BunBunHelloDoragonFantasy!!
「こんにちは~、今日も行ってきましたよ。ダンジョン」
……そんな配信が幾多も流れていく。冒険者たちがダンジョンに向かった報告を動画サイトで配信する。今の流行りだった。
●
「うん、今日はダンジョンに向かってもらうよ。あと、動画配信もセットでね」
古びた雑貨屋。その一角で哉未・凪矢(ヒロイック・タロット・h00985)が笑顔を浮かべている。
「そこまで難しいことを頼もうとは思っていないよ。今回はいわばお試しだ。僕も、君たちもね。これからの未来で僕らがうまくやっていけるか、そのお試しだと思えばいい」
彼の表情はいまいちつかめない。笑顔なのはわかるのだが。
「まず、流行りの動画配信をやってみよう。こういうのは慣れだからね。もうやってる、という君はいつも通りに配信を楽しんでくれればいいさ。……僕も今度やってみようかな。言い出しっぺがやらないのはなんか、ずるいだろう。うん。
配信のこつが掴めてきたら、おまちかね。ダンジョンに潜ってみよう。今回の敵は『アンドロスフィンクス』。なぞかけを繰り返す手ごわい相手だけれど……君たちならなんとかできるさ。
……もしかしたらアンドロスフィンクスの元にたどり着く前に、いくらか敵が現れるかもしれない。トラップがあるかもしれない。
そうしたことの情報収集も兼ねて動画配信は必要なんだ。意外と馬鹿にならないものだよ、世界に情報を発信するというのはね」
ぱちり、凪矢は手を鳴らす。
「さて、決まったらどんどん行こう。君たちの無事を祈っているよ」
第1章 日常 『冒険者生配信!』

保稀・たま(スきなコとスきなコト・h02158)が画面を見つめている。
動画配信は始まっちゃえば簡単って雑誌に載ってた。
「わたしもやりたい!」
その一心でわくわくしながら開いた配信画面。ぽち、と配信開始のボタンをタップする。心臓が高鳴っていた。
「BunBunHelloDoragonFantasy!!次はわたしです。はじめまして、たまです。よろしくね!」
『はじめまして』『初見です』『かわいい~』
少し待つと画面に溢れたコメントたち。聞いてもらえている!嬉しくなって、言葉も少し上ずった。
「聞いてほしいのはね、んーと……最近拾ったこれ!これみんな全体見えてる?!Uの形してて、金ピカで、それがこの長い青い棒についてて」
たまが携えたそれを画面に向ける。コメントがそれについて反応を返していく。優しいコメントが多く、たまを安心させていた。
『なんだなんだ』『見たことないな』『魔法のアイテムかな?』
たまも懸命に言葉を重ねていく。
「見た感じ、殴ったら強そうでしょ。授業で見た音叉にも似てるかなぁ」
「で、ちょっと振るとね!」
それをたまが軽く振る。きらきらっ!と光を放たれ、たまの言葉を弾ませた。
「キラって。ほら!でも弱々しいの。ね、リスナーさん。これなんかの魔法でしょ?何だろうね?コメントで教えて!」
『たしかに音叉に似てるね』『この魔法不思議だなあ』『補助魔法の一種かも』『こういう魔法はウィキとかもあるかな?』『調べてみたけど……』
「わ、コメント!嬉しい!なるほど、ウィキとかもあるんだね……!参考にするね、ありがと〜!使いこなしてみせるよっ!」
時間は楽しく過ぎていく。動画配信の楽しさ、すごく感じてる!
