シナリオ

『メイドさんと量産機』

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 ——『メイドさんと量産機』
 √EDENのとある商業施設に置かれた、アーケードゲーム。
 横スクロールシューティングのそれは、プレイヤーがメイドを操って、大量にやってくる量産機ロボをお掃除していくゲームだ。
 昔ながらのゲームシステムは地道にファンを集め、そのゲームセンター周辺地域に限ってはかなりの認知度となっていた。
 日夜通う者もいて、ゲームの世界に入り込みたいと願う者すらいたかもしれない。
 果たしてそれを聞き届けたのか、それとも単なる偶然か。
 閉め切られた店で、その筐体が光り輝く。
 ——ガショガショ。
 量産機の行進する音が、どんどんと大きくなっていった。


「『メイドさんと量産機』。そんなゲームが最近はやっているみたいでして。どうにもそれに登場するキャラクタが—、√ウォーゾーンに実在する存在と重なっているみたいなんですよ」
 星詠みである二軒・アサガオは、√能力者に語り掛ける。
「誰かが意図的にそう作ったのか、無意識に生まれてしまったのか。それは分からないのですが、とにかくそこからゲームのキャラクターが飛び出してくるみたいです。それだけでしたら夢見たいですけどね」
 彼もゲームは好きらしいが、事件が起きるとなっては素直に喜べない。
「ゲームキャラクターとして認知されている分、人々の警戒が薄いようです。そのせいでむしろ人を集めてしまい、それで暴れてしまえば取り返しがつかなくなります。なので、早急な対応をお願いしたいんです。よろしくお願いしますね」
 そうして扉を開き、星詠みは√能力者を送り出した。
「ゲーム自体は面白いみたいなので、事件が片付いたら遊んでみるといいかもしれませんね」

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第1章 集団戦 『バトラクス』


石動・悠希

 星詠みの話を聞いた石動・悠希はふむと考え込む。
「造ったゲームと別の√がリンクしてる、ですか。ありえない話じゃないと思う…とはいえこちらでプレイした結果がウォーゾーンでの戦火拡大に繋がるというのであればこれは間接的な利敵行為になってしまうかもしれないのでシステム自体の破壊をした方がいいかもしれないけど……」
 そこで思案のために俯けていた視線を持ち上げた。
「まずは、あちらをどうにかする方が先でしょう。」
 訪れた街中では、既に自立した機械群が闊歩していた。
 とにかくと、彼ら出身のゲームになぞってシューティングで倒していく。構えた銃を携え、街中に被害が出ないよう的確に狙い打った。
 ——パシュン、パシュン。
 打倒されるたびそれは音を立てて消えていく。ゲームの仕様そのものだった。
「…なんで見た目まで同じにしたよ制作者。」
 そうしなければこんな事態にはならなかったのではと思うが、いない存在に愚痴をこぼしても仕方ない。
「きりがありませんね」
 攻撃してこられていると分かったら、その量産型は標的を変えた。どこからともなく溢れ出す自立機械たちが、じりじりと歩み寄ってくる。その数の多さは、対処よりも早く押し迫ってきた。
 なら仕方ないと爆破による破壊工作で一掃していった。

カヌチ・フォージ

 カヌチ・フォージはその金属音に釣られてやってきた。
「あのね、おかーさんにハンマーがあれば大体解決するって教わったの」
 幼い呟きを零しながら、最適な素材だと飛びかかる。その丸いフォルムに複雑な機構。まさしくハンマーに相応しいと収拾に走った。
 未だハンマーは鍛冶用しか持っていないため、振るうのは大剣だ。自立機械を切り払うと、その脅威を認識して更に集まってくる。
 ——ガショガショ。
 機械の足音が増えていくことに、カヌチ・フォージは目を輝かせた。
「これでハンマー作れるー!」
 歓喜しながら敵の攻撃は受け流し、重量攻撃による一撃をぶち込む。散らばる破片に気が取られながらも今は全てどうにかしようと足音に集中した。
 √能力【ジャイアントハンマーコンボ】によってゲテモノ菓子を故障しそうな部分に流し込み、動きを止める。
「ギャッギャー!とりあえずぶちかますねー!」
 無邪気な笑い声をあげて、機械たちを吹き飛ばした。周囲一帯に動く気配がなくなり、カヌチ・フォージは思い出したように首を傾げる。
「ところでゲームってなに?」
 沈黙したバトラクスに聞いたところで答えが返ってくるはずもなかった。

