⑱星神は勝利を告げる
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『……|運命の石よ開闢せよ《アクセプト》。……ゾーク12神『星神ドロッサス・タウラス』』
王劍《|ファルの心髄《ハート・オブ・ファル》》を手にし、|暴牛辰砂甲《アーマーオブファラリス》を脱いで、『星神ドロッサス・タウラス』はゾディアックの継承者となった姿を現した。
『……ゾディアックの継承者が行う星詠みは、予知能力ではない。……それは『未来を決定する力』だ。我の言葉はいずれ現実となる』
全√のゾディアックを掌握するため、『星神ドロッサス・タウラス』は王劍を掲げ静かに語る。
『……EDENに勝利はない。我の言葉は絶対である』
言葉が現実に。
全ては、勝利を得るために──。
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「ここまで多くの戦地で戦って疲弊しているかもしれませんが……遂に、星神ドロッサス・タウラスがアクセプトした姿となってキャナルシティ博多に現れました」
両手を組み、真剣な表情を浮かべながら屍累・廻(全てを見通す眼・h06317)は事件について説明し始めた。
「星神ドロッサス・タウラスは王劍を手にしているので、その時点で厄介なのはそうですが……それだけでなく、未来を決定する力を使うことが出来るようです」
『星神ドロッサス・タウラス』の言葉に気を付ける必要があるものの、決定する言葉を誘導する事でこちらに有利に動かす事が出来るはずと付け足した。
「とはいえ、去年の|禍津鬼荒覇吐《まがつあらはばき》同様油断出来ない相手には変わりません。数々の厳しい戦いを乗り越えた皆さんならば、今回もこの戦いで勝利を収めてくれると信じています」
去年の大きな戦いから、EDEN達は確実に力を得てきた。どれだけ強大な力を持っていたとしても、必ず勝利を勝ち取れるはずと廻は微笑みかけた。
「ここで勝利する事が出来れば、『星神ドロッサス・タウラス』が持つ王劍の鹵獲に成功出来るかと。ゾディアックの力を守るためにも、皆さんよろしくお願いします」
どうか気を付けてと告げ、廻はEDEN達を見送るのだった。
第1章 ボス戦 『ゾーク12神『星神ドロッサス・タウラス』』
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「とんでもない力を持っちゃったものだね。でも、ここで諦めるような私達でもないよね」
真の姿を見せた『星神ドロッサス・タウラス』から伝わる威圧感は凄まじく、手に持っている王劍《|ファルの心髄《ハート・オブ・ファル》》もまた油断ならないもの。
漂う威圧感に一瞬だけ息を飲むが、怯んだわけじゃない。語る事なら負けるつもりはないと、七豹・斗碧(白翔テイルアンシア・h00481) は立ち向かう覚悟を胸に秘めていた。
「未来を語れるからってそれが最強の証ではないこと、しっかり教えてあげなくちゃ」
『……愚かな。ならば、お前の未来を語ろう。貴様の我へ放つ弾丸は当たらない』
『星神ドロッサス・タウラス』が淡々と語り始めれば、その場は絶対運命空間へと変わっていく。斗碧は警戒を緩めないまま、言葉が現実になると|分かった上《・・・・・》で【|花童子の噂《ハナイチモンメ》】を発動。
「あれが欲しいな」
古くから伝わる伝承遊びのように、欲しいものを見据えながら花吹雪を模した弾丸を『星神ドロッサス・タウラス』目掛けて放つ──が、弾道は逸れていき、言葉通り当たらなかった。
『……これでもまだ、抗うか。笑止。ここで朽ちてもらおう』
「私の狙いは、元よりあなたじゃないよ」
直接狙おうとすれば、当然攻撃と判断して逸らすことを意識する。斗碧の狙いは、初めから攻撃が外れる事を前提にしていた。
通り過ぎ、逸らされた弾丸は『星神ドロッサス・タウラス』の周辺へと着弾。効果範囲になるよう、全てが計算された状態での攻撃だった。
「これは力を奪い、そして跳ね返す力。だから、あなたの予言はちゃんと当たるよ」
『星神ドロッサス・タウラス』が言葉にしたのは、弾丸が当たらないという未来。つまり、それ以外の攻撃ならば当たるということ。
タウラスのゾディアックによる攻撃を斗碧目掛けて放つが、跳ね返す力によって『星神ドロッサス・タウラス』へと跳ね返った。
『……グッ?! 跳ね返す、だと』
想定外の事に、僅かながら驚きを見せる。言葉にした未来は実現したが、こうなるつもりじゃなかったと言いたげだ。
