⑭頑健賢明
●頑健賢明
その複合施設は夏休みということもあり、普段ならば多くの市民で賑わっている。けれど今はどっちゃりずっしりとした聖なる遺物を羽織った眼鏡女史が佇むのみであった。
「困ったな……」
そう、√仙術サイバーのEU最高議長は困っていた。とりあえず資源を奪うために遠路はるばる√EDENの福岡までやってきたものの、あんまり人は殺したくないのである。
かといって逼迫しているエネルギー対策のためにも、インビジブルはゲットしなくてはならない。自分を待ってくれている人達も居るし。
「まぁ、出来る限りのことはしよう」
がっちゃんどっちゃん。彼女はふんわり羽織った聖遺物を揺らして、ちょっぴり肩をすくめた。
●聡明剛健
「ゾディアック継承戦争、お疲れ様。皆さんにはアクロス福岡に行ってもらいたいんだ」
夕焼け色の竜種、ラガルティハ・サンセット(陽光路・h05245)がにぱりと笑う。そうして示した場所の名は、旧福岡県庁跡地に誕生した公民複合施設。
「そこに、√仙術サイバーからやってきた簒奪者、バルバラ・アルペンローゼが乗り込んできた。あなた達には、彼女を追い払ってもらいたくて」
EU最高議長、バルバラ・アルペンローゼ。EUのエネルギー問題を解決すべく、√EDENへとインビジブルを簒奪しに来た存在。
「彼女は多くの|聖遺物《レリック》で武装していて、その最高級の霊的防護を打ち崩さない限りは、どんな攻撃も効かないと思ってほしい。なかなか難しいかもしれないけど……一応、弱点もあるんだよね」
と、いうと。√能力者の誰かがそんな風に訊ねたならば、竜種は頷く。
「失礼な言い方になってしまうけれど……彼女は自分で認めるくらい、あまり、賢くないんだ」
決して頭が悪いわけではない。ただウェイトリフティングの選手として有名であった彼女は、武強主義に則って担ぎ上げられたことに対して未だに困惑している程度にはそれほど賢くはないとのこと。
「だから、あなた達が頭の良さそうな会話をしたり、賢そうに何かを説明すれば納得したり、それなりに隙をつくる可能性があるんだ。勿論、霊的防護を破る術があればそれを使ってもらってもいい」
けれど、とラガルティハは続ける。
「彼女はそれほど、この戦いに乗り気じゃない。無駄な血は流したくないみたいだから、そこを利用すれば穏便に解決できるかもしれない」
しかし、頭のよさそうな会話とは。
「そうだなぁ、あなたの知っている豆知識なんかを披露したりすると、彼女驚くと思うよ。それに科学や魔術、あとは料理の話なんかをするのもいいかもしれないね、自分が知らないことを知っている人って、賢いと思うでしょう?」
とにかく、なんでもいいんだ。そう笑った竜種は付け足す。
「ようするに、なんとなくすごい! あたまいい! っていう雰囲気を見せればいけるよ!」
そうかなぁ? 能力者達は首をかしげた。
マスターより
遅咲こんにちは、遅咲です。
こちらのシナリオはゾディアック継承戦争の戦況に影響を与えるシナリオです。
プレイングボーナス:バルバラの装備する「聖遺物」の防護を破る/かしこそうに振る舞う。
おすすめは「かしこそうに振る舞う」ことです。
すごい!あたまいい!と感じる雰囲気や豆知識やよくわからないけど賢そうなワードをなんとなく披露していただければと思います。
ゆるふわリプレイとなります。
シナリオ公開時からプレイングを募集し、ある程度で締めきります。
皆さんのプレイング楽しみにしています、よろしくお願いします。
187
第1章 ボス戦 『EU最高議長『バルバラ・アルペンローゼ』』
POW
聖遺物『受難の槌』
【聖遺物『受難の槌』】による近接攻撃で1.5倍のダメージを与える。この攻撃が外れた場合、外れた地点から半径レベルm内は【聖域】となり、自身以外の全員の行動成功率が半減する(これは累積しない)。
【聖遺物『受難の槌』】による近接攻撃で1.5倍のダメージを与える。この攻撃が外れた場合、外れた地点から半径レベルm内は【聖域】となり、自身以外の全員の行動成功率が半減する(これは累積しない)。
SPD
聖遺物『聖ルチアの右眼』
全身の【聖なるオーラ】を【右眼】に集中すると、[右眼]が激しく燃え上がり、視界内の全員の「隙」が見えるようになる。
全身の【聖なるオーラ】を【右眼】に集中すると、[右眼]が激しく燃え上がり、視界内の全員の「隙」が見えるようになる。
WIZ
聖遺物『ヴェロニカの布』
【聖遺物『ヴェロニカの布』】と完全融合し、【輝く筋肉】による攻撃+空間引き寄せ能力を得る。また、シナリオで獲得した🔵と同回数まで、死後即座に蘇生する。
【聖遺物『ヴェロニカの布』】と完全融合し、【輝く筋肉】による攻撃+空間引き寄せ能力を得る。また、シナリオで獲得した🔵と同回数まで、死後即座に蘇生する。
やぁバルバラくん
君は肉体派眼鏡
僕は頭脳派眼鏡
これも何かの縁だ
相談に乗るよ
お困りのエネルギー問題
聖遺物の力で解決できることはご存じかな?
