シナリオ

大きな音は厳禁!?サイレントダンジョン

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「という訳で、ダンジョン探索に行ってきて欲しいんだ、少年少女諸君」
 アーマリア・アマクサ(人間災厄「カタリナカタリ」お姉さん・h01673)が唐突にそんな事を言ってきた。
 説明しよう!
 √ドラゴンファンタジーにはダンジョンがある!
 天上界から落ちて来た遺産によって出現した疑似異世界『ダンジョン』は周囲の生き物を取り込んで『モンスター』化させてしまうのだ。
 放っておけばどんどんダンジョンは拡張していってしまう。
 その前にダンジョンを攻略。遺産を回収して来て欲しいのだ。
「幸いなことに今回のダンジョンは出来立てほやほやらしくてね。そこまで複雑な構造はしていないようなのさ」
 ゾディアックサインを詠んだアーマリアはダンジョン内部についてカタる。
「重要なのは【大きな音は立ててはいけない】……ということだよ」
 ダンジョン内部は静寂で満ちており、大きな音を立てると……ペナルティとして電撃が飛んでくるらしい。
 電撃の威力はまちまちで、パチっとする程度からバリバリする程度までランダムのようだ。
 音を立てず、声を出さず、静かに先に進む必要がある。
「因みに音を立てさせようとする罠もきちんとあるから、それをどうにか回避していってくれたまえ」
 とは言っても出来立てのダンジョンなので子供だましのような罠しかないようだ。バナナの皮とか。
「静寂の罠を越えれば、恐らく、ダンジョンのモンスターと出くわすことになる」
 声を出してはいけない罠はここで終了になる。
 しかし代わりに出て来るのはモンスターだ。
「黒犬『バーゲスト』。全身に角を生やした犬のような見た目のモンスターでね、かなり凶暴なんだ。執拗に少年少女諸君を追い回してくるからどうにか退治してから進むことをおすすめするよ」
 悪意に満ちた赤い瞳は狂気に犯されており、侵入者を発見次第死ぬまで追い回して来る。
 鋭い嗅覚を持ち執拗な性格でもある。どうにか対応して欲しい。
「そしてダンジョンの最奥まで到達すれば……宝物庫に到着さ!……もちろん、この宝がダンジョンボスだけどね」
 最後に待ち受けているのは『呪われしバイティア』。
 人食いミミックのモンスターだ。
 大量の宝箱がある部屋に隠れており、自分を開けようとした相手をパクリとしようと待ち構えている。
「ミミックのボスを倒せば万事解決さ」
 後始末などの手配はアーマリアの方でやってくれるようである。
「ダンジョンは放っておけば拡大してしまう可能性がある。早期発見が出来たのは幸運だったのさ。今なら比較的簡単に消滅させられる。君達にかかっているからね。頑張ってくれたまえ」
 そしてアーマリアは君達を応援するのであった。

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第1章 冒険 『サイレント・ダンジョン』


ベティ・スチュアート


「お助けで来たわよ!」
 鼠獣人の古代語魔術師、ベティ・スチュアート(ねずみのたびだち・h04783)がサポートにやってきてくれた!
『ブッブー。アウト~』
「え?ひゃあっ!?」
 しかしここはサイレントダンジョン。
 声を出したり音を出したりすると、ペナルティの電撃が走るのだ!
(う、うぅ~、パチっとしたわ!)
 ベティは若干涙目になりながらもルールを実感し口をつぐんだ。
 頭の上にあるネズミ耳がぴくぴくしている。
 ネズミよけの電気罠は効果ばつぐんなようである。
(う~、出来立てダンジョンって話だし音さえ立てなければ大した罠はないのよね?)
 ベティは静かにしながらダンジョンの中身をよーく観察する。
 そして結論を出した。
(それに構造自体もとっても簡単。ほぼ一直線じゃない……だったら!)
「それならちまちましていられないわ!名もなきバブルカー!」
 ベティはここで√能力を発動!
 乗用車のバブルカーを呼び出して乗り込むと、車体に硬化魔法をかけつつ、加速魔法でグングン速度を上げていく!
「ペナルティなんて、受ける前に突破すればいいのよ!ここかぁ!!」
 |せっかちベティと、おんぼろ車《プラスチック・ベイビー》。
 ベティはそのまま爆走爆進!
 電撃の罠がばちばち反応するがそんなのなんのそのと置き去りにしてダンジョンの奥へとかっとんでいくのであった。

雪月・らぴか


「……」
 雪月・らぴか(えええっ!私が√能力者!?・h00312)は珍しく物凄く真剣な顔つきでダンジョン探索をしていた。
 ゆっくりと静かに、音を立てない様に着実に進んでいく。
(むむむ、音を出せないダンジョンって声がでかい私にはめっちゃ不向きじゃん!絶対受ける仕事間違えたよね!)
 めっちゃ騒いではしゃいで明るく元気で調子に乗りやすく感情の起伏が激しいらぴかはそれはもう警戒に警戒を重ねていた。
 気を抜けばこの静寂の中でなんか突然意味もなくわっ!とか言いたくなってしまう。
 それで電撃を食らうのは嫌だ!
(でもでも、もう来ちゃったからやるしかないね!)
 もはや引き返す方が面倒なところまできたのだ。
 このまま突き進むしかない!
 急ぐと足音が鳴ってしまったり、どこかにぶつかったりしてしまうかもしれないと、ゆっくり慎重に進む、
(何か見つけた時に大きいリアクションとったりしないような意識もしないとね!)
 己を分かっているらぴかであった。
 しかし真に己を理解しているものは数少ないのである。
(ぬぬぬ、じれったい……)
 そう、らぴかは自分のこらえ性のなさは勘定に入れていなかったのだ!
 出来るだけゆっくりと音を立てないようにと緊張したまま進んでいき、そして角を曲がった瞬間に飛び出て来る看板!
 ぼく、カンバンマン!
 特に他に意味はないただの張りぼてが突如出て来る!
「うきゃーっ!?」
 ただ、看板が飛び出て来るだけ。それだけの罠なのだが、ビビったらぴかは悲鳴を上げて殴っていた。
「……あ」
 ベベーン。らぴか、アウト~。
「ちょ、いまのなしなし!ちょっとまって、あばーっ!?」
 バリバリバリ!と電撃を受けてのたうち回るのであった。
(う、うぅ……艶女招霊スノービューティーでお姉さんに回復してもらお……)
 なおサイレントダンジョン内では音を出すと電撃が飛んでくるのを嫌がって召喚にはまだ応じてくれなかった。
 先に進んでやっと出て来てくれた。

エレノール・ムーンレイカー


(音を立ててはいけないダンジョンですか)
 エレノール・ムーンレイカー(怯懦の精霊銃士・h05517)は静かに歩きながらダンジョンの内容を思い出す。
 ここのダンジョンはサイレントダンジョン。
 物音や声を出してしまうと電撃の罠が発動してしまうのだ。
 そのまま行くには、物音を立てない様に進むしかない。
(潜入には慣れていますから、わたしとの相性は良さそうなダンジョンですね)
 真面目な雰囲気のエレノールはその見た目通りに、冷静沈着。慎重に足を進めていく。
(それでも、予想外の事態もありますし、気を引き締めていきましょう)
 そんな彼女の前に音を立てさせようとする罠が待ち受けていた。
(……見たところ、ところどころ枯葉や枝もありますし、何やら鳴子のようなものも見えます。注意しなければなりませんね)
 踏んでしまえば音が必ず出る。
 そんな定番のものがあったり隠すように物が置いてあったりした。
 直接ダメージを与えるものではないのは、このダンジョンがまだ出来て間もないからなのだろう。
(高機能シューズ「サイレントラン」は、素早い行動中でも音がほぼしないという、消音に特化した靴です)
 しかしエレノールにはこの装備があった。
 これを履いて忍び足を駆使していけば、難なく進める。
 特に枯葉や枝の多い道では慎重に進んでいき、音を出来る限り出さないように進んでいく。
(鳴子も慎重に見て、またいでいけば問題ないはず……)
 するりするり。
 こうしてエレノールは何事もなくサイレントダンジョンを突破して見せるのであった。

