シナリオ

⚡️二千五百と少し

#√妖怪百鬼夜行 #紅涙流離戦 #紅涙最終決戦

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⚡️最終決戦:|東京百鬼夜行《トウキョウデモクラシィ》

これは大規模シナリオの最終決戦です。
5/25朝8:30までに成功した全ての最終決戦シナリオの舞台に『絶対防衛領域』が完成します。
絶対防衛領域の内部では、不思議な力によって、簒奪者に民間人が殺される事がなくなります。

また、その時点での「戦勝数」によって、各「絶対防衛領域」の広さが決まります!
戦勝数=作戦1〜5の成功シナリオ数÷2+最終決戦の成功シナリオ数
※つまり、現存する作戦1〜5を攻略する事も、勝利に貢献します!
※到達した戦勝数までの全結果を得られます。つまり戦勝数80なら全ての結果をゲット!

絶対防衛領域の広さ

戦勝数50:各シナリオの舞台の「マニアックな個人商店ひとつ」。
戦勝数60:各シナリオの舞台の「最も有名な建物ひとつ」。
戦勝数70:各シナリオの舞台の「最も有名な建物から最寄り駅までの道及び周辺建物」。
戦勝数80:√EDENの同じ地域も絶対防衛領域になる。

●よんひゃくごじゅう
「わーぉ、とんでもないことになってるなぁ!」
 東京スカイツリー、第2展望台にて。
 飲めや歌えや騒げや騒げ。目下広がる光景は実に愉快、愉快。上空に陣取った古妖は楽しげに笑う。

「なーにみんな乗り気になっちゃって。俺も混ぜて欲しかったな!」
 そうは言いつつ、加担したのは『簒奪』側であった。やんややんや。ガタガタ音を立てているのは階段からか、ここからでも聞こえるとは何とも、何とも。

 遠目ではあるが、いや遠目であるからこそ、見えるものは愉快である。巨大な妖怪が暴れていたり、煙が空へが延びていくのが見えたりと。

 さて――エレベーターは使えない。雷を操るもの、その程度のもの止めていないわけはない。
 使えるものは、そう。

 ――2500ともう少しの、階段――!

「下手な怪談より恐ろしいと思うけど」
 くだらない言葉遊びと共に、『青天の霹靂』は外を見て。空中から迫ろうとしていた古妖をその雷で叩き落とす。
「登ってくるかな?」
 来ないと、困るけどさ。

●おとどけもの。
「厄介事の『お届け』だー!!」
 オーガスト・ヘリオドール(環状蒸気機構技師・h07230)、ずざーっと滑り込んできてはカプセルを投げる。カプセルから投影されるホログラムには、東京周辺の地図……√妖怪百鬼夜行のものが映し出されている。
「ちょっと遠いけど、東京っちゃ東京だ」
 そうして指し示すは――東京スカイツリー。名の通りに青く高い塔、その地上から450mの展望台に。

「ここに、居座りやがったやつがいてね……」
 げんなりとした顔で、オーガストはため息をついた。何があったか? 聞いても無駄だ。

「さて作戦! もう東京じゅうに溢れかえってる古妖たちと協力して、停電中のツリーに登って、『青天の霹靂』をぶっ倒す! ほっとくと遠方から雷落としまくって被害が出る!」
 ――とはいえタワーは停電中とのことである。となれば、どうする? 当然こうする。

「……妖怪たちはあの……元気に階段登ってる」
 どういうこったよ。
「空からの突入はできないってわかった瞬間のコレだからね! 『誰が真っ先に突入できるか』で競争してるみたい」
 君たちも混ざる?
 頬杖をついた星詠み、実に楽しそうである。

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第1章 ボス戦 『青天の霹靂』


クラウス・イーザリー

「(この高さを……階段で??)」
 それ以外に手段がないってんだから困りますよね。見上げるは地上から450mの展望台。あそこに居座るは青天の霹靂。名の通り雷を操り空を愛する古妖である。見えないけど。
 たまにバチっと雷霆が落ちているのは無謀にも上空から突入しようとしている古妖への攻撃か……。

「押すなって!」
「あっコラ今尻尾踏んだだろ!? 誰だ!」
「だっこのっ引っ張んじゃないよ!」
 普段は使用禁止となっている非常用階段……に、妖怪たちがひしめきあっている。
 無茶〜! とは思えど見事に上を取られている。止まったエレベーターを無理やり動かそうとしても『青天の霹靂』がピンポイントで撃ち落としてくるだろう。

