シナリオ

⚡ユーカリが丘迷宮戦~最深部からの救援要請

#√ドラゴンファンタジー #ユーカリが丘迷宮戦 #ユーカリが丘冒険王国 #プレイング受付中

タグの編集

作者のみ追加・削除できます(🔒️公式タグは不可)。

 #√ドラゴンファンタジー
 #ユーカリが丘迷宮戦
 #ユーカリが丘冒険王国
 #プレイング受付中

※あなたはタグを編集できません。

⚡️大規模シナリオ『ユーカリが丘迷宮戦』

これは大規模シナリオです。1章では、ページ右上の 一言雑談で作戦を相談しよう!
現在の戦況はこちらのページをチェック!
(毎日16時更新)

 ……真っ暗な配信画面。
 囁き声、衣擦れの音、わずかな揺れ。懐中電灯の明かりが灯り、ようやく画面に人の姿が映った。|迷宮配信者《ダンジョンストリーマー》、「スライムハンター子」。画面に大写しにされた彼女の顔は、緊張に強張っている。

「……SOS。SOS。これは救援要請です。ユーカリが丘冒険王国近隣の冒険者パーティに救援を要請します」

 スライムハンター子の背後から、複数の苦し気な呻き声が聞こえる。

「あたし達は、ユーカリが丘冒険王国のダンジョンに進入して……そこで、伝説の『ヘッドスライム』に遭遇しました。本当です……。逃げようとしましたが、『ヘッドスライム』に見つかって……あいつ、何か様子が変で……スラ友が、ええと、あたしのパーティメンバーが何人か、あいつにやられて怪我を……」
「スラ子ちゃん……」
 もう一度苦し気な声。
「スラ子ちゃん、もういいよ……。私達のことは置いて逃げて。スラ子ちゃんだけでも……」
「もう、何言ってんの」
 後ろを振り向いて、スライムハンター子が言う。
「そんな弱気にならない! 大丈夫だよ、絶対皆で帰れるからね。だから頑張ろ!」
 その口調は努めて明るく──だが、僅かに震えてもいる。
 スライムハンター子は立ち上がると画面を離れ、血に染まった包帯を巻いてすすり泣く「スラ友」達の背を撫で、肩を抱き、懸命に励ました。そしてもう一度画面の前に戻り、最初の言葉を繰り返す。

「SOS。SOS。これは救援要請です。ユーカリが丘冒険王国近隣の冒険者パーティに、救援を要請します……」

 ☆☆☆

「皆さん、配信は見ましたか?!」
 星詠み、ラヴィア・アモエヌスは集まった√能力者を見るなりそう切り出した。
「√ドラゴンファンタジーにある、ユーカリが丘冒険王国……√EDENで言うところの千葉県佐倉市のあたりですね。ここのダンジョンに「ヘッドスライム」というモンスターが現れて、何でこんな所にあったのかはわかりませんが、とにかく封印された大魔王の遺体を手に入れまして……。
 結果、ヘッドスライムは、王劍「ロンゴミニアド」と共に、大魔王の全能力を得てしまったんです!」
 もう最悪の展開ですよ──ラヴィアは頭を抱えながらも続ける。
「そして、その一部始終を目撃し配信していた|迷宮配信者《ダンジョンストリーマー》の方がいます。「スライムハンター子」さんという、スライム特化型の配信者さんです。
 ただ、配信の途中でヘッドスライムに見つかってしまったみたいで……。幸い、逃げ延びてはいるようなんですが、彼女の配信に同行していた「スラ友」と呼ばれる複数人の視聴者が攻撃を受けて負傷しています。スライムハンター子さんは今もダンジョンの最深部にいて、スラ友さん達を守りながら、必死で生き延びようとしているんです。
 ……正直、このままでは長くはもたないと思います。ですから皆さんにはまず、スライムハンター子さん達の救助をお願いしたいです」
 ただ──と、ラヴィアは少し間を開けて言った。
「これで事態が収束するとは思えません。何しろ疑似的にとはいえ、大魔王が蘇ってしまっています。だから、次に起こりうる事態に備えて何をするかは、現場の皆さんに委ねます。
 そうですね、一応、想定できる選択肢としては……」
 ラヴィアは愛用のPC「ハイパーしらべるくん」を叩いて、一枚のスライドを√能力者達の前に投影する。

