シナリオ

⑩災厄と呼ばれたもの

#√妖怪百鬼夜行 #ゾディアック継承戦争 #ゾディアック継承戦争⑩

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⚔️王劍戦争:ゾディアック継承戦争

これは1章構成の戦争シナリオです。シナリオ毎の「プレイングボーナス」を満たすと、判定が有利になります!
現在の戦況はこちらのページをチェック!
(毎日16時更新)

 世界を灼くような熱が降り注ぐ中、リンゼイ・ガーランドは目の前の光景に呆然とするばかりであった。
(あいつ、私の|ヴァージン・スーサイズ《無差別自殺√能力》を、斬っている……!)
 菫色の双眸で睨めつけるのは、今しがた彼女を斬った相手。
「|吾《われ》の崇める|禍津日神《マガツヒノカミ》さまが、ぬしの√能力を求めておられる……」
 リンゼイが持つ、ヴァージン・スーサイズ《無差別自殺√能力》。
 彼女に近づいただけで自ら命を絶ってしまうという――彼女を人間災厄たらしめた力。
 それを、彼女の目の前にいる男が|斬った《・・・》のだ。
「さあ、その目に灼きつけるがよい。これなるはぬしより無差別自殺を奪うもの、大いなる禍津日神さまの姿である……!」
「その姿が、禍津日神……!」
 リンゼイは、その姿に見覚えがあった。
 太陽の如き炎を背負った、禍々しき漆黒の化け物――もしも今、目の前にいる存在が禍津日神そのもの、もしくは同種の存在であるというのなら。
 ――考えるまでも、なかった。
「お前に、ヴァージン・スーサイズを渡すわけにはいかない……!」
 リンゼイは唇を噛み締め、ただひとり、目の前の男に立ち向かおうとする。
(ぎりぎりまで抵抗して、せめて不完全な状態に留めなくては――)

●災厄と呼ばれたもの
「新たな戦線がひらかれたわね」
  シルフィカ・フィリアーヌ(夜明けのミルフィオリ・h01194)は穏やかに微笑んで、お疲れ様、とEDENたちに告げる。
「リンゼイ・ガーランド。この名前に覚えがあるひとはいるかしら? でも、今回の敵は彼女ではないわ」
 √汎神解剖機関の人間災厄――『リンゼイ・ガーランド』
 前回の王劍戦争、|秋葉原荒覇吐戦《あきはばらあらはばきのいくさ》にて、彼女と戦った者もいることだろう。
 そのリンゼイが、シーサイドももち海浜公園に出現した。だが、今回の目的は彼女を倒すことではないとシルフィカは続ける。
「敵は、新たに王権執行者となった『日神憑き』名張・楓。彼はリンゼイを襲撃し、彼女の√能力である『ヴァージン・スーサイズ』を奪おうとしているの。近づくだけで自ら命を絶ってしまうという、恐ろしい力。それが危険な悪神の手に渡ってしまうのはよくないわ」
 名張・楓に取り憑く『禍津日神』の正体はわからない。だが、リンゼイだからこそ、ある意味では抑えられていたであろう力が悪しき神のものとなったならば――より恐ろしい事態が引き起こされるのは明らかだろう。
「だから、あなたたちにはこれから現地に向かって、リンゼイ・ガーランドと共にヴァージン・スーサイズが完全に奪われてしまうのを止めてほしいの」
 リンゼイはこの時点で自殺能力の『無差別機能』を失っている。よって、共闘するEDENが彼女に近づいたとしても、自殺衝動に襲われることはないだろう。
 説明を終えた娘は、信頼の眼差しをEDENたちへと向けながら続ける。
「完全に心を許すことは出来ないとしても、同じ敵が目の前にいるのなら、共に戦うことは出来るはずよ。どうか、お願いね」

マスターより

小鳥遊彩羽
 ご覧くださいましてありがとうございます、小鳥遊彩羽です。
 こちらは『ゾディアック継承戦争』の戦争シナリオとなります。

 プレイングボーナスは『リンゼイ・ガーランドと共闘する。』です。

 プレイングの受付はOP公開時~送信フォームが閉じるまでとなります(先着順ではありません)。
 グループでのご参加は【2名様】まででお願いします。
 なるべく頑張りますが、ご参加頂いた人数によっては採用できない方が出てくる可能性がありますので、予めご了承ください。

 以上となります。どうぞよろしくお願い致します。
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第1章 ボス戦 『『日神憑き』名張・楓』


POW |刃《武を競おうか》
命中する限り「【太刀】による攻撃→技能攻撃→[太刀]攻撃→技能攻撃」を何度でも繰り返せる。技能攻撃の成功率は技能レベルに依存し、同じ技能は一度しか使えない。
SPD |御心《内ナル心ニ従エ》
【黒き太陽】を背負い【恐怖を煽る威圧感】を備え、【邪心を植え付ける神威】を無尽蔵に放出する【禍津日神】に変異する。[邪心を植え付ける神威]が命中した対象は思考操作され、10%の確率で命令に従うようになる(最大60%まで累積)。[禍津日神]は死ぬまで解除できない。
WIZ |神威《吾ガ威ニ平伏セヨ》
半径WIZm内の任意の有機物・無機物全てに【黒き太陽の霊力】を注ぎ、WIZ×1時間活動可能なエネルギーを与える。注ぐ[黒き太陽の霊力]を1体(人物・武器・乗騎等)に集中すると、対象を【禍津日神の不完全なる眷属】化して硬度強化と【黒焔による】攻撃能力を与え、意思を抑え付けて術者の為に戦わせようとする事ができる。
イラスト Freeze_Ge
√妖怪百鬼夜行 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリエル・スチュアート
リンゼイ・ガーランド、その√能力の性質が自殺衝動でなければ、EDENとなり得たかもしれないわね。
だからこそ、彼女は助けるに値するわ。
それに、上手く行けば連邦怪異収容局の話を聞けるかもしれないし。
…そこは黙秘するかしら?

