シナリオ

星追い、パーフェクション・ネームド

#√妖怪百鬼夜行 #√ドラゴンファンタジー #√EDEN

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 #√妖怪百鬼夜行
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●『文庫古妖』あらため『|死亡遊戯尊《デスゲームのみこと》』
 名も無き。
 それが己の本質というものであった。
 名が体を顕すというのならば、名もなき己に体はない。
 故に名を欲する。
 元より、『文庫古妖』は『創作物の悪役』から生まれた妖怪。悪を為すために存在しているが、しかし、名前がなければ活動することもできない。
「ふぅむ……前回の目覚めは最悪であったが、此度は」
 そう、前回の名、『|愉快遊戯尊《ファニーゲームのみこと》』は愉快と不愉快とを履き違えた吐き気を催すような役回りであった。
 確かに己は悪役の所業をなぞらえ、新たな名を得ることを存在意義にしている。
 だが、目覚めが悪いのは嫌だ。
 なので、極力人を殺したくはないのだ。

「『|死亡遊戯尊《デスゲームのみこと》』、であるか。確かに私自ら手を汚さずとも、デスゲームが人を間引いていく。己の手ではなく、他者に委ねる点においては、程々に不愉快だ」
 彼は、集まった名によっては、最悪の外道にすらなり得る。
 最も、彼が望んだ無害な案であるところの『|味覚破壊尊《めしまずのみこと》』となることは不足であったが、しかし、最悪と無害の中間にありながら、やや無害寄りなる『死亡遊戯尊』は、密室や迷宮の類に人々を閉じ込めることで、右往左往する様をゲームマスターの立場から見下ろして愉しめばいいのだ。
 であれば、それは己の存在意義を充分に満たせるような気がしてならない。

「ふぅむ。それではさっそく仕掛けに回るとしたいところであるが、君は私に何か用があるのだろうか? 私はこれから、めちゃねば納豆地獄迷宮を作るのに忙しいのだ」
『死亡遊戯尊』は、己の背後に立つ一人の男の姿に首を傾げて、振り返った。
 見事な角度と所作であった。
 これもすべてこの地にて得た、書物、映像、商業同人問わず摂取して得た知見と仕草であった。
 男は問いかけられて、頷いた。
「確かお前は『文庫古妖』。この遭遇は偶然か? それとも必然か?」
「要領を得ないな」
「いや何。お前を手伝ってやろうと思っているだけだ。『文庫古妖』――いや、今は『死亡遊戯尊』。俺の名は、『黒槌・諒』。十全機関三席『黒槌・諒』。お前のやろうとしている愉快なデスゲームに力を貸すこともやぶさかではない」
 男は首元をレザージャケットで隠しながらも、その引き締まった体躯が顕になるぴたりとしたアンダーウェアの胸元を示してみせた。
 それだけで彼が尋常ならざる√能力者であることが疑えただろう。
 所々に配されたベルト。
 それは言ってしまえば。
「君、それは些かベルトの数が多くはないだろうか? そこにベルトは本当に必要かい? いや、君のファッションに文句を言いたいわけじゃあないし、ケチを付けたいわけでもあに。ただ、なんて言えばいいのか。君自身を拘束しているということか? それとも力の暴走を戒めるためのキャラクター性の発露なのかい?」
「そうだ、とも言えるが、そうではない、とも言える。俺は悪の√能力者の組織『十全機関』の第三席。であれば、存在意義はお前と同じだろう」
「いや、同じにされてもちょっと困るが。しかしまあ、君のスタイルは愉快、不愉快でいうなら、愉快よりの不愉快さだ。であれば、目的は異なるのかもしれないが、君が協力してくれるというのならば、やってもらおうかな。なにせ、私はめちゃねば納豆地獄迷宮を作るのに忙しいからね」
「めちゃねば納豆地獄……」
「文字通りさ――」

●星詠み
 それは星写す黒い瞳だった。
 亜麻色の髪が揺れて、 星詠みであるレビ・サラプ・ウラエウス(人間災厄「レッド・アンド・ブルー」の不思議おかし屋店主・h00913)は、ふむ、と手にした『うんめいぼう』を見下ろしていた。
 いわずと知れた駄菓子の大ベストセラー『うんめいぼう』。
 子供のお小遣いでも変える棒状スナック菓子である。
 そして、最大の特色は様々なフレーバーを持つ、ということであった。
 テリヤキ味に、コンソメオニオン味、たこ焼き味に……と言った具合にだ。
 だが、彼が手にしていたのは『なっとう味』であった。
「君たちは、合うと思うかい。スナック菓子に納豆が」
 いや、知らん。
 EDENたちの多くは思ったかもしれない。

 ふう、とレビは息を吐き出して気を取り直したようだった。
「『紅涙流離戦』の結果は、もうみんな聞き及んでいると思う。どうやら、その際に現れた名も無き『文庫古妖』は、新たに名を得たらしい。その名も『|死亡遊戯尊《デスゲームのみこと》』。彼は人々を迷宮や密室に閉じ込め、謎解きゲームを強要する、らしい」
 なんともはた迷惑なことである。
 しかし、レビは頭を振る。
「この程度で済んでいるのは、君たちが紅涙流離戦による戦果のおかげさ。もっと悪辣な事態になっていたことも予測されている。今回の彼は、どうやら、決して簡単ではないし、間違えれば死の危険もあるが、絶対にクリア手段が存在する死亡遊戯会場を作る、程度の能力に落ち着いているんだ」
 つまりは、理不尽な絶対クリア不可能なデスゲームではない、と。
「そういうこと。そして、彼としても、ちゃんとゲームクリアを目指してほしいらしい。とは言え、だ。理由もわからずに一般人が巻き込まれてしまっては、当然のように死んでしまうだろう。それこそフィクションの端役のように、ね。だから、君たちは」
 そう、なるべく多くの一般人がデスゲームに巻き込まれないようにしなければならない。
 元より、『死亡遊戯尊』が用意した死亡遊戯迷宮に乗り込まねばならない。
「それはちょうどいいことに、下級の古妖たちが死亡遊戯の参加者を攫うべく、√EDENの市街地にでてきているようなんだ。君たちは、彼らを攫われないように戦いつつ、隙を見てわざとやられたふりをしてゲーム会場に攫われてほしいんだ」
 そうすれば、後は成り行き任せだ、とレビは笑っていう。
 そして、まるで駄賃とでも言うように『うんめいぼう・なっとう味』をEDENたちに手渡して送り出すのだった――。

マスターより

海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 紅涙流離戦の結果、新たに名を得た『文庫古妖』、『死亡遊戯尊』が織りなす危険な死亡遊戯迷宮に乗り込み、ゲームクリアを目指すシナリオになります。
 ですが、どうやら十全機関も、これに絡んでいるようです。

●第一章
 集団戦です。
 死亡遊戯の参加者を募るように一般人をさらおうとして√EDENに乗り込んできた下級古妖たちとの戦いになります。
 ですが、彼らを完全に撃退してしまうと、そもそも死亡遊戯迷宮に乗り込むことができません。
 一般人たちを遠ざけつつ、折を見てわざとやられたふりをして攫われなければなりません。

●第二章
 わざとやられて攫われた皆さんが運び込まれたのは、死亡遊戯迷宮……のはずなのですが、未だ未完成なのか、それとも手違いなのか、おもちゃのような立体迷路のようなダンジョンが広がっています。
 どのような理屈なのか、一定時間で床が壁になったり、天井になったりと自分の立ち位置が変わってしまう法則があるようです。
 当然、道を踏み外したりして、穴に落ちれば死亡遊戯迷宮の名の通り、死亡してしまうでしょう。
 これを乗り越えなければなりません。

●第三章
 ボス戦です。
 状況などは断章をご確認ください。

 それでは、新たな名を得た『死亡遊戯尊』が作り上げんとする迷宮、これに助力しようとしている十全機関。彼の目的がなんであれ、それが一般人に害をなすというのならば、対決する皆さんの物語、その√になれますように、たくさんがんばります!
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第1章 集団戦 『のっぺらぼう』


POW 寄こせ寄こせ
【人形のような体】からレベル本までの【欲しがりの手】を生やす。自身の行動とは別に操作可能で、最大レベルmまで伸び、物を掴んだり、弱い攻撃や【縛り付け】による拘束が可能。
SPD お前は私
視界内のインビジブル(どこにでもいる)と自分の位置を入れ替える。入れ替わったインビジブルは10秒間【金縛り】状態となり、触れた対象にダメージを与える。
WIZ お前を見ろ
自身が受けた武器や√能力を複製した【無貌の顔】を創造する。これは通常の行動とは別に使用でき、1回発動すると壊れる。
イラスト すずや
√妖怪百鬼夜行 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 白昼の街道。
 日差しを受けてきらめく街中のショーウィンドウ。
 道行く女性は、ショーウィンドウを鏡代わりにして前髪をいじっていた。
 かわいい前髪を作れていたらいい。
 風が吹く度に乱れて気になってしまう。
 毛束を指先で整えながら彼女はどうにも決まらない様子で難しい顔をしていた。
 だが、そのショーウィンドウが歪む。
 写っていた己の顔がニヤリと笑ったのだ。
「えっ……!?」
 瞬間、ショーウィンドウの中に写っていた自分自身が、自分でも浮かべたことのない表情を浮かべながらこちらに手を伸ばしてきているのだ。
 何が起こったのかわからない。
 まるで白昼のホラー。
 伸ばされた手は、己の顔。
 悲鳴を上げながら後ずさりする女性を追うようにして、鏡の中から現れたのは『のっぺらぼう』と呼ばれる古妖。
「よこせよこせ、お前は私、お前をみろ」
 その白面の如きつるりとした貌のまま、古妖『のっぺらぼう』は√EDENの人々を死亡遊戯へと引きずり込まんと、街中のそこかしこの鏡面になりえる全て……ショーウィンドウや窓ガラス、道路ミラー、汎ゆる場所からあふれるようにして現れるのだった――。
クラウス・イーザリー
「ここから離れて!」
襲われている人と敵の間に割り込み、有無を言わせない口調で遠ざける
街中がパニックにならなければいいけど……

相手が伸ばしてくる手はルートブレイカーで無力化し、喧嘩殺法やバールの形に錬成した魔力兵装で本体をぶちのめす
鏡面の中に引きこもって出てこないなら鏡面ごと破壊する
壊すのは本当に申し訳ないけど、状況的にやむを得ない……

襲われる人が少なくなってきたらわざと手に捕まって死亡遊戯迷宮に連れて行ってもらう
あんまり素直に捕まると怪しまれそうだし、暫く抵抗した上で捕縛されよう
……お芝居は苦手だからバレないといいけど……

さて、どんな恐ろしい迷宮が待っているんだろう

 √EDENの白昼堂々と汎ゆる鏡面から古妖たちは這い出していた。
 悲鳴が雑踏を切り裂くようであったし、またそれは混乱を呼び込む切欠でしかなかった。混乱に乗じるようにあちこちの窓やショーウィンドウから古妖『のっぺらぼう』たちは這い出し、人々を鏡の中に引き込もうとしている。
『死亡遊戯尊』が主宰を務めるデスゲームへの誘い。
 だが、それはあまりに唐突だった。
 何もわからない。
 一体自分たちがどうなるのかもわならない。
 ただただ、迷宮に引きずり込まれる。
 目的も何もわからぬままに人々は引きずり込まれ、理解が及ばぬままにデスゲームの犠牲者へと成り果てるだろう。

 それをさせてはならないとクラウス・イーザリー(太陽を想う月・h05015)は、『のっぺらぼう』と一般人の間に割って入った。
「ここから離れて!」
「きゃあっ!?」
 クラウスは、窓ガラスに近づいていた一般人の女性の腕を引っ張り、そのまま彼女を引き剥がした。
 舌打ちが聞こえた。
 それは眼前のショーウィンドウから這い出す『のっぺらぼう』の存在しない貌から発せられていたのだ。

「此処は危ない。窓や鏡から離れて!」
 クラウスは、街中がパニックになっているだろうということは理解できた。
 だが、それをどうすることもんできない。
「寄越せ、寄越せ、その顔を寄越せ!」
 クラウスに邪魔立てされた『のっぺらぼう』は怒りを顕にするように声を張り上げ、無数の腕を体躯から生やし、クラウスの顔へと走らせた。
 それ自体は脅威ではない。
 クラウスは、己が右掌で伸びる手をはたき落とし、無効化しながら魔力でもって兵装を錬成し、叩き落とす。

「くっ……! 申し訳ないけど!」
 クラウスは手にした魔力兵装を硝子に叩き付け、粉砕する。
 敵が鏡から這い出してくるというのならば、まずは、その出入り口を塞がねばならない。
 しかし、それは悪手でもあった。
 散らばった破片。
 それもまた一つ一つが鏡になりえるものだった。無数の破片のクラウスの顔が映し出された瞬間、『のっぺらぼう』の腕が無数に飛び出す。
「寄越せ、その顔を! 寄越せ、寄越せ!」
「数が、多い……けど!」
 一般人が逃れるだけの時間を稼げればいいのだ。
 クラウスは、迫る腕を払いながらも、しかし徐々に一般人から『のっぺらぼう』たちを引き剥がすように動くのだ。
 己だけを注視しているのならば、一般人の犠牲はないだろう。
 それに、目的は敵の殲滅ではない。

 そう、あくまで鏡の中の迷宮に自身が攫われることで、迷宮に踏み込むことが目的なのだ。
 故に、わざと、と思われるような行動では意味がない。
 怪しまれて此方を殺すことに行動が変わることを裂けたかったからこそ、敵の行動はありがたいものだった。
 元より、芝居ができるほど器用な性格はしていないのだ。
 伸びる手がついにクラウスの四肢に絡みつく。
 手にしていた魔力兵装を取り落とし、クラウスは歯噛みする。それは本当だった。
「くそ……っ……うっ、ぐ……っ!」
 塞がれる口。
 ぞぶり、と己の体がショーウィンドウに沈み込んでいく気配があった。
 だが、クラウスは抵抗しなかった。
 ここから先、一体どんな恐ろしい迷宮が待っているのかにせよ、ここから先が本番なのだから――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

空地・海人
※アドリブ、連携歓迎

うんめい棒のなっとう味……これ美味いんだけど、変身前に食べるとマスクの中が納豆臭くなるんだよな……。終わってから食べよ……。

変身ベルトを腰に巻き、「竜現像!」の掛け声と共に、黒の鎧を纏う【√ドラゴンファンタジーフォーム】へ[変身]。
このフォームの外部干渉完全無効化で敵の攻撃をあえて受け続ければ、いずれ変身が解けて気絶する。つまり、ノーダメージかつ演技無しでやられたふりができるってわけだ!

