シナリオ

魔法の古城、ハロウィンオーベルジュ

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 冒険王国に一夜だけ現れる、特別なおばけの古城に入るための魔法の合言葉。
 ――トリック・オア・トリート! お菓子くれなきゃ悪戯するよ!
 いつもとは違う格好で、そんなハロウィンの呪文を唱えれば。
 ジャック・オ・ランタンの光が灯る魔法の古城・ハロウィンオーベルジュの門が開いて、皆を招き入れてくれるだろう。
 そして古城に足を踏み入れれば、愉快で摩訶不思議なハロウィンの長い夜の、はじまりはじまり。

 ジャック・オ・ランタンの光が灯る中、彷徨い歩く愉快な客人達が楽しめるのは。
 ハロウィンの魔法がかかっている今宵だけおばけの古城と化した、冒険王国の古城で過ごす一夜。
 美味しいお菓子やハロウィン限定メニューや不思議な魔法ドリンクを作ったり味わったりだとか。まるで魔法のようにちちんぷい、ハロウィンアクセサリーやランプ作りなども体験できるし。ハロウィンネイルやハロウィンメイクをしてもらうのもまた醍醐味。それに、大きなおばけ南瓜が転がってくる地下迷宮には、お菓子のお宝があるらしい??
 一人部屋から大部屋まで沢山の部屋があるから、ひとりやペアでゆったり過ごしても、大人数でわいわいおばけパジャマパーティーや枕投げなどをするも良し、女子会男子会ならぬおばけ会を開くのもきっと楽しい。
 ハロウィン色の古城内では他にも、お菓子が貰えたり舞踏会などが開かれたりなど、飽きることなく楽しめるだろうから。
 いざ――トリック・オア・トリート!
 ハロウィンの魔法がかかる特別な夜を、目一杯満喫しよう!

●摩訶不思議ハロウィンナイト
「ハッピーハロウィン。皆は今年は、どのような仮装をするのだろうか、楽しみだな」
 楪葉・伶央(Fearless・h00412)はそう柔く笑み、集まってくれた皆に礼を告げた後、星詠みの予知を告げる。
「今回赴いて貰いたいのは、√ドラゴンファンタジーだ。ダンジョンを探索し攻略してもらいたいが、まずはダンジョン最寄りの冒険王国を訪れ、冒険の準備を整えてから向かって欲しい。ちょうど今はハロウィンの時期、冒険王国の古城ホテルもハロウィン仕様になっているようなので、折角だからハロウィンを楽しんでからダンジョン攻略に向かうのも良いだろう」
 ダンジョン最寄りの冒険王国にある、SNSでも映えるとバズっている人気の古城ホテルが、毎年一夜だけ、特別な城へと変化するという。
 それは、ハロウィンの魔法がかけられた、お化けたちが集う愉快な城。
 けれどこの日、城に入れるのはいつもと違う姿に変身した人のみ。
 この城に入るための条件は、仮装して――トリック・オア・トリート! と合言葉を告げること。
 そうすれば、ジャック・オ・ランタンの光が灯るお城の門が開かれるだろう。
 仮装は自前のものでもいいし、貸出もしてくれるというし、光る猫耳カチューシャをつける程度などでもオッケーだ。ハロウィンネイルやメイクなどもしてもらえるという。
 ハロウィンオーベルジュではその名の通り、美味しいハロウィンスイーツや料理をおなかいっぱい堪能できるようだし。南瓜頭シェフ直伝のお菓子教室や、妖しい魔女先生のカクテル講座など、作っても楽しめる。
 他にも、好みのハロウィンランプやハロウィンアクセサリー作り、古城探索や地下迷宮の冒険、おばけ舞踏会等々、他にも楽しい催しや仕掛けが盛り沢山なのだという。
 古城であてがわれる部屋も、一人部屋から大人数まで様々な部屋があるので好みで選べるので、雰囲気たっぷりな古城ホテルで思い思いに過ごして欲しい。
「そして今回攻略して欲しいダンジョンは、お菓子なダンジョンだ。それは「罠もお菓子、モンスターもお菓子、そして使える武器もお菓子のみ」というお菓子尽くしの迷宮だという。ダンジョン内に落ちているスイーツ系武器や装備で武装し深奥を目指して、ボスを撃破しダンジョンを攻略してきてくれ」
 伶央はそこまで説明した後、楽し気に微笑んで。
「俺は甘いものが好きだ。とても大好きだ。ダンジョン攻略は勿論のこと、ハロウィンの夜も目一杯楽しんできてくれ」
 トリックオアトリート――そうハロウィンの魔法の呪文を唱えつつ、摩訶不思議な夜の冒険王国へ続く路地を指し示すのだった。

マスターより

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第1章 日常 『おかしなおかし』


 魔法の古城の歩き方、それは皆様にお渡しした、お城の秘密の地図をご覧あれ。
 ジャックオランタンの光が数多灯る古城は、今夜はハロウィンの魔法がかかっているから。
 このお城のドレスコードは、『いつもとあなたと違う格好』。
 もしも変身の準備がまだだったり、お色直ししたければ、メデューサのサロンへ。
 各種好きな衣裳を取り揃えていますし、南瓜頭や、猫耳や悪魔角などの各種光るカチューシャの貸し出しも。
 ハロウィンネイルやメイクなども承っておりますので、おばけなお洒落もどうぞ楽しんで。

 広い古城は、摩訶不思議な楽しいや美味しいでいっぱいのオーベルジュ。
 ゆっくりおひとり部屋からふたりでのんびり過ごせる部屋、わいわい広い大部屋まで、お部屋の選択もお好みで。
 そしてオーベルジュと謳っているからには、美味しいハロウィンスイーツや料理をおなかいっぱい堪能いただけます。

 まずメインダイニングにご用意しているのは、おばけモチーフのハロウィンメニューが満載のビュッフェ。
 おばけな具材がいっぱいなパンプキンシチューや魔女のイカスミ黒パスタ、黒パンミミックハンバーガーにおばけチーズピザ、狼男お墨付きステーキやおばけ大王イカの海鮮パエリア、目玉たまごのミートローフ、ミニ棺桶の器に入った南瓜グラタンなどの食事系から。各種モンスターケーキや毒林檎ムース、ジャックオランタンのパンプキンプリンアラモード等々のデザートまで、豊富なメニューを好きなだけ味わえます。
 落ち着いた雰囲気のブラッディーカフェ&バーで味わえるのは、吸血鬼マスターのおすすめスイーツとドリンク。
 蜘蛛の巣チョコがかかった真っ赤な血の色ベリームースに、ホワイトチョコをかぶったおばけカヌレ、おばけカボチャプリンパフェはミニサイズから超特大バケツサイズまで!
 飲み物も、成人していれば、血のように赤い「ブラッディーワイン」や、レモンピールの星がちりばめられたカクテル「マジカルポーション」、他にもお好みのカクテルを作って貰えるし。
 各カクテルはノンアルコールにも変更でき、お酒が飲めない人でも、好きなお化けを書いて貰える各種ラテや、魔法のレモンの雫たらせば色が変わるバタフライピーサイダーなどの限定ドリンクも。
 そしてこれらのものは全てテイクアウトが可能だから、各レストランやカフェだけでなく、展望テラスや庭など古城の好きなところで食べられるし、部屋にも運んでも貰えるのでパーティーしたり等々、お好きな場所でどうぞ!
 
 そんな美味しいものを、味わうだけではなく作れたりもするんです。
 南瓜頭シェフ直伝のお菓子教室では、ハロウィンアイシングクッキーとプチカップケーキ作りが。妖しい魔女先生のカクテル講座では、好きな色や味わいのオリジナルカクテルが作れるから、今夜だけ南瓜頭や魔女の弟子になるのもいいかも?
 それから魔法みたいにちちんぷい、モノづくりも楽しめます。
 キラキラ好みの色で作れる、ジャックオランタン型のハロウィンステンドグラスランプ作りであったり、ハロウィンステンドグラスサンキャッチャー作りだったり。好きな色の石や宝石と、好みのハロウィンモチーフを組み合わせた、銀細工アクセサリー作りも。
 また、雰囲気たっぷりな古城を探索をしながら、出会うおばけスタッフに「トリックオアトリート」の呪文を唱えれば、お菓子が貰えるし。
 おばけ南瓜がごろごろ転がってくる地下迷路にチャレンジして見事攻略できれば、お菓子詰め合わせなお宝が貰えるらしい!?
 それに、ジャックオランタンやキャンドル灯る大広間では、おばけ舞踏会が開催されます!
 ちょっぴり怪しかったり愉快だったりする音楽に合わせて、くるくる他のおばけたちと踊ったり。
 色々な種類のアイスが楽しめるおばけアイスクリームバーもあるから、躍るお化けたちを見ながら、アイスハロウィンパーティーを楽しむのもまた良し。
 チョコレート味の黒猫さんにゴーストバニラアイス、イチゴモンスター味に、虹色マジカルミックスアイスにパチパチ弾けるイタズララムネ味、季節限定のジャックオランタンアイスなどなどのアイスが食べ放題。ビッグサイズからミニサイズ、色々な味を楽しめるひと口用プチサイズなども選べて。そのまま食べてもいいし、夜空色のソーダに浮かべてハロウィンクリームソーダにしてもらうこともできるんです。
 
 勿論、ハロウィン仕様に飾られた部屋でゆっくりお過ごしいただけます。
 古城レストランやカフェバーで提供される、料理やスイーツやドリンクは、全て部屋までお運びいたしますし。
 部屋で思いっきり、おばけパジャマパーティーや、人をダメにするもふもふモンスター型枕投げなどをするも良し。女子会男子会ならぬ、おばけ会をするのも楽しそう。
 それに部屋だけでなく、古城には密かな穴場スポットも沢山。
 古城の展望テラスから望む夜の冒険王国の景色と夜空はとても幻想的で美しいし。
 ハロウィンイルミネーションが煌めく広い庭を散歩するのもまた、雰囲気抜群。
 秘密の書庫に足を運べば、もしかしたらレアな魔導書も見つかるかも……?

 他にも古城でできることならば、自由に楽しんでいただければ。
 何かございましたら、当古城のおばけスタッフにお声をかけてくださいね。
 それでは、ハロウィンの魔法がかかった古城の夜を、存分にお楽しみください!


<マスターより補足>
 仮装がドレスコードですが、仮装にプレイングで触れていなくても仮装していることになります。文字数削減のため仮装に関して触れずとも大丈夫ですし、逆にご指定あれば描写いたします。
 OPや断章に記載なくても、できそうなこと、ありそうなメニューやイベントや場所などなど、作っていただいても構いません。
 お好きなように、自由に過ごしていただければです!
八卜・邏傳
野分・時雨

 ハロウィンの魔法がかかった古城に入る条件は、ひとつだけ。
 門番おばけが早速チェック!
「今年の仮装~! 代用ウミガメくんです」
「ステキ代用ウミガメちゃんとやってきたカカシでぃす」
「カカシくんとメルヘンしに来ました!」
 野分・時雨(初嵐・h00536)こと代用ウミガメくんと、八卜・邏傳(ハトでなし・h00142)なカカシは、勿論入城オッケー!
 長い袖やスートの装飾をふりふり、背中の甲羅を弾ませるウミガメさんな時雨と、通された城内を歩きながら。
 鳩さんたちも一緒に、視線巡らせていた邏傳カカシが早速見つけたのは。
「おいしそいっぱーい!! ミミックハンバーガーにミートローフなお目めかわい〜♡」
 オーベルジュを謳うだけあって、美味しそうでしかもかわいいおばけなごはんたち。
 黒パンミミックハンバーガーやミートローフの目玉たまごたちと、ぱちりと目が合って見つめ合ってから。
 魔導書みたいなメニューをぺらりめくってみれば。
「他にも面白可愛ぇのいっぱいね、時雨ちゃ……れ? 迷子?」
 ハロウィンの魔法のメニューに目移りしていれば――時雨の姿が忽然と消えています!?
 そう、爆速ではぐれたのである。
 とはいえ、カカシさんは城内の地図を確認してから。
「わぁぁ会えてよかった!」
 向かってみた先で、速攻合流!
「ごめんね。妖しい魔女先生のカクテル講座行ってきたの。美味しい酒くれるって……」
 ウミガメくん、魔女先生にトリックされていたようです。
 というか。
「でもそこ居てそな気はしちょったんよ」
 お菓子ならぬ酒がもらえるここだと思いました、ええ!
 そんな邏傳に、時雨が差し出すのは。
「代用カクテル作ってきたから! 邏傳くん用のモクテル! ノンアル! 許して。ね!」
「俺用の! モクテルちゃん!! 作ってくれたの? めちゃ嬉しーっ♡ 俺も美味しそいっぱい包んで貰ったんよ」
 ということで――おばけメニューをつまみに、カンパーイ!
 美味しく食べて飲めば、魔法にかかったみたいに、いい感じにふわほわ。
「いい気分なので迷宮行こ~」
「わぁい迷宮GO!」
 おばけな夜に酔い痴れながら向かうのは、どきどき地下迷宮!
 見事攻略できれば、お菓子詰め合わせなお宝が貰えるらしいです!
 けれど、いくらほろ酔いでも、迷宮に無策で飛び込むような時雨ではなく。
 しゃきんと手にしたのは、貰っておいたお菓子。
「こういう時は! お菓子落として、帰り道の目印作るんですよね。知ってますとも!」
「帰り道の目印! 時雨ちゃんあったまいー!」
 というわけで、余裕な様子でお菓子をぽとぽと落としつつ、どんどん奥へと進んじゃいながらも。
 時雨はそっと、お隣のカカシさんに訊いてみる。
「邏傳くんお化けさん平気タイプ?」
「お化けちゃんすきよ?」
 そして返る言葉通り、うきうき楽し気な邏傳のその姿を見れば、確かに好きそうで。
 だから、時雨は先に言っておくことにする。
「時雨ちゃんもへー……きでないん?」
「ぼくあんまり。妖怪は平気ですけど、見慣れないお化け苦手です」
 ということで――出たら盾にするからね、って。
 でも邏傳はお化けちゃんすきな頼れるカカシさんだから。
「へへ♡ 立派な盾なれるかな?」
 むしろ盾にされることに、嬉しそう……?
 というわけで頼もしい盾もゲットできたし、お菓子大作戦で迷子になることは――。
「あれ、邏傳くんの鳩、目印食ってない?」
「てぇ、うゎぁぁ本当だ、鳩ちゃんズお腹すいちょったん!?」
 なんと目印にと落としてきたお菓子が、邏傳カカシさんと一緒にいる鳩さんたちのおやつになっちゃいました!?
 けれど邏傳は、クルックーと主張する鳩さんたちの証言にこくりと頷く。
「うん? 散らかしちゃらダメ? そゆことなら仕方ねぇね」
 むしろ鳩さんたちはいたずらっ子ではなく、いい子ちゃんです!
 だが時雨は、見慣れないお化けがこないか震えながらも、紡ぎ落とす。
「嘘……帰れない……おしまい……ぼくらの墓はここ」
 けれどそう、邏傳はお化けちゃんが好きだから。
「俺達が本物オバケになっちゃうね☆」
 本物おばけになっちゃうのも、いいかもしれない……?
 そんな楽し気なカカシさんに、ウミガメさんは必死に懇願する。
「諦めないで! 鳩に吐いてもらって!」
 諦めて残りのお菓子を美味しそうに食べている鳩さんを、涙目で見つめながら。

物部・真宵
井碕・靜眞

 ハロウィン色に煌めく古城を共に巡るのは、ハロウィンの花嫁とチャイナマフィア。
 そして、こどもおばけが、トリックオアトリート! ってわくわく声を掛けてくれば。
 悪戯も楽しいかもしれないけれど、でもやっぱり困っちゃうだろうから。
 お菓子をどうぞ――そう、今宵花嫁に変じた物部・真宵(憂宵・h02423)がちいさなおばけたちに差し出すのは、手作りの一口アップルパイとカヌレ。
 同じように、今夜はチャイナマフィアな井碕・靜眞(蛙鳴・h03451)も……同じく、こちらでご勘弁を、と。
 チョコレートや飴玉を渡せば、無事に悪戯されずに、嬉しそうに去っていくこどもおばけたち。
 そんな様子を見送っていれば――ふいに、つんつん。
 左腕に感じれば、靜眞はあげた飴玉みたいに目をまるくしてしまう。
 真宵のつんつんは、ふとわいた悪戯心。
 だって今日は、ハロウィンなのだから。
「井碕さんトリックオアトリート?」
 そう紡いで見上げれば、靜眞は瞳をぱちりと瞬かせた後。
「えっと……お、お菓子でいいですか?」
 彼女にもチョコレートや飴玉を差し出しながら、そっと小さく困惑する。
 ……いや、なんで一瞬戸惑ったんだおれ、って。
 そう内心思っていれば、真宵のルールブルーの瞳が無邪気な色を湛えて。
「ふふ、残念。悪戯チャンスだったのに」
「……チャンス、でしたか」
 思わず靜眞は、どき、としてしまう。
 それから、引き続きおばけたちにお菓子を配っていたのだけれど。
 ずっと巡るのも大変だから、古城の庭でひと休み。
 真宵は改めて、彼の姿を見つめて。
「井碕さんの仮装意外でした」
「あ……これはその、同僚が。潜入捜査用でもあるんですけど」
 そう返した靜眞は、彼女にも思いのまま言葉を向ける。
「……その、物部さんもお似合いです」
 そしてそんな、彼らしい飾らぬ賛辞に微笑みを返しながら。
「いつもと違ってちょっとどきどきしちゃいますね」
 真宵が耳をふと澄ますのは、幽かに聞こえる舞踏会の音色。
 それをこうやって遠くから楽しむだけでも、わくわく心躍るのだけれど。
「踊っていただけますか」
「――え」
 思いがけないお誘いに、ぱちりと瞳を瞬かせてしまう真宵。
 だって、聞こえる舞踏会の音を耳にすれば、靜眞の心に生じたのはこんな気持ちだったから。
 今日はいつもと違う格好だし、魔法がかかっている特別な夜だからだろうか……なんとなく、誘いたくなったから、と。
 そんなやっぱり飾らぬ言葉で告げられたお誘いを、真宵はうれしく思うのだけれど。
 でも、恥ずかしくもあって。
「わたし踊ったこと、なくって……」
 そう、そっと返せば。
「まぁ、自分もうまくは踊れないので。足さえ踏まなければ、大丈夫です」
 彼も同じだと聞いて少し安心する。
 だから、差し伸べられた手にそっと指先を添えて、お返事を。
 ――はい、喜んで、と。
 そしてリードしてくれる彼の手を、今宵も頼もしく思う。
(「大きな手、何度助けられただろう」)
 今だって、この温かさにとてもほっとしているから。
 そしてそんな真宵と共に舞踏会の輪に入りながら、靜眞は慎重にくるり。
 きっと傍から見れば、おぼつかないステップかもしれないけれど。
 でもそれでもいいって思う。
 音にさえ合わせられれば――あなたが楽しくあるように、って。
 だってもう、目の前の彼女のことしか見えていなくて。
「あの、お綺麗です、すごく」
 耳に届いた靜眞の声に、真宵も飾らぬ言葉で返す。
「ふふ。嬉しい」
 そして……綺麗に笑えているかしら、なんて。
 そう思うのは、とても今、ドキドキしてしまっているから。

ネム・レム
エストレィラ・コンフェイト

 ジャックオランタンたちに歓迎されながら、古城の門を潜ったのは、三人の魔法使い。
 そう、今夜は仲良くお揃いで、魔法使いに変身!
「ふふ、似合っているか? ふたりも大変に愛いなぁ!」
 無意識的に翼をぱたぱた、そうご機嫌なエストレィラ・コンフェイト(きらきら星・h01493)の声に、ネム・レム(うつろぎ・h02004)も頷いて。
「うんうん、ふたりともよう似合っとるねぇ」
 ハニーもエストレィラと同じくらい、ご機嫌な魔法使いさん。
 そしてやってきた古城で過ごす魔法のひととき、何をするかと考えて見れば。
「ハニーもおるからお部屋でのんびりしよか」 
 今宵の魔法使いたちの秘密基地でもある部屋へと案内してもらえば、ネムはくるりとひと通り見回して。
「にしても……賑やかなお部屋やねぇ」
 つん、とつついてみるのは、ゆらゆら揺れる起き上がりこぼしのかわいいおばけ。
「かわいらしいお顔のおばけさんやから、これやったら怖ないやろか?」
「可愛らしいとは思うが怖いとは……」
 彼の言葉に、エストレィラはそうそっと声を潜めて口にしてしまうけれど。
 ……ふふ、冗談、なんて自分をにこにこ見つめる彼に気づけば。
「い、いや、わたくしはおばけとか全然怖くないぞ!?」
 あたふたしつつも、こほんとひとつ、咳払い。
 そんな彼女の様子に笑いつつ、ネムが広げるのは、魔法使いらしい魔導書……?
「ほれほれ、レィラちゃんは何食べたい?」
 その魔導書の中身は、美味しそうなハロウィンメニューでいっぱいで。
 メニュー表を開けば、ぬっと出てきた白い手がてしてし!?
 いや、それはもふもふおばけさんではなくて。
「……ハニー、全部は無理やで」
 食いしん坊な魔法使いさんでした!
 そんな待ちきれないようなハニーに、ふたりは目を向けて。
「やけど色々頼んでわけよか」
「ハニーちゃんは欲張りさんだなっ。ではわたくしのも分けてあげよう」
 早速、気になるものをあげてみる。
「目玉たまごのミートローフとおばけチーズピザ。モンスターケーキ……は化け猫さんやったら可愛いやろか」
「おばけかぼちゃのスープ、ハロウィンミニバーガー。どれも美味しそうだ」
 ハニーが全部ってお強請りする気持ちも、わかります。
 そして注文を済ませ、頼んだものが運ばれて並べられれば――いただきます!
 それから、エストレィラはそっとスプーンを手にしつつも。
「目玉ゼリー……見た目がすごいが、ハロウィンっぽいな」
 ……ネムちゃんも一口どうだ? なんて勧めてみれば。
「おや、うれしい」
 ネムはエストレィラのことをじいと見つめて、こう続ける。
「ふぅん……目玉くれるん?」
「わ、わたくしの目玉ではないぞ!?」
 そんな彼女の反応に思わず笑っちゃって。
「あはは、わかっとるよ。ちょいとからかいたく……おっと」
「何やら揶揄われているような……」
 そう物言いたげに自分を見るエストレィラに、逆に差し出す。
「ほれ、猫さんケーキがレィラちゃんに食べてほしいて」 
 ……一口どうぞ、って。
 そんな猫さんならこわくないし、かわいくて美味しそうだから。
 エストレィラははむりと一口いただき、こくりと大きく頷く。
「うむ、美味である!」
 それから、気を取り直して目玉ゼリーを一匙掬い。
「わたくしの目玉は美味しくないからな」
 ――こちらの方がいっとう美味だぞぅ!
 そうエストレィラが主張すれば、再び白い手がぬうっ。
 ネムはもちろん、てしてしお強請りするハニーにもちゃんと、おいしい目玉をお裾分けするつもり。

榊・蓮
榊・空狩

 ――これいきたい、って。
 そう榊・蓮(わすれたもの・h09297)が言い出したのを聞いた時は、驚いたけれど。
 でも、榊・空狩(歩みを止めない者・h09296)は折角の機会だし、と。
 蓮と一緒に向かったのは、ハロウィン色に染まった古城。
 そんな空狩は、ハロウィンの催しは知識はあるのだけれど。
 行きたいと言われた声に、いいよって告げれば、蓮からこう問われる。
「でもハロウィンってなに?」
「悪霊から身を守るために仮装するお祭りだ」
 だから、自分が限りの事を、空狩は蓮には教えて。
 ついでにこれも教えてあげるか、と付け加える。
「それに甘い物が沢山食べれる」
 そう告げれば、蓮はちょっとそわりとするように返す。
 ……あまいものがおいしいのはおぼえてるの、って。
 でもすぐに、こてりと首を傾けて再び訊ねる。
「おばけのおまつりだからぼくもおばけになるんだね」
 仮装するお祭りだと、そう空狩からさっき聞いたから。
 そして今宵のふたりの姿は、目や口とかだけ穴をあけたひらひら布のおばけ。
 顔を隠したいと思っている空狩は、そんな幽霊の仮装はうってつけであるし。
 蓮もうれしくなる。
 ……顔あんまりみられたくないって言うくぅがのからだがやわらかいのわかるから、って。
 はぐれない様にと優しく肩を抱えられつつ、空狩とビュッフェに足を運びながら。
 それからずらり並ぶ料理を前に、空狩は再び教えてあげる。
「どれでも食べ放題だからな」
 そしてお皿をそちゃりと手にしたのはいいのだけれど、何せ蓮はかなり小柄だから。
 一人で伸びして取ろうとする姿をみれば、空狩はその身体を抱えあげて。
 彼が、これたべたいっていうものをとってあげつつも、思うのだった。
 ……やっぱり蓮は甘い物を沢山選ぶ、って。
 そして蓮は、うんうんとのびしていたら空狩が抱っこしてくれたから、気になるものに手を伸ばして。
「あれとこれとそれと……」
 たくさんいっぱい、お皿にもりもり。
 そんなお皿に乗るだけ乗せている姿を見れば、空狩はほわりと微笑ましく思う。
 というわけで、いっぱい美味しそうなものを取り終われば。
 取って来たものは、部屋で食べることに。
 そして魔法の鍵みたいなルームキーに記された部屋へ、空狩は蓮をつれて向かえば。
 ハロウィンの魔法がかかったみたいなお部屋で――いただきます!
 たくさん食べる気満々で、はむりと蓮はスイーツを口に運べば。
「おいしい」
 それから周囲に飾られたおばけさんたちを見て、こう空狩に訊ねる。
「ここ、てんごく?」
「天国ではないよ」
 空狩はそう訊いてきた蓮に、こう教える――二人の此処は現実だからな、と。
 それを聞けば、蓮もここは天国じゃないっていうのはわかったのだけれど。
 はむはむ食べていれば、おなかもいっぱいになって、ふわりおねむに。
 そして、ねむくなってこしこししてたら、くるんって。
 空狩が包んでくれて、そして優しくなでなでしてくれれば、蓮は心地よくなってうとうと。
 ふたりで過ごすおばけの時間に、ふわふわ夢見心地で思う――おいしいしあったかいしうれしいな、って。

