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マガツヘビ、滅ぼすべし!
●√妖怪百鬼夜行
「√妖怪百鬼夜行に住まう全ての妖怪(人妖、獣妖、そして古妖に至るまで)には『マガツヘビの掟』と呼ばれる掟が存在します。それは『全てのあやかしよ、マガツヘビを討ち滅ぼすべし』という取り決めです」
神谷・月那(人間(√EDEN)の霊能力者・h01859)が√能力者達を集め、今回の依頼を説明した。
どうやら、マガツヘビが復活したため、邪悪な古妖達さえもが一時休戦し、一緒に戦うようである。
「ただし、マガツヘビは幾つにも分かたれた肉片のひとつさえも強大で、『古妖』の総力を結集しても倒す事が困難です。そこで√能力者達にも協力してほしいという事になりました。マガツヘビは何度倒しても復活しますが、短期間で繰り返し倒せば、蘇生する事が出来なくなり、倒す事が出来るかも知れません」
ただし、マガツヘビの肉体から剥がれ落ちた鱗や肉片が次々と『小型マガツヘビ』に変化し、街を破壊しているらしく、『人喰い蜘蛛なメイドたち』と交戦しているようである。
そこで、まずは人喰い蜘蛛なメイドたちと共闘し、小型マガツヘビの大群を倒す事になるようだ。
小型マガツヘビの大群は、マガツヘビ自身と同じ外見・性格・√能力ではあるものの、強さはそこそこのようである。
「ちなみに、マガツヘビから溢れる無限の妖力に汚染され、街が迷路のようになっています。状況によっては汚染の影響を受けて狂暴化した『カラクリコガサ』と戦う事になるでしょう。もしくは蜘蛛の『紫苑』と共闘し、小型マガツヘビの大群を蹴散らしてください」
月那の話では、復活したマガツヘビは何の躊躇いもなく『無限の妖力』を振りかざし、周囲に大規模破壊をもたらそうとしているらしい。
この戦いには、古妖も協力してくれるため、必ずマガツヘビを倒してほしいという事だった。
また、2章の時点でマガツヘビを倒していた場合は、その死骸を古妖が即座に奇妙建築で埋め尽くし、その中で『魂封じの宴』を催すらしい。
そうする事によって、マガツヘビの復活速度を削減する事を出来るため、温泉に浸かりながら、儀式の協力してほしいと言う事だった。
これまでのお話
第1章 集団戦 『人喰い蜘蛛なメイドたち』

●意外な共闘
「まさか、瀟洒なメイド蜘蛛と共闘する事になるとは……。だが、味方にすれば頼りになるか」
明星・暁子(鉄十字怪人・h00367)は複雑な気持ちになりながら、人喰い蜘蛛なメイドたちに加勢した。
人喰い蜘蛛なメイドたちは連携を取りながら、小型マガツヘビの大群と戦っているものの、だいぶ苦戦を強いられているようだった。
「それじゃ、まるで私達が弱いみたいじゃない」
「そもそも、あなた達は餌なのに、そんな事を言っていいの?」
人喰い蜘蛛なメイドたちが、ムッとした表情を浮かべた。
「さすがに今には言い過ぎたか。お互い不謹慎な事は言わないようにしておこう。少なくとも、今は味方同士なのだから……」
暁子が人喰い蜘蛛なメイドたちと一緒に、小型マガツヘビの大群に視線を送った。
「ええ、そうですわね」
それに合わせて、人喰い蜘蛛なメイドたちが、小型マガツヘビの大群に攻撃を仕掛けていった。
続いて、暁子が【ブラスターキャノン・フルバースト】でヘビー・ブラスター・キャノンを召喚し、一斉発射する事で小型マガツヘビの大群を蹴散らしていった。
