√能力者、滅ぶべし!
●√EDEN
√妖怪百鬼夜行と√EDENを繋ぐ『入口』から、『付喪神・市松人形の群れ』が次々と現れた。
付喪神・市松人形の群れは、人間を戯れに殺し、食らいつくしているようだ。
「足りない……まだ、足りない……この寂しさを紛らわすためには……もっと、もっと人を殺さないと……」
それでも、満たされない。
それどころか、飢えは増すばかり。
どうやら、付喪神・市松人形の群れは、決して満たされぬ飢えを満たそうと、必死のようである。
ここで付喪神・市松人形の群れを一掃する事が出来れば、群れを引き付けて√EDENにやってきた『隠神刑部』と戦う事が出来るものの、倒し損ねた場合は、人質を取って√妖怪百鬼夜行に逃げてしまうようである。
このままでは人質達が√妖怪百鬼夜行に連れ去られてしまうため、何としても阻止してほしいと言う事だった。
ただし、付喪神・市松人形の群れは人質達を盾にするため、注意してほしい。
それを防ぐためには、何らかの対策を練っておく必要がある。
そこで、しくじるような事があれば、例え付喪神・市松人形の群れを倒したとしても、成功とは言えないだろう。
上手く行けば、封印の祠の前にいる『壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎』と戦う事が出来る。
壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎は、絶対に負けない自信があるらしく、√能力者達をザコ扱いしているため、力を見せつけてやるといいだろう。
その事を踏まえた上で、壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎を封印する事が、今回の目的である。
第1章 集団戦 『付喪神・市松人形』

●孤独
「寂しい……寂しい……寂しい……」
付喪神・市松人形の群れが孤独を紛らわすため、『入口』のまわりを飛び回っていた。(ひょっとして、獲物を捜しているのかしら……? だとしたら、早く手を打たないと……)
その事に危機感を覚えたイリス・フラックス(ペルセポネのくちづけ・h01095)が、警戒した様子で物陰に隠れた。
「だ~るまんさんが……」
そんな中、付喪神・市松人形の群れが物陰に隠れた一般人達に気づき、不気味な声を響かせた。
「良い子は『お友達』といっしょに遊び続けてちゃ、いけないわ。もうその子たち、帰らなきゃいけない時間なのよ?」
それに合わせて、イリスが『定義付け』を発動させ、付喪神・市松人形の群れに対して、意識につけた『定義』に疑念を抱かせた。
「「「そうなの?」」」
付喪神・市松人形の群れが、キョトンとした。
「まあ、一回くらいなら、付き合ってもいいけど、他の人も助けてあげないとダメだから……やっちゃえ!『わたしを好きなひと』! 」
そう言ってイリスが『わたしを好きなひと』(死霊)に指示を出し、付喪神・市松人形の群れを破壊した。
●愛に飢えて
(こんなの、許せない)
アメリア・ノクタルガス(狡猾なる夜の鉤爪・h03600)は人に化け、一般人達の中に紛れていた。
「寂しい……悲しい……虚しいよぉ……」
その間も、付喪神・市松人形の群れは一般人を探して、周囲を飛び回っていた。
「なんて、ひどい……! 寂しさを紛らわす為に人を殺すなんて!」
そんな中、アメリアが物陰から飛び出し、わざと大声を上げて、付喪神・市松人形達の気を引いた。
「なんて……なんて……愚かでもったいない行動なのだろうか!」
それに合わせて、アメリアが人化けの術を解き、【暗殺者の宴】で辺り一帯を包み込む闇の領域を放ち、自分を含む全員の隠密と奇襲に対する抵抗力を10分の1にした。
「何も見えない」
「怖い……怖い……」
付喪神・市松人形の群れが、動揺した様子で悲鳴を上げた。
(こちらが何処から来るか分からなければ、人質を盾にする事も出来まい。二度と足を踏み入れぬよう、恐怖を以て教えてやるのだ)
その間に、アメリアが付喪神・市松人形を掴み、『飢えの満たし方を教えてやる』と言って捕食した。