一般人を襲う敵を竜弓召喚機で[牽制射撃]。注意をこちらに向けさせ、あとは流れに身を任せよう。

戦場で意識を手放すのはおっかないけど……ま、いざとなれば|相棒《変身ベルト》が起こしてくれるよな!

 どんなものにだって難点はある。
 そういうものだ。
 空地・海人(フィルム・アクセプター ポライズ・h00953)は、手の内にある駄菓子を弄んだ。
 棒状の駄菓子。
 知る人ぞ知る、ではない。むしろ、知らないものの方が少ないのではないかと思えるほどに駄菓子の代表格。
 棒状スナック菓子で、フレーバーが沢山ある、といえば、『うんめいぼう』。
 その納豆フレーバーを手にして海人は少し考えた。
 今食べてしまおうか、それとも後にすべきか。いや、すべきだ、と海人は断じた。
「そうなんだよな……美味いんだけど、マスクの中が納豆臭くなるんだよな……」
 でも、食べてしまおうか問い誘惑がないわけではないのだ。
「うん、終わってから。終わってから」
 そう、全部終わってからだ、と海人は自分に言い聞かせた。

 すでに√EDENの街中では古妖たちが『死亡遊戯尊』の生み出した死亡遊戯迷宮に一般人を引きずりこもうとしている。
 これを止めねばならぬ。
「竜現像!」
 腰に巻き付けた変身ベルトにルートフィルムを押し込む。
 手にした竜弓召喚機。
 充填されたエネルギーが矢となって古妖『のっぺらぼう』たちの腕を貫き、地面に縫い留める。
「今のうちに、さあ!」
 海人は一般人たちを守るために立ちはだかる。
 その姿はヒーロー然としていたし、事実ヒーローであった。
 彼は『のっぺらぼう』たちの奇妙な姿を認める。
 確かに『のっぺらぼう』と名付けられるだけの風貌である。

「寄越せ、寄越せ! お前の顔を!」
「悪いな。今の俺は仮面を被っているんでね。お前にくれてやる顔はないんだ。だから」
 引き絞ったエネルギーの矢が放たれ、伸びるようにして迫る『のっぺらぼう』の腕を縫い留める。
 しかし、そこらじゅうから手が溢れ出し、海人へと迫る。
 確かにこのフォーム――√ドラゴンファンタジーフォームであれば、外部からの干渉を完全無効化することができる。
『のっぺらぼう』の√能力は海人の生命を脅かすことはない。
 むしろ、だからこそ敵の注意を自らに惹きつけるように海人はエネルギーの矢を乱れ撃つ。

「こっちだ! お前たちが奪うべき顔はこっちにある! 遠慮しなくっていい! 持っていけるもんなら! なっ!」
 その言葉と共に海人は『のっぺらぼう』たちを引きつける。
 無数の腕が彼の身にまとわりつき、その体を締め上げる。だが、痛みはない。代わりに変身を維持するためのエネルギーが大量に消費されていくのだ。
「くっ……だが、そんなもんじゃあ、俺は倒れないぜ!」
 そう強がってみたものの、エネルギーの消費が激しい。
 このフォームは汎ゆる干渉を無効化するが、エネルギーが枯渇すると気絶してしまうのだ。
「(よし……このままっ! 確かに戦場で意識を手放すのはおっかないけど……)」
 いざとなれば、と己の変身ベルトという名の相棒に頼ることになるだろう。
 海人は己を取り囲む無数の腕による攻撃、それによって失われていくエネルギーがレッドゾーンになるのを確認し、そのままショーウィンドウの中に引きずり込まれていくのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ジェイド・ウェル・イオナ・ブロウクン・フラワーワークス
おれ駄菓子だーいすき!
シガレットチョコとか粉コーラとか好きで
よく駄菓子屋に行く人間爆弾さんだよ

さて【潜入工作】で一般人に変身
他者に紛れて庇いながら巻き込まれるスタイル
ショーウィンドウで姿を確認
なんかヒューイ似になったな
せっかくこの姿なんだから
少しくらいお洒落なカッコしようっと
って具合でウィンドウショッピング

襲われかけた人を庇えば
背後を取られて金縛りに遭うだろう
鏡面に映るヒューイの顔
意表を衝かれたつつ
「あなただけでも、逃げて」
と一般人に逃げるよう促す
きっと弟もこうするから

鏡面に呑み込まれながら
獲物を捕らえて油断したのっぺらぼうの背後より
ガツンと一発零距離射撃
人様の弟で解釈違いなツラすんじゃねーわ

 駄菓子とは良いものだ。
 子供でも買えるものだ。駄菓子屋、という専門店があるくらいだ。それに、これは世界的に見ても珍しい商業形態であると言える。
 ターゲットは子供。
 さりとて、子供は金銭的な余裕どころか、そもそも子供が金銭を扱うという文化もまた珍しいものである。
 子供が自由にできる金額は多くない。
 だが、僅かな金額の内でやりくりする術を磨く、という意味では駄菓子はうってつけであっただろ。
 それは、とても平和的なことだ。
 生きるために必要なことであるが、『そう』思えること自体が平和なことだった。
 荒廃した世界。
 生きることだけに必死だった√にいたジェイド・ウェル・イオナ・ブロウクン・フラワーワークス(笑おうぜ・h07990)にとっては、あまりにも縁遠いことであった。

 だから、大好きになったのだ。
 シガレットチョコ。粉コーラ。うんめいぼう。√EDENは文字通り楽園だ。駄菓子屋に足を向けて、よく思う。
「だからさ」
 巻き込ませたくはないものだ、とジェイドは一般人の装いで街中にいた。
 ショーウィンドウを見る。
 一見すれば、弟に見えなくもない。せっかくだからとおしゃれをして、平和的にウィンドウショッピングとしゃれこめば、少しばかり気分が上がっていくのを感じただろう。
 けれど、その平和的な気持ちも長くは続かない。

「この平和を、馬鹿みたいな催しでぶち壊してほしくはないんだよね」
 ショーウィンドウから伸びる手。
 それは古妖『のっぺらぼう』の腕であった。
 一般人を『死亡遊戯尊』の迷宮に引きずる役目を負った彼らは、鏡面となった何処からでも姿を表し、唐突に人々を中に引きずり込むのだ。
 ジェイドは、そんな一般人と『のっぺらぼう』との間に割り込んだ。
「な、なに、なんだ!? 手!?」
 困惑する一般人。
 突き飛ばされたことにも驚いたが、ショーウィンドウから伸びた腕にも目を見開いている。
「あなただけでも、逃げて」
 ジェイドはそう告げる。
 身を縛るのは金縛りだった。

「お前は私」
「違う。俺は、俺だ」
 そう、弟でもない。弟ならばきっとこうするだろうが、己は己である。それだけはどうやっても変わらないことなのだ。
 だからこそ、ショーウィンドウに映った己の姿に僅かに息を呑む。
 そうだ。
 己は兄なのだ。
 弟がこうするのならば、兄としてどうすべきかなんて言うまでもない。弟は守るべきものだ。兄は護らねばならない。
 飲み込まれていく中、ジェイドは『のっぺらぼう』に銃口を突きつけた。
 己を引きずり込んだと油断した敵の隙を突くなど容易いことであった。
 引き金を躊躇なく引く。
 銃声は鈍く、響いた。

「解釈違いなツラだな」
 つぶやく。
 それは鏡の中の自分か、それとも『のっぺらぼう』のつるりとした顔に浮かんだ顔か。
 いずれにしたって。
「こっからだな」
 そう、ここからだ。ここからが、本番なのだ――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

折木・龍也
何だこの納豆味は。いや、今はいい

ユーサネイジア、決戦モード
真紅に輝く機体でショーウィンドウや道路ミラーの前へ割り込み、一般人と鏡面の間に立つ
「悪いな。デスゲームの参加者はオジサンで間に合ってる」

伸びる欲しがりの手は、機体の加速と攻撃回数で叩き落とし、掴まれそうな一般人を腕で庇って後方へ逃がす
割れたガラスや転倒にも注意を払い、人の流れを乱しすぎない

無理に全滅は狙わない。攫い役が消えちゃ困るからな
ある程度数を減らし、人の流れを安全圏へずらしたら、わざと手に絡め取られる
「はいはい、捕まった捕まった。雑に運ぶなよ、腰にくる」
仕方ない、今回は客として招かれてやる
そのままやられたふりで死亡遊戯迷宮へ向かう

 これは嗅ぎ慣れた戦場の匂いだ、と折木・龍也(伏龍・h13162)は、決戦型WZ『ユーサネイジア』の中にあって、そう思った。
 ここは√EDEN。
 その街中である。
 √ウォーゾーンの瓦礫に塗れた街中ではない。
 硝煙に満ちた景色でもない。
 炎もなく。悲鳴もなく。骸もない。
 ただ日常だけがあった。しかし、その日常の中にどうしても嗅ぎ慣れた匂いだけが立ち込めていた。
 例え、それが手にしたスナック菓子の発する匂いに邪魔されていたとしても、はっきりとわかる。
「戦場の匂いだ」
 スナック菓子をかじる。
 こぼれた欠片から匂いが発する。なんだ、この納豆味というのは、と思った。奇妙な味だ。いや、今はいいのだ。
 それは今、考えるべきことではない。

「『ユーサネイジア』、決戦モード」
 出力を上げる。機体のパフォーマンスを向上させ、この日常の中に蔓延る古妖とやらを打ち倒す。
 彼らは一般人を鏡の中に引きずり込んでいるのだという。
 引きずり込まれた先で行われるのはデスゲーム。
 けったいなことである。
「こちとら生きているだけで、常日頃からデスゲームだっていうのにな。だが、悪いな」
 真紅に輝く機体と共に古妖『のっぺらぼう』がショーウィンドウの中から一般人に手を伸ばそうとしている間に割り込み、躯体の拳を振り上げた。
「悪いな、デスゲームの参加者はオジサンで間に合ってる」
「寄越せ、寄越せ、寄越せ、寄越せ!」
「欲しがりだな」
 無数の手が伸びるのを『ユーサネイジア』の腕部が叩き落とし、掴み上げる。

「今のうちに逃げなよ」
 外部スピーカーで庇った一般人にう長いsながら、龍也は息を吐き出す。
 ぎりぎりと『のっぺらぼう』は鏡の中から這い出し、WZの出力をねじ伏せようとしている。その間にも無数の腕がクタイに絡みついてくるのだ。
「上等だ。力比べかよ!」
 抵抗。
 しかし、龍也の目的はそれではない。
 第一に一般人を逃すこと。これは達成できている。
 頭の中のチェックシートにチェックを入れる。
 第二に古妖の数を減らす。これも他のEDENたちがいる。
 そして第三に、だ。

「はいはい、捕まった捕まった」
 躯体に絡みつく腕。
 真紅の機体が、その色を変えていく。カウント60。
 きっかりだった。出力を失った『ユーサネイジア』は、ずるずると力なく引きずり込まれていく。
「雑に運ぶなよ。腰に来るんだ、変な体勢だとな」
 龍也は、『ユーサネイジア』の中で息を吐き出す。
 仕方ないとは言え、今回は客として招かれなければならない。出力を失ったと見せかけて、死亡遊戯の迷宮に引きずり込まれていくのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ケヴィン・ランツ・アブレイズ
(「うんめいぼう・なっとう味」を齧りながら)
うーん、不思議な味わいだねェ。
不味くはねェが、好んで食う奴がいるとも信じがたい塩梅の味だなァ。

食い終わったところで。
|遊戯《ゲーム》への招待というには随分と荒っぽい手段だねェ。開発に熱心なのは結構だが、押し売りは感心しねェな。
ともあれ、奴さんのお遊びにちょいと付き合ってやりますかィ。

武装は敢えて軽めにして、ダメージを受けやすくしておく。
一般人を〈盾受け〉〈ジャストガード〉で〈かばい〉ながら逃げるのを支援する。五体さえ満足なら、俺たちに注意が向いてるうちに逃げられるだろうしな。
襲ってくる古妖どもは、一般人を追いかけられねェ程度には痛めつけてイイよなァ?