(あとはこの力を、一緒に戦ってる人たちにも分けるよ)
仲間達への支援だって忘れていない。
着弾範囲にいることで、『星神ドロッサス・タウラス』から奪った力を分け合い、力が高まるのを感じるはず。
「ここで負けるつもりはないからね。皆で頑張ろう!」
どれだけ強大な力を持っていたとしても、どんな敵が来たとしても。
EDENの力は個としてだけじゃなく、互いに手を取り合う事で強くなる。これまでも強大な力を持つ簒奪者と戦い、勝利を収めてきた。この戦いだって勝てる。そう信じ、EDEN達は立ち向かい続ける。
『未来を決定する力』は、僅かに綻びが生まれ始めた。
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「言葉で未来を決める? たいそうな事を言ってくれるじゃねぇか。──なら、その言葉ごと食い破ってやるよ」
『星神ドロッサス・タウラス』の放つ言葉が厄介だとしても、墨・迅(黒衣の迅・h12802)の中に恐怖心なんてない。しかも、もう一つ厄介なのは王劍の存在。言葉で未来を決められてしまう状況ならば、より一層警戒をしておく必要があると考えていた。
(言葉を上手く利用すれば、攻撃が当たるはずだな)
仲間の攻撃が『星神ドロッサス・タウラス』の言葉で逸れたのも見ていた。様子見も兼ねて、迅は【|陰符召喚・黒蜥蜴喰《インフショウカン・クロカゲバミ》】を発動。
「出番だぜ」
『……炎は通用せず、我の反撃は命中する』
黒蜥蜴を召喚し、喰火での攻撃を指示。『星神ドロッサス・タウラス』は静かに言葉を紡げば黒蜥蜴の炎が届くことなく、絶対運命空間で放たれる12の封印石『リア・ファル』での反撃を受け流す。避けきれない攻撃には【朱紐の浄銭】を構えて攻撃を防いでみる──が、防ぎ切れず体中に傷が増えていった。
だが、傷が増えたことで√能力発動のキッカケになる。間髪入れないまま【|不護法・冥府百腕《フゴホウ・メイフビャクワン》】を発動。
「来やがれ」
傷が増える度に黒肌の悪鬼羅刹が生えてくると、一部の傷は癒え始めた。そして、『星神ドロッサス・タウラス』へ一気に距離を詰めれば、仲間がつくってくれた強化の力を活かして装甲のない星神の腹へ羅刹腕を叩き込む。
「決めた未来は炎だけみたいだったからな。その力、案外不便じゃねぇか?」
拳を叩き込んだ後、迅は少し後退。距離を置いた上で鬼道腕の呪符を放つ。大きな体に貼られた呪符の効果は、言葉によって未来は決められていない。『星神ドロッサス・タウラス』は反撃を仕掛けようとしたところで、体が麻痺しているのに気付いた。
『……ッ?! 体が動かぬ、だと。我に何をした。お前の未来、語ってやろう』
「お前の未来を語ろう? いつとは決まってないんだろ? ──上等。俺の未来は、テメェを倒した後にしか要らねぇ!」
どんな未来を語られたとしても、別の未来を選ぶ事が出来る。
掴み取る未来は、星神を倒して平和を得る。ただそれだけだと言わんばかりに強大な敵に立ち向かっていく。
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「態々言葉にして対応しないといけない未来を決定する力など、不意打ちされた場合は無力ではないでしょうか?」
キャナルシティ博多の近くにあるビルの上。
ミセリア・アッシュグレイ(セレスティアルの霊能力者・h09372)は双眼鏡を使って、『星神ドロッサス・タウラス』がどこに現れるのかと探していた。
アクセプトした事で強い光が放たれ、すぐさま双眼鏡を使って現れたのを確認すれば、ミセリアは不意打ちを仕掛けるべく【|灼熱の檻《スコーチングケージ》】を発動。
「炎の檻、怨嗟の牢獄──咎人は燃え果てる事すら許されない」
『……こ、れは?!』
『星神ドロッサス・タウラス』の周囲を火の海に変え、溶けだした鉄に使役する【死霊】達が自在に動く触手となり動きを封じようと『星神ドロッサス・タウラス』へ絡み付いた。
『……おのれ、どこから。だが、この炎は我に効かぬ』
ミセリアの居場所を探すべく、周囲を見回す。だが、視界の中に入るのは駆け付けたEDENのみ。探している間も、周囲の熱気は収まらない。炎に囲まれたとして効かないという未来を言葉にした事で『星神ドロッサス・タウラス』へのダメージにはならないものの、熱気で次第に酸素が薄くなっていく。
『……なん、だ? 妙に息苦しい、何故だ……』
(呼吸をするだけで空気に肺を焼かれる環境で、タウラスさんは未来を語れるでしょうか?)