そして、闇が晴れたのと同時に、再び人間の姿に化け直し、あたかも逃げ帰ってきた風を装うのだった。
●遊び
「あれれ? 獲物がた〜くさん! それじゃあ、みんな! ヤガミが遊んでやるのです!」
夜噛・明日香(万変なる黒柴系クラッシャー・h01843)が高らかに声を上げ、自らを奮起した後、付喪神・市松人形達の前に陣取った。
「遊んでくれるの?」
「遊んで、遊んで!」
付喪神・市松人形達がノリノリな様子で、明日香のまわりを飛び回った。
「ふんすっ! イヌガミ・メタモルフォーゼ! とくと見よ! なのです!」
明日香が得意げに笑みを浮かべ、【狗神遺伝子操作術】で雷と電気を操る巨大な白毛の狸に変身した。
「わわ、変身した」
「凄い♪ 凄い♪」
付喪神・市松人形達が興奮した様子で、拳をギュッと握り締めた。
「獲物が1匹〜、2匹〜……みーんな、かみなりゴロゴロでビリビリなのです!!!」
次の瞬間、明日香が放電と共に雷を落とし、付喪神・市松人形達を次々と蹴散らしていった。
「まだまだ遊び足りないのです〜! もっとヤガミと遊ぶのです〜っ!!」
そう言って明日香が付喪神・市松人形達を見上げ、ニコッと笑うのだった。
●最後の遊び
「かわいい市松人形さんたちですね。でも、寂しいからって人を傷つけていたのでは、みんないなくなって、もっと寂しくなりますよ? だから僕と遊んでくださーい!」
そんな中、ガザミ・ロクモン(葬河の渡し・h02950)が両手をブンブンと振って、付喪神・市松人形達の気を引いた。
「本当? 本当?」
「だったら、だるまさんが~」
付喪神・市松人形達が興奮した様子で、大声を上げた。
どんなに傷つけられても、遊びたい衝動には勝てないのか、みんなノリノリのようである。
「はじめの、いーっぽ!」
それに合わせて、ガザミが【大蟹之咆哮】を発動させ、死霊の潮津波を放って、付喪神・市松人形達をおしくら饅頭状態にする事で、動きを封じ込めた。
「……触ったから僕の勝ちですね!」
ガザミが八咫烏「カムロ」を呼び、破壊の炎で付喪神・市松人形達を焼却した。
「この、おむすび……とっても美味しいんですよ。皆さんで召し上がってくださいね」
そう言ってガザミが、しおむすびと彼岸団子を備え、成仏を祈るのだった。
第2章 ボス戦 『隠神刑部』

●ぽっちゃりキング
「……たくっ! 余計な事をしやがって! 酒がマズくなる」
隠神刑部が酒をガブ飲みしながら、ブツブツと愚痴をこぼした。
「バイトの夜勤明けで眠ぃって時に、大声を出すな。それじゃ、……サクッと対戦やって牛丼食いに行くか」
そんな中、嘯祇・笙呼(人間(√マスクド・ヒーロー)のマスクド・ヒーロー・h01511)が、隠神刑部の前に陣取った。
「調子に乗ってると……死ぬぞ!」
隠神刑部がイラついた様子で、化術の得意な配下の化け狸達を召喚し、一斉に突っ込ませた。
「てか、こっちは、くっそ眠ぃんだ。とりあえず、ヒルを齧ってソーマを飲んで目ぇ覚ますか」
笙呼が虚ろな表情を浮かべ、牽制射撃とフェイントで化け狸達をいなし、鉄壁と吹き飛び耐性で守備を固めた。
それに合わせて、笙呼が空気中の火気物質を60秒間体内にチャージしつつ、2回攻撃、見切り、力溜め、怪力、カウンター、鎧無視攻撃で、化け狸達を蹴散らしていった。
「そういや、俺……、怪異輸送車持ってんだよ」
次の瞬間、笙呼が怪異輸送車に狙いを定め、大爆発を起こして、隠神刑部を巻き込んだ。
●怒るポンポコ
「な、なんて事をしやがる! こ、こ、殺す気かっ!」
隠神刑部が全身血まみれになりながら、殺気立った様子で吠えた。
まさか、こんな目に遭うとは夢にも思っていなかったらしく、√能力者達に対して激しい殺意が芽生えていた。
「まあ……確かに、あなたを倒すため、ここまで来たのですが……」
月ヶ瀬・綾乃(人間(√EDEN)の警視庁異能捜査官・h03277)が複雑な気持ちになりつつ、隠神刑部に対して答えを返した。
そもそも、それ以外に、理由はない。
「ならば……殺すっ!」
隠神刑部が十二神将に変身した後、鬼のような表情を浮かべて、巨大な剣を振り回した。
「それなら、倒すだけです」
