第二回・黄龍会スタンプラリー
√妖怪百鬼夜行、人と妖怪が共に生きるこの世界にて2025年に行われたイベントがあった。
それはYellowDragonが主催した地元住民との交流を目的としたスタンプラリーであり、ならば今年もやっちゃおうぜ、って事で和気あいあいと名所めぐりをして見どころを堪能しようというイベント、なのであるが。
「難易度ってもんがあるわけだ。誰もクリアできないならイベントとしては失敗だからな」
サングラスをクイッと上げつつ木邑・零壱(黒き彼岸・h08169)がこれが押されるスタンプだとテストメンバに現物見せつつ説明開始。
自分は今回出題側、八栬館にてちょっとした謎かけ問題があると語りつつ、歩幅を大きく歩く先には壁に張られた白紙が一枚、そこへポンっとひと押しすれば彼岸花に一振りの日本刀が突き刺された、華麗で鮮やかなスタンプが咲いていて。
「そういうこと、去年もイイ感じだったし今年も丁度いい難易度だといいね」
難易度についての説明に便乗、同じくスタンプイベントの仕掛け人たるミルグレイス・ゴスペリジオン(魔境を巡る舞軍師・h02552)も自分の名所である銭湯、マガツの湯にて押すのはこれと別の白紙へ湯船につかった河童のスタンプを押していた。
旅館と銭湯、そしてもう一か所はガレージハウスの素材試験会場にてモルドレッド・アーサー(防導の騎士・h04734)が食に関する物を準備中、見本は預かっているとミルグレイスが広げたスタンプには炎と氷の蛇、その上に足の生えた火の玉がいるデザイン。
仕掛け人がテストを行う場所として今回設定されたのは宿、湯、食の3種が名所のスタンプゾーン。
季節は夏だ、ならば銭湯は最後にして汗を流そう、食事もちょーっと熱いナニカ、との事なのでお風呂の直前が良いよね、って事で巡る順番は八栬館、素材試験会場、マガツの湯に決定。
ということで行ってらっしゃいと零壱とミルグレイスが送り出すのは、霞月・彩(流転する夢・h06157)、真白・璃亜(風花の冒険者・h09056)、細小波・望 (総てに変わりて総てを弔う者・h09122)、アンセルム・ミグラテール(銀月の渡り鳥・h09474)、エヴァンス・アレクサンドロス・シートン(だらけた獅子・h06312)の5人。
はてさて、どんなミッションが出題され、そしてこの5人が如何なる雄姿を見せてくれるのか、あと一般の子供とかそういった交流先の人々も問題なくイケル難易度かの調査も兼ねた交流イベントテストの始まりである。
●八栬館ミッション:女将さんを探せ
「スタンプラリー、俺はまだまだ新参者だからね。こういう催しはありがたいな。まぁ、楽しませてもらうよ」
「去年は息子が参加していた奴だな。今年は俺が参加、さて、盛大に楽しませてもらおうか」
旅団に入ってまだ日の浅いアンセルムにとってはこういうイベントで交流できるのはいい機会、その言葉に同意する様にエヴァンスも頷くが見た目はライオン、日常的に妖怪とかそういった者が闊歩する√じゃないと皆がビックリする光景である、多分。
そんな二人が歩を進めれば、見えてきたのは第一目的地である八栬館、落ち着いた雰囲気の和風旅館で一体何をクリアすればスタンプが貰えるのであろうか。
「ふふ、かかる催しありきとは……試練? といふものも、私がうる極みにつとめさせさせばや」
おおっと、早速の雰囲気あるお言葉、望がミッションなどものともせずにクリアするという意気込みを見せてくれておられる。
……そ、ソウデスヨネ? こ、これは、語り手ってか地の分担当者がこういった古風な言い回しとかに詳しくなくて、多分そうなんじゃないかなーって雰囲気で言っているわけではないデスヨ!