例えばそのヴェロニカの布
救世主の額の汗を拭ったとされるものだけど
実はこれにはインビジブルを吸引する力が…
詐欺師もかくやな話で気を引きつつ
彼女の足下から生やした棘蔦をこっそり槌に絡ませ拘束していく
可能なら他の聖遺物も剥ぎ取ろう
…女性の装備を剥ぐなんて
我ながらどうかと思いつつ
心を鬼にして良心は殺す
がちがちに這った蔦を目視したら
心からの謝罪を添え
加護の手の右ストレートをお見舞いする
ウェイトリフティング選手だったんだよね
殴り合いなんて専門外もいいとこだろ
本当にごめんね!
うぅん、と少々困った様子のバルバラ・アルペンローゼへ、穏やかに呼びかける男が居る。
「やぁバルバラくん。君は肉体派眼鏡、僕は頭脳派眼鏡――これも何かの縁だ、相談に乗るよ」
その眼鏡をかけた白衣姿、白百合・蓮華にEU最高議長はびびっと来るものがある。この人物、間違いなく私より頭がいい……!
「……話を聞こうか」
「うんうん、その姿勢はとても好感が持てるな。お困りのエネルギー問題のことだけど、君の持つ聖遺物の力で解決できることはご存知かな?」
「い、いや……これを託してくれた偉い人達は教えてはくれなかったが……」
目を瞠るバルバラ女史。なんかこのままなんでもあちらの事情を話してくれそうで、蓮華はちょっぴり心配になった。
「うーん、きっとまだそこまで彼らのなかでも研究が進んではいないのかもしれないね。例えばそのヴェロニカの布、救世主の汗を拭ったとされるものだけど、実はこれにはインビジブルを吸引する力があって……」
「そ、そんな便利な布だったのか!? こう、勇ましくかつ理知的に見せるためのものかと……いや、聖遺物なのだからなにかしらの力が備わっているとは思っていたが……」
素直すぎる肉体派眼鏡はまっすぐに驚いてくれる。詐欺師もかくやの話術で次々とありもしない聖遺物の能力について語りだす天人は、バルバラの足元から生やした棘蔦をそっと彼女の持つ槌に絡ませる。
「それだけの研究、さぞそちらも時間がかかったことだろう。もう少し詳しく……!?」
輝く槌は、どれだけ女が力を入れても動かない。 同時に剝ぎ取られたヴェロニカの布。ああ、がっちがちに這った蔦によって身動きを完全に封じられる。
女性の装備を剥ぐなんて我ながらどうかと思う。しかしこれは戦い、心を鬼にして良心を殺すのみ。
「君、ウェイトリフティング選手だったんだよね。殴り合いなんて専門外もいいとこだろ」
本当にごめんね! そんな心からの謝罪と共に、巨大なしろい腕の右ストレートがかまされた。
🔵🔵🔵 大成功
椎宮・紫水うーん、賢そうに振る舞う……大変だなぁ
でも演技なら、芝居かかった振る舞いをいつもしている訳だし
やってみようか
やはり挨拶は大事だよね
はじめましてバルバラ嬢
私は椎宮・紫水。貴方と戦うかもしれない相手だ
会話で導き出せる解決は無いだろうけど
それでも言葉を交わす事に意味があると私は思うんだよ
√仙術サイバーのエネルギー問題は私の腕1本程度では解決しないだろうなぁ
避けられない戦いなら霊斬刀で以てお相手しよう
そういえば知っているかいバルバラ嬢?