まずはリンゼイの安全を確保する為に高速詠唱で魔力溜めした全力魔法で楓に攻撃するわ。
安全を確保出来たら少しずつ距離を詰めて、あえて相手の領域で戦う事にするわ。
近接戦になったら魔導槍で攻撃をしつつオーラ防御でやり過ごす。
√能力には打ち消す右手の魔法陣で対処。
その後はドローン操作で背後に回らせていたフェアリーズの援護射撃の不意打ちで攻撃を仕掛けていくわ。
相手は前だけじゃないって事よ。

 ――真夏の太陽が、シーサイドももち海浜公園の白砂を焦がす。
 ひどく生温かい海風が陽炎を揺らめかせる中、リンゼイ・ガーランドは唇を噛み締めながら、眼前の敵――『日神憑き』名張・楓を鋭い眼差しで見据えていた。
「大いなる禍津日神さまに、ぬしの力を捧げよ!」
 楓の腕がリンゼイへと伸ばされた、次の瞬間。
「――させないわ!」
「何奴――!」
「名乗る必要なんてないでしょう?」
 リンゼイを庇うように立ったアリエル・スチュアート(片赤翼の若き女公爵・h00868)は、美しい赤のグラデーションに彩られた片翼を羽ばたかせながら毅然と告げる。
「あなたは……」
 リンゼイもまた困惑を隠しきれない声で呟くが、アリエルが自分を助けてくれたのだということは理解したようだった。
『封印指定人間災厄』リンゼイ・ガーランド。彼女の身に宿る√能力『ヴァージン・スーサイズ』が持つ呪わしき無差別な自殺衝動さえなければ、彼女もまた自分たちと同じく、EDENとして共に歩めたのかもしれない。
 だからこそ、彼女は助けるに値する。それがアリエルが導き出した答えだった。
(それに、上手く行けば連邦怪異収容局の話を聞けるかもしれないし。……そこは黙秘するかしら?)
 思考は一瞬。アリエルの花唇が、流麗な言の葉を紡ぎ上げる。
 真夏の灼熱ごと呑み込むように収束していく膨大な魔力。それは、リンゼイの身の安全を確固たるものにするための全力の一撃であった。
 解き放たれた魔力が熱波を切り裂いて、一直線に楓へと襲いかかる。
 爆ぜる閃光衝撃で舞い上がった白砂がカーテンのように両者を二分するが、アリエルはそのまま|魔導槍《グリモワールランス》を手に熱砂を蹴って、敢えて相手の領域へと踏み込んでいく。
 一方の楓もまた、動じることなくアリエルを迎え撃つ。
 弧を描いて振り抜かれた太刀と魔導槍の刃のない穂先がぶつかり合って火花を散らす。息をつく間もなく繰り出される斬撃を魔導槍で弾き、時に全身に巡らせたオーラの守りで凌ぎながら、アリエルは怒涛のように押し寄せる楓の攻撃を紙一重でやり過ごしながら冷静に機を窺っていた。
 そして――。
「その力、これで打ち消させてもらうわ!」
 渾身の力を込めて振り上げた魔導槍によって弾かれた刃。僅かな一瞬の隙を見出したアリエルは即座に右手に収束させた高密度の魔力で魔法陣を描き出し、そのまま楓へと|触れた《・・・》。
 ――|打ち消す右手の魔法陣《ライトハンド・ディスペルサークル》。魔の理を砕く眩い輝きが弾け、楓が振るおうとした力が霧散する。
「なっ……!?」
 攻撃の機を削がれた楓へ畳み掛けたのは、いつの間にか彼の背後に布陣していたアリエルのドローン――花のような色彩を纏うフェアリーズレギオンたち。
「……相手は前だけじゃないってことよ」
 楓にとっては完全なる死角から放たれた、容赦のない不意打ちの援護射撃。
 放たれた無数の光弾が真夏の陽光を乱反射させながら、楓の背へと降り注いだ。
 
🔵​🔵​🔵​ 大成功

晦・亜冥利
…気が付いたらここにいた

暑…何あれ?誰か戦っている?
刀を振り回す不審者に女の人が襲われてる…女の人を助けなきゃ!

リンゼイ・ガーランドという人と共闘する

女性に刃物振るうなんて許さない…まがつ?煩い馬鹿死ね変態!!
サイコプラズマとサイコオーラを纏って高速移動で駆けつけて
念動力とオーラ防御を纏う傘を振るって
第六感と視力で太刀の攻撃と技能攻撃を受け止める

はぁ…はぁ…駄目だ…暑い…体力が持たない…足止めしないと!
【√黒犬】を発動
降霊とインビジブル制御で黒犬を召喚し噛みつきと爪で襲わせる
そして敵との融合を指示して拘束する