傘を広げてコツコツと、足音響かせ目的地。
到着と同時に旅館を見上げ感嘆の声を上げたのは璃亜であり。
「わーっ、これは素敵な旅館ですねぇ」
「ええ、雰囲気があるわね。それじゃ、ミッションの説明を受けようかしら」
その言葉に同意した彩がここでは何が目的か、問いかければ奥から姿を見せたのは落ち着いた色味の着物、即ち八栬館従業員制服を着用してサングラスに集まった面々を映す零壱であった。
「ここでのミッションは八栬館の責任者にして女将である木邑・代美を探す事、だ。勿論、外に出ているなんてことは無いんで見つけて接触してくれ。ただし」
ミッション内容は女将探し、どんな姿なのか写真を見せて零壱が説明するがミッションになるのだ、ただ何処かに隠れているなんて事は無い。
「彼女は『今まで斬った人物(老若男女関係なし)の姿に変化することが出来る』妖刀の付喪神だ。その日の気分で姿を変えているんでこの姿である保証はない」
ナ、ナンダッテー!! って主要メンバーがアップで驚くポイントである。
まあミッションなんだし参加者がそんなリアクションをするわけはないんだが、写真の人物とは違う姿で館内を移動している。
期間内は問題なく館内をうろつけるようにスタッフの人員配置を調整しているので、つまりはまあ運試し……となるミッションなのだ!!
「オオカミ? 探し、だって?」
「違いますよエヴァンスさん! オカミサン、です! けどこう、私の勘がビビッっときてます、これはすぐに会えそうですよ!」
ああっと、これは悲しいかな動物的発想か!
女将を狼とエヴァンスが悲しい勘違いをしてしまったがすかさずフォローする璃亜、なるほどとうなずいてではどういった感じで探すべきかと隣を見ればアンセルムが旅館の外観をまじまじと眺めつつ。
「落ち着いた雰囲気の良い旅館だね、ちょっと騒がしく探すと申し訳なく思ってしまうよ」
「ええ、ええ、そうですね! じゃあここはしっかり対策を考えましょう!」
ぐっと拳を握って璃亜が皆にどう探そうかと意見を求めるのを見て、零壱が満足そうにうなずいて。
「さて、どこからどうやって探すのか。場所の案内はさせてもらうぜ」
そう言って旅館の部屋がどういう配置になっているのか、仁・義・礼・智・信・忠・孝・悌の八部屋に案内すると静々と。
ゆるりと淑やかな足取りで皆を伴い、各々の部屋の説明を始めた零壱に続く一同であったが何かを感じたのか、エヴァンスがううーん、と唸り声を上げるがその違和感を上手く言語化できなくて。
そんな中、ルール説明の後に部屋の案内を受ける中、ヒョイと前に出て零壱を僅かに見下ろす望が核心的な言葉を発する。
「木邑君、木邑君。ようせずは縮みきや? 前は私と同じ身の丈なめる気がすれど……」
古風な言い回し、故にざっくりと解説します、望さんの身長はだいたい零壱と同じ、しかし今彼は零壱と目をあわせるなら僅かに見下ろす目線にある。
おやおや、これはおかしいぞ、どうして小さくなっているんだという問いかけを聞き、ハッとした顔になる璃亜であり。
「ん……? あっ、た、確かに、望さんと同じぐらいなのに!」
「え、あ……雰囲気が違うなって思っていたがいつもの零一じゃない?」
エヴァンスが言われてみれば、って感じでその違和感を確信に、そしてまじまじと見つめれば。
「なるほど、有名な探偵小説の手法ですね、曰く「木の葉を隠すなら森の中」……物を隠したいなら大量の同種の存在に紛れ込ませることのたとえですね」
こう来たか、と言った形で語るは彩。
まるで名探偵の推理を聞くように皆が其方に注目すれば、最初から欺かれていたのだと彼女は続ける。
「探偵小説で真犯人を隠す常套手段、「探偵と行動している狂言回しの記述者が実は犯人だった」というケースですね。旅館の案内だから落ち着いた歩き方と思いましたがそもそも歩幅が小さくなっていた。
案内役の零壱さんが実は既にすり替わっていたということなのでしょう、いかがですか?」
ビシッと探偵役のように指摘してみる彩、その答えを聞いてご名答、とばかりに零壱、もとい変化している代美がパチパチパチ、と拍手を送れば、皆の後ろから本物の零壱が頭をかきつつ姿を見せる。
「はーっ、女将さん――好きな姿で散策してくれと言ったが、よりにもよってそれかよ……?!」
それは聞いて無い、って感じで合流した零壱、そも最初からヒントはあったのだ、見送ったはずの彼がサクッと着替えて準備して全員を出迎えたというポイントや。
施設案内とはいえ歩みがゆるりと、淑やかであった点などが上げられよう。
「ン、なるほど? ……変化の類か。言われて並んでる姿を見ればわかるが、そうでないなら気づけないな」
「おおう、まさかそんな……マジかよ」
そんな合流した両者、見た目はそっくりだがほんの僅かに若く、そして小さく見える代美と本人を前に答え合わせ。
付き合いの浅い者ならば言われて並んで初めてわかるとアンセルムが頷けば、結構付き合いが長くてもこうもそっくりならば片方だけで相手をされれば分からないとエヴァンスが驚嘆する。
だが、こういう形でも遭遇してのミッションコンプリート、一同は八栬館のスタンプをゲットするのであった。
●素材試験会場ミッション:闇鍋
いけない、サブタイトルの時点で事故の予感しかしないぞ!!
