シナリオ

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それは天狗の仕業か、はたまた……?

#√妖怪百鬼夜行 #プレイング受付中 #プレイング受付9時〜22時

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「うぃー、きょーものんでー、あしたーものんでー、かかーがこわくて、さけがのめるかー!」

 陽気な酔っ払いの声が裏路地に響く。ゆらゆらと千鳥足で、顔を赤く染めあげて、その手には怖い怖い妻への土産にちょっといい寿司を。

 この後、かかぁにゲンコツ貰うとしても、まぁ、いつものこと。それもまた日常だ。

 ゆらゆら、ゆらゆらと千鳥足で家路へと急ぐ。

 いつもと変わらぬ日常、今日もこうして終えて、また明日が始まると思われた時だった。

「……へ?」

 ぴたり、と足を止める。ぼたぼたと地面に落ちる赤いもの、一瞬遅れて酔いにより鈍くなったはずの体が痛みを訴える。

「いっ、いてぇ?!な、なんだ?!」

 慌てふためいておろおろと、自分の体からとめどなく赤いものが流れている。ああ、これは……、

「ひっ、ひえええっ!!」

 自分の血だ。

●●●●

「√百鬼夜行で辻斬りが発生しやした」

 集まった√能力者たちを見渡して、|護導・桜騎《ごどう・おうき》(気ままに生きる者・h00327)はゆるりと告げた。

「夜道を歩いていたら、ザクリ、と。巷じゃ、天狗の仕業だなんだと騒がれてるようだが……まぁ、犯人はまだ不明、ですよ」

 そんなわけで、まずは調査を行って欲しいと告げる。本当に天狗の仕業なのか、それとも別の者の仕業なのか……。

「幸いにして、今んとこ死者は出てねぇけど時間の問題だ。さて、事件自体は夜、暗い裏路地で発生している。被害者は鋭い刃で体を切り刻まれた、ってのが今んとこ分かってること。あとは調査次第、ってとこですかねぇ」

 そんなわけで、頼みましたよ。 
これまでのお話

第2章 冒険 『見ざる、言わざる、聞かざる』


 光、老人の笑い声、プラスチック片、それらが集めた結果わかったことであった。

 もしや、これは天狗なのではなく……機械によるものなのでは?と思い当たった√能力者たちは更なる情報を集めるために街へと向かうことだろう。

 そいつは、暗い夜、路地裏に現れる。

 喧騒に紛れ込み情報を得るか、いつでも動けるように準備をし、事件が起きたら即座に行くか、それとも戦術を組みたてて捕縛するのか……。

 事件は中盤へと差し掛かるのだった。
玉響・刻

 情報はいくつか手に入った。その中でも、相手が機械であるらしいと言うのは大きいものだ。これなら少し強気に出てもいいだろうか?と、これまでの事件の情報から得たデータを分析した結果、当たりをつけた場所に張り込みながら|玉響・刻《たまゆら・きざみ》(探偵志望の大正娘・h05240)はむむむ、と眉を寄せた。

 奴は比較的人が少ない路地裏などで1人でいるところ現れることが多い。まぁ、大勢がいるところで辻斬りも確かにあんまりないだろうが、被害者以外に目撃情報は取れなかった位には、徹底して一人のところを狙ってくる。

 物陰に身を潜めたまま、行き交う人々を見守り、奴が出てくるのを待つ。

●●●

 いつの間にか空に月が輝く時間となった。思わず、くぁりと玉響が小さく欠伸をこぼした瞬間、

「!!」

 耳に、あの声が届いた。まるで老人の笑い声のような声、そして

「うわあああ!」
「させません!!」

 人の悲鳴と同時に飛び出して、腰を抜かした赤ら顔の男の前に刀を構えて立つ。そこに光る緑の光、そしてやはり聞こえるあの笑い声のようなもの。

 目の前には四角い箱のような影が見え、そこに天狗の顔が見えた瞬間、玉響は目を細めた。

『黒い胡蝶は死を告げる蝶、ですっ!』

 玉響の体が淡く光る無数の黒い霊蝶を纏った。そして一気に踏み込み、間合いを詰めると横凪に剣を振るう。神速とも言える素早い居合の剣技に、奴は反応できなかった。

 ガギィンーー!!と硬質な音、そして飛び散る火花、ガン!!と勢いよく地面に落ちたそれを見つめ、ぱちり、と玉響は目を瞬く。

「…………これ、テレビ?」

 そこにあるのは、画面に横凪の傷をつけた、古く懐かしいブラウン管型のテレビであった。

御岳山・大真

「さて、今回の騒動の主は血肉を持つものではなく絡繰とな?」

 ふむ、と顎を撫でて|御岳山・大真《みたけやま・おおま》(怪異噛み・h07482)は、【野生の勘】に任せふらりふらりと道をふらつく。

 さて、どこから追っていったものか……、辻斬りがあった場所を把握していくのも敵のしっぽを掴むには必要だろうと、事件現場を中心に、喧騒の中の違和感や機械がありそうな場所に当たりをつける。

「そういや、聞いたかい。古い機械達がいくつかなくなってるんだと」
「ああ、ゴミの山からだろ?誰か持って行ったんじゃないか?」

 ふと、喧騒の中でそんな言葉を耳にして足を止めた。ゴミの山から何かを持っていくのは往々にしてあることだが、それが『機械』であることが気になった為だ。

「のう、今の話、詳しく聞かせてくれんか?」
「あ?今のって、機械達がなくなったって話か?」
「詳しくも何も聞いた通りだよ……、そういや、例の辻斬りの被害者、テレビを新しくしたとか何とか言ってたなぁ」
「ほう……」

 ふむ、となればだ……今回の事件は、テレビに宿った付喪神の仕業だろうか?と考える。それにしてはどうにも腑に落ちない部分もあるが……。

「主らの知り合いで、他にもてれびを買い換えたもんはおるか?」
「え?うーん……ああ、そうそう、いたよ」
「飲み仲間が1人、今日も居酒屋で飲んでるんじゃないか?」
「ほう!その店がどこか、教えて貰えんか?」

 これなら待ち伏せもできるだろうかとそう問いかければ、彼らは訝しげにしつつもすんなりと教えてくれた。それに礼を言って、御岳山はまずはそこに張り込んでみるかと歩き出す。その時、

「そういや……ゴミの山に女の姿があったらしいぞ」
「なんだそりゃ。変な噂ばっか拾ってくんなぁ」

 そんな言葉を最後に、彼らは家路へと向かって行くのを、ふむ、と、足を止めて見送った御岳山は目を細める。

「もしや……黒幕がおるかもしれんな」