とおりゃんせ、細道ニ迷フ
●
とおりゃんせ とおりゃんせ
ここは どこの ほそみちじゃ
「あれ、ここはどこだ?」
見慣れた道を歩いていたはずだった。
気が付けば、そこは見知らぬ森の中。
いつの間に? ただ家に帰るだけならば、間違えないはずなのに。
ふと、遠くに女性が見える。
白いワンピースを来た、黒髪の女性。
同じように道に迷ったのだろうか? 男は女性に声をかけようと近付いた──だが、声を掛けることなく途中で立ち止まった。
「あ、あぁ………!」
そこから、男の行方は途絶えてしまう。
いきは よいよい
かえりは こわい
とおりゃんせ とおりゃんせ
●
「皆さんは、道に迷ったりしたことはありますか? 今ですと、歩きスマホをして…というケースもありますが、見慣れぬ土地ほど迷う事はあるかと思います」
見慣れぬ場所ほど、わざと迷いたいものだと話す屍累・廻(全てを見通す眼・h06317)の雑学は長引きそうで。その前に使役しているぬいぐるみ《幽羅》が『早く本題入らんか』とツッコミを入れていた。
「おっと、失礼しました。集まってもらったのは、今回視えた予知について、皆さんに調べて欲しいのです」
その内容は、不特定の誰かが気付けば見知らぬ細道に誘われていて、その先に潜む怪異によって行方が途絶えるというもの。ハッキリ見えた怪異は白いワンピースを着た女性のような見た目だと話すが、他にもナニカが潜んでいる可能性があると伝えた。
「何の目的で誘うかまでは視えませんでしたが、何かしらの目的があるのか、ただ獲物が欲しいだけなのか……皆さんの目で確かめて欲しいのです」
「珍しいものがあれば、是非サンプルを」と廻はちゃっかり頼み事をしつつ、現場へ向かうEDEN達を見送るのだった。
マスターより
レンカ皆さん、こんにちは!レンカです。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます!
今回は、怪異が起こす事件調査及び討伐という内容になっています。
●プレイング・受付締切について
ゆったりな進行。プレイング書ける範囲で採用していきたいと思います。万が一プレイングが流れた場合、お心変わりなければ再送いただければと思います。
グループ参加は3名まで。迷子防止のため、必ず【グループ名】or 同行者名(ID)の記入をお願いします。
プレイング受付締切ですが、成功目処が立った時にタグにて章ごとに告知します。
●断章について
各章にて断章追加させていただきます。
●一章
調査パート
●二章
集団敵との戦闘
●三章
ボスとの戦闘
皆さんの参加、お待ちしてます!
103
第1章 冒険 『とおりゃんせ、とおりゃんせ』
POW
動き回ってみる。
SPD
場所のヒントになりそうなものを探す。
WIZ
途方に暮れる。
√汎神解剖機関 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
人が通る事の少ない森の細道。
目的があるとすれば軽いハイキングか、森を進んだ先に何かがあるからか。
街からはそれなりに離れているのもあり、うっかり迷うには難しい場所。この森のどこに怪異が紛れているのか、その辺も調べておく必要があるかもしれない。
ここは どこの ほそみちじゃ
の ほそみちじゃ
誘うのは、誰?
目的は一体──。
天霧・碧流★正義感は皆無ですが、EDENの迷惑になるような行為はしません。アドリブ歓迎です。
めっちゃ面白そうじゃん。俺も迷いたい。
しかも謎の白いワンピースの女に他にもナニカが潜んでいるなんて最高だ。
何のために誘うんだろ。遊びたいのか?
怪異も√能力者に警戒するかもしれないし、武器とか持たずにポケットに手突っ込んで歩いてみるか。
通りゃんせを歌唱で口ずさみつつ、無防備を装って。
その裏で、第六感を研ぎ澄ませたり、闇の王でコウモリたちに索敵させてみよう。森にコウモリが飛んでいてもおかしくないだろ。
どんどん奥に進もう。暗い暗い森の奥へ。
俺が帰ってこなくても心配しないでくれ。きっとあっちで楽しくやってるさ。フフ。
●
(めっちゃ面白そうじゃん。俺も迷いたい)
まるでアトラクションを楽しむような気分で天霧・碧流(忘却の狂奏者・h00550)は、被害者の行方が途絶えたという細道へと訪れる。
まだ空は明るいはずなのにも関わらず、木々が生い茂っているのもあり薄暗い。明らかにナニカいてもおかしくないその雰囲気が、碧流の心を高揚させるものだった。
「しかも謎の白いワンピースの女に、他にもナニカが潜んでいるなんて最高だ。何のために誘うんだろ。遊びたいのか?」
なぜ迷い込ませるのか。どんな目的があるのか。
何にしても、行方不明に関わるワンピースの女も怪異である可能性は大いにある。変に警戒させるよりも無防備に振る舞う方が良いだろうと思えば、碧流は敢えて武器を持たないまま、ポケットに手を突っ込み細道を進んでいく。
「とーりゃんせ、とーりゃんせ。こーこはどーこの、ほそみちじゃー。……こんな場所に迷い込ませるなんて、なかなか趣味が良いもんだ」
細道を歩きながら周りを見ても、木々が覆い茂り、野生の動物がたまに動きを見せるような場所で、人の気配はほとんど感じられない。ここまで来るとするならば怖いもの見たさだろうかと考えつつ、人の気配が無いからこそ怪異の趣味が良いと感心して。念には念と、いつ何が起きても対応出来るように第六感を働かせ、影で蝙蝠を作り出すと【|闇の王《ヤミノオウ》】を発動。
(血に飢えたコウモリども、その渇きを潤す時が来たぜ)
影の共鳴で繋がりながら、蝙蝠達は森の中を飛んでいく。これだけ薄暗い森の中、違和感なく索敵を開始。その姿を見送ってから、碧流の足はさらに森の奥へと進み続ける。
「俺が帰ってこなくても心配しないでくれ。きっと、あっちで楽しくやってるさ。……フフ」
碧流の言葉は|誰《・》に対してものか。
この先にどれほど危険があったとしても、恐れるどころか楽しめる予感しかしていない。だからこそ、森の中に広がる闇が深まったとしても、碧流の歩みは止まることはないのだから。
「いきはよいよい、かえりはこわい。とーりゃんせ、とーりゃんせ」
ご機嫌に歌っていると、歌声に惹かれてナニカが近付いてくる。蝙蝠からの情報と第六感が働き、近付いて来てる存在と会えるという楽しみから碧流の口許に笑みが深まった。
とおりゃんせ、とおりゃんせ
──近付くのは、だぁれ?
