⚡️登る紫煙
⚡️最終決戦:通信網破壊戦

これは大規模シナリオの最終決戦です!
9/15朝8:30までの「戦勝数」に応じて、得られる結果が増えます!
戦勝数=作戦1〜5の成功シナリオ数÷2+最終決戦の成功シナリオ数
9/15朝8:30までの「戦勝数」に応じて、得られる結果が増えます!
戦勝数=作戦1〜5の成功シナリオ数÷2+最終決戦の成功シナリオ数
※つまり、現存する作戦1〜5を攻略する事も、勝利に貢献します!
※到達した戦勝数までの全結果を得られます。つまり戦勝数80なら、全ての結果をゲット!
※到達した戦勝数までの全結果を得られます。つまり戦勝数80なら、全ての結果をゲット!
結果表
戦勝数50:解放地域の拡大(闘技場新マップ「ビーチ」追加)。戦勝数58:オーラム以外のレリギオスに、逆侵攻の事実を伝達阻止。
戦勝数66:👾ナイチンゲール鹵獲。
戦勝数74:今後のウォーゾーン大規模全てに「内部撹乱作戦」を追加。
戦勝数82:各レリギオスが各々に蓄積した『|完全機械《インテグラル・アニムス》』の研究データを全て破棄
●さいごのいっぷく
「くそっ、くそ、くそっ、火がつかねえ……」
もはや煙草など必要のないはずの、機械の肉体が呻いている。敵の気配――√能力者の気配が消え失せた、|屍《かばね》転がる中で。
人の肉体を捨てたものたちが、狙撃手たちが。通信網を維持するための施設を――鉄塔を、文字通り死守するために、足掻いていた。
今は機械とはいえ元は人間だったのかもしれない。ばちばちと頭部から火花を散らしながら、人型のそれは延々……煙草に火をつけようと。
生き残ろうと、足掻いていた。
●『ようこそ』。
「無視してもいいっちゃいいさ、あのおバグり個体はさ」
天を仰ぎながら煙草の煙、くゆる。
紫煙立ち昇る中で梁・志寛(報われず・h07743)は呟く。バインダーに挟まれているのは薄い紙切れ一枚だ――それほどまでに、『書くことがなかった』。
「『ようこそ』√能力者。速戦即決なご依頼だ。オーラムの話は聞いてるだろ? アレ。通信網の破壊を願う」
ぱたんとカウンターの上に置かれたドキュメント。書かれていることは至極シンプル――。
「いくらか狙撃手の残る戦場を抜けて、本体の鉄塔を叩け。『現地の残存兵はほっときゃ死ぬ』程度の損傷を受けてるが……ま、プロだわな」
目を細める梁。曰く、『正面から普通に突破しようとすりゃ蜂の巣だ』と。
「求められてるのは隠密能力か。安全な経路をどうにか割り出して狙撃手たちを掻い潜り鉄塔を破壊する、か」
言葉を切り、にやり。わらう梁の表情は、どうにも軽薄だった。
「――君、硬い? 硬いんだったら囮になっていいが、工夫しなけりゃ十中八九死ぬぜ。それでいいなら選ぶといい」
皮肉めいた笑みは深い。
目標は鉄塔。周囲には熟練のスナイパー――しかし、死の寸前に足掻いているものたち。
どう出るか。自由だ。
第1章 冒険 『狙撃手の居る戦場』

残念ながら。救出は不可能である。
耐久も隠密も全く――などと。水垣・シズク(機々怪々を解く・h00589)は申すが、援護となれば話は別だ。
隠密し、地上からも、高所からも|こちら《√能力者》を狙い撃とうとする狙撃手たち。
散開し各々の実力を信じ戦い続けた結果がこの戦場だ。真正面から突っ込めばどうなるか、星詠みの言った通りの「なにか」が見えて、シズクはやや、目を細めてみせた。
「あちらは、高所こそ自分たちの専売特許だと思っているようですが」
狙撃手たちの索敵、その範囲外から、彼女はみている。視ている。文字通りに俯瞰する。
彼らの作戦自体は悪くはないのだ。「正面から」「まともなモノ」が来るならば、彼らは相応、強くあれただろう――が。
「私の『瞳は宙にあります』ので」
同調。薄らと曇天に影。雲が厚くなるかのように。それに気がついたか、上空を見上げた狙撃手が息を呑んだ。
閉じた瞼である。睫毛の一本一本すら視認できるほどに巨大なそれが、宙にある。
「――伏せろ!」
誰かの叫びは、届いたのだろうか。
――開いた眼。それは天から見ている。
理を灼く。思考を焼く。視界を焼く。爆ぜる。焼き、切れる。落ちる。落ちる――。
遍く降り注ぐ視線は神のそれであろうか。無差別に、だれもかれもをみて、注視されれば灼き払われ、あわれ、憐れ。
隠れても無駄だ、雨なのだから。視線。死線、三百の。鉄塔をも巻き込む範囲に注がれたそれは、特定の「なにか」や「だれか」を狙うまでもなく遍く届いた。
「――まぁ、ご自由に対応なさって下さい」