そう思った皆さん、安心してください、そのあたりは抜かりない事を責任者の口から説明して頂きます。
「流石に前回と同じミッションというのもあれだったので、こちらはミッションの内容を変えてみた。今回はどちらかというと度胸が試されるかもな。
もちろん、食べ物を扱うチャレンジなので食べられない物は入れないし、アレルギーや宗教的にNGな物があれば申告して欲しい」
イカスミベース、中に入れた具材は何か見えない真っ黒な、されど食欲をそそる香りを放つ幾つもの鍋を前に語るモルドレッド。
闇鍋と言いつつ一般の人々も参加する交流会だ、そりゃあ食品以外なんて入れたらそういう管轄の役所とかから注意で済まない処分が出るからね、シカタナイネ。
具材のラインナップも出ているので安心……かはどうかさておき、安全ではある闇鍋、さあ、度胸試しの時間といこうじゃないか。
「これも追加しましょうか、大丈夫です、きちんとした食材ですよ」
おっとぉ、皆が避けるアレルギー食材を申告してそれ以外の入った鍋が用意された中、難易度を上げるチャレンジングな一言が!
皆の注目を受けつつ彩が投入するは食用アロエ、健康に良さそう!
これでモルドレッドの用意した各種モンスター素材の鍋に清涼剤的な物が追加されたという事か。
「……これは果肉を食べるだけなら大丈夫ですが、皮や葉汁を食べ過ぎると強力な下剤作用になるとのこと。何が起こるか分からない闇鍋で大食いする人がいるとは思えませんが」
前言撤回、ちょーっとヤバイのが投入されてしまった!
ま、まあ大食いしなければ大丈夫だって、ってことで皆の度胸と運試しの始まりである!!
「うむ、うむ、美味なり」
…………ちょーっとヤバイ物が入ったというのに一切気にせず、普通に食べてる人がいた。
ってか見た目が真っ黒で何が当たるかわからない闇だというのに臆することなく次々と、鍋に箸を入れ食材を引き上げる望さんぇ……。
「うむ? おかはり? あな、もとより貰はむ」
ああ、度胸試しって事で用意したモルドレッドが困惑しながら次々とスープや食材を追加で器に。
いやその、腹ペコキャラという補正を入れてもですね、こう、どうしてそんなに危険なのを回避できてるんですか!
「わーっ、またお魚だ」
おっとぉ、その理由は隣で座っている璃亜の豪運、その影響を受けたって事にしておこう。
好物は魚な彼女は次々と、幸運にもピンポイントで二連続で魚を引き当てたのだ、ならば乗るしかない、このビッグウェーブに!
