移動神殿への侵攻
『ペンタクルム・ゲート』関連シナリオ
これは、宿敵旅団『ペンタクルム・ゲート』に関連するシナリオです。これまでの物語は、#ペンタクルム・ゲートで確認できます。
このシナリオに登場する宿敵は、宿敵主との『Anker』関係が失われており、シナリオに参加しただけでは絶対死しません。宿敵主に対して冷淡な反応(他の参加者と同程度の反応)を示す事も多いため、その点は理解の上ご参加下さい。
このシナリオに登場する宿敵は、宿敵主との『Anker』関係が失われており、シナリオに参加しただけでは絶対死しません。宿敵主に対して冷淡な反応(他の参加者と同程度の反応)を示す事も多いため、その点は理解の上ご参加下さい。
●移動神殿『スフィンクスゲート』にて
移動神殿内には、重い空気が漂っていた。
「残念ながら、ペンタクルム・パールによるエネルギーの奪取は失敗となった」
暗い雰囲気の中、犯罪鬼妖教授『モリアーティ』が口を開く。
「ペンタクルム・パールの性質を甘く見ていたのに加え、EDENの√能力者の力も予測以上だった。
拉致してきた科学者や技術者を使って、ペンタクルム・パールの問題点の改善にも着手していたのだが、間に合わせる事が出来なかった」
人間災厄「狂科学」ジェーン・ドゥは内心臍をかんでいた。
いまだ研究途中。もっと研究し、ブラッシュアップしたい。けれど、今までの成果でなんとかしなければならないという現状は腹立たしいことこの上なかった。
「更に悪い事に、EDENの星詠みに、この移動神殿『スフィンクスゲート』の位置を知られてしまったようだ。おそらく、EDENの√能力者による襲撃が行われるだろう」
ジェーンの内心を知ってか知らずか、モリアーティは説明を続ける。
「皆には、特別な処置を加えたペンタクルム・パールを配布する。研究中に偶然できた失敗作だが、現時点では、他に手段は無い」
これを使えば、一時的に強大な力を得る事ができ、戦闘力が上昇するだけでなく、敵を異空間に閉じ込めて有利な戦場で叩く事が出来るだろう、と付け加える。
「ただ、このペンタクルム・パールは重大な欠陥がある。使用すれば、過大な負荷がかかり、場合によっては命さえ危うくなるだろう。
その前に、襲撃してきた√能力者を撃退しなければならない」
そこまで話すと、モリアーティはジェーンたち……集まった幹部たちを見据えた。
「だが、勝利の道筋は残っている。襲撃してきた√能力者を撃破すれば、その生命力をペンタクルム・ゲートに吸収させる事が可能だ。
襲撃してきた√能力者を、多数撃破できれば、そのエネルギーで、ペンタクルム・ゲートを開く事すら可能になる」
つまり、|√能力者を倒せば《・・・・・・・・》、|生命力を奪って《・・・・・・・》ペンタクルム・|ゲートに与えられる《・・・・・・・・・》。
|√能力者《被検体》を解剖する。それはきっと、ゲートのエネルギーだけでなく、己の知的好奇心も満たしてくれるだろうとジェーンは思った。
「奴らが、それを許してくれるかは判らないが……。勝利の為には、なんとしても成し遂げねばならない。皆の検討を祈る」
モリアーティの話が終わるとすぐに、ジェーンは「実験」の準備に取りかかったのだった。
●星詠みが得たゾディアック・サイン
「集まってくれてサンキューな。時間が惜しいから早速本題に入らせてもらう。
……特殊なゲートを使い、星読みの予知を擦り抜け、阻止不可能な事件を引き起こしていた、宿敵旅団『ペンタクルム・ゲート』がいたよな? 彼らの拠点を発見する事が出来た」
ポケットの中のシガレットケースを探そうとして、五百住・遊悟(沈黙の掟・h03324)はすぐにその手を止めた。
「彼らの拠点には、様々なルートの科学者や技術者が拉致されていて、怪しい研究を進めているみたいだ。
今回は、その救出をすると共に、事件を起こしている幹部宿敵や、事件の黒幕の討伐をお願いしたい」
拠点に捕えられている科学者や技術者は、ペンタクルム・パール事件と同様に、特殊なゲートを使って拉致されたらしい。
特殊なゲートを使って、対象者のすぐ近くに現れ、拉致後、すぐに撤退していた為、星読みの予知では事件の発生も確認できていなかった。
「宿敵旅団『ペンタクルム・ゲート』は、この技術を、彼らの目的の為だけに使っているようだが……星読みに察知される前に事件を起こせる特殊なゲートは、悪用されれば、世界を揺るがす脅威になりえるだろう。
世界の指導者たちを簡単に暗殺できるだろうし、機密情報や重要物品も盗み放題になる」
遊悟は重たいため息を漏らした。
「この技術の流出を止める為にも、今回の事件は、急いで対処する必要がある」
「今回、みんなに向かってもらいたいのは、√ドラゴンファンタジー。敵集団の拠点は、そこのサハラ砂漠に隠されていた」
敵の拠点は、√EDENのギザのピラミッドのスフィンクスを彷彿とさせる形をしており、拠点自体が強大な力を持つ、魔法建造物であるらしい。
「この拠点を護るために、多くの敵が布陣しているようなので、まずは、この敵を撃破して、拠点に突入して欲しい」
拠点の突入口は前方・後方・左右の4カ所あるので、その何れかから内部に突入することになる。
内部にはいくつもの研究区画があり、科学者や技術者たちが働かされている。
「この科学者たちの救出と、可能ならば研究データの奪取も行って欲しい」
ただし、研究区画には技術者や科学者の逃亡を防ぐ為に、集団敵の『しっぱいさく』が配置されている。
救出の為には、この『しっぱいさく』への対処も必要だろう。
「『しっぱいさく』を排除しつつ、|科学者たち《一般人》を救出、可能なら研究の調査も……。やることが多くて申し訳ないが、よろしく頼む」
拠点に突入後は、当然、敵の幹部が―――人間災厄「狂科学」ジェーン・ドゥが迎撃に出て来るだろう。
「ジェーンは、以前の事件でも確認された『ペンタクルム・パール』と呼ばれる宝石の強化版を使い、自分に有利な戦場を創り出し、そこに√能力者を引き込んで戦闘を行うようだ」
敵が創りだした特殊戦場内での戦闘では、かなり不利な戦いを強いられる。うまく対応して戦闘を行って欲しい、と遊悟は念を押した。
「ジェーンが創り出すのは、『被検体にされてしまう』という特殊戦場だ。
ジェーンの周りには、巨大なロボットアームが多数設置されていてな。近づく者を捕らえて、実験台の上に磔にし、|解剖して《殺して》しまう……という感じだ」
相手が巨大かつ強力であるため、一度捕らわれると逃げられないと思った方がいい。
逆に言えば、相手の動きは大ぶりになりがちだ。ロボットアームの合間をかいくくぐるため、いかに小回りを利かせられるかが、ジェーンにダメージを与えるための鍵になるかもしれない。
「基本的に苦戦を強いられると思う。対処を講じていってもトントンにもっていけるかどうか……。
可能なようならば、特殊戦場からの脱出も視野に入れておくと良いかもしれない」
そこまで話すと、遊悟は姿勢を正し、√能力者たちに向かって奇麗に頭を下げた。
「まないが、急いで現地に向かい、敵の拠点に乗り込んでくれ。
ジェーンは強敵だ。十分に備え、無茶はしないようにな。どうか、よろしく頼む」
●拠点内部にて
動く肉塊。|そうとしか呼べぬ者《『しっぱいさく』》たちに監視され、科学者たちは破損した資料の修復を行っていた。
何日も風呂に入れていないのであろう身体は汚臭を放ち、髪もボサボサ、服は薄汚れていて、彼らの姿は一様にみずぼらしい。
「あと何日作業すれば終わるんだ……この地獄は」
「しっ、めったなことを言うんじゃない。飯さえも抜かれるかもしれん」
科学者のひとりがぼやくと、別の科学者が諦念にも似た笑みをその顔に浮かべた。
「俺らが逃げようとすれば、あいつらにぶたれる。もう諦めるしかない……」
彼らの身体には、ところどころに折檻されできたのでろう青あざが浮かんでいる。疲労の色も濃い。一刻も早い救出が必要だろう。
マスターより
藤井忍この依頼の目的は「拉致され無理矢理働かされている科学者たちを救出し、特殊戦場内でジェーンを撃破すること」となっております。
まず第一章では、移動神殿を護る集団敵を蹴散らして、スフィンクスゲートに乗り込でください。
スフィンクスゲートは防衛体制を取って停止中ですので、集団敵さえ蹴散らしてしまえば、問題なく乗り込めます。
第二章では、スフィンクスゲートに囚われた|科学者たち《一般人》の救出になります。
彼らの側には、監視のために集団敵『しっぱいさく』が配置されています。この集団敵を排除しつつ、科学者たちを脱出させてあげてください。
調査を行えば研究についての情報を得ることができますが、最優先事項は科学者たちの救出となっています。
第三章では、『人間災厄「狂科学」ジェーン・ドゥ』との戦闘になります。
彼女が用意した『被検体にされてしまう』特殊戦場に移動しての戦闘になります。
基本的には苦戦を強いられますが、プレイングに「小回りが利く」「自分たちの小ささを生かす」ような内容が盛り込まれている場合、プレイングボーナスが発生し、攻撃が成功する可能性が高まります。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
31
第1章 集団戦 『対超常特務部隊「暗部」』
POW
|自己犠牲の献身《隊長命令》
60秒間【クヴァリフドーピング】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【異形化した拳】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
60秒間【クヴァリフドーピング】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【異形化した拳】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
SPD
|対超常封印弾《シルバーバレット》
自身の【放った銃弾】を、視界内の対象1体にのみダメージ2倍+状態異常【√能力封印又は暴走】を付与する【|対超常封印弾《シルバーバレット》】に変形する。
自身の【放った銃弾】を、視界内の対象1体にのみダメージ2倍+状態異常【√能力封印又は暴走】を付与する【|対超常封印弾《シルバーバレット》】に変形する。
WIZ
|高価なお札と貴重な聖水《対超常武装》
自身の右掌で触れた√能力を無効化する。
自身の右掌で触れた√能力を無効化する。
見下・七三子エレナさん(h09057)と
前回の作戦は阻止できましたけど、今回もがんばらないと。
でも今回は心強い助っ人を呼んじゃったんですから!エレナさん、よろしくお願いします。
わあ!レーザー!すごいです。的確に敵の急所を突いていきますね。
じゃあ、私も負けてられません。
ヒット&アウェイでレーザーに紛れて先制攻撃を。
ふふ、光のある所には影、ということで。これだけ光があれば、紛れる所なんていくらでも。
隠れきれずに銃弾を受けそうなら、敵を盾にしながら、見切りでかわします。
エレナさんのほうも順調ですね。ふふ、お友達と一緒だとやっぱり心強いです!大好き!ありがとうございます。
って、わああ!ふふ、すごい、飛んでますよ!