「うーん、不思議な味わいだねェ」
 察するに、発酵食品の類なのか、とケヴィン・ランツ・アブレイズ(“総て碧”の・h00283)は口元に香る油の匂いをかき消すような独特の香りに眉根を寄せるまでもなかったが、少しばかり驚いた顔をした。
 うんめいぼう。
 そのなっとう味。
 ふむ、と見下ろす。
 マズイ、とまでは思わない。だが、なんていうか、と彼は思った。これを好き好んで食べるものがいるのか、と。
 世界には様々な趣味嗜好の者がいると聞くが、√EDENは他のEDENから比べても多種多様雑多であるな、と思えてならなかった。
 ケヴィンは、一度口にしたものだからと全てスナック菓子を口の中で咀嚼して飲み込んだ。

「ふぅ……さて、口の中が面白いことになってるが……」
 街中を見やる。
 ショーウィンドウのあちこちから古妖『のっぺらぼう』が現れ、一般人たちを鏡の中に引きずり込もうとしている。
 随分と大雑把で荒っぽいやり方である。
 これも全て『文庫古妖』あらため『死亡遊戯尊』がデスゲームを催しているからなのだという。
「不愉快っていうよりも面倒事だなァ。これは熱心なのは感心するが、押し売りは感心しねェな」
 ともあれ、とケヴィンは『のっぺらぼう』たちの前に躍り出た。
 手にした盾。
 構えて、伸びる腕を弾く。

「奴さんのお遊びにちょいと付き合ってやりますかィ」
「寄越せ、お前の顔、顔、顔、顔ぉぉぉぉ」
「おいおい、受けたオーダーとは違うんじゃあねェのかィ?」
 迫る腕が増えた。
 明らかに己の標的を搾ったのだろう。だが、それは好都合だった。
 己に意識が向けば、他の一般人は逃げおおせるだろう。元より、それも目的の一つであったのだから、望むところであった。
「さあ、今のうちだ。ここは騎士に任せなァ」
 五体が無事ならばどうでもいい。
 逃げ惑う人々を守る。その背中を守るようにしてケヴィンは、伸びる『のっぺらぼう』の腕を掴む。
「さて、目的は迷宮の中に入り込む、だったか。とは言え」
 ケヴィンは盾を振りかぶる。

 確かに古妖は撃退すべきである。
 だが、目的を違えてはならない。ケヴィンは、やれ面倒なことだな、と思いながらもう腕を掴んだ『のっぺらぼう』の体を振り上げるようにして持ち上げた。
「一般人を追いかけられちゃァたまらないんだ。多少は痛めつけさせてもらうぜ」
 ケヴィンは地面に『のっぺらぼう』を叩き付け、その姿が更に彼らの注意を引きつけることになっただろう。
 殺到する『のっぺらぼう』たち。
 無数の腕がケヴィンを取り囲む。
「うぐっ……このっ! ……はぁ、よーやくかィ」
 まるで繭のようにケヴィンは取り囲まれ、そのままショーウィンドウの中に引きずり込まれていき、その目的を達するのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

逝名井・大洋
なっとう味ねぇ…ご飯が欲しくなっちゃうな。
自分から囮になるって?そーゆーのは得意分野だよ。
だってホラ、ボクおまわりさんだから!

街中の鏡面から離れるよう一般人に呼びかけつつ
間に合わない場合は霊能震動弾で狙撃し、震度7相当の揺れを付与。
ハーイ、今のうちにダッシュしちゃって!
後追いはさせないよ、キミ等は誘拐罪で現行犯逮捕だ。

けどまぁ…これだけガラス張りの建物に囲まれてりゃ
イマのボクに逃げ場はないかな。
銃弾で全部割るってのも非現実的だし…と諦観を滲ませて
煙草に火を付けようとライターを取り出すも
やっば、これも鏡面仕様だったっけ?

2.5枚目としてチョケた配役は十八番。
迫真の演技で引きずり込まれてあげるよ!

 なっとう味。
 文字通り、連想するのはネバネバ糸を引くあれである。そして、そのお供ともなれば、当然、白飯である。
 逝名井・大洋(Coyote Bebop・h01867)は、うん、と頷いた。
 ご飯が欲しくなる。
 スナック菓子とは言え、これを砕いてふりかけにしてもいいんじゃあないか、とイケナイことを考えてしまう。
 いやいや、と彼は頭を振った。
 今は仕事。そう、仕事なのである。
「そう、これは言ってみれば囮調査みたいなもんだよねっ。言ってみればっていうか、なんていうか、それよりもなによりも、ボクおまわりさんだからねっ」
 それが仕事。本職。
 ならば、他に遅れを取るわけには行かないのだ。
 現職の意地ってやつである。

「あー、はいはい。みなさーん、ちょっと通報がありましてー。危険物がショーウィンドウに仕掛けられているという脅迫文が届いたとのことでー。なので、ショーウィンドウから離れてくださーい」
 大洋は、いけしゃあしゃあと呼びかけた。
 こういう時に警官っていうのは良い身分である。
 手帳を見せれば、大抵の一般人は素直に従ってくれる。後ろ暗いことがなければ、尚更のことである。
 そうやって彼はショーウィンドウから一般人たちを遠ざけていた。
 彼らは『死亡遊戯尊』の成さんとしているデスゲームに巻き込まれようとしている。であれば、少しでも彼らの犠牲がでないようにしなければならず、また己もまたデスゲームの会場である迷宮に入りこまねばならない。
「なー、なんでだよ。俺等、店予約してんだけどぉ」
 いかにもチンピラ、という風体の男がショーウィンドウから離れるように、と規制線を張る大洋に文句を言う。
「あーね」
 こういうのもいるよな、と大洋は思った。
 この手合には口で言っても通じない事が多い。なら、どうするか。
 簡単である。
 大洋は、己の√能力で地面に霊能震動弾を打ち込んだ。
 瞬間、地面を揺らす力。

 それは地震と思われても当然であった。
「ほらー! 逃げて逃げて。はいダッシュ。ダッシュ。ダッシュアンドダッシュね」
 大洋の言葉に一般人たちは一目散逃げ出す。
 悲鳴と多少のパニックはあれど、しかし、その後に現れる古妖『のっぺらぼう』たちの出現に比べれば御しやすいことである。
「あーもう、これだけガラス張りの建物に囲まれてりゃ、こうなるかぁ」
 大洋は見上げる。
 そこかしこから『のっぺらぼう』たちが現れ、お手上げ状態である。 
 さりとて、抵抗を見せねば看破されてしまうかもしれない。
 それは避けねばならぬことであろう。
 大洋は、ため息交じりに一服せんとライターを取り出して、はた、と気がついた。

「やっば」
 鏡面。
 キラリと輝いた瞬間、『のっぺらぼう』の腕が大洋の顔面を覆う。
 迫真の演技なんて言うものではない。大洋の体は当然のように吸い込まれ、二枚目半の様相でもって無事に迷宮入りするのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

御岳山・大真
なっとうと菓子か…あうことには合うのではなかろうかのう?
ものは試しで一つ貰おうかの。
うむうむ…紛うことなき納豆の味じゃのう。


菓子を食べている間に着いたの。
まったく、強欲な奴じゃの。
自前のまっさらな顔があるというのに。
『のっぺらぼう』に対して【竜念捩】を使い、振動を与え続けながら、襲われている人々に避難を促す。

ほれ、さっさと逃げんと鏡の中へと連れ込まれてしまうぞ。
ここは抑えておる、逃げい。

振動で抑えている、のっぺらぼうに【妖力の肉体】による蹴りや掌底で突き飛ばしながら、奴らの手がわしを掴んでくるようにしておくか。

顔まで取られたら何も残らんからのう…堪忍してくれれば良いが…。

 なっとう。
 甘納豆のほうが好みなのかもしれない。
 とは言え、この独特な風味。これがクセになる者もいるのかもしれない。
 ものは試し、と御岳山・大真(怪異噛み・h07482)は星詠みから受け取ったスナック菓子を、ばりぼりと音をたせて咀嚼させた。
 香りのほうが強い。
 スナック菓子の油っけも忘れさせるほどの香り。
「うむうむ……まごうこと無き納豆の味じゃのう」
 面白いものである。
 人間の考えること。その営み。
 いずれもが刹那の如き生命の煌めきの中で生み出されたものである。
 世に蔓延る怪異。
 古妖もまた似たようなものであろうと、大真は息を吐き出す。

 √EDEN。
 そこかしこに平穏がありながらも、常に侵略の危機を持つ約束の場所。
「まったく、強欲な奴らじゃの」
 街中のそこかしこから古妖『のっぺらぼう』たちは現れ、人々を鏡の中に引きずり込もうとしている。
 全ては『死亡遊戯尊』の為す、デスゲームのためであるという。
 デスゲーム。
 それはクリアできなければ、致死率100%の死亡遊戯。
 生命で遊ぶ命がけのゲーム。
 大真には、よくわからぬことであったが、無辜の一般人が巻き込まれるというのならば、これを阻まない理由はなかった。
「寄越せ、寄越せ、顔を寄越せ」
「きゃあああっ!!」
「何故、欲する。自前のまっさらな顔があるというのに」
 大真は、襲われている一般人を掴む『のっぺらぼう』の腕を掴む。

「邪魔をするな、顔を!」
「そう邪剣にするでない」
 √能力の発露。
 瞳に映るは、インビジビルの孤影。揺らめく体躯からエネルギーを引き出した大真は、己が由来たる神話の逸話にある衝撃を放ち、その腕を一般人から引き剥がした。
「ほれ、さっさと逃げぬか」
「ひっ、あ、わっ……」
「なんと腰が抜けたか。仕方ない。ゆっくりで構わぬぞ。ここは抑えておる」
 そう言って、大真は掴み上げた『のっぺらぼう』を押しのけるようにして振動させながら、一般人たちから遠ざけるようにしてショーウィンドウに押し付けた。
 砕けるショーウィンドウのガラス。
 振動によって割れ散ったガラスの破片からも『のっぺらぼう』たちは現れ続ける。

「ふむ。破片が小さくても腕は伸ばせるか。器用な奴等よ」
 大真は迫る腕を蹴り飛ばし、踏みつけながら頷く。
 確かに物量は凄まじいものである。なんとしても鏡の中に引きずり込まんとする意思もわかる。
 だが、体躯を抑えられる。
 振りほどくこともできただろう。
 元より、この体躯は妖力そのものである。
 如何様にでもできる。しかし、顔だけは違う。性格には頭、首だけが元来の大真のものである。
 顔まで取られては、と息を吐き出す。
「顔は勘弁してほしいところじゃのう……堪忍、とは行かぬか」
 ぐるりと取り囲む無数の腕。
 息を吐き出す。
 やれやれ、と彼は見上げる。これはどうしようもない。いや、と頭を振る。どうにかはできる。

 だが、そうする理由がない。
 元より目的は、鏡の中の迷宮に引きずり込まれることなのだ。
 大真は、うまくやれよ、と言わんばかりに息を吐き出して無数の腕によって迷宮に引きずり込まれるのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 冒険 『立体迷路ダンジョン』


POW 気合いでどうにかする
SPD 技量でどうにかする
WIZ 頭でどうにかする
√ドラゴンファンタジー 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 EDENたちは己たちが引きずり込まれた鏡の中でまぶたを開けた。
 暗闇、ではない。 
 そこは、√EDENのそれとは異なる光景であった。
 鏡の中であるのだから、当然と言えば当然かもしれない。だがしかし、EDENたちは目を見開いただろう。
 広がっていたのは、さながら√ドラゴンファンタジーのダンジョン内部のような石造りの構造物の中、であった。
 灯りが灯されている。 
 だが、わかるのはここが迷宮のようになっているということだけだった。