🔵🔵🔵 大成功
アキ・サクラアドリブアレンジ◎
|後輩《おれ》の今の心境を詠んだ一句
パイセンを
誘ってみたら無事振られ
おれ一人なのに
お使い増えてる
怖いの嫌いなのに誘ったおれっちが悪いと言われればそれまでだけど
お使い増えてんのおかしくない?!(サンプルを採るように言われた)
おれの視力なんてたかが知れてるし
ここはずっくん、キミに決めた!!
先行って怖いのいないかだけ見てきてよ、居たらおれ行かないから
いてて、ごめんて突っつくなよー
ずっくんモフモフしながら細道を歩く
死んでても生きてても寂しいっていうのはあるんかね
お誘いの仕方がもっとハッピー系ならワンチャンいいよって言う変わり者おるかもだけど
会ったら会ったでまずは挨拶するか
基本だもんね
●
とぼとぼと少し重い足取りで木々が生い茂る森の中にある細道を、アキ・サクラ(のらりくらり・h09479)は溜息混じりに歩いていた。
「|後輩《おれ》の今の心境を詠んだ一句。《パイセンを 誘ってみたら無事振られ おれ一人なのに お使い増えてる》。……怖いの嫌いなのに、誘ったおれっちが悪いと言われればそれまでだけど、お使い増えてんのおかしくない?!」
所属している事務所の先輩を誘ったがアッサリと断られただけでなく、サンプルも採ってくるようにとお使いまで頼まれてしまえば嘆くしかなく。どうして……と文句をここで言ったところで、現場に来てしまったからには進むしかない。渋々、とても渋々といった様子でアキは進み続ける。
「おれの視力なんてたかが知れてるし……ここはずっくん、キミに決めた!!」
フクロウ型のスポッター【|木菟《ずっくん》】を呼び出すと、先行して索敵するように指示を出す。
「先行って怖いのいないかだけ見てきてよ、居たらおれ行かないから………いてて、ごめんて突っつくなよー」
フクロウの眼差しならば人の目よりも獲物を見つけられるかもしれないのは勿論、アキとしてはもう一つ理由があった。──が、【|木菟《ずっくん》】はアキの言葉を聞き、鋭い眼差しを向けるなり鋭い嘴で進めと言わんばかりにつついてきた事で、目論見は見事潰えてしまった。
進めば進むほど、明るいはずなのにも関わらず森の中は薄暗さを増していく。明らかに怖い雰囲気で、帰りたい気持ちは高まるけれど。【|木菟《ずっくん》】の羽毛の柔らかさに癒される事で怖さを和らげながら、アキは何でこんな薄暗い細道に呼ばれるのだろうと考えていた。
「死んでても生きてても、寂しいっていうのはあるんかね。お誘いの仕方がもっとハッピー系ならワンチャンいいよって言う、変わり者おるかもだけど」
変わり者か、怖いもの知らずなのか。死してなお、負の感情があるから怪異や怨霊が生まれるんだろうと思うけれど、誘い方次第で誘われてもいいと思えたら、それはそれですごい気がするとも思っていて。
「会ったら会ったで、まずは挨拶するか。基本だもんね」
最も話が通じるかは分からない。それでも、挨拶はどんな場面でも基本だし、そこから対話が出来るかもしれないとも考える。出来るなら怖い展開になって欲しくないという、アキの本心が混ざってるかもしれない。
こわがりさん、おいでおいで。
いきはよいよい、こちらへおいで。
🔵🔵🔵 大成功
各務・鏡白いワンピースの女性となると現代の怪異、八尺様を連想するね。
いやぁ人の想像力はすごいよね。
よくお店に来る歴代の小学生たちからも学校の怪談という形で脈々と語り継がれているのがわかるからね。
時代によって多少形を変えることはあってもその中に潜む本質的なものは変わらない。
この道の場合、人の気配がないところに別の気配がする。それが怖れの引き金なんだろうね。
まぁゆるゆる散歩のつもりで歩こうか。
化生のモノという点では僕もたいして変わらない。
気を張りすぎてほかの生き物たちに影響があるよりは、自然とその子たちが発する気配を楽しんだ方が状況がわかるってものだ。
そう、突然虫も鳥も鳴かなくなったりとかね。
●
「白いワンピースの女性となると現代の怪異、八尺様を連想するね。いやぁ、人の想像力はすごいよね」
森の細道をのんびり歩きながら、各務・鏡(幽明・h09413)は改めて人の想像力豊かさに感心する。
いつの時代も、神様や呪いといった目に見えない事象を信じ、良くも悪くも様々な歴史に影響してきた。そして時代は進み、この現代でも様々な怪異が生み出され、恐怖したり楽しんだりする人達が居続けているのも事実なわけで。
