⚡️明日は、きっといい日になるのだから
⚡️最終決戦:通信網破壊戦
これは大規模シナリオの最終決戦です!
9/15朝8:30までの「戦勝数」に応じて、得られる結果が増えます!
戦勝数=作戦1〜5の成功シナリオ数÷2+最終決戦の成功シナリオ数
9/15朝8:30までの「戦勝数」に応じて、得られる結果が増えます!
戦勝数=作戦1〜5の成功シナリオ数÷2+最終決戦の成功シナリオ数
※つまり、現存する作戦1〜5を攻略する事も、勝利に貢献します!
※到達した戦勝数までの全結果を得られます。つまり戦勝数80なら、全ての結果をゲット!
※到達した戦勝数までの全結果を得られます。つまり戦勝数80なら、全ての結果をゲット!
結果表
戦勝数50:解放地域の拡大(闘技場新マップ「ビーチ」追加)。戦勝数58:オーラム以外のレリギオスに、逆侵攻の事実を伝達阻止。
戦勝数66:👾ナイチンゲール鹵獲。
戦勝数74:今後のウォーゾーン大規模全てに「内部撹乱作戦」を追加。
戦勝数82:各レリギオスが各々に蓄積した『|完全機械《インテグラル・アニムス》』の研究データを全て破棄
「我らが司令官殿から連絡はなし、か」
√EDENからの襲撃者が奇襲を仕掛けてきたという一報を受けてから、どれくらいの月日が経ったであろうか。
此処は√ウォーゾーンに存在する統率官『ゼーロット』率いる軍団の通信網を構築する中継地点の一つだ。
その守備を任されていた施設の中で独り言ちる者がいた。
名を『ドクトル・ランページ』。全身の至る所を兵器へと置き換えた女性は、何も言わぬ通信設備を横目でチラリとみる。
「ゼーロット、随分と杜撰な作戦だった様だな」
ある期間を境に通信の数は減り続け、ついに何も音沙汰無し。これが示する所は恐らく、いや確実に我々は負けたのだ。
そして、であれば。そうであるなら撤退の一つの言伝が一つ有ってもいい筈だ。
だというのに何の連絡もない。であれば――。
「捨て石……いや、言い方が良くないな。殿を務める事になったと思うか」
彼を信じていた訳ではないが、逃げ遅れたのも事実。
そんな自分への馬鹿らしさに、思わず笑ってしまう。
せめてもの抵抗として、此処に勤めていた者達は逃がし終えて、今やこの施設は自分を残して伽藍堂。
あれだけ忙しかった日々はもうなく、一人静寂に包まれている。
「これも学びか。ならば謹んで承ろう」
王劍無き戦場にて、√能力者の命など替えが効く物に等しく、ならば自身にとっての最善を、出来る限りの事をするべきだと考えを切り替える。
失敗とは認めてこそ初めて調整が可能になり、そうして彼等の様な人々は少しずつでも、強くなっていったのだ。
ならば自分に出来ない筈はないと『ドクトル・ランページ』は心静かに襲撃者を待っていた。
彼らの戦い方を学ぶ為。そして命令を受けたが故の矜持の為。
彼女はこの施設にとどまり、この身が朽ちる最後の時まで守り続ける所存。
何より誰かが此処に居なければ、万が一通信網が復活した際、まだ戦っている者に必要な通信を送る事が出来なくなってしまう。
「だが……暇だな」
それでも時間は彼女を待たせる物だ。
何かないかと、ふと思い出したのは、なんとなしに拾っていた本が一つ。
戦火に焼けず偶然残っていた物を、あの時は何故こんな物を拾ったのかと疑問だった。
「下らんと思っていたが、成程。この手の時間つぶしには悪くない」
自分用に拵えた椅子に深く座り、一つページをめくる。
今は少しでも知識を貪ろう。ただ時間に身を任せるなど愚鈍に過ぎる。
たとえ真似事でも、歪でも。こうして学んで強くなるのだ。そうすればきっと。
明日は、きっといい日になるのだから。
「皆、√ウォーゾーンでの活躍、お疲れ様なのよ」
集まった√能力者達を迎えたのは、僅かに微笑んで迎えるシーネ・クガハラ(魑魅魍魎自在の夢幻泡影・h01340)の姿であった。