 そして、これがデスゲームだというのならば、主宰が現れねばならぬ。 
 デスゲームというのは、そういうものだ。
 まずは、主催者によるデスゲーム開始の説明があるものだ。
 だが、待てど暮らせど、その気配がない。
 それどころか、だ。
 何か、軋む音が聞こえた、と思った瞬間、EDENたちは己たちの足元から重力が失われたのを知っただろう。

 自分が今迄足元だと思っていたものが、壁に変わっている。
 目を見開く。
 瞬間、己の足を重力が引っ張り込むようにして通路だと思っていた場所が床になっていることを知る。
 通路が床に。
 であれば、そこに床はない。
 通路が床にならぬのならば、何になるのか? そう、落とし穴である。
 どこまで続いているのかもわからぬ通路……いや、竪穴。
 EDENたちは理解した。
 このダンジョンは、立体迷路めいた様相になっているのだ。そして、おそらくだが、これは一定期間で床と壁と天井とが入れ替わるのだ。
 説明しろよ! デスゲームなら! と思っただろう。
 
 だが、どうしてかわからぬが、説明はない。
 あるのは、ただ法則性だけだった――。
折木・龍也
まったく、わけ分かんねえな
デスゲームなら、せめてお約束の説明くらい守ってくれよ

落ちかけた体を、さっきまで床だった場所へぶつけるようにして止める

はぁー……ここ禁煙?
あ、そう
咥えかけた煙草をしまい、代わりに腕時計を見る
まずは動かない
入れ替わる間隔を測り
なにか切っ掛けがないかを探って
頭で流れを組み立ててみる
よし、大体いいんじゃねえの
周期を掴んだら、次に床になる面を見極めて進む
格好良くはいけないだろうが、多少の力押し、必要ならユーサネイジアの装甲やワイヤーで体を固定
一度に大きく進まず、切り替わりごとに安全地帯を確認する
普通の落とし穴とか、ねえよな?
一応確認しつつ
説明がないなら、観察して法則を盗むだけだ

 奇妙だった。
 そう、奇妙なのだ。
 これがデスゲームだというのならば、本来あるべきものがない。その気持ち悪さというものが折木・龍也(伏龍・h13162)には奇妙に思えてならなかった。
「まったく、わけがわかんねえな。デスゲームなら、せめてお約束の説明くらい守ってくれよ」
 憮然とした物言いである。
 しかし、それもそのはずだ。
 これがデスゲームであるということは承知の上。
 なのに、デスゲームにありきのものがない。そのくせ、ダンジョンのギミックめいた罠は始まっている。
 それに、これは不完全だ。
 例え、床や壁、天井がサイコロが転がるように床が壁に、壁が床に、天井が壁になるようなギミックがあるのだとしても、説明がなければ、これがデスゲームではない。

「はぁー……ここ禁煙?」
 吸わなきゃやってられない。だが、龍也は自重した。
 見えぬルールがあったとして、ここが仮に火気厳禁だった場合、容赦なく死亡するだろう。
 説明がないからわからないが、だからといって迂闊な行動も取れない。
 口にくわえた煙草を軽く歯先で弾いて、掴んだ煙草を懐にしまう。
 まず、肝要なのは観察である。
 違和感を逃さないこと。
 生き残るには、そうした些細なことから始まっているのだ。故に達也は動かない。
 仮に、このダンジョンのギミックが如何なるものだとして、床と壁、天井とが入れ替わるタイミング、もしくは切欠のようなものが分かれば、攻略は容易である。

 頭の中で流れを組み立てる。
 床が壁になる。
 壁が天井になる。
 この二つだけでも条件が絞れる。つまり、時計回りか、逆時計回りか。
 どちらかでしかこのギミックは起こり得ない。
 天井がいきなり床になる、ということがないのである。
 であれば、対処は反射神経になるだろう。
 だが、そのタイミングというものが完全にランダムなのならば。
「力押しは無理ってことか。むしろ、必要なの臨機応変な対応力……ッ!」
 格好良くはできないかもしれない。 
 だが、己のWZ『ユーサネイジア』の装甲から放たれるワイヤーが壁に打ち込まれた瞬間、床が壁になる。
 通路があれば、落とし穴になるそこに躯体がぶら下がる。

「間一髪、か……デスゲームってなら、安全地帯もあるはずだ。まずはそこを目指すか……が、どうだ。ここがダンジョンだってんなら、ダンジョンらしい罠もあるんじゃあねぇのか?」
 油断はしない。 
 例え、一つの法則性を見つけ出したとしても、それが絶対唯一ではないのだ。その可能性は多大にある。 
 だが、それをまさか、とは一蹴しない。
 それほどの用心深さがなければ、生き残ることができないのだ。
 龍也は、この状況に即応し、慎重に進むのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ジェイド・ウェル・イオナ・ブロウクン・フラワーワークス
アドリブ、連携等大歓迎

ダンジョンでターザンを楽しんだ経験のある人間爆弾さんだよ
前回使った鎖鎌やその代用になりそうなもんは手持ちにないなー
けど、横から槍が飛び出したり
降ってきたりする罠はないから
体高2mのねこちゃんになっちゃおうかな
干渉受けて恥じらい大量消費の心配なさそうだし
ねこちゃんの機動性を駆使すれば
床に壁に天井にひょいひょい駆け回り
アスレチック感覚でこの迷路を踏破できる
って寸法だ
竪穴ってことなら
上に行けばいい
目的地が合っていてもいなくても
ねこちゃん的本能により
研ぎ澄まされた第六感を信じて
走れ!!にゃー!!

あ、落ちそうな人がいたら助けるにゃ

 人間は二種類いる。
 そう、ダンジョンでターザンを楽しんだ経験のある人間と、そうでない人間の二種類だ。
 いや、と取り留めもない思考をジェイド・ウェル・イオナ・ブロウクン・フラワーワークス(笑おうぜ・h07990)は振り切った。
 眼の前にはダンジョン。
 しかし、これがデスゲームだというのならば、主宰の説明が一向に始まらないのはおかしい。
 何故なのか。
 思考がそこまで飛んだ瞬間、ジェイドは己の足元にあった床が失われたのを知っただろう。
 ない。
 あるのは、穴。
 そう、それは先程まで通路と呼ばれていたものであった。
 だが、それは今やただの竪穴にしかなっていない。
 重力を感じ、己の臓腑がせり上がるのを感じた。

「どうしてこうなっちゃうんだろうな」
 ジェイドは、己の√能力が如何にして、このような姿に自分を変化させるのか理解できなかった。自分の√能力ですら理解できないのだ。けれど、この状況だけは理解できる。
「よっと!」
 お魚くわえたどら猫ならぬ、鎖鎌くわえたねこちゃんに変じたジェイドは、鎖鎌の鎌を先程まで床だった壁に突き立て、鎖で持って竪穴に落ちる事を防いでいた。
 落ち着けば、こうもわかりやすいギミックもない。
 揺れる鎖の反動を利用して、ターザンよろしく、ターザンねこちゃんになってジェイドは竪穴ではない床へと降り立つ。

 身のこなしは猫そのものであった。
「まあ、こんなもんだよね、ねこちゃんの機動性を駆使すれば。ただのアスレチックだ」
 ここが迷宮であったとしても、不可思議なギミックがあるのだとしても、猫の俊敏性があるのならばできないことはない。
 兎にも角にも竪穴が通路に、通路が竪穴になるというのならば、その感覚だけ覚えておけばいい。
「走れ!! にゃー!!」
 そう、どこまで走っていけばいい。
 デスゲームなら尚更。法則性があって然るべきなのだろうが、今のジェイドにはよくわからない。とにかく上へ、上へ、ただひたすらに飛び乗って、走って、飛び降りてを繰り返すだけだ。
 楽しい。
 それはとても楽しい。
 まるでパルクールの如き様相。

 床を蹴る。
 先程までは壁だった床だ。
 そして、壁だった床は、さらに壁になって、壁から天井に変わる。
 目まぐるしく変わる光景にありながら、ジェイドは猫の本能のままに走り抜ける。走って、疾走って、走り抜けて。
 そうやって猫は颯爽たる姿で人間を魅了するのだ。
 理屈じゃあない。
 デスゲームっていうのは、人間を対象にするものだ。今は、猫であるジェイドには、主催者の思惑などどうでもよく、たただ、踏破に向けて研ぎ澄まされた第六感めいた勘を冴え渡らせ、走るのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

クラウス・イーザリー
(デスゲームって最初に偉そうな人が色々お喋りするものじゃないんだ……)
ひとまず周囲を観察し、天地が入れ替わるタイミングを図る
足元が抜けたらガントレットのワイヤーを近くの物に巻き付けて落ちないようにする

暫く観察してタイミングを掴んだら、入れ替わった直後に氷の跳躍を使用
ええと、これって上と下どっちに行けばいいんだろう?
ひとまずゴールっぽい方向に向けて転移しよう
あとは時間との勝負
再度入れ替わるまでにダッシュで急いで駆け抜ける!

入れ替わってしまったらどこかに掴まるかワイヤーでぶら下がって耐え、次の入れ替えを待つよ

これ一般人が巻き込まれたらゲームどころじゃないよね
デスゲームのゲーム抜きはただのデスだよ

 一般的なデスゲームというものが一体なんなのか、クラウス・イーザリー(太陽を想う月・h05015)には、想像もできなかった。
 頭の中にあるのも、ふわふわとしたイメージでしかなかった。
 そう、デスゲームと言えば、理由もわからずに巻き込まれるのが典型であり、古典であろう。確か、そうだ。そのはずだ、とクラウスは自らに言い聞かせた。
 であれば、これはあれなのか?
 型破り的な?
 守破離みたいな、そんな展開の掟破りで引き寄せるような、そういう手法なのか?
 いやいや、とクラウスは頭を振った。
 己の中にあるイメージは、やっぱり主催者が偉そうな雰囲気をまとって、意味ありげに顔を隠しながら黒幕ムーヴを決めるようにお約束のおしゃべりをするものであるはずだ。
 だが、今、クラウスが引きずり込まれた鏡の中……『死亡遊戯尊』が生み出したであろう迷宮は、少しばかり彼のイメージとはズレていた。

「ダンジョン……? だとすれば」
 そう思った瞬間、床が壁に代わり、床が壁に変わる。
 天井が壁になり、壁だと思っていた場所が床になる。
 それは一定の法則性を持つものであるとクラウスは理解していた。
 天地が一気に入れ替わることはない。そう、順番なのだ。まるでサイコロを転がすように、壁と床と天井とが入れ替わる。
 これが第一の条件であり、法則性である塔のならば、クラウスは思った。
 前後が入れ替わっていない。
 あくまで左右に動いている。
 であれば、とクラウスはガントレットのワイヤーを射出し、通路が竪穴となった罠を回避していた。
 あの竪穴に落ちれば、間違いなく死亡するだろう。
 そう思わせた。

「……危なかったけれど……前後は入れ替わらない、のなら。これってどこまでも2次元的なギミックでしかない、のかな?」
 クラウスは首を傾げる。
 視界にはギミックなど無関係というようにインビジビルが浮かんでいる。
 であれば、と彼は√能力でインビジビルと位置を入れ替えるようにして跳躍する。
「後は、時間との勝負だ。もしかしたら、時間経過で足場が亡くなっていく、なんてこともあり得るかもしれない!」
 ワイヤーを引っ掛け、クラウスは器用に視界が回転するダンジョンの中を進む。
「しかし、これは……一般人が巻き込まれたらゲームどころじゃないよね。というか、これは本当にゲームなんだろうか? 急ごしらえだとしても……」
 違和感しか感じられない。
 まるで。
「デスゲームのゲーム抜きだよ、これは。そうなったら、こんなのはただのデスでしかない」
 殺すためのダンジョン。
 クリアできるのだとしても、ゲーム要素などどこにもない。
 これは、とクラウスは思う。
 何か『死亡遊戯尊』の意思の介在していないダンジョンなのではないか、と――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ケヴィン・ランツ・アブレイズ
やれやれ、ダンジョンには罠が付き物ってのはウチの√じゃ常識だが、「ダンジョン自体が罠の塊」ってェのは流石にそうそうお目にかからないねェ。
しかしこれで|遊戯《ゲーム》とはねェ。現実のダンジョンなら確かに手探りが基本だから「リアリティに拘りました」という論理は成立しなくもねェが……。
いやァ、無ェな。この際「クソゲー」の謗りは甘んじて受けてもらった方がイイねェ。

ともあれ、ゲームの枠を超えたダンジョン攻略ってェンならちょいとマジになろうかィ。
突然足元が抜けて落下、なンてコトにならねェよう、半人半竜の姿に化身。
とは言えあまり広い空間じゃねェので、スピードは抑えめにして迷宮内を駆け回る。