(よくお店に来る歴代の小学生たちからも、学校の怪談という形で脈々と語り継がれているのがわかるからね。時代によって多少形を変えることはあっても、その中に潜む本質的なものは変わらない。この道の場合、人の気配がないところに別の気配がする。それが怖れの引き金なんだろうね)
鏡が周りを見回しても、人の気配はほとんどしない。あるとするなら、野生の動物達が自然の中で動いている気配のみ。怖いもの見たさで来た人もいるだろうし、今回のように招かれて迷い込んでしまった人も多いのかなと思いながら、のんびりと散歩を楽しむように歩き続ける。
誘い込む存在が人に化けているというのなら、鏡もまた付喪神というヒトとは違う存在だからこそ近しいものがある。あからさまに警戒するよりは、気を張らずに自然に身を任せるほうが気付けるものがあるはずと考えていた。
(小鳥や虫の声、木々の葉擦れ……自然豊かな場所だな。普通に景色を楽しむには悪くない場所だね)
周りの景色を楽しみながら歩いていると、元より薄暗さのある森だったが、さらに暗さが増していく。時間的にも、まだ日が昇っているはず。それでも遠くを見通せないほどとなれば、怪異が棲み付いていてもおかしくないと思えるほどで。
「……そう、突然虫も鳥も鳴かなくなったりとかね」
鏡はぽつりと呟く。
そう、森の奥へ進むほど、聞こえていたはずの自然の声が途絶えていた。明らかに空気が違う。怪異の棲み家に迷い込んだと言っても過言では無いほどに、まとわりつく空気が重く感じるものだった。
いきはよいよい、かえりはこわい
かえりみちはないよ、ここでずっと──。
🔵🔵🔵 大成功
第2章 集団戦 『八尺様』
POW
ぽ、ぽ…
【帽子のつば】からレベル本までの【黒い幻影】を生やす。自身の行動とは別に操作可能で、最大レベルmまで伸び、物を掴んだり、弱い攻撃や【粘着質】な【絡み付き】による拘束が可能。
【帽子のつば】からレベル本までの【黒い幻影】を生やす。自身の行動とは別に操作可能で、最大レベルmまで伸び、物を掴んだり、弱い攻撃や【粘着質】な【絡み付き】による拘束が可能。
SPD
ぽぽぽ……
【寒気】の感情を与える【冷気】が、全身から溢れ出し続ける。[冷気]はその後風下や低所に流れ徐々に薄まるが、密閉空間では最大8倍に濃縮される。濃度が高い程抵抗は困難。
【寒気】の感情を与える【冷気】が、全身から溢れ出し続ける。[冷気]はその後風下や低所に流れ徐々に薄まるが、密閉空間では最大8倍に濃縮される。濃度が高い程抵抗は困難。
WIZ
ぽぽぽぽ……
攻撃が外れるまで、近接範囲の敵をWIZ攻撃「【恐怖を煽る】【能力:残響の囁き】」とPOW攻撃「【模倣する】【能力:写し彌】」で交互に攻撃し続ける。
攻撃が外れるまで、近接範囲の敵をWIZ攻撃「【恐怖を煽る】【能力:残響の囁き】」とPOW攻撃「【模倣する】【能力:写し彌】」で交互に攻撃し続ける。
●
深い森を進んだ先。
少し離れたところに、白いワンピースを来た女性が立っていた。
近付いてみると、その身長は有り得ないほど高い。
赤い糸を腕に絡ませた女性──『八尺様』はEDEN達の気配に気付くと、ゆるりとした動きで近付いてくる。
『ぽ、ぽぽ……ぽぽぽ……』
まるで、闇へと誘うかのように。
細く真っ白な手を伸ばし、狙いをEDEN達へと定める。
──サァ、オイデ。
柴井・茂おっと……それ以上不用意に近づいては行けないよ、レディ
散歩ついでに、あれこれ考えて綴っていたおれの手元の原稿が酷いことに成るだろう?
(紙束・メモ帳系を所持して現れたイメージ)
√能力は、発動してかえすよ
此処に書いていたのは『八尺様』をヒロインに置いた場合のラブコメ系統だが?
ああ、勝手に人(EDEN)に手あげるのがホンモノの八尺様だというのなら奥手系ヒロインと思って書いたのは本当に空想だったようだね。肉食野獣系に改変しなくてはいけない。
……複数揃う高身長女性は圧巻だが、正直囲まれるのは願い下げだ
原稿のことは破壊でも駄目にでもしてくれていいが
おれのアイディアを潰した事(未遂も含む)はまあ許さないよ?
天霧・碧流★正義感は皆無ですがEDENの迷惑になるような行為はしません。アドリブ等歓迎。
どうして人間たちを呼んでいたんだ?
その腕を掴めば分かるのか?どこに誘ってくれるんだ?
綺麗な腕だな。細くて白くて――折っちまいたいぐらいだ。
恐怖を煽る攻撃は【狂気耐性・精神抵抗・呪詛耐性】辺りで対処を試みる。
模倣は楽しむ。装備刃物やバットで皮膚を割いたり骨を砕いたり。(ダメージは食らうけど)痛みは感じないから真似されても気にしない。
じゃあ、次は俺の番だ。
さあ、おいで――。
シャドウフレイムハンドで俺が闇に誘う。
炎に焼かれるときどんな声を聞かせてくれるんだ?