ガザミ・ロクモン


(ダンジョンは初めてなんですよね。ワクワクします!)
 巨躯を誇る甲殻族「オオカニボウズ」の青年、 ガザミ・ロクモン(葬河の渡し・h02950)はトコトコと横歩きしながら興奮を隠しきれずにいた。
 当然、人化けの術は習得しているが、オオカニボウズの姿の方が、音をたてずに移動できそうだということで元の姿になっているのだ。
 ただしサイズは柴犬サイズである。
(足元を注意して、音を立てなようにいきましょう!)
 ルンタッタと機嫌よさそうにガザミは横歩きを続けていく。
 ここはサイレントダンジョン。
 もしも不用意に音を出したり声を出してしまえば、アウトー!と電撃の罠が発動してしまうのだ。
 幾ら甲殻類といっても電気は痛い。
(壁や床を観察して違和感あれば、近寄らず、触らず、避けて進むのです……!)
 そんなガザミの前に第一の罠が現れた!
(バナナの皮発見です。ポイ捨て危ない。片付けましょう(モグモグ))
 狡猾な罠は迅速に処理されたのであった。
 しかしここはダンジョン。
 罠は1つだけとは限らに。
(おおぅ、なんか、でっかいお顔が通せんぼしてますね)
 そこにあったのは、顔の書かれた看板であった。
(にらめっこなら負けませんよ、ぷぅ…………って、何も変化がない!?)
 ただの絵なので当然なのも起きなかった。
(押して進むのかなぁ、えええ、笑い袋ですかぁ!?)
 勿論、ただの絵では音を立てさせられるはずがないので仕掛けがあった!
 狡猾、狡猾なる罠である!
(くううぅ、自分の匂いが美味しそうです。屈辱ですが負けません!)
 しかしガザミは負けない!固い殻の精神でサイレントダンジョンの出口を探す。
 そして見つけ出した。
 それは第二階層へいくための階段である!
「もうすぐ、ゴールみたいですねやったー!って、嬉しすぎて声でました」
 ガザミ、アウトー!
「うわあああん!!」
 ビリビリビリ!と電撃を受けて跳ねながらもガザミは第二階層へと進むのであった。

春原・騙名


「少し語ろか、面白いはなオアアアー」
 春原・騙名(人妖「旅猫」の御伽使い・h02434)はいつもの語り口でダンジョン攻略をしようとしたので即刻、カタリナ、アウトーされていた。
(しまった。つい癖で言うてもた)
 感電した騙名はどうにか判定されない程度の小声で独りごちる。
 何しろ彼女の武器は言葉であり語りなのだ。
 何はともかく何も考えずにいると勝手に口から外に飛び出てしまう。
(せやからこそ。今回は語りに頼らん御伽使いとしての訓練も兼ねてきたんよ)
 フフンと騙名はドヤ顔でとっておきの秘策を懐から取り出して見せる。
(うちは装備がほとんどお話語るん前提にしとるさかい、スニーキングに圧倒的に不向き。やから易しめなココで練習しにきたんやね)
 取り出したのは【電脳絵巻】。一般的なスマホと同等の機能を備えた紙の巻物型の妖怪スマホである。
(これさえあえば、ちょちょいのちょいやで!)
 サラサラサラァ~と洞窟奥に住む黒犬の話を書いて、長靴や猟銃の装備一式を召喚し装備。
 これならどんな罠にもきっと対応できると自信満々に突き進む。
 ついでに他の話も電脳絵巻に紡いで配下召喚しながら堅実に進んでいく。
(ふふ~ん、最初は苦手なダンジョンかもしれんと来たけど、なんやうちも楽勝やな~)
 鼻歌まで吹きそうになって危うく電撃を食らいそうになっていた騙名だが、そこで先行させていた眷属が何かを発見したと報告してくる。
(ん、なんやなんや?看板やろか?)
 踏むとびょんと飛び出て来るような仕掛けの看板だったようだ。
 何か文字が書かれているので騙名はそれをじっくりと読む。
(なになに?制限時間以内にこのパズルを解け!なんやパズルは得意やで!そんで、残り時間は……)
「ってもう猶予5秒やん!」
 どうやら配下が罠にかかった時点からタイマーが動いていたらしい。
 余裕綽々だった騙名はすっかり気を抜いてしまっていた。
「こんなん喋らず対処できるわけあらへん!あ!」
 そして思わず叫んでしまった騙名に無慈悲な電撃の罠が宣告される。
 カタリナ、アウトー!
「ニャオアアアー」
 バリバリバリバリ!!
 尻尾の毛が逆立ってしまうような電撃を受けてしまう騙名。
 なお、例の看板のタイマーはその時点で0になったが……特に何も起こらなかった。
 制限時間を過ぎても、というより、パズルを解く必要がそもそもないようであった。
「……なっ!?思わず口に出したくなってまう立て札とかズルいやん!」
 カタリナ、アウトー!
「あ!……ニャオアアアー」

藤丸・標
ツバクロ・イットウサイ


「……っ!!」
(標様が、なにやら燃えておられる……っ!!)
 異様な雰囲気とカレー臭を醸し出すウマ獣人の護霊「ガラムマサラ」×不思議カレーハウス店主、藤丸・標(カレーの人・h00546)。
 その立ち姿に、エルフの蜘蛛の霊剣士 × 神聖祈祷師、ツバクロ・イットウサイ(シャイニングミストブレイカー・h01451)はごくりを唾を飲み込む。
 しかし、声を上げる事は出来ない。
 何故ならここは【サイレントダンジョン】。
 物音を立てたり、声を上げたりすると、罰としてアウトー!と電撃の罠が発動してしまうのだ。
 音を出さず、静かに、ダンジョンの奥へと進む。
 それが今回のミッションなのだ。
 複数の√能力者やAnkerが第二階層へと進むことが出来れば、そこへふらりと迷い込むことが出来るようになるとゾディアックサインにも出ている。
(わたくしのいる場所にまで届く、熱い気持ち……標様は、なみなみならぬ決意を持ってこの依頼に参加されているに違いありません……!)
 ツバクロは共にダンジョン内部で出くわした友人の様子に何かを感じ取っていた。
 しかしサイレントダンジョンでは話しかけることなど出来ない。
 ツバクロはただ、標を見つめるのみであった。
(……|お腹が空いた《カレーを食べたい》!!)
 訝しげに見られていた当の標は、無言でただカレーを求めていた。
 いつものことだった。
 しかし彼女には作戦があった。
(標様が、おもむろにカレーを取り出したっ!?)
 ツバクロはノリよく驚いてくれたが、標のいつもの行動である。
(お腹は空いており……そして目の前にはカレー……ああ、食べたい……でもまだ、我慢……)
 標は目の前に用意したカレーを凝視しながらも一切手を付けない。
 頑なにただカレーを眺めるだけである。
(標様は何を……あ、ああっ!!標様の眼鏡がっ輝いてっ!!?)
 その時、標の√能力が発動していた。
 【カレーライスを食べたいという気持ち】。
 全身に漲るその気持ちをただ一点、【眼鏡】に集中することで、眼鏡が激しく燃え上がり、その力を発動するのである。
(撃て!裂けろ!そして中れ!燃え上がるこの眼鏡にかカレーば全てパクッとお見通しだ!【弾通烈焔縁】!!)
 今、標の眼鏡には、視界内の全て……ダンジョンの『隙』が見えるようになっていた!
 それはつまり、サイレントダンジョン1階層のショートカットである!
(すごい!何かよくわからないけれど、標様が触れた壁がスライドして道が出来ました!)
 ツバクロはこの展開に素直に標を称賛していた。
「……」(ニッ)
 眼鏡を激しく燃やし、輝かせる標は笑顔を見せながら振り向きカレーを渡す。
 そして自らもカレーを食べるようとスプーンを突き刺し……。
 カチーン!
「あ……」
 つい、カレーを食べたいという気持ちが強過ぎて、スプーンが皿に強く当たってしまった。
 静寂の中に響く金属音。
 思わず口から出てしまった言葉。
 標アウトー!
「あばばばばばっ!!!」
(標様ぁーっ!?)
 電撃の罠にびりびりされる標であったが、それはそれとして標とツバクロの二人はショートカットを通って無事に2階層へと足を進めるのであった。