 引きずり込まれた鏡の中は、ケヴィン・ランツ・アブレイズ(“総て碧”の・h00283)にとっては、馴染みのある光景であったかもしれない。
 そこはダンジョンであった。
「やれやれ」
 ケヴィンは頭を振った。
 見慣れたダンジョンであるが、ダンジョンというものは、そうした見『慣れた』というのが一番危険なのだ。
 ダンジョンは踏破を拒む。
 故に人の意識や注意というものを危険からそらし続ける。
 油断を誘う。
 慢心を狙う。
 そういうものなのだ。であれば、ケヴィンは己こそが、このダンジョンめいたデスゲーム会場にて一層身を引き締めねばならぬと思っただろう。

「しかし、ダンジョンには罠がつきものってのは常識だが、まさか『ダンジョン自体が罠の塊』とはねェ……流石にそうお目にかからないねェ」
 そう、このダンジョンはケヴィンを飲み込んでいる。
 これ自体が罠であるというのならば、確かに彼の言葉も最もである。
 これがゲーム、遊戯であると言い張るのならば、ケヴィンはどうにもセンスというものを感じられなかった。
『死亡遊戯尊』は、その名付けられた名によって性質を変えるようだ。
 そして、程々に不愉快であることにこだわりを感じているようである。元より、これがゲームだというのならば、クリアこそが目的なのだ。
 なのに、今このダンジョンにはそうした意図が感じられないのだ。
「時間が足りなかったか? それとも、ただの偶然か? 意図していないのか……まあ、どちらでも……いやまさか『リアリティにこだわりました』なんてことはないだろうが。この際『クソゲー』である謗りは甘んじて受けてもらった方がイイねェ」
 ケヴィンは気を取り直して、己の床が壁に変わった瞬間、その瞳を√能力の発露に輝かせた。

 一瞬で空中に浮かぶ。
 そう、たとえ、このダンジョン自体が罠だったとしても、横に回転するだけであれば飛翔できるケヴィンにとってはイージーなトラップでしかない。
「ともあれ、ゲームの枠を越えたダンジョン攻略ってンなら、ちょいとマジになるのもやぶさかではねェ」
 半人半竜の姿へと変じたケヴィンは飛翔する。
 大人げない?
 そんなものダンジョン攻略の前には、ただの工夫でしかないのだ。
 ケヴィンは羽撃くままにダンジョンの中を飛ぶ。
 どうやら、横に回転するだけのようだ。
「どうにもツメが甘い。むしろ、甘すぎる。いや、雑、かァ?」
 ケヴィンはこれがもしも、左右だけではなく、前後も入れ替わるのならが、手間取っただろうし、文字通りデスゲームと思えただろう。
 だが、横回転だけなのだ。
 それを法則性と呼ぶには、本場√ドラゴンファンタジーのダンジョンを知っている彼からすれば物足りない、歯ごたえのないものであった。
「ま、誰の思惑が絡んでいるのかは知らねェが、ニンゲンらしくないエンターテインメントの欠片もねぇダンジョンなことは確かだなァ」
 そう告げ、ケヴィンはダンジョンを飛翔して、踏破せんとするのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

弓槻・結希
地が天に、天が地に……
めぐるましく入れ替わる世界は、少しばかり不思議な様子で見ていて飽きませんね
なんて言うのはデスゲームという状況では不謹慎でしょうか?

いえ、だからこそ冷静に見て、見つめて、眺めて見切り得ていくんです
これが遊戯というのなら、この天地と床と壁の動きに法則性がある筈
決して動きには逆らわないように、それでいて羽ばたく翼で空中ダッシュを続けて置いて行かれない位置で状況と、床と天井と壁の動きを見つつ

完全なランダム……つまりは反射神経ということでしょうか?

そう見切れば単純
【神秘の花信風】にて飛翔速度を上げ、神秘の風を掴む羽ばたきによる早業の動きで一気に突き進んで参りましょう

 白い翼を羽撃かせる音が響く。
 間の前では鏡の中のデスゲーム会場――√ドラゴンファンタジーのダンジョンめいた光景が変わっていく。
 壁が床に。床が壁に。壁が天井に。
 そう法則性が見える動きで変わっていくのだ。
 その中で、一つ変わらぬものがあった。
 セレスティアルの証明である白い翼。
 これを羽撃かせ、宙に浮かぶ弓槻・結希(天空より咲いた花風・h00240)であった。
 彼女は、眼の前で天地が変わるさまを見て、少し考えていた。
「不思議な光景です。飽きません」
 ダンジョン攻略自体は、彼女とて経験したことがあるだろう。

 だが、これは前提からして違う。
 ここはダンジョンの様相を呈しているが、しかしデスゲームの会場なのだ。
 人の死で遊ぶ。
 それがデスゲームの骨子である。
 そして、困難なれど、そこには一定の条件による達成という名のカタルシスが与えられるはずだ。
 だが、彼女の眼の前で入れ替わる壁と床。
 これはあまりにもそうしたカタルシスを感じさせない、『雑さ』を感じさせずにはいられない。
「『文庫古妖』、いえ今は『死亡遊戯尊』でしたか。彼がこのような手抜きをするとは思えません。であれば、これは……」
 冷静である。
 それもそのはずだ。
 入れ替わる床と壁、天井と壁。
 これらを彼女は羽撃くことで空中に身を置くことで、回避しているのだ。 
 もしも、これが念入りに用意されたデスゲーム会場であったのならば、このような手段に対して対抗策、もしくは、そうさせないだけの条件付けが行われていたはずだ。なのに、それがない。
 ということは、だ。
 やはり彼女が感じたように『雑さ』は『粗さ』でいsかない。

「やはり、左右のみが入れ替わっている。前後に入れ替わることはないようです。それならば」
 ことは単純である。
 彼女の瞳が√能力の発露にきらめく。
 加速する我が身。
「空に咲いた花、流れた風よ。どうか」
 己を導いてというように彼女は羽撃く。花風はダンジョンの中であっても吹き荒ぶようにして彼女の背を押すだろう。
 これまで見てきた法則性から、前後が入れ替わることはない。
 左右しか入れ替わらないのならば、これはただの一本道でしかない。
「なら、後は進むだけ。翼ある私たちを想定していないようですね」
 結希はそれを理解した瞬間、速度を上げて一気にダンジョンを駆け抜けるのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

変身ベルト・フォトシューティングバックル
※アドリブ歓迎
※【カイト(h00953)と】

まったく……カイトはいつまで気を失っているんだろう……。
「カイト。そろそろ目覚めたまえ」

……えっ!?カイト共々落下してるじゃないか!?
「カイト!早く起きたまえ!起きて!お願いだから!」
ま、間に合った……。

「君が気絶している間に、特にルール説明も無かった」
デスゲームというのがどんな感じか気になってたから、少し残念だね。

「ボク…………私も力を貸そう」
ボクの[第六感]も共有すれば、壁や床が入れ替わるタイミングを掴みやすくなるはず。
「それに法則性も少しずつつかめてきた」
回避もしなければいけないカイトと違って、ボクは法則性を見つけることだけに集中できるからね。
空地・海人
※アドリブ歓迎
※【相棒(h06741)と】

……ハッ!?下に落ちてる!?
目覚めてすぐ、緑のルートフィルムを変身ベルトへ装填。「現像!」の掛け声と共に、緑の装甲を纏う【フィルム・アクセプターポライズ √汎神解剖機関フォーム】へ[変身]する。空撮爆弾・ハイアングルボマーの上に乗って、[空中移動]で元の場所に戻ろう。
ふぅ……助かったぜ。起こしてくれて、ありがとな、相棒。
それにしても、このデスゲーム……ちょっと初見殺し過ぎだろ。デスはあっても、ゲームの部分がおざなりだな。

入れ替わるタイミングはなんとなく[第六感]で分かるけど、法則性が全然読めないな。難しい……。

流石だな、相棒!このまま先に進めそうだぜ!

「――カイト。カイト! 早く起きたまえ! 起きて! お願いだから!」
 そう哀切ささえ感じさせる呼び声。
 それはあまりにも切迫した自体を告げるものであった。沿う感じさせた。だが、それでも意識は朧のように靄がかかっている。
 一体何が起こっているのか? 
 そもそも、自分はいまどうなっているのか?
 正しく状況を把握しようと己の感覚が総動員される。
 まず第一に、だ。
 身にかかる重力を意識の外に感じる。
 いや、我が身そのものに感じている。だが、どうにも意識がはっきりしない。
 明瞭なる視界があればいい。だが、見開いた瞳に真っ先に飛び込んできたのは、凄まじい速度で流れていく壁面であった。
「……ハッ!? 落ちてる!?」
 空地・海人(フィルム・アクセプター ポライズ・h00953)は、見開いた目をさらに広げて、現状を把握しようとしていた。
「カイト。ようやくか。早く目覚めたまえ。落下速度から計算して、そろそろ地面に激突してもおかしくない頃合いだ」
「それはどういう……いや、現像!」
 海人は己が変身ベルト・フォトシューティングバックル(空地・海人のAnkerの変身ベルト・h06741)の呼びかけに漸く気がついて、ルートフィルムを押し込んで返信した。
 緑の装甲が体を覆っていく。
 √汎神解剖機関フォームに変身した海人は、空撮爆弾・ハイアングルボマーの上に降り立ち、体勢を整えた。

 見上げれば、恐ろしく長い竪穴に落ちていたようだった。
「ふぅ……助かったぜ。起こしてくれてありがとな、相棒」
「まったく寝坊助だな」
 変身ベルトは、そう冷静な声色であったが、海人が目覚めるまではあまりにも切羽詰まっていた。それを彼が察していないことに胸をなでおろすような気配があった。
 焦りを隠しながら変身ベルトは、ハイアングルボマーの上に膝をつく海人に告げる。
「まったくデスゲームすぎる。まったく容赦ないじゃないか」
「そうだね。君が気絶している間、特にルールの説明はなかった」
「主催者は?」
「黒幕、というのならば、そうした者の声明もなかった。こういうデスゲームにはつきものだと思うのだけれどね」
「たしかにな。嫌に詳しいな、相棒」
「いやなに。デスゲームというものがどんな感じか気になっていたものでね。少し残念でもある」
「残念?」
「このデスゲーム会場がお粗末という意味でさ」
「それは、どういう意味なんだ?」
「そのままさ。デスゲーム会場というには、あまりにも雑だ。粗いと言い換えてもいい。余程時間がなかったのか、それとも手間を惜しんだのか。どちらにしたって、『死亡遊戯尊』を名乗る者にしては、あまりにもツメが甘いし、細部が雑だ」
「たしかにな……初見殺しっていう意味ではデスゲームなんだろうけどさ」
 そうしていると、目前で竪穴だったものが通路に変わる。
 左右……つまり、床が壁に変わったのだ。

 海人は首を傾げる。
「ゲームの部分がおざなりすぎるな。これって前後には入れ替わらないのか?」
「そうだね。どうやら、左右だけが入れ替わるようだ。そういう意味では、やっぱり雑だろう?」
「ああ、そうみたいだ」
 すでに変身ベルトは法則性を掴んでいた。
「前後の入れ替わりはない。なら、前後のいずれかがステージのゴールというわけだ。それでも、この場合、空を飛べる能力を持っていない一般人からすれば悪辣な罠ということになるんだろうけれどね」
「まったく。流石だな、相棒。なら、このままハイアングルボマーで飛んで進めば……」
「ああ、イージーモード、というわけだ。まったく、こういうデスゲームというのは知略を凝らすものじゃあなかったのか?」
「そう言うなよ。相棒のお陰で俺は助かっているんだから」
 海人は、そう告げてハイアングルボマーを操る。
 浮遊するハイアングルボマーならば、このダンジョンのトラップはないようなものだ。
 後は、前後、いずれかを進めば自ずとゴールに時間がかかれど到達することができるのだ。
 まだ変身ベルトはブツブツと文句じみたことを呟いていたが、海人はそれが意外で仕方なかった。
 それほど楽しみだったのだろうか、デスゲーム。
「まあいいよ。このまま進もう。どうせ、このデスゲーム会場を作ったものは倒さなければならないんだ。鬱憤を……いや、迅速な解決を目指そう」
「そうだな。よし、行こうぜ!」
 海人たちは、見つけ出した法則性でもってゆうゆうとダンジョン内部を進み行き、ステージのゴール、その最端へと至るのだった――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 ボス戦 『十全機関三席『黒槌・諒』』


POW 宇津田姫・姫姫のルートブレイカー
自身の右掌で触れた√能力を無効化する。
SPD |月宮・朏《つきみや・くれせんと》の鮮血装甲
【右腕に吸血鬼の「鮮血装甲」】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【喰血拳】」が使用可能になる。
WIZ |紫鬼・蝶《むらさき・まりぽーさ》のデアボリカ滅
【闇の護霊「デアボリカ滅」】を召喚し、攻撃技「【ヘルファイアー】」か回復技「【サクリファイス】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[闇の護霊「デアボリカ滅」]と共に消滅死亡する。
イラスト ぽんち
√EDEN 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「来たか」
 それはEDENたちにとっては、予想しない光景だった。
 ダンジョン。
 それは√ドラゴンファンタジーに類するものであったし、同時にデスゲーム会場であった。しかし、多くのEDENたちが、そう感じたようにデスゲーム会場となったダンジョンの法則性は雑だった。
『死亡遊戯尊』が作り上げたとは到底思えない粗さ。
 それを感じたEDENたちは、その粗さという名の違和感の原因が、こちらを待ち受けていた√能力者にあるのだと理解しただろう。
 男だった。
 出で立ちは、ある種のロック、パンクさというものを感じさせる。 
 だが、その鋭き眼差しは明らかに此方を敵として認識している。