だが、小型マガツヘビの大群は傷つく事も恐れず、牙を剥いて次々と飛びかかっていた。
「本当に、しぶといですわね!」
「しつこい人は……って、蛇でしたわね」
人喰い蜘蛛なメイドたちがブツブツと愚痴をこぼしながら、鎌状の触肢の射程まで跳躍し、小型マガツヘビの大群に先制攻撃を仕掛け、光を逸らす蜘蛛糸のヴェールを纏って隠密状態になった。
「さすがに、これは危機的状況だわね。だからと言って、泣き言を言うつもりはないけど……」
即座に、リュドミーラ・ドラグノフ(Людмила Драгунова.・h02800)が先制攻撃を仕掛け、小型マガツヘビの大群に噛みつき吸血すると、カウンター攻撃を受け流し、警戒した様子で後方に跳躍した。
「う……、この血……予想以上にマズイわね。後で胃薬を飲んでおかないと……。って、あなた達も『えっ? マジ!?』って言いたげな顔で、こっちを見ない! 敵は嫌と言うほど、湧いてくるんだから!」
リュドミーラが人喰い蜘蛛なメイドたちを叱りつけながら、【描かれし太古の怪物の顕現】で様々な西欧の怪物の群れを召喚し、小型マガツヘビの大群に攻撃を仕掛けていった。
それに合わせて、人喰い蜘蛛なメイドたちが鎌状の触肢を振り回し、小型マガツヘビの大群を切り裂いた。
●マガツヘビ
「へび! でも、これはわるいへび!」
獅猩鴉馬・かろん(大神憑き・h02154)にとって、蛇は敵ではなかった。
出来れば、仲良くしたいところだが、倒さなければいけない事は分かっている。
「やっちゃえー!」
故に、【壱獣壱式霊撃を発動させ、大神の咆哮による牽制、眷属たちの噛み付きによる捕縛、大神の爪牙による強撃の連続攻撃を与え、小型マガツヘビの大群を蹴散らしていった。
だが、出来る事なら……仲良くしたかった。
「ほらほら、キミ……涙目になっているよ? アタシ達がいるから、元気を出して!」
そんな空気を察した人喰い蜘蛛なメイドたちが、仲間達と連携を取りながら、針のような脚による牽制、白銀の蜘蛛糸による捕縛、鎌状の触肢による強撃の連続攻撃を与え、小型マガツヘビの大群を追い詰めていった。
「くものねーちゃんたち、かっけーな!」
それを目の当たりにしたかろんが、瞳をランランと輝かせ、人喰い蜘蛛なメイドたちを応援した。
「何だか、ちょっと」
「……悪くないわね」
人喰い蜘蛛なメイドたちも、まんざらではない様子で頬を染めた。
「蜘蛛のメイドさんたち、共闘よろしくおねがいします!」
続いて、ガザミ・ロクモン(葬河の渡し・h02950)が人化けの術を解いて、蟹の姿になった後、【獣妖暴動体】で、蟹爪と蟹足を12ずつ増やし、小型マガツヘビの大群に攻撃を仕掛けていった。
続いて、牛鬼のニライが蜘蛛の糸で動きを鈍らせ、鎌鼬三姉妹が鎌で切り裂き、牛鬼のカナイは金砕棒で叩いて、小型マガツヘビの大群を牽制した。
「なかなか、イカした姿じゃない!」
人喰い蜘蛛なメイドたちが再び針のような脚による牽制、白銀の蜘蛛糸による捕縛、【鎌状の触肢による強撃で、小型マガツヘビの大群に攻撃を仕掛けた。
「キィシャアアアアア!」
それでも、小型マガツヘビの大群はまったく怯んでおらず、人喰い蜘蛛なメイドたちに襲い掛かった。
「本当に、しつこいですね」
すぐさま、ガザミが龍王之護(憑依皮膚)と鉄壁で守りを固め、蟹爪で切断した後、重量攻撃でなぎ払って吹き飛ばし、足で踏んづけて、小型マガツヘビの大群を蹂躙した。
第2章 ボス戦 『蜘蛛の『紫苑』』

