シナリオ

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【王権決死戦】手向けの花は要らないの

#√汎神解剖機関 #宿敵旅団 #ペンタクルム・ゲート #王劍『縊匣』 #王権決死戦 #ペンタクルム・ゲート最終決戦 #『囀る沈黙』レティセンス #プレイング受付中

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『ペンタクルム・ゲート』関連シナリオ

これは、宿敵旅団『ペンタクルム・ゲート』に関連するシナリオです。これまでの物語は、#ペンタクルム・ゲートで確認できます。
このシナリオに登場する宿敵は、宿敵主との『Anker』関係が失われています。

王権決死戦

これは王権決死戦です。必ずこちらのページを事前に確認の上、ご参加ください。
また、ページ右上の 一言雑談や特定の旅団等で、マスターが追加情報を出すこともあります。

●はなちるきせつに
 夏は終わりを迎えた。はらりはらりと散る花びらを踏みしめて、囀る沈黙は歩く、歩く。√を超え、素足の足音をひたひた響かせながら。
 モリアーティの呼びかけに応えた『囀る沈黙』レティセンス、訪うは√ドラゴンファンタジーのダンジョン。ペンタクルム・ゲートを開くために集結した者たち。
 ……今までの作戦の多くは尽くEDENの能力者によって阻止されてしまった。一部情報を持ち帰ったものたちと比べ、レティセンスは殆ど、ひとりで、自由にしていたに過ぎない――それはそれで、ペンタクルム・ゲートへの彼女なりの後援ではあったのだが。

 移動神殿と共に消えた『清羅』への呼びかけを――その話を聞いたレティセンスは上機嫌だった。ようやく私の目的が達成できるかもしれない、という機嫌の良い足取り。だがまたEDENは邪魔をしてくるだろう。爪を噛みながら集まった面々を見て、彼女は以前よりも――|雑音《ノイズ》が少ないことに気がついた。皆がほぼ同じ事を、考えているからだろう。

「いい加減出てきなさいよ」
 まるでガヤのひとり。『心と可能性を探求する者』が呼びかける声に小さく声を被せる少女。――反応があった。

 空間が引き裂かれる。白い刀身が現れる。その数、14本――王劍『縊匣』の|小王劍《分身》!
 現れた『清羅』がやや焦った声色で告げるは『緊急事態』であった。元から彼女が消えたこともレティセンスには緊急であったのだが、それはそれ。
「……清羅は白い劍を追って……気付いたら、異空間に着いてた……。僅かだけど、アンちゃんがいたのを感じた気がして……」
 清羅が語るは王劍『縊匣』の追跡についてだ。かつての《失楽園戦争》時の計画が失敗した後、アンドロスフィンクスはその異空間にその身を隠していたらしい。
「あれが、あの異空間が……ペンタクルム・ゲートの中枢……アンちゃんが、開きたかった、扉……」
 私が、私たちも、開きたかった扉だ。

「……白い劍が、ずっとアンちゃんとあの異空間にいたみたい。ペンタクルム・ゲートが完成したら、小王劍を多くの√‬世界に送り込めるように……。でも、アンちゃんは……」
 倒されちゃった。それを知って、白い劍が逃げようとしたから、ゲートを守るために、少しだけ奪ってきた。奪い取ってきたのだ、『この子』は!! 心が躍る。清羅の覚悟に、そして握られた白い剣に。

「清羅も、この力とみんなの声のおかげで戻って来れた……。でも、もうすぐ異空間が消えちゃう……。アンちゃんがしたいこと、出来なくなっちゃう……」
 それじゃあ、私の計画も台無しじゃない。
 勝手にエネルギーを持ち去って、ペンタクルム・ゲートの扉を、異空間を消滅させようとして。なんて自分勝手な王劍だこと! このエネルギーをどうにか補充しなければ。それならば、やることは一つ。

「……これを使えばいいのよ」
 レティセンスは小王劍を手にして、くるりと手の中で弄んでみせた。これで人間を殺害すればいい。ペンタクルム・パールを生成できる。悪人でなくとも……そう、今の私たちには、この小王劍があるのだ。多くの人間を殺せば、多くのパールを得られる。無差別でも、なんでも……!