エレナ・ヴァルツェル見下・七三子(h00338)さんと同行
「…とりあえず連中を蹴散らせばいいのよね」
ナミコ…ひょっとしてこれに単身突撃するつもりだった?
助っ人に来て良かったわ。
とりあえず気象決戦兵器をスタンバイ。
空中から雑にレーザーをばら撒いて範囲攻撃を敢行。
火力は低いけどこの連中相手なら十分でしょうね。
…本当は爆撃でもしたいところだけど、
ナミコを撒き込んじゃうわけにはいかないし。
基本的にはナミコより数メートル後ろの空中で
死角をカバーするように立ち回り、片が付いたらそのまま
彼女を抱えて…というよりぶら下げて飛びながらゲートに乗り込むわ。
この方が早いからちょっとだけ我慢してね。
(「前回の作戦は阻止できましたけど、今回もがんばらないと」)
見下・七三子(使い捨ての戦闘員・h00338)は以前、人間災厄「狂科学」ジェーン・ドゥによる企みを潰したことがある。
しかし、前回が上手く行ったからといって、今回もまたそうだとは限らない。
向こうとて、学習はしているはず。気を引き締めてかからねばならない。
(「でも今回は心強い助っ人を呼んじゃったんですから!」)
「エレナさん、よろしくお願いしますね」
七三子は隣に立つエレナ・ヴァルツェル(ブルー・レイダー・h09057)に視線を向けた。
「……とりあえず連中を蹴散らせばいいのよね。
ナミコ……ひょっとしてこれに単身突撃するつもりだった?」
砂漠地帯に停止している移動神殿。その周りに展開された部隊を見て、エレナはため息を漏らす。
「……駄目でしたか?」
「助っ人に来て良かったわ」
無茶をするんだからとエレナは呟く。
彼女たちの眼前に展開される対超常特務部隊「暗部」の人数は、ひと目では数えきれぬほど。数の利のみならず、地の利も向こうにある。
「先に私が|空《上》から大まかに叩くわ。撃ち漏らしに関しては、ナミコ、お願いね」
「はい!」
そう言うと、エレナはパワードスーツ型鹵獲兵器を展開した。青い塗装がくわえられた|白銀《機械》の翼は、エレナの身体を空の高みへと誘っていく。
決戦気象兵器「レイン」をスタンバイさせると、地上に居る七三子の位置をチェックする。巻き込まれない場所に立っていることを確認した上で、|粒子状のレーザー発生装置を発動させた《【決戦気象兵器「レイン」】を発動させた》。
「敵襲!」
「耐えろ! 一撃一撃は強くない!」
上空から雨のように降り注ぐレーザー光線。部隊員たちは|対超常武装で対応しようとする《【高価なお札と貴重な聖水】を発動する》が、レーザー光線相手では分が悪い。
例え一撃の火力が弱くても、何度も当たればダメージは蓄積する。
「くそ! 脚をやられた!」
「腕がっ……後方に下がる!」
急所をつければよし。よしんばつけずとも、脚を貫かれれば移動できなくなるし、腕を貫かれれば銃を扱えなくなり、戦力の大幅ダウンを見込める。
(「……本当は爆撃でもしたいところだけど、ナミコを撒き込んじゃうわけにはいかないし」)
遠方から爆撃すれば、部隊に対して一気にダメージを与えられるだろうことは容易に想像がつく。
しかし、今、戦場にはひとりで立っているわけではない。
信頼できる|仲間《友》がいる。互いの欠点を補い合える。|ひとりで戦わなくて《無理をしなくて》良いのだ。
「わあ! レーザー!
すごいです。的確に敵の急所を突いていきますね」
部隊の足並みが乱れたところに、七三子は「じゃあ、私も負けてられません」と単身で飛び込んでいく。
「撃て!」
部隊員たちは|装備している銃を構えた《【対超常封印弾】を発動した》。
しかし、その指がトリガーを引くよりも早く、七三子が動く。
「私ただの下っ端戦闘員なので!」
一気に距離を詰め、鉄板入の革靴で相手の延髄に蹴りを叩き込む。
「がっ!」
部隊員は脳しんとうを起こし、その場に倒れ込む。
(「ふふ、光のある所には影。これだけ光があれば、紛れる所なんていくらでもありますよ」)
風によって形を変える砂漠の丘の、その絶妙な影に溶け込むようにして七三子は身を隠す。
「どこへ行った!?」
「くそ、上からの砲撃が鬱陶しい……」
エレナの猛攻をかいくぐりながら、部隊員たちは必死になって七三子を探す。
七三子は近づいてきた部隊員に対し、ある者に対しては横っ腹に回し蹴りを放って弾き飛ばし、またある者に対してはかかと落としを叩き込んで撃沈させた。
(「ふふ、お友達と一緒だとやっぱり心強いです!」)
「Shit!」
悪態をつく部隊員の胸元に、七三子は真っ直ぐに蹴りを放った。
「ナミコ、大丈夫?」
目の前に展開する部隊の殆どが地に倒れたところで、エレナは七三子の元へと降りてきた。
「はい!
エレナさん、大好きです! ありがとうございます」
「……ん、私もよ」
仮面をつけて顔を隠していても、その声だけで七三子が嬉しそうにしているのはエレナに伝わってくる。
対照的に、エレナの表情も声音も殆ど変わることはなかったが、それでも、七三子は|彼女《エレナ》が安堵しているのを肌で感じ取った。
「じゃあ、行きましょう」
エレナは七三子の両脇に腕を通して抱えると、彼女をぶら下げるような体勢で飛び上がった。
「この方が早いからちょっとだけ我慢してね」
そうしてそのまま白銀の翼で砂漠の空を飛ぶ。エレナにとって空中は見慣れた風景でしかないが、七三子にとっては斬新に見えるらしく、目を丸くした。
「わああ! ……ふふ、すごい、飛んでますよ!」
自分を信頼して身を預けてくれる|七三子《親友》の姿に、たまにはこういう風に誰かと飛ぶのも悪くないかも知れないとエレナは思う。
そうして、移動神殿『スフィンクスゲート』に到着するまで、ふたりは飛び続けたのであった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
和紋・蜚廉蟲煙袋を焚き、擬殻布を纏って忍び込む。
狂った科学者の下へ再訪するのだ。
手の内は晒しすぎぬに越したことはあるまい。
姿と気配を眩ませたまま、
特務部隊の一員へと化けて一人ずつ奇襲をけしかけよう。
増援や連絡を取られては厄介なのでな。
細く見えづらい斥殻紐の罠も用いて身動きと発声を封じつつ、
生やした殻突刃による貫通攻撃で装甲を縫う様な一撃を急所へ繰り出す。
仕留め損なう懸念も残さぬ様、確実に。
グラップルで締め上げる確認も取りながら遂行するのだ。
やがて数が減った後、敵も異変に気付くだろう。
そうなれば後は疑心暗鬼に陥った部隊の自滅を誘う様に、
翅音板の攪乱で魅了を放つ。
見えぬ害意の恐怖に惑うと良い。
(「狂った科学者の下へ再訪するのだ。
手の内は晒しすぎぬに越したことはあるまい」)
和紋・蜚廉(現世の遺骸・h07277)は、蟲煙袋を焚いてカラカラに乾いた砂のかおりに身を馴染ませ、擬殻布を纏って砂漠の風景に身を溶け込ませる。
堂々と正面突破することもできなくはない。だが、向かうは敵の拠点。こちら手の内を明かしては、きっと早々に対策をとられる。ならば、今は身を潜めていく方が良いだろう。
蜚廉はサハラ砂漠を進む。砂漠気候特有の強い日差しも、乾燥した空気も、長い年月を生き抜いた蜚廉にとっては取るに足りないものだった。
「どこから敵が攻め込んでくるかは分からん。気を抜くなよ」
「ああ。そっちは任せた。俺はこっちを見張る」
√能力者による襲撃に備え、対超常特務部隊「暗部」は周囲を警戒している。
その様をチラリと観察すると、蜚廉は√能力の|【穢身変化】《エシンヘンゲ》を発動した。
「ただの余興──見誤るなよ」
部隊員の姿に変身すると、姿と気配を消したまま|彼ら《部隊員》に近づいていく。
「……?」
部隊員のひとりが、斥殻紐で出来た罠に足を踏み入れた。
張り巡らされていた|細く目立たない黒銀の糸《斥殻紐》が、部隊員の体中に絡みつき、その動きを封じる。
もがいても、異様な粘着性と弾性を持つその糸からは逃れることはかなわない。
喉を絞められ声を上げることもできない部隊員は、せめてもの抵抗をと【対超常封印弾】を放とうとするが、それよりも早く蜚廉が動く。
部隊員を背後から締め上げてその動きを完全に封じた後、肘から生やした殻突刃によって相手の装甲の継ぎ目から急所を突いた。
「―――」
相手の身体から力が抜けたのを確認すると、蜚廉は次なる標的の元へ忍び寄る。
―――ひとり、またひとりと、部隊員が砂の大地に倒れ伏していく。
「お、おい……ど、どうしちまったんだ!?」
「何が起きてる!?」
やがて、仲間が減ったことに気づいた部隊員たちは、何が起きたのかと慌て出した。
「俺ら以外の誰かが近づいてきた気配はなかったよな……?」
「まさか、裏切り者がいる、のか!?」
蜚廉の翅音板から放たれる翅音によって魅了された部隊員たちは、疑心暗鬼に陥り、同士討ちをはじめた。
(「見えぬ害意の恐怖に惑うと良い」)
同士戦の中を静かに進み、蜚廉は移動神殿へと乗り込んだのであった。
🔵🔵🔵 大成功
アネリス・コーネリウス[アドリブ/連携歓迎]
中の調査もしなきゃいけないし、勿論とらわれた皆さんの救出が最優先ですし……やらねばいけないことは多いですね
なら尚更素早くスフィンクスゲートの中に入らないと!