ダメージを無効にしただけで、それ以外で影響出ないとは言葉にしていない。言葉を口にする事は可能でも、口を開けば開くほど肺が焼ける感覚に襲われる。
周囲にはEDENが囲んできている。言葉で無効にするのも限度があるというのが証明されたのだ。
「……どうやら、苦しそうにしてますね。やはり、言葉で未来を決定しても不意打ちには弱いみたいです。仲間達が近くにいるようですし、全てに対応するのは難しいでしょう」
一人ならば“未来を決定する力”を打破するのに困難を極めたかもしれない。けれど、仲間と手を合わせれば隙を作り出して弱点を露わにする事ができる。
自身の力を過信した結果が今ならば、神を名乗る存在が相手だとしても勝利を掴めるから。
人々を傷付ける罪人には天罰を。
轟々と焼ける檻の中で苦しみを、終わらない罰を与えん。
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アクセプトした姿となり、キャナルシティ博多に姿を現した『星神ドロッサス・タウラス』から伝わる威圧は、ここまで戦ってきた簒奪者よりも大きなもので。
ゾーク12神の手には王劍《|ファルの心髄《ハート・オブ・ファル》》が握られているのを見て、不忍・ちるは(ちるあうと・h01839)と見下・七三子(使い捨ての戦闘員・h00338)は他の王劍と対峙した経験がある事から、より一層の緊張感を持っていた。
二人が特に警戒したのは、未来を決定する力。
『星神ドロッサス・タウラス』が口にした言葉は予知となり、決定されてしまうというもの。
言葉を巧みに操る必要があるのかと考えたちるはは、ふと七三子に質問を投げ掛けた。
「七三子さん、言葉遊びってお好きですか? 私はあまり得意ではなくて……難しいですよね」
「言葉遊び、私も苦手です……って、えっ? ちるはさんは得意だと思ってました!?」
言葉を上手く利用しなければとなると、七三子も得意な分野ではなく困った様子だったが、ちるはの言葉を聞いて思わず驚いてしまう。
互いに口撃は不得手ならば、得意な戦法でいくしかないかと作戦を考えていた。
「もうゴリ押しで相手の余裕をなくして、うっかり発言狙うとかでも……。要はもう、変な予言されなきゃいいんですよね。いっそ見えないようにしちゃおうかな」
不意打ちを狙ってみる価値はある。
どこかに潜む仲間のおかげで『星神ドロッサス・タウラス』の動きは拘束されているのもあり、意識が逸れている隙を狙って【|牽制射撃《チカヅカナイデ》】を発動。
(これで目眩しにもなりますし、ちるはさんや仲間の支援になるはず……!)