 
 

エイル・イアハッター


(しーっ。派手にやるのは、クライマックスの時に、だ)
 犬獣人のエイル・イアハッター(陽晴犬・h00078)は【犬の如き4つ足】の体勢を取るとゆっくりと進み始める。
 ここはサイレントダンジョン。
 物音を立てたり、声を出してしまうと、電撃の罠が発動するという階層なのだ。
 そのため、余計なことは喋らず、エイルはそっと4つ足で進む。
(まさにこのダンジョンを攻略するためにあるような√能力だぜ!|Silent Run《サイレントラン》!)
 そしてエイルの√能力は、4つ足の体勢を取る事で移動力と戦闘力を3分の1にする事で、肉眼以外のあらゆる探知を無効にする。
 そこにはもちろん聴覚も含まれており、サイレントダンジョンの電撃の罠は全く発動する気配もなかった。
(ふふーん。途中に変な罠があって音を出させようとしても無意味だぜ!)
 移動速度が遅くなるのは難点ではあるが、このダンジョンはまだ出来て間もなく、危険な罠は存在していない。
 バナナの皮もぺいっと横に蹴飛ばして、エイルは意気揚々と進んでいくのであった。

第2章 集団戦 『バーゲスト』


レア・マーテル
斯波・紫遠


 静寂のダンジョンを抜けた√能力者たちは第二階層へと進めるようになった。
 これでもう音は出しても問題ない。
 しかしそこに待っていたのは、モンスターである。
『グルルル……』
 黒犬『バーゲスト』。全身に角を生やした犬のような見た目のモンスターだ。
 悪意に満ちた赤い瞳は狂気に犯されており、侵入者を発見次第死ぬまで追い回して来る厄介な相手である。
「周囲に被害が出るダンジョンは放っておけないから、邪魔するなら倒させてもらうぜ」
 そんなモンスター相手にも狗神憑きの妖怪探偵、斯波・紫遠(くゆる・h03007)は怯む事無く戦いに出る。
 このダンジョンは出現してまだ間もないが、早めに潰しておかないと周囲の動植物を取り込みモンスター化していってしまうのだ。
 そうなる前にダンジョン攻略をするしかなく、目の前のバーゲストは倒していきたい相手であった。
「ええ。ええ。あの方(CEO)が路に迷わぬように……、事件の解決の一助になればとお手伝いいたします」
 更にPR会社『オリュンポス』CEOの妻にして実年齢不詳の万能神官冥土秘書、レア・マーテル(PR会社『オリュンポス』の万能神官冥土秘書・h04368)もここに参戦する。
 彼女は単純に依頼を受ける事で得られる報酬目当てのようだ。
 ダンジョンの奥には宝箱庫がある。基本は空っぽということだが、もしかしたら何かあるかもしれない。
 だがそれもまずは目の前のバーゲストを倒してからの話である。
『グラァァ!!』
 そして件の黒犬バーゲストは吠えると、戦闘態勢に入る。
 √能力を発動し、その赤く輝く瞳と、全身の角が増えていき、捕食力と貫通力が上昇する。
『グラァァ!!!』
 そのまま増えた角を利用して突進攻撃を仕掛けて来る。
 明らかに巨大化した角は非常に強力なパワーを秘めているように見える。
「どれだけ角を増やしても……全部貫けば問題ないぜ!」
 紫遠は突撃してくるバーゲスト相手に、冷静に刀、無銘【香煙】を構えると√能力を発動する。
「宿怨の重み、受けてみよ」
 【狗神】憑型。
 その身に【狗神】の宿怨を纏うことで己の移動速度は3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の居合斬りを使用可能になるのだ。
「ここだっ!」
『きゃうんっ!?』
 刃に纏った白い怨念の炎が、バーゲストの生やした全身の角ごと焼いて切り裂き貫いて、突進してきた相手にカウンターでヒットする。
 一度足を止めてしまえば、それは大きな隙となっていた。
「さぁ、おもてなしの時間です」
 そこにレアがとどめの√能力を発動する。
「黄泉冥土」
 【メイド姿の悍ましき鬼女たち】が召喚されると、彼女たちは一斉にハーベストへと捕食行動を開始する。
 角を焼かれ、斬られた哀れな獣にそれを逃れる術はなく……。
 鬼女たちが消えると、ハーベストもまたその姿を跡形もなく消え去っていたのであった。

エレノール・ムーンレイカー


「相手は侵入者を発見次第追い回してくるタイプのモンスターで、鋭い嗅覚を持っている……」
 華麗に静かにサイレントダンジョンを突破したエレノール・ムーンレイカー(怯懦の精霊銃士・h05517)は次なる難関に思考を向けていた。
 次の相手は、ダンジョン内の侵入者に襲い掛かるモンスター!
 黒犬『バーゲスト』である。
 彼らは、鋭い嗅覚を持ち、一度侵入者を見つければ執拗に何処までも追いかけて来るかなり凶暴なモンスターである。
 上手く倒す、またはいなして進む必要があるのだ。
「なら、相手から見えず、感覚も使えなくすればいいですね。遠距離狙撃を決行しましょう」
 エレノールは冷静にそう分析すると、準備を開始した。
「ハンティングチェイス……」
 √能力:ハンティングチェイス。
 【長距離狩猟】の体勢を取ることで、移動力と戦闘力を3分の1になるが、肉眼以外のあらゆる探知を無効にするのである。
 これには嗅覚による索敵も含まれており、臭いで追跡するハーベストにはかなり有効だろう。
「唯一見破られる可能性のある肉眼による確認も、隠れながら狙撃することで対応します」
 エレノールはそっと物陰に隠れながら、更には目くらましの魔法が織り込まれたミラージュケープや装備者の気配を消す魔法を織り込んだ潜伏者の外套も駆使しながら慎重に進んでいく。
 移動速度が3分の1なのでどうしても時間はかかってしまうが、これならば相手に発見されずに先手を打てる。
「いましたね……」
 そしてダンジョン内を徘徊しているバーゲストを発見したエレノールは冷静に狙撃ポイントを見つけるとそこに陣取り遠距離攻撃を仕掛ける。
『グルァ!?』
「一撃では倒せませんか……しかし、この距離なら」
 戦闘能力が下がっているために奇襲攻撃でも倒す事は出来なかった。
 しかし隠れているエレノールを見つけられないハーベストは何処から攻撃されているのか分からず混乱するばかり。
 そこに冷静に追撃を仕掛け、エレノールは安全に敵を倒すのであった。

雪月・らぴか


「いえーい!やっと声が出せるー!」
 声を出すと電撃の罠が発動してしまうサイレントダンジョンを突破した雪月・らぴか(えええっ!私が√能力者!?・h00312)は晴れ晴れとした顔をして両手を振りあげた。
「黙ってるのってしんどいねー。もうちょっと叫んじゃおう!うひょー!!」
 今まで喋る事が出来なかったストレスをここで発散してやろうと無意味に声を出してみる。
『グルルル……!!』
 まあそんな事をすれば当然、ダンジョン内部にいるモンスターに早期発見されてしまうのだが!
「んん!?ここの敵はバーゲストだね!ダンジョンでよく見る奴じゃん!ささっと倒して先に進むよ!」
 しかしらぴかにとっては黙って静かに進むしかなかった先程の階層よりも、目の前の敵を倒せば問題ないこっちの方が気が楽である。
 敵も見知った相手であるし、意気揚々と戦闘に挑むことにする。
『グラァァ!!』
 そんなバーゲストだが、赤く輝く目と、体中に生やしている角を増加させ、捕食力、貫通力を増加させてくる。
 より攻撃的にらぴかを仕留めようとする意志が感じられる。
「敵が多いってことで|霊雪爆鎚コールドボンバー《レイセツバクツイコールドボンバー》発動!」
 らぴかはそんなバーゲストに怯むことなく√能力を発動。
 霊気と氷雪の爆発が起こる魔杖爆鎚形態にした武器を振り回して叩きまくるらぴか。
 叩くたびに爆発が巻き起こり、範囲攻撃でどんどん敵を巻き込んでいく。
「爆音が鳴り響くからさっきのところでは使えないけどここでは問題ないよね!さっき出せなかったの分の音もくらえー!」
『きゃうんっ!?』
 いくら角が増えたといっても、この連続爆破の範囲攻撃を前にしてはバーゲストもらぴかに近づくこともできない。
「増えた部位を爆発に巻き込んでまとめて攻撃しちゃおう!痛覚とかも増えたりしないのかなー?」
 むしろ角で防御しているようであるが、その角の耐久性がなくなるまで叩いて爆破しまくることでらぴかはバーゲストたちを完封するのであった。
「ふぅ!いい汗かいた!このバーゲスト達も静かにここまできたのかな?それとも奥から湧いたのかな?」