次の瞬間、綾乃がリミッターを解除し、【霊震】で霊能震動波を放ち、震度7相当の震動を与え続けて、隠神刑部を転倒させた。
「よ、よくも、やりやがったな! てめえに、明日はねぇ!」
隠神刑部が真っ赤に腫れた尻を撫でながら、恨めしそうに言葉を吐き捨てた。
「何か勘違いをしているようでございますが、それは自己紹介ですか……?」
そんな中、青亀・良助(バトラーブルー・h05282)が、隠神刑部の前に陣取った。
「がっはっはっはっはっ! 面白い事を言うじゃねえか! だったら、まずは、お前からだっ!」
隠神刑部が高笑いを響かせながら、ブンブンと剣を振り回して、次々と衝撃波を飛ばしていった。
「果たして、そんなに上手くいきますかね? 相手にするのは、私だけではありませんよ……?」
良助が落ち着いた様子で、隠神刑部が放って衝撃波を受け流し、2回攻撃を繰り出した。
「や、やるじゃねえか。無駄のねぇ動き……嫌いじゃないぜ!」
隠神刑部が口から流れる血を、乱暴に拭い取った。
「ここで褒めても手加減はしませんよ? 例え、私が手を抜いたところで、まわりの対応が変わる事もありませんしね」
良助が服についた埃を払った後、隠神刑部に対して答えを返した。
「……だろうな。そんな事は分かっている。それでも、ちっとは油断してくれると思っていたんだが……」
隠神刑部が不機嫌そうに、フンと鼻を鳴らした。
「それが本心なら、命を捨てようとしているのと同じだな」
冬夜・響(ルートブレイカー・h00516)が間合いを取りつつ、攻撃を仕掛けるタイミングを窺った。
「だったら、俺を倒してみろ! ……出来るよな? そこまで言うんだったら! ……楽勝だろ? さあ……掛かって来い! 遠慮をするなっ! 全力で……来い!」
隠神刑部が限界を突破して、全身の筋肉を隆起させ、怒涛の勢いで響に連撃を繰り出した。
「ああ……、もちろん。そのためなら、どんなに傷ついても躊躇わない……!」
響が傷つく事も恐れず、【怪異殺し】で足払いによる牽制、鎖による捕縛、殴り棺桶による強撃の連続攻撃を与えて、隠神刑部を焼却した。
「ぐ、ぐわあああっ! よくも、やりやがったなァァァァァア!」
隠神刑部がブスブスと真っ黒な煙を上げながら、荒々しく息を吐き捨てた。
予想外のダメージを喰らった事で変身が解けてしまったものの、その事を悔やむだけの余裕はなかった。
「当然よ、今回、倒すべき敵だから……。悪いけど、ここで消えてもらうわ」
第四世代型・ルーシー(独立傭兵・h01868)が『戦闘モード起動』という機械音声と共にWZスマイルジーン、WZペインキラー等の薬物をWZから血管内へ注入し、エネルギーバリアを展開した。
「……断る! なんで、お前達の要求を飲まねばならん! そんなの、お断りだ! それに、お前達は、ここで死ぬ! 絶対に、死ぬ! 間違いなく、な!」
隠神刑部が再びブツブツと念じながら、巨大化九十九神になった。
「……」
だが、ルーシーはまったく驚いておらず、黙って隠神刑部を見上げていた。
「ハッハッハッ、ビビッて声も出ないのか! これは笑える!」
隠神刑部が腹を抱えて、笑い転げた。
そのたび、地響きが起こったものの、ルーシーは落ち着いていた。
「……」
それと同時に、ルーシーが【プロジェクトカリギュラ】で、ウォーゾーンを真紅に輝く決戦モードに変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にした後、レーザー誘導弾を放って、隠神刑部の変身を解いた。
「や、やるな。だが、これは偽りの姿っ! 真の姿でなければ、俺を封印する事など不可能なのだから……!」
隠神刑部が傷口を押さえて、涙を浮かべて強がった。
「わざわざ自分の弱点を口にするなんて……。ひょっとして、もう倒されたいの……? ここが思ったよりも、物騒だったから、怖くなった?」
ジュリア・ルーフィス(√eyes on me・h00295)が色々と察した様子で、隠神刑部に対して、わざと挑発的な言葉を吐いた。
「そ、そんな訳がないだろ! これは自信の表れだ! 例え、どんな事があっても、お前達には負けないからなっ!」