マルル・ポポポワール
エアリィ・ウィンディア

 ハロウィンの魔法が掛かった古城へと向かうのは、ふたりの魔女さんたち。
 だって今日は、仮装がドレスコードだって聞いたから。
「仮装はスタンダートな魔女さんになろうかな?」
「わぁ! お揃いの仮装ですね! エアちゃん可愛いです!」
 三角帽子をかぶって、ふりふりひらりと黒の魔女服を身に纏って。
 ――それじゃあ一緒にトリックオアトリート!
 そうばっちり準備してわくわくやって来たのは、エアリィ・ウィンディア(精霊の娘・h00277)とマルル・ポポポワール(Maidrica・h07719)。
 マルルは、ちらりと古城のお化けスタッフさんを見て、三日月を象った魔女のほうきを思わずきゅっと握るけれど。
(「ちょっと怖いですが、エアちゃんと一緒なら平気です!」)
 お揃い魔女さんのエアリィが一緒で心強いから、大丈夫!
 そしてふたりで向かったお菓子教室で、今宵の先生にぺこりとご挨拶。
「南瓜頭のシェフさん、よろしくお願いしますね」
 そんなマルルは、お菓子作りにやる気満々。
 ……私もメイド修行で鍛えたお菓子作りの腕を披露して見せます! って。
 教えて貰って作るのは、いたずらおばけたちに配りやすいクッキー。
 エアリィは、先生が作った見本をじいと見つめて。
「ハロウィンアイシングクッキー? ええと、どんな形でもいいのかな?」
 好きな形でオッケーだと聞けば、ちょっぴりだけ考えてから。
 それなら――と刹那、精霊交信で喚んだのは、6属性の精霊さん。
「ええと、モデルになってー」
 そう、しっかりと精霊さん達を見ながら形を作っていって。
 火・水・風・土・光・闇――各属性の色を着けていく。
「わ、精霊さんのクッキーですね、カラフルで可愛いです!」
 マルルは賑やかでカラフルなエアリィの作業台を見て、口にしてから。
 じゃあ私も……とモデルたちを召喚して、クッキー生地をこねこね、形をつくっていく。
「ルルちゃん、ふーこちゃんとシイロさんかな?」
 エアリィが言うように、召喚した竜のシイロさんと、狐の精霊ふーこちゃんのクッキーを。
 でもマルルが作るのは、シイロさんやふーこちゃんだけではありません。
(「それに……大好きなエアちゃんのクッキーを作っちゃいます!」)
 というわけで、大好きで可愛い魔女さんも作ってみれば。
「あれ? あたしもいる? それなら、あたしもルルちゃんを作るー」
 マルルの作っている魔女さんが自分だと気づけば、エアリィも仲良し魔女さんを追加して。
 楽しくわいわいしながらどきどき、カタチを作ったクッキーたちをオーブンへ。
 そしてあとは焼けるまで待つのみ……なのだけれど。
 折角ハロウィンの魔法がかかっている夜、じっと待つだけでは勿体無いから。
「アイシングが固まるまで、エアちゃん、一緒に踊りませんか?」
 マルルがお誘いするのは、古城の舞踏会場。
 勿論、エアリィは喜んで差し出されたその手を取って。
「踊ったことないけどなんとかなるなるっ!」
「少し嗜みありますので、エスコートはお任せを!」
 仲良し魔女さんだけでなく、竜も狐も妖精さんたちも、皆で。
 風に乗るようにふわふわくるり、ハロウィンらしい音楽に合わせて、一緒に楽しく踊ります!
 そして、めいっぱい楽しい時間を満喫していれば、あっという間にクッキーも焼けて。
 そうっとオーブンから取り出してみれば――カラフルな皆の姿のクッキーの出来上がり!
 美味しそうなばっちりな出来に、嬉しくてはしゃいじゃいながらも。
 エアリィはマルルと一緒に顔を見合わせ、笑い合う。
 ハロウィンの魔法がかけられた魔女たちの夜に……ドキドキしたけど楽しかったー、って。

セレネ・デルフィ
マリー・エルデフェイ
ララ・キルシュネーテ

 今宵の合言葉はそう――トリックオアトリート!
 そしておばけの古城の門を通るのが許されるのは、いつもとは違う姿に変身したモノたちだけ。
 でも勿論、やって来たサァカスの面々やキョンシーは、どうぞと中に案内される。
 だって、サァカスの道化師となったララ・キルシュネーテ(白虹迦楼羅・h00189)や玉乗りの魔女のサァカス衣装のセレネ・デルフィ(泡沫の空・h03434)、そしてチャイナ服を着てお札を張ったキョンシーのマリー・エルデフェイ(静穏の祈り手・h03135)は、上手にどろんと変じているのだから。
 ということで、一夜限りのハロウィンの魔法がかかった古城でこれから楽しむのは。
「ハロウィン使用のお部屋でハロウィンおばけ会です!」
 そう、マリーの言うように、愉快な仲良しハロウィンおばけ会!
 案内された部屋も古城の雰囲気とぴったりな、おばけいっぱいのハロウィン仕様。
「すごい……お部屋も、とってもハロウィンです……!」
「むふふ、見事なハロウィン部屋ね。ハロウィンおばけ会だなんて胸が踊るわ」
 魔法のカギで部屋の扉を開ければ、セレネと一緒に、ララも思わずわくわくしちゃう。だってこれから3人一緒に、華やかで美味しく怪しいハロウィンの夜に飛び込むのだから。
 そしてやはり、おばけ会といえば、まずはおいしいごはんの確保から。
 魔導書みたいな分厚いメニューをぱらりと紐解いてみながら。
「料理やスイーツは運んでくださるようですけど、ララさんとセレネさんは食べたい物はありますか?」
「料理を運んでくださるなんて、至れり尽くせり、ですね」
 お札は暫し上にぺらりと捲りつつも訊いたマリーと一緒に、セレネもメニューを覗き込んでみて。
「私は、毒林檎のムースが気になります」
「私はこのロシアン目玉マカロンと七色の層が綺麗な虹色ドリンクにしようかと思います」
 そうそれぞれ、気になるメニューを選んでみれば。
 ふたりに続いて、ララもこう告げる。
「ララは全制覇する勢いで食べ尽くしたいわ」
 ……ハロウィンのお菓子ってみんな独特でわくわくするわよね、なんて。
 サァカスの道化師になっても勿論、ララは腹ペコさんです。
 それから、それぞれが決めたものを注文をし終えれば。
 キョンシーなマリーは、勢いよくぴょんっ。
 その身の行先は、人をダメにするもふもふモンスター型枕!
 ずぼりともふもふモンスターに埋もれて身を沈めれば、だらーんとしながら、美味しいものを届くのを待ちます。
 お部屋ハロウィンのおばけ会だからこそ、堂々とできることです!
 そして注文した品々が続々と運ばれてきて、ずらりと並べられた刹那。
 セレネがどうしても視線がいってしまうのは、そう。
「……! おばけカボチャプリンパフェの超特大バケツサイズ……!
 それからつい、くいしんぼうなララをちらりと見てしまうけれど。
 目玉たまごのミートローフに早速舌鼓を打ちながらも、そんなセレネの視線を受け止めるララ。
 だって思われている通り、腹ペコ食いしん坊さんだから。
「その毒林檎ムースにおばけカボチャプリンパフェの超特大バケツサイズもいただこうかしら」
 皆で虹色ドリンクを手に乾杯した後、ララはわくわくしたように花一華咲くしせんを巡らせて。
「おばけカボチャプリンパフェの超特大バケツサイズ!? 超特大と言うだけあって大きすぎでは」
 マリーも、おばけカボチャプリンパフェの超特大バケツサイズの、そのあまりにもな大きさにびっくりする。
 でもやはり、マリーもセレネと同じように、ちらり。
「けれどララさんが居るし食べきれるかな?」
 ある意味、ララの胃袋への信頼は揺るぎありません……!
 そして期待通り、はむはむと、美味しくどんどんいっぱい食べていくララを見て、セレネはハッとする。
「は、こんなに食べさせてしまっては、護衛の皆さんに怒られてしまいますかね……?」
「護衛の皆さんが居ない今くらいは思う存分食べて貰いましょう!」
 でもララの嬉々とした食べっぷりを見れば、マリーの言うように。
 存分にいっぱい食べて貰うのが、きっと今いる皆の幸せ。
 セレネも頑張って、おばけなご馳走を沢山食べていきたいとは思うものの。
「私はそんなに沢山は食べられないので、よければ……少しだけ、お裾分けしてもらえると、嬉しいです……!」
 でも大きなテーブルの上に隙間がないほどに並べられた品々を見れば。
 こんなにあれば、好きなものを好きな量、お裾分けだって勿論できちゃうし。
 その量にもびっくりだけれど、セレネはそろりとマリーの前にあるものにふと目を向ける。
「マリーさんは、なんだか面白そうなものを選びました、ね」
「マリーのロシアンマカロンもいいわね。ふふ……トリックオアトリートの運試し、やってみる?」
 それは、ロシアンマカロン……!?
「ロシアンマカロンは誰が外れを引くか楽しみですね!」
「ロシアンマカロン……ハズレはどんな味なのでしょう……」
 早速、目の前にマリーがロシアンマカロンを並べれば。
 セレネは、思わずじいと、マカロンたちを見つめちゃう。
「大丈夫、かな……」
 そんなセレネに、ララは教えてあげる。
「ハズレは……ある意味で当たりなのよ」
「が、頑張ってチャレンジしますね……!」
 ハズレも、ある意味美味しい当たりなのですから……?
 ということで、皆で顔を見合わせ、こくりと頷き合えば。
 せーので、それぞれ選んだロシアンマカロンを、ぱくりっ。
 ハロウィンのかみさまは誰に微笑むのか――さぁ、3人の運命はいかに……!?

渡瀬・香月
饗庭・ベアトリーチェ・紫苑

 ハロウィンの魔法がかかる夜、お互い、いつもとはちょっぴり違う姿。
 何せ、おばけの古城のドレスコードは仮装。
 入城するには、普段とは違った姿に変身する必要があるようだから。
 渡瀬・香月(Gimel店長・h01183)と饗庭・ベアトリーチェ・紫苑(|或いは仮に天國也《パラレル・パライソ》・h05190)も、今宵はおばけの仲間入り。
「紫苑は元々が花の精霊みたいな雰囲気あるから仮装も違和感なく似合ってるな!」
 そう告げる香月と並んで歩く今日の紫苑は、木の精霊であるドリアード。
 香月の言うように、ハーバリウムのような花咲く印象がある彼女には、選んだ仮装がぴったりで。
「香月さんの仮装、とーっても似合ってます!」
 いつもは来店したお客さんをもてなしている香月だけれど、今日は悪魔執事として紫苑をエスコート。
 いや、古城なんて普段は来ることはないから、香月はちょっぴり圧倒されてしまうし。
 紫苑はその豪華絢爛さに、うきうき少し浮かれ気味。
 そしてやはり、ふたりが足を向けるのは。
「吸血鬼シェフの食材といえば、丁度血抜きした食材がありそうですね?」
「このメニューの魅せ方、参考になるなー」
 オーベルジュの花形でもある、メインダイニング!
 ハロウィンオーベルジュと謳っているだけあって、雰囲気作りは勿論のこと。
 ビュッフェ台に並ぶ料理も美味しそうな上にひとつひとつ凝っていて、紫苑は思わず瞳をキラキラ。
「わ、すごい……美味しいが何でも揃ってます!」
「パーティー料理に応用出来るかな?」
 香月も、自分の店の参考にもと、興味深く並ぶ料理を色々と見て回って。
「どれから摘まむか悩んじゃいますね」
 そうわくわく迷いつつも、紫苑はふと思う。
 ……普通の人は軽いものから入るんでしょうか、なんて。
 そんなスレンダーで美しいドリアードは実は、たくさん食べる健啖家なのです。
 そして香月は、料理も勿論だけれど。
「テーブルセッティングも豪華でいいなー」
 古城やハロウィンに相応しい雰囲気作りやテーブルセッティングも見逃せない。
 でもやはり、実際に食べてみないと色々わからないから。
 まず香月が取って食べてみたのは、おばけ大王イカの海鮮パエリアや棺桶の器に入った南瓜グラタンなど、ガッツリ食事系。
 そして紫苑は色々迷いつつも、まず取ったのは、数個の南瓜プリン。
 それから美味しさに舌鼓をうちつつも挑んでみるのは、食材を探る謎解き!
 まずはひと匙、はむりと口に運んでみれば。
「生クリームと、後味に少し栗っぽさがあるような……」
 紫苑はそう推理しつつ、香月へと視線を向けて。
 ここは本職に聞いてみるに限ると……どうですか? と訊ねてみれば。
「うーん、中にちょっとマロンペーストが入ってる気がするな。シナモンやカルダモンのスパイスに微かな洋酒の香りが最高」
 じっくり味わって、美味しいプリンの謎を解き明かしながら、香月は続ける。
「今度俺も作ってみたい」
「あ、作ったら是非味見させて下さいね!」
 謎の解明という名の試食だったら、いくらでもします!
 それから、美味しくて有意義な食事を終えれば、紫苑はこんなお誘いを。
「まだ未成年なので酒精で乾杯はできないんですが、ノンアルなら問題なしですのでバーにも行ってみませんか?」
「いいね、ハロウィンのとっておきカクテル飲みに行こう」
 そしてノンアルコールにできる、レモンピールの星がちりばめられたカクテルを頼んで。
 グラスに浮かぶ星と、そして古城の展望テラスから望む空の星を眺めながら、グラスを傾けることにする。
「古城から夜景見ながら乾杯ってなんか良いな」
 望む冒険王国の夜景はとても美しく、なかなか普段見ることができないものであるし。
 ハロウィンの夜だからか、魔女や蝙蝠も飛んでそうな、何だか幻想的な雰囲気。
 それから香月は、星のグラスを小さく掲げて。
「アルコールは2年後のお楽しみだな」
「2年は遠いなぁ……乾杯です」
 まだ少し先に思ってしまうけれど、その時を楽しみに――特別な魔法がかかった夜に、ふたりで乾杯を。

空廼・皓
白椛・氷菜

 夜になれば、沢山のジャックオランタンが一斉に灯って。
 訪れる客人を迎え入れつつも、ちちんぷい。
 今宵限りかけられるのは、不思議なハロウィンの魔法。
 でも、おばけの古城に入るための条件がひとつだけ。
「仮装……」
 白椛・白椛・氷菜(雪涙・h04711)はそんなドレスコードを満たすべく、色々な仮装の衣裳を眺めてみた後。
 目を向けるのは、表情こそ変わらないけれど、いそいそうきうき尻尾が揺れている空廼・皓(春の歌・h04840)の姿。
「俺羽ある系がいい、な。んーと……こういう……小悪魔系?」
 そうすちゃりとつけてみるのは、ぱたり揺れる悪魔の羽。
 それに、悪魔角のぴかっと光るカチューシャも、お耳に被らないようにと慎重に装着してみれば。
 満足するように、ひとつこくり。
「かんぺき、だ」
 尻尾もゆらゆら、ご満悦!
 そんな晧の様子を、氷菜はじっと見て。
「晧は似合うわね」
 それからふと、氷菜も手にしてみる。
「……私も同じ小悪魔にしようかな」
 そして晧と同じく悪魔の羽と角カチューシャを着けてみれば。
「……どう?」
「氷菜も小悪魔かわいい、ね」
 今日のふたりは、お揃いの悪魔です!
 それから難なく入城を許されれば、思わずきょろり。
「ほおお……すごい、ね。俺おしろはじめて」
「私もお城は初めてよ」
 豪華で広いお城の中を、まずは少し探検してみることに。
 そしてるんるんと歩いていた皓は、ハッと一瞬足を止めて、じー。
「あのよろい、は……動く!」
 そう聞けば、氷菜は少し距離を取って様子を窺う。
 お化けでも、中が人だとやはり苦手意識があるから。
 そんな氷菜が見つめる中、皓はそろりと鎧さんに近づいてみて。
「おばけさんとりっくおあとりーと」
 そう告げてみれば、思った通りに、ギギギッと動き出して。
 晧に手渡されたのは、そう。
「氷菜おかし、もらった」
 ハロウィンのお菓子です!
 そして氷菜も、晧がお菓子を貰った後ろから、そっと告げる……トリックオアトリート、って。
 それから、鎧さんから差し出されたお菓子を受け取って。
「うん、私も無事貰えたわ」
 氷菜は少しほっとしたように紡ぎながらも。
 階段をぐるぐる上までのぼってみれば。
「ここは……テラス、かな。夜景きれい」
「流石テラス……景色が凄いわ」
 到着したのは、近隣の冒険王国の明かりや瞬く星たちなどの美しい夜景が望めるテラス。
 幻想的な夜空を見れば、箒に魔女やおばけが飛んでそうな雰囲気で。
 皓はふと真下にも目を向けてみれば、お耳がぴこり。
「下は庭、かな……ランタンとかふんいき、ある、ね」
「あれはジャック・オ・ランタンの灯りよね」
 オレンジ色の光がいっぱい溢れる、古城の庭が見えて。
「降りて、みる?」
 そうそわりと尻尾を揺らす皓とともに、氷菜はハロウィンの夜空へ。
 悪魔の羽も秋風にばさばさ、彼の手を引いてふわり、空中浮遊で庭へと降り立って。
 先程までは少し距離があったジャックオランタンの明かりたちや、ハロウィンモチーフの飾りがすぐ目の前に。
 そんな降りた先の庭を進んで再び城の中へ入ってみれば、辿り着いたのは大広間。
「……あら、お化け達が踊ってる」
「すごい! 舞踏会、だ」
 皓はそう舞踏会の会場へと歩みを進めてみれば、見つける。
「あっアイスある、よ。休憩、しよ」
 色々な種類のアイスが楽しめる、おばけアイスクリームバーを。
 そして晧の声に、ぱっと氷菜は振り向いて。
 目が輝いちゃうのは、休憩とアイスの言葉に心擽られたから。
 そんなアイス好きな氷菜が、ちょっぴりうきうきとしている隣で。
「氷菜何に、する?」
「アイスも色々あるのね」
「いろいろあって迷う……」
 彼女と二人、どの味にするか悩んじゃう皓。
 でも、氷菜はひとつには到底絞れなさそうだし、折角だから。
「んー……私、プチサイズで色々食べてみるわ」
 一口ずつ色々な味を堪能できるプチサイズにしてみて。
「晧もチョコ味も食べてみたら」
 黒猫さんチョコ味を皓にも勧めてみるも。
「黒猫? でもぱちぱちなの、気になる」
 悩んだ末に選んだのは、ぱちぱちするというイタズララムネ味。
 それをぷかりとソーダに浮かべてもらって、ぱちぱちしゅわしゅわに。
 それからふたり、嬉々とアイスを口にしながらひと休みしていれば。
 皓はお耳をぴこり、聞こえる音楽に誘われるように視線を向けてみて。
「くるくる楽しそう、だね」
 ――食べ終わったら一緒に踊る?
 そう氷菜を誘ってみたのだけれど。
「踊るのは良いけど……個人か晧としか踊れないわよ?」
 返ってきた言葉に、皓はこくこくと頷く。
 だって、それならば何も問題ないから。
 ……氷菜としか踊らないしだいじょうぶ、だよ、って。
 アイスを食べ終わったら、くるりくるり――躍るおばけさんの仲間入りを、ふたりもしてみるつもり。

氷薙月・静琉
櫻・舞

 沢山燈る南瓜顔のランプたちに、出迎えられながら。
 櫻・舞(桃櫻・h07474)は、そこかしこから聞こえる挨拶に、首をこてりと傾ける。
「はっぴーはろうぃん……? えっと……何かのお祭りでしょうか?」
 それから、近くにいたおばけスタッフさんが、親切に教えてくれた内容を聞けば。
「ほわ、仮装してお祝いするのですね! とても楽しそうです!」
 そしてくるり、共にやって来た氷薙月・静琉(想雪・h04167)へと、こう紡ぐ。
「静琉様、是非是非やりましょう!」
 そんなわくわくしている姿を見れば、静琉も口にしてみる。
「ハッピーハロウィン……だな」
 けれど、いつも感情が凪いでいて冷静な彼にしては少し珍しく、垣間見えるのは、そわりとする機微。
 それから、言い訳をするように続ける。
「……いや、生前は若いなりに素直に愉しめてた筈なんだが。永い事娯楽と無縁だった為か、こそばゆいと云うか、……うむ」
 そんな何か戸惑っているような様子に、舞は首を傾げて、不思議そうに静琉を見るけれど。
 静琉は気を取り直して、今宵の祭りに興じようと思う。
 ……舞が楽しいんならそれでいいんだ、って。
 というわけで、古城へと入るための条件は、仮装をすることだと聞いたから。
 舞は色々と悩んで、和装に猫耳と尻尾をぴょこり。
 そして魔法のように変身し終えた彼へと目を向ければ、ぱあっと笑みを綻ばせる。
「ほわぁ、静琉様! とても綺麗です! とってもお似合いです」
 雪女に扮した、静琉の姿をみれば。
「雪女だが、男だけどな」
 それから何気に思うのだった。
 ……日本で雪男と言うと全く別の部類になる不思議、なんて。
 そして静琉は、眼前ではしゃぐ猫さんに改めて目を向けて。
「舞もよく似合ってる」
 ふと、つい腕を伸ばしそうになるも。
(「……触りたくなるが、流石に我慢」)
 そっと、出しかけたくなる手を密かに引く。
「似合ってますか? ありがとうございます」
 そうにこにこしている舞が知らぬ、心の内で。
 それから入城の条件を満たせば、大きな門を潜って中へ。
 静琉は視線を巡らせながらも。
「古城もおばけスタッフも、世界観徹底しててすごい、な」
 その豪華さと雰囲気に、感心したように紡ぎ落として。
 舞が見つけて、じいと見つめるのは。
「お料理も沢山……」
 吸血鬼マスターのおすすめスイーツがいただけるという、落ち着いた雰囲気のブラッディーカフェ&バーのメニュー看板。
 そして入ってみれば、静琉も豪華な料理に目移りするのだけれど。
「蜜芋アイスを使ったおばけカボチャプリンパフェを頂こう。実はさつまいもが好きなんだ」
「静琉様はパフェですか? ホワイトチョコをかぶったおばけカヌレ……とても可愛くてこちらにします」
 それぞれ気になったものを注文して、運ばれてくれば――はむり。
 もぐもぐとカヌレを味わいながら、美味しいですね、と。
 紡がれた彼女の言葉に、静琉も頷いて返す。
 好みなさつまいもの味わいに、何気にご満悦な様子で。
 それから足を向けてやってみるのは、舞が気になっているアクセサリー作り。
 初めての事できりり真剣に、黙々と、作業を進めていく舞。
 そんな彼女が作るのは、黒猫さん。瞳が櫻の様にピンク色で、三日月の上に乗っているようなデザイン。
 静琉も、蝙蝠型の菫青石を中央に嵌めて。
 月と雫型の琥珀を、ゆらり波形の銀細工で繋げてゆく。
 そして……出来た、と。
 出来を確認するように一度くるりとそれを眺めた後。
「舞……帯留めなんだが。もし良ければ……」
「帯留! ありがとうございます!」
 静琉が差し出した帯留を受け取り、舞は嬉しく笑って返す……大切にします! と。
 だから舞も、初めて作ったアクセサリーを彼へと手渡す。
「私はブローチなのですが……良かったら?」
「これは……俺に?」
 静琉は一瞬、そうぱちりと瞳を瞬かせたのだけれど。
 大事そうに手に取って……サンキュ。大切にする、って。
 自分の作った帯留とブローチを、交換こ。