日本には八百万の神々がいる
万物に神は宿る
故に私の神様も此処にいる
【『ヒメ様』顕現】
さぁ私が傷つけば傷つく程に貴方が不利になる戦い
どっちが先に根をあげるかな?
楽しみだね
「うーん、賢そうに振る舞う……大変だなぁ」
椎宮・紫水は考える。はたしてEU最高議長を出し抜くほどの理知的な素振りができるのか――しかし演技という点において、普段から芝居がかった振る舞いには慣れている。
「うん、やってみようか」
さてさて、まずは挨拶が大事だろう。そんなこんなで乗り込んだ先、眼鏡女史は彼を視界に捉える。
「はじめまして、バルバラ嬢。私は椎宮・紫水。貴方と戦うかもしれない相手だ」
「挨拶、感謝する。私はバルバラ・アルペンローゼ、√仙術サイバーでEU最高議長の任についている」
あっこの人本当に悪い人じゃないっぽい。きちんと挨拶をかえす彼女を取り巻く環境が少々可哀想な気もしつつ、紫水は穏やかに呼びかけた。
「会話で導き出せる解決は無いだろうけど、それでも言葉を交わすことに意味があると私は思うんだよ。とはいえ、√仙術サイバーのエネルギー問題は私の腕一本程度では解決しないだろうなぁ」
「なるほど……互いに相手のことを知るという点において、会話が無意味ということはないだろうな。だが、其方の言う通り、一人の力でどうこうできる問題ではないんだ」
そう、なにせエネルギー枯渇問題はEUの賢くてえらい人達が束になっても解決できないのだから! 避けられない戦いを前に、若き霊剣士は二刀一対の刃を構える。同時、神秘的な雰囲気を漂わせるヴェロニカの布がバルバラの肉体美を輝かせた。
細身の身体を一気に引き寄せられ、振るわれた槌は紫水の足元を軽く揺らす。揺らされたなら、それでもう十分。
「そういえば知っているかいバルバラ嬢? 日本には八百万の神々が居て、万物に神が宿るということを」
「いや……この国ではそれほど多くの神を信仰しているのか」
「人それぞれ、だけれどね――ゆえに、私の神様も此処に居る」
顕現するはツチミヤヒメノカミ、彼女の番である紫水が倒れ込んでいる様を視た時――土地神はその腕を伸ばした。
「なっ」
神力を纏う独鈷杵が奔る。応じるバルバラは同時に紫水の刃を躱し剛腕を振るうが、わずかに逸らされたことで直撃を逃れる。けれど紫水の端正な|顔《かんばせ》に傷がついたなら、姫神は怨敵を許さない。
「さぁ、私が傷つけば傷つく程に貴方が不利になる戦い――どっちが先に根をあげるかな?」
楽しみだね、と微笑む紫水に、バルバラはするどい視線を投げた。
🔵🔵🔵 大成功
イリス・ローラアドリブはお任せします。
√能力の怪異変身術を使用して「迷彩」の技能持ちの白猫型怪異に変身します。
変身で得た迷彩の技能で姿を隠しながらアクロス福岡に進入します。
バルバラを発見したら迷彩を維持したまま物陰に隠れながら、√能力の支配による不運で攻撃します。
「バルバラに無差別範囲攻撃の√能力があったら使えなかった戦法だけどね」と言いながら支配による不運での攻撃を続けます。
「勝負勘などが鈍りそうだから多用する気はないけど、戦争はまだ続くからね。今回は安全策で行くよ」と内心で呟いています。
もしもこちらの位置がばれた場合は、変身を「焼却」の技能持ちの赤毛の大熊型怪異に切り替えます。
焼却の技能で全身から高熱を発して、口からは火炎を吐きながらバルバラに接近します。
バルバラとの距離を詰めたら、技能の異形化や肉体改造で強化した筋力や爪牙を用いた攻撃をします。
受けたダメージは、再生核型怪異器官「永命」の再生力で回復します。
普段ならば賑わいに満ちたアクロス福岡も、今は異様なほどに静けさを保っている。
だからこそ、商業施設ゾーンをするりと駆けていく白猫の存在に気づく者はいないだろう。華やかな水着を着こなすマネキンの足元がわずかに揺らいだとて、周囲に溶け込む力によって白猫は施設内を進む。
彼女――イリス・ローラの目指す先にEU最高議長、バルバラ・アルペンローゼはわずかに困った様子で佇んでいる。物陰に隠れたままの白猫には気づかぬままでも、女は自分の真上に落ちてくる巨大な銅像の存在を察知した。
「!」
纏う聖遺物、ヴェロニカの布によって輝く剛腕がそれを耐える。続けざまに襲いかかるのはマネキンの雪崩で、工事中の立て看板がガタガタと動き出す。
「これは一体……っ」
エルフの娘のもたらす支配は、著しいほどに運気を低下させる。異様な不運が連続する状況に、バルバラは敵対者を探し出す。
(バルバラに無差別範囲攻撃があったら使えなかった戦法だけどね)