「地道に登るしかないよね……」
「んだ」
 クラウス・イーザリー(太陽を想う月・h05015)の言葉に、横に居た妖怪がこくりと頷いた。
 お祭り騒ぎで一番乗りしたところで何があるかといえば、悪しき古妖との邂逅だ。だというのにこの行列、ノリだけでこうなってしまうのだから妖怪たちというものはおもしろい。
 古妖たちに混ざり階段を登っていくクラウス。体力に自信は……そこそこだが。
「ごじゅー」
「ひゃーく」
「にひゃーく」
 ……なにかを数える妖怪の声。
「そ……それ、やめてもらえるかな……?」
「にひゃくろくじゅうにー」
 クラウスの頭に乗った、小鳥のような妖怪。それに、登った段数を口に出されている……。
 意識してしまうと、流石に息切れがしてくる……この状態で残り段数を登れと? 元気に駆け上がっていた妖怪たちも足取りが重くなってきている。
 ならば……少々卑怯だが!

 ――標的! 『展望台近くのインビジブル』!
 一抜けた、とばかりに光輝の翼で飛び上がったクラウス。外側を飛行すれば青天の霹靂の雷、その餌食になるだろうが……階段に沿っての低空飛行なら問題ないはずだ!
「あっ! ズル! ズルだぞそれ!!」
「空間の有効活用だよ」
 とはいえギチギチ、階段という狭い空間を飛ぶのだから相応気を遣うし、なんならちょっと掠ったりもしたり、手を伸ばされたりもするのだから厄介だ!

 さて。
「にせんごひゃくにじゅうにー!」
「……あー! 見ッッ」
 ――覚えがある。言い切る前に炸裂したのはクラウスの全力の飛び蹴りだ! 小鳥の古妖がそのまま後方へ吹っ飛んでいく。
 一番乗りはクラウスということで!

「階段を登らされた恨みを食らえ!」
「もう食らってる!!」
 軽く咳き込みつつも体勢を立て直した青天の霹靂。展望台内へと雷を放ってくる彼の攻撃を往なしながら、槌型に変化させた魔力兵装で思い切りぶん殴る!
「ねえ! 俺見覚えあるんだけど! ねえねえ! 君、名前は!? まだ聞いてないよ俺!!」
 真白い翼の古妖は喚く。何言ってんだ。名乗りがあるほうが本来おかしいんですよ。まったく。

 結局は喚いている間に吹っ飛ばされ、ガラス窓へと叩きつけられた。ぴしりと嫌な音。
 ひとによってはちょっとゾッとするかもしれないそれの後、小鳥の古妖が甲高く鳴いた。
「よんひゃくごじゅうめーとる!」

虚峰・サリィ

 百鬼夜行はどこまでも。
「一番乗りが出た!?」
「知るか……目の前に階段がある……登らん理由はない!」
「あるか?」

 虚峰・サリィ(人間災厄『ウィッチ・ザ・ロマンシア』・h00411)の目前に広がるはせっせと階段を登る妖怪たちの姿だった。
 なんとも愉快、愉快。この期に及んでズルをしようとしている古妖はまだいるらしい、ばちりと爆ぜた雷鳴には聞き覚えがある。

「さて、じゃあ青天の所まで行くとしましょうか」
 サリィは|百鬼夜行《デモクラシィ》の列に並び。

「――馬鹿正直に階段を登るとは言ってないけどねぇ?」
 そりゃそうだ。二千五百段? 登っていられるかそんなもの! さあ、本日のご機嫌なナンバーは『|明星・一番星のカデンツァ《ナンバーワンシャイニースターカデンツァ》』!
 纏うは明星外装! どこまでも自由に輝くがよろしい! 階段で詰まっている妖怪たちの上を飛行しはじめた。
「ウワ! また上から!!」
「卑怯だぞーっ!」
 妖怪たちの文句などどこ吹く風だ。途中大きな妖怪が立ち止まって休んでいる、その隙間をさらっと抜けつつ、二千五百段を星のように駆け上がる――! 先駆ける一番星、止められるものはそんなにいない。
 相当な速度だ。本来ならとんでもなく時間がかかる階段はあっという間……といっても数分はかったが、無事に頂上までたどり着いた。既に到着している妖怪もいるようだが、その大半がもうバテている。当然か……。

「ハロー、青天」
「え何――」
 どうも、ご挨拶と同時の攻撃だ。星光穿撃による鋭くスピードのある攻撃が青天の霹靂にぶつけられた――!