はぁ…はぁ…汗まみれ…最悪…
お姉さん…後は任せたから…好きにすればいいよ…こんなやつ…

「……暑。ここ……どこ?」
 ――呼ばれたのか、迷い込んだのか。
 水底から浮かび上がるように覚醒してゆく意識の中で晦・亜冥利(|黄昏過敏症《 maladie crépuscule 》・h12895)がまず感じたのは、灼熱だった。牢獄とさえ呼べるかもしれない、熱せられた大気が満ちる世界。足元には焼け付くような白砂が纏わりついて、鼻腔を突いた潮の香りが、|ここ《・・》が海であるのだと教えてくれるようだった。
 瞬く間に溶けてしまいそうな熱気が肌に照りつける。とにかく暑い。
 ただ、だんだんと色彩を伴ってゆく視界の端に捉えたふたりの姿に、亜冥利は怪訝そうに眉を寄せる。
(……何あれ? 誰か、戦っている?)
 そうと認識した瞬間、亜冥利はここが既に戦場になっているのだと理解する。
 刀を振り回す――亜冥利の目には不審者としか映らなかった男に、女性が襲われている。
 真昼の昼下がりには不似合いな、死の舞踏。
 亜冥利自身は、リンゼイとの面識はない。
 だが、どうするべきかは、すぐに直感が教えてくれた。
(女の人を助けなきゃ!)
 まるで一瞬暑さを忘れたかのように、亜冥利は全力で駆け出していた。
 昂る感情のままに自身の中に燻る不快感を怒りへと昇華させた亜冥利は、サイコプラズマとサイコオーラを纏いながら楓の懐へと飛び込んでいく。
「女性に刃物を振るうなんて、許さない……!!」
 手にした私物の傘を念動力と守りのオーラで硬化させ、亜冥利は力任せに振り回す。
 楓の太刀筋は、研ぎ澄まされた第六感と魔眼が教えてくれた。
 太刀による斬撃とそれに続く連続攻撃を受け流し、亜冥利は肩で息をしながらも真正面から楓を睨みつける。
「お姉さん、何があったのかは知らないけど……加勢するよ……」
「……ありがとうございます……!」
 力強く頷くリンゼイ・ガーランド。対する楓は冷静さを欠くことなく、再び太刀を構え直す。
 敵が増えようが、彼にとってはただ斬るだけに過ぎないということなのかもしれない。
 静寂は一瞬。
 力の一部を奪われたとはいえ、リンゼイ自身の戦闘力は相当なものだ。
 怪異である|自殺少女霊隊《ヴァージン・スーサイズ》たちを呼び寄せたリンゼイは、亜冥利と並び立って倒すべき敵を見つめた。
(でも……暑い……)
 ただでさえ真夏の炎天下、それも海という戦場。一度の攻防だけでも全身から汗が噴き出すようで、このままでは体力がもたないと悟った亜冥利は、己の裡に巣食う忌まわしき『何か』の鎖を解き放った。
 ――|√黒犬《ルート・バーゲスト》。
 降霊術とインビジブル制御の力が絡み合い、真夏の光を飲み込むような漆黒の闇が亜冥利の足元に伸びる影から這い上がる。
 それは、異界の瘴気を纏った巨大な獣の影。死を齎すと言われる黒犬の悪霊が、深紅の瞳をぎらぎらと輝かせながら食らうべき敵を捉えたようだった。
 硫黄の臭いが砂浜の熱気と共に鼻をつく。
 亜冥利にとっては望まずして憑かれたもの――けれど、勝手に憑き纏うならば利用するだけ。
「……行って。あいつを……捕まえて」
 亜冥利の声に、黒犬が吠える。潮騒を掻き消すような音が砂浜に響き渡り、次の瞬間には黒犬は熱砂を蹴って楓へと躍りかかっていた。
 楓の影から、全身へと、黒犬の瘴気が瞬く間に染み込んでいく。
「なっ……!?」
 楓は太刀を振るって黒犬を払おうとするが、それよりも黒犬が完全に楓と融合するほうが早かった。
「はぁ……はぁ……汗まみれ……最悪……」
 拭っても次から次へと溢れてくる汗に、亜冥利は心の底から不快感を顕にしながらも、傍らのリンゼイへ呼びかける。
「お姉さん……後は任せたから……好きにすればいいよ……こんなやつ……」
「はい……!」
 悪しき黒犬に憑かれ、思うままに動けぬ楓へ――リンゼイの指示を受けた少女の霊たちが襲いかかった。
 
🔵​🔵​🔵​ 大成功

エアリィ・ウィンディア
無差別的な能力って大変なんだよね…。
それを渡すわけにはいかないからっ!

リンゼイさん、立てる?
大丈夫。今は味方って思ってもらっていいよ。
あたしとしても奪われるわけにはいかないと思うから。
だから、倒そうっ!

高速詠唱して使うのは、六芒星増幅術精霊斬!

リンゼイさん攪乱して隙を作るから…。
躊躇せずやっちゃってっ!あたしは何とかするっ!

移動力強化して攪乱していくよ。
空中・地上を問わず高速移動と幻影使いで強化した残像を生み出しつつ機動。
精霊銃で牽制・援護射撃を行いながら、リンゼイさんの攻撃タイミングを作るよ。

警戒はされていると思うけど…。
リンゼイさんの仕掛けるタイミングで一気に接近して六芒星精霊収束斬!