ガザミ・ロクモン


「んぁ、なんか、空気がめっちゃなまぐさい」
 サイレントダンジョンを突破したガザミ・ロクモン(葬河の渡し・h02950)。
 もう喋っても大丈夫になった彼はそのまま第二階層を進んでいると、不審な臭いに気付く。
『グルルル……』
 そおっと様子を見たガザミの視界に入ってきたのは1匹の黒い犬。
 ダンジョン内を徘徊するモンスター、バーゲストであった。
「これは、近寄ってはダメなヤツです」
 その凶悪そうな瞳や鋭い全身に生えた角を見てガザミは確信。
 相手に見つからないようにそーっと逃げ出していく。
「戦闘は可能な限り回避して、次のフロアへの階段を探しま……しょう?」
『グルル……』
 そして振り返ったガザミの前には、もう1匹のバーゲストが待ち受けていた。
『グルルアアアッ!!』
「うわぁ!」
 吠えかけられたガザミは鬼蜘蛛のニライとカナイの蜘蛛の糸のネバネバで足止めしながら逃げ出す。
 バーゲストはあんまり頭はよくないのかネバネバに囚われつつも、その瞳は確実にガザミをロックオンしていた。
「下の階層にいける階段はどこですかー!?」
 ガザミは必死に走って距離を稼ぐが、まっすぐな一本道でなにか不安な予感がひしひしとくる。
「まっすぐな一本道とかイヤな予感しかしないです。くる、きっとくる~」
『グルルァアアア!!』
「やっぱりです!今日の占い、かに座は最下位でした!」
 バーゲストは臭いを頼りに執拗にガザミを追い掛け回してきたのである。
 その全身に生えた角を硬質化させてガザミへと攻撃を仕掛けてこようとする。
「ですが、かに座のお助けアイテムは、死霊……ならばこれです!」
 迫るバーゲストが到達する直前に、ガザミは反転。
 一本道の通路に一直線に並んだバーゲストたちに向けて、√能力を解放する。
「骨の髄まで後悔させてあげます!大蟹之咆哮!!」
 【捕縛し逃走を阻止する死霊の潮津波】を放ち、半径レベルm内の指定した全対象にのみ、最大で震度7相当の震動を与え続ける√能力。
 飛び掛かってきたバーゲストたちに死霊の波をぶつけ、脳味噌を最大震度で震えさせる!
『グルアッ!?』
 一本道では避ける場所も隠れる場所もない。
 バーゲストたちはガザミの攻撃を諸に受けて転げ落ちてしまう。
「今の内ですね」
 捕縛した横を死霊の波に乗ってすり抜けて脱出するガザミ。
「たくさん集まってましたし、この先は少なそうですね。ピンチの後は、チャンスとよく言ったものです」
 そのまま次の階層に続く道を発見するのであった。

春原・騙名


「|―――《少し騙ろか、嘘の規則》」
 既にサイレントダンジョンは突破した。
 もう声を出しても問題ない階層へとやってきた。
 しかし春原・騙名(人妖「旅猫」の御伽使い・h02434)は未だに沈黙を保っていた。
(言うたやろ?今回は語りに頼らん御伽使いとしての訓練にきたんよ。さっき罠にかかったんも|伏線《・・》や)
 騙名の目的はただ依頼をこなすことにあらず。
 己の語りの力の更なる拡張性を探すため、敢えて沈黙を保ったままに挑戦することに意味があるのだ。
(というわけでこちら、腹立ったから抜いてきた看板になります)
 ドン!と看板を持って来た。
 さっき電撃の罠にかかった看板だった。なお、抜く時に音を立てて追加で一回。無事に抜けて喜びの声を上げて更に追加で電撃の罠を受けていた。
(この恨み、晴らさず置くべきかや!)
 100%八つ当たりのような気もしなくもないが、まあダンジョンの罠と、ダンジョン内のモンスターは同じ陣営なのでギリセーフかもしれない。
『グルアアアッ』
 まあ騙名の都合などお構いなしにバーゲストは【穢らわしい牙】を突き立てようと走りよってくる。
(ほい!)
 ダン!とそんなバーゲストの目の前に突き立てられる看板!
 書かれているのは「ココは走るな!音を立てるな!ここは獣も人も雷が穿つ奇妙な洞窟!」。
(少し語ろか、大事な話。|規則「公共施設使用要綱」《ルール・チャント・マモロウネ》)
 そして発動する√能力。
 それは、ココでは走るな!というルールを化して縛る術。
『グルァ!?』
 バチリ!と激しく走るバーゲストに電撃が走ったかのように思えると、身体が麻痺して動かなくなる。
(ほい)
 そのまま騙名は獣道童話物騙り「狩」によって動きを封じたバーゲストを攻撃。
 電脳絵巻に書かれた物騙りが動きを止めたモンスターに襲い掛かる。
(今度は能力発動セリフも「文面で代用」してみよう……試みは成功やね。練習練習)
 騙名は上手い具合に相手をハメて倒して進むのであった。

鳳・楸
藤丸・標
見下・七三子


「ひぃぃぃ……なんで私はまたこんなダンジョンの中なんかに……!?」
 見下・七三子(使い捨ての戦闘員・h00338)は√をふらっと歩いていたらダンジョンに迷い込んでしまっていた。
 そしてびくびくしながらも探索を開始すると、見つけてしまう、怖いモンスター。
『グルル……』
 黒犬『バーゲスト』であった。
 血走った眼は殺意に溢れているし、全身に生えた角はとても凶暴そうである。
「な、なんだかすっごく怖い犬さんいますし……、ここは隠れてやり過ごしましょう。大丈夫。私、気配を消すのは得意なので……」
 すぅー、と何故かよくわからないが気配が薄くなっていく七三子。
 このまま隠れていれば多分誰かがダンジョンを攻略してくれると信じていた。
『グルルアアアッ!!!』
「ひゃああっ!!!???」
 しかしバーゲストは気配を消しても、その鋭い嗅覚で侵入者を見つけて来るのだ!
「私ただの下っ端戦闘員なので!」
 七三子はとっさに√能力を発動すると、ヒット&アウェイで先制攻撃で迫るバーゲストの鼻っ柱を蹴って距離を置き、『闇』を纏って姿を隠す。
「い、今の内に隠れないと……」
『グルルアアアッ!!』
「ひえええーー!?」
 しかし姿を隠しても匂いを覚えられてしまった七三子はバーゲストに追い掛け回される。
「お、お助けーっ!?」
 何処までも執拗に追いかけてくるバーゲストにもはや絶体絶命か!?
 そう思われたところに助っ人が来てくれた。
「や、やった!!本当に助けが来てくれました!!」
「この体はなんやかんやでカレーで出来ている」
 不思議カレーハウス店主、藤丸・標(カレーの人・h00546)が、超巨大寸胴でカレーを煮込んで待機していた。
「え?カレー!?」
「お腹が空いた。カレーを食べよう」
「あ、はい」
 標は流れるような動作でカレー皿にカレーを盛ると、七三子へ渡した。
 七三子は恭しく受け取ると一口食べた。
「美味しい!」
『グルルアアアッ!!!』
 そんなことをしていたら当然のようにバーゲストに追いつかれてしまう!!
「うわぁ!?来た、来ちゃいましたよ!?」
「身体はカレーを求めているのだよ」
 七三子は焦るもカレーで両手が塞がった状態ではどうしようもない。
 だが標は全く動じることなくカレーを追加で盛る。
 そう、この場にはもう一人の助っ人がいるのだ!
「よろしくお願いします」
 ロリータ服に身を包んだ人間(√EDEN)の|源流滅壊者《ルートブレイカー》にして|古狐霊刀士《エンシェントヴィクセンヴェッスル》の鳳・楸(源流滅壊者・h00145)が突然その場に出現するとすらりと刀を抜き放ちながら前に出る。
「|狐式変身術《コシキヘンシンジュツ》」
 元より小柄な楸は√能力によって更に己の身体を子狐に変身させ縮めており、敵に発見されずらくしていたのだ。
 更には周囲に漂うカレー臭がバーゲストの嗅覚を誤魔化していた。
『グルァ!?』
「隙だらけです」
 バーゲストからすれば全く予想だにしていない場所からの伏兵に全く対応しきれない。
 楸の振るった刀は無防備なバーゲストの首を断ち、見事に退治するのであった。