「またアンタなの? 秋葉原に引き続き、よっぽどのお祭り男ね」
「けほ……あっ! 見覚え! そりゃ、これだけのお祭りだ、楽しまないとね!」
 吹っ飛ばされた先、顔を上げた青天の霹靂が楽しげに声を上げた。記憶力がしっかりしているタイプのようである。確かに会ったことがある! 名前はなんだったかな、と考えてみたが――パッと出なかったので諦めた。そんなことよりもこの危機的状況、打開せねば。|EDEN《敵》が目の前にいるのだから!
 天神様の言うとおり! 直後、翼を雷光へと変化させて稲妻を放ってくる!

「ほら、外は飛ばずに階段を使ったわよ」
 飛行経路としてだけど。
「二千五百段分の『滑走路』をありがとう」
「そいつはどうも! ここに居座った甲斐があるってもんだよ!」
 感謝されていないのは分かっていても、ウィットには同じ温度で返すのが流儀である。エレキギターが奏でる旋律と雷が轟音を立ててぶつかり合う――! 隔絶結界が稲妻を弾き、青天の霹靂もまた全力でそれに応じる。

「悪いけど、フィットネスの予定は自分で組んであるのよねぇ」
「階段上がるのは微妙? でも、|これ《戦うの》は楽しくて絞れるでしょ!」
 笑う古妖の過電流に乗せて唸るホワイトスター・トップテン。ご機嫌なナンバーに混ざる轟音、乙女心をいまいち分かっていない青天の霹靂は鼻歌を歌いながら、サリィの攻撃をなんとか凌いでいる――少なくとも、今のところは。

神咲・七十

「う〜ん、これは普通に登るの無理では?」
 多くのものがそう思いながらも、無謀にも徒歩で登っております。えっさほいさとぞろぞろ百鬼夜行、ぐんぐん上昇中。頂上到着組も増えてきたところでしょう、しかし列は長い! 非常階段、イベントでの開放日より大賑わいです。
 神咲・七十(本日も迷子?の狂食姫・h00549)は唇に指を当てながら、隣でそれを真似する|邪神の欠片《フリヴァく》と共に様子を見る。だが登らねばならない。ならないのだ!

「こうなったら登らせて貰いましょう」
 こういうときこそ|隷属《催眠》だ! 古妖たちに多少ダメージが行こうとも――。
「あででっ! 押すなよ嬢ちゃん!」
「いてっ、あっ、ちょ、上! また上!」
 口ずさむ『アイズ』。古妖たちが道を開ける――というのは語弊があるか。古妖の頭上を、よいしょよいしょと手渡しされ、階段をゆっくりとではあるが登っていく!
 その手があったか。|わたくし《地の文》は普通に感心してしまいました。
「パンツみえた!」
「何色!」
「役得だぃ、言うわけねえだろ!」
 こういうのが出ても勘弁しといてください。

 どうやら先頭まで古妖たちでみっちり、これなら曲を変える必要もないだろう。疲れた|彼ら《古妖》もこき使え! えっさほいさ。上を空けてくれているというのは助かるというものだ。
 そして、いい加減「歩くより早そう」ということで……上の空間を飛び始めた古妖も出始めた。口の中で飴玉を転がしながら、手を振ってご挨拶。流されるように上へ上へと登っていく七十とフリヴァく。

「……ちょっとあれな気もしますが、私だと絶対途中で転けますし……」
 ちょっとね。ぽんやりしていることが多い七十だ、密度の高いここでコケたらどうなるか……考えるだけでも恐ろしい! 隣で飴玉ころころ、もにょもにょ歌い続けているフリヴァくも頷いている。

「んぅ……着きましたね」
 そうして頂上付近までたどり着けば……階段を登るだけで燃え尽きた古妖たちと、それをつついている『青天の霹靂』のお出ましだ。

「あれっ。普通に登ってきたの?」
 今まで普通じゃない登り方ばかりされてきたからか、青天の霹靂は目をまんまるにして驚いている。
「では、全力で♪」
 フリヴァくと共に歌い始めるは『チル・マイ』――場に溢れる隷属者たち――そしてついでにその場にいた古妖たち! 視界が一気に敵に塞がれ、青天の霹靂はすぐさま声高らかに、天を指さす。

「|白鳥は白いもの《ブラック・スワン》!」
 ずてん。先頭の隷属者たちが何故かころんだ。それに続いて将棋倒しのように転んでいく隷属者、しかしそれを乗り越えて、他の隷属者と七十が青天の霹靂へ迫る!

