シナリオ

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夜会の招待状は、美しさの証

#√ドラゴンファンタジー #第三章プレイング締切:~3/15(日曜)12:00 #第三章プレイング締め切りました。現在リプレイ執筆中です。

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 #√ドラゴンファンタジー
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 風が撫でる森の騒めき、揺れる水面に反射する光の煌めき、夜空を飾る星々。人の眼差しに浮かぶ刹那の羨望――“美”は形を持たぬまま世界のあらゆる場所に宿っている。

 厭う者など、存在し得ないはずだ。
 感性の違いや審美眼の差異はあれど“美”を称え欲する心は、誰の内にも等しく秘められているだろう。

「嗚呼、欲しい」

 濡れ場色の闇に沈む、|御婦人《マダム》の愁いを帯びた声。

「美しい顔が欲しい」

 彼女は求め続けている。新しい|顔《コレクション》を。

 どれほど|集めて《奪って》も飢えは癒えない。
 乾いた心が渇望するのは“|何《だれ》か”を想い、“|誰《なに》か”に見惚れるその顔――。




 豪奢な金の枠に抱かれた、ひときわ大きな鏡が部屋の中心に置かれている。
 それはまるで夢と現実の境を断つ門であり扉のようでもあった。
 傍らには、視線を奪う鮮やかな色彩のドレスや磨き抜かれた靴が整然と並び、まるで貴族たちを迎える衣装店だ。

「好きなもの選んでってな。早い者勝ちや」
 集まった√能力者たちを前に、星詠みである一・唯一(狂酔・h00345)はにっこりと微笑んだ。
「はいはい。んじゃ、説明するでー」
 視線の交錯は困惑と疑念に塗れているが、唯一はその空気を軽やかに払い口を開く。
 微笑みの裏側、言外に秘められた念が直接脳内に語り掛けてきそうだ――「いいから黙って聞け」と。

 あ、だめだ。今日の|星詠み《コイツ》、またなんか変な事言うぞ。

「√ドラゴンファンタジーのとあるダンジョンが問題になりそうやねんけど」
 それは日常の中に生まれる亀裂。珍しい案件ではないようだが、緊急性の高さはありそうだ。
「“美しいもの”好きの誰かさんが“顔”を探しとるんやって」
 可憐な瞳から繰り出される愛くるしさ、凛と冷たい美貌の奥に潜む気高さ、凛と静謐を宿す横顔、あるは、清潔感を惜しげもなく溢れさせる目鼻立ちの整った相貌、髭や彫の深さが際立つ武骨さ――様々な“|美《かお》”という完成品。
 とある|御婦人《マダム》は夜ごと舞踏会を催し、気に入った“|顔《コレクション》”を連れ去ってしまう。ひとたび彼女の目に留まってしまえば、二度とその“|美《だれか》”は陽の下へ帰れない。

「……うん?」

 え? 説明終わりなの? これで?

「あ、あれか」

 唯一がぽんっと手を打つ。

「ダンジョンに辿り着くためには薔薇の迷路を|通らん《クリア》といかんのやけど。どうやらお嬢様口調やないと叩き出されるみたいなんよ。せやからほら、形から入ったらどうか思て。……あ、サイズはちゃんとたくさんあるで!」

 棘と罠が潜む薔薇の迷路。|選ばれし言葉《お嬢様口調》を使わなければ、叩き出されてしまうらしい。
 通り抜けた先にあるのは、中世の夜を再現したかのような城。
 ダンジョンの一角に発生したホールで行われている仮面舞踏会が、|黒幕《マダム》の待ち受けている場所へ行くための手段だ。デビュタントを祝う|令嬢《・・》だけの舞踏会。|御婦人《マダム》が認めた者だけに招待状が届くらしい。

「美しい人やないと、|御婦人《マダム》に選ばれへんらしいから。皆がんばってな?」

 それは永遠に満たされぬ“|美《こころ》”への狂気をなぞる追走。
 数あるダンジョンの中でも被害の予想が詠まれてしまった以上、放っておくことは出来ない。少しでも早く乗り込み攻略する必要はある。

 ドレスと靴、そして仮面を選んだ√能力者たちは星詠みに背を押され、まるで物語の主人公になるべくデビュタントへの道を歩み出したのだった。

 どうしてこうなった?
これまでのお話

第3章 ボス戦 『マダム・ヴァニタス』



 ほくそ笑むように、|御婦人《マダム》の気配が揺れている。

 甘い香りは花蜜のような無垢な芳香ではない。
 熟れ切って地に落ち、密やかに爛れ始めた果実のような昏く濃密な気配を孕んでいる。そこへ隠しようもなく滲む鉄錆がひとすじの亀裂を生み、不穏さを一層際立たせていた。