 白砂に降り注ぐ真夏の太陽。照らされた海面は鮮烈な輝きを帯びて、彼方まで陽炎が揺らめいていた。
「無差別的な能力って、本当に大変なんだよね……」
 戦場へと続く道を辿りながら、エアリィ・ウィンディア(精霊の娘・h00277)は思わず呟いた。
 リンゼイ・ガーランド。彼女に近づいた者は自ら命を絶ってしまうという『無差別自殺』の力を持つ、√汎神解剖機関の『封印指定人間災厄』――。
 その力の片鱗が、新たに王権執行者となった『日神憑き』名張・楓によって奪われた。
 それだけでなく、楓はリンゼイの√能力の全てを手に入れようとしている。
「――リンゼイさんの力を、渡すわけにはいかないからっ!」
 同朋たちと共に幾度かの攻防を経たリンゼイの元に駆けつけたエアリィは、その小さな背中で彼女を庇いながら、鮮やかな翠の双眸を真っ直ぐに楓へと向ける。
「……リンゼイさん、大丈夫。今は『味方』って思ってもらっていいよ」
 振り向いたエアリィは、笑顔で告げる。
「あたしとしても、あなたの力は奪われるわけにはいかないと思うから。――だから、倒そうっ!」
 エアリィの力強い言葉に、リンゼイはどこか、安心したような微かな笑みで応じた。
 仲間たちが彼女と共に繋いできた機を、さらに繋ぐために。
 小さく、けれど深く息を吸い込んだエアリィは、裡に眠る力を呼び起こすための言葉を紡ぎ上げる。
「世界を司る六界の精霊たちよ、あたしに力を……!」
 詠唱と共に大気が震え、エアリィの元に精霊たちの魔力が収束し、そして、色とりどりの輝きが彼女を包み込んだ。
「リンゼイさん、あたしが攪乱して隙を作るから……躊躇せずやっちゃってっ! あたしは何とかするっ!」
 リンゼイへ短く告げると同時、エアリィの姿が熱砂の上から掻き消えた――かのように見えた。
 巡らせた精霊たちの力で機動力を得たエアリィは、そのまま|精霊銃《エレメンタル・シューター》を手に、楓の元へと翔ける。
 空を、地を、時には揺らぐ陽炎の隙間さえも縫うように。エアリィは縦横無尽に、風のように戦場を駆け抜ける。その軌跡には魔力によって強化されたいくつもの残像が生まれ、楓の狙いを狂わせた。
 楓は周囲の砂や漂流物へ黒き太陽の霊力を注ぎ、それらを禍津日神の不完全なる眷属へ変えようとするが、それよりも速くエアリィの牽制射撃が突き刺さる。
「くっ……!」
 思うようにいかず、楓は叩きつけるように黒焔を纏わせた太刀を振るうが、その斬撃は残像を切り裂いて散らすだけだった。
 楓は完全にエアリィの動きに翻弄され――そして、その隙をリンゼイは逃さない。
 エアリィとリンゼイの視線が一瞬交わる。
 攻撃の合図は、それだけで十分。
 エアリィは再び魔力を収束させ、楓の懐深くへ一気に肉薄する。
 その手の中で、精霊たちの魔力を纏った|精霊剣《エレメンティア・ブレイド》が眩い輝きを放つ。
「精霊たちとのコンビネーション、じっくり味わってねっ!」
 リンゼイが、その力を解き放つと同時――。
 精霊たちの祝福を束ねた|六芒星増幅術精霊斬《ヘキサドライブ・ブースト・スラッシュ》の斬撃が、虹色の光の軌跡を描きながら昏き王権執行者へと炸裂した。
 
🔵​🔵​🔵​ 大成功

香柄・鳰
色々な相手と経験してきましたが
まさかリンゼイさんとも共闘する事になろうとは、分からないものですね
無差別に自害を誘う機能を失ったと
それは貴方にとっては災いなのか幸いなのか、どちらでしょうね
少なくとも私にとっては大助かりですけれども!

さあ共に参りましょう
あなたも太刀を使うのですね
武を競うならば喜んで!

リンゼイさん、希死念慮はお使いになれますか
他の手でも構いませんが、彼の動きを止めてみますので
合わせて下さる?

鈴の音ひとつ
連撃には連撃を
太刀には此方も大太刀で迎え受け流し、鍔迫り合いからの吹き飛ばし
次の手を重ねさせずに切り結ぶ
【鳭】を使用
鷦鷯の投擲や鈴音により彼の動きを止めましょう

最後はさあ、ご一緒に

 ――真夏の焦熱が白砂を炙り、吹き抜ける海風さえもが逃しきれない熱を帯びて肌に纏わりつく。
 揺らぐ陽炎の向こうで冱えた気を放つ『日神憑き』名張・楓を前にして、香柄・鳰(玉緒御前・h00313)は柔らかな、それでいて涼やかな笑みを浮かべていた。
 輪郭を結ばぬどこか朧げな藤彩の双眸は、けれど澄み切った確かな意志を宿し、正面に立ちはだかる絶対の敵を射抜いている。
「色々な相手と経験してきましたが……まさかリンゼイさんとも共闘することになろうとは、分からないものですね」
 鳰は傍らに立つかつての敵、リンゼイ・ガーランドへと視線を流す。ただそこにいる――それだけで周囲に狂気の如き自殺衝動を撒き散らしていた彼女は今、その無差別な死の呪いを削ぎ落とされた姿で、静かに戦場に立っていた。
「無差別に自害を誘う機能を失ったと。それは貴方にとっては災いなのか幸いなのか、どちらでしょうね」
「……わかりません」
 今にも消え入りそうなリンゼイの声に、鳰の唇にふっと朗らかな笑みが咲く。
「少なくとも、私にとっては大助かりですけれども!」
 ――だからこそ、こうして背を預け合い、共に並んで戦うことも叶うのだから。
 鳰は流麗な所作で身を沈め、大太刀の背に指を滑らせながら、リンゼイへと囁くように告げる。
「リンゼイさん、|希死念慮《タナトス》はお使いになれますか。他の手でも構いませんが……彼の動きを止めてみますので、合わせて下さる?」
「はい、やってみます……!」
「さあ、共に参りましょう」
 そうして向き直ると同時、前方に立つ楓が、ゆらりと身を沈める。
 その手に握られた太刀が、苛烈な陽光を反射して禍々しい輝きを放つ。
 命を断つ、そのためだけに研ぎ澄まされた刃。それを見た鳰の瞳に灯ったのは恐れではなく、剣士としての純粋なる歓喜であった。
「あなたも太刀を使うのですね。武を競うならば……喜んで!」
 ――刹那。
 白砂を舞い上げながら踏み込んできた楓が太刀を振るう。
 一閃、そして息をつく間もなく放たれる蹴り。命中する限り終わらない無窮の連撃に、けれど鳰は退くことはない。
 リンゼイが裡に秘めたその力を解き放つまでの間、楓の意識をこちらに縫い留めるために。
 鋭い金属音が鮮やかな青空に甲高く響き渡り、飛び散った火花が残した一瞬の煌めきは白砂を焦がすよう。幾重にも押し寄せる波の如き楓の凄絶な斬撃を紙一重で受け流し、あるいは力強く弾き返して――鍔迫り合いへと至ったその時、鳰は叩きつけるように振り抜いた大太刀で、楓の身体を後方へと吹き飛ばした。
 ――そしてこちらも、連撃には連撃を。
 楓が再度、連なる斬撃を繰り出そうとした瞬間。鳰はすかさず忍ばせていた短刀を放つ。
 一直線に飛んだ小さな刃が楓の身体を掠め、軽やかに弾む澄んだ鈴の音が楓の鼓膜を漣のように震わせた刹那。見えない何かに縫い留められたかのように、楓はその動きを止めた。
 次なる手を、重ねさせなどはしない。
「リンゼイさん。最後はさあ、ご一緒に」
「行きます……!」
 リンゼイが解き放った|希死念慮《タナトス》の昏き魔力が楓へと絡みついた、その直後。
 縮地の如き踏み込みで肉薄した鳰は一切の躊躇なく、重力を乗せた長大な刀身を――全身全霊を込めてを振り下ろした。
 