愛用の白い羅紗を使った攻撃主体で戦います
古代から連綿と受け継がれた技術が使われているこの羅紗に霊力攻撃の魔法を込め、敵へと放っていきましょう
接近戦にはあまり持ち込まれたくないので、遠距離主体でいきますが……相手は銃も持っているようです、銃撃された際は青嵐の風使いの力で少しでもダメージを減らしましょう
相手のドーピングが完了してしまうととてもヤバい攻撃が来そうなので、それはこちらの√能力を使ってどうにか打ち消せないかなと
アネリス・コーネリウス(真紅・h09190)は、やらねばいけないことが多いと思った。
捕らわれた|科学者たち《ひとびと》の救出が最優先だとしても、移動神殿の中の調査もできる限りしなくてはならない。
(「それなら、尚更素早くスフィンクスゲートの中に入らないと!」)
一刻も早く|スフィンクスゲート《移動神殿》に乗り込まなくては。
内心そう思いつつ、アネリスは神殿へ目を向ける。
ただのひとりも侵入者は許さないと言わんばかりに、神殿の周囲には対超常特務部隊「暗部」が展開していた。
(「接近戦はできるだけ避けたいですね。遠距離主体でいきましょう」)
アネリスは、白く透き通るような羅紗をふわりと広げた。
羅紗は、古代から連綿と受け継がれた技術が使われている。その羅紗にアネリスが霊力をこめれば、紋様が浮かび上がると同時に、ひらりと白い花が舞った。
「っ!」
「おい、しっかりしろ!」
発動した羅紗魔術によって、最前線にいた部隊員が倒れた。そのことによって部隊員たちは敵襲に気づき、慌てて迎撃態勢に移る。
「敵襲だ!」
「撃て!」
部隊員たちの銃が火を吹く。アネリス目がけて飛んできた弾丸たちはしかし、彼女が身に纏う|青嵐《風の加護》によってすべてはじき返された。
「遠距離ではダメだ。接近戦に持ち込むぞ!」
(「……これはちょっとヤバそうですね」)
部隊員たちとの距離は縮めたくはないものの、神殿から離れるわけにもいかない。
仲間を|盾に《踏み台》にして、部隊員たちはアネリスにじりじりと近づいてくる。
その大半は魔術で排することができそうだが、何人かは自分の元まで辿り着いてしまうだろう。
しかたがないと、アネリスは腹をくくった。
「よし、アレを使え!」
部隊員たちは|次々とアンプルを自らの身体に打ち込む《【自己犠牲の献身】を使用する》。その手がグニャリと不自然に湾曲し、肥大化し、異形の拳へと変化していった。
「悪いが、排除させてもらうぞ」
異形の拳がアネリスに襲いかかる。しかし、殴り飛ばされる寸前に、アネリスは右の掌でその異形の拳を|包み込んだ《受け止めた》。
「その力を打ち消します……!」
√能力の|【白睡蓮の純粋さ】《ニンファエア》が発動し、部隊員の拳が一瞬にして|人間《本来》の|拳《それ》へと戻った。
拳の勢いを殺しきれず数歩後ろに下がることにはなったものの、アネリスがダメージを受けることは無かった。
「すいませんが、どいていただきます」
羅紗に霊力攻撃の魔法を込め、敵へ放つ。至近距離から攻撃を喰らった部隊員たちはその場に倒れ込んだ。
(「急がなくては……」)
眼前に展開していた|邪魔者《部隊員》を排除したアネリスは、急いでスフィンクスゲートの中へと乗り込んでいったのであった。
🔵🔵🔵 大成功
黒蝶・真夜アドリブ&連携はご随意に
流血・ダメージ演出などもご自由に
堂々と前方の入口から入ろうとする(他の参加者との兼ね合いで変更可。MSにお任せ)
「警備おつかれさま~」
「相談なんだけど、このまま通らせてもらうってわけには…いかないわよね~」
【心友】の犬神ちゃんたちには敵の気をひいてもらったりして
本命の私の拳や蹴りをお見舞いするわ
「その子たちにばっか気をとられてると痛い目見るわよ?」
技能は<怪力><グラップル><霊力攻撃><重量攻撃><連携攻撃>等
攻撃には<オーラ防御><霊的防護><鉄壁><気功>で
「これくらいなら気合で!」
戦闘後
「通らせてもらうわ、じゃあね~」
と入りつつ後ろで倒れている敵に手をひらひら
「警備おつかれさま~」
黒蝶・真夜(|羅刹《タイラント》・h07851)は堂々たる態度で、移動神殿の前方の入り口に姿を現した。
「あ? は、はあ……」
逃げも隠れもしない。真夜のあまりの堂々ぶり、自然体ぶりに、対超常特務部隊「暗部」は一瞬呆気にとられた。
真夜は間違いなく侵入者なのだが、その態度があまりにも|らしく《・・・》なかったから……。
「相談なんだけど、このまま通らせてもらうってわけには……いかないわよね~」
「当たり前だろう!」
部隊員たちは顔をひきつらせ、その銃口を一斉に真夜に向ける。
「何人たりとも、ここを通すわけにはいかん!」
「まあ、そうよね~。……ちょっとお手伝いしてくれる?」
真夜は√能力の|【心友】《アフェクション》を発動させる。真夜の呼びかけに呼応するようにして、30体近い犬神が姿を現した。
犬神たちは部隊員たちに突撃していき、その足並みを乱す。時には鋭い爪でひっかき、時には立派な牙で噛みつき、部隊員たちに食らいついていく。
「くそ、なんだ、この犬は!?」
「突然現れやがって!」
「ぐっ……超常現象には札だ! 例の札で封じるんだ!」
部隊員たちは慌てて、高価なお札と貴重な聖水―――【対超常武装】を手にした。まとわりついてくる犬神に札を貼り付けることで、|その動きを阻害していく《√能力を無効化していく》。
「その子たちにばっか気をとられてると痛い目見るわよ?」
部隊員たちの気が犬神に向いたところで、真夜は背後に回り、ある者にはその延髄に蹴りを叩き込み、またある者には脳天にかかとを落として、倒していく。
よしんば気づかれて銃によって反撃されても、|神の加護《霊的防護》を展開することによって、その弾丸をはじき返してみせた。
「なっ……なんだ、この女は!?」
「これくらいなら気合でなんとかなるわ!」
犬神と連携し、真夜は部隊員たちを倒していった。
「……こんなところかしらね」
入り口を警備していた部隊員たちを全員ノックアウトしたところで、真夜はヒラリと手を振った。
「通らせてもらうわ、じゃあね~」
軽やかな足取りで進む真夜。彼女の歩みを止める者はもういなかった。
🔵🔵🔵 大成功
第2章 冒険 『スフィンクスゲートに囚われた一般人の救出』
POW
研究区画を徘徊する『しっぱいさく』を撃破する
SPD
研究区画の一般人の避難経路を確保、安全地帯に脱出させる
WIZ
一般人が行っていた研究について、調査を行う
√ドラゴンファンタジー 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
移動神殿の周囲を警備していた対超常特務部隊「暗部」を蹴散らし、√能力者たちは神殿内部に突入した。
出入り口付近こそ古ぼけた石灰岩で大雑把に|作られて《彫られて》いたものの、内部へと進むにつれてその様子は徐々に変化していき、やがて、だだっ広い空間―――研究区画と思われる場所に辿り着いた。
そこには、朽ちた石板や傷みの激しい|パピルス《書類》、一部が欠けた像などがまばらに置かれていた。そして、それらはケーブルを介し、パソコンなどの電子機器に接続されている。
捕らわれたとおぼしき科学者や研究者たちは、その電子機器を虚ろな目で見つめながら、ああでもないこうでもないと議論している。周囲には動く肉塊―――『しっぱいさく』が数体巡回していて、|彼ら《科学者たち》がサボらないよう見張っていた。
「あ……」
科学者のうちのひとりが、めまいを起こしたかのように、フラリと頭を揺らす。
すると直ぐに『しっぱいさく』がやってきて、ぶよぶよとした赤黒い腕で、科学者の頭を張り飛ばした。
「だ、大丈夫か……?」
「あ、あぁ……」
倒れ込んだ|科学者《仲間》を、研究者が助け起こす。そうして、直ぐにパソコンの前まで連れていく。もう一度、張り倒されたりしないように……。
―――|彼ら《科学者たち》は、もう限界だ。
このままでは、『しっぱいさく』によって、その命すら奪われかねない。
早急に『しっぱいさく』を排除し、科学者たちをこの場から脱出させる必要がある。
可能ならば、研究データも奪取したいところだが、それは二の次三の次だろう……。
黒蝶・真夜アドリブ&連携はご随意に
流血・ダメージ演出などもご自由に
救出は別の人に任せて私は陽動役兼見張りの排除をしようかしら
<怪力>に任せて研究施設の壁とか壊しまくって敵をおびき寄せるわ
なるべく振動が響いて敵に察知されるようにね
「さて、片っ端から壊していくとしますか」
あとは発見され次第どんどん敵を倒していくだけよ
それに戦闘してればさらによってくるかもしれないしね
「あら? 見つかっちゃったわね。じゃあ、はじめましょうか」
もちろん要救助者と遭遇したら守りつつ戦う&移動ね
「すぐ片付けちゃうからちょっと待っててね」
ある程度敵を倒したら
「それなりに減らせたかしら? あとはみんなよろしくね」
「さて、片っ端から壊していくとしましょうか」
黒蝶・真夜(|羅刹《タイラント》・h07851)は、科学者たちの救出は他の|者《√能力者》に任せて問題ないだろうと判断し、自身の役割を陽動と定めた。
真夜は拳を固め、なるべき振動が伝わるように―――監視を担う『しっぱいさく』に気づかれやすいように、移動神殿の通路の壁面を殴りつける。
石灰岩でできた壁なら、比較的脆いはず。あくまで「敵に気づかせる」ことが目的であるため、完全に壊す必要はない。
案の定、壁の表面が、鈍い音をたてて脆くも剥がれ落ちた。
「ウゥ……?」
音に反応したのか、『しっぱいさく』のうちの1体がのそのそと近づいてきた。
「あら? 見つかっちゃったわね。じゃあ、はじめましょうか」
真夜は一気に間合いを詰めると、拳で『しっぱいさく』の頭部をなぐりつけた。
手から伝わってくるのは、ぶよぶよとした脂肪の多い肉の感触。
ダメージは与えられているものの、一撃だけでは倒せそうにないことを察し、真夜は顔をしかめた。
「アァァァ!」
『しっぱいさく』は不明瞭なうめき声を上げると、|術を起動し紋様の浮かんだ己の腕を折った《√能力の【不完全な再構成】を使用した》。