できればその顔も見たいな。フフ。
帰り道はないぜ。ここでずっと――。
●
次の小説のネタになりそうな情報を聞き付け、柴井・茂(SHIBA狗・h00205)はメモを片手にアレコレとネタを書き溜めながら森の奥へと辿り着いた。
『ぽぽ、ぽ……』
「おっと……それ以上不用意に近づいては行けないよ、レディ。散歩ついでに、あれこれ考えて綴っていたおれの手元の原稿が酷いことに成るだろう?」
至極真面目に、尚且つ真剣な表情をした茂の言葉に『八尺様』は首を傾げる。どうやら、どんなものを書いているのか理解していない様子だ。
『ぽぽぽ……ぽ、ぽぽ……』
ぞわりと背筋が凍るような冷気が辺りを包み込む。茂は若干の寒気を覚えるものの、怯むこと無く【|吠狗首の叫《ヘルバウンド》】を発動。
「口は|禍《わざわい》のもと、……よく言うだろう? ちなみに、此処に書いていたのは『八尺様』をヒロインに置いた場合のラブコメ系統だが?」
『ぽぽ……?!』
ヒロインの意味を分かってるかは兎も角、自分を題材にしてくれてるという事は理解したらしい。『八尺様』は食い気味に茂の元へ近付いてくる。だが、冷気を放ち続けているせいで、当然だが寒い。寒気を感じるほどの冷気を放つ『八尺様』は、残念ながら一人じゃない。
「ああ、勝手に|人《EDEN》に手あげるのがホンモノの八尺様だというのなら、奥手系ヒロインと思って書いたのは本当に空想だったようだね。肉食野獣系に改変しなくてはいけない」
『ぽぽぽ!?』
表情は上手く見えない。でも、驚きとショックを受けてるような雰囲気は伝わったかもしれない。
「……複数揃う高身長女性は圧巻だが、正直囲まれるのは願い下げだ。原稿のことは破壊でも駄目にでもしてくれていいが、おれのアイディアを潰した事ーー未遂も含むーーは、まあ許さないよ?」
『ぽぽ、ぽ…ぽぽぽ……!!』
違う違う! と否定するかのように『八尺様』は首を振る。まだ幸いにも、原稿は無事ではある。あるとするなら、寒さでメモが取りづらくなったことか。茂から伝わる威圧に、怖気付いたのは言うまでもない。
「どうして人間たちを呼んでいたんだ? その腕を掴めば分かるのか? どこに誘ってくれるんだ?」
その近くで、碧流は『八尺様』を見るなり疑問に思ったままを問いかける。細くて白い腕は綺麗で、簡単に折れてしまいそうなほど。
『ぽぽぽぽ……』
どれだけ恐怖を煽られたとしても、碧流は全くもって動じない。ゆっくりと近付き、途中で模倣されたとしても遊んでくれるのならと、金属バット【血塗れの調べ】を構えるなり痛みを感じない体を使って左腕へ振り下ろせば鈍い音を立てて骨が折れる。──と同時に、『八尺様』の左腕も骨が折れる音を響かせ、か細い腕がぼきりと折れた。
「じゃあ、次は俺の番だ。さあ、おいで――」
碧流は不敵な笑みを浮かべ、そっと影を伸ばしながら【シャドウフレイムハンド】を発動。
「フフ……俺の炎をゆっくり味わいな。一瞬で燃え尽きちまうなんてもったいないからな」
破滅の炎を纏う影の腕を何本も伸ばし、何体もの『八尺様』を締め付ければ拷問の如くじわりと焼き焦がす炎に包まれ、悲痛の悲鳴をあげた。
『ぽ、ぽ、ぽぽ……!』
「炎に焼かれるとき、どんな声を聞かせてくれるんだ? できればその顔も見たいな。フフ。帰り道はないぜ。ここでずっと――」
出会ったならば、どちらにしても無事に帰すつもりなんて毛頭ない。細道に誘われ、遊び相手になってくれるなら──いついつまでも、楽しく遊び続ければいい。
かえりはこわい、だれにとって?
わたしにとって? それとも、あなたにとって──?
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
各務・鏡ありゃ、本当に八尺様みたいだねぇ。
…ん?なんで様付けなんだろう?
元は神として祀るほどのものと判断されたって事かな?
それと…やっぱり他にもいるのか。
だって話に聞く八尺様って前座ででてくるような感じじゃないし。
縮地「空」の移動を利用して低地にとどまらないようにしようか。
幸い密閉空間じゃないけどそれも絶対とは限らないしね。
そうして動き回ってる合間に斬りかかって倒していくよ。
ふむ。
逸話自体に攻撃的なものがないからかな、積極的に人を襲うような相手に見えないね。
やっぱり裏に誰かいるかな。
萩高・瑠衣【アドリブ・連携大歓迎】
ええ、そうよね。
わらべ歌にもあったの……「行きはよいよい、帰りは恐い」。
きっと、あなた達のような輩の事なのね。
だからこそ、貴方たちの良い様にはさせられない。
そうよ。紡がなければいけないのは受け入れる旋律ではなくて、拒絶して制する調べ!
あなたたちに分かって貰おうとは、心苦しいけれど思いとどまって。
【偽伝・鼓囃子】を思い切り響かせようとするわ。
演奏を続けながら不可視の刃で応戦しようとするけれど、あくまでも前提は演奏の継続よ。
さあ皆さん、この声にお願いだから…応えて!