「俺は悪の√能力者の組織『十全機関』の第三席『黒槌・諒』。意外そうな顔をしているな。お前たちが『死亡遊戯尊』のデスゲームに介入してくることはわかっていた。そして、こうも思っているな? 折しも、『ジェミニの審判』されている、と何か意味があるのではないか、と」
 偶然を疑っているEDENたちの眼差しに『黒槌・諒』は隠された口元を釣り上げて笑った。
「ふっ、ただの偶然だよ。意図しないものを偶然から必然に変えるのは、いつだってそれを観測する者の視点だ。そして、俺はただの雇われだ。奴――『死亡遊戯尊』の成さんとするデスゲームを手伝おうというお節介焼きなだけだ」
 そう告げた彼は、構えた。
 明らかに戦意がある。
 だが、目的がわからない。
 他の簒奪者の為すことを手助けする。その利点というものが、彼からは感じられなかった。意図しないものなのか、それとも隠匿しているのか。
 いずれにせよ、彼はニヒルに笑む。

「誰かを手伝うのはやぶさかではない。やつの目論む、めちゃねば納豆地獄というものにも興味がある。ならば、その完成まで時を必要とするのならば、俺は稼ぐだけだ」
 そう告げ、彼はその瞳を√能力の発露に輝かせた――。
折木・龍也
悪の√能力者の組織、ねえ
自分で言うとクソだせえな

軽口を叩きつつ、ユーサネイジアを前へ
だが本題はそこじゃない
死亡遊戯尊の手伝い、納豆地獄への興味
本気なら別の意味で怖い
それに、ただの道化にしちゃ目が鋭い

で、本当は何が狙いだ?
まさか本当に時間稼ぎだけって顔じゃねえだろうな

ユーサネイジアを真紅に輝かせ、機体表面に爆光を走らせる

見せてやるよ。これが俺の√能力だ、行くぜ

派手な立ち回りで偽装し、奴の右掌を誘引し、接触の直前に機体から脱出
奥歯の起爆スイッチを噛み砕き、連鎖爆破を起動
爆破対象は俺の右腕

悪いな、俺の能力はこっちだ
引っかかったな、ボーイ

挑発で動きが雑になれば上々だし、少なくとも使いづらくはなるだろう

 悪の√能力者組織『十全機関』。
 その名を聞いたことのあるEDENもいるかもしれない。だが、未だ謎に包まれている。彼らが何を成さんとしているのか。何故、簒奪者に与するのか。
 その目的は何なのか。
 いずれもが判然としていない。
「悪の√能力者の組織、ねえ。自分で言うとクソだせえな」
 折木・龍也(伏龍・h13162)は、WZ『ユーサネイジア』の中で軽口を叩いた。
『黒槌・諒』は、その言葉に肩を竦めた。
「それは仕方ない。文字通りの意味だからな。けれど」
「ああ、本題はそこじゃない。『死亡遊戯尊』の手伝いと言ったな? めちゃねば納豆地獄……? なあ、本気か?」
「本気、とは?」
「本気で言っているのかって話だよ。本当なら、別の意味で怖えわ。それにただの道化にしちゃ目が鋭い」
 そう、龍也は気がついていた。
 同じ√能力者でありながら、己と『黒槌・諒』の間には歴然たる力量差がある。
 そんな√能力者が簒奪者に協力する。
 そのメリットとは一体何なのか。

「で、本当は何が狙いだ? まさか本当に時間稼ぎだけって顔じゃねえだろうな」
「仮にそれが正しいのだとして、何故俺が正直に、はいそうです、とか。いいえ、ちがいます、とか言うと思うんだ? ここに至ってやるべきは一つだろう?」
「ああ、そうかい!」
『ユーサネイジア』の装甲が真紅に輝く。
「みせてやるよ、これが俺の√能力だ、いくぜ!」
 機体の装甲が爆ぜるようにして光を放つ。真紅の光。
 もしも、眼の前の『黒槌・諒』が、これまでの経緯を見ていたのならば、これが己の√能力だと割れていただろう。だがそれは、ブラフであった。
 得体のしれぬ√能力者を前にして手を晒すつもりは毛頭ない。

 派手な立ち回りでの目眩まし、警戒すべきは敵の√能力である。
「派手だな。赤いところなんかは、心惹かれる」
「そうかよ!」
「だが、如何なる√能力とて……借りるぞ『宇津田姫・姫姫』」
 右掌が走る。
 それを目の当たりにして龍也は怖気が疾走った。
 これは、と理解したのだ。
 √能力を無効化する√能力。――ルートブレイカー!
 真紅の装甲に触れる。 
 だが、光が消えない。
「……何?」
「悪いな、俺の能力はこっちだ」
 伸ばされた『ユーサネイジア』の右腕。それは『黒槌・諒』を掴み上げる。
 締め上げるつもりではない。

「引っかかったな、ボーイ」
 奥歯を噛み締めた瞬間、『ユーサネイジア』の右腕部が爆発する。
 それは連鎖爆発。
 √能力であり、自身が爆破したのと同じ対象を爆破させる力である。
 ずたずたになった右腕を彼は見下ろす。
「……なるほどな。ブラフ。戦巧者、というわけだ」
「褒めんなよ。若者に褒められるだけで、おじさんって生き物は大喜びしちまうものなんだぜ?」
「年の功、伊達ではないということだろう」
「ハッ、そう歳って連呼しないでくれよ、照れんだろうが」
 そう告げ、達也は己もまた右腕を失った状況を正しく認識し、これからの戦いの推移を見守るのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

弓槻・結希
命を遊戯の駒とする
それは矜持や願いを抱いて生死の境に在る者にとって、最大の侮辱ではないでしょうか
私には本当の戦士の心得までは解りません
けれど、それを遊戯だと軽く手伝うというのは……貴方自身も命を軽んじている気がして

悲しいような、違和感は増すような

だから此処でしっかりと戦いましょう
生死を軽んじる私ではないのだと、示す為にも

召喚されるデアボリカに捉えられないよう、【神秘の花風剣】で加速した上で空中ダッシュ
白き翼を羽ばたかせ、フェイントによる緩急を織り交ぜた動きで幻惑するように立体挙動

攻撃技は回避と共に、風の属性攻撃を纏った蒼穹剣で受け流す
隙を見せる相手でないのなら、隙を作るまで

敵手の動きの僅かな遅れを見切れば、敢然と突き進みます
それが例え誘いであっても構いません
迎え打つだろう攻撃、或いはデアボリカとの融合――それを寸前で【薔薇の蔦を喚ぶ】の転移で躱し、相手の懐に
後は早く、自らの祈りを火種に限界突破した剣速と共に
多重詠唱で増した風の魔力を持って、烈風と化した『花信風』の刺突一閃を届けましょう

 |死亡遊戯《デスゲーム》。
 それは、生命で遊ぶもの。
 賭けるべきはただ一つ。生命。そして、その生命を代価にして得られるものもまた生命。生命で遊ぶというのは、そういうことだ。
 故に十全機関、第三席『黒槌・諒』は言う。
「気軽なものだ。俺達√能力者にとっては。あんたもそうじゃあないのか?」
 そう尋ねたのは、EDEN、弓槻・結希(天空より咲いた花風・h00240)に対してだった。
「俺に何か言いたげな顔をしていたんでな。何か言うなら今じゃあないか?」
 EDENの√能力によってズタボロになった右手を掲げて見せた。
 血が滲み、骨が折れ、皮膚は裂け、肉は焼き焦げている。
 その有様に結希は顔を歪ませた。
 痛々しい有様である。
「命を遊戯の駒とする。それは矜持や願いを抱いて生死の境に在る者にとって、最大の侮辱ではないでしょうか?」
「そうか? 誰もが生命を懸けている。ああ、そうだ。一生懸命、という言葉があるだろう。それと同じだ。刹那滅に生命はどうなるかわからないのなら、誰しもが生命を駒にして己の人生という歩みを進めるだけじゃあないのか?」
「私には本当の戦士の心得までは解りません。けれど、それを遊戯だと軽く手伝うのは……貴方自身も生命を軽んじている気がして」
「他人の生命の使い方にまで頓着するのか? EDEN。あんたも√能力者ならわかるだろう。俺達にとって、死は縁遠いものだ。絶対死なんてものもあるが、絶対死領域に近づかなければ、それは別に問題じゃあない」
 その言葉に結希は、己の感情が如何なるものなのかわからなくなっていた。
 悲しいような、違和感が増すような。

 理解には遠い。
 だからこそ、此処で戦わなければならない。
 生死を軽んじる己ではないのだと示すためにも。
「問答はもういいか? いいだろうな。あんたの目には戦う意思がある。なら、『紫鬼・蝶』、デアボリカ滅、借り受ける」
 吹き荒れるは、炎。
 ヘルファイヤーと呼ばれる炎が、召喚された護霊『デアボリカ滅』から放たれ、結希を襲う。
 猛烈な炎。
 風でそらすとしても受け流せるものではない。
 じりじりとした熱が彼女の肌を焼き、痛みを生み出すだろう。そこに『黒槌・諒』は手にした剣を振るう。 
 ズタボロだった右腕は、それでも剣を振ることができるのだろう。
 鍔迫り合うようにして結希は『黒槌・諒』と相まみえる。
「どうした。防戦一方ではないか。それでは何も得られはしないだろう!」
 弾かれる剣。
 持ち上がった腕にガードをこじ開けられたのだと知る。
 だが、敵の動きは負傷した右手のせいか、鈍い。弾かれるほどの力が残っていたのは驚きであったが、しかし速度がでていない。
 ならばこれは誘いなのだと結希は理解しただろう。
「駆け引きには乗ってこないか。ならば、ヘルファイアー!」
 護霊が放つ炎。

 それを結希は寸前で飛ぶ。
 インビジブルとの位置の交換。
 瞬間的に結希は消え、代わりにインビジブルが束縛する棘蔦へと変貌し、『黒槌・諒』を襲う。
 絡みつく棘蔦は、彼の体を束縛し、絶好の好機を生み出す。
「空に咲いた花、流れた風よ。どうか、この剣をお導きください」
 風が吹く。
 神秘の花風と共に結希は己が剣を放つ。
 刺突の一撃。
 それは魔力を織り合わせ、烈風そのものたる勢いで持って放たれる一閃――|神秘の花風剣《ミスティック・ブレイブ》。
「例え、命がけなのだとしても、これは私の祈りなのです。生きたいと願うこと。明日を願うこと。願いは祈りに昇華するもの。であれば」
 裂帛の勢いで放たれた一撃が『黒槌・諒』の手にした剣ごと押し込むようにして、彼を吹き飛ばした――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

クラウス・イーザリー
(掴みどころのない相手だな……)
目的がよくわからない
……よく考えたら、メリットも無いのに人助けに奔走する|俺たち《EDEN》もそう思われているのかもしれないな

何であれ、デスゲームを止めようとするなら戦いを避けるのは難しそうだ
recollectionを使用
創造した桜の花片を|無明《二丁拳銃》に貼り、遠距離から銃撃
レイン砲台のレーザー射撃を交えて隙を作り、できるだけ無明の攻撃を当てたい

接近されたら居合の要領で無明を振るい短剣部分で攻撃
能力を打ち消されても怯まず、魔力を錬成して創造した刀で接近戦

「納豆は食べるものだよ」
俺はあんまり得意じゃないけど、食べ物を粗末にする目論見に協力するのはいただけないな

 掴みどころがない。
 それが十全機関、第三席『黒槌・諒』への第一印象だった。
 何故、そう思うのか。
 そう、目的がわからないからだ。彼は『死亡遊戯尊』の為す、死亡遊戯迷宮を作り上げるための時間稼ぎをしているのだと言った。
 例え、十全機関が悪の√能力者組織だったのだとして、それを手助けするメリット、意図というものがわからない。
 はっきり言って、めちゃくちゃだ。
 やっていることが程々に不愉快なものである、という以外には理解っていないことが多い。そもそも古妖なのだから、人知を超えた存在であることは言うまでもない。
 しかし、多くの√能力者がそうであるように、彼らは己のAnkerを世界よりも優先する。
 そうでなければ、死後蘇生の後に縁とする座標へと戻ることができないからだ。