 体力の温存はばっちりだ。しっかりと戦わねば……犠牲となった(?)古妖たちのためにも……!
 いや犠牲になったわけではないとしても。うん。

「さあ、覚悟して受けてくださいね♪」
 両手に持つ鎌が、青天の霹靂を引き裂く――!!

赫夜・リツ

「わ、ほんとだ……! 妖怪たちが階段を登りまくってる」
 たったか、せっせ。赫夜・リツ(人間災厄「ルベル」・h01323)の前で階段を登っていく妖怪たちの姿を見て、感嘆の声を上げるリツ。
 結構な高さだし登るの大変そうだけど……と、顎を揉みながらリツは考える。誰が一番乗りかなんてもうどうでもよさそうだ。だって登ることに意味があるんだもの。切り替えの早い妖怪たち、今度は登りきれるかどうかのチャレンジに移行しているようであった。
「きみも登るのぉ?」
 どこかぽへっとした感じの化け狸が声をかけてくる。登るというか、登らなきゃというか……。

「うん」
 はい。
「行くしかないね、登っていこう」
 行きましょう。覚悟を決めて、リツは階段の一段目に足をかけた。レッツゴー地獄への片道切符!

「――うぅ……妖怪が多くて階段登っていくのが難しい……」
 足元を小さな妖怪がうろちょろ。上のほうは大小さまざまな妖怪が飛んでラクして先に進んでいる。前はまあみっちり、たまに力尽きてる妖怪が階段に落ちている始末である。
「だ、大丈夫?」
「おお……」
 何があったんだ。普通に疲れ切ってるだけなんですが。リツは息を吐き目の前を見る。楽しげに登る妖怪たち、疲労を隠せない様子ではあるが、皆まだまだ登る気だ。ともあれ密度は相当、こんなんじゃいつ転んでもおかしくな……と。
 ……フラグが立ったら「そうもなる」のがお約束でございます。

 ――すりりん。
「……あ……」
 なんかすっごくもふっとした妖怪の気配。もふっとしてすりりん。もぞもぞ、ごろん。
 ずべ。

「ぐあっ痛ぁー!」
 あっという間のフラグ回収である!! すっ転んで脛を庇うリツの上にぴょんこと乗る、いぬっぽい謎のまんまるもふもふ。そう……すねこすり!
 満足気にリツの脛を破壊したあと、ぽみぽみ跳ねるようにして階段を登っていく。なんてじゃあくな妖怪だ!
 真面目に昇ろうという気はあった、あったのだが。これでは……ちょっと無理がある。
「す、すみません……脛が痛すぎるので……!」
 選んだのは……空中ダッシュだ! 滞空しながら時折壁を蹴り、速度を上げながら階段を上がっていく。
 脛はまだ痛いがそうも言っていられない! なんかたぶんおそらくきっと絶対青くなってると思うが今は見てもいられない!
 これだけの為に|諦めない心《再起を願う》を使うのは、ちょっと……とかそんなこと言ってられないのである。
「……お……おお……力が……!!」
 なんか周囲の妖怪たちも元気になってきた。やったぜ!!

「――あ! ズルして来た!!」
 さて、もうズルか徒歩か判断して楽しんでるなコイツ。『青天の霹靂』が笑いながらリツを見た。
 諦めない、諦められない戦いがここにある! 異形化した腕、その眼球と目を合わせ頷くリツ。一撃目――全力をかけて殴りかかったはずだが、それをひらりとかわすはブラック・スワン理論!
 雷の音が轟く中で、青天の霹靂は笑っている。
「君、なかなか度胸があっていいね! 気に入った!」
「気に入られても困るかな!」
 翼がリツの拳を受け止めるが、それでは足りない。重い一撃を喰らい顔をしかめる青天の霹靂。ばちり爆ぜる音と共に、両者、距離を取る――!