江藤・葵
渡瀬・香月


『グルルアアアッ!!!』
 ダンジョンの侵入者を発見すれば問答無用で襲い掛かって来るモンスター。
 黒犬『バーゲスト』!!
 迷い込んで来た√能力者に対しても殺意を漲らせながら飛び掛かって来る!
「最後の晩餐にとっておきの料理食わせてやるよ。……そう、カレーだ!!」
 そんなバーゲストに対して、渡瀬・香月(ギメル・h01183)は前のプレイングで大活躍したカレーを貰って√能力を発動した!
「Bon Appetit(ボナペティ)!」
 【料理人の能力】により、周辺にある最も殺傷力の高い物体……そう、カレーを用いてバーゲストにダメージと食べ過ぎて動けない気がする状態異常を付与する!
 因みに周囲に他にモノがないダンジョンなので真面目にカレーが一番殺傷力が今のところ高い!
『グルルアアアッ!?』
 口の中に放り込まれた熱々のカレーに身悶えする黒犬『バーゲスト』。
 物理的な熱さとそれとお腹いっぱいな気がしてして身動きが取れなくなってきた。
「|温め直してやった《料理人の能力の使いどころ》からな……カレーの臭いが充満してきてるぜ」
 香月は自分の分のカレーも食べながら決め顔で語る。
「今だぜ!」
「今日のご飯は……カレー!!」
 セレスティアルのフリークスバスター、江藤・葵(空腹フリークスバスター・h00424)がそこに飛び込んで来る。
 いつも腹ペコな葵はカレー臭に空腹を刺激されながらも早くカレーを食べたいと攻撃を仕掛けにいく。
「卒塔婆の能力開放!」
 葵は棺桶と一緒に持っていたなぜだか供養すべき筈のインビジブルが宿り、滅茶苦茶頑丈になった卒塔婆を手に持つとバーゲストを攻撃する!
「この卒塔婆に、斬れないものはない――」
 2回攻撃かつ範囲攻撃になった卒塔婆アタックが炸裂!
 バーゲストを打ち倒すのであった。
「犬なら、食べられるかな……?」
「身体中から角が生えてるからな。可食部は少なそうだぜ」
 食べられそうな相手に対してそういう思考をもつ二人であった。

明星・暁子
八木橋・藍依
ノスタルジア・フォスター


 √ドラゴンファンタジーに出現したまだ若いダンジョン。
 第二階層にまで到達した√能力者たちを待ち受けていたのは、番犬のモンスター『バーゲスト』であった。
『グルルアアアッ!!』
 悪意に満ちた赤い瞳は狂気に犯されており、侵入者を発見次第死ぬまで追い回して来る。
 鋭い嗅覚を持ち執拗な性格でもあり、簡単には逃げられない。
 どうにか倒す必要があるだろう。
「ルート前線新聞社です!取材協力をお願いします!」
 そんなバーゲストたちに向けて、場違いな程に明るい声で突撃取材に向かったものがいた。
 新聞記者とカメラマンの仕事をしているHK416の|少女人形《レプリノイド》、八木橋・藍依(常在戦場カメラマン・h00541)であった。
「親切のダンジョンということですが、バーゲストさんたちは何処から出現したのでしょうか!?」
 レギオンを魔改造した取材用カメラ付きドローンを浮かばせながら藍依はマイクを向けていく。
『グルルアアアッ!!』
 まあ当然、知能は犬程度のバーゲストは近づいて来た藍依に攻撃を仕掛けて来る。
 赤く輝く目と、体中に生やしている角を増加させ、捕食力、貫通力を増加させてくると藍依を喰らおうと飛び掛かって来る!
「うわわぁっ!?」
「手を貸して」
 そこに和傘を持った白い髪の少女がくるりと身体を回転させながら割り込んで来る。
 そして傘を開いてバーゲストの角を受けると盾として扱い弾き飛ばす。
「わわ、助かりました!」
「そう」
 すぅっと消えていく少女の代わりに、彼女を召喚したノスタルジア・フォスター(影に日向に・h00828)が歩み出て来る。
 旅立ちのそよ風によって呼び出した【無邪気だった頃の昔のノスタルジア】が攻撃を受け止めてくれたのだ。
 無表情ながらもノスタルジアは藍依に怪我がないことを確認して安堵していた。
「ダンジョンのモンスターならば、倒して進むしかないでしょう」
 そこに鉄十字怪人の重甲着装者、明星・暁子(鉄十字怪人・h00367)も参戦しにきてくれる。
 元は動物であったとしても、ダンジョンに取り込まれて基本的にモンスター化してしまったのであれば倒すしか道はないだろう。
 特にこの黒犬『バーゲスト』は悪意に満ちた性格をしている。
「ダンジョンと言えば、このダンジョンの最奥は宝箱庫とのこと!!いったいどのようなお宝が眠っているのでしょうか!?」
 藍依は懲りる事なく取材をしようとカメラを持ってバーゲストへと走りよっていく。
『グルルアアアッ』
 獣でしかないバーゲストがそんな言葉を理解できるはずもない。
 寄ってきた藍依に対して【穢らわしい牙】を突き立てようと走りよってくる。
「ちょっと!私がまだ取材してる途中でしょうが!」
 だがここで藍依の√能力が発動!
「ほら、まずは写真ですよ!はいポーズ!」
 バシャバシャバシャ!!と連続でカメラのフラッシュがバーゲストを襲う!
 【特製カメラ】から創造した【現場保存フラッシュ】が赤い瞳から視力を奪って動きを鈍らせてみせる。
『グルルアアアッ』
 増やしていた複数の瞳だが、全てが同時に目潰しされてしまえばどうにもならない。
 バーゲストは身悶えしながらその場で頭を振っていた。
「動きが鈍りましたね……今が好機のようです!」
 暁子はここがチャンスと、変身する!
「いきます。鉄十字怪人!」
 170㎝と元々女性にしては長身だった暁子は更にぐんぐんと身体を大きくしていくと……身長200㎝の恐ろし気な鉄十字怪人の姿へと変身した!
 これこそが彼女の本来の姿なのであった。
「ここは任せろ!」
 口調すら変わった暁子、鉄十字怪人はその巨体だからこそ使えるような巨大な【ヘビー・ブラスター・キャノン】を複数召喚!
 凄まじい重量が鉄十字怪人の動きを鈍らせるが、目潰しを喰らって動けなくなっている相手であれば何も問題は内。
「ブラスターキャノン・フルバースト!」
 召喚したブラスターキャノンを一斉発射して、鉄十字怪人はバーゲストを倒すのであった。