「作戦1 ヘッドスライムを撃破する!
 作戦2 ユーカリが丘にやってくる簒奪者達と戦う!
 作戦3 大魔王の復活によって目覚めるモンスターを撃退する!
 作戦4 ダンジョン内に他にも逃げ遅れた冒険者がいないか確認する!
 作戦5 ユーカリが丘の天空聖堂で超武器「誰かスレイヤー」を作る!」

「こうして見ると、色々できることはありますね!」
 ラヴィアはひとり頷くと、
「王劍も絡んでいることを考えると、今回の作戦は極めて大規模なものになるでしょう。戦えない私は、こうやって情報を集めて、皆さんを送り出すことしかできませんが……どうか皆さん、無事に帰ってきてくださいね。
 では、いってらっしゃい!」
 そう言って、精一杯の笑顔で√能力者達を送り出した。

マスターより

開く

読み物モードを解除し、マスターより・プレイング・フラグメントの詳細・成功度を表示します。
よろしいですか?

第1章 冒険 『迷い人を探して』


スカーメグ・ロワ

「あのプルプルちゃん、野心家で嫌いじゃないわ」
 現場となったユーカリが丘のダンジョンに急行しながら、スカーメグ・ロワはひとりごちた。
「まあ、嫌いじゃないけれど……放っておいて良いかと言ったら話は別よね~」
 そうなのだ。弱き者が野心を持って|大物食い《ジャイアントキリング》を狙う、その心意気や実に良し。だがその結果大魔王が爆誕して、世界が危機に陥るとなったら話はまた別なのである。
「ともあれ、まずは捜索からね」
 メグは|少女人形《レプリノイド》だ。量産を前提とされた存在であり、ゆえに知っている。数は力であると。彼女が√能力「|人海戦術《レプリノイド・コンビネーション》」を起動すると、34体のバックアップ素体が即座に周囲に出現する。
「さ、"私"達! お仕事よ~! 速やかに要救助者を見つけちゃいましょ!」
 号令一下、バックアップ素体達は一斉に散会し、ダンジョンに取り残された「スライムハンター子」とその同行者の捜索を開始した。

 あの星詠みは、要救助者が未だダンジョン最深部にいると告げていた。深く潜れば潜るほど強力なモンスターが出現するのがダンジョンの鉄則である。出来るだけ目立たないように、というメグの指示の下、バックアップ素体達は慎重かつ大胆に探索を進めていく。……とはいえ、隠密行動やサバイバルに長けた彼女達にとって、それはさほど難しいことではない。浮足立たず、いつもの事をいつものようにやれば良い。それだけの話だ。
『HQ、応答してください。こちらコード・アクエリアス・ワン』
 ほどなくして、素体の一人から通信が入る。幸い、|迷宮配信者《ダンジョンストリーマー》が配信を行えるだけあって、レプリノイドデバイスの通信感度は良好だ。
「はーい、こちらHQ。何か見つけたかしら?」
『戦闘の痕跡を発見しました』
「詳細を教えて」
『焼け焦げた跡が複数。竜漿の反応も確認できます。おそらく何らかの魔法、あるいは魔法によって属性を|付与《エンチャント》した武器の使用が多く行われたと推測できます。どれも真新しいものです』
「まあ……」
 メグは息を吐いた。スライムは弱いモンスターだが、その軟性ゆえに物理攻撃はさほど効果がないため、魔法や属性武器で戦うのが効率的とされる。スライム特化型配信者を名乗るスライムハンター子が、それを知らぬ訳がない。
 間違いなく、彼女達はここで一度ヘッドスライムと交戦している。
「だいぶ近づいてるわね……。もうちょっとよ"私"達。頑張りましょ!」
『『『|了解《ラジャー》!』』』
 メグの言葉に、素体達が一斉に声を上げた。