藤原・菫

 藤原・菫は星詠みの予言に対して、知識を語った。
「私はこの世界のことは少し調べていてね。メイドさん・・・まあ、使用人の女の方は何人かいるね。働きもので有能だ。歴史の中でメイドは色んな表現をされてきた。」
 きっとその情報が役立つだろうと、ゲームのことも調べつつ現場へと向かう。
 街中では既に自立機械たちが、道中を闊歩していて、それに人々が群がっていた。
「ゲームキャラクターとして認識して現実味がない。危険だね。まずはこの武装した球体の排除だね。この群れだけでも危険だ。」
 その機械が進行方向の一般人も気にせずその巨体で踏み潰そうとして、直前で攻撃を仕掛け、意識を向けさせた。
 脅威対象を見つけると、それらはたちまち行進してくる。
 敵の性能を分析する藤原・菫は、自分の最適な行動を模索した。
「いくらかくらっても回復力で持たせて攻撃しようか」
 そうして方針を決めた彼女は、機械群に囲まれながらも一歩も引かず応戦する。√能力【月神の一撃】を放ち、大半を対処していく。
「それなりに抗わせてもらうさ」
 少し挑発的にそう呟いた。

鳳・楸

 鳳・楸は星詠みの予言を聞いて、すぐに現場へと駆け付けた。
「これは、すぐに対処しないといけませんね」
 街中を闊歩する自立機械群。それに警戒もせず一般人たちは群がっており、このままではすぐに被害が出てしまう。
 まずは一般人たちの避難を行い、機械たちの注意を惹きつける。
「一体どこからこんなに出てくるのでしょうか?」
 数があまりにも多い。元を絶たなければと思うが、その行列によって先へは進めそうになかった。
「とりあえずは数を減らしましょう」
 機械たちは、まともな攻撃手段は持っていない。ただ突進するだけで、しかしその重量は容易く人を押し潰してしまえた。
 鳳・楸は冷静に対処しながらも、時に豪胆に踏み込む。小柄な体なため、かなり接近してから刀を振るった。
 数が多く、倒し漏れるものも出る。それらにはすかさず銃を抜き、機械の関節を打ち抜き動きを止めた。
「これなら何とかなりそうです」
 鳳・楸はそう呟きながらも決して気を緩めず、機械たちを処理していった。

第2章 集団戦 『シュタインズ・メイド』


 ——ゲームクリア!
 どこかのゲームの筐体で、そんな文字が表示された。エンディングが流れ、スタート画面へと戻る。
 ゲームを始める最初の画面。そこには『エクストラモード』という者が表示され、誰も捜査していないのに選ばれる。
 それは、プレイヤーの残機が最大値まで補充された、特別ステージ。向かい来る機械に退治するメイドが、画面に現れて。
 そしてそれは、飛び出した。
「……」
 実体を持ったメイドは、意思のない瞳で街中をさまよう。
 ——残機998
 その数はまた一つ減り、そしてメイドを野に放った。
カヌチ・フォージ

 カヌチ・フォージが、先ほど倒したバトラクスたちがハンマーの材料にならないか試行錯誤していると、新たな足音が押し寄せてくる。
「えっと、悪いメイドさんってことであってる? ならとりあえず武器で殴るねー。」
 振り返ると、大量のメイドが建物から出てくるところだった。それに自立機械たちを同じものを感じ、得物を構える。
 すると敵意を感じたメイドたちは襲い掛かってきた。それらは本来、自立機械たちをせん滅する役目を持っている。ならば先の戦いよりも苛烈になるのは間違いなかった。
 出し惜しみせず、カヌチ・フォージは√能力【ジャイアントハンマーコンボ】を行使する。
 鉄くずなら辺りにいくらでもある。それらを投げて牽制し、殺到するメイドたちにゲテモノ菓子をうんと食わせて捕縛、いつの間にか作っていたジャイアントハンマーで蹴散らした。
「待ってー、悪人さんならとりあえず殴らせてー」
 追いかけまわすと、敵の大群が増えていく。それにぎょっとして、慌てて逃げ出した。
「うわーん!」
 泣き始めるとそれに動揺してメイドが一瞬固まる。しかしそれは嘘だ。隙が出来ればすかさずジャイアントハンマーを振りぬいた。