ガザミ・ロクモン
神楽・更紗

 ハロウィンの夜、やって来た古城にも一夜の魔法がかけられているというけれど。
 ガザミ・ロクモン(葬河の渡し・h02950)と共に歩む神楽・更紗(深淵の獄・h04673)も、今日は摩訶不思議なマジックを披露する和風手品師に。
「更紗さんのマジシャンの仮装、すっごく似合っていてとってもカッコいいです!」
 お耳の間に乗せたシルクハットに、ひらり大きな袖と裾を揺らした、格好良いパンツスタイル。
 そして更紗も、ガザミの今宵の姿を見て、思わず九尾も大きく揺れてしまう。
「僕は時計ウサギの仮装。更紗さん、ウサギが好きみたいなので」
「ガザミは時計ウサギの仮装か」
 ――愛らしさとカッコよさのミックス、と。
 そうお耳をぴこりとさせるだけに、見えるのだけれど。
 更紗は内心、大忙し。
(「まいったな、その仮装は反則だろう」)
 ……妾だから、耐えられた、と。
 そんな、何に耐えられたのかは謎であるが。
 手品師と時計ウサギさんは、勿論入城を許可されて、門を潜って中へと足を踏み入れてみれば。
「古城に入るの初めてですよぅ。雰囲気満点でワクワクしますね」
 ガザミはそう心躍らせながらも、やはりまず最初にするのはこれ。
「全部、食べていいんですかぁ。幸せすぎるぅ」
 そう――まずは、ハロウィンビュッフェで腹ごしらえ!
 沢山の美味しそうなメニューに瞳をキラキラ輝かせているガザミと共に、更紗も並ぶ料理を見回してみて。
「ほう、どれも手が込んでいて素晴らしい料理だな」
 早速皿に気になるものを取っていって、席に着けば――いただきます!
 ガザミがはむりと口にしたのは、ぎょろり目玉たまごのミートローフ。
 肉ととろりたまごの味わいが絶妙で濃厚で、頬張った頬っぺたが落っこちちゃいそう。
 そして更紗は手品師のごとく流れるような動きで、あーん。
 ガザミの口に、色々な肉料理を運んでいく。
 ――妾も知りたいのだ。おまえの胃袋の底を、と。
 そんな彼女から食べさせてもらうのも、もうガザミには随分と慣れっこになっているから。
 素早くあーんと差し出されてはぱくり、またあーんされればもぐもぐ。
 それから彼の胃袋の限界をはかっていた更紗は、すっかり空になった皿を見てお耳をぴこり。
「肉料理は制覇か」
 まだまだ底は見えません……!
 いや、勿論肉料理だけではなくて。
 ガザミが先に味見せんとするのは、ドラゴンのファイヤー赤パスタ!
 ちなみい辛さは★★★、三ツ星級です!
 ということで、はむはむと味見すれば、ガザミはこくりと頷いて。
「美味しい辛さです」
 そして更紗も続いて、ドラゴンのファイヤー赤パスタを頂こうと――した、その時。
「食べさせ返しです」
 そう彼からにこにこと差し出されれば、一瞬ぱちりと瞳を瞬かせた後。
「……!!?」
 九尾のもふもふ尻尾がさらにぶわわっと膨らむほど、動揺してしまう。
 それから、きょろきょろと周囲の目が途端に気になって、恥ずかしくなりつつも。
 でも、ガザミからあーんと差し出されたものだから――ぱくっ。
 あーんされた赤パスタを食べれば、カアッと何だか熱くなる。
 いや、やはり更紗にとっては、香りと刺激は感じても、味はしない。
 でもそれなのに――甘く思えて。身体がぽかぽかと温かくなるのを心地よく思うのだ。
 それからガザミは、口に残る三ツ星級の辛さを和らげるべく、パンプキンシチューをスプーンで掬って。
「更紗さん見てください、蓮根が骸骨の形をしてますよ」
「うむ、この人参は猫か?」
「蟹や狐はあるかな?」
 オバケの具材を見つけて掬っては、見せ合いっこ。
 そして更紗には、相変わらず酒以外のものの味はわからないけれど。
 それでも彼と一緒に、食事を大いに楽しむ。
 まるで魔法にかかったみたいに――食べる楽しみを心で味わうとしよう、と。

ナンナンナ・クルルギ・バルドルフルス

 沢山のジャックオランタンたちの灯火に案内されながら到着したのは、古城の大きな門。
 そしてナンナンナ・クルルギ・バルドルフルス(|嵐夜の《ワイルドハント・》|竜騎兵《ドラグーン》・h00165)は、城の中へと案内されながらも。
 周囲へときょろり視線を巡らせてみつつ、思い出す。
(「ハロウィンオーベルジュ……学校の子たちが話してるのは聞いたことあるけど、実際に来るのは初めてだな……」)
 SNSでバズっただとか、有名配信者の動画チャンネルで紹介されただとか……話だけは小耳に挟んだことがある程度だけれど。
(「普段はこんな所にくる贅沢しないし、|依頼《おしごと》に向けて英気を養うためにも、存分に味わって行こうかな」)
 きっと話題にしていた学校の子たちが知れば、羨ましいと思うかもしれないし。
 一応、星詠みの告げた仕事を受けてここには来たのだから、ダンジョンに向かう前に英気を養うことも、冒険者には必要なこと。
 それに今日は一人だからこそ、好きにハロウィンの魔法がかけられた古城を楽しめると思うから。
 ナンナンナは早速、お目当ての場所へと向かう。
 それは――オーベルジュと名乗る古城ホテルの一番のウリであるという、ハロウィンビュッフェ。
 折角だからナンナンナは、とことん食道楽を楽しんでいくつもりです!
 そしてくるりと並ぶ料理を見回せば、思わず目移りしてしまう。
 美味しそうであるのは勿論のこと、凝ったハロウィンモチーフのものばかりで可愛くて。
「ハロウィンビュッフェ……気になるものばかりだけど」
 でも、ナンナンナが手にした皿に取ったのは。
 ……特に気になるのはミミックハンバーガーかな、なんて。
 黒パンに旬の食材の財宝と、やみつきになる罠のような美味しさの、ミミックバーガーをいただきます!
 見た目も、宝箱みたいに飾られていて。
「うん、やっぱり冒険者としては宝箱って心惹かれる。よね」
 そうこくりとひとつ頷けば――いただきます!
 食べることは好きだし、はむりとわくわく口にしてみつつも。
 どんな具材のお宝が入っているのか、ミミックの罠に気を付けながらも美味しい宝探しを。
 それからビュッフェを楽しみつつもマスターに作って貰ったのは、おまかせノンアルカクテル。
 ナンナンナの瞳のようなミステリアスな深い赤のベリー味カクテルに、ブラックベリーがぷかり浮かんでいて。グラスのふちに添えられているのは、三日月のレモンピール。
 そんなハロウィンの夜を思わせるようなノンアルコールカクテルを一口飲んでみれば。
「うーん、おいしい……」
 そして、まるで魔法のような手際で作って貰ったカクテルの美味しさを味わつつも。
 ナンナンナは瞳とカクテルの赤を重ねながら、こう呟きを落とすのだった。
 ――これ、味盗めないかな……なんて。

ジズ・スコープ

 ジャックオランタンたちが照らす古城までの道を、おばけたちが大行進。
 目的地は、今宵限りの魔法がかかった古城。
 でもひとつだけ、このお城に入るための条件があるのだけれど。
 ジズ・スコープ(野良|古代語魔術師《ブラックウィザード》・h01556)は尻尾をゆうらり、門番おばけにTrick or Treat!
 問題なく歓迎されたのは、今夜のジズがいつもとは違った、不思議の国の住人に変じているから。
 ジズの今日の格好は、不思議な国のアリスなアンティーク風ダイヤのトランプ衣裳。
 古城に入るドレスコードは仮装、だって今宵はハロウィンなのだから。
 そしていよいよ入城となれば、ジズもわくわくな足取りで。
「御城探検は、心躍りますね」
 まずはぐるりと、好奇心を擽られるものがいっぱいな古城の探索へ。
「抜け道とかは機能してないのでしょうか……」
 ……古城には仕掛けがあるかと思っていたのですが、なんて。
 ふと見れば、何だか不自然に飾られた絵画が……? 
 だからジズは近くにいたスタッフお化けに断りを入れてから、その絵をそっと退かしてみることにして。
 絵に隠れていた謎のレバーを引いてみれば……隠しお菓子部屋を発見!?
 スタッフから部屋のお菓子を分けてもらえばほくほく、引き続き、あちこちと。
 見られる場所を巡っては、きょろきょろうろうろと不思議な古城探索を満喫して。
 メインダイニングを見つければお耳をぴこり、ふわり漂ういい匂いに小腹がそろそろすいてきたから。
 美味しそうな香りに誘われるまま入店すれば……いざ! お料理堪能!
 折角のビュッフェだから、目指せ全制覇――。
「……あっ、種類豊富! これは無理そうですね」
 でも、沢山の種類の料理を食べたいから、色々ちょこっとずついただくことにして。
 そして次に足を向けたブラッディーカフェ&バーでは、別腹のスイーツも!
 けれど、ここでも食べ過ぎないように、ジズはしっかり調整を。
「後でアイスクリームバーにも行かねばなりませんから、加減しつつ……」
 だから、特大おばけカボチャプリンパフェに心惹かれるも、ぐぐぐと我慢してミニサイズにして。
 でもそんなミニサイズ作戦は大成功、アイスクリームバーでもプチサイズの色々な味を存分に楽しめました!
 そしておなかも満たされれば、次は……なんて。
 魔法がかかった古城の、特別なハロウィンの夜を――出来るだけいっぱい、堪能満喫しちゃいます!

ステラ・ラパン
破場・美禰子

 魔法の古城へと向かう道にずらり、灯ったジャックオランタンたちが並んでお出迎え。
 そんな仄かな光に導かれるように、ぴょこりと足取りも軽やかに。
「ハッピーハロウィン、美禰子!」
 ステラ・ラパン(星の兎・h03246)が今宵だけの魔法の挨拶を元気よく告げれば。
「ハッピーハロウィンだねェ、ステラ。何処見てもオバケだらけ」
「あははっ! 本当だ」
 同じく紡ぎ、続いた破場・美禰子(駄菓子屋BAR店主・h00437)の言葉に、改めて一緒に視線をくるり。
 そんなおばけたちの大行進が向かうのは、自分達と同じ目的地。
 だって、ハロウィンのお城の中へ入るのを許されているのは、おばけだけなのだから。
 だからふたりもも、今宵はおばけに変身!
「アタシも魔女帽子を被るか」
「美禰子の魔女も似合ってるよ。僕はこの蝙蝠のミニハットとマントにしようかな」
「ありがとよ、ステラもイイ感じだ。アンタはそういう格好がビシッと決まるねェ」
 お互い、いつもとは違う姿に変じれば、準備は万端。
 門でのドレスコードのチェックも難なくクリアすれば、いざ魔法の古城へ!
「立派な城だね」
「本当、物語に出てくるようだ」
 まるで童話の中に入り込んだかのような、煌びやかな城内を見回しながら。
「此処に泊まれるたァ気分は王侯貴族。小さい頃は憧れもしたッけ」
 ……この歳で夢が叶うとは、なんて。
 美禰子が紡ぐのは、幼かった頃の少女の夢。
 それを聞けば、ステラはお耳をぴこり。
「小さい美禰子の夢だったの? イイね想い出話も聞きたいな」
「ふふ、老人の昔話なんて長いだけさ。良くあるだろ、何々階建てのお城に住みたいとか、夢見がちの普通の娘だったさ」
「夢見るのは素敵なことさ」
 小さな女の子の見た夢の話を聞けば、ステラのお耳は嬉し気にゆらゆら。
 だって、またひとつ、彼女の事を知れたのだから。
 それから美禰子は、今度は逆に訊ねてみる。
「ステラの夢ってのは?」
「僕かい? 夢を見られる身になって未だ浅い。夢を描けるようになるのが夢、かもね?」
 でもそう紡ぎながらも、ステラも小さな美禰子に倣って、こんな夢を描いてみる。
「歳の頃らしい『夢みがちの普通の娘』なら、素敵な恋がしたいとか、王子様を願ってみようか?」
 ……折角のお城だしね、と笑って見せて。
 それを聞けば、美禰子は瞳を細めて。
「ほう、じゃァまだ夢見る楽しみがあるね! そりゃいい」
 けれど、こうも付け加える。
「ただ相手は良く選ぶンだよ」
 そんな、ちょっぴり心配性な魔女の、急な見守り目線で。
 それから城内を歩いていれば、美禰子はふと見つける。
「ン、ネイルサロンか」
「わぁ、ホントだ!」
 ステラも魔法のように彩られたサンプルたちに瞳をキラキラ。
「入った事無いなァ。自分でやる方が早いからね」
「美禰子の綺麗な爪は自分でなの? あははっ!お洒落さんは美禰子こそだ」
「ステラは?」
「僕もこういうところは初めてさ」
「お洒落な印象があるが、オヤ意外」
 それならと、美禰子が向けるのはこんなお誘いの声。
 ……なら寄ってみよう、と。
 そして入店すればわくわく、どのように彩って貰おうかと作戦会議。
「サロンって可愛い柄も入れられるんだろう?」
「猫柄があると嬉しいンだけど」
 そして猫柄も勿論、ネイルの魔法で描く柄はご所望のままに、とのことだから。
「折角だから猫揃いにしてもいい?」
「勿論、何なら猫と兎柄にしようか」
「兎も? やったあ!」
 ちちんぷいぷい、ふたりの爪に召喚されるのは、お揃いの猫と兎。
 そしてお揃いの爪を見せ合いこしながら、受け取った魔法の鍵を手に向かうのは、ふたりの今宵の秘密基地。
 そしておばけの装飾たちが見守る中――部屋に入ればやる事はひとつ、と。
「枕投げだよ、ステラ! 修学旅行じゃ定番さね」
「枕投げ! 僕はやるの初めてだ! へへ、修学旅行気分というのも味わえるかな」
 お泊りの夜といえばやはり、枕投げです!!
 そしてすちゃりと美禰子が手にするのは、おばけをダメにするもふもふ枕。
 それから、美禰子は、こんな風に、と。
 ――遠慮はいらない、ただ枕を投げるだけ。
 ていっと放つのは、お手本がてらの一投!
「イイね! 言ったね?」
 ステラもにんまり笑って、手にしたもふもふモンスター枕を振りかぶって。
 見えた揃いの爪に耳跳ねながら――いくよ! そーれっ!
 刹那、確り勢いが乗った枕が、魔女の顔面に、ぽふんっ!
「あっは! 命中だ!」
「ふ、中々スジがイイじゃないか」
「ふふん、僕ってば器用だからね……わっぷ!」
 でも枕投げは、油断大敵!
 ……ソレお返し! と投じられた枕が、今度はステラの顔に、もふんっとヒット!
 美禰子も手を抜かずふわもふ枕の応酬をステラと繰り広げながら、嬉しくなってしまう。
 揃い柄の爪紅が覗けば、魔法にかかったみたいに擽ったくて。
 美禰子もやるじゃないか、なんて笑いながら……まだまだ楽しい夜は終わらないよ!
 ステラも再び、枕をえいっ。
 そして美禰子もまだもう少し、おばけな夜をステラと思い切り楽しむつもり。
 だって、今日はハロウィン――夜更かしも許されるのさ、って。

小夜雀・小鈴
剣崎・スバル
アリエル・スチュアート
ボーギー・ウェイトリー

 たくさんのおばけたちがうきうき、ジャックオランタンたちに照らされた道を歩きながら。
 心躍らせ向かう先は、魔法の古城。
 だって今日の夜は特別、なんていったって――。
「ハッピーハロウィン! なのですよ!」
 可愛い魔法使いさんの言う通り、ハロウィンなのだから!
 そんな夜のような黒いローブに、リボンがついた大きな三角帽子をかぶって。
 そして緑色の妖力の飾りの炎を灯したカンテラを持っている魔法使いさんは、小夜雀・小鈴(雀風招き・h07247)。
 足元だって普段のブーツではなく、今日はドラゴンファンタジーで買ったレザーブーツにしている凝り様です!
 それに、ばっちり背中に担いでいるのは葛籠。きっとお菓子がいっぱい欲しいのだろうという意気込みが伝わります、ええ。
 そして、小鈴が魔法使いならば。
「案外息苦しくないですねこれ……意外と見えるししっかり息も吸えるし吐けるし悪くないかもしれないですー……」
 そうすっぽりと頭から首まですっぽりかぶったジャックオランタンは、ボーギー・ウェイトリー(少年少女妄想・h04521)。
 ボーギーは南瓜頭をくるり、集まった皆の仮装をまじまじと見つめてみる。
「しかしまぁー……可愛いのが二人、大人で大胆な魅力なのが一人ー……素敵ですー……」
 そんな彼の言う、大人で大胆な魅力枠はといえば。
「一夜限りのハロウィンの幻想、と言った所かしら」
 そう現れたのは大人な雰囲気の妖精さん、アリエル・スチュアート(片赤翼の若き女公爵・h00868)である。
 ちなみに本人曰く、妖精と言ってもティターニア達フェアリーズみたいなものではなくて、大人になれない伝承などに登場するタイプの妖精……とのことだけれど。
「って言うか意外とスカートとか短いわね……」
「こ、これが大人の魅力……とんでもないのです」
「アリエルおねーさんが綺麗と大胆両立させてるのすっごいー……」
 意外とというかかなり短いスカートもだし、衣裳のデザイン自体も大人の魅力あふれるアリエルの装い。
 そんな大人な妖精さんを目の当たりにして、小鈴とボーギーも思わず目が釘付け。
 そしてティターニアはふたりに同意しつつも、こう続ける。
『ああいう伝承って意外と大胆な衣服だったりしますよね。少年少女の性癖を歪ませかねません』 
 そう……性癖を歪ませかねない、といえば。
 スチュアート公爵邸の皆とハロウィンパーティーということで、剣崎・スバル(気弱な機械剣使いドラゴンスレイヤー・h02909)も勿論、仮装してきたのだけれど。
「うぅ……この仮装恥ずかしいんだよなぁ……」 
 女装してスバルが纏うのは、メイド服のコスプレ!
 まさに見る人が見たら、大人は妖精さんとは別ベクトルで性癖が歪んでしまうかもしれない。
 けれどスバル本人はそっと、壁際の目立たない場所から皆を探して。
「ご、合流できてよかったです……」
「メイド服、可愛いですよ。似合っていますのです」
「……あれもしかして明確にホラー枠僕だけです……?」
 小鈴はスバルのメイド姿ににこにこ、感想を告げて。
 そして首を傾けるボーギーの姿を改めて見れば、大興奮!
「ホラーナイト! ハロウィンホラーナイト!」
「いやまぁホラーですけどー……ホラー出来ますけどー……」
「それにしても皆素敵な仮装ね、良く似合っているわ」
「みなさんの仮装とっても似合ってます」
 いつもとは違う互いの姿に、視線や言葉を向けあって。
「可愛いと綺麗が3人来るぞー……来るぞー……」
 ボーギーはそう紡ぎつつも、ふと首を傾ける。
 ……何が来るんでしょうー…まぁいいかー……、なんて。
 それから、ハロウィン色に染まった古城の中へと入れば、まず向かうのは。
 オーベルジュと謳っている古城のメインであると言っても囲んではない場所。
「小鈴ちゃん、ボーギーくん、スバルくんと一緒にまずはビュッフェで料理を頂くことにしましょうか」
 そう、ハロウィンビュッフェがいただける、古城のメインダイニング。
 アリエルは入店した後、ビュッフェ台に並ぶ皿をくるりと見回して。
「で、肝心の料理だけど……意外と本格的なハロウィンらしいメニューね。ここのシェフさん達の素晴らしいセンスを感じるわ」
 早速、気になる料理を取ってみようとするスバルだが。
「す、すごい……どれも美味しそうです……。これと……これと……や、山盛りになっちゃいますね……」
 あれこれ取っていったらいつの間にかひとつのお皿に、盛り盛りの山盛りに……!
 ボーギーも南瓜頭できょろりと、料理や皆の様子を見てみれば。
「ビュッフェで料理ー……ビュッフェとはー……好きな食べ物を好きなだけ取っていいー……実にトリートな食べ方ー……」
 トリックなんていらなかったのですねー……なんて、悪戯はここではまだお預けの模様。
 むしろ沢山食べるものを取っていいと、まさにトリートされたものを席まで運べば。
「美味しければいいのですがー……うまいですー……」
 はむりと食べてみれば、とても美味しいです!
 アリエルも早速、取って来たハロウィンメニューを口に運べば、ひとつ頷いて。
「味も……うん、やっぱり王宮のパーティーで出て来てもおかしくもない素敵な味付けだわ」
 小鈴も美味しいごはんをほわほわいただきながらも。
 意気込んで紡ぐのは、この魔法の古城で、したみたいと思うこと。
「普段、お世話になってるアリエルさんやボーギーさん、剣崎さんに感謝を伝えたいのでお菓子作りが頑張ります!」
 そう、美味しいハロウィンビュッフェでおなかいっぱいになれば――次に向かうのは、南瓜頭シェフ直伝のお菓子教室。
 皆でお菓子教室に参加して挑戦するのは、好きなカタチで作れるハロウィンクッキー作り。
 そして教えてくれる南瓜頭シェフの手際を見て、アリエルは思う。
「この南瓜シェフさんはさっきの料理も作っていたシェフさんなのかしら。うちの実家に勧誘したいくらいね」
 でも先生をそう見ながらも、教えて貰った通りに作業を進めていく。
「あ、私はそれなりに器用のつもりだから、ちゃんとお菓子は作れるはずよ」
『公爵、油断大敵という言葉があるのをお忘れなく』
「……分かってるわよ、ティターニア。ちゃんと作るわよ?」
 油断せずにちゃんと作っていきますよ、ええ……!
 スバルも皆と一緒に、いざお菓子作り。
 愛用の武器、撃竜機大剣の形のクッキーを作ってみるのだけれど。
「こっちは大剣で……こっちは盾で……。ちょ、ちょっと崩れちゃったかな?」
 何となく少し歪な気がしないでもないものの……それもまた味、ご愛敬です。
 小鈴もビュッフェで言ったように気合十分、一生懸命作っていく。
 感謝の気持ちをいっぱいに込めた、ハロウィン仕様のかぼちゃのクッキーを。
 そしてボーギーは、クッキー生地をこねこねしながらもこう紡ぐ。
「お菓子作りー……むー……ここでトリックすればいいのですかー……」
 ビュッフェはトリートだったけれど、お菓子教室はトリックチャンス……!?
 というわけで、とりあえずその辺にあるものを片っ端から振りかけたり練り込んだりしてみて。
「ならば必殺ー……何の味になるかわからない百味クッキーをくらえー……」
 もしかして今日一番のホラーになるかもしれないクッキーを作っていく。
 そしてちょっぴり不安要素も垣間見えながらも、それぞれのカタチにしたクッキーをオーブンに入れて。
 ちゃんと南瓜頭シェフに教えて貰った温度や時間で焼き上げれば――完成!
 それから出来立てのクッキーを、小鈴は小袋にくるんと包んで。
「いつも、ありがとうなのです!」
 一緒に作っていた、グレートメイスな棒付きキャンディも添えて、皆へと手渡せば。
 今日は何せ、みんなおばけなのだから――トリックオアトリート!
 出来たクッキーにわくわく、そしてちょっぴりドキドキ……?
 お互いにあげたりもらったり、作ったクッキーの交換こを。

