月21日23時（オウやんのかと腕まくりしかけたところでウツロの意図に気付き、スン……と座り直す。ケンカになったら絶対勝てないと思っているのでポーズだけだった。ななかは平和的ＪＫである）
うわっ店員さんかわいいー。ってかコップやば！ でか！ これジョッキってやつでしょ！？ みんなジョッキで飲むの？ レモン牛乳ってちゃんと黄色なんだね！
（さて直立歩行カワウソを見るなり言葉の濁流がまろびでた。面白いものを見つけるとだいたいこうである。いわゆるＪＫしぐさというやつだ）
店員さん写真撮っていい？ っていうかみんなで写真撮ろうよ！ ほらお兄さんも並んで並んで、レモン牛乳見えるように持って！
（ザッと立ち上がり店員の隣へエントリー。残念ながら自撮り棒はないので、自分のスマホを目いっぱい遠ざけて持ち、空いた手でウツロを呼ぶ。指定はカワウソ店員を二人で挟む構図だ）
いい？ 写真撮るよー！
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神薙・ウツロ 12月22日21時（なんとも、表情がくるくる変わりもすれば、言行がおよそ引っ切り無しの、実に陽のJKな――）
ええ～？ 写真？ あのねえ、この年頃になるとそんないちいちよしなしごとでキャピキャピしてパチパチ写真撮ったりなんか――
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