桂木・伊澄

 桂木・伊澄は、特別に探索に向いた能力を持っているわけではない。それでもこのダンジョンにやって来たのは、助けを求める者がいるからだ。
「まったく、スライムが厄介な事をしてくれたもんだ……」
 思わず愚痴がこぼれるが、そうした所で仕方がない。勿論、いずれはヘッドスライムについても対処せねばならないが、今は人命救助が最優先である。
 ダンジョンに踏み入った直後、伊澄はためらいなく|眼鏡を外した。《・・・・・・・》
 二つの眼窩から、ゆらり、と青白い光が湧き上がる。これこそが伊澄の『魔眼』。かつて√汎神解剖機関において、危うく人間厄災に認定される寸前にまで至ったほどの異能である。今の伊澄にダンジョンを照らす明かりは必要ない。魔眼に備わった暗視の力で、周囲はまるで陽光明るい昼間のようにくっきりと見えている。
 先行していた√能力者のおかげで、要救助者がいるという最深部へは無事辿り着くことができた。痕跡を探す伊澄の視界の端で、何かが光る。駆け寄って拾い上げてみれば、それはまだ新しいガラス瓶の欠片だ。
「何かのアイテムの残骸か……?」
 伊澄は目を閉じ、√能力「|武装化記憶《サイコメトリック・ジオキシス》」を使用する。……他人の記憶を勝手に読み取るなど、普段の伊澄であれば躊躇するところだ。だが、今はためらっている場合ではない。人の命がかかっている。
 「俺は皆さんを助けに来た者です。どうか、ここで何があったのか教えてくれませんか」
 物品の「過去の所有者の記憶」は、伊澄の真っ直ぐな言葉に応え、『ある光景』を見せた。
 
 ──負傷者を抱え、追い詰められている冒険者パーティ。
 ──その先頭に立ち、武器を構える「スライムハンター子」。
 ──視線の先にいるのは、まぎれもなく、大魔王の遺体の頭部に寄生した「ヘッドスライム」だ。
 ──なんで炎が効かないんだ?! スライムだろ?!
 ──冒険者の一人が叫ぶ。
 ──ム~シュッシュッシュ! 当たり前デシュ! 大魔王のパワーを手に入れたムシュに、そんなチンケな攻撃が効くわけないデシュ~!
 ──ふざけた笑い声を上げながら、ヘッドスライムが何かの魔法を使う。後方でひっそりと呪文を唱えていた魔法使いが狙われ、その杖が予備の血液貯蔵瓶ごと粉々に砕かれる。
 ──何をしても無駄デシュよ! さあ、大人しくムシュの最初の獲物になって……。
 ──突如充満する白い煙。スライムハンター子が、煙玉のようなものを投げたのだ。
 ──皆走って!! 早く!!
 ──スライムハンター子の声に、冒険者達は一斉に逃走する。向かう先は……。
 
「こっちか!」
 映像が終わるより早く、伊澄は地を蹴った。

クラウス・イーザリー

 |迷宮配信者《ダンジョンストリーマー》──まさに√ドラゴンファンタジーの花形とも言える職業だ。ダンジョン|攻略《アタック》の様子を自らリアルタイムで配信することで、莫大な人気と収入を得る、新しい時代の英雄像。
 だが、その華やかな姿のすぐ側には、心胆を寒からしめるほどの危険が静かに横たわっているということを、クラウス・イーザリーは今回の一件で改めて痛感した。
「(|√ウォーゾーン《俺の故郷》とはまた、別の意味で大変そうな世界だな……)」
 ──早く助けてあげたい。
 その一心で、クラウスはダンジョンの奥深くまで潜っていく。
 