「皆も頑張ってるのだから、私も頑張らないとだね。っという訳で、戦闘機械群の大規模通信網を構築する拠点の一つを見つけたから、攻略してもらいたいんだ」
戦いは優勢であり、現在の時点で敵勢力に大打撃を与えているのは事実。
だからと言って、攻勢の手を緩めるわけにはいかない。やれる時にやるのは、非情だが勝負の鉄則ともいえるのだ。
「通信施設の中には、その場所を守る簒奪者が一人だけ。何か罠を仕掛けているとか、そういう訳ではないから、すんなりと辿り着く事が出来るよ」
簒奪者の方も、√能力者達を待っているかの様に逃げる事は無いとシーネは言う。
「なんでかは、私にはよく分からないけど、きっと思う所が有るのだと思うの。だからと言って戦いは避けられないのだけど……何か言いたい事とか有るなら、声を掛けても良いのかもね?」
特に情報を持っている様子も無し。何が有っても戦う運命。
それでも、やりたい様にする事に意味はあるのではないかとシーネは語る。
「こういう詰み重ねって、何かの時に花開いたりする……かもしれないからね?」
少しずつでもいいから、出来る事をして行かない。
どれだけ絶望の中にあっても希望の一欠片は何処かにあると信じて進んでいく。
「そうすればきっと、多分」
明日は、きっといい日になるんだよ。
と、シーネは√能力者達を見送るのであった。
第1章 ボス戦 『『ドクトル・ランページ』』
コツン、コツンと。静寂に包まれた鋼鉄の通路から足音が聞こえてくる。
「来たか」
それが死神の足音だと知りながら、一切動じることなく。
『ドクトル・ランページ』は静かに本のページを捲りながら足音の到着を待っていた。
「一人、ですか……」
やがて現れた人影達。その一人、|玉響・刻 《たまゆら・きざみ》(探偵志望の大正娘・h05240)は予知通りの光景に、物悲しさを秘めた眼差しで『ドクトル・ランページ』を見つめる。
「今回、用があるのは通信網だけですので、引いて貰えたりは……」
「残念だな。私にも通信網を守ると言う用がある」
にべもなく一言告げる敵の姿に、そうだよね。と首を落とす刻。
一介の戦士として| 戦場《ここ》に来た以上、後れを取るつもりはないし、戦いを恐れたりする気持ちは彼女にはない。
それでも、意味無き戦いなら避けたいという気持ちも否定出来ないのも事実。
だが。しかしだ。
「それでも戦うのですね」
何かしらの理由があって彼女が此処に残っているのも事実であり、覚悟の上なのだ。
答えは帰ってこない。目線を合わせる事も無い。それこそが肯定の証だろう。と、刻もまた、これからの戦いの事実を静かに覚悟する。
(諦観というものとも違う、あと自分は何を為せるのだろう……と、冷静に考えてしまえる時間、ですか)
その姿を見て、ミユファレナ・ロッシュアルム(ロッシュアルムの赤晶姫・h00346)の記憶の奥底がざわつき始める。
終わりの時が近づいてきた時だからこそ生まれる、妙な余裕。その感覚にミユファレナは覚えがあった。
確かあれは、失楽園戦争の最中、自ら結界の中に籠り時間を止めた日の事。この後に行う事を自覚しながらも、家族との団欒を楽しみ、穏やかな日々に心を満たし、そして眠りについた、あの時の忘れられない瞬間。
(今の彼女は、あの時の私達に似ているのかもしれませんね)
そんな共感を胸に秘めながらも、とはいえ……である。
目の前の敵は、戦意を見せていないだけで、引く様子は無い。
ならば何時火蓋が切られようと構わない様にと、眼鏡を外したミユファレナの瞳が徐々に赤へと染まっていき、際限のない魔力が全身から溢れ出てくる。
「……どうして逃げない?」
それでも疑問が残ると、クラウス・イーザリー(太陽を想う月・h05015)が言葉に迷いながらも問いかける。
「君はゼーロットに対して、此処までする義理なんて無い筈だ」
「ああ、確かにそうかもしれん」
これは実利の話だ。
例え生き返るとしても、この戦いは無駄ではないかとクラウスが問いかける。