藤原・菫

 藤原・菫は新たな足音に振り向く。
「あ? いつのまにかゲームが終わり、新しいゲームがはじまったらしい。」
 自立機械たちを倒したと思えば、次にやってきたのはメイド部隊。それらは建物から出てくると、すかさず殺到してきた。
 有象無象と思ったら、メイドたちは連携をこなしている。状況把握している存在からの連絡で思わぬとこから攻撃が来る。
 残像で避け、エネルギーバリアを張って防ぐも、それでも被弾してしまう。それは自前の回復力で耐えつつ、ドローンを飛ばして√能力【レギオンスウォーム】を発動する。
「さあ、こちらからも反撃させてもらうよ」
 放たれた小型無人兵器レギオンにより、ミサイルで敵を確実に仕留めていく。しかし敵の数が多く全ては処理しきれない。
「なら、こっちで……!」
 接近を許した敵にはマルチツールガンを取り出し止めを刺す。
「こちらは命懸けでね。たとえゲームの中でも生き残るのに全力を尽くすのさ。」
 藤原・菫は表情を崩さないまま敵を蹴散らしていった。

アリス・セカンドカラー
四条・深恋
明星・暁子

●アリス・セカンドカラー
 アリス・セカンドカラーは殺到するメイドの前に立ちはだかった。
「うふふ、私の出番みたいね」
 蠱惑的な笑みを浮かべ、周囲のエネルギーを根こそぎ吸収する。
 彼女はサイキックヴァンパイアだ。位置エネルギーに運動エネルギーあらゆるものを糧とした。
「料理してあげるねっ」
 群れるメイドたちを順に触れていって、干からびさせる。
「そもそも料理って調理の他に物事を上手く処理するって意味もあるしね。状況を解決する手段も料理ってわけ、OK? これが私の混沌魔術ケイオスマジックよ。私達の知覚を離れた客観的真理はなにもなく、ゆえにあらゆることは真実であり可能である、ってね♪」
 意志を感じられない相手を朗らかに説き伏せた。
「生存技法サバイバルでたいがいのとこから生還する自信があるわ☆」
 アリス・セカンドカラーは踊るように戦った。

●四条・深恋
 四条・深恋は押し寄せるメイドたちに向かい合う。
「ほいほい、お仕事のお手伝いですね。これでも表向き花のJKでしてね。あんまり長時間日常生活を離れられないんで、ぱっぱとお仕事済ませちゃいますよ」
 町中を埋め尽くす相手の軍勢に対抗して√能力【写し身】を使い、自身の分身を作り出した。速度や正確性を求められる仕事なら四条・深恋の得意分野だった。
 後ろに回り込み不意打ち、急所を一突きして暗殺、それらを繰り返しながら一体一体を駆除する。メイドたちも連携を取って反撃をしてくるが、√能力の分身には敵わない。
「皆さんも仕事じまいにしていただけると助かるんですが……聞いてはいませんよね」
 メイドたちの表情に意思は感じられず、どれだけ語り掛けようとも応えはくれない。ならばやはり、力技で切り開くしかなかった。
「お仕事ですもの、全力で取り組ませて頂きますとも」 
 無銘の包丁をメイドに突き立て、また切り捨てる。
 四条・深恋の戦いは、とにかく素早かった。