白猫に変身したままのイリスは慎重に、物陰からその様子を伺う。勝負勘が鈍りそうになるこの能力は多用したくはないものの、この戦争はまだ半ば。
(今回は安全策で行くよ)
そう内心呟いた少女の隠れていた壁が、勢いよく破壊される。巨大な槌を振りかぶったバルバラが、はっきりと白猫を捉えた瞬間だった。
「――なるほど、子猫が相手とは。私も随分と舐められたものだ」
が、女は自らの考えがあっという間に間違いであると知るだろう。子猫はむくむくと姿を変えて巨大化し、赤毛の熊を思わせる怪異へと変貌した。全身から高熱を発するそれは、その|顎《あぎと》からまっかな火炎を吐き出していく。
「っと、失礼。私の勘違いだったか――相手に不足はないな」
振るわれる槌を、異形の腕ががっしりと握りこむ。同時に空いた大熊の片腕は、鋭利な爪で女の腹部を裂く。
咄嗟に身を退いた女は、自らの腹を庇いながらも怪異をその身に引き寄せる。大熊の顎めがけて食らわせたはずのアッパーは確かに効いているというのに、尋常ならざる再生力がみるみるうちに怪異を回復していく。
「手応えはあるというのに、これはなかなか……っ」
彼女はまだ知らない。この異様な怪異の本性が、まだ年端もいかぬ少女であることを。彼女の本来の姿を知るのは、もうしばらく先のことになるだろう。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
不知火・豊ふむ、急に偉い立場を任されたとあれば
困惑してしまうのも無理はないのぅ
彼女の事情を聞いて、なるほどと納得する
賢くないと自分で言えるのもまた強さ
侮れない雰囲気なのは、長年の勘がそう告げている
…して、お主はあまり戦いを好まぬというではないか
せっかくじゃ、この老いぼれの話し相手をしてくれぬか?
彼女が住む世界についても聞いてみる
知らない√世界と繋がったという事に、EDEN達の活躍があってかと頷いた
インビジブルの問題というのは、今も昔もそう変わらんようじゃな
争わずして双方にとって良き方法を見い出せるなら、お主もそれが良かろう?
わしに出来る事は少ないが、心優しきEDENならば手を貸してくれるはずじゃ
「ふむ、急に偉い立場を任されたとあれば、困惑してしまうのも無理はないのぅ」
「貴殿も√能力者か」
静かにこちらへと歩み寄る不知火・豊に、バルバラ・アルペンローゼが身構える。それを見た老紳士は、やわらかく微笑み首を横に振った。
「能力者――EDENであったのは随分と昔の話よ。ところで、お主はどうしてまたそのような立場に?」
彼女から侮れぬ雰囲気を豊の長年の勘が告げるように、バルバラもまた、老年のただならぬ気配を感じ取ったらしい。女は√仙術サイバーにおける武強主義に基づき、最高議長の責務に選ばれたことを正直に話してみせた。
「ふむ……なるほど」
「私はそれほど賢くはない。エネルギー問題の解決策を思いつけるほど、勉学に勤しんだわけでもないんだ」
困ったように眼鏡女史は表情を暗くした時、豊は穏やかにそれを否定する。
「賢くないと自分で言えるのも、また強さというものよ。……して、お主はあまり戦いを好まぬというではないか」
「あ、ああ。少なくとも、能力者ではない貴殿と争うつもりはないが……」
「せっかくじゃ、この老いぼれの話し相手をしてくれぬか? たとえば、そう、お主の住む世界についても聞かせておくれ」
己の知らぬ√とこうして繋がったのは、またEDENの活躍があってのこと。うんうんと穏やかに相槌を打つおじいちゃんに、バルバラはなんだか自然とつらつら問題を話してしまっていた。
「インビジルの問題というのは、今も昔もそう変わらんようじゃな」
「私としても、無暗な殺生はしたくない。とはいえそれでは私の国の人々の期待を裏切ることになってしまう」
うーん、と頭を悩ませている様子の眼鏡女史。まだ年若く見える彼女へと、豊は語りかける。
「争わずして、双方にとって良き方法を見出せるなら、お主もそれが良かろう? わしに出来ることは少ないが、心優しきEDENならば力を貸してくれるはずじゃ」
「そうか? さっき随分殴られたんだが……」
「互いの事情の果てに、そういうこともあるのう」
バルバラは、そう言われればそんな気もしてきた。
🔵🔵🔵 大成功
不忍・ちるは私も学校で授業中だけ眼鏡をかけているので
なんだか少し賢さ?の親近感があって嬉しいです
バルバラさんウェイトリフティングされるのですよね
詳しくはないですがいろんな筋肉を使うとか
そんなバルバラさんにじゃーん
高タンパク高糖質低脂質なプロテイン大福如何でしょうか?