●
『ぽぽぽ……』
「ありゃ、本当に八尺様みたいだねぇ。……ん? なんで“様”付けなんだろう?」
鏡はふと『八尺様』という呼び方に疑問になる。様を付けるということは敬うような、それこそ神様として祀るほどだったのかもしれないと考えるけれど。
『ぽぽ……』
『ぽ、ぽぽ……』
「それと……やっぱり他にもいるのか。だって、話に聞く八尺様って、前座ででてくるような感じじゃないし」
数がいるなら、よく耳にする『八尺様』とは違うと判断。そう考えているうちに八尺様から冷気が放たれるなら、鏡は空中にいるインビジブルを視界に捉え【|縮地「空」《シュクチ「クウ」》】を発動。
「ひとっ飛びってね」
縮地術を使い、飛翔する事で寒気を誘う冷気から逃れつつ、対空中に打刀【暒】に手を添える。『ぽぽぽ……』と言いながら、『八尺様』は鏡がどこに行ったのか探している。その隙を狙い、飛翔したまま背後へ近付いて鋭い一閃で斬り伏せた。
「ふむ。逸話自体に攻撃的なものがないからかな、積極的に人を襲うような相手に見えないね。やっぱり裏に誰かいるかな」
逸話では追い掛けられるなどはあれど、襲ってくるような話は聞いたことが無かった。目の前にいる『八尺様』と逸話とそうかわらないのだろうかと考えながらも、斬り伏せた怪異を軽く踏み台にして飛翔、そして次々と倒していく。
『八尺様』はもしかしたら細道へ誘い込むだけ、裏に誰かがいるなら用心すべきはそっちだろうと考えていた。
「ええ、そうよね。わらべ歌にもあったの……“行きはよいよい、帰りは恐い”。きっと、あなた達のような輩の事なのね」
今回の事件を聞きつけ、萩高・瑠衣(なくしたノートが見つからない・h00256)も細道を辿り、此処まで駆け付けた。そして目の前には怪異が静かに佇み、誘い込もうと赤い糸が絡む細い腕を伸ばした。まるで、帰らせないと言わんばかりに。
『ぽぽ、ぽ……』
「だからこそ、貴方たちの良い様にはさせられない。そうよ。紡がなければいけないのは受け入れる旋律ではなくて、拒絶して制する調べ!」
怪異からの誘いを受け入れてしまえば、今来た道を帰ることは叶わなくなる。今まで被害に遭った人達も、そうして行方をくらましてしまった。手を伸ばされたとて、拒むだけの強い心が必要だというのを瑠衣は知っているから。
「あなたたちに分かって貰おうとは……心苦しいけれど、思いとどまって」
瑠衣は【篠笛】を手にすると、そっと口を添えながら【|偽伝・鼓囃子《ツヅミウチモドキ》】を発動。ぴりり…と清らかな笛の音を響かせ、特殊な周波数の音波を放つと同時に広範囲に渡って大きな揺れを引き起こす。
『ぽ、ぽ……』
帽子のつばから黒い幻影を作り、瑠衣に絡み付こうとしても大きな揺れに阻まれることで叶わない。一定の距離を保ったまま笛の音を響かせ続け、迷い込んでしまった人達に届いて欲しいという願いを込めた。
(さあ皆さん、この声にお願いだから……応えて!)
大きな揺れに耐えきれないと、『八尺様』の一部はさらに奥へと逃げていく。聞こえてくれたらという願いの調べは、森の奥までも響き渡る。
──そして、ゆっくりとナニカが反応して近づいて来ようとしていた。
かえりはこわい。
よんだのは、だれ? じゃまをするのは、だぁれ?
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
怪異ってのは、本当に厄介だよなあ
理屈がないわけじゃない
俺も一応、カミガリだしな
そういう手合いの作法やら危なさやら、多少は理解してるつもりだ
だが、理解できるのと肝が冷えないのは別だろ
納涼にしちゃ趣味が悪すぎるぜ
「悪いが、そっちの細道に付き合う気はねえよ」
八尺様の黒い幻影や絡み付きを警戒
近付かれる前に霊震を発動して動きを拘束
「試し切りさせてもらうぜ」
自分の影から、最近支給された搭乗者用簡易防衛術式(影業)を展開
震動で動きが鈍ったところへ影業を走らせ、伸びてくる幻影ごと斬り払う
本体をも薙ぎ払い、おーこりゃすげえや、と
誘うなら相手を選びな
オジサンは、帰り道が怖いのは御免なんでな
アキ・サクラアドリブ共闘◎
|にゃぁぁああああああ《こんにちは、素敵な帽子ですね》!!
急に来るのずっこいんじゃねぇの?!前見てないのが悪い?それはそう!!
八尺様って群れでいるの?ん?群れであってるの……?
すんません、おれ用事思い出したので…!
寒い寒い!ずっくんへるぷみー!
とりま一番足止め出来そうな所に罠はって闇に紛れる
ひえービックリしたぁ
八尺様には悪いけど疑心暗鬼になって潰しあってもろて、おれは妖精銃で狙撃
何だか心が痛むんだぜぇ……
……あ、サンプル採ってない
ずっくーーっん!やっぱ最高の相棒だぜーーーー!