彩音・レント
香柄・鳰
ラデュレ・ディア
月夜見・洸惺
エメ・ムジカ

 ジャックオランタンたちが灯る道を歩けば、その先にあるのは大きな古城。
 けれど、ただのお城ではありません。魔法がかかった、今日限りの特別仕様。
 だって今宵はハロウィンなのだから……!
 そんな古城へと向かう道すがらから、もうすでにわくわくで。
「お城でハロウィンとか雰囲気あるー! こんな映える場所でみんなと遊べるなんて最高じゃん!」
「今夜のみ現れるお化けのお城、なんて。ハロウィンらしい大がかりなイタズラね!」
 彩音・レント(響奏絢爛・h00166)の弾む声に、香柄・鳰(玉緒御前・h00313)も頷いて返せば。
 月夜見・洸惺(|北極星《Navigatoria》・h00065)も心躍らせながら、皆と古城へと続く道を逸るように歩んで。
「一夜だけ現れるお城っ。特別感があってワクワクしちゃいますねっ!」
「一夜かぎりのハロウィンのお城〜! こんないたずらが起こるなんて。ハロウィン、おそるべし?」
 エメ・ムジカ(L-Record.・h00583)も思わず、ぴょこりと跳ねるようにはしゃいじゃう。
 ……不思議な古城で特別な冒険ができるなんてっ、と。
 ラデュレ・ディア(迷走Fable・h07529)も勿論、期待に胸いっぱい。
「一夜限りの特別なおばけの古城……! わくわくとしてしまいますね。内装を拝見するのが楽しみなのです」
 さあ、魔法のかかったハロウィンの古城の中は、いかに……?
 そして門に辿り着けば、おばけ門番さんが訪れた客人をチェック。
 何せ、この古城に入るためのドレスコードがあるのだから。
 けれど、チェックするまでもなく全員問題なし!
 だって、魔法がかかった古城もハロウィン仕様なのだけれど。
 鳰はくるりと改めて皆の姿を見れば、ふわり咲かせた笑みを零す。
「それに、こんな不思議なお城を仮装した皆さんと巡れる事が楽しみなの。皆さんのお姿、本当に素敵ですもの」
 ……一夜だけが勿体ない位、なんて。
 そう紡ぐ鳰は、今夜はアリスに変身。
 そして、アリスはアリスでも。
「皆さまの仮想姿もとてもステキですね」
 今宵のラデュレは、和装アリス。
 というわけで、折角皆、いつもとは違った姿に変身しているのだから。
「みんなの仮装も気合い入ってるねー! お城を背景に写真撮らせてもらっても良いー?」
 やはり、古城をバックに記念写真は撮りたいところ!
 僵尸姿なレントが、すかさずカメラを取り出せば。
「レントさん、それは素敵なご提案ですっ。皆さんとの写真撮影もぜひっ」
 そんな提案に頷く洸惺は、ブレーメンの音楽隊。
 人化けして、馬耳に悪魔の翼に着物。それに音楽隊だから、お供の三頭犬、肩には暗夜子猫、頭の上にいる夜更け鶏も一緒に。
 そしてムジカも、不思議の国の音楽隊!
「お写真! いいよ〜♪ せっかくの仮装だもん! 記念写真なの!」
「お写真は勿論喜んで!」
「記念撮影、よろこんで……!」
 そうと決まれば、皆で身体を寄せ合って。
「じゃあみんな並んでハイポーズ!!」
 鳰がポーズを取れば、ラデュレもそれに倣うようにしてポーズ!
 そしてそんな皆を見て、門番おばけさんがカメラマン役を買って出てくれたから。
 お言葉に甘えて、もう一枚集合写真をぱしゃり!
「後でみんなにも送ってあげるねー!」
 皆がばっちり写っていることを確認すれば――いざ、古城の中へ!
 ハロウィン色に溢れた豪華な城内は広くて、色々なことができるみたいなのだけれど。
 鳰が事前に耳にしていたのは、魔法の古城のひみつ。
「此処の地下には迷宮があるのだそう。お菓子の宝探しへ行ってみませんか?」
 それは、地下迷宮に眠るというお菓子の財宝!
 ムジカも、ぴこんとお耳を立てて。
「地下迷宮! うん! お宝探し! さんせーいっ」
「地下! 迷宮!! 古城に眠るお宝とかロマンあるねー!」
 レントは早速、地下へ続く階段を見つければ。
「ふふ、僕が一番後ろを歩いてあげましょう! 怖い人は真ん中へどうぞどうぞ〜!」
 皆を先に中に促して、殿を買って出て。
「薄暗がりの階段や廊下を進むのは中々の雰囲気! レントさんが殿をつとめて下さるなら私は先頭側に参りましょう」
 一番に足を踏み入れて、皆を先導するのは鳰。
 そして歩む前に、こんなお願いも。
「道を覚えるのは、……何方かにお任せして構いません?」
「迷路だから、ちゃんと道を覚えながらいかないとね」
 ムジカはそうこくりと頷いて返しつつ、改めて地下迷宮内をきょろり。
「それにしても……いまにもお化けさんが飛び出してきそう? ガイコツさんとか、ばーってくるのかな? かな?」
 そんな声に、ラデュレは思わず瞳を瞬かせてしまいながらも、そろり。
「お城の内部はこのようになっているのですね。広くて、薄暗い……」
 ちょっぴり不安げに紡いで、真ん中を歩くけれど。
「夜や闇には慣れているので、僕は薄暗い地下の方が落ち着くかもっ」
 暗い場所の方が得意だという洸惺は頼もしいし。
 皆と一緒なら、こわいよりもきっと楽しいって、そう思うから。
「ちょっぴり、不気味ではありますが。探究心が刺激されてしまいます……!」
 ……あちらもこちらも、気になってしまうのです、と。
 怯まずに、迷宮にゴー!
「宝物、どちらに眠っているのでしょうか」
「おー、ラーレちゃんも意外と冒険家魂持ってるね!?」
 レントはそんな彼女の姿を見れば、そう声を上げるけれど。
 でも、それはラデュレだけではなくて。
「迷宮にお宝探し、とっても好奇心が刺激されちゃうワードですね。えへへ、隅々まで探索し尽くしちゃいましょう!」
「怖がるどころかみんな頼もしい〜!」
 皆、お揃いのわくわくな気持ちです!
 それから、そっと地下迷宮を慎重に進んでいれば、鳰はふと壁を見遣って。
「こういう所は壁などにトラップスイッチがあったりするのですよね」
 例えばこの凹みですとか……なんて、何気にぺたぺた手で探ってみれば。
「あら、このタイルだけ動くわ」
 ズズッと何やら動くタイルを発見!?
 いや、先程、鳰自身が言っていたように、これは――。
「おやおや、鳰ちゃん……それはもしかして触ったらダメなやつ……?」
「鳰さんそれは押しちゃダメなタイプだと思います……!」
 レントと洸惺が、同時にそう口にすれば。
「鳰さま、触れてしまわれたのですね……!」
 ラデュレも瞳を見開いて、異変に気付く。
「……わっ、わわっ。向こうから音が聴こえてきます……!」
「……向こうから何か転がって来る音がするような?」
 鳰も、そっと首を傾けて、耳を澄ましてみれば――ごろんごろんっ。
「カボチャが転がってくる仕掛けかー! あはは、ウケる〜〜!」
「わ、お約束のようにカボチャの群れが転がってきちゃいましたね……!?」
 レントと洸惺が向けた視線の先、こちらに向かって転がってくるのは、沢山の南瓜たち!
 ムジカもお耳をぴこん、南瓜の大群に気が付いて。
「み……? ごろごろ……? ぴゃ~! 転がってくるよー!!」
 というわけで!
「いそいで、にっげろ〜♪」
「はやく逃げましょう……!」
 ムジカの声に頷きつつ、ラデュレも大慌て……!
 レントは逃げながらも転がる南瓜たちを見遣って。
「ジャンプで躱す? それともこっちの細い通路に逃げるー?」
 助かる方法を模索するように口にすれば。
「細い通路に逃げちゃいましょうっ!」
 洸惺が見つけたのは、横道にそれる細い通路!
「洸惺さんの導きで細い通路へ逃げましょうっ!」
 響く鳰の声を耳にしながら、ラデュレも洸惺に続いて細い通路へとすかさず入って。
 ごろんごろんと転がる南瓜をやり過ごせば、ホッと一息。
「南瓜たちと一緒に転がらずに済みました。皆さま、ご無事ですか……?」
「みんな大丈夫かな?」
「はいっ、僕は無事ですよ。ラデュレさんも皆さんもご無事みたいで何よりですっ」
 返ってくるこたえに、さらに安堵して。
 鳰は皆へと詫びを入れる。
「ラーレさんも皆さんも無事? 良かった。うっかりしてごめんなさいね」
 壁のいかにもな仕掛けをぽちっとしたのも、勿論なのだけれど。
 笑みを咲かせながら、こう続ける。
「でも……更にごめんなさい。少し楽しかったです! ふふ」
 ドキドキハラハラ、でもそれが楽しくて。
「……ふふ、安心しました。こういったハプニングも、楽しいですね……!」
「うんうん、こういうハプニングも冒険って感じで楽しいよねー!」
「あははっ。冒険はこうでなくっちゃね」
 鳰だけでなく、皆でわくわく、同じ気持ち。
 そんなびっくりドキドキな仕掛けもあったりしたのだけれど。
 ムジカはふいに、お耳をぴこり。
「……あれ? ここ行き止まりだけど、よく見たら違和感が……?」
 それからそうっと、こんこんっと壁をノックしてみれば。
「この先に道がありそうな気がする」
「……あ、ほんとうなのです。少し音が違うような……?」
「ふふ、ラーレちゃんにも聞こえた?」
 ノック音に耳を澄ましてみたラデュレも、こくりと頷いて。
「ムジカくん、トレジャーハンターみたいじゃん! その発見はもしかしてもしかするのでは〜!?」
「ムジカさん、凄いですっ。ノックと音の響きで道があるかもって分かるなんて……!」
 レントに続いて、洸惺もムジカへと感心したように視線を向けた後。
「スイッチもタイルに紛れていたりして……?」
 そっと慎重に、探してみることに。
 鳰も今度は怪しい仕掛けに注意しながらも、壁へと目を向けて。
「ムジカさん、流石! 冒険者の心得ね。お宝は隠し扉の奥というのが定番ですもの」
「えへへ♪ 探索なら任せてよっ」
 ムジカはえっへん、胸を張りながらも、皆と手分けして道を探すことに。
「スイッチスイッチ……洸惺くん、そっちのタイルはどう〜?」
「うーん、こちらにはなさそうです」
「レントさん、そちらはどうでしょうか?」
「無いなあ、ムジカくんの方かな?」
 レントと洸惺の探しているところには、ないみたいで。
 ラデュレもコンコン、お伺い。
 ……どこかにステキな仕掛けがありますように。
 そう、わくわくでドキドキなステキを、皆で見つけられたらって思うから。
 それから皆でコンコンと壁を探っていれば。
「どこかにスイッチないかなぁ……?」
 ムジカがそう言った刹那――ガコンッ!
 ふと一枚のタイルが沈んだかと思えば、壁がオープン……!
 くるんと隠し扉が開いて、その先に隠し部屋を発見!
 そしてムジカは隠し部屋の中に見つける。
「――あ! 金ぴか宝箱だっ。あれが、きっと目的の宝箱かな!?」
 それから、意気揚々と金ぴか宝箱の蓋を開けてみれば。
「……沢山のお菓子……! みんな~! お宝の山!」
 目的の、いっぱいのお菓子の財宝を発見です!!
 叩く音の違いに耳を澄ましていた鳰も弾む声を聞けば、向けた瞳に美味しそうな財宝を映して。
「……あら! お宝発見、ですね!」
「ムジカさんの方は……わ、すごい! 大当たりですねっ!」
 洸惺は改めて告げる――お菓子のお宝、発見しました! って。
 レントも、お菓子の財宝にテンションもあがっちゃう。
「おおービンゴ! お宝山分けだね〜!」
 山分けしてもたくさんのお菓子があれば、きっと悪戯されそうになっても大丈夫!
 いえ――財宝を無事に持ち帰るまでが、宝探しの冒険です……!?

第2章 冒険 『お菓子なダンジョンを踏破せよ!』


 ハロウィンの魔法がかかった夜を過ごした後も、おかしな魔法はまだ解けない。
 古城の近くに発生したダンジョンはそう、お菓子なダンジョン!
 ダンジョン内に足を踏み入れれば、そこは全てが食べられる、お菓子の森が広がっていて。
 森の中央には、チョコレートがこんこんと湧き出る泉が。
 ジャムの池も色々な味があるみたいだし、ビスケットの木に、マシュマロやプチシューの実やゼリーの果実。オレンジコンフィやキャンディーのお花たちに、七色わたあめの花畑、キノコ型のチョコレートなどの甘いお菓子は勿論。しょっぱい系な、クラッカーの木立やナッツの木の実などもあるから、味変もばっちり。
 他にも美味しいお菓子がいっぱいで、採ってもすぐに魔法で元通りになるから、心置きなく食べ放題!
 飲み物も、お茶やサイダーやジュースの湧き水がそこかしこにあるようだから。
 そんなおかしなお菓子の森で、美味しいものを集めたり、ピクニックしたりも楽しいだろうし。湧き出る泉に採ったお菓子をくるり纏わせて、チョコレートフォンデュをしてもいいし。
 美味しく楽しく、ダンジョンの奥へと進んで欲しいのだけれど。
 でも――ダンジョンの最奥へと続く森の出口で通せんぼしているのは、お菓子の兵隊モンスターたち。
 それに、このお菓子の兵隊たちは不思議なダンジョンのお菓子の魔法に守られていて、ただ攻撃しても倒せないのだという。
 だが、そんなお菓子な兵隊たちを撃退できる方法。
 それは――周囲に落ちているお菓子な武器を使うこと!
 例えば、キャンディーハンマーをぶん回したり、水あめの銃弾でべたべたにして動きを止めたり、飴ちゃんの弾丸を浴びせたり。
 するめソードを振るったり、うまいこん棒などなどでぶん殴れば、やっつけられるというのだ。
 そして倒せば、兵隊たちは魔法が解けて、ただのお菓子に戻るようだから、美味しくいただけるし。
 おなかいっぱいでも、お菓子の森にいる動物さんたちが食べるから、無理に食べなくても大丈夫。
 お菓子な得物で殴ってくる兵隊モンスターを、お菓子武器で返り討ちにして――いざ、最奥への道を美味しく開こう!
 
<マスターより補足>
 お菓子の森のダンジョンの冒険ですが。
 途中でお菓子を摘んで食べる、という行動だけでもOKですし。
 お菓子の兵隊を、お菓子の武器で倒す行動メインでも勿論OKですし。
 どちらも楽しむ! でも当然構いません。
 お菓子の武器は、洋菓子和菓子駄菓子などなどのお菓子だったり。
 アイスの当たり棒とかなど、お菓子に関連したものであれば問いません。
 断章のもの以外でも、お好きなものを装備していただければです!
井碕・靜眞
物部・真宵

 魔法の夜の余韻に浸りながらも、次に訪れたそこは、甘やかな香りが満ちるダンジョン。
 そんなお菓子の森の風景が広がる中を歩きつつも。
「管狐達もおしゃれをしていて、似合ってるね」
 そう井碕・靜眞(蛙鳴・h03451)が告げれば、白い管狐たちは得意気に尻尾をゆうらり。
 そしてそんなやりとりを、物部・真宵(憂宵・h02423)は微笑まし気に見つめながら。
「ヘンゼルとグレーテルになった気分ですね」
「ええ、お菓子の家より規模が大きくて驚きました」
 管狐達を連れて、靜眞と一緒にお菓子の森のお散歩を。
 それからふと靜眞が手を伸ばしてみるのは、マシュマロがなるビスケットの木。
 ビスケットにマシュマロを挟んで、はむりと口にしたのは、以前二人で出かけたグランピングで食べたのを思い出したからで。
 そして真宵がふわり微笑みを零すのも、そんな彼に気付いたから。
 けれど、食べるのは勿論自分だけではなくて。
 今度はちぎった七色わたあめを管狐達へと差し出せば。
 靜眞は、はむりと食いついた白い子たちの様子に、一瞬だけ瞳を瞬かせて。
「……えっと、おいし? ……そっか」
 ふりふりご機嫌に揺れる尻尾に目を細める……育ち盛りなんですかね、なんて。
 真宵も、嬉しそうにわたあめを食べさせてもらっている二匹を見て、淡く微笑む。
「こんな時ばっかり顔を出すんだから」
 それからくるりと、夏の宵を思わせるルールブルーの色を巡らせれば。
 その瞳にもキラキラと甘やかに咲かせる。
「きれいなお花。飴で出来ているのね」
 赤は苺、黄色は檸檬、ピンクは桃かしら、なんて。
 色とりどり、味もとりどりに咲く、キャンディーの花を眺めながら。
 そして煌めく甘い花畑を一緒に見ていた靜眞は、ふいに彼女を手招いて。
「物部さん、こっち」
 ……はぁい、って彼のその手に誘われれば。
「すきそうだな、と思ったから、どうぞ」
「あら、まぁ! 青い薔薇ですね」
 差し出された一輪に、青のいろを重ねて。
「……ふふふ。ありがとうございます」
 甘やかに咲く薔薇の花を受け取れば、しばらく眺めてからそっと、煌めく花びらを食んでみる。
 それからふと、真宵は自分を見つめている靜眞を見上げて――ちいさく舌をちらり。
「わたしの舌、青くなってます?」
 そして楽しそうに笑顔をぱっと咲かせて続ける。
「ふふ。ごめんなさい、はしたなかったですね」
「! い、いえ、そんなことないです」
 靜眞は煌めく甘い花よりも、眼前で咲いた微笑みに目を奪われながらも。
 どき、と跳ねた胸の高鳴りを自覚しながらも、じいと彼女が出した舌を見れば。
「……あ、確かに青くなってます、ね。かき氷のシロップみたいなものだろうか」
 こてりと小さく首を傾けながらも、こう訊ねてみる――おいしいですか? なんて。
 それを聞けば、真宵は大きくこくりと頷いて。
「――ええ、とっても! この古城で食べた中でいちばんですよ」
 だって、彼がくれた一輪なんだもの――真宵にとっては、何よりも甘やかで美味しくて。
 そして、自分では見えない青い舌をそっと引っ込めつつも気が付く。
(「だんだん井碕さんに対して、ふだんの自分を見せることができている気がする」)
 ……幻滅されていないかしら? なんて、ちらっと彼を見つめ思いながら。
 そして靜眞も、彼女に聞こえやしないかそわりとしつつも。
(「……なんだか今日は、いつも以上に心臓が跳ねる」)
 大きく刻む胸の鼓動を誤魔化すかのようにそっと手を添えるも、それは全く悪い気分じゃなくて。
 でも――むに、とこっそりひっぱるのは、自分の頬。
 だって、緩んでいるかもしれない顔を彼女に見られるのは、ちょっと格好がつかない気もするから。

ルミ・マエンパー
サミ・マエンパー
ユリア・ソダンキュラ

 童話の不思議の国のアリスは、時計兎を追いかけて木の根元の大穴へ飛び込んでしまうのだけれど。
「お兄様、ユリア、お菓子のダンジョンがあるそうですわ、3人でピクニックに行きましょう?」
 そうダンジョンへと足を運んだアリス――ルミ・マエンパー(永久の歌姫・h07251)は、共に訪れたふたりをむしろ手招く方。
 そしてそんなルミの言葉に、今日は時計兎姿なサミ・マエンパー(機械仕掛けの凶剣・h07254)は何だか少し予感がしながらも。
「ルミ、お前が言い出すピクニックはろくなことが起きなさそうな気がしてならないが、今回はユリアと一緒だ、3人で出かけるのも悪くないな」
 今回は、兄妹付きのメイドであるユリア・ソダンキュラ(静かなる霹靂・h07381)も一緒だから。
 ルミの言うように、不思議の国ならぬお菓子なダンジョンでピクニックというのもいいかもしれないと思うし。
「仮装推奨のダンジョンですか、3人で出かけるのは初めてのような気もします」
 ユリアはふたりと共にダンジョンへと足を踏み入れつつ続ける。
「サミ様とルミ様が不思議の国のアリスモチーフの仮装なので私はこれにしようかと」
 ルミのアリスとサミの時計兎の衣裳は、今年の南瓜行列の時に着用した思議の国のアリスモチーフの仮装。
 ルミは水色と白のエプロンワンピースに黒のリボンカチューシャという、正統派アリスに。
 サミは赤のクロスタイが映えるフォーマルな装いに、手と頭と尻尾がもふもふな、普段同様ルミも見惚れちゃうイケメン時計兎に。
 だからユリアもふたりに合わせて、今日はチシャ猫に変身。
 ピンクとすみれ色のチシャ猫のカラーリングの、顔だけ出ている猫の着ぐるみを纏って。
 いざ攻略するは、お菓子の森が広がるダンジョン。
 というわけで、ダンジョンを攻略するべく森を行きながらも。
 道中3人はそれぞれ、見つけたお菓子が生る木から、気になったものを色々と採ってみる。
 ルミが詰んでいくのは、彩りも鮮やかな三色団子に、一口サイズのプチシュー、それに可愛いカタチの桃饅頭。
 サミは、和菓子の木の大福餅に手を伸ばした後、サクサクのクラッカー、それにゴマ団子も追加して。
 ユリアが採っていくのは柿の種に、甘いティラミス、香ばしい風味の月餅を。
 そんな和洋中、様々なお菓子をいっぱいピックアップすれば。
 ひと休みするのは、紅茶にコーヒーに緑茶、温かい飲み物が湧く草原。
「ドラゴンファンタジーのダンジョンは何でもありですわね」
 ルミの言葉に、サミも紅茶で一息つきながら頷いて返して。
「何でもあるな、このダンジョン」
 ふたりと休憩しながらユリアはそっと思うのだった。
(「……お二人とも立派になられて」)
 緑茶を口にしつつ、敢えて口には出さないけれど。
 それから不思議の国のアリスのお話のように、3人でお茶会を美味しく楽しんだ後。
 行く手を阻むのは、トランプの兵隊ならぬお菓子の兵隊。
 そんな兵隊達の出現に、サミはすかさず太古の神霊「古龍」】を纏って。
「さぁお遊びはここまでだ」
 傍に落ちてたスティックキャンディを拾えば、強化した速度と攻撃の威力を乗せて殴打! スティックキャンディからサミが繰り出した霊剣術・古龍閃が兵隊達を蹴散らしていく中。
 ――大地に眠る石塊よ、吹き荒ぶ風よ、邪なるものに裁きを!
「この辺りが石ころの多い所で良かったですわ」
 そうルミがお見舞いするのは、大小様々なサイズのサルミアッキの石礫。
 そしてユリアも、レーズンの弾が込められた精霊銃で狙い定めれば。
「ブドウ弾を馳走しましょう」
 容赦なくぐっと引き金をひいて、爆ぜる美味な弾でお菓子の兵隊達を次々と撃ち貫いていきます!

野分・時雨
八卜・邏傳

 古城の迷宮では、何とか本物のお化けにはならないで済んだのだけれど。
 次に足を運んだ迷宮は、甘やかな香りでいっぱい。
「お菓子いっぱい! 菓子菓子ー♪ カワイくって美味そー♡ ジャム池きれーい!」
「ぜんぶ菓子! 菓子! 菓子! すごい胃もたれしそう!」
 ジャムの池にチョコレートの噴水、キャンディーやわたあめのお花畑。
 そう――ここは、お菓子ダンジョン内のおかしな森!
 八卜・邏傳(ハトでなし・h00142)は、そんなお菓子だらけなダンジョンにわくわくするのだけれど。
 確かに、胃もたれしそうなくらい甘いもの尽くしな光景に、共にやって来た野分・時雨(初嵐・h00536)をちらり。
「でも時雨ちゃん甘ない方が良い?」
 お菓子と言えば、甘いものというイメージを抱くが。
「甘すぎない、おツマミ的なのないかな」
「合点☆おつまみね! 乾燥昆布とかかな」
 甘くないおつまみ系のお菓子だって、きっとあるはず……!
 というわけで、きょろりと時雨が所望する甘くないお菓子を探してみる邏傳。
「貝ひもとかも美味しよね」
「貝ひも良いな。ない?」
 おしゃぶり昆布やジャーキーが生る木、のりしおチップスの葉などはあったものの、貝ひもは果たしてあるのか。
 邏傳はとりあえず見つけたおつまみ系お菓子を手にしつつ、引き続き貝ひもを探しながらも。
 手にした昆布やジャーキーをふと見つめてみれば、うずうず。
「こゆのってチョコフォンデュったら如何なるだろ」
 ちらり向けた視線の先にある、チョコフォンデュの泉を見遣って。
 それからふいに、泉の傍にあるカラフルな木が目に留まって、瞳を凝らしてみれば。
「あの木の実、色がきれ……てぇ、ぎゃ! マカロンちゃん!?」
 その木に生っているのは、マカロンの実。
 そしてマカロンを見るやいなや思わず悲鳴をあげた邏傳に、時雨は思い出す。
「あー。前に変なマカロン食べさせちゃいましたもんね」
 ということでひとつ、ひょいと摘まんで。
「ごめんね。お詫びにもういっかい」
 ――はい。あーんしてみましょうね!
 そう笑顔で再び差し出せば。
「ぅ、ぇ。でも時雨ちゃんのあーんには抗えんの」
 ……あーん! と口を開けた邏傳へと、時雨はマカロンを食べさせてあげて。
「ちゃんと食べれてくれる邏傳くんかわい~ね!」
 さてはて、今回のマカロンは何味……!?
 邏傳はあーんされたマカロンをもぐもぐすれば、瞳をぱちり。
「え、時雨ちゃん、このマカロンちゃん……貝ひも味しちょる~! おもしろ〜!!」
 ある意味大当たりかもしれない、まさかの貝ひも味のマカロン!?
 そんなこんなで、お菓子の森をキャッキャふたり歩いていれば。
 急に通せんぼしてきたのは、兵隊さんたち!
「ぇー兵隊ちゃん通してよ!」
「お菓子の兵隊さ~ん。お菓子ならば食べれるのでは?」
「え♡ 美味しん?」
 時雨の言葉に、邏傳は瞳をきらり、改めて兵隊さんを見るけれど。
 ふたりの会話を聞いて、逃亡をはかろうとする兵隊さん?
 けれど勿論――逃げるなら追うべき、と。
「オラ、スルメソード!」
 時雨がぷすっとその辺に落ちていたスルメソードでひと突きすれば、ただのお菓子に戻る兵隊さん。
 そんな兵隊をヤムヤムしてみれば。
「甘すぎなくて良いです。めちゃ味薄い」
 めちゃ薄い味がまた、お口直しに最適。
 そして兵隊さんもなかなか美味しいのだけれど。
「ちーかスルメソード美味しそね」
 邏傳がじいと見つめるのは、時雨の手にあるスルメ。噛めば噛むほど味がしそう。
 でも兵隊さんはまだ通せんぼしているから。
 邏傳も満を持して投擲!
「こうなりゃ。いっけー☆ さっき拾ったおせんべカッター!」
 たまたま拾った、おせんべいを!
 びしびしっと舞うおせんべいが兵隊さんたちを倒していけば、えっへん。
「見てみて時雨ちゃん、俺のフリスビー……でない華麗なおせんべ投げ捌き♡」
 そして、そんな邏傳の投げた得物を見れば。
「おせんべい……あ、塩っぱいのほしい! ほしい!」
 ――追います。全力。負けない。
 おせんべいへと、時雨まっしぐら!
 だが刹那、ふたりはハッと瞳を大きく見開く。
「え、なんで曲がるのぉ……やべ邏傳くん避けてください!」
「てぇ!? こっち戻ってきたぁわあぁ!!」
 ぎゅんっと曲がって、自分達の元へと戻ってくるおせんべいに気づいて。
 ということで――兵隊さんたちを盾に、わあわあ退避です!?