🔵​🔵​🔵​ 大成功

静寂・恭兵
アドリブ歓迎

ヴァージン・スーサイズ…厄介な能力だが悪心が持つのと良識のある人間が持つのでは全く意味は違ってくる…そう思わないか?

そうだな悪神が全て持つよりもリンゼイ。君が持っている方が安全だと判断した。

Win-Winの関係だ……こう言った方が君にとっては気分的に楽かと思ったんだが…
まぁ、いい。
俺も力を貸す。君は力を奪われない様に争ってくれ。

√能力『花嵐連撃』
インビジブル制御で強化した死霊を叩きつける。
敵の技は第六感で回避。連撃に繋がせない。

 焦熱が支配する白砂の浜辺にあって、静寂・恭兵(花守り・h00274)の纏う空気はどこまでも冷徹で、静かなる凪を保っていた。
 陽炎の向こうで殺気を放つ『日神憑き』名張・楓を視界の端に据えながら、恭兵はリンゼイ・ガーランドへと言葉を落とす。
「ヴァージン・スーサイズ……厄介な能力だが、悪心が持つのと良識のある人間が持つのでは全く意味は違ってくる……そう思わないか?」
 かつては敵として対峙した彼女が無差別に放っていた呪いは、今はもうない。己が力が孕む危険性を誰よりも理解し、悪しき神に渡してはならないと――たった一人でも最後まで抗うことを選んだ彼女を見て、恭兵は静かな理をもって一つの結論を下していた。
「そうだな。悪神が全て持つよりも――リンゼイ、君が持っている方が安全だと判断した」
 ほんの少しばかり戸惑うように目を伏せるリンゼイに対し、恭兵はさらりと続ける。
「Win-Winの関係だ……こう言った方が、君にとっては気分的に楽かと思ったんだが……まぁ、いい」
 打算めかした物言いは、彼なりの気遣いであった。その真意が伝わったかどうかはわからないが、少なくとも、再び向けられたリンゼイの眼差しに敵意や警戒といった感情は窺えず、今だけは味方であるということは受け入れてくれたようだった。
 恭兵は海風に上着をはためかせながら、鋭い視線を楓へと真っ直ぐに向け直す。
「俺も力を貸す。君は力を奪われない様に争ってくれ」
 その言葉を始まりの合図としたかのように、太刀を手に楓が仕掛けてくる。
 恭兵は即座にリンゼイより一歩前に出て、楓を迎え撃つべく拳銃を構えた。
 鋭い銃声が連続して響く。だが、白砂を舞い上げたそれはあくまでも牽制射撃にすぎない。
 恭兵は同時に研ぎ澄まされた第六感で楓の動きと太刀が描く軌道を読み、ほんの僅かに、熱砂の上を滑るように身を逸らした。それだけで十分だった。
 楓が繰り出した切っ先が空を裂く。
 最小限の動きで楓の斬撃を躱し、連撃への起点となるはずだった一撃を封じた恭兵は、続けざまに数珠を放った。
 数珠はまるで意思を持つ蛇のように虚空を舞い、牙を剥いて――楓の全身に絡みつく。
 牽制、捕縛、そして――強撃。それは底冷えするような美しさを伴う恭兵の√能力、|花嵐連撃《カランレンゲキ》。
 恭兵は、一切の容赦なく死霊を放つ。
 インビジブル制御の力によってその力を極限まで高められた死霊の群れは、まるで奈落から這い上がってきたかのような膨大な怨念を纏いながら、飢えた獣のように楓へと襲いかかった。
 