隠神刑部がフンと鼻を鳴らし、化術の得意な配下の化け狸達を召喚した。
化け狸達はポンポコポンと腹を叩きながら、大声を上げて一斉に突撃した。
「……そうですか」
それを迎え撃つようにして、ジュリアがリミッターを解除し、【―試験―】をメスの射程まで跳躍して生成攻撃を仕掛け、化け狸達の傷口をえぐって切断した。
「ば、馬鹿なっ! 手駒が……い、いや、何でもない。余裕だ、余裕!」
隠神刑部が脂汗を流しながら、ぎこちない笑みを浮かべた。
ここから先には進ませないつもりでいたものの、思った以上に√能力者達が強かったため、『終了のお知らせ』が脳内でアナウンスされていた。
「それなら、試してみましょうか。……どこまで、余裕なのか、を……」
すぐさま、哘・廓(人間(√EDEN)の古龍の霊剣士・h00090)が闇に紛れ、自らの拳で隠神刑部に騙し討ちを仕掛けた後、存在感を示して威圧しつつ、力任せに傷口をえぐった。
「ぐ、ぐ、ぐおおお……、これは、さすがに……マズイ! きょ、今日のところは許してやろう! それじゃあ……な!」
隠神刑部がぎこちない笑みを浮かべ、脱兎の如く逃げ出した。
「ここで逃げられると思っているですか……?」
それと同時に、廓が【乾坤一擲】で上段からのブン殴って牽制し、タックルから馬乗りで捕縛すると、拳の乱打による強撃の連続攻撃を与え、隠神刑部にトドメをさした。
第3章 ボス戦 『壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎』

●封印の祠
「これまた、随分と賑やかじゃのう。ここまで来れる猛者がいたとは……正直、驚きじゃ。だが、ここまで。冥土の迎えが来ておるぞ」
壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎が封印の祠の前に陣取って、不気味な笑みを浮かべた。
「メイドさんが、お出迎えしてくれるんモグか? でも、そんな人は何処にも……あっ!」
モコ・ブラウン(化けモグラ・h00344)が何やら察した様子で、言葉をゴクンと飲み込んだ。
「な、なんじゃ! 何か言いたい事があるのなら、はよ言え!」
壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎が、ムッとした様子で文句を言った。
「いや、格好が、その……メイドっぽくないモグ」
その事に危機感を覚えたモコが物陰に飛び込み、【ハンティングチェイス】で長距離狩猟の体勢を取って、移動力と戦闘力を3分の1にする事で、肉眼以外のあらゆる探知を無効にした。
「……って、何処にいった! おかしな事を言いおって! 許さん! 許さぬぞおおおおおおおお!」
壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎がハッとした表情を浮かべ、八つ当たり気味に辺りのモノを壊し始めた。
「いきなり敵意剥き出しね」
そんな中、灯理・ナンシィ(バブーシュカレディ・h01791)が、壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎の前に現れた。
「もう、お前でイイ! これから、お前が、すべての責任を負ってもらうっ! 何があろうと文句は言わせん!」
壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎が鼻息を荒くさせながら、八つ当たり気味に衝撃波を乱れ撃った。
「そんなの、お断りよ。そんな要求……、飲む義理もないし……」
それに合わせて、ナンシィが【百鬼夜行】で配下妖怪を召喚し、一斉に攻撃を仕掛けて、壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎を爆破した。
「だ、だからと言って、これはあまりにも酷くない? まだ妾は本気を出していないのに……!」
壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎が真っ黒な煙を吐きながら、薄っすらと涙を浮かべて文句を言った。