「ふむ、配信か。長い時間を生きる者に取って、新鮮な話をできる者は貴重。報奨に値するが……人間に取ってもそうなのだな」
ヘリヤ・ブラックダイヤ(元・壊滅の黒竜・h02493)が端末を見つめながら呟く。
配信をしてみよう、そういったことを勧められたが……ヘリヤは少し手間取りながらも配信画面を開き、開始ボタンをタップした。
コメントが流れ始める。うまく開始はできたようだと理解したヘリヤは朗々と言葉を紡いだ。
「私の名はヘリヤだ。今日はダンジョンを攻略する配信を行う」
コメント欄は興味のコメントが多い。その中でも、
「角に翼?無論本物だ、尾もな」
『まじか』『すごーい!』『よくできてると思ったけど本物なんだ』『そのでっかい武器は!?』
「これか?これは魔導機巧斧『竜吼』、こっちは魔導機巧剣『竜翼』だ。小さな身だが、この程度の重量であれば扱うのに不足はない」
『小さい子がでっかい武器を使うのはロマン』『わかる……』『どんなふうに戦うの?』
「ああ、こうした武具を使うこともあれば、ドラゴンとしての力で戦うこともある」
『ドラゴン!?』『強そう』『すっげー!』『みてみたーい!』
「強大な姿をお前たちが見たがるのも当然だが、見世物では……いや」
ふと、ヘリヤは考え込む。少しの間の思案。そして、
「ダンジョン前での配信はここまでた。ここからは内部に移る。このまま探索と配信が進めば……私の真の姿も見られるかもしれないな」
『まじか』『うおお』『楽しみ!』
沸き立つコメント欄に笑みを浮かべ、ヘリヤはダンジョン内部に向かう。
配信など経験はない。しかし、興味は少しばかり湧いている。
端末を自撮りをする画角に持っていき、配信開始のボタンをタップ!すぐにこの世界中と繋がり、コメントたちが溢れていく。
「わーわーみんな見てるー!?みかもちゃんねぇ、今日が配信初めてだから何かあったら言ってね!イエーイピース!にっこり!」
ピースをして笑顔を画面に向ければ、コメントはそれに反応をしてくれた。
『 はじめまして』『 初見です』『 かわいい~配信初めてなんだ』
ざわざわと流れ出す感想に身鴨川・すてみ(デスマキシマム・天中殺・h00885)はニコニコと笑みを深めている。
配信のことはまだわかったとは言えないが、なかなか楽しく出来そうだ、とすてみはるんるん。うーん、でも何を話したらいいんだろうなぁ…あ、そうだ!
「えーと、今ねぇ休憩中なんだけど…あのねえこの前みかもちゃんデスゲーム行ってきたんだよ…うん、参加者で!そこでねぇ見たトラップが最初の被ってた!ウケるよね!そんなことある?って笑っちゃったよ〜!
あ、なんか最終的にデスゲームのほうの会場は爆発してたよ!不思議〜!」
のんびりぱたぱたと話すすてみにコメントたちものんびりと返す。
『 デスゲーム!?』『 勝ち抜いた……ってコト!?』『 強すぎる』『 ダンジョンのモンスターも楽勝じゃない?』『 そういやダンジョンのモンスターって凶暴なやつらばっかなん?』『 みたい。なんか謎かけに返せないとぶん殴られるやつとか』『 そいつの謎かけ意味ないんじゃなかった?』
「ふんふん~。いろいろあるんだねえ」
流れていく幾多のコメント。それは今すてみが作った繋がりの中にある。すてみは小さく笑みを浮かべた。
「じゃあ休憩も済んだしダンジョン攻略行ってみよ〜!」
六合・真理(ゆるふわ系仙人・h02163)は端末を前にぽやぽやと不思議そうな顔をしていた。
「どうがはいしん…? はぇ~、すごいねぇ若い子の間じゃあこういうのがはやっとるんじゃねぇ」
ほうほう。ふむふむ。覚束無い手つきで端末に触れる様子は少しばかり危なっかしい。しかし、興味はあるにはある。調べものにも便利だと麓の村の若いもんも言っていたし。
よし、となんとかたどり着いた配信開始ボタンをぽちり。少しして流れ出すコメントたちに、のほほんと対応。
「わしやがな、六合・真理です。よろしくお願いねぇ」
えーっと、こういうときなんと言うのであったか。
「ぶんぶん、はろーどらごんふぁんたじぃ!だったかねぇ。流行ってるんじゃろ?こう言うのが」