神楽・更紗
弥久院・佳宵


『グルルアアアッ!!』
 √ドラゴンファンタジーに出現したダンジョン。
 その第二階層に待ち受けていたのは、黒犬『バーゲスト』であった。
 全身に角を生やした犬の姿に似たこのモンスターは、侵入者を見つけると問答無用で襲い掛かって来る。
「ふん、犬畜生がよく吠える」
 そんなバーゲストの突撃を、半人半妖の霊能力者、神楽・更紗(深淵の獄・h04673)はひらりと躱して見せる。
 銀の毛並みの9つの尻尾が舞い、半狂乱状態のバーゲストを翻弄する。
『グルルアアアッ!!!』
「五月蠅い犬だ」
 何度も攻撃を回避されてイライラしてきたバーゲストは√能力を発動すると全身の角を更に伸ばしてきた。
 そして強力になった角攻撃で更紗を貫こうと突進を仕掛けて来る。
「妾に蹴られて地獄に堕ちろ」
 しかし怒りに我を忘れている攻撃ほどに読みやすいものはない。
 更紗は蝶のように舞って攻撃をいなしながら、逆にバーゲスト鼻っ柱へ足蹴りを繰り出して牽制。
 怯んだバーゲストへと√能力を解放すると、【影の茨】による捕縛、【巨大化した不思議道具】による強撃の連続攻撃を与える。
『ぎゃうんっ!?』
「出番ですね」
 更紗と同じく√妖怪百鬼夜行より来た、人妖「九尾狐」の不思議古書店店主の弥久院・佳宵(人妖「九尾狐」の不思議古書店店主・h02333)が追撃を仕掛けにいく。
 被衣を翻しながら、素早く駆け寄っていくと家宝の槍「久遠顕現」を構えて√能力を発動する。
「永久に宿りし魂よ、この刃に応えよ!|霊想術・久遠輪閃《レイソウジュツ・クオンリンセン》」
 【久遠顕現に宿る永久の魂】を纏った佳宵は、移動速度が3倍。
 あっという間にバーゲストの元へと近寄ると、槍を繰り出す。
『グルルアアアッ』
「はぁっ!!」
 バーゲストも己の身体より生えている角を差し向けて反撃しようとしてきたが、佳宵はそれを無視。
 装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【霊想術・久遠閃】」を用いて角ごと貫きながらバーゲストの急所を的確に突くのであった。

第3章 ボス戦 『呪われしバイティア』


ガザミ・ロクモン
九・白
明星・暁子

●第3章 ボス戦 『呪われしバイティア』
「おお。宝箱部屋なのです」
 ガザミ・ロクモン(葬河の渡し・h02950)はダンジョンの最下層にまで辿り着いた。
 ここにはなんと、大量の宝箱が用意されているのである!
「財宝ザックザク!!……とはいかないのですね」
 巨躯を誇る甲殻族「オオカニボウズ」であるガザミはハサミをカチカチならして喜びを表すも、すぐに冷静になる。
 何故ならこの宝箱庫は、ダンジョンボスの擬態用のダミーなのだ。
 このダンジョンのボスは人食いミミック!
 宝箱に擬態し大量にある宝箱の中に紛れて隠れ、自分を開けようとした相手をパクりとしようと待ち構えているのだ。
「いるのが分かっているのなら、無差別攻撃でも出来ればよかったのですが……それも意味がないのですね」
 女学生姿の明星・暁子(鉄十字怪人・h00367)も2階層を突破し、宝庫にまでやってきていた。
 擬態しているのがわかっているなら、そのまま攻撃すればいい……と思うかもしれないが、それは難しい。
 このミミック、宝箱に擬態している間はダメージが入らず、本体の胸の宝石以外はダメージが入りずらいのだ。
 宝箱もダンジョンの魔力を帯びており破壊は困難。
 普通に開けるしかないだろう。
 困難なダンジョンを突破した冒険者が意気揚々と開けたところに無敵に近い硬さで迫り一撃……!!
 ゾディアックサインで予め知って居なければ危険な相手だったろう。
「何処に隠れていようが、見つけて倒せばいいだけだろう」
 外見はスキンヘッドにサングラス、浅黒い肌の巨漢と中々の強面な九・白(壊し屋・h01980)がパン!と拳に手のひらを当てて気合を入れる。
 白はずいずいと歩いていき、迫力ある動作でさっそく宝箱の1つを開けにいく。
 なお、基本はハズレの宝箱は空っぽなのだが、運が良ければ何か入ってる可能性はある。
「パンパカパーン!です」
 ガザミも白と一緒にパカーン!と宝箱を開ける。
『ミミミーーーックっ!!!』
「うぉ!?いきなり当たりだ!?」
 運がいいのか悪いのか。
 偶然選んだ最初の1個目から、ボスミミックが擬態している宝箱だった!
 飛び出して来たバイディアは宝箱の中に用意してあった財宝群で自分の複製を作り、箱を開けた白へと向けて来た。
 この複製たちは抱き着き噛みつきを繰り出してくると敵との融合を計り、行動力を下げて来るのだ。
「絶招、|灯火将に滅せんとして光を増す 《ロシンユウカイ》」
 しかし白は冷静に√能力を発動。
 自身の【肉体】を【黄昏色】に輝く【魂の炎を溢れさせる朽ちかけの姿】に変形させると、拳で持って飛び出して来た複製たちをぶん殴る!!
『キャウンキャウン!?』
『ミミーーックっ!?』
 甲高い悲鳴を上げて怯む複製たちは、どうやらそこまで耐久性はないらしく、攻撃回数と移動速度のました白の拳で消滅していく。
 奇襲失敗を悟ったボスミミック本体はこれはいかんと仕切り直すために逃げ出そうとする。
「逃がしません!むん!」
 だがそこにガザミもまた√能力を発動。
「骨の髄まで後悔させてあげます!|大蟹之咆哮《ダイカイショウ》」
 【捕縛し逃走を阻止する死霊の潮津波】を放つと、逃げ出して宝箱の中に紛れ込もうとしていたボスミミックを攻撃。
『ミミミミミッ!?』
 強烈な振動を受けるボスミミックは動きを鈍らせる。
「ここは私に任せろ!」
 そこに暁子が人間変身を解除、身長200㎝の鉄十字怪人の姿に戻ると、攻撃を仕掛けに行く。
「自律浮遊砲台ゴルディオン、攻撃開始!」
 動きを止めたボスミミックの胸元の宝石に集中攻撃をしかけ、的確にダメージを稼ぐのであった。

雪月・らぴか


「うひょー!宝箱がいっぱいある!」
 雪月・らぴか(えええっ!私が√能力者!?・h00312)はダンジョン最下層の宝庫にまでやってくるとテンション高く騒いでいた。
 何しろ見るからに大量の宝箱である。
 ダンジョン探索した上でこれでワクワクしないのはおかしい。
「でも……私がやってきたゲームでは、ダンジョン内でボスも倒してないのに宝箱いっぱいは大胆罠だったよね。ここもきっとそう!」
 偏見と勝手な憶測でそんなことを言い放つらぴかであるが、今回ばかりは正しい!
 この大量の宝箱は実はボスミミックが隠れるためのダミーなのだ。
「鑑定魔法とかないからひとつずつ確認するしかないのかな?」
 ひとまず宝箱をちょんちょんと突いてみるらぴか。
 しかし擬態しているミミックは開けてみるまで分からないし、この宝箱もダンジョンの一部らしく簡単には壊れなさそうだ。
 正攻法で開けていくしかないだろう。
「よーし、まずは……|雪風強打サイクロンストレート《セップウキョウダサイクロンストレート》発動!!」
 左拳が吹雪に吹雪を纏わせたらぴかは移動速度3倍状態になると素早く動いて宝箱の横にいく。
「正面は危なそうだから横から開けるよ!パンパカパーン!!」
 パカリ。
 しかし中身は空っぽだった。
「残念。でも次だー!」
 パカリ。パカリ。パカリ。
 中身も何もない宝箱ばかりが空いていく。
「うーん。中々当たらないね。そろそろでないかなー?」
 パカリ。
『ミミーーック!!!』
「うわ、出たっ!?」
 らぴかは出て来たボスミミックを見ると、急いで3倍になったスピードを生かして宝箱の正面側を触る。
『ミミーーック!!』
「うひょーっ!?これ意外とモッフモフ……いやめっちゃガジガジ痛ーい!?」
 宝箱の中に隠れていた呪われしバイティアはらぴかに抱き着くとそのまま噛みつき攻撃を仕掛けて来る。
 らぴかは溜まらず【雪風強打サイクロンストレート】で殴る!!
『キャウンキャウン!?』
 殴られたボスミミックはすんなりと崩れて、ボロボロの財宝に成り代わってしまう。
「む!これは、偽物!!」
 どうやら√能力で偽物と入れ替わっていたようであった。
「でもでも、ここはこのランタンの出番!!」
 取り出したのはピンク色に光る、探霊桃灯ピンクランタン。
 燃料に乾電池を入れると、紫外線ライトのように使える優れものである。
「これで、触ってないはずの宝箱にさっきつけた指紋があったら……それが本物!!」
 らぴかはそろそろと周囲の宝箱にランタンの光を当てていくと、ばっちり発見!
『ミミミーーック!!』
「本物だってわかってれば、そこだぁー!!」
 パカっと開けた瞬間に、渾身のストレートを叩き込むのであった。

