15
|黄昏石《トワイライトジェム》を探して
●炎と夕日の街『トゥラモンテ』
|黄昏石《トワイライトジェム》。それは火山ダンジョンの傍に位置する鉱山街『トゥラモンテ』で採掘できる、この地域特有の宝石である。色は主に暖色系……赤に橙色、金色と様々で、夕焼けのような模様が特徴だ。
炎と夕日の街とも呼ばれるトゥラモンテは、火山ダンジョンの影響で炎属性の魔力による影響が強く、夕日は燃えるような茜色を魅せる。見晴らしがよいダンジョンの上から街を見下ろして、簒奪者『ラディス』は悪巧みをしていた。
「ふふっ、かの有名な黄昏石『夕夜の星空』……絶対に手に入れてみせるわ」
強欲なラディスは街の至宝である特別な黄昏石を狙っていた。
魔法結界による厳重警備で記念館に保管されているが、彼女には考えがある。
「仕込みは完璧……あとは火山が噴火するのを待つだけよ」
●宝石を狙う者
「ある街で大切にされている宝石が簒奪者に狙われます。皆様にはそれを守っていただきたいのです」
|泉下・洸《せんか・ひろ》(片道切符・h01617)は、集まったEDEN達に観光ガイドを見せた。
そこにはこう書かれている。――炎と夕日の街『トゥラモンテ』。炎の恵みを受けた鉱山の街で、あなただけの黄昏石を手に入れよう――。
「火山ダンジョンの恩恵を受けたこの街では、宝石がたくさん採れるそうです。一部のエリアは観光客に開放されていて、自分で採掘した宝石を装飾品にできるそうですよ」
|黄昏石《トワイライトジェム》と呼ばれる宝石で、暖色系の燃えるような模様が、夕焼けに似ていることから名付けられた。ダンジョンから漏れ出す炎属性の魔力の影響で、採掘した宝石はほんのりと熱を持っているらしい。
宝石だけでなく、景色も魅力のひとつだ。渓谷に沿うように白い石造りの建物が並び、晴れの日の夕方には鮮やかな赤色に染まる。夕日に照らされた赤い街並みは絶景だ。
「この街で事件が起こります。ラディスという簒奪者が、特別な黄昏石……『夕夜の星空』を奪い取るために街を襲うのです」
『夕夜の星空』はトゥラモンテの至宝だ。鮮やかな赤と深い青色がグラデーションになった宝石で、オパールの遊色効果のように煌めく光が星のように見える。深い青色の黄昏石は非常に珍しい。そして赤と青が混ざっている物は、さらに貴重なのだ。
「現在は市立記念館に保管されています。魔法結界で厳重に守られていますが、ラディスはこの結界を壊して強引に奪い取るつもりのようです。火山ダンジョンを形成する『天上界の遺産』に密かに手を加え、噴火を起こすように仕向けたようです」
噴火するタイミングは予知で把握済だ。空が夕日に染まり、日が落ち始めた頃。ダンジョン内から火山弾が噴き出し、街に向かって落下してくる。既に火山は噴火に向けて活動を始めている状態で、噴火そのものを止めることはできない。
「幸いにして火砕流や溶岩、火山灰といった物質はダンジョン内に留まるため、街に流れ出すことはありません。ただし、火山弾が街……とくに記念館に当たってしまえば、結界は破壊されてしまいます。ラディスの狙いはそこでしょうね」
そうして混乱に乗じて『夕夜の星空』を奪うつもりなのだろう。彼女の好き勝手にやらせた場合、街の被害は計り知れない。
「なので、皆様にはダンジョンから降ってくる火山弾から街を守りつつ、記念館を襲撃しにきたラディスを倒してほしいのです! 火山弾はご存知のとおり大きな岩の塊ですが、EDENの皆様であれば砕いて無力化できますよね」
なお面倒なことに、噴火前に街の人々を避難させようとした場合、ラディスは計画を変更してしまう。そうなれば撃破が困難になるため、事前避難はさせられない。
「ラディスは街に隠れて噴火の時を待っています。彼女に悟られぬよう、最初は観光客として街に入ってください。せっかくですから、トゥラモンテを楽しんできてはいかがでしょう?」
●トゥラモンテ観光
√ドラゴンファンタジーの鉱山街、炎と夕日の街『トゥラモンテ』は、火山ダンジョン周辺に形成された渓谷地帯だ。炎属性の魔力の影響で年間を通して暑く、日中の気温は常に30℃前後……日によっては40℃を超えることもある。
トゥラモンテは火山ダンジョンから溢れ出る魔力の恩恵を受けており、この地域特有の宝石『黄昏石』が豊富に採掘できる。現在は観光名所として一部の採掘場を解放しており、観光客もそこで黄昏石の採掘を楽しめるとのことだ。
採掘を希望する人は、『鉱山内部』か『渓谷を流れる川』を選んでほしい。
なお、どちらも採掘できる黄昏石に違いはない。採掘できる石の色は、暖色系の色合いが一般的だ。寒色系の、とくに濃く深みのある色は非常に珍しく滅多に産出しない。
黄昏石を採掘した後は、街の工房でアクセサリーを制作できる。トゥラモンテお抱えの彫金師がサポートしてくれるので素人でも安心だ。
事件が起こる当日は雲一つない快晴である。夕方には燃えるような茜色の夕日が、渓谷の岩肌を照らすことだろう。
……ちなみに簒奪者が狙う『夕夜の星空』が保管されている記念館については、街の中央に建てられている。残念ながら事件当日は休館日とのことで、事前に入ることはできないそうだ。
第1章 日常 『冒険王国の観光名所』