「!」
真夜の利き腕にも謎の紋様が浮かび上がり、激痛が走った。真夜は瞬時に「相手と自分をリンクさせ、自分が受けたダメージを相手にも与える技か」と理解した。
「腕の一本くらい使えなくてもどうということはないわ」
真夜は√能力の|【光陰流転】《コウインルテン》を発動させる。
「ちゃんとついてきてね……最後まで」
|紋様《術》の浮かんだ部位がリンクしているのなら、それ以外を狙えばいい。
真夜は『しっぱいさく』の腹を蹴り込むと、衝撃で相手がよろめいた隙に、無事だった左手で掌底を打つ。
のけぞり倒れ込むところに、追い打ちのように回し蹴りを叩き込んだ。
「ガッ!」
うめき声を短くあげると、『しっぱいさく』はドッとその場に倒れ込んで動かなくなった。
「まずは1体。次は……」
次の標的を探そうとして、背後から視線を感じて振り返る。すると、物陰にかくれてこちらを見ている科学者らしき白衣の女と目があった。
「あら。あなたは、攫われて連れてこられた人かしら?」
「は、はい。あの……救援、ですよね……?」
それまで自分たちを押さえつけていた|モノ《『しっぱいさく』》とは違う、きちんとした|人間《真夜》。その姿に安堵したように、科学者はため息を漏らした。
「ええ。あなたはひとりで?」
「トイレで用を済ましている間に、私についていた監視がこちらへ」
「なるほど」
どうやら、彼女の監視役は、真夜が立てた物音に気づき、監視を緩めてこちらへ来たらしい。
「そうなると、すぐにまた新手が来るわよね?」
「多分……」
この先の部屋に科学者も監視もたくさんいる、と彼女は答える。
「そう。じゃあ、まずはあたなを逃がしましょ」
大勢を守りながら多数の敵を倒すのは、ひとりでやるには荷が重い。
まずはこの人を逃がそうと、「外まで案内するわ」と真夜は先導を買って出る。
(「あとはみんなよろしくね」)
彼女を外へ脱出させてから、再び救助に戻ってこよう。
そう思いながら、真夜は女科学者をつれ、来た道を引き返したのであった。
🔵🔵🔵 大成功
アネリス・コーネリウスなんたる惨状……
足が竦みつつも、霊力を込めた卒塔婆を握りしめてすぐにしっぱいさく達との戦闘に加勢します
せめて成仏してください!えいやあっ!
確かしっぱいさく達は広範囲に影響を及ぼすような能力も持っていたはず……
EDENだけならともかく、一般の研究者さんたちが巻き込まれたら大変です
√能力で打ちけせる準備は常にしておきます
石版だとか気になるモノも沢山あるのですが……いったいどこの√のものなのでしょうか……
あとで詳しい話を研究者さん達に話を聞くためにも、ここはまずしっぱいさく達との戦闘に全力を注ぎましょう
(「なんたる惨状……」)
目の前に広がる光景を見て、アネリス・コーネリウス(真紅・h09190)は柳眉を顰めた。
広い空間の中には、謎の遺物が点在していた。
だが、それはいい。問題は、その調査をしている科学者や研究者たちの姿だ。
長い間風呂に入れていないらしく、薄汚れ、悪臭を放っている。目もうつろで、質の良い休息は取れていないのだろうと推察できる。そして何よりも、その身体……すすけた白衣の裾からのぞく手足は青あざが浮かんでいて、暴力を振るわれていたことは明らかだった。
おおよそ、人間らしい扱いをされていない。攫われてからどれほどの日数が経過しているのかは分からないが、早急に助け出さねば、その命も危ぶまれる。
その光景は、√能力者に覚醒してからまだ日の浅いアネリスにとって、あまりにも衝撃的過ぎて、思わず足がすくんでしまう。
「も、もう……限界だ……」
とうとう力尽きへたりこんでしまった研究者に、『しっぱいさく』が近づいていく。
|それ《『しっぱいさく』》が何をしようとしているのかは明白で、アネリスはグッと奥歯を噛みしめ、脚に力を込めた。
(「早く助け出さなくちゃ!」)
霊力を込めた卒塔婆を握りしめ、アネリスは研究者と『しっぱいさく』の間に立ちはだかった。
「せめて成仏してください! えいやあっ!」
卒塔婆でその横っ面を力任せに叩くと、『しっぱいさく』は大きくよろめいた。
(「確か、『しっぱいさく』達は、広範囲に影響を及ぼすような能力も持っていたはずです……」)
「ッァァァァ!」
そう考えるアネリスの前で、『しっぱいさく』はうめき声をあげる。
痛みのせいか、怒りのせいか、それは分からない。
ただ、アネリスにはただ不気味に聞こえるだけのそれは、しかしながら、研究者たちの耳には違う意味合いをもって届いたようだった。
「ああ……いやだ、もう嫌だ……!」
「またなのか……」
恐怖に顔を引きつらせる研究者たちの、全身に点在する傷が徐々に癒えていく。まるで、|「心身がどうなろうと働き続けろ。死ぬことなど許さない」《【救いは死によってのみもたらされる】》と言わんばかりに。
「その力を打ち消します……!」
タイミングをはかり、アネリスはその右手を伸ばして『しっぱいさく』に触れる。√能力の|【白睡蓮の純粋さ】《ニンファエア》が発動し、『しっぱいさく』の√能力が打ち消された。
「研究者さんたちは死なせません。けれど、これ以上、苦痛を与えるのも許しませんよ」
この場には、石板など、その出処が気になるモノはたくさんある。それを巻き込んで壊すことがないように細心の注意を払いつつ、アネリスは『しっぱいさく』を卒塔婆で打ち据えた。
「危険ですから、皆さんは隅の方へ避難していてくださいね」
研究者たちに「あとで詳しく話を聞かせてくださいね」と言い添えると、アネリスは卒塔婆を握りなおして『しっぱいさく』の討伐に意識を集中させたのであった。
🔵🔵🔵 大成功
和紋・蜚廉見ておれぬな。
命あるとは言えぬ存在達が、命ある者達を甚振っている。
その振る舞いの傲慢さ。
今、思い知らせてやろう。
塵執相を発動。
上昇した速度を活かし、失敗作たちの下へ高速移動で駆け込む。
増加した攻撃回数に伴う手数を活かし、甲殻籠手より重量攻撃の拳を連続で叩き込もう。
一体を仕留め終えればグラップルで掴み取り、次なる失敗作へ向けて投げ放つ。
意にも介さぬだろうが、必要なのは動きが鈍る一瞬の隙のみ。
僅かでも動きが止まったなら、
我が奔駆の拳打、その餌食となるがいい。
攫われた研究員には、多少の援護となるよう蟲抱袋を巻き付けておく。
続く救助は、成せる者達へ任せよう。
我は持てる力、
その全てを外敵へ向けるのみだ。
「見ておれぬな」
和紋・蜚廉(現世の遺骸・h07277)は自然と呟いていた。
命あるとは言えぬ存在達が―――生命体とは到底言えぬ、『しっぱいさく』と呼ばれるモノたちが、|命ある者《科学者》達を甚振っている。
その振る舞いが、いかに傲慢であるか。
それを今、思い知らせてやろう。
「グゥ」
部屋の出入り口付近にいた『しっぱいさく』が、ふと首を巡らせた。蜚廉の気配を察知したらしく、ふいに|術を起動させて己の脚を折った《√能力の【不完全な再構成】を使用した》。
『しっぱいさく』が自身で破壊した脚と、同じ側の蜚廉の脚が鈍い音を立ててあらぬ方向に曲がる。
「……なるほど。|多少は戦える《√能力を使える》ようだな」
自分を傷つける代わりに、相手にも同じダメージを与える。そのような√能力を使ったのだろうと、蜚廉は見当をつけた。
「だが……我が奔駆は、死すら置き去る」
√能力の|【穢殻変態・塵執相】《ギカクヘンタイ・ジンシュウソウ》を発動し、自身の体躯を黒褐に輝く多重殻奔駆躰へと変化させていく。
攻撃回数や自己再生速度、移動速度が飛躍的に向上したことにより、もとよりさほど早くない『しっぱいさく』の動きが、蜚廉にはより一層遅く見える。そして、負傷させられた脚も、みるみるうちに回復していき、難なく動かせるようになった。
蜚廉は地を蹴りつけ、一呼吸する合間に、『しっぱいさく』の元に辿り着く。
脱皮殻を鍛えた硬い籠手―――甲殻籠手をはめた拳を、目の前に立つ『しっぱいさく』の眉間部分、喉、みぞおちへと正確に叩き込んでいく。
「グ……」
短く呻いて崩れ落ちる『しっぱいさく』をつかみ取り、こちらへと慌てて近づいてきた別の1体へと投げつける。
「!」
さすがの『しっぱいさく』もそれは避けきるが、次の瞬間には背後に蜚廉の姿があった。
反撃の間も与えず、蜚廉は僧帽筋や|腰やや上《腎臓》目がけて、硬い拳を連続で叩き込む。
「ガアアア!」
急所を打たれ、『しっぱいさく』はその場に倒れる。
「あ……」
「気休めしかならんかもしれぬが、身を潜めておいてくれ」
突然のことに目を白黒させる科学者を、蜚廉は蟲抱袋に匿った。これで、後に救助にくる|仲間《√能力者》が、|彼ら《科学者たち》を|運び出し《連れだし》やすくなるはずだ。
(「我は持てる力、その全てを外敵へ向けるのみだ」)
―――救助は味方に任せ、自分は目の前にたつ邪魔者の排除に専念する。
己が役割をそう定め、蜚廉は新たに近寄ってきた『しっぱいさく』へと拳を叩き込んだのであった。
🔵🔵🔵 大成功
エレナ・ヴァルツェル見下・七三子(h00338)さんと行動
ナミコを抱えたまま飛んでゲートに突入するわ。
重さ?大丈夫。むしろナミコはもっとたくさん食べた方がいい。
バックパックユニットからドローンを展開。
バイザーに各機から送られてくる画像を映して索敵開始。
……いた。ナミコの戦闘員からの情報も齟齬無し。
ふむ…救助は早い方がいいでしょうね。
ナミコだけなら最短でいける。ごめんね、投げるわ。
速度よし角度よし。準備は良い?それでは気を付けて。
ナミコと戦闘員が救助している間にこちらは陽動。
空中から小火器でチクチクと敵を削っていくわ。
あとはドローンでパソコン画面や石板などをざっと撮影。
後で見直せば何かわかることもあるでしょう。
見下・七三子エレナさん(h09057)と
科学者さん達の救出が最優先ですね。このままじゃすぐに限界が来てしまいます。しっぱいさく……あんまりこのお名前好きではないですが、彼らは手加減なんてしないでしょうし。
戦闘員さん、すみませんが霊体化して科学者さんたちの居場所を探してください。場所がわかったらすぐに向かいます。
ところでエレナさん、私、ずっと運んでいただいてますけど、重くないですか?