「だが、こうするだけの理由は幾つかある。例えば、私の所属する組織に対しての忠誠を見せる為、だとかな」
そう答える『ドクトル・ランページ』の声は、抑揚が無く淡々とした物だった。
「何がどうあれ、組織は私を此処に派遣した。それは即ちゼーロットの要請に応えたという事でもある。そんな中、私が奴に不義理を働けば、組織に対して不利益を被る可能性が有る」
様は政治の話だ。と、まるで独り言を言う様に言葉を紡いだ『ドクトル・ランページ』
その声が、僅かに熱を帯びたであろうか。
「それに、こんな戦いでも学びが有る。お前達との戦いのデータは、何れ役に立つ」
それは恐らく。彼女にとっては、此方の方が有意義なのであろう。
無論、彼女が自ら所属する派閥に忠誠を誓っていない訳では無いが、彼女もまた一人の研究者であるという証なのだ。
「じゃあ、投稿する意思はないのね」
改めて確認を取るとばかりに、凛と響くリリンドラ・ガルガレルドヴァリス(ドラゴンプロトコルの屠竜戦乙女《ドラゴンヴァルキリー》・h03436)の声に、当然とばかりに『ドクトル・ランページ』は答えない。
一人で残るなんて、ずいぶん不器用で強い人だとリリンドラは思う。そして、そう言った行為を嫌いになる事も出来なかった。
ここに残ったのはただの敵兵ではない。
仲間を逃がし、だが理不尽な命令に自分だけが従い、自分だけが殿として座している|強者 《つわもの》。
誰かが見れば、愚か極まると揶揄されるかもしれぬ行いを、リリンドラ自身は彼女がそれを認めるかは兎も角、戦士であると認めている。
つまる所――。
(貴方には貴方の矜持が有って、私には私の正義があるって事ね)
生まれも違う。育ちも違う。ならば、信念の形はそれぞれであり、お互いの想いが喰い合う形になったのは、この場を見れば明白であり。
自らの信ずる正義という物が誰も彼もが救う訳では無いと理解しながら、それでもリリンドラは自らの正義に殉ずるつもりだ。
「本……読み終わるまで、待つ?」
そんな中、『ドクトル・ランページ』の事を気に掛ける様な言葉を発した者がいた。
「……それに一体、お前達に何の益が有る?」
そうは言いながらも『ドクトル・ランページ』の手は、持っている本のページを、未だに、ただ静かに捲っている。
声の主であるシアニ・レンツィ(|不完全な竜人 《フォルスドラゴンプロトコル》・h02503)の目には、確かに敵意が宿っている。
あの本には、きっと持ち主がいた筈だ。生きているか、それともこの世にもういないかはともかく、目の前の人物が持っていて良い物では無い。
それは分かっている。
「……ちょっとだけ嬉しいからかな。あなたが少しでも、人の作った物に興味を持ってくれたことが……この世界に住む人々に興味を持ってくれたのが」
だが、しかしだ。
目の前の相手を、ただの敵だと断定する事がシアニには出来なかった。
竜であった頃は人の事など眼中にもなかった記憶が朧気にあるシアニが、人との関わりの末に変わっていった様に。
目の前にいる『ドクトル・ランページ』に希望を見出してしまうのは、ある意味では当然だ。
「人はすごいんだよ。繋がって、繋げるの」
誰かからその本へ、その本から読んだ人へ。もしかしたら本来の持ち主も、その本から得たことを次の何かに繋げてるのかもしれない。
その繋がりが、自分を確かに変えたのだと信じているが故に。
「あなたは、どうするんだろうね?その本から、どうつながるのかな?って思っちゃったんだ」
あたかも目の前の敵が変わる未来を信じるかの様なシアニの言葉に。
「お前が持っていろ」
突然、呼んでいた本をシアニへと投げつける『ドクトル・ランページ』
思わず「あっ!?」と叫んで、咄嗟に両手で本を受け取るシアニを見ながら。
「もう三度は読んだ。この戦いの結末がどうあれ、それを持っていくつもりもない」
それは拒絶だったのだろうか。それとも、彼女なりの優しさであったのだろうか?
