資料:アイン・スフィア/記録されていないログ
「こんにちは、実さん。お呼びでしたね?」「いいえ、今のところは何も」
「はい」
「…………」
「聞かない方がいいと思いますよ」
「あなたが今、口にしようとした言葉です」
「……では、先にお答えしましょう」
「『あらゆる全ての|√《せかい》の中で、あなただけが』」
「『わたくしを殺す、正当な理由と権利を有しているから』」
「ご存じだったのでしょう?」
「確認のつもりでしたか?」
「誰も忘れていません」
「わたくしは『災厄』です」
「例え、世界が忘れても」
「あなたとわたくしだけは、その事実を忘れることはありません」
「……そうでしょう?」