●蜘蛛の『紫苑』
「この状況で、援護とは有り難いね。……感謝するよ。ちょうど、猫の手も……いや、人の手も借りたかったところだから……」
蜘蛛の『紫苑』がホッとした様子で、目・魄(❄️・h00181)に声を掛けた。
「管轄ではない土地だけど、手を借りたいと言われれば致し方ないね。一時だけど、よろしく頼むよ」
魄が複雑な気持ちになりながら、蜘蛛の『紫苑』に声を掛けた。
「ああ、お手柔らかに頼むよ。お互い、背後を気にせず、戦えるといいね」
そんな空気を察した蜘蛛の『紫苑』が、敵意がない事を強調した。
それでも、一時的な共闘なので、油断は出来ないものの、いまのところ悪意は感じられなかった。
むしろ、こちら側を信頼しきっているらしく、無防備な背中を見せて、小型マガツヘビの大群と戦っていた。
「……来るよ。分かっていると思うけど、油断しないで」
蜘蛛の『紫苑』が√能力者達に警告しながら、蜘蛛糸で小型マガツヘビの大群を捕え、異形の蜘蛛脚で攻撃を仕掛けた。
「まあ、油断をするつもりは、微塵もないんだけどね。……と言うか、ヘビ多すぎっ! 一体どこから……って、元凶がいるんだったわね」
リュドミーラ・ドラグノフ(Людмила Драгунова.・h02800)が、忍び足で小型マガツヘビの大群に迫って、ギターを振り下ろして、先制攻撃を仕掛け、大量の返り血を浴びつつ後退した。
小型マガツヘビの大群は、いくら倒しても湧いてくるため、無尽蔵に湧いてくるのではないかと言う錯覚を覚えた。
「確かに、あなた達が来るまで、ずっと戦っているけど、まったく減った気がしないなぁ」
蜘蛛の『紫苑』が何処か遠くを見つめながら、乾いた笑いを響かせた。
「ちょ、ちょっと、怖い事を言わないでくれる! ただでさえ、『あ、マズイかも』って思っているんだから!」
リュドミーラがブルーな気持ちになりながら、【紅姫の眼】で吸血鬼の視線を放ち、鋭く尖った蜘蛛糸で攻撃した後、小型マガツヘビの大群にダメージを与えつつ、吸血する事で、めっちゃ貧血の状態異常を与えた。
「……とは言え、実際マズイんだけど……」
蜘蛛の『紫苑』が、苦笑いを浮かべた。
「だから、俺達が呼ばれたわけだしね。……問題ないよ。全部、蹴散らすから……」
それに合わせて、魄が【神攻鬼斧】で鬼斧の射程まで跳躍した後、小型マガツヘビの大群に不意打ちで先制攻撃を仕掛け、煙霧を纏って隠密状態になりつつ、暗殺の戦闘知識で捌いていった。
「それは心強いね。実に、頼もしい」
その流れに乗るようにして、蜘蛛の『紫苑』が蜘蛛糸で小型マガツヘビの大群を絡め取り、魄を見つめてニッコリと笑った。
「そっちも問題ないようだね。これぐらいなら、手ごたえ如何こう問い程のものではないから、このまま一気に片付けるとしようか。幸い、仲間達も駆けつけてくれたようだしね」
それと同時に、魄が【氷銃弾】で氷風属性の弾丸を射出し、小型マガツヘビの大群を凍結させて、通常の2倍ダメージを与えつつ、仲間達に旋風による戦闘力強化を与えた。
「ああ……、それじゃ、共に戦おう。一時的とは言え、今は仲間なのだから……」
そう言って蜘蛛の『紫苑』が√能力者達と連携を取りつつ、小型マガツヘビの大群に攻撃を仕掛けていった。
●マガツトキ
(今の戦況は、どうかなぁ? みんなは何処にいる?)
そんな中、桔梗・守(付喪神・h05300)がニョキリと姿を現し、キョロキョロと辺りを見回した。
見渡す限り、蛇、蛇、蛇っ!