香柄・鳰
彩音・レント
月夜見・洸惺
ラデュレ・ディア
エメ・ムジカ

 ハロウィンの魔法がかかった古城でハラハラドキドキの冒険をした後、次はダンジョン攻略!
 そしてダンジョン内に足を踏み入れれば、ラデュレ・ディア(迷走Fable・h07529)はきょろり。
「甘い香りがします……!」
 そう、このダンジョンは甘いものでいっぱいの。
「次はお菓子の森、なのですね」
「甘い香り……本当に全てお菓子なのね。お伽話のよう」
「これ、全部食べられるってマジ!?」
 香柄・鳰(玉緒御前・h00313)と彩音・レント(響奏絢爛・h00166)も、目の前に広がるお菓子の森にそわり。
「地下の冒険もワクワクしたけど、こっちの冒険も素敵な予感ー!」
「地下迷宮の後はお菓子の森、心躍る冒険は続きます!」
 古城の地下迷宮の冒険も色々と間一髪、ドキドキしたけれど。
「チョコの泉にジャムの池……ビジュアルやばー!」
「どれも食べ放題だなんて夢みたいっ」
 月夜見・洸惺(北極星Navigatoria・h00065)も、レントと同じくチョコの泉にジャムの池、それに沢山のお菓子が生る木を目にすれば、勿論皆と一緒にわくわくしちゃうし。
 エメ・ムジカ(L-Record.・h00583)も甘い香り漂う中、くるりとひと回り。
「見渡すかぎりのお菓子! こんなに幸せな冒険ができるなんて、はっぴー♪」
「あちらもこちらもお菓子だけ……! つい心が踊ってしまうのです」
 ラデュレと顔を見合わせて笑み合えば。
「この森をただ通り過ぎるだけなんて勿体無いよねー!張り切って味見味見〜!」
 レントは早速美味しくいただくべく、何から食べようか吟味し始めることにして。
「これはチョコレートの泉……! つやつやな水面にうっとりしてしまいます」
「お菓子だけじゃなくてお茶の湧き水も……! お茶とお菓子で無限ループができる贅沢がココにっ」
 ラデュレやムジカが見つけた、チョコレートの泉やお茶の湧き水がある方へと足を向けてみれば。
「折角ですし摘まみ食いも」
 鳰がふと摘まんだのは、オレンジコンフィ。
 それをそっと湧き出るチョコの泉に浸して、チョコ纏ったオランジェットを口にしてみれば。
「ほろ苦甘いで良いお味!」
「オランジェット美味しそうだね!」
「鳰さんのオランジェット、とっても美味しそうでっ」
 レントと共に鳰の様子を目にした洸惺も、色々なカットフルーツが生る木に手を伸ばして。
「僕も色んなフルーツをフォンデュしちゃいますねっ」
「いいね! フルーツ! ぼくもいっしょにフルーツチョコしたいっ」
「えへへ、ぜひご一緒に」
 ムジカと一緒にカットフルーツを沢山採って、いざフォンデュ!
 それにフルーツだけでなく、この森の木に生っているのは勿論、様々な種類のお菓子。
「じゃあ僕はマシュマロの実を採って泉でフォンデュしちゃおー!」
「わたくしもカステラを浸してみましょう」
 レントがマシュマロにくるりチョコを纏わせて、はむりと口にしてみる隣で。
 ラデュレもたっぷりと、カステラを覆うようにチョコに浸してみれば。
「まるでチョコレートケーキなのです」
「カステラをチョコケーキに!? 天才か……!」
「ラデュレさんのチョコケーキ風カステラも素敵ですっ」
 カステラがチョコケーキに変身です……!
「レントくんとラーレちゃんのも絶品チョイスで惹かれちゃう……!」
「皆さんの食材も美味しそうで気になります」
 そしてムジカの声に、こくりと頷いた鳰だけれど。
 次の彼のチョイスに思わずそわり。
「ぼくはクラッカーをチョコフォンデュ! ん~♪ しょっぱいと甘いが絶妙においしいっ」
「クラッカー……! 塩味が欲しい所でした。ムジカさん、一枚頂いても?」
「もちろんだよ! 鳰ちゃんも一枚どーぞ!」
「あましょっぱい味は悪魔の味! 止まらなくなるのわかるー!」
 甘酸っぱくなった口を、レントの言うようにあましょっぱいチョコがけクラッカーで味変!
「皆さまのものも美味しそう……!」
 ラデュレもケーキの次は、フルーツをチョコの泉に浸してみて。
「オランジェットにマシュマロ、クラッカー。味わいも食感も、それぞれに異なりますね」
 はむりと口にすれば、色々な美味しさにほわりと笑み零しちゃう。
 そして喉を潤しに足を向けるのは、しゅわしゅわサイダーの滝。
 鳰はそっと掌で掬って飲んでみながらも、悪戯っぽく瞳を細める。
 ……炭酸水を手で掬うなんて悪い事をしている気分、なんて。
 それから、しゅわり弾ける水面を見つめれば、洸惺はすいっと泳ぐ魚を見つけるも。
「サイダーの湖で若鮎やたい焼きも見ましたっ」
「湖にたい焼き!?」
 泳いでいるのは……若鮎にたい焼き!?
 鳰もぱちりと瞳を瞬かせた後、湖面を見遣って指さして。
「鯛焼きに若鮎が? 洸惺さんがんばって、其方にいますよ!」
「うわ、本当に泳いでる〜……食べられるのかな?」
 たい焼きの皮とかふにゃっとしてやいないかと、そっと湖を覗いてみるレント。
 そんなふたりの声に、洸惺もばっちり若鮎やたい焼きの姿を確認すれば。
「わ、居ましたね! 捕まえられるかな?」
 まずは、たい焼きに向けて――黒文字でえいや!
 そっと食べてみれば、不思議な魔法がかかっているのか、ちゃんと皮もぱりぱりで美味しいです!
 それから次は、若鮎にも狙いを定めて……再び、えいっ!
「わ、抜けなくなっちゃった!?」
「み? 洸惺くん、大丈夫?いっしょに引っこ抜いてあげる!」
「ムジカさん、ご協力ありがとうございますっ。これで抜けるかな?」
 一時は黒文字が抜けないかとひやりとした洸惺だけれど。
 ムジカに手伝って貰えば、無事にすぽっと抜けました、ええ。
 そんな、美味しいひとときを皆でわいわい過ごしながら、お菓子の森の冒険を楽しんでいれば。
 ふいに、通せんぼするように目の前に現れたのは――。
「彼らが兵隊達かしら」
「――わっ、お菓子の兵隊さん!」
「兵隊さん達が来たね~!」
 そう、お菓子の兵隊さん達。
 この兵隊さん達は、聞いた話によれば、普通の武器では倒せないようだけれど。
 洸惺はそんな兵隊さんを見た後、ぐるりと周囲を見回して。
「兵隊さんも武器もお菓子だなんて、とっても不思議っ」
「次へと向かうためにも、わたくしも尽力をするのです」
 ラデュレがすちゃりと手にしてみるのは。
「わたくしの武器はキャンディーガン、ですよ!」
 飴玉の銃弾がこめられた、二丁のキャンディーガン!
 そして……二丁拳銃、ちょっぴり憧れだったのです、なんて紡ぐラデュレのその姿を見れば。
「ふふ……ラーレさんの二丁拳銃姿、決まってますね」
 ほわり微笑ましくなりつつも、続いて鳰が選んだお菓子な武器はこれ!
「硬いと有名な氷菓の威力をご覧あれ」
 しゃきんっと構えるのは、氷菓が生る木から手にした小豆氷菓バーの刀!
 レントも周囲に落ちている色々な武器を眺めてみながら。
「武器もお菓子って可愛いじゃん」
 ――僕はこれ! って。
 手にしたのは、木の枝……? いいえ!
「木の枝だと思ったらチュロスの銃だったってワケ! 弾はマーブルチョコ〜!」
「レントさんのチュロスの銃、すごく格好良いですねっ。様になってますっ!」
 星型の長い銃身が格好良い、カラフルなチョコの弾丸を発射するチュロス銃!
 洸惺はそんなレントの姿にそう紡ぎつつ、ふと自分が手にしている黒文字を見て気づく。
「この若鮎付き黒文字、大鎌として使えちゃうかもっ?」
「ぼくは……カラフルキャンディーハンマーを! ごーかいにポコンとしちゃうぞ★」
 ムジカも、甘くて大きい七色ハンマーをよいしょっと担げば。
「みんな、お菓子の武器が似合ってるねっ。可愛い!」
 頼もしいお菓子武器を装備した皆の姿にぴょこり、はしゃいじゃう。
 というわけで!
「さてさて、みんなも兵隊さんも準備はオッケー?」
「準備おっけ~! 任せてよっ」
「僕も準備オッケーです」
 レントの声に、ムジカと洸惺が頷けば。
 鳰とラデュレも、とてとてと迫るお菓子の兵隊さんへと改めて目を向けて。
「ええレントさん、準備は万端です。参りましょう!」
「では、お覚悟を……!」
 行く手を阻む兵隊さんを倒すべくいざ、お菓子な武器を思い切りふるっちゃいます!

小夜雀・小鈴
剣崎・スバル
ボーギー・ウェイトリー
アリエル・スチュアート

 魔法の古城で、ハロウィンなひとときを目一杯堪能したけれど。
 まだまだ、不思議な冒険はこれからが本番。
 ということで、古城の近くに発生したというダンジョンへと足を踏み入れれば。
 小夜雀・小鈴(雀風招き・h07247)は瞳をキラキラ、周囲をくるりと見れば思わず声を上げちゃう。
「お菓子が沢山なのです! すごいのです! 色とりどりなのです!」
 そう――やって来たここは、お菓子尽くしのダンジョン!
 ダンジョン内にあるお菓子の森を抜けて、最奥を目指す冒険のはじまり――なのだけれど。
「ここまで平和的なダンジョンも何と言うか珍しいわよね。落花生のダンジョンとは別の意味で」
 アリエル・スチュアート(片赤翼の若き女公爵・h00868)は、モンスター退治するダンジョン探索というよりは、童話のようなほのぼのとした雰囲気を眺めつつもそう口にする。
 ダンジョンの内部は多種多彩。そう、このようなお菓子ダンジョンだったり、以前赴いた落花生のダンジョンだったり。
 いえ、ある意味落花生も、広義的に見れば、お菓子かもしれません……?
 そして剣崎・スバル(気弱な機械剣使いドラゴンスレイヤー・h02909)も皆とお菓子の森を歩きながら、改めて紡ぎ落とす。
「わぁ……すごい。これ全部お菓子なんですね」
 森にずらりと並ぶ木々もお菓子、生っている実もお菓子。
 湧き出でる泉はチョコレート、ジャムの池に、キャンディーやわたあめのお花畑などなど。
 どこをどう見ても、スバルの言うように、全部お菓子なのである。
 ボーギー・ウェイトリー(少年少女妄想・h04521)も、そんなお菓子だらけな森を行きつつ口にする。
「誰かが言ったー……この世には食べても尽きぬお菓子の世界があるとー……」
 お菓子の家ならぬお菓子の世界とは贅沢なー……、なんて。
 そして小鈴は、たくさん生っているお菓子の数々を見つめながら、首を小さく傾けて紡ぐ。
「妖怪の村の子どもたちにも持って帰ることにしていいでしょうか?」
 お菓子はいっぱいあるし、持ち帰れそうなものをお土産にすることも可能そうであるから。
 小鈴が手を伸ばして採っていくのは、持ち帰れそうな洋風のお菓子を中心に。
 洋風のお菓子は珍しいから、自分より幼い子が喜ぶようなお菓子を選んでは、葛籠に入れていくのだけれど。
「あ、あまり沢山は取らないですよ? みんなで楽しくいただけるだけです」
 魔法で採ってもすぐにまた実るようではあるが、おなかに入る量も持てる量も限られているから。
 お土産の分と……皆と分け合いながら過ごすのです、と。
 一緒にお菓子の森をゆく皆とも、交換こできるくらいの量にしておくことに。
 スバルも、ふと木に生っている果物へと手を伸ばしてみるけれど。
 それも勿論、果実は果実でも。
「あ、この果物は飴ですね……不思議な森ですね。ん、おいしいです」
 様々な色や味をした、キャンディーなのです。
 それをぱくりとひとつ口にすれば、甘くて美味しい味わいが口の中に広がって。
 小鈴が採ったお菓子と森に生っていて拾ったお菓子を交換しながらも、森の奥へと目指して皆と歩いて。
 アリエルも……所々のお菓子は試しに色々と味わってみましょうか、と。
「フェアリーズ達、手分けして皆の分のお菓子を集めて来てくれない?」
 皆と採ったお菓子を分け合いこしつつも、フェアリーズレギオンの妖精達にもお菓子を採ってもらう……のだけれど。
 そんなアリエルへと声を向けるのは、フェアリーズリーダーのティターニア。
『あのー、公爵。チョコとか飴でべとべとになってる子がいるんで、拭いて貰えませんかね!?』
 ぱたぱたと妖精のもののような羽を羽搏かせるフェアリーズ達を見れば、確かにお菓子でべとべとになっている子が。
 そしてそう言われたアリエルは、こうティターニアへと返すのだった。
「……そのまま皆に舐めてもらえば?」
 フェアリーズ達も、甘いお菓子になっちゃいました……?
 そしてボーギーは、妖怪の村の子どもたちにとお菓子を摘んでいる小鈴や皆の様子を見つつも思う。
「子供特効待ったなしですねこれはー……悪い子も良い子もみんな仲良しー……」
 そんな世界はある意味素敵かもしれませんねー……、なんて。
 でも――これから遊ぶのは、子供ではなくて。
「ですがー……ふふふー……これだけは譲れませんー……」
 ふと、そうちゃきっとボーギーが手にするのは、キャンディナイフ。
 全ての指の隙間に挟んで――必殺キャンディ8刀流!
 そしてそれを、かぎ爪の様にすれば。
「……これこそがトリックですー……」
 すかさず|殴りかかる《トリックする》のは、通せんぼしにやって来たお菓子の兵隊さん!
「敵を引き付けます……!」
 スバルも、クラッカーで出来た大盾で確りと護りを固め、タンクを担って。
 クラッカーシールドで兵隊の攻撃を防げば、クラッカーバッシュ!
 敵の体勢を大きく崩して、味方をサポート。
 アリエルも立ちはだかる兵隊を退治するべく、大きいシュガースティックを手にすれば。
 魔導槍の要領で繰り出しては、敵の撃破を目指す。
 それから――ついでに。
「お菓子でべとべとになったフェアリーズも体当たりすれば効果あるんじゃないかしら?」
 お菓子の武器しかお菓子の兵隊には効かないらしいから、お菓子まみれになったフェアリーズもきっと効果あり……!?
 敢えて拭かなかったのは、この作戦のため……かも?
 そして甘いフェアリーズ達が舞い飛ぶ中、小鈴がおもむろに手にするのは、特大キャンディハンマー。
 その表情をよく見れば……青筋を立てて若干キレています!?
 いや、だってこんな美味しくて穏やかな時間を邪魔されたのですから!
 頑張りすぎて筋肉痛に後でなったって気にせず、思いっきり特大キャンディハンマーをぶん回します!
 そんな怒りの一撃を振るうキレ気味な小鈴は、普段の家庭的で控えめな様子はどこへやら……こわい。
 けれど全てお菓子の兵隊を皆とともにやっつければ、いつものような笑顔に戻って。
「ティターニアさんにもハッピーハロウィンなのですよー」
 可愛らしいハロウィンに似合う赤のカチューシャを、ティターニアにも差し出して。
「あら、小鈴ちゃんからプレゼント?」
 早速つけてカチューシャをすちゃっとつけて貰ったティターニアに、アリエルはそう紡ぎ落とすけれど。
 ティターニアは小鈴へと礼を告げつつ、こんなお願いを。
『小夜雀様、ありがとうございます、ついでに拭いてあげてください!』
「あ、そうなのです!?」
 そう言われて小鈴がフェアリー達を見れば……確かにべたべたです!
 それからスバルは、食べきれなかったお菓子とクラッカーの盾を手渡す。
「せ、戦闘に使ったからほぐれて食べやすくなっている……かも」
 嬉々と寄ってきた森の動物さん達にも分けてあげて。
 そしてボーギーは改めて、皆と再びお菓子を味わいつつも思うのだった。
「……しかしー。こんな、本当におかしなお菓子の戦争であったならば、ほんとになんとも不思議で、誰も傷付かない戦争ですね」
 あり得ないとはわかっていても――本当に、甘い夢です、なんて。

セレネ・デルフィ
マリー・エルデフェイ
ララ・キルシュネーテ

 魔法の古城で過ごしたハロウィンな夜も、とても楽しくて。
 でも、まだまだ楽しくて美味しい魔法は続いているみたい。
 マリー・エルデフェイ(静穏の祈り手・h03135)は古城をあとにしつつ、次の目的地へと出発!
「楽しい夜が明けたら次はお菓子のダンジョンですね!」
 そう、向かうはダンジョン。しかも、お菓子だらけのダンジョンだと聞いていたけれど。
「わ、すごい……本当にお菓子だらけ、ですね。なんだか夢のよう……」
 実際に足を踏み入れれば、まるで童話の中に入りこんだような風景が。
 セレネ・デルフィ(泡沫の空・h03434)は、見渡す限りお菓子尽くしな森の光景にわくわく視線を巡らせて。
 マリーもこくりと頷いて返すのだけれど。
「見渡す限りお菓子だらけで目移りしちゃいますね」
「むふふ、お菓子のダンジョンだなんて滾るわ……ララ、このダンジョンに住もうかしら?」
 そう紡いで笑むララ・キルシュネーテ(白虹迦楼羅・h00189)の言葉を聞けば、彼女へと思わず見開いた目を向けてしまうけれど。
「冗談よ。たくさんのお菓子を集めましょうね」
 ダンジョンは攻略しないといけないのは勿論わかっていて、住むことは残念ながらできないものの。
 だからこそ、いっぱいお菓子を集めます!
 そんなララに、マリーは目を向けて。
「ララさんはチョコフォンデュがしたいんですか?」
 彼女がそう言っていたことを思い出せば、早速見つけた甘やかな泉を指し示す。
「それでしたら、あそこにチョコの泉があるので、そこにお菓子を集めて、チョコフォンデュパーティーをしましょう!」
 そんなマリーの声に、ララは赤に咲く花一華の眸を細めて紡いで返す。
「あらマリー! さっそくララのほしいものをみつけてくれたのね。いいこだわ」
 ……チョコの泉、探してたのよ、と。
「チョコフォンデュパーティーなんてときめくわ」
「チョコの湧く泉なんて、わくわくしてしまいます、ね」
 セレネもふたりと共に森をゆきながらも、その心の内は勿論やる気十分。
 たくさんお菓子を集めに行きましょう、と視線を巡らせれば、刹那ぱちりと瞬かせる。
「……! すごい、マドレーヌやクッキー……ドーナツまで生えています……! あ、あっちはプレッツェルまで……本当にすごい……」
 まさに、森全部がお菓子でできていて。
 種類も数も、目移りしちゃうくらいにこれでもかと沢山で。
 それからわくわく、セレネはいつも食いしん坊なララへとこう申し出れば。
「ララさんはどれが食べたいですか? ……木の上に成っているものは、私がとりましょうか……?」
「セレネ、頼もしいわ。ララは全部食べたいの。高いところのお菓子も余さず収穫できそうね」
 ララは早速、気になるものを次々と告げてゆくし。
「ふふ、例えばあの……クッキーの実とか。マシュマロにグミに、プレッツェル。あらこれは、プチシューの実?」
 セレネはひとつずつ確認しながらも、ほわり笑みを湛えれば。
「ふふ、任せてください」
 瞳に常に映る空へと、翼をばさり羽搏かせて。
 ララの要望通り、高い所になっているものも全部、お菓子を収穫しちゃいます。
 そしてララはその腕いっぱいにぎゅうと山盛りにお菓子を抱えながら……たまに摘まんだそれを、はむり。
 つまみ食い……いえ、味見なのです!
 湧き出すジュースもしっかり汲めば、準備もばっちり。
 マリーも、マシュマロの実にグミの実、フルーツゼリーの実を集めつつ。
 甘い口をさっぱりできるように、飲み物も忘れずに。
 湧き出ているという紅茶やジュースを汲んで、今回のパーティー会場となるチョコの泉へ。
 それから全員集まれば。
「お二人はどんなものを取ってきたんですか?」
 そうマリーは訊ねるも、テーブルに採って来たものがずらり並べられれば。
「どれも美味しそうですね! 私は飲み物も汲んできました」
「マリーさんは飲み物の用意もしてくださったんですね。ありがとうございます……!」
「マリーもセレネもたくさんつんできたのね」
 ララはそう嬉々とした彩りの花眸を改めて巡らせてから。
「それじゃあ、さっそく……チョコフォンデュパーティーしましょうか!」
 いざお待ちかね、チョコフォンデュパーティーのはじまりです!
「セレネさんとララさんは何が飲みたいですか?」
「では……私は、紅茶があれば。お願いできたら嬉しい、です」
 セレネは淹れてもらった紅茶にほこほこしながらも、そっと収穫したお菓子をチョコに浸して――はむり。
 ひとつ食べてみれば、ふわりと微笑んじゃう。
「……! ふふ、とても美味しい、です」
 魔法みたいに口の中に広がるのはそう、甘くて美味しい幸せいっぱいの味。

ステラ・ラパン
破場・美禰子

 魔法の古城の近くに発生したというダンジョン。
 ハロウィンの愉快な夜が明ければ次は、いざダンジョン攻略へ!
 そして足を踏み入れたダンジョン内の森の光景を、ステラ・ラパン(星の兎・h03246)はくるりと見回して。
 長いお耳も、思わずぴこり。
「わあ、これは壮観だ」
 そう、このダンジョンは、どこ見ても駄菓子菓子――お菓子なダンジョンで。
 そんなお菓子尽くしな森は、心がうきうきと弾む……かと、思いきや。
 破場・美禰子(駄菓子屋BAR店主・h00437)は肩を竦めつつ、こう言わずにいられない。
「オイオイ、こんなダンジョンが出てきたらアタシらは商売上がったりだよ!」
 無料でどうぞいくらでもお菓子を食べてください! なんてされれば。
 街の片隅にある駄菓子屋Barの店主である美禰子にとっては、たまったものじゃない。
 そしてそんな声を聞けば、ステラは大きく頷きつつも可笑しくて。
「あははっ、確かに!」
「早々にお帰り頂かないとな。協力しとくれ、ステラ」
 そう要請があれば――打倒商売敵!
 駄菓子屋の常連として、勿論美禰子に手を貸します!
 とはいえ、お菓子尽くしな森が心躍ることには、違いなくて。
「でもさ折角だもの楽しまなくちゃ。敵情視察だよ美禰子」
 ……イイものは取り込むも商売だろう? なんて。
 ぱちりと片目を弾いてみせれば。
「ううむ、そりゃ正論。こんな世界で焦ってるのも無粋だね」
 美禰子もそわりと心に湧く気持ちには、正直完全には抗えなくて。
「それにマーブルチョコの花畑だの、お子様用ビールの湧き水だの。悔しいかなお菓子の森ッてのは……楽しいなァ……」
「イイね、駄菓子の花畑から菓子を選ぶのも楽しそう。お子様ビールの湧き水もゲームめいて浪漫だね」
 ステラがそう頷いて返せば、折角だから確りと敵情視察。
「こンな商品陳列もアリかもね」
 帰ったら早速参考にしてみるのもあり、なんて美禰子が思って眺めていれば。
「あ、みて! あの蝶の羽根ハートのパイ菓子だ。チョコ付きの子もいるよ」
「へえ、蝶まで」
 ひらり飛んできたハートパイの蝶々たちに美禰子が指伸ばせば、ちょこりと止まったから。
 はむりといただいて、味わってみれば。
「お、確りサクッとして美味しいわ」
 すごくサクサクで、とても美味です。
 それから、楽しく美味しく商売敵なダンジョンを視察していれば。
「おや、来たね」
「オヤ敵さんお出でなすった。もう少し後でも構わないのに」
 つい本音が漏れる美禰子だけれど、現れた敵もサクサク美味しそう……?
「この敵も倒したら食べれるんだっけ? どんなお菓子になるのかな」
 そしてステラがそうじいと通せんぼしてくる兵隊さん達を見遣っている間に。
 美禰子はその辺に転がっていた岩煎餅を手にすれば――えいやと投擲!
「コイツは硬いよ、老人は要注意のブツだ」
 古城でステラと繰り広げた枕投げの激闘で、肩も温まって絶好調!
「あははっ流石イイ投げっぷり!」
 そしてステラも、しゃきんっと。
「拾ったマーブルチョコ弾の銃でお相手だ」
 甘い銃弾が飛び出す得物を構えれば、飛び道具で挟み打ち!
 それに兵隊が美禰子の投げた岩煎餅を躱したって、問題なし。
「ナイスバッティングだ、ステラ」
「ふふん、余所見厳禁油断大敵だよ」
 拾ったチョコバットをぶんっと振って、ステラが打ち返してやります!
 そんなふたりの息は勿論ピッタリ。
 だって、覗く爪は猫と兎のお揃いなのだから。
「今度は連携プレーといこうじゃないか!」
 振りかぶって投擲する岩煎餅と撃ち出すマーブルチョコ弾で、兵隊たちをどんどん蹴散らしていきます!

