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夏彩ヴィヴァーチェ
●夏彩ヴィヴァーチェ
夏である。√ドラゴンファンタジーのとある高原リゾートは、この時期避暑地としても大人気。
高原リゾートには様々な店が並んでいるが、この暑さに合わせてアイスフェスタをしている。
さまざまな店に並ぶアイスクリーム、ソフトクリーム、ソルベ、ジェラート。
どこの店を選んだっておいしいのは間違いない。一緒にフルーツやナッツ。みんな大好きカラースプレーのトッピングをしてくれるところだってある。
その中でも特に目をひく、長蛇の列があるのはシンプルなアイスクリームにチョコレートをかけてくれる店。
チョコレートが流れ出てくる機械があり、店員がレバーひけばとろりとアイスクリームの上にかかってくる。そしてアイスクリームにそれがかかると、ぱりっとすぐに冷えてかたまりチョコレートのカバーを生み出すのだ。希望があればさらにドライフルーツなどのトッピングもしてくれるとか。
それはスプーンでとんと叩いたくらいでは割れず、思いきりスプーンをもっていけばばりっと割れるほど。それを砕きつつアイスクリームと混ぜたり。はたまたそのまま食べたりと楽しみ方は色々。
そしてアイスクリームを食べたなら、近くのダンジョンへ向かう者が多い。
大きく開けた入口のダンジョンは水辺のダンジョンだ。この入口当たりであれば危険もさしてないので観光客もちょっと遊んでいたりする。
もちろん、何かあった時の為に冒険者も常駐しているので安全だ。
そこでしばし遊んですごすのもあり。ちょっと腕試しに、近くのエリアのボスを倒しに行くのもあり。そんな楽しみ方を、人々はしていた。
●案内
へらりと笑って、鮫咬・レケ(悪辣僥倖・h05154)は√能力者たちへ声をかける。
とある高原リゾートにいかないかと。
それは√ドラゴンファンタジーにあり、近くにダンジョンもあるのでついでにちょっと足を延ばしてみないかということ。
「いま、そのリゾートでアイスフェスタをやっててさ~、あいすくりーむ、おいしいじゃん」
さまざまな店がアイスクリームを出している。一番のオススメは、好きなアイスクリームを選んで、その上にチョコレートをかける店。
するとアイスクリームの冷たさでチョコレートがかたまってかちかちになるのだ。
それを砕いて、アイスクリームと一緒に食べる。想像してみる、美味しいことは間違いない。
「そんで、あついじゃん~? ちかくのだんじょんって、そんなむずかしいとこじゃなくって~みずのだんじょんなんだって」
あついからちょうどよくない? とレケは笑う。水遊びにも丁度いい。
そしてついでにエリアボスをたおしてくるといいんじゃないかな~なんてゆるっと言う。
「ま、そんなむずかしくかんがえるよーなとこじゃないからきがるにいってくるといいとおもうぜ~」
そんなわけで。暇があれば行ってみて~とレケは言う。そこに己の宿敵がいることを、あえてふせて。
第1章 日常 『夏の高原リゾート』

夏の高原リゾートには涼やかな風がそよぐ。けれど陽射しはどこだって変わらない。
心地好い暑さの中、人々が向かうのはアイスフェスタだ。
リゾート地の土産物屋や飲食店が並ぶ通り。そこは今、冷たいお菓子に彩られている。
たとえば、色々な手作りのものが並ぶ店。
オーソドックスにミルクやチョコレート。カフェオレ味。それから、フルーツ果汁たっぷりで作られたソルベもオレンジやレモンなどのさっぱりとしたものが多く並んでいる。
でもアイスクリームだけではちょっと物足りない。そういうときは、トッピングがある。
新鮮なフルーツや香ばしいナッツ。いろんな色のカラースプレー。
お願いすればそれはアイスクリームの横に飾られる。
他にもソフトクリーム専門店も。
近くの牧場から仕入れたミルクでつくるそれは味わい深い。チョコレートとの二色ソフトだってある。
そちらも、トッピングにカラースプレーやウェハースなど色々あるようだ。
そんな、さまざまな店が並ぶ中でも目立って長蛇の列がある店。
そこはカップのアイスクリーム専門店。他の店はコーンか、カップか選べるのだがそこはカップだけなのだ。
というのも、選んだアイスクリームにチョコレートをかけるから。
カップのサイズはふたつ。普通サイズならひとつ。大サイズならふたつ選べるようだ。
店に並ぶのはバニラ、チョコチップ、チョコレート、ナッツ&キャラメル、ベリーミックスなどいかにもチョコレートにあいそうなものばかり。
店員がレバーを引けば、チョコレートがとろりとでてくる機械がある。そこから落ちるチョコレートは、アイスクリームにかかるとパリッと冷えて固まるのだ。
軽くスプーンで叩いたくらいでは割れないチョコレート。思いきりスプーンで叩けばばりっと割れて、それをそのまま食べるのもいいし、砕いてアイスクリームと一緒に食べるのも美味しい。
それにチョコレートも、ミルクとビターで二種類。好みで選べるという。
もちろん、チョコレートをかける前のアイスクリームにトッピングもできるのだ。
どれにしようかと悩む時間も楽しいもの。
――どうぞ、お好みのアイスクリームとの出会いを。
涼やかな風の下、木々の葉がさわさわと歌う木陰で美味しいひとときを。