春原・騙名


「いやもう、こんなお宝あるならこの話騙る他ないやろ?」
 春原・騙名(人妖「旅猫」の御伽使い・h02434)は宝物庫に辿り着くと並び立つ宝箱に思わず口を開く。
「少し語ろか、千夜一夜の物語……|夜話「アリババと盗賊」《オープンセサミ》」
 カタリ始めるは童話の一つ。
(さっきまで黙っとった分、喋り倒すんは格別やね)
 彼女が話を紡ぎ始めればそろそろと、まるで盗賊のような無数の影が、そして知恵者である一人の影が歩き始める。
「というわけで、今回はオープンセサミな方のアリババさんやなしに、お宝を洞窟にため込んどった盗賊達に頑張って貰うんよ!」
 朗々と話し始めた騙名は黙っていないといけなかった時間のストレスをここで発散するかのように機嫌よく言葉を連ねていく。
「さぁさこれよりお宝解放タイム!中にミミック混じっとるさかい、それさえ倒せばあとのお宝好きにしてええよ!」
 やっほーい!と盗賊の影たちが次々と宝箱を開けて回っていく。
 宝の山が偽物か本物かも分からん目利きのない盗賊なればこそ、とにかく数でどうにかするしかないのである。
「うしうし。頑張ってなー……」
 なお騙名本人は知恵者アリババの影と一緒に部屋の外にそっと出ていた。
『ミミーーック!!!』
 程なくして当たりを引いたようであり、盗賊の一部が頭から食われてしまう。
 とはいっても所詮は影。
 ボスミミックは口の中から消えてしまった相手にあれ?と首をかしげていた。
『ミミック??』
「ほーれ、今や今や!頑張れ頑張れ!!」
『ミミーーック!?』
「ボスが偽物か本物かもわからずとりあえず数の暴力でボコスカと擬態も知略も暴力だけで粉砕するんが粗暴の道よ!」
 そこを入口で看板を上下に揺すって応援している騙名が声掛けすると、盗賊たちがこれでもどうかと四方八方から飛び掛かっていく。
 胸の宝石が本体なのだが、強欲な盗賊たちはやたらとそこばっかり狙うのでボスミミックも焦って動きが大雑把になる。
「そこやー!いまやー!いけー!」
 何分弱い攻撃ばっかりなのですぐに蹴散らされてしまうが、そこに騙名がバキューン!と銃を撃ち込んで邪魔をする。
 ドタバタと慌ただしい状況は続き、なんやかんやでボスミミックにダメージを与える事に成功したのであった。

星峰・アトラ
萩高・瑠衣


 √ドラゴンファンタジーに出現したダンジョン。
 その最深部は、大量の宝箱のある宝物庫であった。
「宝箱ね。そんなの興味ないけどね」
 華麗な衣装を纏った踊り子の格好をしている星峰・アトラ(葬送歌・h04702)はふーんといった態度を取っていた。
 ただ内心はワクワク感があるようで妙にそわそわとしていた。
「でもこれってミミックの罠なのよね?」
 そこに篠笛を持った|萩高・瑠衣《はぎだか・るい》(なくしたノートが見つからない・h00256)もやってきた。
 今回のダンジョンのボスは呪いの人食いミミックである。
 大量の宝箱の中に隠れ潜んでおり、開けた相手をバクリとする気満々なのである。
 しかもご丁寧に宝箱に擬態している間はダメージが入らず、しかも本体の胸の宝石以外はかなり固い。
 そして財宝を操って攻撃してくるのだ。
「ん、ということは?」
「ボスミミック本体を見つけ出して、開けたところで弱点を攻撃するしかないわね」
 アトラと瑠衣は状況を確認する。
 しかし擬態している宝箱は大量にある。
 どれがボスミミックなのかはまるでわからない。
「……!あ、なんか降ってきた!」
 そんな時、突然瑠衣に|音節《ノート》が来たような気がした!
「--|転の閃き《ソッキョウバヤシ》」
 篠笛を吹き、湧き上がる歌をそのまま奏でる瑠衣。
 それは√能力へと昇華して知られざる【メロディ】が覚醒し、彼女の今必要な能力が2倍になる!
「そう、今必要なのは……喧嘩殺法!!」
 ドカッ!!宝箱を蹴りつけて開けた!!
 当たりだった!!
『ミミーーック!!』
 出て来たボスミミック『呪われしバイティア』は瑠衣に対して抱き着き噛みつき攻撃を繰り出してこようとする。
「本当はこんな使い方したくないんだけどっ!」
 そんなミミックに譜面台をぶまかます瑠衣!!
『ミミーーック!?』
 キャウンキャウンとないて逃げ出しにかかる。
「私とあなた、どちらかが死ぬまで続くダンスは如何?」
 だがそこをアトラは逃がさない。
 |致死舞踏《シャル・ウィー・ダンス》で【華麗に踊りながら振るう近接攻撃】による高命中率の近接攻撃が的確に相手の弱点である宝石へと突き刺さる。
『ミミーーック!?』
 逃げようとしていたミミックは追い打ちをかけられ、多大なダメージを受けるのであった。

哘・廓
夢野・きらら


『ミミーーック!!!』
 √ドラゴンファンタジーに出現したダンジョンのボス。
 『呪われしバイティア』は人食いミミックである。
 そしてこのミミックはフェイクミミックによって転移。
 宝物庫にある別の宝箱と入れ替わってしまった。
 部屋には大量の宝箱があり、隠れた相手を見つけ出さないと倒せず、逆に偽物を引いてしまうと抱き着き嚙みつき攻撃による反撃を受けてしまうのだ。
「宝物がいっぱいあるって聞いたから、珍しい本でもあるかと思ってきたのだけど、厄介な相手だね」
 夢野・きらら(獣妖「紙魚」の古代語魔術師・h00004)はそんなボスミミックの転移を見てうーんと唸る。
 何しろ相手の√能力は中々に巧妙で、転移先が一切分からない。
 このダンジョンの最深部の部屋の中のどれかの宝箱に擬態していることは確実なのだが、下手に偽物を引いてしまえば反撃されてしまうのだ。
「……」
 |哘・廓《さそう・くるわ》(人間(√EDEN)の古龍の霊剣士・h00090)も物憂げな表情で宝箱の山を見ていた。
 きゅっと拳を握っていたりするが、その攻撃も何処にぶつければいいのか分からなければ意味はない。
「でも、問題ないよ。ぼくに任せて」
 八方塞がりかと思えたが、きららが柔和な表情で声をかけてくる。
 ゆっくりと前に出ると、起死回生の√能力を発動する。
「なにしろ――夢野きららは魔法少女である」
 使う魔法は、|改変魔術《ドリームマジック》。
 【自身の演じる役割】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【必殺技のバンクシーン】に変わる√能力なのだ!
「この必殺技のバンクシーンの中では、夢野きららは物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となるんだよ」
 キラキラ光って魔法少女に変身したきららはそのまま魔法少女らしく必殺技を放つ!!
 明後日の方向に向けて放ったはずの光のオーラは何故かきゅうにカーブを描いて、1つのは宝箱へと集約していく。
 敵は隠れてはいるが、必ずこの部屋の何処かにはいる。
 部屋全体を射程範囲に出来ているのであれば、必中効果で必ずボスミミックに当たるのだ!!
『ミミーーック!!!???』
 まさかピンポイントで狙い撃ちされるとは思っていなかったボスミミックはきららの攻撃に吃驚しながらその身を晒す。
「なるほど。ここです……!!古龍降臨!!」
 そして敵の居場所を教えてもらった廓は√能力を発動すると【太古の神霊「古龍」】を纏って突撃。
 移動速度が3倍のスピードで一気に間合いを詰めると、お嬢様のように見えていた見た目とギャップのある凄まじい左腕の拳を叩き込む。
「はっ!!」
『ミミーーック!!!???』
 追撃を受けたボスミミックは大きくダメージを受けるのだった。