えっ、わ、投、ひゃあ!?
でも結果おーらい、部屋の奥に入れました!飛んだ勢いで敵をえいっとしつつ。戦闘員さん!実体化して、それぞれ科学者さんを守ってください!
さあ、あとはここの制圧です。エレナさん、一緒にがんばりましょうね!
エレナ・ヴァルツェル(ブルー・レイダー・h09057)は、見下・七三子(使い捨ての戦闘員・h00338)を抱えたまま、スフィンクスゲート内に突入した。
「ナミコ、捜索をお願いできる?」
強力な仲間がいたわよねとエレナが言い添えると、七三子は力強く頷いた。
「任せてください! かよわいからこそ協力大事!」
七三子の√能力の|【蟻結びて山を動かす】《ダンケツガンバロー》が発動し、周囲に何十人もの下っ端戦闘員たちが出現した。
「戦闘員さん、すみませんが霊体化して科学者さんたちの居場所を探してください。
場所がわかったらすぐに向かいます」
「……」
出現した戦闘員たちは無言で頷くと、霊体化してあちこちへと散っていった。
「ところで……エレナさん、私、ずっと運んでいただいてますけど、重くないですか?」
七三子を抱えたまま、エレナは決戦型ウォーゾーンの|推進力《飛行能力》で飛び続ける。そんなエレナに対し、七三子は申し訳なさそうに問いかけた。
「重さ? 大丈夫。むしろナミコはもっとたくさん食べた方がいい」
「そ、そうですかね……?」
いっぱい食べる方だと思うんですが、と七三子は恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「ええ。だから、心配しなくていい。それよりは……」
「……そうですね、今は、科学者さん達の救出が最優先ですね。
|このままじゃ《未来予知どおりなら》、すぐに限界が来てしまいます」
七三子が「『しっぱいさく』……あんまりこのお名前は好きではないですが、彼らは手加減なんてしないでしょうし」と言い添えると、エレナも「そうね」と相づちを打った。
しばし飛び続けた後、七三子がピクリと反応する。
「あっ、エレナさん! 戦闘員さんから連絡が!」
居場所が分かったそうですと、七三子は科学者たちが働かされている部屋までのルートを口頭で説明する。
「了解。ドローンを先行させておく」
エレナはバックパックユニットから|ドローンを発進させた《√能力の【マルチプルドローン】を発動させた》。
「リリース、索敵開始」
七三子から聞いたエリアを中心にドローンを展開させ、送られてくるデータをバイザーに映して確認する。
「……いた。ナミコの戦闘員からの情報も齟齬無し」
バイザーに映るデータと、七三子からの報告に齟齬はない。間違いなく、この先に捕らわれた科学者たちは、いる。
ウォーゾーンの推進力をあげ、エレナはゲート内を猛スピードで飛んでいく。
そうして件の部屋に辿り着いた時には、すでに√能力者たちと『しっぱいさく』の戦闘が始まっていた。
「ナミコ」
「はい?」
「ナミコだけなら最短でいける。ごめんね、投げるわ。
―――速度よし角度よし。準備は良い?」
救助は一秒でも早いほうがいい。そう判断したエレナは、「それでは気を付けて」と言い添えると、七三子を放り投げた。
「えっ、わ、投、ひゃあ!?」
七三子の身体は宙を舞う。『しっぱいさく』たちの頭上を軽々と飛び越え、降り立った先は、部屋の最奥だった。
「戦闘員さん! 実体化して、それぞれ科学者さんを守ってください!」
七三子は戦闘員に指示を出した後、部屋の奥で身を寄せあって震えている科学者たちへと近づいた。
「あなたは……?」
「大丈夫、救援隊です。みなさんを逃がすためにやってきました」
七三子は仮面を外して顔を見せ、科学者たちを安心させるように微笑みかけた。
「ほ、本当に?」
この地獄から逃げられるのか。元の生活に戻れるのか。
絶望に染まっていた科学者たちの目に、少しずつ生気が戻り始める。
「ええ。戦闘員さん……私の|仲間《家族》たちが付き添います。ですから、ここから逃げましょう」
今、私の|友人《エレナさん》たちが時間を稼いでくれてますから、と。
七三子がそう言うと、科学者たちは涙をこぼし、感謝の言葉を口にした。
「もう駄目かと思っていた。ありがとう、助けに来てくれて……」
「すまない。恩に着る」
我々は見捨てられたわけではなかったんだなと、科学者たちは涙する。
「ふふ、お礼は|この《スフィンクス》ゲートを出てから、ですよ」
七三子が号令をかけると、戦闘員たちは科学者たちを担ぎ上げ、そのまま歩き出した。
弱っている彼らを歩かせるよりは、戦闘員が運んだ方が早い。そう判断してのことだった。
「エレナさん、科学者さんたちの保護はこちらが引き受けますので、制圧の方をお願いしますね!」
自身も科学者のひとりに肩を貸しつつ、七三子はエレナに向かって声を投げた。
「ええ、任されたわ」
他の|者《√能力者》の手によって、『しっぱいさく』はだいぶその数を減らしていた。
「ぅあ……」
それでも、生き残っている『しっぱいさく』たちは諦めない。否、諦めるということを知らないのかもしれない。
不気味なうめき声をあげ、|相手の恐怖心を増幅させる《【救いは死によってのみもたらされる】を使用した》。
「この程度の威嚇なら、慣れっこだから」
しかし、それはエレナの心にいくらか影を落としたものの、戦意を喪失させるほどの力はなかった。
エレナは宙を飛び回りながら、小火器で手負いの『しっぱいさく』を掃討する。
「これで、最後」
しぶとく蠢いていた最後の1体にとどめを刺したところで、エレナはため息をついた。
室内にいる『しっぱいさく』がすべて倒れ伏し、別の|場所《へや》から|新手《あらて》がやってくる気配もない。
科学者たちは七三子たちが先導し、外へと脱出していっている。
『しっぱいさく』の掃討が終わったのなら、急いで後を追いかけて合流し、護衛に回った方がいいだろう。
「私も行かなくちゃ。……ああ、でも、その前に」
エレナはバイザー連動型ドローンを室内に飛ばし、戦闘の余波で散らばった石板やパソコンの|画面《スクリーン》を撮影していく。
今は時間がなくて細かい分析は無理だが、集めたデータを解析に回しておけば、後で何か目新しい情報が手に入るかも知れない……。
「ん、こんなものかしらね。さぁ、ナミコたちに追いつかなきゃ」
あらかた撮影が終わったところで、エレナは急いで七三子たちの後を追いかけたのであった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第3章 ボス戦 『人間災厄「狂科学」ジェーン・ドゥ』
POW
The Nuclear
【敵を含む他者】が【無力な実験動物】に変身する。自身の【放射線耐性】が10倍【知性と知力】が2倍になり、新武器【邪神器官内蔵擬似WZ/ニュークリアボマー】を入手する。
【敵を含む他者】が【無力な実験動物】に変身する。自身の【放射線耐性】が10倍【知性と知力】が2倍になり、新武器【邪神器官内蔵擬似WZ/ニュークリアボマー】を入手する。
SPD
The Bio
【器官混合竜漿製細胞侵蝕ウィルス「死竜」】を召喚し、攻撃技「【細胞侵蝕】」か回復技「【高速細胞分裂】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[器官混合竜漿製細胞侵蝕ウィルス「死竜」]と共に消滅死亡する。
【器官混合竜漿製細胞侵蝕ウィルス「死竜」】を召喚し、攻撃技「【細胞侵蝕】」か回復技「【高速細胞分裂】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[器官混合竜漿製細胞侵蝕ウィルス「死竜」]と共に消滅死亡する。
WIZ
The Chemical
【汎神製擬似|怪人《クヴァリフ》細胞狂化腕】による近接攻撃で1.5倍のダメージを与える。この攻撃が外れた場合、外れた地点から半径レベルm内は【空間滞留固定・百鬼狂化妖素ガス】となり、自身以外の全員の行動成功率が半減する(これは累積しない)。
【汎神製擬似|怪人《クヴァリフ》細胞狂化腕】による近接攻撃で1.5倍のダメージを与える。この攻撃が外れた場合、外れた地点から半径レベルm内は【空間滞留固定・百鬼狂化妖素ガス】となり、自身以外の全員の行動成功率が半減する(これは累積しない)。
√能力者たちの活躍により、『しっぱいさく』は排除され、捕らわれていた科学者や技術者たちも|解放《救出》された。
先に脱出させておいた科学者たちの後を追い、√能力者たちもスフィンクスゲートの外へ出ようとする。
しかし、まさにその時、√能力者たちの行く手を塞ぐようにして、人間災厄「狂科学」ジェーン・ドゥが姿を現した。
「やるわね。以前私を打ち倒せたのは、決してまぐれではなかった、ということかしら?