 だからこそ、だ。
 余計にわからなくなる。
 クラウス・イーザリー(太陽を想う月・h05015)は、ますますそう思った。
「……いや、よく考えたら、メリットもないのに人助けに奔走する|俺達《EDEN》もそう思われているのか?」
「悪の√能力者組織を名乗っている俺達からすれば、それはきっと正義の人、という意味なのだろうな。少なくともメリット、デメリットなど考えなしに走るのが、正義の人、そうだろう?」
 クラウスの言葉にずたずたになった右腕を掲げて『黒槌・諒』は首を傾げた。
「そして、お前たちは『死亡遊戯尊』のデスゲームを止めたいと思っている。そして、俺はデスゲームを手助けしたいと思っている。なら、かち合うのはと言う前のことだ」
「それが、めちゃねば納豆地獄、ということなのなら」
「興味深いだろう?」
 銃声が連続して響き渡る。
 二丁拳銃を構えたクラウスは、引き金を引くのに躊躇しなかった。
 レイン砲台も宙に浮かび、光線を解き放つ。

 苛烈なる攻撃の中、『黒槌・諒』は走る。
 手にした剣で銃撃を弾き、距離を詰めてくるのだ。威力が√能力で底上げされている銃撃であるというのに、彼は苦もなく弾くのだ。
「く……ッ、納豆は食べるものだよ」
「知っているが? だからこそ、興味深いし、やってみたいと思うし、やってみたらどうなるんだろうと心が躍るんじゃあないか? 不思議だよな。人間、悪いことだと認識している時の方が、充実しているように思えてならないものだ」
 振りかぶられる剣。
 瞬間、クラウスは、抜き払うようにして二丁拳銃に配された銃剣を振るいあげる。
 追憶の破片が付与された斬撃は、威力が数倍に膨れ上がっている。
 これまでの銃撃に付与されていたと思い込んでいるであろう敵にとっては、その銃剣こそが本命なのだ。

 だが、ズタボロの『黒槌・諒』の右手が振り上げられた銃剣に振れた。
「理解っていたさ。駆け引きだ、とな。こちらが本命、そうだろう?」
 打ち消される√能力。
 しかし、クラウスは怯まなかった。
「そうだね。だけど」
 そう、食べ物を粗末にすることは悪いことだ。だが、だからといってそれを咎めない理由にはなっていない。
 例え、納豆が得意じゃあなくたって、だ。
 その一念でもってクラウスは魔力を錬成して想像した刀の斬撃を『黒槌・諒』の体へと叩き込み、鮮血を舞わせるのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ジェイド・ウェル・イオナ・ブロウクン・フラワーワークス
ねこちゃん続行
ねこちゃん時間が長くてにゃーしか言わなくなってる
相手はルートブレイカー使えないだろ
ということで変身は解けない前提
以下ねこちゃんの思考

ねこちゃんだけど猪突猛進
遊べにゃー!!
喰らえ、ブレス
遅い!遅いぞ!!
では次はねこぱんち!ねこぱんち!
時々ねこきっく!
わはは人間、片腕なくて抵抗できまい!
うまくもふれなくて歯噛みするとよいのにゃ!
早業で地面の土を蹴り上げ
投擲のように石も混ぜて目潰し
負傷してる人間の右腕の傷口を抉りつつ
捕縛のごとき連続ねこぱんち
トドメに顔引っ掻いて
気絶する前に殺るのにゃ
ねこちゃんをタダで撫でられると思うにゃ

※元に戻ったとき羞恥で死にたくなりそうですね
アドリブ等大歓迎

 恥じらい、なんていうものは些細なことだって割り切ることができる。
 だが、割り切った羞恥心は、なかったことにはならない。
 割り切って小さくなって、瑣末事のように思えて後回しにしてしまうことができるというだけで、なくなるわけではないし、消えるものでもない。
 いつか、必ずあとになって悶絶してしまう。
 そういうものだ。
 人間の歴史っていうものを顧みれば、それは、いつだって正しい理屈であった。

「にゃー」
 とは言え、それは人間の理屈であって猫の理屈ではない。
 戦場を靭やかに走り抜ける|無敵碧眼灰猫《ポカモノ・フラワーワークス》こと ジェイド・ウェル・イオナ・ブロウクン・フラワーワークス(笑おうぜ・h07990)は、猪突猛進した。いや、猫だけども。猫だけども、猪突猛進であった。
 それはさながら飼い主という名の下僕めいた人間に対しての感情であった。
「にゃー!」
 遊べにゃー!
 構え。
 構ってくれてもいいが、ではない。構え、の命令形。不遜である。だがしかし、傲岸不遜ではない。なにせ、猫は人間の上位であるが故に。見下す意図など一切ない。
 あるのは、自らの本意のみである。
 故に解き放たれる、なんかまったりしてしまうブレスが十全機関、第三席『黒槌・諒』へと放たれた。

「……猫、か? いや、ここに至って、普通の猫がいるわけがない。であれば」
 √能力者。
 それに尽きる。
 故に彼は右手を振るったが、しかしズタボロの右手である。反応が遅く、ブレスにも対処ができていない。
「にゃー! にゃー!!」
 遅い! 遅いぞ!!
 そう言うように飛びかかる猫。
 放たれるねこぱんち。俊敏な前足によるパンチパンチパンチの殴打。
 時々猫キック。
 晴れときどき雨、みたいな具合である。
 人間などこれだから。二本足であるくなんて非効率なことをやってのけるから、体は安定性を欠くのだ。やはり四つ足。四脚こそが安定の極地。

 なんと愚かなり人間。
 抵抗できまい。恐ろしかろう。怖かろう。ふはははは。
 敢えて言うが、傲慢でもなければ不遜ではない。猫であるが故に。 
 大事なことなので二度言うが、猫なので。見下ろしてしかるべき立場にいる生物のヒエラルキートップに居るのが猫なので。
 なので、こうなるのである。
「厄介な猫だ……こうも鬱陶しいと」
「にゃー!」
 猫様に構われる栄誉に預かるがいい。
 砂を蹴飛ばし、噛みつき、時々猫パンチ。
 そんでもって最後にはトドメの爪研ぎである。その顔面、爪とぎにされること、喜ばしく思うがいい。
「だが、その鬱陶しさ、ツンケンした様が善いと聞く。まあ、あれだな。ドMの類ならばそうなのだろう。俺はあいにくそうではないが……」
『黒槌・諒』はよろめく。
「いや、一体俺は何と戦わされているんだ……?」
 疑問顔である。しかしまあ、遅い!
 両手で、拒絶するように猫様は肉球でもって『黒槌・諒』の両目を抑えて押しのけ、しゅたりと地面に降り立つ。
 猫ちゃん様をタダ撫でできると思うにゃよ。
 とかなんとか。
 けれどまあ、それも長くは続かない。

 きっとジェイドは√能力が解除された時、きっと羞恥で悶絶してベッドでのたうち回って、枕を顔に押し付けて隣近所に配慮しながらも目一杯叫び倒すことになるんだろうから――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

御岳山・大真
………なんじゃって?
めちゃねば納豆地獄じゃと?
なんじゃ、納豆小僧にでもなりたいのか、お主。
なにがどうであれ、そのような地獄じみた遊戯を表には出せぬからのう。
暫しここで遊んでゆこうか。
なに、少しばかり過激なお遊びじゃよ。

【古狼の眼】を発動させて相手の隙を見通し、その隙に付け入るように、己が【妖力の肉体】に込められた怪力のままに青銅の大鉞を振り下ろし一撃を加える。

さて、その右の手で触れてくるがよい。
触れてきたところで、その腕を落としてやろうぞ。

隙が見えなくなったところで、問題あるまい。
この大鉞と碧雷があればこと足りる。
地力のぶつかり合いといこうかの。

それと、やはり納豆は白米に掛けるのが一番じゃな。

 しかし、あれだな、と十全機関、第三席『黒槌・諒』は息を吐き出して、やれやれと肩を竦めた。
 その所作は呆れであったかもしれないが、同時にEDENたちの猛攻に対してでもあったかもしれない。
「『死亡遊戯尊』が成さんとしているデスゲームは、ルールさえ理解していればクリアすることができるものだ。そして、確かに死ぬかもしれないが、生存の道筋が確実に残されている。良心的だとは思わないか? その中でも、めちゃねば納豆地獄は、相当に安全な部類だと思う。これを阻止しなくても構わないんじゃあないかと思わないか?」
「……なんじゃって?」
 御岳山・大真(怪異噛み・h07482)は、改めて問いかけた。 
 いや、先ほども聞いたが、理解できなかった。
 空耳だとも思っていた。
 だから、それはきっと大したことではないのだと思ったが、改めて言葉にされると尋ねずにはいられなかった。
「めちゃねば納豆地獄じゃと?」
「ああ、めちゃねば納豆地獄、だ」
「なんじゃ、納豆小僧にでもなりたいのか、お主」
「その納豆小僧、というものがそも、何だ、という話だが」
「いやしかし、それはあれじゃろ。言葉面だけ見ても、地獄じみた遊戯であろう? そんなもん表に出せるはずもなかろうて」
「いや何、ある意味無害だと思うが、俺は」
「そうか? いや普通に地獄じゃろ。であれば、しばしここで遊んでゆこうではないか。少しばかり過激なお遊びじゃがの!」
 |古狼の眼《コロウノマナコ》がきらめく。

 彼の妖力が目に集中刺され、激しく燃え上がる。
 それは『黒槌・諒』の隙を見出す√能力であった。踏み出し、駆け抜ける。
「これは殺し合いだろう? 殺し合いを遊戯と呼ぶのは……まあ、過激か」
 一瞬の隙。
 それを大真は見逃さなかった。
 しかし、振り抜かれる斬撃。『黒槌・諒』が手にした剣が彼の首を刎ねるようにして振るわれたのだ。
「……妙な感触だ。首をはねたはず、だが?」
「ハハハッ! 首から下はそもそもないのよ! なにせ、全て妖力故な!」
 ぐるりと一回転した首。
 その首が笑い、そして、妖力が再び繋がり、別れた首と胴とが接合される。そして、妖力が変化し、膨れ上がった腕部が青銅の大鉞を振り抜く。
 手にした剣とぶつかり火花を散らす。

「なるほど、全て妖力、か。なら、触れれば――『宇津田姫・姫姫』、借り受ける!」
 放たれる右手。
 しかし、その右手はズタボロで動きが鈍い。
 なのに隙がないのだ。
 大真は目を見開いた。だがしかし、すぐに冷静になった。例え、隙が見えずとも問題はない。
 なぜなら、此処からは地力勝負。
 √能力だけに頼るのは、三流のやること。であれば、と大真は己の首を振りかぶった。
「ああ、言い忘れていたがの」
「なんだ?」
「やはり納豆は、白米に掛けるのが一番じゃろうて!」
 振り抜いた首は頭突きの一撃。
 それは苛烈なる火花を互いの視界に散らし、その衝撃で持って脳を揺らすような苛烈なる一撃へと変貌し、血華を咲かせるのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

逝名井・大洋
合流後も軽く御高説を聞き流すつもりが、コレは想定外。
…はぁ?めちゃねば納豆地獄?
食べ物で遊ぶ予定の連中は全員豚箱送りにすっぞ!