「うんうん、引きがいいっ、それじゃ私もおかわりだよ」
よかった、こっちは平和的に進んでいる、なら別の面子はどんな感じのを引き当てたのか見てみよう。
「おーし、こっちもいい具にありつきたいねぇ、うまい肉がいい」
「なるほど、闇鍋とは面白いね? こうも皆の運があらわになるなんて」
そういってイカスミスープに箸を入れ、何が出るかと探るはエヴァンスとアンセルム。
こちらはどうやら、少々運が悪いグループと言った所だろうか、牛、馬、鹿のモンスター肉を狙ったエヴァンス、お望み通り恐らくは牛の肉、なのだが……。
「ふむふむ、似たような肉だが……うん?」
向かい合って座るアンセルムがエヴァンスの器を見つつ、似た形の肉なのだがと問いかけて。
口に含んで、されど噛み切れず、しかしうま味と脂が噛むと出る肉に首をかしげていたのだ。
「それにしてもこれ、何だろう……歯ごたえはあるが……んむ……ところでこれ、いつ飲み込めばいいんだろう」
「あー、なるほど、そいつぁ。通が好むホルモン、腸とか胃とかの内臓だな。まあ俺も引き当てたんだけどな、ガハハ」
シマチョウやゼンマイと言われるホルモンを当てた二人、これがどういった肉なのかわからずに困惑するアンセルムを見て、髪切るのは難しいぞと笑うエヴァンス。
まあ彼は肉食獣のライオンなのでしっかりと過熱処理したホルモンならば余裕なのですがね、あっはっは。
焼肉でもウマイ、けれど人を選ぶその肉を楽しみながら、自分で良いと思った時に飲み込めば良いと大雑把に伝えつつ。
確かに美味かった、けれど当たりを引いた面々が居るならこっちも当たりを狙ってみるかとおかわりに手を出す二人。
「うーん、いないと思ったけど大食いになる人がいるなんて、ね」
そんな皆を眺めつつ、実はアロエ果肉を引き当てながらも運よく普通の食材(農家からもらった白菜とか水菜)に舌鼓を打つ彩。
多分一番、平穏な形だったのは貴方ですって感じで大惨事を回避して皆は度胸試しの闇鍋を完了。
「どの具材も美味しかったと思う、料理には自信があるからな。それじゃ、皆の度胸が分かったってことでこれを、ポンっと」
そう言ってメンバーを見渡して、責任者であるモルドレッドがスタンプを。
多分、中身がモンスターと言われなければちょーっと変わった形と味な魚のアラで、お出汁がしっかり出ているって感想になったり。
今回は引き当てられなかったが、塊肉を豪快に頬張れたり、元の形状が分からぬ鳥モンスターのツミレだったりもあったので、一般の人々も元のモンスターをしらないならば美味しくいただける事だろう。
●マガツの湯ミッション:伝言クイズ
歩いて食べて、汗をかいたのでこれはサッパリするしかない。
ってわけで男湯女湯に分かれつつ、でも声は聞こえるという家族で会話をしながら大きな湯船でくつろげる、そんな昭和レトロな銭湯で。
「……」
此方は男湯、本人曰く鶏ガラと言う程に痩せて他の逞しい体つきの面々を前にして少々恥ずかしそうにして。
なのでそんな体は見られたくないと湯船につかって身を隠し、ほっこりしている望の姿。
湯船の外では鍋の熱にてかいた汗、それを洗い流すアンセルムと隣では問題文を待つエヴァンスが女湯側に問いかけを。
「こっちは全員揃ったぞ、問題文はいつでも大丈夫だ」
回答役は問題無し、読み上げしてくれても聞き逃さないぞと声をあげるが、その前に聞こえたのは楽し気な会話であり。
「彩さん、銭湯って好き? 私はたまに来るんだよー」
「気分転換にもなるし、お湯の種類を変えるイベントがあると印象も変わるから似たような感じかしらね」
女湯、まさに女子会的なノリでの会話発生。
問題文の読み上げはまあまあ、もうちょっと待って先ずは銭湯で湯を楽しんでからでも遅くは無かろう。
「……あれ、彩さん、お湯を見つめてどうしたの?」
「何でもないわ。ふふ、ちょっと考え事をしてただけ」
仲睦まじげに聞こえる会話、まあこっちも湯を楽しみながら先ほどミルグレイスに聞いた解説、男湯にある回答を置くイーゼルを見遣りつつ。
しかしちょーっと彩の思考が、少女人形の培養液と温泉の成分は同じものかしら? なんてマッドなサイエンティストになっていた事には誰も気付かぬままに、ひとしきり湯浴みを楽しんでからがスタートで。
「っとと、問題を伝えなきゃですね。えーと、『朝起きるときや、寝るときに必ず見るもの。顔はないけど「手」が2本か3本あって、数字が周りに書いてあるものは何?』」
「これは……なぞなぞ、ね。同音異義語はありませんから抑揚に気をつけて読めば大丈夫そうですね」
問題文を見つけた璃亜と彩、ゆっくりと、イントネーションで聞き間違いが起こらぬように確実に、問題文を読み上げ男湯に伝達を。
それを聞いた男湯側の反応はというと……?