弥久院・佳宵

「なるほど……東京スカイツリーの展望台」
 見上げてみる。首が痛い。数歩下がってもそれでも首が痛い……。はるか彼方と言って差し支えない高度である。
「この高さを、徒歩で登るしかない……」
 弥久院・佳宵(人妖「九尾狐」の不思議古書店店主・h02333)は顎を揉む。まず戦闘に入るまでが、文字通り『長い』――!
 青天の霹靂の元にたどり着くことすら、並の者では一苦労。空中戦を得意とする敵が陣取るにはふさわしい場所だ。

「えっほ、えっほ」
「それもうかなり古いぞ」
「うるせぇやい。元からあった表現だろが。おれらに古いも何もあるか」
 なので、古妖たちもこのように真面目に……真面目に? 足を動かしているのである。だいたい今まで真面目じゃない| 《?》登り方をみなさんしていらっしゃりましたからねえ。

 一番乗りは既に出たようだが――。
「……よろしい、その挑戦受けて立ちましょう」
 歴史ある武家の跡取りたる者――この程度こなせずになんとします。
 ……ほんとにだいじょうぶ? 武家って今関係ある!? プライド問題というのなら仕方がない。こんなことで傷がつくような家柄ではないと|わたくし《地の文》は思うわけですが、まあ大丈夫というのなら、いきましょう!

 ――駆け出した佳宵。妖怪たちの隙間を縫うように、素早く走り抜ける――!
 するりと横を抜けていく佳宵に驚いた様子の妖怪たち。最初からトップスピードだ!

 百、五百、千――までは体力がもったが。
「……流石に……!」
 ですよね。詰まっている妖怪たちの前で一休みとばかりに息をつく佳宵。呪符を用いて体力を回復させ、呼吸を整える。
「あと何段……」
 考えちゃダメっすよ。休んでいる間にも横をみちみち抜けていく古妖たち。それに負けじと、佳宵も懸命に階段を駆け上がる――!

「……とうとう普通に登ってきちゃった!!」
 ちょっとボロくなりつつある真白い男、青天の霹靂。本当にね、ズル前提みたいな段数でしたからね。
 佳宵の姿を目にして指をさした青天の霹靂だが、すぐに真面目な様相に切り替える――。
「永久に宿りし魂よ」
 構えられた久遠輪閃、その予備動作を見逃すような隙は晒さない!

「――天神様の、言うとおり!」
「――この刃に――応えよ!」
 背の翼から放たれる蒼い雷光と、佳宵の放った永久の魂からの力、それがぶつかり合う!
 雷での遠距離攻撃を得意としているのだ。近接はやや不得手のようだが、それでも青天の霹靂は久遠閃をなんとか往なして雷撃を撃ち込んでくる。
 佳宵は痺れる体を動かし――呪符と霊糸を飛ばし片翼を展望台の窓へと磔にする。動きが鈍ったその隙に、そのまま佳宵は追加の久遠閃を放った!

 ばきん。
 ……高所恐怖症が真っ青になるような光景が目前に広がった。
 窓を突き破りあわや落下寸前、そこを羽ばたいて上空へと舞い戻る青天の霹靂。

「っ……絶景のプレゼントありがとう!」
 皮肉めいた言葉に笑みを返す佳宵。確かな一撃が、青天の霹靂に叩き込まれた瞬間だった。

遊・悠

 ひとりだけ空気がちがうぞ。
 ぽかぽか陽気である。まさしく春! なんとも優雅な! バチバチ言ってるのはあんまり気にしていない様子の遊・悠(はるかはるかに・h12535)、ウキウキであった。
「うむ、高度こそ控えめだが……こちらのスカイツリーもなかなか見事なものだ」
 東京観光といったらそりゃあスカイツリーである。高度控えめ……と考えているようだが、いや……結構……結構だぞ!? というのは置いておいて。

「ここに私のシャボン玉を飾れば、さぞ……」
 ぷかり。仙杖を振れば生まれるシャボン玉。ぷかぷか……遥か高くまで登っていく。おおー。と妖怪たちと見ていたその瞬間。

 ばっちん。――唐突な落雷で、シャボン玉が消し飛んだ!!