呟くシズク。狙われたからには、彼らは警戒を高めている。それゆえ、高みの見物とまでは行かないが、確実に――狙撃手の『視線』は逸れた。
追い打ちを食らわせてやる必要もない。ぐらつく鉄塔が、そのうち彼らを押しつぶすだろうから。
「(追い詰められても、最期まで自分の持ち場を守るか……)」
ここがさいご。おわりのとき、おわりの場所。潰えると知っていてなお、彼らは己の『使命』のために――それが機械の脳によって下された最終決定であったとしても。残ることを選んだ、残らなければならなかった。
クラウス・イーザリー(太陽を想う月・h05015)は思う。こういう時にやることは、人間と同じ。
そうなれば、戦法も対・人間のものを応用できるか。
狙撃手たちの視線は今、上空へと向いている。敵勢が、√能力者が『効率的に』自分たちと鉄塔を狙った故だ。
それを利用しない手はない。用意したドローンを飛ばし――そして。
そのドローンが、上空まで届く前に撃ち抜かれた。あまりの速射、狙いすまされた一撃。
――敵襲に気づいたようだ。僅かに聞こえた声、張り詰める空気。位置の特定のために飛ばすドローンの数を増やし、まるでクレー射撃のごとく撃ち落とされていくドローンを見――射程を、見定めた。
手練れというだけあって圧倒的なカバー範囲。彼らは、互いの死角を補うように撃ち抜いている。
障害物にしっかりと隠れているが、「あそこ」だ。最も遠い場所……そこに、インビジブルがいるのなら、見えるのならば『跳べる』――!
「なっ……!」
小さな声。構えようとした狙撃銃は、近距離では取り回しが悪い。取り出そうとしたナイフごと、錬成された剣が――魔力兵装が、狙撃手を両断した。ばちりと内部が爆ぜる、ヒトに似た骨格が露出する。けれど機械だ。もはや物言わぬそれではあるが、彼には確かに、意思があった。
「(最期まで守り切ろうとした姿は、立派だったよ)」
敵である。称賛を送るべき相手かといえば、否と答えるものも少なくはない。だが、意味がないなどとはけして、けして、言えない。
鉄塔へ放たれるレイン砲台と魔法の弾丸。「音もなく接近された」と気付いた狙撃手たちの視線と銃口が、守るべき鉄塔へと向く。
「うにゃ……まさかの拠点攻略戦ですか……」
どうにも、しぶしぶ。神咲・七十(本日も迷子?の狂食姫・h00549)は先行者たちと狙撃手の動きを見ながら、ぱくっとグミを口に含む。
奥歯でグミを噛みながら考える。ほどほどの距離であれば対応できるが、遠距離がすぎる相手は不得手。しかし戦場に来たからにはそうも言っていられない。
このような時に用いる戦法だって、七十はきちんと……きちんと? 用意している。
狙撃手の|視線《死線》が鉄塔を向いている、この隙だ。
「(仕方ないですね……「あれ」な戦法でやらせて貰いましょう)」
あれとは、如何に。呼び出されしはどこかの女神によく似た|少女《フリヴァく》。静かに、脇から狙撃手たちの視線を逃れ――二人は、歌声を響かせた。
「……歌?」
はっと気づいた狙撃手が声のする方向へと弾丸を放つ。遮蔽物によって防がれたそれ。フリヴァくと七十は二手に分かれ、声が、歌が届く範囲を広げて前へ。
生成されるは『隷属者』。どこの誰とも知らぬ顔、ひとがたの何かが生まれては、ふたりの――文字通り肉壁となっては土へと帰る。
「ふにゃ……狙撃が来ましたね」
的確。既の所で避けたはいいが――√能力の根源に近いフリヴァくをこれ以上動かすことは困難か。下手に彼女を前進させれば、√能力が途切れることとなる。ならば使うは、彼女自身ではない。
「ッ撃て! 撃ッ――」
狙撃手の言葉が途切れた。頭部を掴まれた。そのまま首をへし折られ、沈黙する|機械兵《狙撃手》。
既に数の減っている『彼ら』にとっては十分な量の。弱々しくも無視できぬ程度に生成される隷属者たちの、手。
死兵戦術である。ろくでもない死に方。ひとがたの何かが踏み荒らす。弾丸さえあれば、一掃できるほどのものがあれば、何とか押し返せたかもしれない波であった。狙撃銃では対処しきれるわけもない。
塔へ這い上がろうとするかのようにがりがりと引っ掻く『それら』の手をもって、鉄が、揺らぐ。
対処しきれない。自身を守らねばならない、生き残らねば。だがその生命は、通信網の維持に使われなければならない――。
「対処は二分、後手後手です。ムリゲー強制ですよ♪」
ざんこくなはなしである。
ばたり、というには重い音を立て――戦場に倒れ伏す鉄塔。
通信網のひとつと――残っていたいくつかの機械兵の意識は、そこで途絶えたのであった。