プロテインはタンパク質のことなんですけど
アミノ酸が重合した高分子化合物で
炭素水素窒素リン酸素硫黄あたりで構成されてまして
生命活動と密接に関連する物質なんですよ
細胞やすべての重要な構成部分にプロテインが関与していて
…つまりは体にいいってことです
お持ち帰り頂いてトレーニングしながら食べてくださいね
=お帰りくださいの念を込めてとにこにこで送り出します
――はてさてどうしたものか、バルバラ・アルペンローゼは頭をひねる。そんな彼女のもとに、ふんわりとした若い娘の声が響く。
「こんにちは、バルバラさん。私、不忍 ちるは、と言います」
「丁寧な挨拶をありがとう、私はバルバラ・アルペンローゼーーまぁ、君達の√の侵略者だ」
おだやかな空気を纏った不忍・ちるはに、EU最高議長は挨拶をかえす。
「私も学校で授業中だけ眼鏡をかけているので、なんだかすこし賢さ? の親近感があって嬉しいです」
「なるほど……眼鏡をかけているだけで頭が良さそうと思われるのは、少々困ると思わないか?」
わかります、と頷くちるは。工学部で理系だからってパソコン関係はなんでもできてめっちゃ賢そうとか、そういうのはとんだ勘違いである。そうだ、と両手をぽふりと叩いて、娘はバルバラへと微笑みかけた。
「バルバラさん、ウェイトリフティングされるのですよね。詳しくはないですがいろんな筋肉を使うとか」
「あ、ああ。一応はそれなりに優秀な成績を収めているつもりだ、鍛錬も欠かしたことはない」
「すごいですねぇ。そんなバルバラさんに……じゃーん。高たんぱく高糖質低脂質なプロテイン大福、如何でしょうか?」
どことなく彼女から甘い香りが漂っていたのはこれかと、バルバラはおいしそうな大福に視線を落とす。
「プロテインはタンパク質のことなんですけど、アミノ酸が重合した高分子化合物で、炭素水素窒素リン酸素硫黄あたりで構成されてまして、生命活動と密接に関連する物質なんですよ。細胞やすべての重要な構成部分にプロテインが関与していて」
「すっすまない。もうすこし噛み砕いて説明してくれないか? 私はそういった単語が苦手で……」
つらつらと解説されるプロテイン。いつも飲んでいるとはいえその詳しい物質の仔細までは理解できない眼鏡女史。そんな彼女のために、ちるははにこにこと大福の詰まった重箱を差し出す。
「……つまりは身体にいいってことです。お持ち帰り頂いて、トレーニングしながら食べてくださいね」
お帰りください。そんな念が届いたのか、バルバラは重箱を受け取った。
「……うん。そうだな、ある程度戦ったことだし、いくらかこの√の話も聞かせてもらった。とりあえずの戦果としては十分だろう」
「ウェイトリフティング、がんばってくださいねぇ」
手を振るちるはに見送られ、最高議長はアクロス福岡を後にする。
もぐもぐ。痛む身体を癒しつつ、プロテイン大福を食べながらバルバラは思う。
「……やはり、私は向いていないと思うのだが」
さて、どう報告したものか。それを考えるのも苦手なのであった。
🔵🔵🔵 大成功