「嗚呼、嗚呼、――今宵の|獲物《かお》はどれもが最高級だこと」

 愛らしく可愛らしいもの、凛と澄ました美しいもの、――どちらでも良い。どちらも|良《うつくし》い。
 寄り分ける必要はない。美とは、たったひとつの解を持つものではないのだから。



 仮面舞踏会は静かに終幕を迎える。



 特別な舞踏会への招待状を手にしたものだけが、回廊を上がる事を許された。

 選ばれなかった令嬢たちは残念そうに肩を落としながらも、華やかな思い出を胸に笑顔を取り戻してそれぞれの帰路へと着いてゆく。ある意味では選ばれない事こそが幸福なのだけれど。

 分厚いカーテンの向こう側、深紅のドレスが翻る。

 姿を現した『マダム・ヴァニタス』の手には、飽きられてしまった、だれかの|顔《・》。

「ひっ、」
 |不幸《ぐうぜん》にも選ばれてしまった√能力者ではない、ただの美しい令嬢の悲鳴は喉奥に塞がれる。ごろりと転がった|それ《・・》。硬質な床の上に赤が咲く。
 薔薇の花弁のように艶やかで、然し花とは程遠い。舞踏会の余韻を残した煌びやかな床をじわり、じわりと汚す。

「もっと近くで、おまえたちの美しさを、|私《わたくし》に見せてちょうだい」

 甘やかに腐りゆく執着と次の|美《かお》を求めて止まぬ底無しの渇き。
 花の奥で、|御婦人《マダム》が嗤った。
クラウス・イーザリー
ジェイド・ウェル・イオナ・ブロウクン・フラワーワークス

 冷たい床にごろりと転がった|令嬢《かお》。
 つい先ほどまで息づいていたはずの美は、あまりにも唐突に|居場所《いのち》を奪われ、煌びやかな舞踏会の床を舐めた。
 その惨たらしさにクラウス・イーザリー(太陽を想う月・h05015)は息を呑む。
 曇る視界の端、深海の色を映した裾が翻りクラウスを現実に引き戻す。
「花を散らすだけ散らして、拾い上げもしないなど――淑女の風上にも置けませんわ」
 ジェイド・ウェル・イオナ・ブロウクン・フラワーワークス(笑おうぜ・h07990)は優雅に膝を折り、されど血に濡れた|彼女《・・》を恭しく拾い上げる。まるで砕けた宝を扱うように、少しの乱暴さも躊躇いもない真摯な動作。
 明日を奪われた瞳をそっと閉じてやりながら抱きなおす。
「淑女が聞いて呆れますわ」
 嘆く様に、悔し気に。一切を押し殺した声音を吐き出しながらクラウスはジェイドの横に並ぶ。胸を満たす冷えた激情が今にもまろびでそうだった。
「後で必ず弔いますので、少しだけお待ちくださいな」
 翡翠に鮮やかな赤が滲むのも厭わず、クラウスは彼女を受け取って安全であろう窓際までそっと運んでやる。

『その子に構っていないで、おまえの顔を見せて頂戴』

 ふいに、甘く爛れた香が濃くなった。
 マダム・ヴァニタスがまるでエスコートするように指先が宙を撫でれば、歩み出て来るのは見覚えのある翡翠の瞳に柔らかな微笑み。今まさに隣にいたはずの愛しい人――ジェイド。
 あまりに自然で、あまりに美しい。
 本物の姿が見えなくなるほどに。
 だからこそ、マダムへ親し気に寄り添い微笑む姿は、悪夢のように甘美で鮮やかにクラウスの瞳を惑わす。

「……ジェイド、お姉様」

 差し出された手を取る様に、クラウスは|右手《・・》を差し伸べた。

「……イーザリーお嬢様、わたくし以外の姿を見てはいやよ。妬けてしまいますわ?」
 
 ジェイドの声がクラウスに届かないはずがない。
 それでもなお、クラウスは幻へ手を伸ばす。

 掌が触れた瞬間、ばちり、と静電気のような鋭い音が弾けた。

「所詮は、幻」
 少しだけ嘲笑うような声音と同時に瞬く光が虚飾を砕き、硝子めいて幻想は罅割れ、音もなく床に散らばり消える。

「わたくしはジェイドお姉様以外見ませんわ。幻なんかより、本物の方がいいに決まっていますもの」

 当たり前のように振り返ったクラウスの視線の先では、本物のジェイドが唇に弧を描かせていた。

 愛するものの幻影で惑わせるというのなら、なんと浅はかなことだろう。
 クラウスの心が向く先は、そんな紛いものの入り込む余地すらない。

 再び差し出されるジェイドの左手。
 そこへ重ねられるクラウスの右手。
 疑いなく、迷いもなく、確かに握り返される。
 偽りを打ち砕くルートブレイカーに、真の絆は拒めない。