🔵​🔵​🔵​ 大成功

クレス・ギルバート
あいつを斃したいんだろ、お姉さん?
俺でよければ手を貸すぜ

柔く告げ鯉口を切ると同時
一息に敵との距離を詰め
袈裟斬り上げの一閃を見舞い
返す刃で即座に次撃を狙う

リンゼイと攻撃の隙を補い合い
同時攻撃や防ぎ辛くする為
わざと機をずらす等連携して攻め
薙いでは刃を翻し幾筋も斬撃を重ねる

敵攻撃は受け流して軌道を逸らし
そのまま反撃に転じ追撃を阻む
リンゼイを狙うなら間に割り込み
白雷纏わせた刀でその切っ先を弾き返す

神威で物体を眷属化するなら
黒焔を払う様に振るう皎刃に
付き従い奔るは無数の疾雷
眷属諸共に敵を穿つ霆く閃耀の中
禍つを祓うが如く苛烈な一撃を

禍津日神だか何だか知らねぇが
人のものを取ったら駄目だって教えてやらねぇとな

 魂までもを焦がすような、灼熱の陽光が容赦なく降り注ぐ浜辺の一角。
 その身に宿す力を奪われまいと、多くのEDENたちと共に戦い続けていたリンゼイ・ガーランドの傍らに、クレス・ギルバート(晧霄・h01091)は静かに、けれど悠然と歩み出る。
「あいつを斃したいんだろ、お姉さん? 俺でよければ手を貸すぜ」
 柔らかな、けれど揺るぎない意志が宿る声。
「ありがとうございます、助かります……!」
 互いに相容れることの叶わぬ敵同士。けれど、今だけは白昼夢のように。
 揃って視線を向けた先には、新たなる王権執行者となり、そしてリンゼイの√能力の全てを喰らおうと目論む『日神憑き』が立っている。
 その時には既に、クレスは動いていた。
 ――波音に密やかにとける金属音。
 指先が鯉口を切った、まさにその刹那。
 熱砂を蹴ったクレスは、まるで白き迅雷の如く一息に駆け抜けて、楓との距離を零にした。
 閃く銀閃。抜刀の勢いをそのまま乗せた、下から上へと奔る袈裟斬り上げの一撃が空を切り拓く。
 咄嗟に身を仰け反らせた楓へ間髪をいれず、クレスは流れるような身のこなしで刃を返し、即座に斬撃を重ねて叩き込んだ。
 クレスが描く白刃の軌跡に引き寄せられるように、リンゼイもまた自らの裡に眠る力を解き放つ。
 戦いを知る二人の間に、言葉は要らなかった。
 リンゼイが能力を放つ隙をクレスが鋭利な剣撃で埋め、クレスの刀が弾かれた瞬間に、すかさずリンゼイが追撃を仕掛ける。時に同時に叩き込み、時に敢えて攻撃の機をずらすことで、二人は楓の迎撃の呼吸を少しずつ狂わせていった。
 クレスは舞うように縦横無尽に戦場を駆けながら、薙いでは刃を翻し、白砂の上に幾筋もの斬撃の軌跡を描き出す。
 苛立った楓が渾身の力を乗せた太刀を振り下ろすが、クレスは真正面から力で抗うようなことはせず、しなやかな剣捌きでその重い一撃をふわりと受け流し、軌道を逸らしながら反撃の一閃を刻みつけた。
 幾度かの攻防を経た直後。楓の眼差しがリンゼイへ向いたのを、クレスは見逃さない。
「させねぇよ」
 すかさず二人を繋ぐ射線上に風のように割り込んだクレスは、リンゼイを穿とうとした切っ先を白雷を纏わせた刀で弾き返す。
 業を煮やした楓が放つのは黒き太陽の霊力。周囲の流木や熱砂が、禍津日神の不完全なる眷属――黒焔を纏う異形となって二人へ襲い掛かってきた。
「禍津日神だか何だか知らねぇが……」
 クレスは嘆息混じりの声を落としながら、刀の柄を握る手に力を込めた。
 菫色の瞳に、紫電の眩い煌めきが奔り――。
「人のものを取ったら駄目だって、教えてやらねぇとな」
 ――刹那。
 黒焔を払うように振るわれた皎刃から、紫電を纏った一太刀が放たれる。それは、空を裂きながら無数の疾雷へと枝分かれし、眷属諸共穿つ勢いを伴って真夏の浜辺へと降り注ぐ。
 霆く閃耀の中、それは禍つを祓うが如く苛烈な一撃となって、楓へと一直線に吸い込まれていった。
 
🔵​🔵​🔵​ 大成功

久瀬・彰
お久しぶりです、ガーランド女史
|FBPC《連邦怪異収容局》とは衝突もありますが
俺は|怨恨とか《そういうの》気にしないタイプなので
今日は、同じ相手を敵とする以上は仲間です

ひとまず、背に隠れていてください
可能そうでしたら――相手の動きが僅かに乱れた一瞬に
援護をお願いします

影の腕は素早い太刀に即応してコントロールできそうな4本まで
残る力は霊力と呪詛に均等に割り振る
相手の連続攻撃を影の腕を使って弾き、いなし
攻撃失敗を誘うよ

失敗で隙ができた一瞬に援護を合わせてもらう
俺の方が防御に徹しているように見せておけば
一瞬、女史の方へ攻撃意識が逸れるだろう
その隙を縫って影を縒り合わせ
素早い反撃を叩き込むよ