「イラスト、イラスト……これかな? 腕時計、柱時計、壁掛け時計が描かれているよ!」
男湯側から飾られたイラストについて、アンセルムが返答を。
ちょっとまって、時計だけど全部違う種類じゃなくないか、って困惑しているのは彼だけではなく。
「む、う? こはさながら時計か? ……いづれを選ぶべからむや?」
多分答えは時計だろう、だがしかしどれを選べば正解なのかと湯船から上半身を乗り出して、望が並べられた時計のイラストを前に唸りつつ。
「はて、どれを答えればいいのか? ここにあるイラストをさっき聞いた、この、えーと、何だっけ、ラーテル?」
いいえ、エヴァンスさん、それはラーテルではなく絵画を立てかけて鑑賞したりする用具のイーゼルです。
大型の絵画を置いておくサイズから、テーブル上に置けるミニチュアサイズまで幅広いバリエーションのあるそれですが、はてさて答えはどの時計?
そんな、男湯から三種の時計があるなんて返されて。
「えぇ……あ、彩さん、どれが正解と思います?」
「どの時計も問題の特徴を満たしているようね、となれば……あちらのメンバーの勘に任せるしか無いわ」
おおっとぉ、ここに来て直感頼り。
でもまあ、ここまで第六感的なものとか豪運で乗り切ってきたメンバー、なんとか正解を引き当てられるはず、なんて期待を背負って男湯側がイーゼルに乗せたのは柱時計のイラストで。
それでは緊張の結果発表……は湯上りで、という放送が入り後は満足いくまで楽しんで。
「おーおー、引っ張るねぇ、じゃあ楽しみに待つとしますか」
「そうだねぇ、じゃあ問題は一旦忘れて……それにしてもこういう場所は初めてだが……良い湯、というんだっけ?」
「うむ、暖かく心地よしな。また来むやな……」
エヴァンス、アンセルム、望が湯船に身を沈め。
言葉を交わす間に璃亜と彩も楽し気に、双方の様子を感じ互いに言葉を交わしつつ、皆が湯を存分に楽しんで。
湯上り、水分補給をする中でミルグレイスが姿を見せた。
「はい、それじゃ結果はっぴょーう! 正解は……時計! つまりどのイラストも時計なので、何を選んでも正解でした!」
「えええ、ミルさん、ちょっとぉ。どれが正解か悩んで勘任せにしたんですからぁ」
なんということでしょう、提示されたイラストは全て形状は違えど時計、ならば悩む事は無かったのだ。
共通項が答え、各々の差異から正解がどれなのだと悩ませる問題であったことに璃亜がやられた、という感じで言葉を紡げば、その様子を微笑まし気に眺める彩。
こういう機会を貰い、皆の性格や名所を知れたとアンセルムが感謝を示し、エヴァンスも去年は息子が、こういう感じで楽しんだんだなぁと感慨深そうに身を伏せて。
「ふふ、よき思ひいでになりきな。こは、宝物といふものなり」
廻った名所のスタンプ押した、手帳のページを嬉しそうに撫でる望の姿も見える。
これにてメンバーの交流も兼ねた今年のスタンプラリーのテストは終了、引っ掛け要素もある中で完全制覇を達成。
ならば地元住人も楽しめ、しっかりと問題なく交流が行えると太鼓判が押されたのであった。