……でもね、こちらだって対策くらい練ってくるのよ?」
無策で出てきたわけではないと言いながら、ジェーンは毒々しい色のペンタクルム・パールを飲み込む。
すると、彼女を起点にして周囲の風景が白く霞んでいき、霞が晴れた時にはその|様《さま》が一変していた。
鼻をつく薬品のにおい。どこまでも続く白い床に、遙か遠くに微かに見える白い壁と天井。数えきれぬほどの手術台が並び、その周りを数多のロボットアームが動き回っている。
―――広大な|実験《手術》室。そうとしか言いようのない|風景の中《特殊戦場》に、√能力者たちは取り込まれていた。
ロボットアームの|大きさ《サイズ》は人の背丈の数倍であり、その|腕力《ちから》も半端ではなさそうに見える。
もし一度でも捕まってしまえば、手術台に拘束され、解剖され、|撃破されて《・・・・・》しまうことだろう。
きっとジェーンに対して普通の戦い方をしかけても、周りを動き回るロボットアームに進路や攻撃を阻まれ、|苦戦を強いられる《・・・・・・・・》だけだ。
ジェーンに攻撃を当てるためには、動き続けるロボットアームの合間を通り抜け、彼女に肉薄することが必要になってくるだろう。
「さぁ、見せて頂戴、|アナタ《√能力者》たちの|中身《臓腑》を!」
ジェーンから命令を受けたロボットアームたちが、√能力者たちを手術台に貼り付けにしようと襲いかかってきた。
|小回りを利かせる《・・・・・・・・》か、あるいは、自分たちの|小ささ《・・・》を上手く|生かせば《・・・・》、強力で巨大なロボットアームの猛攻をかいくぐり、ジェーンに攻撃を当てることができるかもしれない……。
和紋・蜚廉この場であれば、我が姿を活かさぬ道理はない。
|本来《蟲》の姿へと変化を解き、迫り来る機械の隙間を駆け抜けよう。
小回りも。
小ささも。
あらゆる環境への生存に適応し続けてきた我が身体ならば、両立できる。
加速衝動の蓄積も並行して行いながら機械の間を掻い潜り、迫るウィルスの攻撃は翳嗅盤で予兆を捉えて回避。
展開された領域内を縦横無尽に走り回った後、蟲煙袋より煙幕を展開する。
立ち込める煙の中で擬殻布を纏い、更に迷彩も重ね、
小さな姿へ隠し続けた衝動の蓄積を解き放とう。
汝が次なる策を練ったように、
我も策を備えて挑んでいる。
戻りたい場所があるのでな。
|無事に《生きて》帰るためなら、手段を選んでおられぬのだ。
√能力者たちを人間災厄「狂科学」ジェーン・ドゥに近づけまいと、ロボットアームたちが広大な|実験《手術》室内を縦横無尽に走り回っている。
(「この場であれば、我が姿を活かさぬ道理はない」)
和紋・蜚廉(現世の遺骸・h07277)は変化を解いて|本来《蟲》の姿になった。
蜚廉の姿を察知したロボットアームたちは、被検体として捕らえようと近づいてくる。
蜚廉を何とか掴もうとしてくる巨大で重たいメタリックの腕の合間を、蜚廉はその身体の特徴を活かした動きで潜り抜けていく。
小さな身体は、ロボットアームの指と指の隙間を潜り抜けられるほどで。
良くしなるその脚で、相手の大ぶりな動きを翻弄できるほど早く走る。
とても小さく、小回りのきく蜚廉の身体は、あらゆる環境への生存に適応し続けてきた証。
どんな敵を相手にしても立ち回れるという証拠だった。
「忌々しいわね……」
ジェーンは額から脂汗を垂らしながらも、蜚廉が動き回る辺り目がけて|器官混合竜漿製細胞侵蝕ウィルス「死竜」を散布する《【The Bio】を発動させる》。
(「この程度、予想済み」)
広がっていく|死竜《ウィルス》の気配を翳嗅盤で察知し、蜚廉はバックステップを踏んで回避を試みる。しかし、ロボットアームも逃すまいと退路を塞いできた。
「……なるほど。|機械《ロボットアーム》ならば、竜漿製のウィルスであろうとも、ある程度は侵食に耐えうる、ということか」
脚にじんわりとした鈍痛を感じ、蜚廉は微かに口元を歪ませる。
ロボットアームの妨害のせいで完璧に回避することは敵わず、わずかながらも、ウィルスの侵食を許してしまった。今までならば完全に|見切れた《回避しきった》はずなのに……。
(「|向こう《ジェーン》に有利な戦場、というのは伊達ではないようだ」)
こちらには不利な戦場。いつも通りには動けない歯がゆさもある。
だが。
不利なだけであって、戦えないわけではない。動けないわけではない。対策とて考えてきた。
ロボットアームと死竜の猛追をかわしながら縦横無尽に走り回った後、蜚廉は蟲煙袋より煙幕を展開する。
煙が立ちこめる中、周囲の色・音・臭いを模す布―――擬殻布を纏って|周囲《風景》に溶け込み、徐々にジェーンへと迫っていく。
「この煙は……!?」
「汝が次なる策を練ったように、我も策を備えて挑んでいる」
ジェーンに肉薄したところで、|疾走殻を軋ませ続けることで溜まった加速衝動《√能力の【穢導閃】》を一気に解き放つ。
「穢れは導き、我は奔る」
殻駆の一撃がジェーンを襲う。
「ぐっ……」
蜚廉の拳がみぞおちにめり込み、ジェーンはごぼりと血を吐く。その血がかかる前に、蜚廉は素早くジェーン|の前から離脱する《から離れる》。
たしかに手応えはあった。
だが、自分が与えたダメージ以上に、ジェーンが苦しんでいるようにも見受けられた。
「……やるわね」
「戻りたい場所があるのでな。
|無事に《生きて》帰るためなら、手段を選んでおられぬのだ」
口元の血を乱雑に拭うジェーンに対し、蜚廉は肩をすくめてそう応じたのであった。
🔵🔵🔴 成功
アネリス・コーネリウスあんなに大きい相手……捕えられたら厳しいですね
やられる前に先制攻撃を叩き込む心積もりでがんばりましょう
愛用の白い羅紗を手に戦います
ロボットアームがたくさんいますね
√能力を活用し羅紗魔術でまとめて攻撃します
こっちは生身です、アーム同士の連携をかき乱しジェーンの元に行きましょう
元気を振り絞ってひたすらに走ります
相手の攻撃は食らいたくないですが、いかにもヤバそうな薬品かガスを吸っても大変なことになりそうです
青嵐の風使いの力を活用して少しでもガスを味方から遠ざけましょう
ジェーンの元に辿り着いたらこの羅紗に眠る先人たちの思いを込め霊力攻撃
こんなところで受け継がれてきたものを途絶えさせるわけにはいきません
自分の背丈の何倍もある巨大なロボットアームと対峙しながらも、アネリス・コーネリウス(真紅・h09190)は毅然とした態度を崩さなかった。
(「こんなに大きい相手……捕えられたら厳しいですね」)
やられる前に先制攻撃を叩き込む心積もりでがんばろうと、愛用の白い羅紗をギュッと握りしめた。
「そう簡単に捕まえられると思わないでくださいね?」
ロボットアームがアネリスを取り囲み、捕らえようとその機械の腕を伸ばしてくる。
次から次へと、連携して規則正しく襲いかかってくる腕の、その間隙をアネリスは突く。
「踊るように舞いましょう!」
相手を翻弄するよう、不規則に、身軽に、素早く、アネリスは舞う。そして、|ダンスのステップを踏むかのような軽やかさで羅紗魔術を展開させる《√能力の【Turn the Beat Around】を発動させる》。
彼女の動きに呼応して、白い羅紗が|翻《踊》る。その表面に赤い光が走り、古代の紋様が浮かび上がった。
「―――」
羅紗魔術による波状攻撃により、ロボットアームの一部が動きを鈍らせ、整っていた連携に乱れが生じる。
アネリスはダッシュした。動きが鈍ったアームとアームの細い隙間を縫うようにして、素早く、全力で。
捕まえようと伸ばされるロボットアームの腕を紙一重でかわしていき、人間災厄「狂科学」ジェーン・ドゥの元へと近づいた。
「飛んで火に入る夏の虫、かしら?」
汎神製擬似|怪人《クヴァリフ》細胞によって狂化された腕で、ジェーンはアネリスを|殴りつけようとする《【The Chemical】を使用する》。
まともに食らえば、間違いなく|ダウンしてしまう《倒れる》。アネリスは辛うじてその拳を避けたが、代わりに足下の直ぐ近くが抉られ、空間滞留固定・百鬼狂化妖素ガスが炸裂した。
「……っ」
アネリスを守るように、|一陣の風が吹いた《青藍の加護が働いた》。妖素ガスのすべてを吹き飛ばすのは無理でも、幾分その濃度が弱まった気がする。
「羅紗……興味深いわ。あなたの解剖と平行で、そちらも|分解したい《調べたい》わね」
ジェーンは脂汗を額に浮かべ、苦しげに口の端から血を垂らしつつも、アネリスがひらめかせる羅紗に興味を惹かれたように手を伸ばしてくる。
その異様な雰囲気に飲まれないように気を張りつつ、アネリスは羅紗に眠る先人たちの思いを込め、霊力攻撃を放った。
「どちらもお断りします!」
「あら……|布一枚《羅紗》くらいなら、くれたっていいんじゃないかしら?」
攻撃によって裂傷を負ったジェーンは、その傷口からボタボタと血を垂らしながらも「狂科学の礎の一部になれるわよ」と狂気の笑みを浮かべる。
「こんなところで受け継がれてきたものを途絶えさせるわけにはいきませんから」
丁重にお断りします。
そう言い放つと、妖素ガスの影響しない範囲まで、アネリスは退いたのであった。
🔵🔵🔴 成功
見下・七三子エレナさん(h09057)と
……エレナさん……。
いえ。今は集中しないと。敵の攻撃をかいくぐるために、保険をかけましょう。【団結の力】でバフを。
エレナさんには秘策がありそうですし、私は準備ができるまで、|暴れちゃおう《露払い》かな。
反応速度を強化して多角的にちょこまか動きつつ……、あ、それ「残像」ですっ。敵の動きを観察して「学習力」を活かして。
あのアームの稼働はあそこまで。急に方向転換したりして、こっちに誘導すれば……。えへへ、「見切」ったり「敵を盾にする」こともできますね!