「……随分と時間を稼がせてもらった。此処までやれば、組織にも面目が経つだろう」
もう、その心を知る事は出来ない。
彼女の全身の兵装の数々は、目の前の敵を討つべく鈍い金属音のオーケストラを奏でている。
「そろそろお前達も役目を果たすと良い。さもなくば、この戦いを私の勝利で飾らせてもらう」
全ての行いを、全ての戦いを糧とすると。学ばせてもらうと。
その様に宣言した『ドクトル・ランページ』の兵装達は、√能力者達へ照準を合わせるのであった。
全身に仕込まれている刃が、柔らかな肉体を解体せんとする。
物質を崩壊させる閃光が辺り一帯へと飛び交い、巨大な金属の尻尾が敵対する全てを押しつぶさんと縦横無尽に撓っている。
確かにリリンドラの見立ては当たっていたのかもしれない。彼女は優秀な研究者でありながら、戦士としても一流なのであろう。
「尻尾の攻撃は私が防ぎます!皆さんは前に!!」
何か一つ攻撃の手を潰さなければならないと、ミユファレナの手から伸びる精霊糸が様々な色に煌めいて、頭が複数ある蛇の様に撓り、鋼鉄の尻尾と何度も打ちあい始める。
元は戦闘兵器を操る物だが魔力を通す性質なれば、この様に使う事も可能であり。
お互いに同じ性質を持つ糸と尻尾の乱撃は、互いの攻撃を相殺してゆく形となり。その分、他の√能力者への攻撃の手が僅かに緩んだ。
(……行けるっ!)
その隙を逃すことなく、尻尾の攻撃を横に避けた刻が一歩前へ。
立った一歩、しかして全力の一歩は『ドクトル・ランページ』へと肉薄し、手に持った刀で――。
「させるかっ!」
その前に『ドクトル・ランページ』の手が上から襲い掛かり、居合の形を取っていた刻は鞘に入ったままの刀を前にだして、機械の手に付いた刃で切り刻まれるのを何とか防ぐ。
「ミユファレナさん!」
今しがた動きを止めた√能力者に『ドクトル・ランページ』が止めを刺さんとする直前、刻が叫ぶ。と、同時に何かに引っ張られて『ドクトル・ランページ』の体が僅かに宙に浮く。
何が起こったかと後ろを見れば、ミユファレナの精霊糸が機械の尻尾に複雑に絡み合い、その動きを拘束していたのだ。
「しまっ」
糸は切れる。だがそれよりも早く、淡く光る無数の黒い霊蝶を纏った刻が動きを止めている尻尾へと肉薄する。
「私も譲れません!だから――」
抜刀一閃。超高速の横薙ぎが機械の装甲にぶつかり。
「全力で、お相手致しますっ!」
僅かに甲高い音を立てると、金属の装甲を物ともせずに切り裂き、凶悪な形をした尻尾の先端が床に音を立てて転がってゆく。
「成程……これがお前達の戦い方かっ!」
そう言う『ドクトル・ランページ』の声には、僅かばかりの歓喜が宿っているだろうか。
良い物を見させてもらったとばかりに、未だ宙に居る刻を標的に定めて。
「お前の相手はこっちだ!」
気合と共に割って入ったクラウスの拳が『ドクトル・ランページ』の居た場所で空を切る。
千載一遇。しかし油断はできない。敵の兵装は未だに健在である以上、仲間を危険に侵す訳にはいかないと飛び込んだクラウスの気迫が『ドクトル・ランページ』に回避を選択させたのだ。
「近接戦……いや、違うな」
独り言ちる『ドクトル・ランページ』が顔を横に傾ければ、先程、頭があった場所へ撃ち込まれる射撃。
クラウスの視点に合わせて照準を向けるレイン砲台とファミリアセントリー。それらの制圧射撃の援護を受けて、肉薄するタイプだと推測して。
「それじゃ、私も!」
「いっくよー!」
その後ろから、ここぞとばかりにリリンドラとシアニが続いて突撃してくる様を見て。