赤星・緋色
ゼロ・ロストブルー


「呼ばれた気がする。私の番かな?」
 人間災厄「ムザイ」の職業暗殺者 × 錬金騎士の赤星・緋色(フリースタイル・h02146)はふらりとダンジョンの奥までやってきていた。
 ここは√ドラゴンファンタジーの新参ダンジョン。その最奥のボス部屋。
 ボス部屋であるにも関わらずそこは宝箱が大量に置いてある部屋であった。
「ダンジョンの、それもボス部屋か。それなら脱出するにはボスを倒す方が早そうだな」
 Ankerであり、√能力者ではないゼロ・ロストブルー(消え逝く世界の想いを抱え・h00991)。
 怪異事件を扱う雑誌のルポライターである彼もここに迷い込んでしまっていた。
 それでも元いた世界で冒険者だった為、この状況に慌てることなく適応していた。
「宝箱がいっぱいだね」
「十中八九、宝箱は罠だろうな」
 部屋の中に大量にある宝箱にワクワク感はあるものの、ボスすら倒していないのに報酬を得られるはずもない。
 何しろここのダンジョンボスは、人食いミミック!!
 宝箱に擬態しており、自分を開けようとした相手をパクリしようと待ち構えているのである。
「本物を見つけ出せばいいんだね!」
「俺には有効な攻撃手段はなさそうだ。見つけるのは協力するから、倒すのはお任せする」
 非能力者であるゼロは戦えなくもないが防御能力の高いボスミミックに対して強力な一撃を出せない。
 ならばと情報収集に力を入れる。
 対して√能力者である緋色には敵さえ探し出せれば効果の高い√能力があり、テンション高く探索に出る。
「擬態してるとはいっても、微動だにしないわけにはいかないだろう」
 パシャリと部屋の中を写真を撮って回るゼロ。
 そして宝箱を開けるような危険を冒すことなく、ゆっくりと時間をかけて探査していくと、それ程待たなくともガタリと音が鳴った。
「あれが怪しいな」
「パンパカパーン!!」
 別にハズレでもそれ程痛手にはならないだろうと、写真と見比べてみると動いたように思えた宝箱を緋色が開ける。
 すると中からボスミミックが飛び出して来た。
『ミミーーック!!』
「仕組みは分からないけど触ったところが壊れる、って私が言ってたよ」
 しかし出て来ると分かっているのであれば、それは奇襲に成りえない。
「|態:無材《ワザ》」
 緋色は己の一部位を破壊させながら即座の再行動によりミミックより先に動いて【凶器】による高命中率の近接攻撃を行うのだった。
 

パトリシア・ドラゴン・ルーラー


「余は竜帝。パトリシア・ドラゴン・ルーラーである」
 ドラゴンプロトコルの屠竜騎士であるパトリシア・ドラゴン・ルーラー(竜帝・h00230)は尊大な態度でダンジョンボスの部屋に来た。
 そこは宝物庫。
 ボスである人食いミミック『呪われしバイティア』が隠れている大量の宝箱がおいてある場所であった。
「財宝を得るのもまた竜帝であるが、何よりもダンジョンボスを打ち倒して得るのがまた格別であるな」
 パトリシアは宝箱にも興味は示さないことはなかったがそれよりも血肉湧き心躍る闘争を求めていた。
 それ故に、隠れているミミックが出てこないのに不満を持って暴れ始める。
「出て来るがよい!!余が相手をしてやろう!!」
 √能力:真炎竜帝覇ドラゴン・ブレイズ・エンペラー。
 【炎】のブレスを放つ無敵の【黄金竜】に変身したパトリシアは、罠の偽物バイティアが混ざっているのも構わず爪で周辺の宝箱をどこどこ開けては攻撃をしかけてブレスをお見舞いしていく。
『ミミーーック!!』
 数を開ければそれだけ偽物が飛び出してきてパトリシアに飛びついて嚙みつき攻撃をしてくるが……。
「そんなもの余には効かぬわ!」
 竜の鱗で弾き飛ばして無効化してしまう!!
 そしてどんな攻撃もものともせずにどこどこ宝箱を開けて行けば、いずれは本物に行き当たる。
『ミミーーック!?』
「余の真の姿を見せてやろう!」
 そしてブレスに焼かれダメージを受けるミミックであった。

エレノール・ムーンレイカー


「すごい量の宝箱……」
 エレノール・ムーンレイカー(怯懦の|精霊銃士《エレメンタルガンナー》・h05517)は宝物庫に溢れる宝箱に圧倒されていた。
「しかし、今回は事前にミミックの存在が示唆されていますし、どうやってあの中から本物のミミックをおびき出せば……」
 このダンジョンのボスは、ミミック。
 己を隠すために大量の宝箱を用意しているのであった。
 何も対策せずに開けていくと、ミミックに食われてしまいかねない。
「やはり、自分で開けなければいけないのですかね……?でも、それも危険そうですし……。そうだ、精霊たちに手伝ってもらいましょう」
 エレノールは少し思案すると√能力を発動する。
「精霊達よ、我が声に応えよ!」
 精霊召喚を発動すると、下位精霊を召喚。
 彼らに手伝ってもらい人海戦術で宝箱を開けてもらっていく。
 そしてエレノール本人はそっと物陰に隠れてその様子を見ておく。
(精霊がミミックの宝箱を開けられたら、その精霊にはサプライズミミックの標的になってもらいましょう。……我ながら非道な作戦だと思いますが、致し方ありません)
 実体があるタイプの精霊でないならば恐らくは問題ないような気もするので多分OKだと思う。
『ミミーーック!!』
 そしてそんなことをしていると、丁度当たりを引いたようで、ボスミミック『呪われしバイティア』が飛び出して来た!
 ガブリ!!
 突然飛び出してきたボスミミックは下位精霊に噛みつき……霧散して消えてしまった事にオロオロしていた。
『ミミック??』
 きょろきょろと何処にいったのかと確認していたが、精霊は既に消えていたので見えるはずもない。
(あれがミミック本体ですね)
 その様子を隠れて見ていたエレノールは露出した胸元の宝石を確認する。
 そしてしっかりと狙いを定めてタイミングを伺う。
『ミミーク……』
 ひとしきり周囲を見回して食べようとした相手が居ない事に気付いたボスミミックは【財宝群】を纏って宝箱に戻っていこうとする。
 今だ!
「水精よ、激流となりて敵を衝て!|エレメンタルバレット『水天破砕』《エレメンタルバレット・ハイドロバスター》」
 物陰からエレメンタルバレット『水天破砕』を発射!!
 【水】属性の弾丸は着弾すると【巨大な水撃弾】となりその激流によって財宝が吹き飛んでいく。
『ミミーーック!?』
 隠れて帰ろうとしていたところに突然の狙撃にボスミミックは大混乱。
 慌てるばかりで動けていない相手にエレノールは追撃を仕掛ける。
「精霊よ!」
 水の加護を受けた精霊たちと共に総攻撃を仕掛けエレノールはボスミミックを倒すのであった。

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挿絵イラスト