●
おっかないなぁと怯えた様子で森の奥へと歩いていたアキだが、さらに薄暗くなったことに恐怖度は増していて。早く帰りたいと弱音を吐きながら歩いていると、そっと肩にナニカが触れてきた。
『ぽ、ぽぽ……』
「……!? |にゃぁぁああああああ《こんにちは、素敵な帽子ですね》!! 急に来るのずっこいんじゃねぇの?! 前見てないのが悪い? それはそう!!」
あまりの怖さから、キョロキョロと挙動不審になっていたのは否定出来ない。『八尺様』に肩を触れられた事でアキ特大な悲鳴をあげ、若干パニックになりながらもよくよく見ればその数は取り囲んでくるほどで。
「八尺様って群れでいるの? ん? 群れであってるの……? すんません、おれ用事思い出したので……!」
『ぽぽぽ……』
「……って、寒い寒い! ずっくんへるぷみー!」
フクロウ型のスポッター【|木菟《ずっくん》】からは、どうにも呆れられてるように見えなくもないけれど。『八尺様』から寒気を誘う冷気を放たれた事でアキから助けを求められれば、一番近くにいる『八尺様』へと体当たり。
怯んだ隙を狙い、アキは足止め出来そうな場所を探して【|罠《トラップ》】を発動。狩猟用の罠を仕掛けつつ、木々の裏へと隠れてみを潜めた。アキを探そうと歩いていたところに罠を踏むと動きはピタリと止まり、ぐるりと方向転換するなり疑心暗鬼にかかった『八尺様』同士で取っ組み合いをし始めた。
(ひえービックリしたぁ……八尺様には悪いけど、疑心暗鬼になって潰しあってもろて。何だか心が痛むんだぜぇ……)
取っ組み合いをしている隙を狙い、アキは精霊銃を構えて隠れたところから頭を狙い狙撃する。一人、二人──的確に狙って撃つけれど、見た目が人に近いところから心苦しさがないわけではなかった。
ある程度近くにいた『八尺様』を倒した後、一難去ったと深く息を吐く。だが、何か忘れてるような気がして。何だったかと思い返せば、お使い出来てないことに気付いた。
「……あ、サンプル採ってない」
やってしまったと頭を抱え、このまま手ぶらで帰れば先輩に怒られる!と嘆いていると【|木菟《ずっくん》】が嘴に何かを咥えて戻ってきた。
「ずっくん……? え、それ、八尺様の帽子じゃん! ずっくーーっん!やっぱ最高の相棒だぜーーーー!」
相棒のおかげでサンプルも回収出来、先輩に怒られるフラグも無くなった。これで一つ仕事が終わったことに安堵しながら、サンプルの回収に成功。
一方で、怪異が事件を起こしてるという事件の情報を聞いた折木・龍也(伏龍・h13162)もまた、仕事をするために森の細道へと来ていた。
「怪異ってのは、本当に厄介だよなあ。理屈がないわけじゃない。俺も一応、カミガリだしな。そういう手合いの作法やら危なさやら、多少は理解してるつもりだ」
今まで相手した怪異も厄介で、多くを倒してきた事から理解はしている方で。進もうとしたところで気配を感じ、龍也は歩みを止めて警戒を強める。すると、白いワンピースを着た怪異『八尺様』が姿を現した。
「理解できるのと、肝が冷えないのは別だろ。納涼にしちゃ、趣味が悪すぎるぜ。……悪いが、そっちの細道に付き合う気はねえよ」
これが肝試しならば犠牲者が出てる時点で趣味が悪い。|警視庁異能捜査官《カミガリ》として、悪趣味な遊びに付き合うつもりはないと警戒を強めた。
『ぽ、ぽ……』
帽子のつばから黒い幻影を伸ばし、龍也へと絡み付こうと伸ばしてくるなら、囚われないようにと一定の距離を保つ。動きを見極め、近くまで伸ばされたところで【|霊震《サイコクエイク》】を発動。ぐらりと大きな地震を引き起こす事で『八尺様』は体勢を崩し、その間に後方へ飛び退いた。
「試し切りさせてもらうぜ」
足元の影から、最近支給された新しい影業【搭乗者用簡易防衛術式】を展開すると、大きな揺れで身動き取れない『八尺様』目掛けて影業走らせ、幻影ごと本体も纏めて斬り払う。
「おー、こりゃすげえや」
斬れ味は抜群。その勢いのままに、全ての『八尺様』を倒していく。そして、全て一掃し終えると、龍也はやれやれと肩を竦めた。
「誘うなら相手を選びな。オジサンは、帰り道が怖いのは御免なんでな」
そう言い残し、新たに感じた気配の方へと視線を向ける。
どうやら、素直に帰らせるつもりはないようだ。
いきはよいよい、かえらせないよ
かえりみちなんて、ここにはないから。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第3章 ボス戦 『ひきこさん』
POW
誰かがじゃない、お前達がやったんだ
【脳裏に刻まれる陰惨な虐めの記憶】を放ち、半径レベルm内の自分含む全員の【集団で行われる攻撃への拒否感】に対する抵抗力を10分の1にする。
【脳裏に刻まれる陰惨な虐めの記憶】を放ち、半径レベルm内の自分含む全員の【集団で行われる攻撃への拒否感】に対する抵抗力を10分の1にする。
SPD
死んでもわたくしは赦さない
インビジブルの群れ(どこにでもいる)に自身を喰わせ死亡すると、無敵獣【シン・ヒキコ】が出現する。攻撃・回復問わず外部からのあらゆる干渉を完全無効化し、自身が生前に指定した敵を【原型を留めていない血に塗れた肉塊】で遠距離攻撃するが、動きは鈍い。
インビジブルの群れ(どこにでもいる)に自身を喰わせ死亡すると、無敵獣【シン・ヒキコ】が出現する。攻撃・回復問わず外部からのあらゆる干渉を完全無効化し、自身が生前に指定した敵を【原型を留めていない血に塗れた肉塊】で遠距離攻撃するが、動きは鈍い。
WIZ
わたくしの苦痛をその身で味わえ
【聞くに堪えない悍ましい虐待の内容】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【黄昏時の都市伝説空間】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
【聞くに堪えない悍ましい虐待の内容】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【黄昏時の都市伝説空間】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
●
『許さない、ユルサナイ……お前達が、ヤッタンダ……!』
怨みの言葉を吐きながら、森の奥から『ひきこさん』は姿を現した。
自分の身に起きた凄惨な虐め、虐待──それらの恨みを晴らそうと細道へ誘い出していたのだろうと容易に想像できるものだった。
EDEN達が辺りを見渡せば、変わり果てた姿の被害者達が放置されているのが視界に入る。このまま放置すれば、更なる被害が出てしまうのは目に見えていた。
『わたくしの怨み……ここで晴らす』
『ひきこさん』は殺意を向け、EDEN達に襲いかかろうとしていた。
天霧・碧流★正義感は皆無ですがEDENの迷惑になるような行為はしません。アドリブ等歓迎。
誘ってくれたから歓迎されているのかと思いきや、いきなり恨まれていて驚きだ。
ここに転がっている人間たちがアンタを虐めたのかい?それなら復讐出来て良かったな。おめでとう。
もし、無関係の人間なら…アンタもやってること一緒じゃないか。
集団で虐めはフェアじゃないよな。だから俺は搦め手も使わないし、防具も捨てる。(√能力の煽る台詞は言わない)
恨みぶつけてこいよ。
俺はアンタの事同情してやれないけどさ、殺りたいなら来い。
俺も殺るから。
真正面からデスクリーヴで斬り付けを試みる。
そのベールの下は怒っているのか?それとも泣いているのか?
