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サイコブレイドは困惑した

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「『外星体同盟』からの命令を受領した。『Anker抹殺計画』を、これより開始する」
 淡々とそう口にした外星体『サイコブレイド』は肩に自身と同じ名の剣を担いで歩き出す。Ankerに成り得る者を判別する術を持つサイコブレイドであれば命令の履行も可能であるのだ。ただ、この時のサイコブレイドは知らない、赴いた先で見つけたAnkerに成り得る者が生物どころか建造物で絶句することになることを。

「外星体同盟の刺客『サイコブレイド』が、『Anker』もしくは『|Ankerに成りうる者《Anker候補》』を暗殺しようとしていることはもう聞いているかい?」
 そう切り出したアルデ・ムーリガー(お弁当の緑のギザギザの付喪神の|屠竜灼滅者《ドラゴンスレイヤー》・h05416)はサイコブレイドがとある|Ankerに成りうる者《Anker候補》を狙って動き出したことを告げる。
「|Ankerに成りうる者《Anker候補》は広芽公園前駅。そう、駅だ」
 小さな駅ではあるらしいが幾人もの利用者が居るそこは「思い出の場所」として「Anker」になるかもしれないらしい。尚、現地で視認するまでサイコブレイドも暗殺対象が駅だなどとは知る由もないらしい。
「とは言え目視すれば気づくだろうからね」
 暗殺を防ぐためにも君たちにはまず当駅の日常風景に溶け込みいつでも襲撃者を迎え撃てるようにして欲しいとのこと。
「幸いにもと言うのもおかしいかもしれないが、狙われたのは駅だ。なら、列車に乗って電車旅の途中で当駅に降り立ったということにすればいい」
 誰かと落ち合う演技をしつつホームで人を待つ演技をしてもいいし、何気なく下車した駅の周辺を散策する態で駅の外に出て周辺をぶらついてもいい。
「説明を続けさせて貰おう。サイコブレイドがどのような形で暗殺を企んでいるかの詳細までは把握できていないが、完全な単独行動とは考えにくい」
 何らかの戦力を有していてもおかしくなく、その戦力を差し向けてくることが考えられるという。
「サイコブレイド当人が仕掛けてくるとしてもその戦力が仕損じた後になると思うよ。まあ、どのような方法で|Ankerに成りうる者《Anker候補》を狙って来るかは――」
 君たちの対策次第かもしれない。
「情報が少なく無理を言っている自覚はあるがね」
 それでも狙われた駅を守ってほしいというのがアルデからの依頼であった。
これまでのお話

第3章 ボス戦 『外星体『サイコブレイド』』


見下・七三子
コマンダー・オルクス

「……は。つい動きやすくて調子に乗りました……」
 周囲に居たよそ様の戦闘員が困惑していたかは定かではないが、一人に戻ったことで我に返った|見下・七三子《みした なみこ》(使い捨ての戦闘員・h00338)は気をつけないとと自省し。
「心なしか、サイコブレイドさんも疲れたお顔を……」
「フハハハ、罠に掛かった気分はどうかね?」
 次に視線を向けた先ではそのサイコブレイドがワイヤートラップに行く手を阻まれつつもコマンダー・オルクス(悪の秘密結社オリュンポスの大幹部・h01483)の哄笑を浴びていた。
「たと」
「暗殺するつもりが、意外な標的とこちらの戦力は満足して貰えただろうか?」
 被せる様にコマンダーは問う。まるで全ての舞台がこちらで用意し、誘導していたかのような思わせ振りな言動で。これにサイコブレイドが見せたのは、沈黙。コマンダーの意図したとおりにサイコブレイドが誤解したかはさておき、想定を上回る戦力と想定外の事態で思うように計画をすすめられなかったことは事実だ。
(……サイコブレイドさんが狙ってくるとしたら、駅そのものでしょうし、駅の前で守りを固める方向ですかね。頼もしい味方もいっぱい居ますし)
 その様子を眺めつつ、七三子はさりげなく後方へ下がる。先に自省していたこともあり、暴れ回りすぎたので今回は自重するつもりなのだろう。
「どうでもいいことだ。俺は心境など関係なく『Anker抹殺計画』を遂行するだけのこと。立ちふさがる者をすべて排除して」
 だからこそ、矢面に立つことになったのは戦闘員を下がらせたコマンダーだった。
「ほう、その剣が、名を同じくするサイコブレイドとやらか……どれ、その切れ味試してみるとしよう」
「ほざけ」
 サイコブレイドが剣を担いだままいくらか体勢を変えた瞬間、その獲物に視線を動かしたコマンダーが嘯けば、コンクリートを踏み砕かんがばかりの勢いでサイコブレイドは飛び出した。
「それ以上近づくと……蹴ります」
「っ」
 横やりが入ったのはこの直後。蹴ると言いつつ七三子の放った弾丸がサイコブレイド目掛け一直線に飛び、横にずれながらサイコブレイドは自身の同じ名の剣を一閃。
「終わりだ」
 弾丸を斬り裂き、コマンダーにせまると振りかぶった剣を振るい、コマンダーを斬りそこなう。
「な、に?」
 驚くサイコブレイドの視界へ紛れ込むのは張られたワイヤー。それが斬撃をずらしたのだろう、そして。
「一発防がれて終わり……ではないですよ」
 一瞬の隙をついて七三子が放った弾丸は直撃し。
「フハハハ、我が『オリュンポス戦闘員』ではないようだがよくやった! あとは任せるがいい!」
「ぐあああああっ」
 生じた爆発の中、網目状の包囲ワイヤーがサイコブレイドを切り刻んだのだった。