『本当に、美しいわね』

 己の幻を砕かれてなお、マダム・ヴァニタスは焦りを見せない。むしろ、寄り添うように並ぶふたりを眺めるその声音には、美への渇望と歪んだ歓びが滲んでいた。

 刹那、ジェイドが踏み込む。

 華々しく美しく可憐で優雅なステップの如く。それはまるで舞踏会の再演。
「ごきげんよう、マダム」
 上目遣いに投げて寄越した甘い囁きさえ囮に変えて、ジェイドは重厚な布の奥に隠された足元を狙い穿つ。

 僅かにマダムの身体が傾いだ。
 粗相を叩き落すように振るわれた扇が空気を鳴らす。
 だがジェイドはそれすら一曲の振り付けに取り込むように、優雅なターンで躱しながらヒールで深紅のドレスの裾を踏み付けて床に縫い止める。追撃の一閃。花弁めいた異形が容赦なく散った。
 さらに、ぼう、と焔が芽吹く。小さな火種は瞬く間に意志を持って燃え広がり、マダムの|顔花《かんばせ》を舐めるように焦がした。

『お行儀の悪い子』
「誉め言葉かしら?」

 マダムが伸ばした手を、一筋の光が焼いた。
 それはクラウスの援護。花を裂く雷光にも似たレーザーが、ジェイドへ伸びる指先を無慈悲に断ち切る。

「わたくしも踊りに混ぜてくださるかしら?」

 クラウスのレイン砲台から放たれたレーザーは苛烈に窓を突き破り、澱んだ空気を拭い去る。同時に口早煮紡がれた詠唱により招かれた新たな炎。緋色の花弁のように部屋を灯し、酸素を喰い散らかすように|顔花《かんばせ》を焼こうと熱を燻らす。

「ひとの美しさを奪うひとなんて、美しくありませんわ」
 
 ジェイドが踏み込めばクラウスの炎が道を拓き、クラウスが狙いを定めればジェイドのターンが敵の視線を奪う。青と緑、深海と森、静謐と烈火。燃える薔薇、砕ける顔花、踊るように交錯するふたりの影。相反するようでいて、ひどく美しく溶け合う二つの色彩。

「わたくしとジェイドお姉様の前で――燃え尽きてしまいなさいな」

 寸分違わぬその連携は、長く磨かれた舞踏の型のように完成されていて、見る者があれば思わず見惚れたに違いない。けれどその美しさは、観賞のためではない。

「悪趣味な|お顔《花》は燃やし尽くしてしまいましょうね」

 美を喰らう怪物に、今宵もっとも美しい反撃の幕が上がった。

各務・鏡

 溜息が、ひとつ落ちた。

「……困ったものだね」

 各務・鏡(自称写真機の付喪神・h09413)静かに目を細めた。
 その声には冷えた失望が滲む。

 美に解がひとつではないと知りながら――それでも、飽いた花を摘み捨てるように奪わねばならないのか。
 少し離れた場所へ|置かれた《・・・・》彼女を一瞥する。
 ならば最初から、手折らなければよかったのに。なお新しい美を欲するその有様は、まるで数多の妾を囲う男主人のようだ。けれど本来、手に入れたものには最後まで責任を負うべきだろう。この|御婦人《マダム》には、それがない。

「この格好にも飽きたし、戻ろうか」

 薔薇の香りと鉄錆のあわいで、女の輪郭がほどけてゆく。コルセットの軋みを解くように、偽りの曲線は霧散し、そこに立つのは本来の男の姿。ドレスと袴はどこか似ていても、やはり腰回りの窮屈さは比べものにならない。

 変転と同時に、鏡が纏うのは古き龍の気配。身に宿る気配が一段、いや二段と鋭さを増す。空気が張りつめ、鏡の影が風より先に滑った。
 
 選ばれた令嬢たちはやはりほとんどが|仲間《√能力者》だったことに安堵と納得をしながら、花弁を散らす深紅の腕が伸びるより早く、鏡はその懐へ斜めに潜り込む。袖の残像だけを置き去りに、爪牙のごとき一閃を叩き込み、次の瞬間にはもう射程の外へ退いていた。
 仲間の動きを目で追い、感覚的に理解をして滑り込むのを繰り返す。

 決して邪魔はしない。
 だが、隙は逃さない。

『まあ。脱ぎ捨てたのね、おまえ』

 ふと、マダムの|視線《かんばせ》が鏡の姿を上から下まで眺めた。

『嗚呼、仮初めの花ではなく、根を晒してみせるのね。――それでもなお美しいなんて、ますます欲しくなってしまうわ』
「……褒め言葉として受け取る気にはなれないな。君は美しいものが欲しいんじゃない。自分の手で摘み取って、所有した気になりたいだけだ」