柴井・茂成程、どうやら此処は怖い場だったようだ
八尺様よりも、もっと物理的な恐怖というやつ
どれにせよ、女性に恨まれるあれこれというのは哀しくもなる
話を聞く分には構わないが(実体験ベースで興味深いので)
おれの護霊はその手の話は全部燃やして解決したくなる派だ、すまないね
もう一つ言えばおれの護霊は、きみのような性質を「触りたくない」らしくてね
闇炎を並べてさしあげよう
……おれかい?いや痛いのは嫌だけども?探偵刀は握っておこうか
ただそうだな
作家は意外と容易く自暴自棄で自分を終わらせたくなるからその辛さはわからない
こいつ(護霊本体)が、無様だって笑うだけだからね
……いうだろ?「そんなの狗にでも食わせておけ」って
各務・鏡ええとこの人何した人?
あぁなるほど僕の知らない都市伝説なんだ。
内容的にとっても現代らしいね。
それ、恨みじゃないよね。
ただ痛めつけたいだけだよね。
恨み節なら一思いに一太刀入れて縁を切ればよかったのに。
でも「そう」なっては何言っても無駄だろうねぇ。
やったらやり返される。
因果応報ってだけなら別にほっとくけど、もうその枠を超えてるもんね。
岐神で速攻仕掛けるよ。
向こうの攻撃が必中っていうならしょうがないね。
それは反撃される前に倒すしかないし、倒せないならしょうがない。
●
「ここに転がっている人間たちがアンタを虐めたのかい? それなら復讐出来て良かったな。おめでとう。……もし、無関係の人間なら…アンタもやってること一緒じゃないか」
『一緒じゃない! お前が、お前がやったんだな……!』
誘い出されたのは良いものの、顔を見るなり恨み言を言われて碧流は僅かにだけ驚きを見せる。周りを見れば変わり果てた被害者の遺体が見え、全員『ひきこさん』に殺されたのだろうと容易に想像出来た。
『ひきこさん』に纏わる話は悲しいもので、学校のイジメや家庭での虐待により居場所を失ってしまうというもの。様々な辛い出来事から絶望し、復讐を果たすために森の奥へ続く細道へ誘い込んだのかと碧流は考えていた。
「集団で虐めはフェアじゃないよな。だから……恨み、ぶつけてこいよ」
『誰かがじゃない、お前達がやったんだ……! お前達が、お前達がぁあ……!』
碧流は静かにそう話しながら防具を捨てれば【|無装狂宴《ムソウキョウエン》】を発動。【デスクリーヴ】を手に構え、真正面から『ひきこさん』めがけて振り下ろす。『ひきこさん』は咄嗟に後方へ避けようと試みるも、肩から腹にかけて大きく斬り伏せた。
『いっ、ぁああ……!』
「……そのベールの下は怒っているのか? それとも泣いているのか?」
真っ白な着物は血で赤く染まり、『ひきこさん』は苦しそうに呻き声をあげる。その声は苦しいだけなのか、怒りや悲しみに満ちているのか──顔にかかる布からは覗き見ることは叶わない。
「成程、どうやら此処は怖い場だったようだ。八尺様よりも、もっと物理的な恐怖というやつ。どれにせよ、女性に恨まれるあれこれというのは哀しくもなる。話を聞く分には構わないが……おれの護霊は、その手の話は全部燃やして解決したくなる派だ。すまないね」
『わたくしの苦痛をその身で味わえ……!!』
実体験ベースの話となれば、これからの作品作りに役に立つしと茂は考える。だが、恨み言を言われてしまえば話は聞かせてくれる様子は無さそうで、小さく溜息ついて肩を竦めた。
「もう一つ言えばおれの護霊は、きみのような性質を“触りたくない”らしくてね。闇炎を並べてさしあげよう」
ともあれ、このまま放置しては危険なのも分かっている。護霊からも訴えかけてくるものを感じながら、茂は『ひきこさん』を指さし【|双犬牙の戦《ヘアリージャック》】を発動。
「負け狗になる気はなくてね」
闇炎で創り上げた複製分身体の《狗神》を呼び出せば『ひきこさん』を取り囲むと狙って炎のブレスを放ち、爪で切り裂いたり牙で噛み付いたりとしていく。茂自身も攻撃されてもいいようにと【探偵刀】を構え、『ひきこさん』の動きに警戒していた。
『お前達だって、この苦しみがどれほど辛いか分かっているはず……なのに、なぜ!』
「……おれかい? いや、痛いのは嫌だけども? ただ、そうだな……作家は、意外と容易く自暴自棄で自分を終わらせたくなるから、その辛さはわからない。|こいつ《護霊本体》が、無様だって笑うだけだからね。……いうだろ? “そんなの狗にでも食わせておけ”って」
『なっ……?!』
有名な作家だって、自ら命を絶ってしまったという人は多い。書きたい題材があるならばいいが、無かった時は題材に悩み、締め切りに追われる日々が待っている。文章が浮かばない時も地獄である。それが続けば、自暴自棄にもなるものさと普通に言ってのけるのだから、『ひきこさん』は驚きを隠せずにいた。
「ええと、この人何した人?」
「あぁ……アレは、ひきこさん。イジメと虐待で絶望して傀異化したっていう都市伝説」
『ひきこさん』を見て、鏡はキョトンと首を傾げる。近くにいた茂が逸話を教えるとなるほどと納得し、知らない都市伝説と会えるなんてと感心していた。