 これで『ペンタクルム・ゲート』の維持に成功すれば、私たちを散々馬鹿にしてくれた『縊匣』を追いかけ、見つけ出し、破壊しきってやる。たとえ私が探して見つけられなかったとしても、それこそ誰かが|また《・・》見つけ出す。
 『縊匣』を破壊すれば――奪われたエネルギー、そして『縊匣』が持つインビジブルを手に入れれば――完全な形で『ペンタクルム・ゲート』の成就がかなうのだ!
 5つの扉で√を繋ぎ、すべてを得る。もっとも、私にとってはそれは『副産物』ではあるけれど……なんてね。

●おとどけもの。
「厄介事の『お届け』だ」
 星詠み、オーガスト・ヘリオドール(環状蒸気機構技師・h07230)。静かにテーブルの上へ転がすはAI『アルテスタ』の筒である。珍しく喧しくない男、真面目なツラをして。
「潜伏していたペンタクルム・ゲートの幹部たちが一般人の襲撃を開始した。手にするは縊匣の小王劍……」
 長らく消えていた王劍が、|形を変えて《小王劍として》現れた。彼らがどうやってそれを手に入れたかは不明だが、このまま放っておけば多くの一般人が犠牲になるのは明白。

「この『小王劍』は、一般人を殺すごとに、その命を啜ってペンタクルム・パールを生んでる。前の悪人殺しとは比じゃないよ」
 ただし、すぐに戦闘力が強化されるという事は無い。パールを貯め込み何かに利用しようとしているのか……。
「√汎神解剖機関。対するは『囀る沈黙』レティセンス。見慣れただろ。愛らしい、災厄だよ」
 振りまく甘い香りは強く、強く。ひとびとを沈黙させる香気を纏い、そして。

「パーティー会場にレティセンスが現れ、√能力『沈黙人形』――悪趣味な人形たちを放ち、自分の傀儡とすると同時に、ペンタクルム・パールを得ようと画策してる」
 小王劍さえ所持していれば、√能力や通常の攻撃で一般人を殺害してもパールの獲得が可能なようだ。そして彼女は今までに温存してきた人形たちを使って、全力でパールの獲得に動く――。
「空間は既に香気に満ちてる。香気への対処をしつつ一般人も守らなきゃならないけど、前回みたいに香気だけに対処していたら、一般人は死ぬだろうね。同時に行わないといけない」
 オーガストは指を鳴らす。ホログラムに投影されるはパーティー会場の見取り図だ。出入り口はもちろん非常口、ダクトの位置までしっかりと描かれているが、これを活かせるかはEDEN次第であり、前回のこともありレティセンスがそれを阻止しようとする可能性も高い。

「どうかここで、決着をつけよう。……頼んだよ、皆」
 紫の瞳が強く細められた。

マスターより

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第1章 冒険 『底無しの欲望をあなたに』


 満ち、溢れる香り。それは空間全体に広がり、滞って、満たしている。
 甘くとろけておしまいなさい。|おしまい《・・・・》になったあと、私があなたを丁寧に、可愛らしい、何も言わないお人形さんにしてあげる。

 パーティー会場を満たす香りは『そのような演出』として処理されていた。もっとも、理性の曖昧になった来賓者がそう思い込んでいるだけだが。
 香りだけなら誰もを魅了してみせる。どんなに嗅覚の鈍い人間でも、たとえ鼻を持たぬ相手でも、彼女の√能力は正しく作用する。対策はあくまで対策であり、根本を――レティセンスという花を踏み散らすまで止まらない。