『ええ、そうよ?』

 悪びれもせず、マダムはくすりと喉を鳴らした。
 まるで幼子が秘密を言い当てられて喜ぶような、無邪気ですらある響きだった。

『咲いているだけの花を、遠くから眺めているだけで満足できるほど、私は聞き分けの良い女ではないの。欲しいと思ったなら、この手で摘み取っていつも愛でたい――ただそれだけだわ』

「こういう手合いは、なんとなく苦手な気がするねぇ」

 低く零しつつ、再び踏み込む。
 美を語りながら、美そのものを摩り潰す怪物。理想だの好みだの――そこまで考えて、鏡は小さく口を噤んだ。
「……いや、言わないでおこう」

 代わりに放たれた二の撃が、闇に細い裂け目を走らせる。
 摘まれ、棄てられた美のために。今宵、静かな怒りは鋭い速度となって、|御婦人《マダム》の喉元へと迫ってゆく。

ルスラン・ドラグノフ

 薔薇の香と鉄錆が、ひとつの夜に溶け合っている。
 甘美と凶兆とが抱き合うその|戦場《ぶたい》へ足を踏み入れながら、ルスラン・ドラグノフ(лезгинка・h05808)は艶やかに裾を翻した。

「ついにフィナーレですわね!」

 高らかに告げた直後、ふと青い瞳がぱちりと瞬く。
 はて。何か忘れているような気がする。
 もう女装も口調も気にしなくていいはずなのに、どういうわけか、すっかりこの淑女ぶりが板についてしまっていた。いや、板につくというのも何だか癪だが、今さら戻すのも妙な話である。

――まあ、終わってから考えましょう!

 控えめな自己主張が仇となり、ルスランはそう結論付ける。
 既に戦闘は始まっている。彼の決意に水を差す者は誰もいない。

 しなやかな指先から、ひとすじの銀が放たれる。
 ルスランの投じた薔薇を纏うナイフは、マダム・ヴァニタスの間合いを薙ぐ。

「決闘を申し込みますわよ」
『まあ、無粋。けれど今宵は舞踏会ですもの――踊るように愛でるのも、また一興かしら』

 マダム・ヴァニタスの視線が|そちら《ナイフ》へ吸われた刹那、ルスランの唇が小さく吊り上がる。
 美しいものほど油断ならないとは、こういう時に使う言葉だろう。

「ふっ。そちらに意識が向きましたわね」

 次の瞬間には、空気が弾けていた。

 空中ダッシュ。
 ひらりと舞う桃金の裾は、甘やかな彩りで目を欺きながら、花びらのように愛らしく、されど軌道は矢よりも鋭く、弾丸よりも苛烈だった。

「死せる魂よ、お立ちなさい!」

 その呼び声は、芝居がかった華やかさを帯びながら、なお背筋を冷やすだけの凄みを含んでいた。
 ただの口上ではない。何かを目覚めさせるための言葉だ。夜の底に沈んだもの、名もなく黙したもの、終わったはずの気配さえも、振り返らせるような、そんな不穏で壮麗な響き。
 接近と同時に放たれるのは呪詛を孕んだ衝撃波。
 目に見えぬ雷鳴がマダム・ヴァニタスの深紅を内側から揺らした。華やかな装いで放つにはあまりに物騒。然し、ぞっとするほど美しい一撃だった。

「とはいえ不意打ち攻撃なんて一度しか効きませんわよね」

 それはそう。
 ならば後は、舞うだけだ。
 避ける。滑る。翻る。
 その動きは鏡の間に乱反射する虚像のようで、どれが本物か探る頃には、もうそこにルスランはいない。マダムの扇は空を切り、無駄打ちへ終わる。

『まあ、せわしない子。薔薇園を飛び回る小鳥のつもりかしら』
 マダム・ヴァニタスは扇の陰でくすりと嗤う。
『可愛らしいこと。そんなふうに忙しなく羽ばたいても、最後には私の手の中でしょうに』
 深紅の裾を引き、ゆるりと掲げられた指先から花弁のような殺意が零れ落ちる。
『それとも怖いのかしら? 私に見初められるのが』

 ひらり、と身を翻したルスランの残像を裂くように、紅い一閃が追いすがる。鋭い気配が肩口を掠め、ひやりとした痛みが遅れてルスランの肌を走った。
 刹那、肌の上に張り巡らせていた薄青いエネルギーバリアが硝子めいて瞬き、食い込むはずだった衝撃を受け止め、砕き、流してゆく。致命へ届くには、あとほんの少し足りない。
 可憐な布地に浅い傷を残しただけで、マダムの攻撃は宙へ散った。

「できる淑女は抜かりがありませんことよ」

 ルシアンは微笑みながら再び踏み込み、そして離れる。

 軽やかな足取りで刻まれるヒット&アウェイは、舞曲の拍子のように小気味よくストロベリーカラーの裾が翻る。

 舞踏会の終幕にふさわしい、血と薔薇と皮肉に彩られた、見事なフィナーレのために。