ほっほと快活に笑えばコメントも快活に。
『 見た目若いのに言葉に含蓄がある……』『 のじゃろり?』『 いいな……』『 何歳ですか!!!!』
「わしはねぇ、それなりに長ーく生きておるよ。いろんな経験をしたもんだ」
『 すげぇ』『 そんなに長生きなの?』『 長生きしてるなら武勇伝とかある?』
んー?とコメントを見ながら思案。
「武勇伝ねぇ…何を話そうかねぇ?…まずは飲み物だねぇ」
『 飲み物?』
「そう、こういう時は飲み物があるといいんじゃろ?」
そうして……どん!と年季の入った器が置かれた。
「20年漬けの梅酒だよ。これが美味いんだまた」
『20年!? 』『20歳以上は確実 』『 酒飲んでる時点でそれはそう』『 初配信飲酒キタコレ』
そうして真理は梅酒をかっぱかっぱと飲んでいった。コメントたちから心配されるくらいには飲んだ。
「ほうら、酔拳でも披露しちゃろ。これが本当の酔拳だよ」
しゅしゅしゅ。カンフー映画でありそうな効果音が聞こえる突きが鳴り響く。
「こうするとなかなか良い音がするんだ。お前さんたちも試してみるといい」
そうして一頻り配信を盛り上げながら、時折忘れずに挟んでいくのだ。
「お酒は二十歳になってからじゃよ」
第2章 冒険 『魔法のパズル』

……さて、そうして動画を配信しながら進んでいくと、ダンジョン内部には仕掛けがあるようだった。
石版のようなものが設置され、パズルになっている。それ以外はなにもない、ある種殺風景な部屋。石版のパズルのピースは手のひらサイズくらいで、片手で簡単に持てそうな重さだろう。
これをなんとかしなければ先には進めそうにない。さて、どう動こうか。
サンズ・サザンクロス(三頭竜・h04130)は端末とにらめっこしながらのんびりとダンジョン内を歩いていた。
「配信は初めてだなー。でも、収益化…っていうんだっけ?もしかしたら後々の報酬にも繋がるかもだし、やるだけやってみたいな」
先立つものはなんにせよ必要なのだ。世知辛いが、そういうもの。
「えーっと、ダンジョンの途中から配信だから……っと」
少し迷いながら配信画面にたどり着き、配信開始ボタンをタップ。
「みんな、ごめーん!配信開始ボタン押すの忘れてた!俺だよ!
地球は一つ!頭は三つ!
三つ首系ドラゴンプロトコル、サンズだよー!」
明るく挨拶をすれば、コメントたちも明るく。
『どらごんなの?』『挨拶しっかりしてる』『いいね』『ドラゴンの姿見たーい』
「…え、ドラゴンの姿見たい?
モンスターに遭遇したら見せちゃうかも?」
そんな風に配信をしていると、一つの部屋にたどり着く。
「でもさー、モンスターがいそうな区域に行くには、これ解かなきゃなんだよね」
パズルを端末に向けて見せれば、コメントたちもざわつく。
「みんな、一緒に攻略してくれる?」
『いいよー』『パズル苦手なんだよな』『得意な奴、任せた!』『えっと、こういうのは……』
「なるほどねー、あっ、これこうじゃない?」
『それであってそう』『これでよくないか?』『完成だ!』
「え、ほんとだ!みんなありがとう!」
ヘリヤ・ブラックダイヤ(元・壊滅の黒竜・h02493)も配信を続けていた。
「フローティング配信カメラ」も準備していた。配信機材に不足なし。配信の盛り上がりもなかなかだった。
そうしてたどり着いたのは一つの部屋。石版のようなものが設置され、パズルになっている。それ以外はなにもない、ある種殺風景な部屋。
「む?これは……?これを破壊すればいいのか……?」
ヘリヤが不思議そうに見る。コメントたちもざわざわと。
『壊さないでー!!!』『これあれじゃね?パズルみたいな』『合わせていくんだよ。そろえてあげる』
「違う? 何、揃える? ……なるほど、一度破壊されたものを復元するのだな」
『そうそう!』
「しかしどうすれば……」
『角とか外側から埋めていくといいよ』
「なるほど……」
コメントの助けも借りながら、ゆっくりとパズルと戦っていく。
「これは……ここか? 違う、こっちか……これは……違うな。この形、これは下の部分で……む、これはもしや……! 見ろ、ピタリと嵌ったぞ!」