 焦熱の太陽がじりじりと照りつける、白磁のように輝く真夏の砂浜。生温かい海風は仄かな潮の香りを孕みつつも、押し寄せる波の音さえ呑み込むほどの濃密な死の気配に塗れていた。
 ゾディアック継承戦争の渦中、新たに王権執行者となった『日神憑き』名張・楓。そして、彼にその力の片鱗を奪われた、√汎神解剖機関の『封印指定人間災厄』――リンゼイ・ガーランド。
 今にも火花が弾けそうな一触即発の気配を漂わせる両者の間に、不意に投げられたのは――あまりにも場違いな、凪いだ水面のごとき穏やかな声だった。
「お久しぶりです、ガーランド女史」
 久瀬・彰(|宵深《ヨミ》に浴す|禍影《マガツカゲ》・h00869)の声音は、さながら旧き友にでも再会した時のような気安さに満ちていた。
 刺すような熱波を風のように受け流すその音色に、リンゼイは思わず呆気にとられたかのように丸くした菫色の双眸を瞬かせる。けれど彼女が言葉を返すより早く、彰は滑らかな足取りでその身を滑り込ませ、彼女を庇うように立ち塞がっていた。
「|FBPC《連邦怪異収容局》とは衝突もありますが、俺は|怨恨とか《そういうの》気にしないタイプなので。今日は、同じ相手を敵とする以上は仲間です」
 楓が放つ、苛烈な殺意。それを一身に受けながらも、動じることなく彰は続ける。
「ひとまず、背に隠れていてください。可能そうでしたら――相手の動きが僅かに乱れた一瞬に、援護をお願いします」
 彰の足元で――照りつける陽光が焦熱の砂浜に落とした漆黒の影が、脈打つように蠢動を始める。
 背後でリンゼイが小さく頷く気配を感じながら、彰は前方へと視線を戻した。
「何者であろうと、邪魔立てをするならば――斬り捨てるまで!」
 楓の瞳に、昏い武の炎が灯る。
 踏み込みは一瞬。爆ぜる熱砂を引き連れて、楓の太刀が牙を剥く。
 禍々しい黒焔を纏う、澄んだ刃。
 空を裂いて襲い来るそれを静かに眼差しで見つめながら、彰は足元の影に呼びかけた。
「――頼んだよ」
 応えるように揺らいだ影が深淵から膨れ上がり、四本の腕となって楓へと一直線に伸びる。
 四本という本数は、素早い太刀の軌跡に即応し、より緻密なコントロールを可能とするため。そして残りの霊力はその密度と呪詛の強度とに均等に注ぎ込み、影の腕が帯びる貫通力と蹂躙力も満遍なく高めていく。
 鋼と影が衝突し、鋭くも重厚な打撃音が熱波を大きく震わせる。彰は自ら積極的な攻勢に転じることはせず、四本の影の腕を巧みに操り、怒涛の勢いで押し寄せる太刀と技能による連撃を次々と弾き、あるいは往なして、軌道を逸らしていく。
 防戦一方に見える彰の姿に、楓は一瞬怪訝そうに眉を寄せながらも、ならば――とばかりに、後方のリンゼイへ僅かに視線を流した。
 ――その一瞬こそが彰が狙っていた瞬間であり、リンゼイもまた、それが好機であると察したようだった。
 影の腕が振り下ろされた太刀を大きく跳ね上げて、その先に続くはずだった連撃を封じ込める。
 直後。
「行きます……!」
 リンゼイが放った昏き死の力が、体勢を崩した楓へと蛇のように絡みつき――。
 瞬時に霊力と呪詛を極限まで圧縮し、一本へと縒り合わされた影の腕がまるで巨大な槍のように鋭く伸びて、漆黒の一撃が楓へと深く突き刺さった。
 
🔵​🔵​🔵​ 大成功

斎川・維月
崇める?
取り憑かれてる様にしか見えませーんがーね?
まあ良いですブン殴る。
(【縊らず】で一撃、もしくは避ける事でリンゼイから一歩離れる様に仕向ける)

さて無事ですかリンゼイさん。久しぶりですね覚えてます? 元気してました? 髪切った? 切ってない。そっかー
(守って戦いつつ言ってる事が超取り留めも無い)
積もる話は一杯ありまーけどー

取り合えず。共闘一丁宜しいでーすか?
ま! 嫌だっつっても無理矢理手伝いますけどね!
ボクがブン殴った周り、ボクの災厄が毒の沼地よろしく残るんでリンゼイさんは可能なら遠距離攻撃で宜しくです!
敵の連撃は!
頑張って耐えますので!!(力技)

妙てドカーンとカウンター! 行っきまーすよ!

 数多のEDENたち、そしてリンゼイ・ガーランドが繰り出す不屈の猛攻の前に、次第に『日神憑き』名張・楓の動きに翳りが見え始めていた。
 だが、楓は退こうとはしない。リンゼイの持つ力、その最後の一滴まで吸い上げようと、禍々しき呪いの黒焔を纏いながら太刀を構える。
「崇める? 取り憑かれてるようにしか見えませーんがーね? まあ良いですブン殴る!」
 不意に響いたのは、太陽の如く無邪気で弾けるような声。
 そして、リンゼイの傍らに軽やかに着地した道化師めいた装いの娘――斎川・維月(幸せなのが義務なんです・h00529)は、髑髏が笑う|道化師の槌《マロットマレット》を手にそのまま楓へと肉薄した。
「はい! ドッカーン!!」
 空気が爆ぜるような破壊の軌跡に対し、楓は直撃する寸前で大きく後方へと跳躍する。
 天真爛漫な叫びと共に勢いよく振り下ろされた槌が打ち据えたのは、楓ではなく彼の足元に広がる白砂。維月の豪快極まりない一撃を、楓が紙一重で避けたのだ。
 攻撃自体は空振りに終わったが、維月の狙い通り、楓をリンゼイの至近距離から強引に引き剥がすことには成功した。
 そして、災厄の力を籠めた一手により、攻撃が外れた地点を中心に広がったのは毒々しい瘴気が満ちる災厄『縊鬼』の領域。その災厄とは奇しくも、リンゼイが持っていたものと同じ、死の欲動を齎すものであった。
「さてさて無事ですかリンゼイさん!お久しぶりですね覚えてます?元気してました?またお逢いできて嬉しーです!髪切った?……切ってない。そっかー!」
 半ば呆気に取られたように目の前で繰り広げられた攻防の一瞬を見つめていたリンゼイは、維月の言葉にはっと我に返る。
「あの、ええと……」
 死線が交錯する灼熱の浜辺であるというのに、維月はリンゼイを守るように立ち塞がりながら、さながらマシンガンの如き軽快さで取り留めもない雑談を連射する。
 困惑するリンゼイの様子など気にも留めず、彼女は満面の笑みを咲かせたまま、ぐぐっと親指を立ててみせた。
「積もる話は一杯ありまーすけどー! 取りあえず、共闘一丁宜しいでーすか? ま! 嫌だっつっても無理矢理手伝いますけどね!」
 その間にも、体勢を立て直した楓が太刀を構え直すのが見えた。その眼差しに昏い殺意が宿るのを見定めながら、維月は何事もなかったかのようにリンゼイに振り返る。
「ボクがブン殴った周り、ボクの災厄が毒の沼地よろしく残るんで!リンゼイさんは可能なら遠距離攻撃で宜しくです!敵の連撃は――ッ!」
 真夏の光を斬り裂いて、楓が太刀を閃かせる。
「――頑張って耐えますので!!」
 息をつく間もなく放たれる連撃を力任せに槌で受け止めながら、維月は尚も笑顔を崩さぬまま告げた。
 ――その時だった。
 災厄の領域を超えてきた楓の足取りが僅かに澱む。維月はその微かな違和感を見逃さず、握り締めた槌に裡に宿る災厄の力を限界まで充填し――そして大きく振りかぶった。
「ドカーンとカウンター!行っきまーすよ!さあリンゼイさんも遠慮なく!」
 熱風を裂いて放たれた一閃が、夏空に眩い弧を描く。
 ただ、渾身の力を込めて殴る。とてもシンプルな一撃だけれど。
 砂塵を巻き上げながら太陽のように弾けた衝撃が、リンゼイが解き放った死霊の怨嗟と共に楓の懐へと容赦なく叩き込まれた。
 