エアリィ・ウィンディア
マルル・ポポポワール

 魔法の古城で過ごしたひとときの余韻に浸りながら、ふたり思いだすのは舞踏会の一幕。
「エアちゃんのダンス、可愛くてお上手でした!」
「ルルちゃんのエスコートが良かったからっ!ドキドキだけど楽しかったー♪」
 ふたりで一緒になのは勿論、みんなでくるくる風のように踊ったひととき。
 そんなダンスはとても楽しかったから、エアリィ・ウィンディア(精霊の娘・h00277)とマルル・ポポポワール(Maidrica・h07719)は、微笑み合いながらも約束。
「また一緒に踊りましょうね」
「うん、また一緒におどろっ!」
 そしてお喋りしながらも足を踏み入れたのは。
「さて、やってきましたねお菓子なダンジョン」
 マルルの言うように、お菓子だらけのダンジョン!
 そんなダンジョンをふたりで一緒に攻略するとなれば、どきどきわくわく。
「冒険者としてもワクワクが止まりません!」
 ――いざ、まいりましょう!
 そうきりりと気合も十分、足取り軽く、甘やかな香り漂う森を並んで歩きだす。
 そして一緒に仲良く歌いながら、お菓子なダンジョンを探索していれば。
「あ、これおいしそう……」
「本当に全部食べられるんですね」
「グミとかチョコとかをつまみ食いしながら進もーっ!」
 途中、木になっていたグミやチョコをぱくりっ。
 こっちは苺味です、そっちも美味しそう! なんて。
 少しずつ摘まみ食いの分けっこをしながら、美味しくて甘いお菓子の森を進んでいく。
 それからマルルが道中でふと見つけたのは――人参のような袋に入ったポン菓子の剣と板チョコの盾。
 そしてそれを、そっと拾ってみつつも。
(「先程のダンスで少しエスコートもしましたし……」)
 マルルはお菓子な武器を装備して、しゃきんっ!
「ふふふ、エアリィ姫ここからは騎士マルルが姫をお守りします!」
「えっ、姫ってっ!?」
「いつも後ろで守られてばかりなので、今だけは私が前に出て戦います!」
 そうマルルが声高らかに紡いだ刹那、通せんぼするように現れたのは、お菓子の兵隊さんたち。
 エアリィはそんな思わぬ申し出に一瞬驚いて、つぶらな瞳をぱちりとさせたのだけれど。
「……ふふ、それじゃ騎士マルル、エスコートをお願いするね」
 ここは、騎士にお任せ!
 ということでマルルはお菓子の兵隊に向けて、へっぴり腰ながらもポコポコポコ!
 姫を守るため、お菓子な兵隊へと頑張ってポコポコしていれば。
(「ぽこぽこにんじんソードで叩いているルルちゃんがかわいいなー」)
 騎士マルルに守られつつ、そうほっこり眺めるエアリィ姫だけれど。
 でも、守られているけど――守られているけど……。
 そわりとして何だか落ち着かないお姫様……?
 そう、だって、エアリィ姫は。
「ま、守られているだけは性に合わないかも……」
 ということで、足元に落ちていたうまいこん棒を手に取って――突撃っ!
 思いっ切り上から振りかぶって兵隊さんの頭を、ぱこーんっ!
「あ、姫!?」
 そんな姫の参戦に、騎士マルルは思わず驚いて声を上げるけれど。
「お転婆って言われても、これがあたしだよっ!」
「ふふ、でもその方が姫らしいですね!」
 これからは、お転婆姫様と騎士で一緒に、兵隊をポコポコぱこーんっ。
 仲良く共闘して、お菓子の武器で次々と敵を蹴散らしていきます!

空廼・皓
白椛・氷菜

 お揃いの小悪魔で、古城探検や舞踏会を楽しんだ夜。
 けれどハロウィンの魔法は、まだまだ解けてはいないよう。
 だって、空廼・皓(春の歌・h04840)の目は心なしかキラキラ、しっぽは分かりやすくぶんぶん。
「ふおお……おかしの森、だ……!」
「お菓子の森って童話では見るけど……凄いわね」
 白椛・氷菜(雪涙・h04711)も物珍しそうに、周囲をくるりと見回しつつ。
 ふたりがやって来たのはそう――お菓子なダンジョン。
 ダンジョン内は、全てがお菓子でできた森が広がっていて。
 きょろきょろ視線を巡らせながら歩いていた皓は、お耳をぴこり。
「あの花畑虹色、だね……?」
「……花、畑? 何か……カラフルね」
「何だろう……ふわふわ」
「お菓子とは思うけど……」
 氷菜も、じいと皓が見つめる先を一緒に見遣りながら。
 その虹色ふわふわなお花畑に近づいてみれば。
「……わたあめ?」
 咲いているのは、まんまるふわふわでレインボーなわたあめの花。
 そして皓はそれをぶちっと取って――ぱくり。
 ……おお、と氷菜は思わず、晧の豪快さに拍手してしまうも。
「んっ甘くておいしい」
 しっぽをゆらゆらさせる彼を見れば、同時に何事も無くて、ほっと安堵して。
「氷菜も食べよう」
 すぐにぽわんと咲いた七色わたあめを取って、皓が手渡しすれば。
 氷菜もそれを受け取って――同じように、ぱくり。
「……うん、わたあめね」
 しゅわりと口の中で溶ける感覚と同時に、甘やかで美味しい味がふわり。
 それから、虹色わたあめのお花畑の次に見つけたのは。
「あそこがチョコの泉、かな」
「チョコの泉……実際に流れるとこんな感じなのね」
 こんこんと湧き出ているチョコレートの泉。
 そんな甘い香り漂う中、皓はこんな提案を。
「氷菜氷菜。チョコ付けるおかし取って、ほとりで休憩しよ」
「うん、付けるお菓子探しに行こう」
 氷菜も頷いて返しつつ、改めてお菓子の森を見渡せば思う。
「……沢山あるから、迷いそう」
 何せ、この森は全てお菓子でできているのだから。
 ということで、皓がまずふたつ取ったのは、ビスケットの木。
「あっちはクラッカーの木立、だ。これも」
「ビスケットの木に、プチシューの実も良いわね」
「プチシュー俺も」
 クラッカーの木立も手にしてから、皓は氷菜が採ったプチシューも追加で加えて。
 それから皓がふと気になったお花は。
「あの花丸い……」
 くるっとまあるい、甘い花。
 その花を見れば、皓はそわり。
「氷菜これ……ロールケーキ。チョコ付けないかもだけど食べたい」
「ん? ロールケーキも持っていって良いわよ」
「あの木は……バームクーヘン! 切ってこ」
「あ、バームクーヘン、私も。あと、ナッツの木の実」
 チョコに浸けるものも、つけないものも、気になったものをふたりで沢山採っていく。
 そして、もう手もいっぱいに塞がってきたから。
「そろそろ戻る?」
「そうね、そろそろ戻ろう」
 それぞれ、サイダーとオレンジジュースの湧き水を汲んでから。
 チョコの泉のところに戻って来れば。
「じゃあフォンデュパーティー始めよ」
 取ってきたものを並べて、お待ちかねのフォンデュパーティー!
 皓はわくわく、まずはビスケットでチョコを掬って――ぱくっ。
 氷菜も一緒にビスケットにチョコを潜らせて――はむっ。
「んんっおいしい!!」
「……ん、美味しい」
 ふたり顔を見合わせて、こくりと頷き合う。
 だって、たっぷりチョコを纏ったビスケットがとても美味しくて。
 それからゴキゲンに揺れるしっぽを目にしつつ、氷菜は皓と一緒にその手を伸ばす。
 お菓子でいっぱいなテーブルの上を改めて見回しながら……他にもあるから、色々楽しめるね、って。

氷薙月・静琉
櫻・舞

 ハロウィンという行事は、魔法の古城の時も思ったように知っている、のだけれど。
 氷薙月・静琉 (想雪・h04167)は足を踏み入れたダンジョンに視線を巡らせつつも、小さく首を傾ける。
「こういうの……菓子狩り、と言うんだろうか?」
 全てお菓子でできているのだという、ダンジョン内のお菓子な森の光景に。
 そんな耳に届いた声に、櫻・舞(桃櫻・h07474)はきょとりとするも。
「菓子狩りですか?」
 静琉はそっと瞳を細めつつも続ける。
「ハロウィンならでは、だな」
 ――ちょっと愉快……だ、なんて。
 そして舞も彼の声に、こくりと頷いて返して。
「確かに紅葉狩りは聞きますが、それと同じくらいとても楽しい気持ちになりますね」
「舞は紅葉狩りもまだだもんな。近いうちに行こう」
 深まる秋の約束を、もうひとつ。
 それから舞は、森の風景を眺めながらふわり笑み咲かせる。
(「甘い馨、甘い光景。見渡す限りの魅惑の世界」)
 そんな世界は、歩くだけでも心躍るから。
 そして静琉も見渡す限り甘味の景色に、とある御伽噺を思い出す。
「お菓子の家……もありそうだ」
 それを聞けば、舞はいっそうぱっと笑み輝かせて。
「お菓子の家!! それは見てみたいです!」
 はしゃぐように舞が告げれば、静琉はふと思うのだった。
「……こんな時代が俺にもあった、な」
「ほわ? 昔の静琉様会ってみたかったです」
 すぐ隣に在る、きらきら無垢な彩眸の舞を見て。
 それからふたり甘やかな空気の森を歩いていれば、ふいに舞は見つける。
「苺みるく飴が果実の様に樹になってますね?」
 そして苺みるく飴の樹を発見すれば、静琉はそっとその実を摘んで。
 はむりとひとつ、食んでみて。
「美味しいですか?」
「ん……優しい甘さだ。舞も食べるか?」
 自分を見つめる舞にも、ひとつ。
「ほわぁ、私に?」
 静琉に差し出されれば、飴とお揃いの苺ミルク色に頬を染めつつも舞は口を開けて。
(「……小鳥みたいだ」)
 静琉はそう密かに思いながらも、小さな唇へ飴を運べば。
 刹那、ころんとミルキーな甘さが舌の上に転がって、口の中に優しくふわりと広がる。
 それからお菓子の森の奥へと向かっていれば――ふたりの前で、通せんぼ。
「あれがお菓子の兵隊か」
「お菓子の兵隊さん可愛らしいですね。攻撃するのは躊躇ってしまいますが……」
「普段なら食べ物を粗末にする様で気が引けるが。今日は特別、だな」
 あの兵隊さんに退いてもらわなければ、この先には進めそうにないし。
 相手は魔法で兵隊にされたお菓子で、ちゃんと倒してお菓子に戻せば食べられるという話で。
 しかも、お菓子の武器しか通用しない相手だと聞いているから。
 静琉はころんころりと手毬飴を撒き罠として、風の神霊の力にて降らせるのは、芋けんぴの雨!
「……ダメージあるのか? これ」
 思わずそう首を傾げてしまうも。
「芋けんぴの雨……ふふっ、可愛らしい攻撃です」
「まぁ……戦闘経験の浅い舞に危険が少ないのは安心、だな」
「はい、私にも安全ですね」
 お菓子な相手ならば、安全に戦えそうだから。
 近くにあった武器を、舞もすちゃっと手にしてみて。
「えっと……ぴこぴこはんまー飴?」
 ――すみません!
 そう言いながらも、ぴこんっ。
 それから攻撃した兵隊さんをそっと見てみれば。
「静琉様! お菓子に戻ってます!」
 魔法が解けてこてんと倒れた兵隊さんは、美味しそうなビスケットに。
 そして、立ち塞がる兵隊さんたちを次々とお菓子に戻して。
 降らせた芋けんぴや、振るったぴこぴこはんまー飴も一緒に。
「変身の解けた菓子達も大事に頂こう」
「はい、大事に食べましょう」
 ふたり手を合わせて、きっちり美味しくいただきます。

ジズ・スコープ

 魔法の古城では、ハロウィンな美味しいものを沢山堪能したのだけれど。
 美味な魔法は、まだまだ解けていない。
 だって、尻尾もゆらりら、ジズ・スコープ(野良|古代語魔術師《ブラックウィザード》・h01556)がくるりと見回すのは。
「なんと素敵なダンジョンなのでしょうか。もう、ここ以外の全てのダンジョンがお菓子であれば最高なのですが……」
 お菓子なダンジョンの、お菓子な森!
 木も花も泉などなども全部お菓子でできている、童話のような森。
 そしてここを通り向けないとダンジョンを攻略するために目指す最奥へとは進めないみたいだから。
 ジズは甘やかな香りがする森をゆきながらも。
 道すがら、気になるお菓子があれば手を伸ばして収穫しては。
「いただきます!」
 ――はぐはぐもぐもぐ……ごくん!!
 チョコの泉にくぐらせたビスケットやマシュマロも、カラフルなグミの実も、味変に摘まんだしょっぱい系のクラッカーなどなども全部。
「こ、これは…………お持ち帰り出来るのでしょうか……?」
 食べるたびに尻尾も大きく揺れちゃうほど――美味しい!
「え、甘い物好きな友人へ持ち帰りたいのですが!?」
 お持ち帰りも、無理ないものや量ならばきっと大丈夫そうだから。
 早速ぱくりと味見しつつ、美味しかったものをお土産用にも収穫して。
 ……きっと、喜んで頂けるに違いありません、とほくほく。
 そしてそうこう奥の方までうきうき歩いていれば……通せんぼしてくるのは、兵隊さんたち。
 けれどジズが、しゃきーん! と。
「私が装備致しますのは勿論! こちら!!」
 その手に握るお菓子な得物は、そう――わ た が し !!
 しかも、七色まんまるふわふわな普通のわたあめではなくて。
「ぱちぱちで御座います!」
 それに!
「なんと、棒部分も、クッキーで食べれるので御座います」
 ――素敵ですね!! とうきうきそわそわ。
 そんなふわふわ七色わたがしの宝剣は、はむりと食べてしまいたいくらい美味しそうなのだけれど。
 それは、兵隊さんたちをぱちぱち倒してからのお楽しみ。

榊・空狩
榊・蓮

 おばけに変身した魔法の古城でも、甘いものをいっぱい食べられたけれど。
 榊・蓮(わすれたもの・h09297)は、くるりと巡らせた瞳をキラキラ。
「ぜんぶおかし! いっぱい」
 ……おへやで食べたのもおいしかったけど、またちがう、って。
 足を踏み入れたお菓子なダンジョンのお菓子の森に、うきうき。
「くうきももっといいにおい!」
 すうと息を吸い込んでみれば、食べる前から甘い香りでいっぱいになって。
 基本的に自我が薄い蓮ではあるのだけれど、好きな甘いもの尽くしな光景に心躍らせている。
 そんな蓮と共に並んで歩きながら。
「すごいな目につく限りお菓子だ」
 榊・空狩(歩みを止めない者・h09296)は全てお菓子でできた森を見渡しつつも。
 ふと見つめるのは、隣にいる蓮の姿。
(「蓮も凄くいい笑顔になっているし、今にも駆けだしそうな様子だね」)
 そんな様子に微笑ましくなりつつも、念のため声を掛けておく。
「蓮、転ばないようにね」 
 そして蓮は、自分を見ている空狩へと視線を向ければ思う。
 空狩がその顔がいいって言ってくれる顔になった気がする、って。
 だって蓮は今、とても嬉しくなっているから。
 それから首をこてりと傾けつつ、空狩に訊いてみる。
「ここもてんごく? ちがう?」
「ここも天国ではないよ」
 ……だけどいい場所だからね、と。
 空狩はそう返しながらも、蓮を見ればやはり思う――それに嬉しそうにしてる顔が本当にいい、なんて。
 そして返ってきた言葉に、蓮はまた首を傾げるのだけれど。
(「ちがうけどじごくでもないみたいだから」)
 だから、こう思うことにする……てんごくでいいや、って。
 それから空狩は、蓮にはお菓子を食べて待っていてって伝えてから。
(「一応これもお仕事だからね。敵はちゃんと倒していかないと」)
 蓮がはむはむとお菓子を食べている間に、立ちふさがるお菓子の兵隊を倒して回るつもり。
 でも、この森で通せんぼする兵隊さんは、お菓子の武器でしか倒せないという話だから。
「これが手ごろかな」
 手の中でくるりと回してみるのは、キャンディのステッキ。
 振り回して仗のように操りつつ、兵隊たちを倒してはただのお菓子に戻していって。
 もぐもぐとお菓子を食べていた蓮も……ぼくもって、思うのだけれど。
 でも、どうしたら殺せるのかわかんなくて。
 とりあえず、傍にあったアイスクリームの棒と焼きマシュマロのくしをすちゃりと手にしてみれば。
「ていっ!」
 空狩の真似っこをしてみて、えいっ。
 そんな蓮の様子に、ちょっと微笑ましいなって思った空狩であったが。
 同時にちょっぴり驚いてもしまう。
 ……あ! ころせた! って。
「くぅが!れんもできたよ!」
 蓮のひと突きで、兵隊を倒せていることに。
 そしてそんな驚いているような様子をみて、させたくなかったかな? なんて蓮は思うも。
(「頑張った蓮の事は褒めてあげないとね」)
 空狩はこくりと頷いてみせながらも口にする。
「上手にできてるよ。偉いな蓮」
 そして、そう褒めてくれたから嬉しくなって……ぴょんって、とびついて。
 蓮は空狩と一緒にていてい、兵隊さんを倒しつつ。
 お菓子もはむはむ美味しく楽しく、ダンジョンの最奥へ。

第3章 ボス戦 『パフェ・スイート』


 お菓子の森を抜けて辿り着いた、お菓子なダンジョンの最奥にいるのは。
 ぷるんとしたゼリーの翼と尻尾、そしてソフトクリームのコーンの角を持つ少女のような見目の簒奪者。
 製菓型遺産『パフェ』を狙っているという『パフェ・スイート』であった。
 そしてパフェ・スイートはぷんすかしていた。
『このお菓子ダンジョンなら、製菓型遺産『パフェ』もあるかもと思っていたのに……他にも狙っているっぽい人達がいるなんて! それに、警備をお願いしてたお菓子の兵隊さんもみんなお菓子に戻っちゃったみたいで、もう何なの!』
 それから、『パフェ』に関して一切妥協はしない彼女は決意するのだった。
『こうなったら、パフェ対決で決着をつけてやるわ!』
 そして、とっておきのパフェを作るために森で調達していたたくさんのお菓子たちを見回しつつも、此処までやって来るだろうEDEN達を待ち受けるのだった。

<マスターより補足>
 簒奪者『パフェ・スイート』を倒してダンジョンを攻略していただく内容ですが。
 普通に戦闘しても、もちろんOKですし。
 パフェ・スイートが挑んでくる『パフェ作り対決』をするもOKです。
 何かテーマを決めたり、他彼女をうならせるようなパフェを作る、等々ご自由に!
 材料はお菓子の森のものがふんだんにあるので、お好きに作っていただければ。
榊・蓮
榊・空狩

 お菓子なダンジョンの最奥にいたのは、お菓子な簒奪者。
 パフェ・スイートは、やって来たEDEN達を見つければ、意気揚々とこう言い放つ。
『こうなったら、パフェ対決で決着をつけてやるわ!』
 そんな敵を見遣りつつ、榊・蓮(わすれたもの・h09297)はこてりと首を傾けて。
「殺す?」
 そう榊・空狩(歩みを止めない者・h09296)へと訊いてみれば。
 空狩は逆に蓮へと思わず訊き返してみる。
「蓮はどうしたい?」
 蓮が聞いてくるのはいつもの事なのだけれど……なんだか迷ってる気がして。
 そして返ってくるのは、ちょっぴりだけ予想外なこたえ。
「おかしでやりたい」
 それは、蓮なりに考えて、こう思ったから。
 ……おかし好きならおかしで勝ったらこうさんしてくれるかも、って。
 空狩はもちろん、そんな蓮の言葉にすぐに頷いて。
「蓮が好きなようにしてごらん」
 自分を見ている彼へと返す……したいようにしていいんだよ、って。
 そして、いいよって優しく撫でで上げれば、蓮ももう一度こくり。
「パフェつくるー」
 そう気合十分、パフェ・スイートとのパフェ対決です!
『ふふ、『パフェ』に関しては一切妥協はしないわよ』
 パフェ・スイートもそう不敵に笑うのだけれど。
 でもそもそも、蓮はふんわりしかパフェのことを知らなかったから。
 だから作る前に、空狩からパフェのことをちゃんと聞いて。
 空狩も、パフェについても一緒に教えてあげる。
 それからきちんとパフェがどんなものであるかをばっちり聞けば、蓮はきょろり。
「ぼくも食べられたらうれしいのたくさんいれるよ」
 まずは、パフェを作る材料選びから。
 折角だから、美味しそうなプリンもアイスクリームもチョコレートも、いっぱい選んでみて。
 順番にパフェの器に入れていった後、そして次に入れるのは果物。
 ……果物は入れたいだろうから、って、空狩がいくつか細かく切っておいてくれたもの。
 そして好きなものを沢山入れている蓮を微笑ましく見守っていた空狩だけれど。
 蓮が好きなものを沢山入れた器に綺麗に絞り出してあげるのは、生クリーム。
 ふたりで作るパフェも、だんだん完成に近づいてきて。
「後は飾りかな?」
 空狩がいくつかパフェに飾れそうなトッピングも取ってきてくれたから。
 蓮は作ったパフェの上に、いろんな色の小さいかざりをぱらぱらして。
 キラキラ銀色のアラザンを最後にぱらぱらと降らせれば。
「できた! おいしそう! しょうぶー!」
 美味しそうな勝負パフェの完成です!
 そしてそんなパフェと楽しそうな蓮のことを、嬉しそうに眺める空狩だけれど。
「蓮渾身のパフェはちょっと蓮には重いかな」
 かなり小柄で華奢な蓮には、美味しいものがぎゅうと詰まったパフェは重くて運ぶのが大変そうだから。
 俺が簒奪者の所まで運んでいくよ、と持ってあげてから。
『わ、おいしそ……い、いいえ! いくら美味しそうでも、実際に食べてみないとわからないわ』
 そう早速、蓮渾身のふたりで作ったパフェに心惹かれている様子が垣間見えるパフェ・スイートだけれど。
 ちょっぴりドキドキしたように、味見する彼女を見つめる蓮へと、空狩は言葉を向ける。
「きっとこのパフェなら勝てるよ」
 ……蓮自慢のパフェなんだから、って。
 それから、パフェをまずはくまなく観察した後、はむり。
 ひと匙掬って食べてみたパフェ・スイートに、蓮は訊いてみる。
「どう?」
『ん、見た目からおいしそうだったけど、実際に食べてもおいしいパフェだわ! って、あっ』
 その美味しさに、つい本音を言ってしまって慌てるパフェ・スイート。
 そしてその美味しさに負けて、もうひとくち思わずパフェを食べる彼女の姿を見れば、確信する。
「やったね、蓮」
「ぼくたちの勝ちだね、くぅが!」
 このパフェ作り勝負、花丸大成功の大勝利です!