 他の√能力者達のおかげで、「スライムハンター子」とその同行者達の推定位置は、かなり具体的な範囲まで絞り込めていた。ならば、自分がすべきは「最後の一押し」であろうと、クラウスは理解する。彼が目を閉じると、小型のドローンが9体、周囲に出現した。√能力「|機械仕掛けの瞳《オートマタ》」である。
「よし、行っておいで」
 ドローンが散開する。クラウスは物陰に身を隠し、目を閉じたまま、ドローンと共有する五感に意識の全てを集中させた。全9体のドローンとの感覚共有は、脳の処理能力に多大な負担をかける。だがこの位、重傷を負い、疲弊しきった身体で救助を待つばかりの冒険者達に比べたら、なんてことはない。
 ……やがて、1体のドローンの聴覚センサーが何かを捉えた。
 通路の奥、細い脇道の向こうから何かが聞こえてくる。モンスターの足音や鳴き声ではない。これは……。
「人の声だ!」
 クラウスは弾かれたように立ち上がり、走り出した。懸命に駆けること数分、先程のドローンが見ていた景色と同じ光景が現れてくる。一見しただけでは、先に進めるとはわからないほどの細い道。クラウスは迷うことなく飛び込む。そこにあったのは……薬の匂い、傷ついた者の呻き声、そして。
「!!」
「大丈夫? 助けに来たよ」
 クラウスのその言葉に、「スライムハンター子」とその同行者……「スラ友」達は、一斉に歓喜と安堵の声を上げた。

 ☆☆☆

 その後、この場に集った√能力者達の尽力により、負傷者は全員無事にダンジョンから脱出し、ユーカリが丘の病院に搬送された。一人、足を骨折して動けなくなった魔法使いがいたが、クラウスが背負って外まで運んだ。魔法使いはクラウスの背に顔を埋めて、静かに泣いていたように思えた。
「皆、助けてくれてホントにありがとね……!」
 「スライムハンター子」がそう言って、深々と頭を下げる。
「これで怪我したスラ友さん達は大丈夫だから、あたし、安心して戻れるよ」
「え? 待って、|戻れる《・・・》って……?」
「うん」スライムハンター子は頷いた。
「|あと2人いるの《・・・・・・・》。はぐれちゃったスラ友」

第2章 冒険 『mystifying mist』


「……うん! ここ!」
 目の前の光景と、スマホに写った探索アプリの画面を見比べて、「スライムハンター子」は頷いた。彼女と√能力者達の眼前に横たわるのは、一面の霧。一歩先も満足に見通せないほどの濃さを持つそれは、ダンジョンの暗さや圧迫感も相まって、平時よりも一層大きな不安を√能力者達に感じさせた。
「ヘッドスライムから逃げてる途中で、この霧のエリアに入りこんじゃったの。で、どうにか脱出した時にはスラ友が2人いなくなってて。……探しに戻ろうか迷ったけど、怪我した子を置いてはいけなかったから」
 スライムハンター子はスマホを腰のポーチにしまい、武器を抜く。
「まあ、正直あたしも万全って訳じゃないけど、責任ってやつがあるし。それに、皆が一緒に来てくれるなら頼もしいよ。2人を見つけて、元気に帰ろうねっ」
 そう言って、スライムハンター子はウインクした。

 「あ、そうだ! あたしの事は「スラ子」でいいよん。スラ友さん達は皆そう呼ぶからね。そゆことでヨロシク!」

☆☆☆

 ※MSより※
 この章では、「スライムハンター子(スラ子)」が皆さんに同行します。万全ではない、という本人の言葉の通り、√能力は使用できませんが、アイテムの使用などで皆さんをサポートします。
 また、他にスラ子に聞きたい事や頼みたい行動などがあれば、プレイングに記入してください。
桂木・伊澄
スカーメグ・ロワ
クラウス・イーザリー