愛用の二丁拳銃のうち
チャージしていない方を構えて交戦開始。
喧嘩殺法を活かし、ガン=カタの要領で近接戦に対応していこう。
時に警棒を使ってジャストガードしつつ
ちょうど60秒後に黒槌が調子に乗って距離を詰めてくるように
戦闘動作と言い回しで誘導したいな。

良い頃合で懐にまで飛び込んで来たらニッコリ笑って。
そっちは2倍だっけ?…ボクは18倍だよ!
警棒に鮮血装甲が当たるように導きつつ
チャージ後の銃で相手の腿付近を狙って炸裂弾をブッ放そう。
あはは!デスゲームっぽい見た目になったじゃん。

 世の中には地雷が満ち溢れている。
 当然と言えば当然である。
 誰だって、自らが他者の地雷になり得ることなんて当たり前のことだと認識できているのならば、諍いなんて起こるべくして起こることなのだと知れるだろう。
 悲しいことだが、時々そうしたことを忘れてしまうのもまた人間である。
「……はぁ?」
 だから、逝名井・大洋(Coyote Bebop・h01867)にとっての地雷とは、即ち『それ』であった。

「めちゃねば納豆地獄?」
「そうだ。めちゃねば納豆地獄、だ」
 十全機関、第三席『黒槌・諒』は、然りと至極真面目な顔で頷いた。
 ふざけてんのか、かと大洋は思った。
 いや、誰もが思っただろう。
 クールな眼差しと面持ちで、何馬鹿みたいなことを真顔で言っているんだ、と。だがしかし、『そこ』ではない。
 大洋がこめかみを引くつかせているのは、『そこ』ではなかったのだ。
「食べ物で遊ぶなーーっ!!!」
 怒声。まごうこと無き怒声であった。
「食べ物で遊ぶ予定の連中は全員豚箱送りすっぞ!! あァん!?」
「これが、令和のコンプライアンスか。わかるが。しかし、興味も惹かれるだろう?」
「惹かれねーよっ! これっぽちもな! ちっともだ!」
 構えた二丁拳銃の銃口が『黒槌・諒』に向けられた瞬間、彼のズタボロの右腕が鮮血装甲に覆われていく。

 まるで補強であった。
「そうか? イケナイことこそ、やりたくなる。そういうものだろう。納豆農家さんのご苦労を踏みにじってしまって、申し訳ないと思いつつ、ちょっとおもしろいな、と思ってしまえるのが、人間の悪性であり、良いところでもある。そうだろう?」
「誇大化してんのか、矮小化してんのか、どっちだよ!」
「いや何、雑談だ」
 眼前に迫る『黒槌・諒』の瞳。
 肉薄。
 一瞬で距離を詰めた拳が大洋の腹部に叩き込まれる。だが、その一撃は警棒に受け止められていた。
「やっぱりな。顔面狙わねーのは、その傷ついた腕が速度を出せないからだろ。人間、顔の向かってくるのなら、顔を防ごうとする! そんでもって、腹なら、まだ構えることができるもんな! だから、その隙を突こうってんだろ、そうだろ!」
「そうだ。だが……防がれたか」
 弾くようにして、二人の距離が空く。
 だが、問題はそこではなかった。

「警棒越しでも、すんげー威力でやんの。腹痛が痛い」
「頭痛で頭が痛い、みたいな言い回しだな。何を狙っている? 時間稼ぎか? それは、俺の本分なのだが」
 踏み込む速度は変わらない。
 彼の拳は今度こそ警棒ではなく、大洋を打ち据えるだろう。
 だが、大洋は手にした拳銃を突きつけた。払われる拳銃。宙を舞う。
「そっちは二倍だっけ? ……ボクは、18倍だよ!」
 弾かれた拳銃はブラフ。
 そう、二丁拳銃だったのだ。√能力をチャージしたのは、弾かれていない方の二丁拳銃。
 速度が落ちている拳ならば、一撃がせいぜい。
 であれば、と彼は駆け引きに勝ったのだ。

 そして、意趣返しのように、『黒槌・諒』の視界の外、その大腿に向けて炸裂弾を放った。
 意識外からの激痛。
 それは彼にとっては予想外。備えられぬ激痛であったことだろう。
 そのさまを見やり、大洋は笑う。
「あははは! デスゲームっぽい見た目になったじゃん!」
「クッ……!」
 血に塗れた体躯。
 ああ、と大洋は頭を振る。
「デスゲームってより、スプラッタホラーか――」
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ケヴィン・ランツ・アブレイズ
ははァ、妙にやる気が感じられねェと思ったら、あの迷宮はアンタのプロデュースかィ。
その面を見るに、この手のモンに対する造詣は深くなさそうだしなァ。まァ合点は行ったぜ。
次があるンなら、アトラクションの何たるかをもうちょい学ぶことだなァ。

同じ√能力を扱えるかィ。となると、純粋な武技の打ち合いになるねェ。
戦慣れしているのは百も承知、単騎での戦闘性能は……まァ、痛み分けに持ち込めれば上々、と見積もるべきかィ……!
〈盾受け〉〈ジャストガード〉〈エネルギーバリア〉〈念動力〉で奴さんの攻撃を〈受け流し〉ながら、冒険者稼業で培った〈戦闘知識〉と併せて機を窺う。
チャンスが見えたら〈重量攻撃〉で攻勢に転じるぜ。

「見誤っていたわけではないが」
「じゃあ、見縊っていたってかァ? なあ、あれだけやる気の感じられねェ、ダンジョンを作ったのはアンタだろう?」
 十全機関、第三席『黒槌・諒』に対して、ケヴィン・ランツ・アブレイズ(“総て碧”の・h00283)は告げた。
 そう、ここに至るまでにあったダンジョンめいた迷宮は、『死亡遊戯尊』の作り上げたものではなかった。
 不慣れ、という言葉では済まされない。
 杜撰さ。
 粗さ。
 そういったものが透けて見えたのだ。√ドラゴンファンタジーに生きるケヴィンであれば尚更のことであっただろう。

「アンタのプロデュースは、ちィと雑だったな」
「……悪いな。デスゲームに関しては素人なんでな」
 大腿を撃ち抜かれ、その身には傷がある。
 しかし、『黒槌・諒』の力は未だEDENたちを上回っているように思えてならなかった。
「その面を見るに、理解っていたことだよ。まァ、あれだ。答え合わせ、合点がいった、というやつだ。ちょィとスッキリって奴だな。次があるンなら、アトラクションのなんたるかを、もうちょい学ぶことだなァ」
「二度も三度もやりたいとは思わないがな。しかし、その機会が訪れたのならば、ご忠告痛み入る、とでも言おうか」
「ハッ! 言うねェ!」
 互いに踏み込む。
 手にした剣と斧槍。
 リーチの違いはあれど、それを踏み越えるだけの瞬発力がある。
 ケヴィンは震えただろう。

 おそらく、あの男の√能力は己のものと同質にして異質である。
 同じ力とは言え、それは。
「なるほど。俺の右手を警戒している。つまりは、お前も同じルートブレイカーの力を持っている、という判断になるが?」
「そうだな。となれば、純粋な武技だけが頼りってわけだァ!」
 打ち合う。
 火花が散る。
 打ち合うだけでわかる。一合。ただの一撃で互いの力量が知れる。

 消耗なくとも、おそらく『黒槌・諒』の剣技はケヴィンのそれよりも劣る。
 だが、純粋な出力差がある。
 これを埋めているのは、純粋な戦い慣れである。
 ここに√能力者としての成長限界を加味にしても分が悪い。痛み分けに持ち込めれば上々だとケヴィンは踏んだ。
 そして、それは分が悪いものではない。
 すでにEDEN達によって彼は消耗しているし、傷を得ているのだ。
 付け入るのならば、そこである。
「悪ィとは言わねェぜ!」
「言われても、言い訳にしかならないからな。言い訳を許してくれるわけでもないだろう?」
「そうだよ!」
 振るう一撃。
 それは重さを生かした粉砕する一撃だった。互いに√能力を打ち消せるのならば、それはただの牽制にしかなり得ない。
 ならばこそ、ケヴィンは力任せで押し切ることに決めたのだ。
 その決定の速度。その差がケヴィンを勝利に導くようにして『黒槌・諒』の体へと傷を打ち込むのだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

空地・海人
※アドリブ歓迎
※【相棒(h06741)と】

お前が『十全機関』とかいう組織の奴か。初めて会うな……って、うん?めちゃねば納豆地獄?今なんて?
いや、相棒も本気でそんなトンチキワードに興味持つなって……。
「現像!」の掛け声と共に、赤い装甲を纏う【フィルム・アクセプターポライズ √マスクド・ヒーローフォーム】へ[変身]。

くっ、思ったより動きが速いな。真っ向勝負は悪手だったか……!
今の攻撃、相棒がやったのか!?チャンスは無駄にしないぜ。閃光剣、解放!
閃光剣の出力の[リミッターを解除]。一気に振り抜いて、必殺技・ポライズスラッシュを放つ!

ナイスアシストだったぜ、相棒。あ、うんめいぼう・なっとう味食べるか?
変身ベルト・フォトシューティングバックル
※アドリブ歓迎
※【カイト(h00953)と】

「めちゃねば納豆地獄……実に興味深い響きだ」
知らないことには、やっぱり興味を持ってしまうね。
納豆は流石に知ってるけど、めちゃねばで地獄ともなれば一体どんな感じなのかな。

腕の実体化だって前にできたんだ。攻撃だってできるはず。今のボクならきっと。
[魔力を溜め]て、カイトへ敵の近接攻撃が迫る直前に開放。変身ベルトのバックルのレンズ部分から放って攻撃だよ。
一瞬でもいい。カイトが攻撃できるだけの隙ができればいいんだ。
「カイト!今だっ!」

「ありがとう。しかし、遠慮しよう。ベルトの中が納豆臭くなりそうだ」
一緒に中にいるこぱんだ妖怪たちも嫌がってしまいそうだからね。

「ふ――ぅ……」
 息を吐き出す。
 それは傷によって痛みを吐き出すような吐息だった。
 十全機関、第三席『黒槌・諒』は息を吐き出しながら、己の状態を改めて認識した。
 裂傷。
 銃創。
 右腕は火傷と骨折。
 改めて彼は己の状態がひどいものだと認識していた。しかし、かと言って時間稼ぎというのならば、もうしばらくか、とも勘定していた。
「さて、このままお前たちを行かせるわけにもいかない、か。泣き言を言うつもりはないのだが、結果的にそう聞こえてしまうのは、業腹というやつだな」
「お前が『十全機関』とかいう組織の奴か。はじめて会うな」
 空地・海人(フィルム・アクセプター ポライズ・h00953)に対する『黒槌・諒』は頷いた。

「ああ、悪の√能力者組織。『十全機関』。その三席だ。此度は、『死亡遊戯尊』のめちゃねば納豆地獄のために時間稼ぎをしている。やぶさかではないんだよ、これがな」
「そうか……って、うん?」
 海人は目をぱちくりとさせてしまった。
 この戦場の空気にあって、なんか馴染みない言葉が聞こえたのだ。
「めちゃねば納豆地獄? 今なんて?」
「言っただろう。めちゃねば納豆地獄、だ」
「……」
「めちゃねば納豆地獄……実に興味深い響きだ」
 海人の変身ベルト・フォトシューティングバックル(空地・海人のAnkerの変身ベルト・h06741)から声が聞こえる。
 その内側に秘められた人格は、どうしても未知なるものに対しての興味が抑えきれないようだった。

「興味があるだろう? 俺もだ。だから手助けしている」
「納豆、というものは知っているけれどね。めちゃねばで、地獄ともなれば一体どんな感じなのかな」
「いや、相棒。本気でそんなトンチキワードに興味持つなって……」
「理解らないか、このレベルの話は、お前には」
「いや、なんで若干残念そうな顔で俺を見てんだよ!? ええい、現像!」
 海人は、不当に見下げられたような気がしてならなかったが、ルートフィルムを押し込み、赤い装甲を纏う『フィルム・アクセプターポライズ』へと変身する。
「ほう、√マスクド・ヒーローの力、か。ならば、俺は――『月宮・朏』の鮮血装甲、だ」
 右腕を覆っていく紅き装甲。
 それは奇しくも海人の変じた装甲と同じ色をしていた。

「さあ、行くぞ、ヒーロー。地獄を成さんとする『死亡遊戯尊』の思惑を砕けるか」
「やるさ! それが誰かを殺すってんなら、誰も殺させやしない!」
 互いに踏み込む。
 消耗を得た『黒槌・諒』であったが、しかし、彼の踏み込みの速度は凄まじかった。鮮血装甲の力であろうか。
 圧倒的な速度で真っ向から来る。
「くっ……! 真っ向勝負は悪手、だったか!?」
「そうだ。元より、お前たちよりも俺は、成長限界が高い。であれば、必然的にお前達よりも俺が強いのは明白。理解っていたことだろう」
 振るわれる拳の一撃が海人の身にまとった赤い装甲を貫き、その肉体へと衝撃を走らせる。
 吐血。
 喉が鉄の味に溢れる。
「グアッ!?」
「悪手と認識したのであれば、次に活かせ。ではな」
 振るわれる手刀。
 それは海人の首へと振り下ろされんとしていた。
 だが、瞬間。
「カイトッ!」
 それは彼のバックルから飛び出した。
 エネルギーで形成された腕が手刀を受け止めて、霧散したのだ。

 身を捩り、手刀の一撃を皮一枚で抑えて海人は転がりながら、立ち上がる。
「……い、今のは……! 相棒がやったのか?」
「そうだよ! カイト! 今しかないッ!」
 立ち上がりざまに海人は己が変身ベルトから閃光剣を引き抜く。
 解除されたリミッター。
 それは膨大な魔力と共に天を穿つように掲げられ、その力を示す。
「なるほど。二つで一つ、か……見誤ったのは、俺だったか」
 振りかぶる一撃は光の柱となって『黒槌・諒』へと振り下ろされる。
「必殺・ポライズスラッシュ――!!」
 その一撃は『黒槌・諒』を飲み込み、閃光の中に消し飛ばす。

「ナイスアシストだったぜ、相棒! ありがとうな! あ、うんめいぼう、納豆味だぜ、ちょうど! さっき納豆に興味示してただろ」
 海人は戦い終えて相棒たる変身ベルトに呼びかける。
「ありがとう。しかし、遠慮しよう。ベルトの中が納豆臭くなりそうだ」
「なーんだ。じゃあ、俺がもらっちゃうぜ」
「ああ」
 そう言って、二人は破壊されたダンジョンの最奥から帰還を果たすのだった――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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