『ドクトル・ランページ』の兵装から、無数の突起物が生えると共に、無数の光線が辺り一帯を覆い尽くす。
物質の崩壊を主とした光はリリンドラとシアニの突撃を止めて、砲台とセントリーを次々と撃ち落としてゆく。
そんな破滅の雨の中で。
「| 黎明の月《レイメイノツキ》よ」
見えない、ほんの薄い霊的な壁に守られながらクラウスは、前に進んでいた。
友人より発想を得た| √能力《わざ》を魔力によって再現したそれは、拳に集まると武具の形を取ると。
「弧を描け!」
腰を深く落とし、体全体で跳ねあがる様に打ち付ける拳は『ドクトル・ランページ』の体を貫き、彼女をよろめかせていて。
「ありがとう、クラウスさん!」
その隙を逃すことなく、今度こそシアニがドラゴンと化した腕に持ったハンマーを両手に肉薄する。
「あの、閃光の中を突っ切るか……」
先程の衝撃で眩暈がする。何より既に肉薄されている。
まずは距離を取らねばならないと、シアニの放った一撃を後ろに避け。
「……避けないで、欲しかったのだけどな!」
途端に、シアニが創り上げた地面の傷跡が、咆哮を上げた様な気がした。
まるで、そこに居る者を全て見下ろすかの様な、威圧感。
居るはずのない竜が、まるで居るかの様な悪寒が、シアニ以外の全員に突き刺さる。
「御免ね皆!代わりにだけど、お役に立つからね!」
その中で影響を受けないのはシアニのみだからこそ。
続けざまに放ったハンマーの一撃が、動きの鈍る『ドクトル・ランページ』へと突き刺さり、装甲と共に様々な兵装を破壊して鋼鉄の壁へと打ち付ける。
「……ドラゴンの力……成程な」
最早、大半の兵装を失い、戦闘続行が困難な状況である。
だが、それでも『ドクトル・ランページ』は立っている。まだ使命が胸にあるからと。
「まあ、避けられちゃった物は仕方ないわよ」
そして、シアニの√能力の影響下にあり、冷や汗を流しながらもリリンドラは獰猛な笑みを浮かべている。
「――貴方を切るわ。私の正義に掛けて」
宣言する。元より防具らしい防具は元より無し。胸に秘めるは正義と覚悟。
屠竜大剣を両手に構え、一つ息を吐いたリリンドラ。
相手は手負い。だからと言って素直に切らせて貰える事は無いだろう。
それでも、突き進む。
「あなたの選んだ道をわたしは否定はしない」
愚直な突進だ。だからこそ、合わせて近接兵装を振りかぶり。
その一撃をリリンドラは大剣の横っ腹で弾き飛ばした。
「だけど私の正義が、貴方を断ち切る!」
最早、『ドクトル・ランページ』を守る物はない。
両手で持った屠竜大剣を上から下へと一直線に振り下ろしたリリンドラの一撃が『ドクトル・ランページ』へと襲い掛かったのであった。
「負け、だな」
そんな一言が聞こえたのは、リリンドラの一撃が振り下ろされる直前の事だった。
その目には、見たい物が、知りたい物が知れたという満足感があったであろうか。
(これで良い)
この作戦に参加した事に後悔はない。奪わなければ、立ち行かないのが自分達が置かれている現状なのだ。
だからこそ、後悔はない。そして、こうなる結末にも、反省すべき点はあろうと後悔はない。
知る事が出来た。知識を得た。それは明日の糧になるはずだ。
そう。これ等はきっと間違いなく役に立つ筈だ。
いつかはきっと、あの下らない本が描いた幸せな結末の様に。
(――明日は、きっといい日になる)
その最後の想いと共にリリンドラの一撃を受け。『ドクトル・ランページ』の体は塵へと崩れ行くのだった。