「この中に、あと2人……取り残されているのですね」
 眉間に皺を寄せつつ、桂木・伊澄は霧の向こうを見やる。
「この霧……流石の魔眼の暗視でも、見通す事は出来ないようだ」
「随分深い霧のようだしね……」
 クラウス・イーザリーはそれに答えながら、√能力「レギオンスウェーム」を使用する。62体のレギオンが瞬時にクラウスの周囲に現れた。
「俺はレギオンの超感覚センサーで探してみるよ。これなら霧の影響は少ないはず」
「では、俺は『耳』を使ってみます。地道ですが……壁や地面伝いに音を拾ってみようかと」
 拡散する霧は音を吸収する。だが、物を伝う「振動」を捉える形であれば、吸収の効果は多少弱まるのではないか。伊澄はそう判断した。
「わかったわ。それなら、これで連絡を取り合いながら進みましょ」
 言って、スカーメグ・ロワは2人にレプリノイドデバイスを手渡した。
「私はスラ子ちゃんと一緒に行くわね。何か分かったら教えてちょうだい」
「わかりました。スラ子さんもよろしくお願いします」
「スラ子さん、よろしく。皆で無事に帰ろうね」
 クラウスと伊澄の挨拶に、
「うん! 皆よろしく~! 一緒に頑張ろうねっ」
 スラ子はウインクとピースの「決めポーズ」で応じた。

 ☆☆☆

「ふふ、頑張るスラ子ちゃんを見てると応援したくなるわね。事件が解決したら私もチャンネル登録しようかしら?」
「ホント?! 登録してして~! あと高評価とハイプも!」
 鬱蒼と広がる霧の中を、メグとスラ子は壁伝いに歩いていく。
「そういえば、スラ子ちゃんたちは、逃げてる途中で一度霧のエリアに入っているのよね。どんなルートでここを通ったか、覚えてる範囲でいいから教えてくれる?」
「んー……逃げるのに必死だったから、あんまり覚えてないけど……」
 スラ子はスマホを取り出し、探索アプリを立ち上げた。アプリに表示されたダンジョンマップに、「こんな感じだった気がする……」と、指でおおまかな道順を示してみせる。メグはそれを手持ちのレプリノイドデバイスで撮影し、伊澄とクラウスに共有する。
「はぐれちゃった2人は、タンクが得意な重装剣士さんと、刀を使う軽装戦士……侍ってやつだね。どっちも常連のスラ友さんで、一緒にダンジョン|攻略《アタック》したこともあるよ」
「じゃあ、その子達の性格とかもわかる?」
「もち! 重装剣士さんは頼れる兄貴分みたいな人で、侍さんは真面目でストイックな人。あとござる口調だよ」
「なるほど~。結構落ち着いた感じの2人なのね」
『すみません、今いいですか?』
 レプリノイドデバイスから伊澄の声が響いた。
『送ってもらった画像を見ながら、周辺を探っていたんですが……妙な音がします』
「妙な音……? どんな感じかしら」
『何か……複数の重いものが這いずるような音です。モンスターだと思うんですが』
『それ、多分俺のレギオンのセンサーに引っかかっているのと同じだ。伊澄の言う通り、複数の反応がある。動きは鈍いようだけど……この様子だと、かなり数がいるかもしれない』
 続くクラウスの言葉に、スラ子が「スライムかな」と呟いた。
「1体1体は弱いけど、大量にいると厄介だね。でも、事前にわかってるなら対策できるし」
 ちょっと待ってね~、と言って、スラ子は自身の荷物袋を開けた。