●明星・暁子
 学生服姿の明星・暁子は、敵の軍勢を前にして変貌した。
「彼女らを始末すればいいのでしょうか?」
 身長200㎝の恐ろし気な鉄十字怪人。全身を包む重甲は敵を押しとどめ、その膂力でまずは敵を薙ぎ払った。
 しかし数が多く、対処しきれない。ならばと半自立浮遊砲台を起動させる。
「ゴルディオン1~3号機、攻撃開始!」
 明星・暁子の指令に合わせ、三つの砲撃が立て続けにメイドを吹き飛ばした。だがそれでも敵の数は時が経つにつれて増えるものだから押し寄せる行進は止まらない。
「ならば……!」
 立て続けに√能力【ブラスターキャノン・フルバースト】を行使し、ヘビー・ブラスター・キャノンを召喚。更なる火力で押し切った。
「正義のためなら手段は選びません!」
 明星・暁子は啖呵を切って、敵のど真ん中でその腕を振り回す。砲撃に巻き込まれ、メイドたちには向かわれながらも、彼女は多少の怪我は無視をして、積極的に事件の解決を目指すのだった。

第3章 日常 『ゲーセンに行こう!』


 自立機械とメイドたちの行進はそうして止まった。
 そして、元凶となったゲームはまた今までのように稼働する。
明星・暁子

 明星・暁子は辺りを見渡して、ほっと一息つく。
「ふむ。機械軍もメイド軍団も、片が付いたようですわね」
 その姿を少女の姿に戻し、街中を見て回った。
 √能力者たちによる戦闘の影響で、人々は避難していたようだが、すぐに活気が戻ってくる。
「せっかくですし、格闘ゲームで遊んでみましょうか」
 目についたアーケードゲームに歩み寄って、早速コインを入れた。
 選んだ作品は『フルメタル・アーバン・ファイターズ2』。数あるキャラクターの中から『巨人・ザンギF』を選択し、対戦を始めた。
 一人対戦モードで最初は遊んでいたのだが、しばらくすると対面の席に座った誰かが乱入してくる。
 1対1の純粋な実力勝負。3カウントの後にゲームは始まる。
「……」
 パワーラリアットや投げの効果で、対戦相手の攻撃を吸って、即大技投げにつなげる。√能力【疾風怒濤】によってダイナミックにキャラを操作し、圧倒的なその実力にいつの間にか集まっていたギャラリーも沸いた。
 そうして、店舗記録を簡単に塗り替え、伝説が残される。
「対戦ありがとうございました」
 一礼をして出ていったその少女は、しばらくそのゲームセンターで噂となるのだった。

カヌチ・フォージ

 カヌチ・フォージはゲームセンターに迷い込んでいた。彼女がアーケードゲームの筐体を物珍しげに眺めていると、親切な店員が教えてくれる。
「でね、このボタンで操作して遊ぶんだよ」
「ギャッギャー! 面白そうだねー」
 せっかくだからと遊び方を教えてもらった格闘ゲームに早速挑戦することにした。
 選んだ作品は、『激突!ポケットヒーローズ』。コインを入れて、ハンマー使いの精霊「テラハンマード」を選択し、まるで自身が戦うかのように操作した。
 ハンマーを用いたパワフルな攻撃が敵を薙ぎ払い、フルスイングに空中追撃とコンボをつなげていく。
「ダイヤモンドクラッシャー!」
 止めに超必殺技を繰り出し、満足げだった。
 ——!!!
 とその時、画面が独特な光を放って、一体のキャラクターを映し出した。
『エレキ学ランネズミが現れた!』
 すばしっこい動きで逃げ回り、近づいてもツッパリボルトで感電させてくる。今までとは一線を画した難易度に、さすがのカヌチ・フォージは苦戦をするが、
「ダイヤモンドクラッシャー! ……三連撃?」
 お気に入りの技を出鱈目に出すと、奇跡的に連鎖して三連続の超必殺技が発動する。そのエフェクトは画面を埋め尽くし、それが晴れた時、ネズミは倒れ伏していた。
「わーラッキー!」
 それからも楽しそうにゲームを遊び、日が暮れる頃にゲームセンターを後にした。
「とにかく楽しかったよー、ありがとー」

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