その蛇が不気味に目をギラつかせ、キィシャアアアと守を威嚇した。
「……って、どうして、いきなり敵意剥き出しなの!? と、とにかく、共闘の蜘蛛さんを……見っけ!」
守が蜘蛛の『紫苑』を見つけ、チョコマカと走って、駆け寄った。
「お、これは、これは……。頼もしい味方が増えたようだね。でも、気をつけて。丸呑みされたら、笑えないからね」
蜘蛛の『紫苑』が守に警告しながら、巧みに蜘蛛糸を操って、網状にした後、小型マガツヘビの大群を絡め取った。
「ま、丸呑み!? ボク……、美味しくないと思うけど……」
そうは答えてみたものの、美味しかったら、大問題。
一瞬、そんな言葉が脳裏を過ぎったため、【霊能波】で敵情を観察しつつ、小型マガツヘビの大群に霊波ダメージを与えた。
だが、小型マガツヘビの大群は、まったく怯んでおらず、地面を跳ねるようにして、一気に距離を縮めてきた。
「それは問題じゃないよ。大切なのは、栄養になるか、ならないかだから……」
蜘蛛の『紫苑』が本気とも冗談とも判断できない口ぶりで、小型マガツヘビのヤバさを語りつつ、糸で捕えたものを逃さない蜘蛛の巣を作り出し、完全に動きを封じ込めた。
「何だか、凄く怖い話をしている気がするんだけど……」
守が気まずい様子で、蜘蛛の『紫苑』を見上げた。
「キィシャアアアアアアアア!」
次の瞬間、別の場所にいた小型マガツヘビの大群が、守めがけて一斉に飛びかかってきた。
「……残念、それは分身だよ」
それに合わせて、守が【分身乱舞】で己の分身を作り出し、連携を取りながら300攻撃を繰り出した。
「キィシャアアアアアアアアア!」
しかし、小型マガツヘビの大群は怯むどころか、戦意が増しており、蜘蛛の『紫苑』に次々と飛びかかった。
「共闘を感謝いたします! 先程は蜘蛛のメイドさん達と一緒に戦ったんですよ。仕事が早くて丁寧で素敵な方々でした。メイドさんたちと紫苑さんの協力あって、この辺りの汚染は少なくて済みそうです。今までの頑張りを無駄にしない為にも、早く片付けてしまわないとですね!」
即座に、ガザミ・ロクモン(葬河の渡し・h02950)が鉄壁の守りで、小型マガツヘビの大群の攻撃を防ぎ、【黒龍之来臨】で両腕】から命中率5倍の死霊弾を連続発射して牽制しつつ、死霊の群れを纏わりつかせて凍結させる事で捕縛し、万雷を纏う黒龍の顎のごとき縛霊手】で強撃の連続攻撃を繰り出した。
「ああ、そうだね。それじゃ、よろしく頼むよ」
蜘蛛の『紫苑』がニコッと笑った後、配下である子蜘蛛を解き放って牽制し、蜘蛛糸で小型マガツヘビの大群を捕縛すると、提灯の光を浴びせて、一時的に相手を超過させ、強撃の連続攻撃を繰り出した。
それに合わせて、ガザミが鎌鼬三姉妹と牛鬼「ニライ」と「カナイ」(蜘蛛型)に合図を送って、小型マガツヘビの大群に攻撃を仕掛け、縛霊手の強撃で一気に蹴散らしていった。
「ふう……、これで打ち切ったかなぁ? 蜘蛛さん、生きてるう?」
守がホッとした様子で、ゆっくりと辺りを見回した。
「ああ……、無事だよ。さすがに無傷とはいかないけどね」
蜘蛛の『紫苑』が傷口を押さえながら、苦笑いを浮かべた。
「でも、まだ安心できないよ? どうやら、大物が現れたようだからね」
そう言って蜘蛛の『紫苑』が、警戒心をあらわにした。
第3章 ボス戦 『マガツヘビ』

●マガツヘビ
「さすが親玉、禍々しさがケタ外れじゃねえか。だが、ここで怯むつもりはねぇ。龍宮の王子として、実家周りの平和の為にいざ行かん!」
赤星・勇太郎(ヨウカイレッド・h01359)はマガツヘビの姿に気づき、ダッシュで一気に間合いを詰め、探偵刀による居合で攻撃を繰り出した。
だが、マガツヘビの皮膚は異常に硬く、傷をつけるのは困難だった。
「どうやら、少し柔らかくする必要がありそうだね」
蜘蛛の『紫苑』が、軽く冗談を言った。
「笑えませんわ、本当に……。まあ、みんなで力を合わせれば、何とかなりますわね」
人喰い蜘蛛なメイドたちが、呆れた様子で溜息を漏らした。
「キィシャアアアアアアア!」
次の瞬間、マガツヘビが不気味な鳴き声を響かせ、小型マガツヘビの群れを纏って、自身の移動速度が3倍にした後、狂ったように禍津ノ爪を振り回した。
「この戦いが終わったら……いや、いま言うべき事ではないか。……くらえ古龍閃!」
その間に、勇太郎が【古龍降臨】で太古の神霊『古龍』を纏って、素早く禍津ノ爪を避け、霊剣術・古龍閃を繰り出し、大量の返り血を浴びた。