☆☆☆

 |全身鎧《フルプレートメイル》の男は、最後の回復薬を一気に飲み干すと、ガラス瓶を投げ捨てた。その後ろには、肩口から血を流しつつも刀を構えている流浪人姿の男が、背中合わせで立っている。
「あとどれくらいだ」
 |全身鎧《フルプレートメイル》の男が言う。
「それは敵の数でござるか? それとも拙者達の命の残り時間でござるか?」
「敵の数に決まってんだろ」
 霧の奥で、2人はスライムに囲まれていた。
 スラ子とはぐれて以来、属性付与の魔術が込められたアイテムを駆使してどうにか敵を倒し続けてきたが、もはやアイテムは底を尽き、頼みの綱の回復薬も、つい先程全てを使い切ったばかり。それでも、彼等の目には生きる意志が爛々と輝いていた。
「絶対に脱出してやる。こちとらスラ子の周年祝いまであと2カ月切ってんだ」
「同感でござるよ。スライムの餌になる位なら推しの養分になるでござる!」
 互いに檄を飛ばすスラ友2人に、スライムの一匹が大きく膨れ上がって襲い掛かろうとした、まさにその時──。
 スライムの横っ腹に、レギオンミサイルが突き刺さった。
 無論スライムが耐え切れる訳もなく、爆発と共にたちまち破裂する。
「見つけた!」
 スラ友達の元にクラウスが駆け寄る。その後ろから、スラ子謹製のオフィシャルグッズ・対スライム特化属性弾射出用アタッチメントを愛用の銃に取り付けたメグと伊澄、そしてスラ子が現れた。
「2人ともーーー! 大丈夫ーーー?!」
「スラ子! 無事だったか!!」
「スラ子殿ーッ!!」
 対スライム特化、と謳うだけあり、スライム相手の特化属性弾の威力は凄まじい。柔らかなスライムの体内に潜り込み、内部で強烈な火属性攻撃を炸裂させて爆発、即席の爆弾と化したスライムが周囲のスライムまで一気に仕留めるというその威力の前に、スラ友を追い詰めていたスライム達は瞬く間にその数を減らしていった。
「さすがスライム特化型配信者ね~!」
「でしょ~?! 公式オンラインショップで大好評発売中だから!」
「(公式オンラインショップとかあるんだな……)」
 ほどなくして、√能力者達はスライムの殲滅に成功。クラウスが怪我を負った侍を治療し、√能力で腕力を上げたメグが肩を貸して、脱出に移った。帰路は伊澄の魔眼による先導のおかげもあり、モンスターと遭遇することなく、非常にスムーズに進むことができた。
 かくてスラ子とその同行者達は、無事全員揃って地上の土を踏むことができたのである。

 ☆☆☆

 配信画面に、病院の相部屋が映る。
 横から画面に現れるスラ子。背後に置かれたベッドには、スラ友達が寝かされている。そのうち何人かは起き上がることができるようで、配信画面に向かって手を振ったり、笑顔を向けたりしていた。
「皆、スラハロ~っ☆」
 画面に向かって、明るい声でスラ子が挨拶する。
「心配かけちゃってゴメンね! この通り、あたしもスラ友さん達も皆無事です! すっごく大変なことになっちゃってたけど……危険を顧みず、助けに来てくれた人達がいたんだ。この場を借りて、改めて、その人達に感謝します。本当に……ありがとうございました」
 スラ子は静かに頭を下げた。スラ友達もそれに倣って、感謝を捧げる。
「問題の配信は……悩んだんだけど、あのまま消さずに残しておくことにするね。で、あの配信の収入は全額ユーカリが丘冒険王国に寄付しようと思ってます。|迷宮配信者《ダンジョンストリーマー》のあたしに出来そうなことって、そのくらいだからね。
 事前告知の通り、あたしも少しお休みを貰うけど、周年記念の日までには、バッチリ元気になって戻ってくるつもり。その時は、さらにパワーアップしたあたしをスラ友の皆に見せてあげるから、楽しみにしててよねっ!
 それじゃあ、スラバイバ~イ☆」

挿絵申請あり!

挿絵申請がありました! 承認/却下を選んでください。

挿絵イラスト

開く

読み物モードを解除し、マスターより・プレイング・フラグメントの詳細・成功度を表示します。
よろしいですか?