『やったじゃん!』『ちょっとずつこつが掴めてる』『いいね!』
「人の娯楽というのは中々悪くないな」
そうして時間をかけてゆっくりと、パズルは解かれていった。
「えっと、こう……よね。わ、もう映ってるの? これ、どうすればいいのよ……」
星峰・アトラ(葬送歌・h04702)の配信はいつの間にか始まっていたらしい。
もうすでにコメントが彼女に言葉を投げかけている。慌てて流れる言葉を追っていくが、存外に早いコメントの流れはアトラを翻弄していった。
『かわいい女の子だ!!!!!』『もちつけよ』『配信初めて? ゆっくりでいいよ~』
「か、かわいい……? そんなこと言っても、何も出ないわよ? あ、ありがとう。そうね、ゆっくり……」
と、話しながら歩いていると。仕掛けの部屋にたどり着いていた。
パズルを目の前に、アトラはううむと思いながら慣れない手つきで配信端末をパズルに向けた。
「こんなのがあるんだけど、どうやったらいいと思う?」
ワイワイガヤガヤ。コメントも興味津々でパズルに向かい合う。
『こんなのがあるんだな』『この形はこっちかな?』『これはこうかも』
「ふふ、これはね、多分こうよ。で、ここはこう。これはこっちでしょ」
てきぱきとパズルを完成させていくアトラ。コメント欄も大盛り上がり。
『やるやん』『すごい』
「でしょ? 私こういうの得意なの」
コメントが流れている間に考える時間があった……とはなんとなく言わなかった。
第3章 ボス戦 『『アンドロスフィンクス』』

斯くして、パズルははめ込まれ。
その先に広がるはぽっかりと広い空間だった。その真ん中に、ゆらりゆらりとゆれるもの。
ずしりと蜘蛛足が動く。こちらを向いたそれは、口からその言葉をこぼす。
――私の問いに、答えなさい。
リュドミーラ・ドラグノフ (Людмила Драгунова.・h02800)はたどり着いた場所で、迎えた相手をしっかり見据えていた。
『あれがこのダンジョンのボスモンスター!?』『でっかーい!』『大丈夫? 勝てるかな』
コメント欄も盛り上がる。リュドミーラはちょっと安心した。こういう戦いって、盛り上がるかな!と思っていたが、大盛り上がり。予想が当たるとやっぱりうれしいものなのだ。
「よし、じゃあ、こいつをやっつけちゃうわ! 見ててね!」
『がんばれー!』『バトルだ! ドキドキ』『応援してる!』
すちゃ、と赤いペンを取り出す。彼女のペンは自由に動いて、やがて空中にいくつもの怪物を描いた。
鼻歌さえ歌いながら、リュドミーラは描き出す手を止めない。
『お絵描き上手だね』『これどーなるの!?』
そうして、彼女はしゅるんとペンをアンドロスフィンクスに向ける。
「いってらっしゃい!」
アンドロスフィンクスはリュドミーラに視線を向けた。ゆらり。その相貌が笑みのように歪む。
――私の問いに、答えなさい!
その声はびりびりと空間を揺らした。
「うう~。うるさいわね! ちゃんと答えてあげるわよ! あなたもちゃんと聞きなさいよ! それだから友達出来ないのよ!」
がんがんと言葉を投げかけるリュドミーラに、一瞬ひるんだ様子のアンドロスフィンクス。意外と効いている。
「ウェ~イwこれがダンジョンを守るラスボスってやつ?」
以前オタクくんから聞いたことがあるようなないような言葉を思い出した。茶来・優志郎(人間(√EDEN)のカード・アクセプター・h04369)は画面の向こうのリスナーたちにひらひらと手を振る。
「じゃ! オレのいいところ見せちゃうぜ~!」
『がんばれ~!』『ラスボス登場! アツい!』
配信をしている端末を戦いが見えやすく尚且つ戦いに巻き込まれないような場所にぽんと置いた。これで端末が壊れたらそれはもう、仕方がない。うん。全国の配信を見ているオタクくんも許してくれるはずだ。
「見とけよ! オレの雄姿!」
だだっ、とアンドロスフィンクスに向かって駆け出した。アンドロスフィンクスはゆらりと優志郎を司会にとらえる。
――私の問いに、答えなさい!