エレナさんの砲撃が始まったら巻き込まれないように退避を。
キャノン中にエレナさんを狙う敵がいたら、抱えて逃げちゃいますね!
エレナ・ヴァルツェル見下・七三子(h00338)さんと行動
やれやれ…わかっていたこととはいえ、
まんまと不利な空間に閉じ込められたわ。
こちとら人生の1/3が被検体扱いなの。
今更恐怖も何も…いえ、虚しさは感じるわね。
戦闘ではスラスターを吹かし[空中ダッシュ]を多用して[高速移動]。
伊達に普段から[空中移動]してないのを魅せてあげる。
とにかく止まらずに3次元機動で動き回るわ。
これはナミコの支援?オーケー敵が良く見える。
攻撃はプラズマキャノンを1基形成して、威力は3倍。
射線が開いた傍から撃ち込んでいくわ。
トドメのタイミングではキャノン砲を2機に増設。
ナミコのおかげでデメリットも程々ね。さぁ、終わりにしましょう。
「やれやれ……わかっていたこととはいえ、まんまと不利な空間に閉じ込められたわ」
周囲に広がる|実験《手術》室めいた風景に、エレナ・ヴァルツェル(ブルー・レイダー・h09057)はため息を漏らす。
相手に有利な空間に引きずり込まれることは予知されていた。
だが、事前に分かっていたということと、不快な気持ちにならないかどうかは、別の話で。
(「こちとら人生の1/3が被検体扱いなの。
今更恐怖も何も……いえ、虚しさは感じるわね」)
この身体に|なってしまって《・・・・・・・》から受けた理不尽。
最初はリハビリのようなものだった。今から考えれば、あれはまだ良い方だった。
でも|それ《リハビリ》は本当に最初のうちだけで。その後に課された戦闘訓練などがどれほど過酷だったかを、エレナは未だに鮮明に覚えている。
あの頃の経験を思えば、目の前の光景くらいどうということはない。ただ、どうしようもない虚しさが胸の内に広がるだけで……。
「……エレナさん……?」
エレナの後ろに立ち、見下・七三子(使い捨ての戦闘員・h00338)はわずかに眉を顰めた。
彼女の姿が、いつもと違って見えたから。
いつも冷静な彼女ではあるが、言葉少なに佇む今は、どことなく寂しそうに―――否、虚しそうに見えて、七三子は思わず問いただしたくなる。
どうしたのかと、大丈夫かと。何か自分が力になれることはないのか、と。
だが、喉まで出かかったその言葉を、七三子はグッと飲み込んだ。
(「……いえ。今は集中しないと」)
ここは戦場。ましてや、今回は敵に有利な空間だ。
ちょっとの気の緩みが、致命的な結果になりかねない。
細かい話は後にして、今は戦闘に集中しよう。そう結論づけて、七三子は気を引き締め直した。
「ええっと、えいえいおー……、です」
七三子は√能力の|【団結の力】《カズノボウリョク》を発動させる。七三子とエレナの間で、思念の糸が結ばれ、協調性が増す。
エレナと動きを合わせることによって七三子の反応速度もあがり、逆に七三子の感覚がエレナの攻撃の命中精度を底上げする。
「七三子、時間を稼げるかしら?」
「任せてください!」
七三子は地を蹴って、ロボットアームの群れへと突っ込んだ。
飛んで火に入る夏の虫と言わんばかりに、ロボットアームたちは七三子に群がる。無論、人間災厄「狂科学」ジェーン・ドゥの守りの全てが解かれたわけではないが、それでもガードはだいぶ薄くなった。
「―――」
七三子を捕まえようと、|機械の腕《ロボットアーム》が伸ばされる。大きく力が強そうではあるものの、√能力者によってつけられた傷により、機械の腕は動きが鈍っていた。
逆に、√能力により反応速度が上がっている七三子の動きは機敏だった。
相手の動きをよく見て、その規則性を学習し、どう攻めてくるかを予測して、七三子は走り回る。
「……っと」
機械の腕のうちのひとつが、七三子を掴んだように見えた……が、しかし、それは高速で動き回る彼女の|幻《影》だった。
「あ、それ「残像」ですっ!」
空を切った機械の腕に、別の機械の腕が突っ込み、二台はもつれて倒れ込んだ。
その様を見て、七三子は仮面の下に隠された顔をほころばせる。うまく誘導ができた、と。
一方、エレナは|高速飛行ユニット《FLT-TypeBL-002》のスラスターを吹かし、超高速で宙を駆けていた。
普段から飛んでいるエレナにとって、三次元的な動きなどお手の物。捕まえようと伸ばしてくる機械の腕を、上に下に、右に左にと素早く避けて翻弄する。
「エレナさん、一台そっちに行きました!」
「オーケー、問題ないわ。敵が良く見える」
エレナは伸ばされた腕をヒラリと交わし、警備が薄くなったジェーンへと近づいていく。
「あら、随分と面白い|モノ《ユニット》を持っているじゃない?」
エレナのFLT-TypeBL-002に興味を惹かれたように、ジェーンは呟く。
「うまく鹵獲できないかしら」
ジェーンはエレナや七三子の動きを鈍らせようと、|器官混合竜漿製細胞侵蝕ウィルス「死竜」を空中めがけて散布する《√能力の【The Bio】を発動させる》。
「エレナさん!」
七三子は地を蹴ってエレナに抱きつき、抱えこんだまま、死竜が届かない後方へと下がる。直撃を避けたものの、わずかに侵蝕を許してしまい、七三子は顔をしかめた。
「あら、逃げられてしまったわね。じゃあ……これなら、どう?」
「!」
邪神器官を内蔵した擬似ウォーゾーン「ニュークリアボマー」が、|ふたりの前に立ち塞がる《√能力の【The Nuclear】が発動する》。
「ここは私が。エレナさんはジェーンさんの方をお願いしますね」
エレナから離れ、七三子はニュークリアボマーの前に出た。
私が相手になります、と言わんばかりに。
「分かったわ」
ロボットアームに取り押さえられるよりも早く、エレナは再び宙へと舞い戻った。
七三子はロボットアームの攻撃をかわしつつ、ニュークリアボマーを引きつけている。
彼女の負担を考えれば、あまり長い時間はかけられない。そう判断し、エレナは√能力の|【荷電粒子砲】《プラズマキャノン》を発動させる。
「砲身形成完了、エネルギーライン正常、照準補正良し……当たって」
浮遊追従型の荷電粒子砲が展開され、射線が開いた傍から、ジェーンに向かってキャノン砲が撃ち込まれていった。
「うっ……」
七三子の攪乱により、ジェーンを守るロボットアームの数が減っている。彼女は額に脂汗を浮かべつつも、自力での回避を試みたが、ふらりと蹈鞴を踏んでしまった。
その瞬間、狙い澄ましたかのように、エレナの放った一撃がその左肩を貫く。ジェーンの顔が、ひときわ大きく歪んだ。
「……美しい連携ね。
そちらは……サイボーグに、強化人間といったところかしら?
|被検体《モルモット》として、とてもそそられるのだけれど」
|解剖して《開いて》、どうなっているのかを調べたい。
そんな趣旨の言葉を吐かれ、エレナはわずかに眉を上げた。
「そんなの、私はもちろん、ナミコだってお断り。……ね、ナミコ?」
手術台にはもう十分上がったもの、とエレナが言えば、七三子も頷く。
「そうですね。ジェーンさんに解剖されるのは、遠慮したいですね」
お気遣いなく、と七三子もエレナに賛同してみせる。
「そう、残念だわ」
せっかく狂科学の発展に寄与できるというのに、断るなんてね。
肩から血を垂れ流し、苦しげな息を零しながら、ジェーンは肩をすくめた。
「私たちはモルモットじゃないし、狂科学にも興味はないから」
エレナはキャノン砲を増設し、ジェーンにさらなる砲火を浴びせたのであった。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功
黒蝶・真夜アドリブ&連携はご随意に
流血・ダメージ演出などもご自由に
熱烈な歓迎だけどあのアームは好みじゃないわね
「美人のお誘いは嬉しいけど今回はごめんなさいってことで」
【心友】の犬神ちゃんたちとともに戦うわ
今回は気合でなんとかってわけにはいかないみたいね
<集団戦術>:犬神ちゃんたちと連携して的を絞らせず
<高速移動>:すばやく移動して
<見切り>:アームの動きをよく見て回避を最優先
「いくわよ犬神ちゃんたち、アームの動きをよく見てね」
ロボットアームをくぐりぬけたらジェーンに全力の拳をかましてやるわ
<怪力><グラップル><喧嘩殺法>
「捕まえたわよ、お姉さん♪」
広い実験室内を縦横無尽に動き回るロボットアームを一瞥すると、黒蝶・真夜(|羅刹《タイラント》・h07851)は肩をすくめた。
こちらをどうしたいのかがひと目で理解できる、そんな熱烈な歓迎の仕方は嫌いではない。
ただ、あのロボットアームはいただけない。いたずらにこちらを捕らえ、実験台へと押さえ込み、解剖してしまおうなんて、許せるはずもない。
「いいわね。若くて生命力に溢れたその身体。
どう? 狂科学の実験に協力する気はないかしら?」
人間災厄「狂科学」ジェーン・ドゥの言葉に、真夜は首を横に振った。
「美人のお誘いは嬉しいけど、今回はごめんなさいってことで」
そう言うと、真夜は拳を構えて臨戦態勢をとる。
「……そう」
じゃあ、力尽くでいくしかないわね。
ジェーンはそう呟くと、ロボットアームに真夜を捕らえるように指示を飛ばした。
真夜の背丈の何倍もあるような大きな機械の腕が、彼女を抑え込むために四方八方から集まってくる。
「ちょっとお手伝いしてくれる?」
今回は気合でなんとかってわけにはいかないみたいねと肩をすくめ、真夜は√能力の|【心友】《アフェクション》を発動させる。
「いくわよ犬神ちゃんたち、アームの動きをよく見てね」
真夜の呼び声に応じて現れた犬神たちは、分かったと言わんばかりにうなづくと、ロボットアームの方へと走っていく。
ロボットアームは、近づいてきた犬神を叩き潰そうと、その機械の手を振り下ろす。