マルル・ポポポワール
エアリィ・ウィンディア

 お菓子でいっぱいな迷宮の最奥で、EDEN達を待ち受けるダンジョンのボス。
 パフェ・スイートはその名の通り、パフェに対して一切妥協しない拘りを持っているから。
 お菓子の森を抜けてやって来たマルル・ポポポワール(Maidrica・h07719)とエアリィ・ウィンディア(精霊の娘・h00277)を見つければ、びしっと言い放つ。
『来たわね! パフェ対決よ!』
 仕掛けるのは、パフェ勝負!?
 そして、敵にそう勝負を挑まれれば。
「むむ、パフェ勝負ですか。受けて立ちましょう!」
「パフェ対決? よーし、ルルちゃんと共同ですっごくおいしいもの作っちゃうからっ!」
「美味しく可愛いパフェを、エアちゃんと一緒に作って見せます!」
 勿論、マルルとエアリィだって負ける気はありません!
 ということで早速、パフェ・スイートを唸らせるようなパフェ作りを始めんとするも。
「まずはテーマを考えたいですが……あっ」
 ただ闇雲に作るのではなく、何かテーマをと。
 そうふと考えてみたマルルは、すぐにピンと閃いて。
 取り出したのは、ふたりで作ったとっておき。
「ふふ、エアちゃん。さっきお城で作ったクッキー、これを使ったパフェとか、どうでしょう!」
「あ、そうだね。せっかくのクッキーだし使いたいよね」
 エアリィもマルルの名案に大きく頷いて返してから。
 改めて、自分達が作ったクッキーを作業台に並べてみて。
 ……ルルちゃんと、あたしと、精霊さん達とシイロさんとふーこちゃんのもの、って。
 お城で作ったみんなの姿のクッキーをくるりと見回した後、パフェの器をひとつ選んで手にする。
「それなら、器は縦型じゃなくて、横に広いものの方がいいかな?」
 そんなエアリィの持ってきてくれた横長の器を見れば……天才です! とマルルは大喜び。
 横長のものだったら、作ったクッキーも仲良くずらりと並べられるから。
 だから器の上に早速作るのは、お菓子なパフェのお城――では、今回はなくて。
 お城よりもより自分達らしい、ふたりがいつも会う、とある館をイメージした建物を作ってみることに。
 そしてお菓子を組み立てて、美味しそうな館が出来上がれば。
「みんなでわいわいしている感じになるような配置にしてっ!」
「ふたりや楽しい仲間達を模したクッキーを手を繋いだように並べて……」
 次は、クッキーな自分達を、仲良く楽し気に配置していって。
「館があるから、周りの植物とかも再現したいよね」
 仕上げに、色とりどりのお菓子で館の周りの植物を再現すれば――仲良しパフェの完成です!
 そして改めて、ふたりで完成させた仲良しパフェを眺めてみれば。
「わぁ、クッキー可愛いっ! わいわいして声が聞こえてきそうだね」
「きっと味も美味しくできましたよね!」
 見た目は勿論のこと、味だって特別に美味しいこと間違いなし!
 ということで、自分達にしか作れない仲良しパフェで、いざ実食勝負……と、いきたいところなのだけれど。
「それは食べて証明を、食べて、食べ……可愛くて食べれません!」
「……うぅ、これ食べるのもったいないーっ!」
 改めてふたり並んで、作ったパフェをじいと見つめれば、食べるのに躊躇しちゃう。
『確かに、これは可愛いパフェだものね……』
 パフェ・スイートもそう思わず頷いちゃうくらいに、余りにも可愛くて。
 だから、マルルはパフェを美味しくいただく前に、こんな提案を。
「せめて写真を残しましょう」
「あ、写真撮影はいいね」
 ということで!
 すちゃりとカメラを取り出して手渡しながら、ふたりはこうお願いを。
「スイートさん、写真撮ってください!」
「スイートさん、映える写真をお願いしますっ!」
『えっ? あ、そうね、パフェがちゃんと映えるように……もうちょっと右、ふたり寄って……そう、そこね!』
 さすがパフェに対して妥協しないパフェ・スイート、パフェの写真もとびきり映えるアングルでぱしゃり!
 それからふたり満面の笑顔を咲かせて、パフェと一緒に写真を撮って貰えば。
 エアリィは撮った画像を確認しながら、改めて勝利宣言!
 ……ほら、おいしそうだしかわいいっしょ? って。

野分・時雨
八卜・邏傳

 思いがけず戻って来たおせんべカッターも、盾にしたお菓子の兵隊さんも、美味しくヤムヤムいただいた後。
 ダンジョンの最奥へとやって来れば、そこで待ち構えていたのは。
『製菓型遺産『パフェ』を狙ってきたのかもしれないけど、渡さないわ!』
 何だか少し勘違いしている様子の、パフェパフェしい子。
 野分・時雨(初嵐・h00536)と八卜・邏傳(ハトでなし・h00142)は、そんな自分達の前に立ちはだかる少女へと視線を向けて。
「パフェ子ちゃ~ん」
「美味しそなパフェ嬢ちゃん!」
「……美味しそうって言った?」
 そう言った邏傳と眼前のパフェ子ちゃんことパフェ・スイートを交互に見遣る時雨。
 確かに美味しそうといえばそう……かもしれないけれど、ちょっと甘そう??
 だから、むしろ。
『もうっ! 兵隊さんに見張りしてもらってたはずなのに!』
「薄味の兵隊さんは食べちゃったや。ごめんね」
 甘すぎない薄味な兵隊さんの方が時雨の好みかもしれません、美味しくいただきました!
 そして、ぷんすかしながらも、パフェ・スイートはふたりへとびしっと言い放つ。
『こうなったら、パフェ対決で勝負よ!』
「パフェ対決!? たっのしそー! やるやる♡」
 パフェ・スイートもやる気満々だけれど、邏傳もうきうき大賛成!
 それに、このダンジョンを攻略するためには、眼前の彼女を倒すことが条件。
 だから時雨も、物理ではなくパフェでわからせられるならば、それに越したことはないから。
「普通にボコしても見目的に後味悪すぎるので! やってやりますとも、パフェ対決!」
 乗らない手はありません、パフェ対決!
 というわけで、早速。
「お互いに食べたいもの盛りましょう」
 パフェ・スイートを唸らせるようなパフェをそれぞれ作ることに。
 そして時雨がまず手にするのは、勿論これ!?
「ぼくはさっき食べた貝ひも味のマカロン」
 それをちょこんと可愛くパフェに盛り付けていきます。
「可愛い子はマカロンが好きなはず」
 だって、ころんとキュートなマカロンは乙女心を擽るはず!
 たとえちょっぴりしょっぱい味だったとしても……きっと、多分。
 そしてスルメソードとジャーキーをいい感じに割いていきつつ、装飾にとぷすり聳え立たせて。
 最後の仕上げにに……塩分必須、と。
 まるで雪のようにどかっと沢山降らせるのは、塩です。
 それから、邏傳が作るパフェも、時雨のとはベクトルが違うしょっぱい系!?
 先程追いかけられたおせんべカッターだって、無駄にはしません。
「粉々ったおせんべカッターちゃんを泉に浸けてチョコーティングったら器の底に投入よ♪ 甘いとパリッとしょっぱい合わせ技!」
 何気に食べたらやみつきになりそうな、絶妙なお菓子の三重奏……かもしれない、チョコおせんべいをまずは器に入れてみて。
 その上に敷いたふわふわ七色わたあめの花に可愛くちょこんと乗っけるのは、あんこで作った鳩ちゃんズ。
 それから邏傳は、自分のパフェを改めて見つめてみつつも、ふと首を傾けて。
「でもなんか寂し? 周りにゴーヤチップスも飾っちゃお!」
 ――色んな味をぜーたくにっ、と。
 さらに追加したのは、緑が鮮やかな大量のゴーヤチップス!
 そしてそれぞれ、自分のオリジナルパフェを着々と仕上げていきながらも。
「邏傳くんどーお?」
「時雨ちゃんパフェ、大人ぁな感じ♡ かっくい! 美味そ〜!!」
 お互い相手が作っているパフェもひょいと覗いてみれば。
「貝ひもマカロンちゃん俺も飾りたい! かわいく!……あ。鳩ちゃん埋もれちゃった」
「あんこ鳩ちゃん可愛い……のに埋もれた」
 それから時雨は、埋もれたあんこ鳩ちゃんを不憫に見遣りつつも、それに気が付く。
「この緑のは何?」
「ゴーヤチップス乗せてみたん♪ 時雨ちゃんどお?」
「ゴーヤ? 苦いじゃん! ぼくこれ苦手! なんでそんなの乗っけるの!!」
 にがくて苦手な、しかもやたら大量に乗せられたゴーヤチップスに。
 そんなこんなで、ふたりのパフェが出来上がれば。
「お嬢ちゃん、どーぞ」
「えへ。俺のパフェちゃんごしょーみ、あ・れ☆」
 パフェ・スイートに食べて貰います!
 そして、まずは時雨のパフェをくまなく見つめてから。
『あら、マカロンは大好きよ! 色的に、キャラメルかチョコかしら?』
 やはり思った通り、女の子はマカロンが大好き!
 というわけで、時雨のパフェに乗っているマカロンを、はむりと食べたパフェ・スイートだが。
 瞬間、大きく瞳を見開いて。
「!? しょっぱ……ッ!?」
 全く予想外だった思わぬ貝ひも味と、どちゃっと振られた塩味に、色々な意味でダメージを受けて。
 邏傳もひとくち、味見してみれば。
「わぁお塩いっぱい! 水分欲しなるね」
 口の中の水分が一気に奪われるような塩辛さです、ええ。
 それからお口直しにと、今度は邏傳のパフェを慌てて口にするパフェ・スイートだけれど。
「!!? にが……ッッ!」
 今度は、ゴーヤチップスの苦みが、甘党な彼女の舌を襲う……!
 そしてぷるぷる悶絶しながら水を口にしているパフェ・スイートを後目に、ひょいと。
 さっきから何気に気になっていたから、時雨のパフェから取って口に運ぶ邏傳。
「ちーか、スルメいーな!! ずっとカムカムしてたいやつぅ」
 噛めば噛むほど味が出る、スルメソードの慣れ果ての、香ばしくて美味しいスルメを。
 いや、パフェだというから、ひとつの器に盛り盛りしたのだけれど。
「それぞれの部分は美味しいよ!」
 時雨の言う通り、ひとつひとつは美味しいのです、ええ!
 それに、パフェ・スイートに思わぬ大ダメージを与えているみたいだから――このパフェ対決、大勝利です!

彩音・レント
香柄・鳰
月夜見・洸惺
ラデュレ・ディア
エメ・ムジカ

 通せんぼしていた兵隊さんたちも、お菓子な武器でお菓子塗れにして。
 皆で美味しくいただいた後、やってきたのはダンジョンの最奥。
 そして待ちかまえていたダンジョンの主、パフェ・スイートは皆の姿を見つけるやいなや。
 びしっと、こう宣戦布告!
『きたわね、パフェ対決よ! パフェには一切妥協しないわ!』
 挑まれたのはそう、パフェ対決……!?
 けれど、そんなダンジョンのラスボスからのいきなりの挑戦状を、香柄・鳰(玉緒御前・h00313)は颯爽と受けて立つ。
「パフェ対決がお望みならば応えしましょう!」
「はいっ、パフェ対決をお望みならば受けましょう。僕らのとっておきを披露しちゃいましょうかっ!」
 月夜見・洸惺(北極星Navigatoria・h00065)もそうこくりとすぐに頷いて返せば。
「最後はパフェ対決、なのですね。とびきりのひと品をお仕立てすればよろしいのでしょうか……?」
 確認するように小さくこてりと首を傾けるラデュレ・ディア(迷走Fable・h07529)の言葉に、エメ・ムジカ(L-Record.・h00583)はこんな提案を。
「にふふ、みんなで作るおっきいパフェで感動をつくっちゃおう~!」
「パフェ対決! おー!僕たちはデッカ〜なパフェで勝負ね!? みんなのアイデアを混ぜ混ぜしたら超すごいやつが出来上がるに違いなーい!」
 折角皆で作るのだから、彩音・レント(響奏絢爛・h00166)の言うように、全員のアイディアをぎゅぎゅっといっぱい詰めた、大きなパフェを作ります!
 ということで――早速、どんっ、と。
「此処に皆さんのお薦めを持ち寄り特別なパフェを作りましょう」
 ……好きが集まればきっと最強の一品になるはず! と。
 鳰が作業台に置いたのは、発見した巨大なパフェグラス!
「わぁっ、こんなにおっきいパフェグラスがあるなんて。これなら湖の表現いっぱいできるね! 最強スペシャルパフェを作ろう~!」
 ムジカもその大きさにぱちりと瞬くも、すぐにつぶらな目をキラキラとさせて。
「わわ、とっても大きなパフェグラスですねっ」
「大きなパフェグラス……!」
 洸惺とラデュレもその大きさに瞳を瞬かせちゃいながらも、こう確信する。
「この大きさならば、様々な材料が入りそうなのです」
「えへへ、皆さんの好きやとっておきをどれだけでも詰め込められちゃいそうっ」
「皆さまの“好き”がぎゅうっと詰まったひと品。ステキなもの、でないはすがありません……!」
 というわけで、皆がそれぞれイメージするお菓子を用意すれば、いざパフェ作り開始です!
 鳰がまずグラスの底に沈めるのは、キラキラしゅわりと爽やかなサイダーゼリー。
 そして敷き詰めたサイダーゼリーに添えるのは。
「水の中を泳いている感じになるかしら?」
 ぷかりとゼリーの上を泳ぐ、クッキーのアヒルさん。
 それから洸惺がキラしゅわなサイダーのゼリーの上に乗せるのは、ピスタチオのムース。
 そんな緑色のムースと一緒に、ホワイトチョコの白鳥さんもちょこんと添えて。
「上には鳥さんのアイシングクッキーをっ。森を飛んでいるみたいに見えるでしょうかっ?」
「皆さまと出逢った湖の景色のようなのです」
 ラデュレはそんなパフェの器に出来ていく風景に瞳を細めてから。
 では、わたくしも倣って……と飾っていくのは、季節の彩り。
「これからの冬の季節を想像してみました」
 透明感のある氷塊のような琥珀糖と、キュートなエナガさんチョコレートたち。
「なるほどなるほどー! みんなでいつも過ごしてる湖のイメージね!」
 レントはそううんうんと頷きながら、皆が作り上げていくパフェの中の風景を改めて眺めてみて。
「キラキラサイダーの水の中に森の木々。鳥さんたちも一緒に冬を楽しむ感じが素敵じゃん! 流石だねー!」
 そんな甘やかな湖の風景に付け加えてみる。
「じゃあ僕はお空をイメージして爽やかシトラス風味のスカイブルーのアイスをトッピングー!」
 ……やっぱりみんなで集まる日は良いお天気の方が楽しめるもんねー! って。
 爽やかに広がる、アイスクリームの青空を。 
 ムジカも、出来上がっていくパフェをわくわく見つめて。
「みんな、表現じょーずだねっ」
 ……もうこれだけでも爽やかな湖らしくて……ぼくはときめいちゃいます……! なんて、長いお耳をぴこぴこっ。
 それから、次に。
「それじゃあ、ぼくはね……」
 湖まわりの森をくるりと彩るように、ピスタチオムースの近くから縁にそって、ぱらぱらと。
 鏤めて飾るのは、木の実をイメージした、いちごやラズベリーやアーモンドのフレークたち。
 そしてサイダーゼリーのそばには、青林檎のジュレの彩りを加えて。
「グラデーションをつけて木々が反射してるように……」
 それから、アイスの青空にもそっと添えてみる。
「お日様クッキーもぴったんこで最高〜!」
 ぴかぴか晴天、お日さま模様のクッキーを。
 そんな皆で彩ったパフェを、改めて見つめてみる鳰。
 ベリーやナッツが賑やかに実る優しいムースの森には、甘やかな白鳥さん。
 ひやり澄んだ冬の空気の様な琥珀糖に、可愛いシマエナガさんたちの姿。
 爽やかな蒼天を思わせるアイスにお日さまクッキーがぴかぴか、煌めくジュレの木漏れ日。
 そう、それはまさに。
「凄い……! 皆さんのアイディアが集まると、あの湖畔の景色になるのね」
「とっても素敵ですっ! どれも森と湖のイメージにぴったりでっ!」
 洸惺も、あの湖畔のようなパフェに大きく頷いて。
 ――ならば、と鳰は最後の仕上げを。
 天辺に飾るのは、赤煉瓦の小屋を模したチョコ。
 それを見れば、レントは思わず声を上げちゃって。
「赤煉瓦の小屋がまさに湖畔の風景じゃん!!」
 そして、こう命名する。
「名付けて『水琴窟スペシャル』って感じ〜?」
「様々な時間帯と、季節の湖……! 『水琴窟スペシャル』、ステキなのです」
 ラデュレも……うっとりとしてしまいそうです、と。
 眼前の『水琴窟スペシャル』を見れば、とてもわくわくしちゃう。
「あの畔でも見られるのでしょうか」
 これから本格的にやってくる冬の季節。
 それをちょっぴりだけ先取りしたようなパフェの景色を、満足気に眺めながら。
「水琴窟スペシャル……ふふ、嬉しいお名前です」
 鳰もそう微笑みつつ、皆と顔を見合わせて頷き合えば。
 完成した『水琴窟スペシャル』を、ずいっと差し出して。
「さあ、スイートさん。いざ勝負です!」
「はいっ、いざ勝負ですっ!」
「では、まいりましょう。いざ勝負、なのですよ……!」
「ふふ、実り豊かな森にきらきら湖パフェで勝負だ~!」
 声をそろえて自信満々、見せつければ。
『うぐ……っ! パフェでこんな景色が表現できるなんてっ!』
 ダメ出しをしようにもできず、逆に『水琴窟スペシャル』の出来を認めてしまって、ダメージを受けるパフェ・スイート。
 でも、それも当然のこと。
「このチームワークには誰にも勝てないよね!」
 レントの言うように、皆のアイディアと美味しさが目いっぱいぎゅぎゅっと詰まった、最高傑作のパフェなのだから!

小夜雀・小鈴
剣崎・スバル
アリエル・スチュアート
ボーギー・ウェイトリー

 お菓子の森を抜けて足を運んだのは、お菓子ダンジョンの一番奥。
 EDEN達を待ち構えているのは、そう――ダンジョンの主、パフェ・スイート。
 そしてパフェ・スイートは皆が最奥にやって来たのを見れば、声高らかに言い放つ。
『パフェ対決で勝負よ! パフェには妥協しないわ、覚悟しなさい!』
 戦いは戦いでも、挑まれたのはパフェ対決!
 でも、そんなパフェ対決を挑まれれば、小夜雀・小鈴(雀風招き・h07247)はむしろやる気満々、気合十分。
「お料理勝負を挑まれたら勝負に乗るのがわたしなのです!」
 料理好きでいつも人々に振舞っている小鈴が、それに乗らないわけありません。
 剣崎・スバル(気弱な機械剣使いドラゴンスレイヤー・h02909)もパフェ対決と聞けば、内心ほっとする。
「パ、パフェ対決かぁ……。まあ戦うよりは怖くない……かな」
 戦闘の必要がなさそうだから、料理が得意な小鈴のパフェ作りを手伝おうと思う。
 そして、何だか複雑な表情を浮かべているのは、アリエル・スチュアート(片赤翼の若き女公爵・h00868)。
 いや、生じている複雑な気持ちはパフェ対決に対してではなくて。
「あー……マジかー……。よりにもよって貴女なのね、パフェ・スイート」
 眼前に立ちはだかる、パフェ・スイート本人。
 だって、パフェ・スイートといってアリエルの脳裏を過るのはそう。
「落花生の呪いがここでも……」
 そんな落花生の生産の約8割を占めている千葉県民であるアリエルが、再び落花生の気配を感じている中。
「パフェですかー……いいでしょうー……」
 ……パーフェクトに決めましょうー……なんちゃってー……、と。
 挑まれたパフェ対決に意欲的なボーギー・ウェイトリー(少年少女妄想・h04521)であるのだけれど。
 でもふと、こてりと首を傾ける。
「いやそれにしてもー…どうしたもんですかー……パフェなんて中々縁がなくてー……」
 パフェというものは勿論知ってはいるものの。
 けれど今回は、パフェ対決なのだ。
「美味しいものだと知ってはいてもー……どうすれば美味しく綺麗に出来るかなんてとてもー……」
 パフェに妥協しないパフェ・スイートを唸らせるほどのパフェを作らなければならないのだから。
 けれど、そんな悩みを解決するべくアリエルが顕現させるのは、美しきブロンドヘアーの聖女。
「レディ・ブリタニア、パフェ作りの知識を私や同行者の皆に授けてちょうだい」
 ブリテンの聖乙女レディ・ブリタニアに、そう願いを。
 そして、アリエルの英国に伝わりし聖乙女の祈りによって、皆にパフェの知識が備われば。
 いざ、パフェ作りです!
 でも、ただ闇雲に作るのではなくて。
「テーマは「ハロウィン」なのです! ゴーストハロウィンパフェに挑戦しますなのですよ!」
 小鈴がしっかりと決めたパフェのテーマは、この時期にぴったりなハロウィン!
 生クリームでゴーストの形をつくって、チョコペンでお顔を書き書き。
 そして何気に作業をちらりと覗いているパフェ・スイートにも教えてあげる。
「チョコペンで綺麗に描くコツは、湯せんでしっかり溶かして、使わない間も湯せんにつけておくことなのです!」
『へえ、使わない間も……って、そ、そんなの知ってるわ』
 そう何気に動揺をさそい、何気にダメージを与えている小鈴であるが。
 それよりも、皆と一緒にパフェを作ることにわくわく。
 スバルは、自身は料理はそこまでできないという自覚があるのだけれど。
「パフェに合う材料……フルーツでも探してみます」
 レディ・ブリタニアから教わった知識もあるし、材料を集めるくらいはできるはず……と。
 ダンジョン内にある材料をくるりと見回してみて、良さそうなものをいくつか見繕ってみる。
「甘いお菓子だらけのパフェに少しの甘酸っぱいフルーツがあればアクセントになるかも……?」
 そしてアリエルも、皆と一緒にパフェ作り……をしていく訳なのだけれど。
「レディ・ブリタニアが手に持つアレは……案の定落花生が材料として用意されているわね……」
 やはり、聖女が導く材料はそう――落花生。
 というわけで、アリエルはその心に決める……ならこれを使うしかないわ、と。
「良いわよ、千葉に縁がある以上は使ってやるわ……!」
 千葉県民の誇りをかけて、落花生を使ったパフェで、パフェ・スイートをぎゃふんと言わせてやります!
 そんなアリエルがレディ・ブリタニアから受け取る落花生を見て。
「んー……アリエルおねーさんのそれはー……落花生……落花生……?」
 ボーギーはこてんと首を傾けるけれど。
 ぱりっと慣れた手つきで皮を割ったアリエルの手元を見れば、反対側に首を傾けて訊いてみる。
「あー……ピーナッツなのですねー……なんでまたー……いやまあそれは置いといて……それを使うのです……?」
 その理由は、落花生ダンジョンとか色々と、過去からの因縁があるのです、ええ。
 そして小鈴は、皆が集めてくれた材料を使って。
「わたしは皆で食べれるように頑張ります!」
 皆で美味しく食べられる、ハロウィンパフェ作りに全力を向けることにして。
「ソフトクリームはパフェさんにお願いして出してもらうのです」
『えっ、なんで手伝わないと……く、パフェのためなら仕方ないわね』
 パフェ・スイートも一緒にパフェを作ります……!?
 スバルは材料を調達した後、今度は計量などの簡単な作業を手伝うことに。
 お菓子づくりは計量さえできれば問題ないと聞いたことがあるから、そこはきっちり確りと。
「誤差はゼロコンマ1グラム以内……ふぅ、これなら許容範囲です」
 完璧な計量で、小鈴のパフェ作りをアシスト!
 アリエルもあくまでも手伝いをメインにしつつ、落花生を中心にパフェの飾りつけをしていきます!
 でも、ちゃんとアリエルは弁えているのだ。
「ただ落花生が主張しすぎない程度にだけど。クリームとか砕いたナッツをちょっと乗っけてみるくらいかしら」
 パフェまで落花生の呪いにかからないように慎重に、少しずつぱらりと振りまくくらいにして。
「この位なら……まあ、普通のパフェではあるわよね?」
 落花生パフェにならないよう、ばっちりいい感じです。
 そんなトッピングされる落花生をじいと見ていたボーギーも。
「んー……ピーナッツ……ならばピーナッツバターを使ったパフェ……?」
 パフェに加えるものを考えてみてから。
「チョコと……コーヒーゼリーとか……? んむー……後はホイップクリーム……どうでしょう……」
 とりあえず材料だけは集めてー……詳しい人に丸投げしましょー……、と良さそうなトッピングをそろえてみて。
 小鈴は皆が選んだ材料を、美味しそうに器に飾り付けしていって。
 そして、ハロウィンパフェが完成すれば。
 手伝ってくれた皆に礼を告げつつ、美味しくいただきます!
 それは、当然同行者の皆もだけれど。
「もちろん、パフェさんからどうぞなのです!」
 パフェ・スイートも一緒に、です!
 そんなハロウィンパフェを、はむりと口に運んでみたパフェ・スイートは思わず瞳を見開いて。
『ぐ、悔しいけど、おいしい……見た目もハロウィンで可愛くて、計量もばっちりだし、落花生の歯ごたえがいいし、チョコやゼリーがまたいい塩梅だわ』
 パフェの美味しさにそう負けを認めざるを得ないパフェ・スイートや皆に、小鈴はにこにこ微笑んじゃう。
 パフェが美味しくできたのは勿論だけれど……楽しいですね! って。

マリー・エルデフェイ
セレネ・デルフィ
ララ・キルシュネーテ

 お菓子のダンジョンも、いよいよ最奥まで辿り着いて。
 ダンジョンの主である、パフェ・スイートから挑まれた勝負は。
『パフェ作り対決よ! 貴方達に、唸るほど美味しいパフェを作れるかしら?』
 そう、パフェ作り対決です!
 そしてララ・キルシュネーテ(白虹迦楼羅・h00189)は挑まれたその勝負に、すぐに頷いて返して。
「パフェ作り対決……いいわ、受けてたとうじゃない。ね。マリー、セレネ」
「パフェ作り対決! これは気合を入れて素敵なパフェを作らないとですね!」
 向けられたララの花一華と声に、マリー・エルデフェイ(静穏の祈り手・h03135)も気合十分。
「ボコボコにしてパフェの底に沈めてやりましょう」
 美味しいパフェを作って、パフェに妥協はしないというパフェ・スイートを黙らせてやります!
 そんなふたりに、セレネ・デルフィ(泡沫の空・h03434)も頷いて返すのだけれど。
「パフェ作り……ですか。上手く作れる自信は無いですが……頑張ります、ね」
 上手にできるか、ちょっぴりだけ心配だけれど。
 そんなセレネの言葉に、マリーが提案するのは、こんな解決法!
「3人でそれぞれ1つずつ作っても良いとも思いますが、ララさん、セレネさん、ここは3人で1つのスペシャルなパフェを作るのはどうでしょう?」
 3人でひとつのパフェを作れば、アイディアも人手も3倍!
「皆で作るなら、少し安心、です。是非とも……!」
「マリー、賛成よ。3人で力を合わせてパワフルでミラクルでレジェンドなパフェをつくるの」
 勿論、ふたりも大賛成で即決定!
 そしれララは、ふふんと胸を張って。
「任せて、ララは味見が得意なのよ」
 食いしん坊だから、味見もいくらだってできます!
 というわけで、パフェ作り開始です!
 そしてまずは、パフェを作る器選びからだけれど。
 3人で一緒に作るパフェに相応しいものをと、マリーが視線を巡らせてみれば。
「器は丁度いい所に、良い感じにゴージャスで大きなガラスの器がありますし、ここに各々が良いなと思った材料を良い感じに盛り付けて行けばきっと素敵なパフェが出来るはずです!」
 見つけたのは、3人で作るのに、大きさもゴージャスさも良さそうなパフェグラス。
 そして器が決まれば、いよいよどんなパフェにするか、だけれど。
「ガラスの器に入れるもの……何が良いでしょうか」
 そう首をこてりと傾けるセレネの声を聞きながら、マリーは早速選んでみる。
「私はフルーツの味を活かしたお菓子を集めて盛り付けます」
 それから、フルーツ系の材料やトッピングに絞って探してみれば。
「カラフルなフルーツゼリーにグミ、フルーツグラノーラ。この辺りが良さそうかな?」
 気になったものをいくつか見繕ってみて。
 ララが、マリーが見つけてくれた豪華な器に入れようと思うのは。
「フルーツを集めてくれるなら、ララはクリーム担当になるわ」
 海のようにたくさんのクリーム!
「混ぜるのだって得意なのよ」
 大得意の味見をしていきつつも味を調整してまぜまぜ、美味しいクリームをつくっていく。
 それからセレネは、ふたりの選んだものを確認しながら。
「フルーツ、クリームと揃うなら……プレーンな味わいの、違う食感のものが良い、かな?」
 悩んで持ってきたのは、スポンジケーキとビスケット、そしてバニラアイス。
 ララはそんなセレネに、まぜまぜしながらも訊ねてみる。
「チョコクリームやいちごクリームも搾ってみようかしら? セレネ、どう思う?」
「ララさんのクリーム、とても美味しそう、ですね。チョコや、いちごも素敵……です」
 それから、そう返しつつもふと閃く。
「持ってきたケーキやマリーさんのフルーツを混ぜたり挟んだりして……味のグラデーションを作るのは、どうでしょう……?」
 マリーさんも、如何でしょうか……? って、そう声を向けられれば。
「セレネさん、名案です! 混ぜ混ぜしましょ!」
「天才ね。混ぜましょう」
 ララの作る絶品クリームに、セレネのもってきたケーキやマリーのフルーツを混ぜ混ぜしたり挟んだり――3人の美味しい合わせ技!
 そしてララは色々な味の美味しいクリームを、ふたりの材料と一緒にたっぷり盛って。
 綺麗に飾ってとびっきりの、美味しい美味しい魅惑の樂園パフェを作り上げます!
 そんな試行錯誤しながら飾る特別な樂園パフェに、セレネはほわりと笑んで。
「……ふふ、会心の出来、ですね」
「パフェ対決の後は美味しくいただきたいですね」
「私も食べたくなってきてしまいました」
「もちろん、美味しく完食するまでがパフェ作りよ」
 作るのも楽しいし、食べるのも楽しみだし。
 樂園パフェを見つめて食べたそうにそわそわしているパフェ・スイートを見れば――パフェ対決の大勝利、間違いなしです!