【ハンドガン】を構えると、煙幕の弾丸を『星神ドロッサス・タウラス』へと放つ。煙幕はあくまで、視界を遮る役割と仲間への強化。わざと狙いは足元にした事で、着弾地点は他の仲間による強化に加えて隠形が働く形へ。
七三子の放つ弾丸を合図に、ちるはも煙幕を利用して動き出す。忍びたる者、気配を消すのはお手のもの。足音も立てず、『星神ドロッサス・タウラス』の死角へ回り込んで【|不忍術 漆之型《シノバズノナナ》】を発動。
「なな」
忍術を使い、分身体を作り出せば一斉に『星神ドロッサス・タウラス』目掛けて駆け出した。
『……目障りな。攻撃は当たらぬ。攻撃を当てられるのは、我のみ』
ゾーク12神は未来を決定する言葉を放つ。だが、|当たる《・・・》というのなら、別の形で決定させようと七三子はさりげなく【ハンドガン】の構えて気を引くために一発撃った。
封印石『リア・ファル』による攻撃を放つが、放たれた弾丸によって妨害。七三子にもちるはにも、その攻撃が当たることはなかった。
(敵の言う攻撃が当たらないは“当てるつもりはない”もありますね。近付かせないで近付きましょう、牽制射撃ナイスです)
キャナルシティ博多のサンプラザステージは半球型で、中央が開けているのを活かしながら分身体と共に『星神ドロッサス・タウラス』を包囲する。
「分身ともあれ、“私”に当たるとは限りませんので」
壁を素早く蹴って加速をつけていく中で、『星神ドロッサス・タウラス』は王劍で拘束を強引に解いてちるはへと狙いを定める。
互いに距離が近い──仲間の強化も受けながら、分身と共に「せーの!」の合図で渾身の力を込めて『星神ドロッサス・タウラス』を蹴り飛ばした。
『……グッ! ガ、ハ……!!』
「わあ! ちるはさんの攻撃は立体的で強いですね! あの戦い方は取り込めたら強そう! 私ももっと身軽になって、脚力鍛えてみようかな!」
忍びの身軽さに見惚れながらも、七三子は「ナイスです!」と声をかければ、ちるはと小さくハイタッチ。
立体的な戦い方、地の利を利用した戦い方は戦闘員さん達と力を合わせれば出来るはず。──だが、七三子の中で一つだけ懸念点があった。
「……まずはやっぱりダイエットかな」
「七三子さんは、そのままでも良いと思いますよ?」
思わず自分のお腹を擦る七三子を見て、ちるははキョトンとするけれど。七三子は、それでもダイエットしなきゃと考えていたり。
蹴り飛ばされた『星神ドロッサス・タウラス』はゆらりと立ち上がるが、確実に弱りが見えていた。
福岡で起きた戦いは、終わりを迎えようとしている。
自らの未来を自分達の手で掴み取るため、EDEN達は立ち向かおうとしていた。
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「ゾディアックの掌握……予知ができなくなるってことですか?! ラピスの育った√WZも含めて護る為にも、戦い抜きます!」
ゾディアックが奪われてしまえば、星詠みによる|予知《ゾディアック・サイン》が出来なくなる可能性が大きかった。それはつまり、どこかで簒奪者による事件が起きても、現場に駆け付ける事が困難になるということ。被害を抑えるどころか、拡大してしまう恐れがある。
生まれ育った√WZに住む人達、他の√世界に住む人達を守るため、ラピス・ノースウィンド(機竜の意思を継ぐ少女・h01171)は『星神ドロッサス・タウラス』に立ち向かうべく戦闘態勢に入った。
(王劍とタウラスのアクセプトカードの影響? ブラックボックスが反応してる……油断しちゃダメですねっ)
ゾーク12神の一柱として|覚醒《アクセプト》した『星神ドロッサス・タウラス』からの攻撃は直撃すれば危険だと判断し、ラピスは【ブラックボックス】の新たな能力を覚醒させて【|全竜工廠《ゲオルギウス・アーセナル》】を発動。
「応えろ魂!吼えろ竜核!!」
《ラピスフェロウ》の【ブラックボックス】が呼応し、あらゆる攻撃に耐えれられるよう自身の耐久を強くする。そして、『星神ドロッサス・タウラス』とどう戦おうかという戦略は決まった。だからこそ、敢えて高らかに宣言する。
「これで戦法は決まりました、その|言霊《√能力》真っ向から受けて立ちます!」
