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ぬえです

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●んなんな
 てってこ。

 ねこは歩いています。なぜなら歩いているからです。
 口にはかわいい鈴付きの絵馬を咥えて、てってこたたた。ちりんちりん。
 書いてあるお願い事は「動物との良いご縁がありますように」――隅っこに猫の絵。猫と縁のある神社から持ってきたもののようだ。

 ねこねこ良縁! 我が縁も繋がるとよろし。なんか最近野良猫が増えたと聞く。誰かの家を乗っ取った猫友も増えた。
 なんにもせずとも飯が食えるならばよろし、よろし。

 絵馬の主人を探して歩く……トコトコ。この絵馬は不思議だ! わたしは猫だが、この絵馬に書いている意思がわかるのだ! この絵馬の持ち主は、わたしのような存在を求めている!

 ……そして。
「――あーっ! それ、私の絵馬!」
 その願いが届いてしまえば、たいへんな『ねこ』が現れてしまうのだ。

●こんばんは。
「よう、『こんばんは』。ってことで、ねこの捕獲を頼むわ」
 だるそう。六宮・フェリクス(An die Freude・h00270)、煙草の火と派手な天輪と後光の光に包まれつつのご挨拶である。ところで、まだ朝だが?

「ねこ……ねこだ。ねこだぞ。当然ねこだから素早い。手間はかかると思うが追いかけたりなんだりしてくれや」
 簡単にとっ捕まるようなねこじゃない、と肩を竦めるフェリクス。曰く、このどら猫、非常にすばしっこい。自分が咥えている絵馬が『特別なもの』であることを理解しているらしい……。
「古妖の復活にはねこ一匹と、ある女性が関わってる。ま、ねこをきちんと追っかけていけば派手な被害が出る前に、再封印に取り掛かれるだろ」
 すなわち追わない理由ナシ。ねこねこ。

「その後は……うん。たぶん、『ぬえ』が待ってる」
 ぬえ――鵺。それはいくつもの獣のからだをツギハギしたかのような妖怪だ。西洋ではキマイラと呼ばれることもあろう。しかしフェリクスはしばらく黙り込んだあと、なぜか視線を逸らして。

「自称の」
 自称??
「自分を鵺だと主張する古妖だ。確かに鵺っぽいんだが……」
 頭が、ねこで……。

●んなんな!
 猫に強い思い入れがあった。それでも『動物』と書いたのは、私が彼らの世話をできるのか、不安だったからだ。
 猫カフェでもいい、野良猫との交流でもいい。犬と戯れるのもいい、馬も可愛い。いろんな場所に動物はいる。
 この街にはたくさん猫がいて、みな地域猫として可愛がられて育っていた。人間と完全に共存するのは難しくても、同じ街で暮らすことはできる。
 ただ、良縁があればいいなと書いた絵馬が猫に盗まれるなんて、考えてもいなかった。

 それでも……そう。『それ以上』の出来事が起きるだなんて、予想できるわけがない。

「ナ゛ーん」
 自分の身の丈を圧倒的に超える、巨大な猫の頭をした『それ』は、私に「撫でて」とばかりにその顔を押し付けてきた。
これまでのお話

第2章 冒険 『通り道を封鎖せよ』


 もにもにもぞもぞ。ねこは息を荒くしてもにもに、|√能力者《EDEN》の腕の中でもがいています。
 なぜなら走って走って捕獲されたため。

 なんでこんなに自分を追いかけてくるヒトが多いのか! 逃げ回っていたがとうとうお縄についたねこ。
 だが、鈴つき絵馬を咥えたままのねこの前に現れた、ひとりの女性。

「……あーっ! それ、私の絵馬!」
 自分の口元を指差したその女性。ねこは思う――自分の探していた人間にちがいない! ねこはふんふん鼻を鳴らし、しかしがっちりと絵馬を咥えたままで喉を鳴らす。
 ともあれ困ったことに、いや運命か予定調和。
 ねこと女性が出会ってしまったら、どうなるか。

 ――遠くからどし、どしと足音が聞こえてくる。ねことは明らかに違うしっかりとした足音、足取り、どしどしと鳴りはするが、軽やかで。
 遠くからでも見えるその姿。道を塞がんばかりの大きさ。耳と尾はぴんと立ち、黄色い瞳は爛々と。鈴の音に釣られて歩くそれ。
 尻尾は蛇、胴は狸、手足は虎。

「ん゛な」
 そして顔は、ねこである。

 妖の煙を引き連れて、鈴の音目掛けてのし、のし……。
 あれこそが古妖「ぬえ」である――!
「……こ、こっち来てるよー!?」
 女性がぴゃあっと悲鳴を上げる。でかい! でかすぎるにもほどがある! ねこも見事に固まっている!!

 あの大きさの古妖をこんな町中で相手にしたら、どうなるかわかったものではない。
 せめて広さのある場所で戦うべきだろう。どうにも足取りはまっすぐだ。誘導やら道を閉鎖するなりしなければ、こちらへ一直線間違いなし!
 幸い、EDENらによって近くに広い空き地があることは判明している。そこへ誘導するが吉。
 ひとまず話はそれからだ!!