「へへん! いいぜ! オレが知ってることならな!」
いっそキラキラしていそうな優志郎の言葉に、アンドロスフィンクスが微かにうめいた。
「これがダンジョンの主ってやつね?」
ベティ・スチュアート(ねずみのたびだち・h04783)は配信を行っている端末を見ながら独りごちた。
『おおお! ボスモンスター!』『でっかい!』
「確かに、ボスって呼んだほうがいいかしら? さっそくこのボスモンスターを討伐しようと思うわ」
ベティがさらりと言い放つと、コメント欄がにわかにざわつく。
『大丈夫?』『無理はしないでね!!!』
「あら、心配してくれるの? 大丈夫! 私、案外強いんだから!」
と、そのまま端末を片手に車に飛び乗った。……車!?
『ドライブ配信だ!』『ドライブ……?』
「よーし! 行くわよ!」
ぶおんぶおんとアクセル全開。そのまま魔法でどんどん硬く、どんどん速く!
アンドロスフィンクスも黙ってはいない。切り裂く蜘蛛糸がベティの愛車を襲う!
「そんなの、効かないんだから!」
勢いはそのまま。ベティの愛車はアンドロスフィンクスに突撃した。
『ひゅー!』『やっちゃえ!』
コメント欄も大喝采である。
「配信しながら戦うのは初めてね」
端末の自撮り画面で視聴者に向き合いながら羽柴・美月(冒険者・h04349)は独りごちた。
『そうなの?』『デビュー戦じゃん(?)』
コメント欄の反応も軽快。美月の配信は盛り上がりを見せていた。
「こいつ、片付けちゃうわね。こういうのって緊急企画! とでも言ったらいいのかしら?」
そう言いながら端末を片手にレイピアを構える。視聴者サービスもしっかりしなければ。
そうして、美月はアンドロスフィンクスに向けて切り込んでいく!
『おおー!!』『すごーい!!』『かっこいい!!』
脚を狙った見事な剣技に、視聴者も沸きあがる。
……私の問いに答えなさい!
アンドロスフィンクスがゆらり、攻撃を受けて戸惑うように。
「何が聞きたいの? √能力者になったきっかけ? それとも戦う理由?」
問いかけは問いかけで返される。アンドロスフィンクスが言葉に詰まった。
そのまま美月はレイピアで切り返す。
『見事!』『がんばれー!』『押してるぞ!』
華麗な技に視聴者も大盛り上がり。
神楽・更紗(深淵の獄・h04673)は端末の自撮りカメラの角度を探しながらアンドロスフィンクスの攻撃を避けていく。
『こっち見るよりモンスター見て!!!!』『危ないが!!??』
「妾はこの程度ものともしない。心配することはないぞ」
『ほんとに??』『大丈夫??』『まあ今大丈夫なら大丈夫なんだろうけど……』
「ああ、心配はない。……さて、さっさと片づけてしまおうか」
更紗がふわり、笑みを浮かべる。その瞬間、空気が変わる。
一瞬の間に、アンドロスフィンクスが苦悶の声を上げる。更紗の動きは見えないほどに華麗であった。絶え間ない攻撃はアンドロスフィンクスを圧倒し、その足を床につかせた。
『うおおおおお!!!』『かっこいい!!』
コメントも沸きに沸いている。
「というわけで」
更紗が華麗な体さばきで、アンドロスフィンクスに一撃を加える。見た目よりも重い一撃が、その最後になった。
「これで配信は終わりだ。もしまた会えたら、その時に」
『ここで!?』『またやってねー!』『フォローしておきます!』
コメント欄の盛り上がりの中、ぷつり、配信が終了した。