『……我の未来に真っ向から受けようなど、片腹痛い。ならば、如何にそれが愚かな判断なのか思い知らせてやろう。……貴様の攻撃は我に届かぬ。そして、我の攻撃は貴様に全て当たるのだ』
『星神ドロッサス・タウラス』が未来を語り続ける事で、絶対運命空間は消えないまま。この空間では星神が有利になるのを見越し、ラピスは【|聖櫃の賢明《アーク・プルデンティア》】を密かに発動させた。
(nano√Gazer起動。観測、流動……定義)
ナノ・クォークによる歪みの渦を召喚し、攻撃を受けた段階で回復出来るよう量子固定補修弾を撃てるよう追随しておく。作戦はある。だけど、それを見せるのは──今じゃない。
切り札がある事を悟らせないため、ラピスは『星神ドロッサス・タウラス』へ宣戦布告。
「よっと……どうも雄牛さん、ラピスフェロウと申しますです。こちらに勝ちはないとのことですが……ひっくり返させていただきますです!」
『……愚かな。我の攻撃は避けられぬ』
『星神ドロッサス・タウラス』は王劍《|ファルの心髄《ハート・オブ・ファル》》を手に構えれば、ラピス目掛けて一閃を繰り出してくる。絶対当たるという未来が決まっているからこそ、的確に防ごうとラピスは【賢石】で拳大のピンポイントバリアを展開。『星神ドロッサス・タウラス』からの一撃は重く、隙を狙って封印石『リア・ファル』で追撃されれば、空いている手で【聖骸布】を受け流す。それでも、ところどころに傷が増える。その都度、控えさせていた量子固定補修弾を自身に撃ち込んで傷を癒していく。
「目には目を、劍には劍を! です!! 異界より汲み上げるは神秘の銀! |起動《イグニッション》!!」
ラピスは【|根絶に抗う神秘銀《シルバーラーナー》】を発動。『星神ドロッサス・タウラス』が持つ王劍《|ファルの心髄《ハート・オブ・ファル》》の劣化コピーを作り出し、攻撃を受け流してすぐ跳躍すれば頭上から振り下ろそうと構えた。
『……所詮は偽物。偽の王劍など、すぐに打ち砕ける』
封印石『リア・ファル』で王劍のコピーを破壊してくる。攻撃は必ず当たるというのが変わらないのもあり、簡単に砕けてしまう──が、ラピスの狙いは次の一手。砕かれた複製王劍の破片は『星神ドロッサス・タウラス』の頭上目掛けて雨のように降り注ぐ。
『……何ッ?! 我の未来を変えただと……ッ、ぐぁっ!』
『星神ドロッサス・タウラス』の体中に破片が突き刺さり、あちこちから流血していく。それでも倒れまいと踏ん張りながら、淡々と次の未来を口にする。
『……貴様は死ぬ、我の手で』
王劍を構え直した『星神ドロッサス・タウラス』はラピスを一刀両断しようと攻撃をしかけてくる。だが、その攻撃は届かない。ひらりと躱し、後ろへ回り込みながらラピスは【機甲骨格ゲオルギウス】を構えた。
「それは私、ラピスフェロウのことを言っていますか? ……そうですか、ラピスフェロウは既に死んでいます! 私はその生まれ変わり! 蒼き北風!もう、誰にも負けはしない!」
本物のラピスフェロウはもう既にこの世にいない。
今このキャナルシティ博多にいるのは、ラピス・ノースウィンド。生まれ変わった姿に、『星神ドロッサス・タウラス』の言葉は通用しない。
誰にも負けないという覚悟を胸に、ラピスの重い一撃を別働の仲間と共に『星神ドロッサス・タウラス』へ叩き込めば、避ける事も叶わないまま勢いよく吹き飛ばされる。
勢いのまま壁へと打ち付けられた後、崩れるように倒れ込んだ『星神ドロッサス・タウラス』は僅かに指先を動かすもそれ以上は動かなかった。
『……我が、負ける…だと。この、我が……ゾーク12神たる、わ、れ……が……』
その言葉を最期に、『星神ドロッサス・タウラス』は二度と動く事は無かった。ゾーク12神の一人は黒い霧となり消えていき、残されたのは王劍《|ファルの心髄《ハート・オブ・ファル》》のみ。
『星神ドロッサス・タウラス』との戦闘に勝利した事で、福岡で起きた戦争に終止符を打つことが出来た。未だ謎を残している問題はあるけれど、ラピスは一緒に戦った仲間達と勝利を喜び合う。
EDEN達の活躍により、福岡の街にいつもと変わらぬ日常が戻った。
──未来は決められるものじゃない。
自分達で選び、掴み取っていくもの。これから先選ぶ未来に、幸あらんことを。