破場・美禰子
ステラ・ラパン

 お菓子でいっぱいの森の最奥にいるのは、ダンジョンの主。
 そしてこのダンジョンの主――パフェ・スイートを倒せば、ダンジョンの攻略も無事完了なのだけれど。
 ダンジョンのボスが挑んできた勝負は、戦いは戦いでも。
『どれだけ素晴らしいパフェが作れるか、パフェ対決よ!』
 お菓子のダンジョンらしく、パフェ対決です!
 そんなパフェ対決に張り切るパフェ・スイートの姿を見遣って。
「オヤ菓子の森に似合うお嬢さん。必要なら荒事もやむなしだが、パフェ対決で白黒つけられるッてェなら乗らないテは無いね」
 彼女が提案する勝負に乗ることにする、破場・美禰子(駄菓子屋BAR店主・h00437)。
 ステラ・ラパン(星の兎・h03246)も、お耳をぴこり。
「やあ、本当だ。荒事に持ち込まず済むならそれが良い」
 ……美味しいもの対決というのなら尚更ね、と笑って。
「受けてたとうじゃないか、美禰子」
 美禰子と一緒に、パフェ対決を制してダンジョン攻略を目指します!
 けれど、お菓子はお菓子でも。
「とは言えパフェにゃ明るくない。素直に得意分野を使った駄菓子パフェといこう」
 美禰子にとっては、洋菓子で作るパフェは馴染みがあまりないから。
 ここは専門の、駄菓子パフェで勝負です!
 そしてそんな美禰子の言葉に、ステラはこてりと首を傾けるも。
「おや、美禰子はパフェに馴染みがないかい?」
「ソ、洒落たモンにゃどーも縁がなくてさ」
「とはいえ、駄菓子パフェなんて楽しげだ。君らしいのもイイね」
 すぐにそう笑んで返して、お菓子の森をくるりと改めて見回してみる。
 ……じゃあ僕も好きなもので形としようか、と。
 ということで、パフェの材料を探して調達すれば、いざ器へ盛り付け。
 ステラがまず敷き詰めたのは、夜空の様な濃紺ゼリー。
 そして星は星でも、星の形にくり抜いた果物を、夜空にぷかりと浮かせて。
 雲の様な真白のミルクプリンの上に、夜色をもう一層。
 夢見る様なパステルカラーのクリームの上にぱらり散らすのは、淡い色とりどりな金平糖の星たち。
 それから、仕上げにちょこんと乗せるのは。
「クッキーの月とホワイトチョコの兎も添えるとしよう」
 甘やかなお月さまと兎さん。
 そして美禰子も、駄菓子パフェ作りを。
 まず底に麦チョコをぱらりと入れ、ラーメン風スナックで塩味を足してみて。
 間に入れた、ふわふわ滑らかなヨーグルト風味のモロッコな駄菓子がクリーム代わり。
 それにパフェは見映えも大事だからと、カラフルな飴餅で彩を添えて。
 天辺に乗せるのは、ひと口プリンと麩菓子を一本――駄菓子パフェの完成!
 そして出来上がったパフェを改めて見れば、ちょっぴりだけ肩を竦めるも。
「……大分ヤンチャな見目だね?」
 でも駄菓子ならプロフェッショナルだから、こう確信する。
 ……マ、味は悪くない筈だ、って。
 そんなそれぞれ好きなようにパフェを作るのは勿論、お目当ての材料を狙って集めるのも楽しくて。
 あれもこれもと、うっかり時間を忘れそうになるけれど。
「ステラの首尾はどうだい?」
「僕のはコレさ。美禰子はどんな感じだい?」
 完成すれば、お互いのパフェの見せ合いっこも楽しみで。
 相手の作ったパフェを見れば、口から自然と出るのは感嘆と感想。
「流石センスが良いなァ。星空に月に白兎、ステラならではの一品だよな」
「わあ! イイじゃないか。帰りに駄菓子屋に寄りたくなるよ」
「フフ、じゃ店に帰ったら同じパフェを振舞ってみるかな」
 この出来ならば、きっとパフェ・スイートも負けを認めること間違いなし!
 むしろ、ふたりのパフェを見つめる視線はすでに食べたそうにそわそわしているし。
 駄菓子なら、この森に負けないほど沢山、美禰子の店には並んでいるから。

氷薙月・静琉
櫻・舞

 ダンジョンを攻略するためには、最奥にいるボスを倒さねばならないのだけれど。
『来たわね、パフェ対決で勝負よ!』
 待ち構えていたダンジョンの主、パフェ・スイートが突き付けてきた勝負は――思いがけない、パフェ対決!
 いや、氷薙月・静琉(想雪・h04167)にとっては、普通に倒して攻略完了、でもいいのだけれど。
(「俺は普通に戦っても構わないんだが……」)
 ちらり、見遣るは隣の彼女の様子。
 そして櫻・舞(桃櫻・h07474)は、パフェ・スイートの言葉にこてりと首を傾けるも。
「パフェ? とは何かわからないのですが。きっと甘味のお好きな可愛らしい方なのですね!」
 すぐにそうぱっと笑顔を咲かせたから。
「……パフェ作りにしとくか。穏便に」
 そうぼそりと呟きを落とす静琉の視線にようやく気づいて。
 ほわ? と首を傾げて、瞳をぱちり。
 というわけで、パフェ対決で決着をつけようと決めれば。
「対決と云うからには、何か工夫があると良いのか」
 ただパフェを作れば良いというものではないだろうと、静琉は思考を巡らせつつも、こう続ける。
「因みにパフェとパルフェは似て非なる物らしい」
『! く、それを知っているなんて、なかなかやるわね』
 そんなパフェ・スイートの声を聞きながらも、選んだ器は深みあるデザートグラス。
 それに入れていくべく用意してみるのは、桜アイスに抹茶テリーヌ、クッキークランチ。
 カステラを詰めて、更にチーズクリームや粒餡、苺や白玉を飾った、和風のパフェを想定しつつも。
 静琉は、舞に任せることにする。
「舞、盛り付けを頼む」
「盛り付け? はい、頑張ります!」
「邸に来てから数ヶ月、料理も一緒にこなしてきたしな」
 そして気合十分な舞に、静琉は瞳を柔く細めてから。
 慣れた手付きで包丁を扱い、飾りやすい様に材料を切り分けていく。
 舞も、静琉が沢山準備してくれた食材を、順に器の中へ。
 でもそっと慎重に、ひとつずつ丁寧に。
「綺麗見えて映え?る様にと聴いた事があります」
 苺の断面などがグラスの中で、綺麗な層に見えるように盛り付けていって。
 最後に桜チョコと金箔を添えれば、完成!
 そして静琉は出来たパフェを眺めて告げる――題して和桜パフェ、と。
 それを聞けば、舞も笑顔をぱっと咲かせて。
「桜チョコと金箔を添えた和桜パフェ、可愛くて美味しそうです!」
 それからふと……はわ! と和桜パフェに添えたのは。
 白玉に、ひとつは長い尻尾と翼と鳥を、もう一つには耳と尻尾つけて狐にして。
「ほわ、静琉様の護霊様お二人です! 可愛らしいでしょうか?」 
 黒い点を2個ずつ描けば、彼の傍に寄り添う子たち。
 静琉はそんな舞手製の美しい盛り付けに、瞳を瞬かせて。
「護霊白玉デコ……すごいな」
 自分では思いつかない彼女のアレンジに感嘆の声を漏らして。
「雅で華やかで美味そうだ。舞のセンスのおかげ、だな」
「いえ、静琉様の食材と包丁捌き、ほわほわと見惚れてしまいました」
『ぐうっ、付け入る隙が全くない、完璧な和桜パフェだわ……!』
 パフェに一切妥協しないというパフェ・スイートも思わずそう認めるほどの、完成度の高い和桜パフェ。
 そして、ふたりで楽しく作ったパフェは勿論。
「美味しく頂きましょう」
 溶ける前に分け合って、美味しくいただきます……!

空廼・皓
白椛・氷菜

 お菓子な森を抜けた先の最奥で待ち構えているのは、ダンジョンの主。
 このダンジョンのボス、パフェ・スイートを攻略すれば、任務は完了となるのだけれど。
 敵が挑んできたのは、普通の戦闘ではなくて。
『パフェ対決で勝負を決めるわ!』
 そう――パフェ対決!
 そんなパフェ・スイートの声に、空廼・皓(春の歌・h04840)はきょとりと首を傾けて。
「パフェで勝負……はじめて、聞く、ね?」
 聞いた事ある? と白椛・氷菜(雪涙・h04711)を見れば。
「……料理対決なら聞いた事はあるけど……」
 氷菜もこてりと首を傾げる。
 けれど相手は、見るからにパフェ一色な見た目であるし。
 パフェに関しては妥協しないと豪語しているから、やはりパフェで対決する気らしい。
 ということで、皓は尻尾を揺らしながら考えてみて。
「ならせっかくだし、テーマを、決めたい」
「そうね、テーマは大事ね」
 ただ何も考えずに作るのではなく、テーマを決めて作ることには賛成するのだけれど。
 皓が告げた、パフェのテーマはというと。
「俺はおとなかわいいパフェでしょうぶ、したい」
「……ん? おとな、かわいい?」
 それを聞けば思わずぱちりと瞳を瞬かせて、彼を見る氷菜。
 でも、皓はこっくりと大きく頷いて。
「おとな、かわいい」
「……ねえ、どこから出たの、そのテーマ……」
「誰かが言ってた」
 そうお耳をぴこりとさせる彼に、氷菜は告げる。
「可愛い以外は難しいわよ、晧には」
 けれど、それでも尻尾を大きくゆうらり揺らして。
 皓は自信あり気に続ける……だいじょうぶ勝算、ある、って。
 それから早速、皓が選んだのは、少しほんのりと色がついている、縁がひらりとフリルっぽい可愛いグラス。
 その一番下にまずはチョコソースを入れ始める。
 氷菜はパフェ作りの作業を始めた彼を見ながら、逆三角の様なグラスを手にして。
「晧がビター色っぽいから、私は白メインにしよう」
 その底に苺のジュレを入れて、ヨーグルトを乗せ、並べて見るのは蜜柑。
 さらに、蓋をする様にダイス状のスポンジケーキを詰めた後、チョコソースを敷いてバニラアイスを乗せてみる。
 そんなトッピングにしたのはちゃんと理由があって、計算済。
「アイスでチョコソースはぱりぱりにもなるのよ」
 それから仕上げに、苺と蜜柑を添えて、絞った生クリームに砕いたナッツをぱらり。
 ということで完成……かと思ったけれど。
「……あ、苺の一つは扇の様に飾り切りにしよう」
 最後に、もう一工夫だけ加えれば。
「よし、私のはこんな感じ」
 今度こそ、氷菜作・おとなかわいいパフェの出来上がり!
 そして、皓はといえば。
 ピスタチオで色を付けた生クリームを器に絞りながら、表情こそ変わらないように見えるけれど。
 尻尾をゆらゆら揺らして、得意気にえっへん。
「おとなじょしは大体ピスタチオが好き。俺しってる」
「……晧の、その謎知識はどこから……」
 確かに、おとな女子はピスタチオが好き。間違っていません。
 そんなどこで聞いたのかわからない謎おとなじょし知識に、氷菜は疑問を抱くけれど。
 皓はさらに、おとなじょしパフェを完成させるべく作業を続けて。
 ピスタチオクリームの上にチョコアイスを入れて、その上にブラウニー、それからまたピスタチオクリーム。
 緑と茶色で順に、お洒落に彩っていって。
 最後にちょこんとチョコアイスを乗せれば、その周りを交互に飾るのは、プチシューといちご。
 それから最後にぱらりとアラザンを降らせて、きらきらに仕上げれば。
「どう? おとなかわいく、出来てるでしょ」
 ほめて、と今までで一番大きく、尻尾がぶんぶん。
 そんな彼のパフェはどこからどう見ても、おとなかわいい出来だから。
「確かに完成品は凄いわね」
 皓の頭をよしよし撫でてあげる氷菜。
 そして、皓のパフェもだけれど。
「氷菜のおいしそう。俺が、たべたい」
 氷菜のおとなかわいいパフェも、とても美味しそうな立派な出来映え!
 そして、そんなふたりのパフェを交互に眺めていたパフェ・スイートも。
『くっ、悔しいけど……どっちも、大人可愛いテーマにふさわしい美味しそうなパフェだわっ』
 負けを認めるくらいに、お墨付きの完成度!
 ということで、見た目からもう美味しいことは間違いないのだけれど――あとは綺麗に完食して、このパフェ対決を完全に制します!

神楽・更紗
ガザミ・ロクモン

 お菓子の森を抜けてやって来た、ダンジョンの最奥で。
 このダンジョンの主であるという『パフェ・スイート』は、ふたりの姿を見つけて言い放つ。
『また、製菓型遺産『パフェ』を狙った冒険者が現れたわね! パフェ勝負よ!』
 そんな言葉を聞けば、ガザミ・ロクモン(葬河の渡し・h02950)は思わずぽろぽろと涙がこぼれちゃう。
 ――子蟹の頃に夢に描いていた遺産が実在したなんて、って。
 喜びで涙と涎が止まらなくて。
 だからこそ、びしっと。
「簒奪者に渡して独占させてなるものかっ!」
 ガザミ眼前のパフェ・スイートに正々堂々と申し込む……そう、パフェ対決を!
 というわけで、神楽・更紗(深淵の獄・h04673)と一緒に合作で、ガザミが作ろうと試みるパフェはこれです!
 簒奪者を軽く見下ろす、高さ175㎝が目標の――超巨大モンスターパフェ、その名も「ティンダゴン」!
「「ティンダゴン」か、強そうな名だ。モンスターというところもハロウィンの雰囲気あっていいな」
 ……子供の夢を奪う行為は断じて阻止だ、と。
 更紗はそう思いながらも、ガザミの作戦に乗って共にパフェ「ティンダゴン」作りを始めんとするも。
 まずは、その材料集めから。
 巨大パフェを作るとなれば、材料を集めるだけでも一苦労……なのだけれど。
 更紗が呼び出すのは、配下妖怪の女烏天狗たち。
 素材集めや高所の飾り付けを彼女たちに手伝ってもらえば、大変な作業も随分楽になるから。
「おまえたちも好きなパフェを楽しむとよい」
 そう声をかける更紗であったが。
 ひとつ、女烏天狗たちにこう付け加えておくのだった。
「あと、ここでの姫呼びは禁止。恥ずかしい」
 姫と自分のことを呼ぶ彼女たちにそっと、そう尻尾を揺らしながら。
 それから材料をあっという間に沢山集めて貰えば、改めて気を取り直して。
 更紗が布良の能力で用意するのは、飴で作ったパフェグラス。
「透明なハロウィンカボチャの三段重ねなパフェグラスだ」
「わ、飴細工のパフェグラス、めっちゃキレイですぅ」
 ガザミはそんな綺麗でしかも美味しいパフェグラスにほわほわ笑みながらも。
 グラスの中へ、崩れないようにどんどんお菓子を詰め込んでいく。
 ハロウィンカラーに染めたポンポン菓子の爆弾に、チョコソースから覗く無数のバナナの目玉。
 それに更紗の布良の能力があれば、ポン菓子爆弾に色付き飴を絡めて、ハロウィンカラーに染めるのも容易いことだから。
 さらに纏わせるのは、ハロウィンらしいあやしいオーラ。
「たこ足のグミキャンデーも任せろ」
 ガザミは、そう更紗が用意してくれた、タコみたいに太い八本の葡萄味のグミもパフェにウネウネと生やしていて。
「代わりに、イチゴ味のマシュマロの確保を頼む」
 更紗もそう告げつつ、マシュマロと色付き綿あめと後光の飴細工で飾り付けをしていれば。
 集まった材料へと、ふと視線を向けて。
「ほう、アイスもあるな」
 見つけたイチゴのアイスもトッピング。
 いや、アイスはイチゴだけではなく、色々なフレーバーがあるようだから。
「ふむ、ガザミの好きなアイスは?」
「アイスは、濃厚なバニラとチョコミントが好きぃ」
 濃厚バニラと、チョコミントを多めにトッピング。
 それから盛り盛りに盛った、巨大パフェの仕上げに取り掛かって。
 ガザミがお顔にしててっぺんに乗せるのは、胡桃と林檎のアップルパイ。
 でも、それでもまだまだ完成ではなくて。
「シフォンケーキでパンプキンヘッドを二つ作ったのだが乗せられるか?」
 更紗の作ったシフォンケーキのお顔を両サイドに添えて、飴細工の仕上げれば――。
「めっちゃかっこよっ!」
 そう絶賛してしまうほどの、格好良くて美味しそうな、超巨大モンスターパフェ「ティンダゴン」の完成です!
『わ、なんて大きなパフェ!』
 そして、パフェ・スイートも思わずそう紡ぐほどの出来も、勿論大満足なガザミなのだけれど。
 でも、何よりもはしゃいじゃうのはこう思うから……更紗さんの好きなものを知れて嬉しい、って。
 というわけで、更紗は「ティンダゴン」完成記念にと。
「完成したティンダゴンと参加者全員、ついでに簒奪者も入れて記念写真だ」
 ガザミと女烏天狗たち、そしてパフェ・スイートも一緒に、ぱしゃりと記念撮影!
 でも、パフェ勝負はまだ終わっていない。
「パフェは食べるまでがセットなので、皆さんと簒奪者も誘っていただきます」
「うむ、パフェは皆で楽しく頂こう」
 そう――巨大モンスターパフェをいざ、皆で実食です!
 そしてはむりとひとくち食べてみたパフェ・スイートだが。
『見た目もすごいし……悔しいけれど、味もいいっ』
 ふたりの合作の「ティンダゴン」に、そう言わずにはいられなくて――パフェ対決の勝負あり!
 パフェに一切の妥協をしない彼女のそんな言葉を聞けば、ガザミはにこにこ。
 更紗と顔を見合わせ頷き合えば、改めてはむりとパフェを口にして。
 嬉しげにほわりと笑み咲かせる――皆で食べると美味しいですね♪ って。

ジズ・スコープ

 これまで先行してる仲間のEDEN達のパフェがどれも秀逸で。
 パフェに妥協しないダンジョンの主、パフェ・スイートは満身創痍のようであるが。
 ダンジョンの最奥に辿り着いたジズ・スコープ(野良|古代語魔術師《ブラックウィザード》・h01556)の姿を見れば、気力を振り絞って言い放つ。
『く、また来たわね冒険者……パフェ作り対決で勝負よ!』
 その声を聞けば、こてりと小さく首を傾けるも。
「パフェ作り勝負、ですか。作った事は御座いませんが……挑戦致しましょう」
 ……楽しそうです、と。
 ジズはそう、パフェ・スイートから持ち掛けられた勝負を受けて立つことに。
 だって、パフェと聞けばやはり。
「美味しいは幸せですからね」
 それに、パフェ・スイートも満を持して自作のパフェを作るようだから。
 パフェに関しては一切妥協を許さないという彼女がどのようなパフェを作るのかも、ジズにとっては興味があったりするから。
 というわけで、パフェを作るにあたって、まずはとジズが選んだのは。
「パフェといえばな王道の器。この形がわくわく致します」
 パフェといえば、といった王道の形をしたパフェグラス。
 しかも美味しいをぎゅっと沢山入れたいから、大きめのものにして。
 いざ、グラスにパフェを作っていくのわけであるが。
 見目や味は勿論のこと、ジズはパフェを食べた時のことを脳内に思い浮かべながら、何を入れるかを考えてみて。
「一番下は最後のひとくち……」
 グラスの一番底に入れるものはそう、パフェの最後のひとくちになるから。
「甘いパフェを味わった後のひとくちは、フルーツが良いですね」
 甘やかながらも爽やかな後味になるようにと、カットした桃をチョイス。
 その上に重ねていくのは、桃ムースクリーム、ブランデー香るジェノワーズ。
 さらに甘いカスタードクリームとホイップクリームを絞って、果実酒をきかせたジュレも。
 キャラメリゼクルミをぱらり、アイスクリームも乗せるつもり。
 そして思い描いた通りに器に盛っていきながら、ジズはフルーツも沢山入れていく。
 何せパフェは見目も大事、横から見て綺麗なように切った苺を断面見せるように並べて。
 食べる時の楽しみや味のバランスを考えつつ、体裁良く色々と盛り付けていって。
 一番上に乗せるのはバニラアイス。けれどただ乗せるだけではなくて。
 キュートなお顔を描き描きした後、クッキーのお耳をぴょこんとつけて、うさぎさんアイスに。
 あれこれと試行錯誤しながらも――美味しいをいっぱい重ねて、幸せ詰め込むパフェ。
 ジズは初めてのパフェ作りに挑戦しながら、尻尾もゆらゆら。
「パフェは作るのも楽しいですね。好きなのを色々入れれるのが良いです」
 ……貴重な体験が出来ました、と。
 最後の仕上げに、うさぎさんアイスに飾り切りしたイチゴの薔薇を添えれば――完成!
 それから、パフェ・スイートが作った、こだわり溢れた王道なチョコレートパフェを見れば。
「おや、貴方の作られたパフェも素敵ですね」
『う、パフェ作りがはじめて、ですって? なのに、この完成度……!』
 だがそれでも、まだ味を確かめないと勝負はわからないわよ! と言う彼女と、パフェをいただくことにして。
 いただきますをしてひと匙、口へと運べばやはり、ほわほわ幸せな美味しさ。
 そして同じくパフェを口にしたパフェ・スイートは完全に悟る――パフェ対決を挑んだ、自身の敗北を。
 だが、どうしても勝負をつけたい様子のパフェ・スイートの言葉に、ジズはこう言葉を向ける。
「パフェというだけで優勝なのでは……?」
 だって、自分や他の仲間達のパフェは勿論、彼女のパフェも美味しそうだから。
 確かに、パフェというだけでもう優勝! と言ってもいいだろう。
 けれどパフェ・スイートは、パフェに対して一切妥協を許さない存在。
 だからこそ今回は負けを認め、このお菓子ダンジョンとともにダンジョンの主として消滅を受け入れる。
 また新たな高みを目指して再起をはかり、パフェ道を極めるためにも。
 ということで――美味しく楽しくご馳走様、ダンジョン攻略も完了です!

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挿絵イラスト