🔵​🔵​🔵​ 大成功

二階堂・利家
大妖『|禍津鬼荒覇吐《まがつおにあらはばき》』
あいつ……くたばってからも迷惑をかけてるのか?
実際、他人の空似という可能性はあるにせよ。客観的な事実として、全くの|杞憂《無関係》って雰囲気でも無さそうだ

人類の黎明より存在する、無形なる原初が神。
人間が理外の理屈に振り回されるのは、言ってしまえば無益というものだ
この場は人の理屈で道理を通させてもらう

知己のよしみ?になると思うけど?
リンゼイ・ガーランドに助太刀するよ


果てしなく続く、敵も味方も無差別な殺戮の宴
|無差別自殺《ヴァージン・スーサイズ》は、秋葉原荒覇吐戦で失われた【原初の神力】を補完するのに丁度良いのかもな

インビジブル制御+継戦能力で屠竜大剣を対標的必殺兵器に変形
見切り+ダッシュで切り込みながら太刀を武器受けで防御し、邪心を植え付ける神威を減じさせる
怪異「|自殺少女霊隊《ヴァージン・スーサイズ》」の空間引き寄せ能力に連携して、爆破+乱れ撃ちの雷撃弾を放ち、自身とリンゼイを強化
怪力+重量攻撃の刃を振り抜き、名張をクイックドロウで両断する

(あいつ……くたばってからも迷惑をかけてるのか?)
 ――大妖『|禍津鬼荒覇吐《まがつおにあらはばき》』
 禍津日神という名を耳にした時、二階堂・利家(ブートレッグ・h00253)が真っ先に思い浮かんだのは、かつての大戦――|秋葉原荒覇吐戦《あきはばらあらはばきのいくさ》でEDENたちによって倒されたはずの、神の名であった。
(実際、他人の空似という可能性はあるにせよ。客観的な事実として、全くの|杞憂《無関係》って雰囲気でも無さそうだ。それに……|無差別自殺《ヴァージン・スーサイズ》は、秋葉原荒覇吐戦で失われた原初の神力とやらを補完するのに丁度良いのかもな)
 ――だが、神の都合など知ったことではない。
 この世界を護るために、己は成すべきことをなすだけだ。
 リンゼイ・ガーランドの傍らに立った利家は、『日神憑き』名張・楓――楓の裡に宿る禍津日神を真っ直ぐに見据える。
 楓の背後で輪郭を広げる黒き太陽。禍々しい神気を帯びたそれが無尽蔵に撒き散らす神威は、触れる者の精神を侵食し、意のままに思考を操ろうとする悍ましき威圧感を放っていた。
「知己のよしみ?になると思うけど? ――リンゼイ・ガーランド、助太刀するよ」
 傍らの娘に小さく言葉を投げかけ、利家は巨大な屠竜大剣を軽々と持ち上げて白砂を蹴った。
 視界内に捉えるは楓ただひとり。構えられた大剣はインビジブル制御の力と彼の裡に息づく継戦能力により|対標的必殺兵器《ターゲットスレイヤー》へとその形を変えて、万魔必滅の力を宿す。
 利家は研ぎ澄まされた感覚を総動員しながら楓が振るう太刀の軌道を見切り、衝撃ごと大剣で受け止めて侵食の神威を減じさせる。
 重厚な金属音が真夏の蒼穹を翔け抜けた――刹那。
 一息に距離を詰め、懐へと滑り込んだその時。
 機を窺っていたリンゼイが、自らに寄り添う怪異「|自殺少女霊隊《ヴァージン・スーサイズ》」たちを解き放った。
 少女たちが操る空間引き寄せ能力に乗じ、利家はすかさず至近距離から極大の雷撃弾を叩き込む。
 蒼穹を斬り裂いた雷鳴が、着弾と同時に轟音を立てて弾け飛ぶ。それは楓の身体を焼き焦がし、利家とリンゼイには二人の戦意と戦闘能力を極限まで高める雷光となって巡ってゆく。
 ――果てしなく続く、敵も味方も無差別な殺戮の宴。
 けれど、終わりが近づきつつあるのは明らかだった。
「――人類の黎明より存在する、無形なる原初が神よ」
 爆発の残り香と雷光を浴びた砂塵を激しく散らし、全身に眩い光を帯びた利家が再度、屠竜大剣を構えながら躍り出た。
「人間が理外の理屈に振り回されるのは、言ってしまえば無益というものだが――この場は、人の理屈で道理を通させてもらう!」
 楓が体勢を立て直す間も与えず、利家はその間合いへと踏み込み、一閃。
 叩きつけられたのは、怪力と雷撃の力を乗せた、重厚なる刃。
 閃光が爆ぜて、世界を白く染め上げたのは一瞬。
 光が収まったその時にはもう、黒き太陽の呪縛は砕け散り――。
 王権執行者たる青年は成す術もなく、白砂の上に崩れ落ちていた。
 
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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