エレノール・ムーンレイカー
レイ・イクス・ドッペルノイン

「あなたにどんな思惑があるのかは分かりません」
 血煙の中、よろめくサイコブレイドを見据え、エレノール・ムーンレイカー(怯懦の|精霊銃士《エレメンタルガンナー》・h05517)は口を開く。
「しかし――Ankerの件を抜きにしても、駅への破壊行為を目論む者は、止めなければなりません」
 だからこそ、気の弱いエレノールもそれ押し隠しあるいは慎重さに変えてここにいる。とはいっても近距離でサイコブレイドとやりあうことは出来ず両者の間には距離が開いていたが、問題はない。エレノール自身の他にも交戦してくれる味方が居て、サイコブレイドは既に手傷を負っていた。それでも退く様子など一切ない訳だが。
「サイコブレイドからすれば今回のテロ自体不本意らしいよ。何でも人質取られちゃったみたい」
『訳アリヴィランって事だろうね、知らんけど』
 |レイ・イクス・ドッペルノイン 《RX-99》(人生という名のクソゲー・h02896)はその声と会話しつつ同じ相手、未だAnker抹殺計画を諦めないサイコブレイドを見ていた。
『相手はこっちが被弾するとノーモーションで連撃入れてくるっぽいね』
 仕掛けるタイミングを見計らっているのか、動きがない中に降って来た声でレイの視線が動く。
『なら相手の行動を探知した瞬間に先制入れればいい』
 これは確実に「やれ」と言っていた。
「私、目押し成功させるような反射神経に自信な――」
 言葉は最期まで紡げない。
『|アレ《クソコンピューター》使えば嫌でも割り込める。相手が攻撃の体制を取ったらラベンダー・ブルーのバク付与判定まで瞬間移動する』
 被せ気味の指示にレイの身体は動いた。
「わ! 目の前ェ!」
「何を」
 一瞬で詰められた間合い、肉薄したレイの方が驚いているという状況にサイコブレイドは困惑し。
「あっ、どうも、死に゛晒ぜェ゛!!」
「がっ」
 サイコブレイドと目が合ったレイが思い出したように放つ先制攻撃は、見事サイコブレイドへ命中し。
「まだだ!」
 たたらを踏みつつも剣を跳ね上げる様にサイコブレイドが返した時、サイコブレイドを巻き込むようにばら撒かれた|グレネード《ラビングストライク》が爆ぜた。バグを纏い身を隠したレイへ刃が当たることはなく。
『|ラビングストライクのゼロ距離【爆破】で【カウンター】当て《アレが当たっ》たら、後はもうずっと後出しジャンケン戦法だから』
 声は追加でレイに指示を出すも、それはおそらくレイのみをサイコブレイドが相手にしていた場合の話。
「次は」
「……覚悟してもらいましょう」
 それでも勘だよりか諦めず更にレイへ斬りこもうとするサイコブレイドへエレノールは発砲した、|ライフル型の竜漿兵器《オンディーヌ》を。
「ぐうっ」
「もう一丁ぉ!!」
 レイのみに意識の行っていたサイコブレイドは狙いすましたこの援護射撃を防ぐこと能わず、痛みと衝撃に僅かな硬直が生じたサイコブレイドへレイがさらにもう一撃を叩き込み。
「っ、なら」
 レイを狙ってもまた同じことの繰り返しと察したサイコブレイドは当然の様にエレノールへと標的を変える。
「やはり、そう来ますか。ですが」
 距離の開いている両者にもかかわらず、サイコブレイドの獲物は剣。どうしても間合いを詰める必要性に駆られる訳で、敵が接近してくるのを黙って見ているエレノールでもない。
「ぐ」
 銃撃が突っ込んで来るサイコブレイドに命中した。
「止まりはしない」
 だが、一方的に撃たれる形にもかかわらずサイコブレイドは気にせず突き進んで。
(被弾を躊躇わないということは「ギャラクティックバースト」を)
 エレノールからするとサイコブレイドがこう出ることは想定内、と言うよりも織り込み済みだった、ただ。
(――しかし、なぜでしょう。相対した彼から、どこか苦悩の気配が感じられるのです)
 行動自体は想定の通りでも向かって来るサイコブレイドの表情や気配にエレノールは戸惑いを覚える。
(彼もまた、何かしらの事情を背負っているのでしょうか)
 とはいえその刃にかかる理由や道理とはならない、だから。
「届い」
「残念ながら、そこにわたしは居ませんよ!」
 チャージの末、至近距離からサイコブレイドが放った外宇宙の閃光はエレノールと入れ替わったインビジブルを貫き。
「しまっ」
「創世の烈火を纏いし剣、その灼熱を以って我が敵を灰燼に帰さん!」
 エレノールは魔法陣から取り出した2振りの炎の剣をもって振り返ろうとするサイコブレイドを背中から斬り裂いて。
(……たとえ理由があるのだとしても。彼がAnkerたちを狙う限り、わたしは彼を撃退し続けるのみです)
 軌跡に焔の尾を引かせる剣を両手に持ったまま飛びずされば、エレノールの視界内でサイコブレイドは膝をついた。