しかし、犬神は素早く後退してその大きな手を避ける。別の一匹がロボットアームの背後に回り、爪で機械の巨体を引っ掻く。
「あら、かわいい反撃ね?」
ロボットアームはその程度で倒れるほどやわではないわ、とジェーンはあざ笑う。
(「……?」)
一見すると余裕がありそうな口ぶり。しかし、よくよく見ればその額には玉のような脂汗が浮かんでいる。息は荒く、唇の色も悪く、他の√能力者たちにつけられた傷からは痛々しいほどに血が流れ続けている。
(「随分と辛そうに見えるわね。
……いえ、今は|敵《ロボットアーム》の対処に注力しなきゃいけない、か」)
ロボットアーム1台に対して、犬神たちは数匹でチームを組んで群がり、連携してその動きを翻弄している。
犬神がロボットアームの気を引いている間に、真夜はその隙間を縫うようにして突き進み、ジェーンに肉薄する。
「そちらから近づいてくるなんてね」
ジェーンは|汎神製擬似怪人細胞狂化腕を振るう《【The Chemical】を使用する》。
「―――」
回避するか受けるか。真夜は一瞬悩み、敢えて|受ける《ガードする》ことを選んだ。
その拳が当たる瞬間、真夜は身体を後方へと引き、腹へ伝わる衝撃を大幅に減衰させる。
(「痛い! けど、やっぱり、耐えられないほどじゃない!」)
すでに、他の|√能力者たち《みんな》がだいぶジェーンの力を削いでいる。そのおかげもあって、ジェーンの一撃は真夜を即死させるほどの|衝撃《ちから》は持っていなかった。
ジェーンは真夜が避けるだろうと思っていたのであろう。彼女は驚いたようにわずかに目を見張ったが、その合間に、真夜が|拳を《カウンター攻撃》を放った。
「捕まえたわよ、お姉さん♪」
「ぐふ……っ」
みぞおちに重たい一撃を食らい、ジェーンが吐血した。その血がかからぬよう、真夜は直ぐに後方へと退いた。
「油断大敵ね」
「いいわね、その腕力。その細い腕のどこからこんな力が出てるのかしら」
唇にまとわりついた血を手の甲で拭いながら、「解剖のしがいがあるわ」とジェーンは狂気の笑みを浮かべる。
「それは秘密よ」
|余計な詮索しないで頂戴《解剖されるのはごめんだわ》。
鈍く痛む腹を押さえながらも、真夜は毅然とした態度で笑って見せたのであった。
🔵🔵🔴 成功
マリエ・エーデルワイスアドリブ&連携はご随意に
流血・ダメージ演出などもご自由に
・挨拶
ジェーン・ドゥの状況を見て煽り
「随分と疲弊しているようだな。あれだけの勇士たちの相手は無理が過ぎたのではないか?」
・戦闘
【亡き王女のためのパヴァーヌ】で速度を加速して攻撃速度と回避を強化
天井や壁も足場とし高速で動きつつ銃を撃つ3次元戦闘をおこなう
使用技能:<2回攻撃><属性攻撃><高速移動><空中移動><空中ダッシュ>
まずはアームからの攻撃回避を優先
「その図体で我を捕らえることができるか試してみるがいい」
回避しつつ不意打ちでジェーン・ドゥの足元からDoppelgängerを出現させ襲撃させる
使用技能:<不意打ち><だまし討ち><暗殺>
「貴様は常に狙われている、努々忘れることなかれ」
回避できない場合は<オーラ防御>や<精神抵抗>で軽減
「本来ならば威力ももっとあったであろうにな」
とどめは【夜の女王のアリア】
拾った研究区画の壁の欠片から銀の弾丸を生成し精霊銃に装填し放つ
「この小さな欠片からでも様々な感情が伝わってくる。生きて帰れないかもしれない不安や死への恐怖、そして元凶である貴様への憎悪」
「その復讐は我が代わりに果たそう」
・戦闘後
己の知的好奇心を満たすために人類に仇なす者に容赦は必要ない
これからも計画はつぶすと宣戦布告
「貴様が醜行を働き続ける限り、我が何度でも狩り尽くしてくれよう」
人間災厄「狂科学」ジェーン・ドゥは満身創痍だった。
額には脂汗、唇には血の跡が残り、全身に裂傷や打撲痕が刻まれている。
撃ち抜かれた左肩から流れる血が、純白の白衣を赤く染め上げていた。
「随分と疲弊しているようだな。あれだけの勇士たちの相手は無理が過ぎたのではないか?」
その様子を見て、マリエ・エーデルワイス(終末時計・h02051)は煽るように笑顔を向けた。
「……ロボットアームをもう少し軽量化するべきだったわね」
あなたたちがこんなに身軽に立ち回るとは思わなかったわと呟き、ジェーンは血痰を吐き捨てる。
「実験してこそ見えてくるものもあるわ。次は……目の前のあなたで試せばいいだけ。
さあ、その人間災厄を捕まえなさい」
ジェーンはロボットアームに命令を下す。
マリエはひとの形をしているだけで、その本質は災厄だ。捕まえられれば、きっと良い研究材料になる。
「そうか。だが、次はあるかな? 時間は優しくもあるが、残酷でもあるのだぞ?」
マリエは|精霊銃《Edelweiss》を構え、√能力の【|亡き王女のためのパヴァーヌ《プルミエール》】を発動させた。
精霊銃から射出された時属性の弾丸は、ロボットアームの大きな指と指の合間をすり抜けるようにして突き進み、ジェーンの足下に着弾する。
「!」
|時空の断裂《じくうのみだれ》が発生し、ジェーンの脚の皮膚が急激に老化し、ボロボロと壊死していく。逆にマリエの身体は雲のように軽く、風のように軽やかに動けるようになった。
「その図体で我を捕らえることができるか試してみるがいい」
マリエは疾走する。その勢いのまま壁を駆け上がり、伸びてきたロボットアームの指先を蹴りつけ、その反動で天井まで飛び上がった。
(「……思ったより、ロボットアームの動きが鈍っているな」)
ロボットアームは、マリエがいた空間を掴み潰すようにゆっくりと拳を閉じていた。
自分が加速の加護を受けているとはいえ、ロボットアームの挙動が想像よりもかなり遅い。
どうやら、他の√能力者たちが負わせてきたダメージが駆動系に蓄積し、ロボットアームの挙動を鈍らせているようだった。
(「これは好都合」)
マリエは八艘飛びよろしく、ロボットアームの指や手首を足場にして次のロボットアームへと飛び移り、ジェーンの方へと一歩一歩近づいていく。
「駆動系が物理的に破損しているのね。さっさとカタをつけて、早急に修理しなくては」
近づいてくるマリエに対して、ジェーンが身構える。すると、その足下に伸びる影が不意に揺らいだ。
グニャリと歪みながら影は立ち上がり、マリエと同じ形をとった。
Doppelgänger―――マリエの影業だ。
|影業《Doppelgänger》はジェーンに絡みつき、首を締め上げようとする。しかし、ジェーンは狂化腕で影業へ肘打ちを叩き込み、その拘束から逃げ出す。
「やるわね……」
「貴様は常に狙われている、努々忘れることなかれ」
マリエは空中を舞うように跳び、ジェーンとの距離を詰めながら、口角を上げた。
「それなら……こんなのはどう?」
ジェーンは、マリエが向かってくる道《ルート》に向かって、|器官混合竜漿製細胞侵蝕ウィルス「死竜」を散布する《√能力の【The Bio】を使用する》。
「そう来るだろうと思っていた」
進行方向に散布された以上、回避は不可能。それでも、オーラによる防壁を身体の周りに展開して、体内へ侵入しようとする|ウィルスの量を減らす《効果を幾分和らげる》。
「本来ならば威力ももっとあったであろうにな」
風上―――ジェーンの方へと近づけば近づくほど、ウィルスの濃度は増していく。
マリエは【亡き王女のためのパヴァーヌ】を重ねがけして、駆ける速度を上げていく。
一秒でも早く駆け抜け、ウィルスに曝露する時間を短くするために……。
(「それに、多少動きを鈍らされようと、これで相殺されるしな」)
ジェーンと対峙するのはこれが初めてではない。相手の手の内をある程度知っているのは、こちらも同じ。
あとは、いかに事前に対策が練れたか。それが事を左右する。
「さあ、ジェーン。勝負といこうか」
ジェーンの周りには、死竜が立ちこめている。一秒とて躊躇う暇はない。
彼女の近くに降り立ったマリエは、√能力の【|夜の女王のアリア《トロワジエム》】を使用した。
「この小さな欠片からでも様々な感情が伝わってくる。
生きて帰れないかもしれない不安や死への恐怖、そして元凶である貴様への憎悪がな……」
予め拾っておいた研究区画の壁の欠片をポケットから取り出すと、今までジェーンに苦しめられてきた科学者たちの記憶がマリエの中へと流れ込んでくる。
マリエはその辛く苦しい思いを銀の弾丸へと変化させ、精霊銃に装填した。
「それは、解析が……」
ジェーンは一歩退こうとする。しかし蓄積したダメージがその身体を裏切り、足は大きくふらついた。
「Der Hölle Rache kocht in meinem Herzen―――」
マリエは静かに呟く。
「その復讐は、我が代わりに果たそう」
|精霊銃《Edelweiss》から、弾丸が放たれる。
その弾は寸分の狂いもなく、ジェーンの胸を撃ち抜いた。
「……」
鮮血をまき散らしながら、ジェーンは言葉もなくその場に倒れ込み―――そうして、動かなくなった。
「貴様が醜行を働き続ける限り、我が何度でも狩り尽くしてくれよう」
己の知的好奇心を満たすために人類に仇なす者に容赦は必要ない。
これからも計画はつぶしていく―――その決意だけを静かに胸へ刻み、マリエは踵を返したのであった。
こうして、√能力者たちの活躍により、捕らわれていた科学者や技術者たちは解放され、ジェーンも討伐された。
しかし、ペンタグルム・ゲートにまつわる事件が、これでおしまいだとは思えない。
この先も注視していく必要があるだろう。そんな思いを抱きながら、√能力者たちはそれぞれの生活へと戻っていくのであった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴 成功