「自業自得よ。最初に喧嘩を売ってきたのは、そっちなんだから……」
ナンシィが呆れた様子で、深い溜息を漏らした。
「ええい、それで妾が納得すると思っているのか! どいつもこいつも、頭に来るっ! こうなったら、生きたまま痛めつけてやるっ! それが、お前達の望みのようじゃからなァ!」
壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎が限界を突破し、自らの肉体を不気味に変異させ、呪詛を込めた誘導弾を解き放った。
「……本当に一方的ね」
それを迎え撃つようにして、ウィスカ・グレイシア(さくらもち・h00847)が夜桜卒塔婆を構え、誘導弾を薙ぎ払った。
「そ、それは、こっちの台詞じゃ! よってたかって妾をイジメているのだから! そうでないのなら、一撃くらい喰らったら、どうじゃ! ……安心せい。威力は弱めておる!」
壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎が無駄にイイ笑顔を浮かべながら、本体の扇から花吹雪を放って、ウィスカに微弱なダメージを与えた。
「これで、満足?」
その間に、ウィスカが【戦闘錬金術】で詠唱魔導槍を対標的必殺兵器に変形させ、壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎に錬金毒を流し込んだ。
「し、しまった! まさか、毒を流し込まれるとは……。だが、この程度の毒で屈する妾ではない」
壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎が荒々しく息を吐きながら、恨めしそうに傷口を押さえた。
「そんな事を言っている割には、虫の息に見えるけどねぇ」
数宮・多喜(f03004?・h01794)が、生暖かい視線を送った。
「そ、それは、お前の目が節穴なだけじゃ。その証拠に、まだまだ動き回れるからのう!」
壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎が高笑いを響かせながら、激しく舞いながら、無地の扇に飛ばしてきた。
「まるで酔っ払いだねぇ。動きに無駄があり過ぎて……。だったら、これくらい避けられるだろ?」
多喜が壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎を挑発しながら、エネルギーバリアとオーラ防御を展開し、グラップルを繰り出して、一時的にマヒさせた。
「うぐ、ぐ、キィィィィィィィィィィ!」
その事に腹を立てた壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎が両目を血走らせて、金切り声を響かせた。
●決着
「……よし、殺す!」
その間に、嘯祇・笙呼(人間(√マスクド・ヒーロー)のマスクド・ヒーロー・h01511)が【肢体爆弾】を発動させ、体内に空気中の火気物質をチャージしつつ、鉄壁と吹き飛び耐性で守備力を固めた。
「本当にムカつく奴らじゃのう。……ならば、妾も容赦は、せん! ここで死ぬがいい!」
壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎が、こめかみを激しくピクつかせ、本体の扇から花吹雪を放った。
「……たくっ! 『頑張って!』『負けないで!』『信じているから!』『私がついてる!』『あなたは絶対勝つんだもの!』とか誰か言ってくんねーかな」
笙呼が花吹雪を見切って、牽制射撃でフェイントしつつ、力溜めと怪力と鎧無視2回攻撃を繰り出した。
「そ、そんな事……言うヤツなどおらん!」
壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎が自分の身を守りながら、イラついた様子で悪態をついた。
「さて時間だ。……死ねよ。実際救えねぇから」
次の瞬間、笙呼が大爆発を起こし、壮麗なる扇の蒐集者・桐花・玉兎が悲鳴を上げる間すら与えず、封印の祠もろとも消し飛ばした。