「……あぁなるほど、僕の知らない都市伝説なんだ。内容的にとっても現代らしいね」
納得はしたものの、疑問に思う事があった。
被害に遭った人達が加害者でも無さそうで、こうして悪事を働く理由は本来無いはずだから。
「それ、恨みじゃないよね。ただ、痛めつけたいだけだよね。恨み節なら、一思いに一太刀入れて縁を切ればよかったのに」
『うるさい、ッ! 何が分かるとわかると言うの……!』
「でも、“そう”なっては何言っても無駄だろうねぇ。やったらやり返される。因果応報ってだけなら別にほっとくけど、もうその枠を超えてるもんね」
数多くの被害者が出てる以上、復讐という枠組みすらも超えている。人に害を成すなら倒すまでと、鏡は【|岐神《クナトノカミ》】を発動。
「我は狭間に立ちて分けるもの」
岐の神力を纏い自身の強化をすると、『ひきこさん』からの必中攻撃を少しでも避けていき、素早く掻い潜ると至近距離になったところで【暒】を構えてすれ違うように刺突を放つ。
『あぁああぁあああァアア……!』
倒し切れなかったものの、大きな傷を負わせることが出来た。
『ひきこさん』はフラつきながら、ブツブツと恨み言を呟き続ける。その怒りの矛先は、全てEDENに向けられていた。
──ユルサナイ、わたくしをイジメるオマエらを。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
アキ・サクラアドリブアレンジ◎
今度は何!!だれあなたーーー!!
ひきこさん?知らん知らん知らん!初対面!!
絶対に!初対面!!
痛いのも怖いのも嫌?そうね!おれもそう思う!一緒だわーい!(ヤケクソ)
おまえたち?おれと先に居た人らのこと?
んーーなーんかニュアンス違うっぽいなぁ
アンタは何とおれを重ねて見てるんだ?
痛いと嫌だが一緒にいっぱい襲ってきた感じ?
あ、そう。それは嫌だったね
でも、嫌なのはおれや他の人らも一緒なんよ
ここに居ると思い出しちゃうなら還ったほうがいいよ
おれっち一発で決めれるから、任せろい!
痛いは一瞬、日頃出さない全力で送ってあげる
……何か、忘れて………
ヒェッ…ずっくん…あの、今回は……持って…ない!!
●
「今度は何!! だれあなたーーー!!」
恐怖は去った──わけではなかった。
囲まれる恐怖が終わったかと思えば、今度は明らかに殺意を向けてくる『ひきこさん』と遭遇するとアキの恐怖レベルは最大値に跳ね上がる。
アレは誰?!とパニックになってるところで、仲間から敵の名前を教えてもらうも、イマイチ記憶には引っ掛からなかった。
「ひきこさん? 知らん知らん知らん! 初対面!! 絶対に! 初対面!!」
『お前も、わたくしを……ッ! わたくしの受けた痛み、わかるわけがない……!』
「痛いのも怖いのも嫌? そうね! おれもそう思う! 一緒だわーい!」
半ばヤケクソに話してるからか、話が噛み合っているのかいないのか若干怪しさはあるけれど、痛いのが嫌という気持ちはアキも分かるわけで。アキのその言葉に『ひきこさん』は僅かに反応を示した。
それに気付くと、一度深呼吸して改めて考えてみる。『ひきこさん』の言葉には気になるものがある。痛みを受けたというところから、今回の事件に繋がっているのではないかと予想した。
「おまえたち? おれと先に居た人らのこと? んーー、なーんかニュアンス違うっぽいなぁ。アンタは、何とおれを重ねて見てるんだ?」
『お前達はわたくしを絶望に貶めた……! 何故、何故わたくしがこんな目に遭わなくてはいけなかったの……!』
「痛いと嫌だが、一緒にいっぱい襲ってきた感じ? ……あ、そう。それは嫌だったね」
多くの人に傷付けられたのかというのが伝わり、怒りと憎しみから多くの人へ殺意を向けたのかと思うと複雑な気持ちになるけれど。だからといって、無差別に人を殺していい理由にはならないから。
「でも、嫌なのはおれや他の人らも一緒なんよ。ここに居ると思い出しちゃうなら還ったほうがいいよ」
アキは【竜漿魔眼】を発動し、右目に意識を集中させれば『ひきこさん』の隙を見極める。【|最終兵器《ラストソング》】を手に構え、一気に距離を詰めれば弱りを見せている『ひきこさん』へ振り下ろそうと構えた。
「おれっち一発で決めれるから、任せろい! 痛いは一瞬、日頃出さない全力で送ってあげる」
『……ッ!? イヤァアアア……!!』
見極めた隙を狙って全力を持って振り下ろせば、悲鳴と共に『ひきこさん』はドサリとその場に倒れ、闇に解けるように消えていった。
ようやく終わったと一気に力が抜け、その場でしゃがみ込み一息つくけれど──また何かを忘れている気がして。
「……何か、忘れて………ヒェッ…ずっくん…あの、今回は……持って…ない!!」
【|木菟《ずっくん》】の方へ視線を向けたけれど、残念ながら『ひきこさん』に関するサンプルらしきものを咥えている様子はなく。
一難去ってまた一難。事務所に戻って先輩に何を言われてしまうのかという別の恐怖が待ち受けているが──その後どうなったかは、別の話。
こわいながらも
とおりゃんせ とおりゃんせ
いっときのへいわを いのりませう
🔵🔵🔵 大成功