「お集まりの皆様」
 優雅なカーテシーと共に現れた、黒衣のドレスを纏った少女。愛らしい笑みを浮かべて微笑む彼女に会場がざわめいた、その瞬間――彼女のドレスが、ぱさり、揺らされた。
 途端散るはベラドンナ。花々は花弁となり周囲へ散り、そしてひとつひとつが形をとる――『沈黙人形』。

「私、ずっとショーケースが欲しかったの」
 あの邪神が私を産み落として。私はお人形さん遊びに夢中になって。誰の目も気にせず、好きなように、甘い一日を過ごしてきた。今までは。けれど今となっては……。

 満ちよ香気。息が詰まってしまった。結果、みちりと溢れた人形たちがこの場に溢れかえっているのだ。レティセンスが蒐集した、元人間の――!
「でも、今までのお人形さんだけじゃ満足できなくなっちゃった」
 倒れた燭台から火の粉が散る。テーブルクロスを焼き焦がしていく。

「私のショーケースに並ぶ、最初のお人形さんたちに、なって♥️」
 狂気の視線、正気の視線。手向けの花は要らないの。
 私が、用意してあげる。
クラウス・イーザリー

 突入した空間は、肌に染み込むように――比喩どころではない、甘い香りに満たされた空間だった。ガスマスクを着用していようと肌で感じ取るは香気である。風を起こし香気を吹き散らしてようやく肌への違和感を拭い去れたクラウス・イーザリー(太陽を想う月・h05015)は、ガスマスク越しに小さく、息を吐いた。

 凄惨。あるいは、レティセンスにとっての聖餐の場。入ってきたばかりの背後の扉を蹴破り、開け放って、風を送り込み香りを霧散させるも……濃い。濃密な、それでいて滞った空気は中々出ていかない。

「あら。早かったわね、EDEN。何だったかしら、お・な・ま・え♥️」
 にこにこと微笑みかけてくるレティセンスの囀りを無視して、沈黙人形――人の顔面を持った無機質な『お人形』たちへの対処へと移る。物陰から茨の蔓を伸ばし、逃げ惑う一般人へと襲いかかる人形を捕縛しながらクラウスは改めて、レティセンスへと向き直った。
「(全員を守ることはできないかもしれない)」
 質量の暴力――レティセンスは未だくるくるその場でステップを踏み、スカートから花びらを散らしている。花弁が人形と化し、香気を振りまいていくのを見てクラウスは悟る。
 足止めは足止めにしかならない。両足を破壊した人形が這いつくばるようになっても、新たな人形が生まれてくる――!
 ならばと選ぶは竜化である。影の竜の姿を借りて、周囲へと深い影を落とすクラウス。――己の思考にも、刻み込む。これ以上の暴虐を許すな、と。

「私、あなたを招いた覚えはないわ?」
 のろのろと逃げ惑うだけだった来賓者、一般人たちの脳へと上書きされる思考。『ここから逃げなくては』……! 鈍いながらも動き始めた一般人たちは影の濃くなるほうへ――クラウス――即ち出入り口たるドアの方へと殺到する。
 それを守るように茨を蔓延らせるクラウス。そして、一般人たちとは真逆に動きが鈍くなる沈黙人形たち。文字通り黙した人形を破壊しながら、クラウスは倒れそうになった一般人を抱え、徹底して救助に動く。

「あらあら。いけないわね、私の大切なお人形さんたちにまた、ひどいことをして」
「……どちらが」
 その先の言葉は紡げなかった。手を伸ばした先の一般人、その脚が『レティセンス』の茨に捉えられた!
 あっという間に引きずられ、彼は濃い香りの中へと導かれ、動きを止める。死んではいない……今は。パールの輝きはない。だが、時間もない。その体をこちらも茨を用い、レティセンスの茨を断ち切って自分の元へと引き寄せる。息はまだある……!

「ほら。まだまだ、手を使って、脚を使わなきゃ」
 笑う、笑う少女、余裕にくるり。香気は濃くなるばかり――!