「ぬあーーーーーーっ!!!??」
 せっかくの彩りに何をしてくれておるのだ!! 見事な虹色のシャボン玉が雷撃によって爆ぜた!
「何だ!? 敵襲か!? どこのどいつだ私の作品をぶち壊しやがったのは!!」
 敵襲ですし、相手は作品と考えていなさそうですが、とりあえずぶち壊したのは事実である。高所を眺める悠……その目に映ったのは、白い翼を羽ばたかせて雷を落としている、人型の古妖の姿であった。
「……あの飛んでる奴か! ふざけやがって!!」
「あのぅ……」
 悠、ちょっと地団駄。そこへちょいちょい、と声をかけてくる妖怪がいる。黒焦げである。何があったか、お察し。

 黒焦げ妖怪曰く……。
「――ぬぁにぃ〜? 飛ぶのは駄目?」
「はい……下手な速度だと撃ち落とされます」
「エレベーターも停電?」
「あれが止めてしまって……」
「非常階段のみ?」
「二千五百段とちょっと、あるそうです」
「……にせんごひゃくちょい〜!?」
 登れるかそんなもの!! 同意ですね!! 普通の足でも登り切るのは困難!! なのに途中で諦めると登るか下るか選ぶしかない絶望的な段数である。よくよく考えたら狂ってるな。誰だ設計者。

 そんなんまともに登っていられるか!
 悠は周囲を見回す。探すは速そうで贈賄とか好きそうな妖怪だ。超具体的だが、そういう人間的っぽい妖怪というのも√妖怪百鬼夜行には溢れているもので。

 見つけたのは天を見上げている天狗の姿である……まるで観光客のように眺めていた彼に。
「ぐおっ!?」
 万円札束ビンタ!! 容赦はしねぇぞ!! √能力じゃあないんですけど目がくらむくらいの札束である。さすがボンボン、分厚いぜ……。
「おい、私を上まで運べ! この札束が謝礼だ!」
 魅了までかけちゃって、まあ! なんてオーバーキルでしょう! しゃあねえなあとばかりに頭を掻いた天狗……交渉、成立!

「マトモに階段登りますかい?」
「いらん!! 策がある!!」
 天狗の背に跨った悠。はじめてじゃないですか? 外から来ようとしてるEDEN。
 一気に高度を挙げる天狗――さすがのスピードだ! 繰り出された雷撃、その一撃目を避け、二撃目をスレスレで避ける。そこから繰り出されるのは――|火神泡泡砲《シャボンバルカン》、マシマシだ!!

「おっと!? こっちから!?」
「ブチのめしてやる!! 覚悟ォ!!」
 お話通じなさそうなの来ちゃった。雷撃を放つ『青天の霹靂』の目前に広がるは、色とりどりの泡のパレードだ。テンテケテンテン……。あ、これセーフなBGMですか? エレクトリカルな感じですけど。

「ふうん……俺に空中戦を挑もうなんて、ねッ!!」
 放たれた無数のシャボン玉に対して。雷と化した翼、そこから繰り出される過電流が泡を割っていく――が、どうにも頑丈だ。割れる速度が遅い……!
 怪訝な顔をして距離を取る青天の霹靂に、追撃とばかりにぷかりぷかりと仙杖から泡が放出されていく。
「雷なんぞに負けはせん!!」
「あだっ!?」
 真正面から向かってきた泡、それを避けた先にあった泡へとぶつかり、青天の霹靂が思わず声を上げる。これは、シャボン玉どころの硬度ではない……! 何を隠そう、特殊なシャボン液によって強化されているのだ。
「このっ……」
 繰り広げられた弾幕の中、翼が蒼く輝いた。周囲を染めるほどの雷光がシャボン玉に反射し、うつくしい光景を作り出す。

「……ほーん、雷の翼か」
 いけ好かない野郎だ。だが、その翼は美しい。
「が、それはそれ! これはこれ!!」
 当然!! 美しくとも敵は敵、破壊されたシャボン玉の恨み――他のこと? まあいいかなって――を喰らうがよい!!

「死ねぇい!!!!」
 ド直球の怨嗟と共に、無数のシャボン玉が青天の霹靂を包囲した。その上から素早く叩き込まれた泡が、まさしく玉突き事故のように連鎖を起こし――!

「――わっ、あ、あぁ~~……ッ!!?」
 ……青天の霹靂を、四百五十メートルと少しの高度から地上まで、叩き落としたのであった。
 下で轟音がする。かなりの重労働を強いられ続けていた天狗がゆっくりと降下していく中で、悠はふんすと鼻を鳴らした。
「私の作品に手を出したこと、生涯後悔するがいい!!」
 めっちゃ後悔しそう。

 かくしてスカイツリーは元の静寂を取り戻……さない。
 よいしょ、よいしょ。事件が解決しようが、停電が直ったことに気づいていようが、妖怪たちはまだ登っている。
 降りる時はちゃんとエレベーター使いなよ、みんな……。

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