シナリオ

雪祭りの陰謀! 雪だるま改造計画を阻止せよ!

#√マスクド・ヒーロー

タグの編集

作者のみ追加・削除できます(🔒️公式タグは不可)。

 #√マスクド・ヒーロー

※あなたはタグを編集できません。

●姑息な宣伝方法
 とある地域で開催されている、雪祭りの会場にて。
 ベンジャミン・バーニングバードは、今日も今日とて企業の宣伝に励む。
 悪の組織――民間軍事会社『BBB』のマスコットキャラクターとしてお仕事中だ。
「わあ! かわいい!」
「ねぇ。このマスコット、目が死んでない?」
 賛否両論は在るが、概ね可愛いという認識で通っている……というのが、ベンジャミン自身の考えである。
 休憩のために、一旦会場奥へと引っ込んだ。
「ベンジャミン様、お疲れ様クマ。ホットミルク、温まるクマよ~」
 配下のクマぐるみ怪人が、ベンジャミンにホットミルクを持ってきた。
 嘴からミルクを流し込みながら、ベンジャミンはクマぐるみ怪人へと話し掛ける。
「ねえ、クマぐるみ。会場に飾られた大量の雪だるまを見たかい? 雪祭りの協賛企業になって正解だね」
「クマ? 来場客やスタッフが広場に作ってたやつのことクマ?」
「そうだよ! 一般市民に作らせた雪だるまを、あとでぼく風の雪だるまに改造するんだ!」
 今にも深淵を覗き込みそうな瞳を輝かせ、ベンジャミンは続ける。
「大量の雪だるまが、ぼくの姿をしている光景……インパクトもあるし、ぼくというマスコットキャラクターを布教するのにちょうどいいはずだよ! 録画して、SNSで公開すればめっちゃバズるよね!」
「勝手に改造したのがバレたら炎上しないクマか?」
「そんなの、背景を加工して撮影場所を誤魔化せば回避できるよ」
 会社の技術を使えばイケると、ベンジャミンは余裕の構えだ。
 ベンジャミンは、イベントの一環で作られた雪だるまを、自分の姿に作り変えるつもりでいるようだ……。

●ベンジャミン雪だるまの野望
「……まあ、確かにボディの雰囲気が、なんとなく雪だるまに似てはいますが。人が作ったものを勝手に改造するのは駄目でしょう」
 |泉下《せんか》・|洸《ひろ》(片道切符・h01617)は、集まった√能力者たちへと、今回の依頼について語り始めた。
「悪の組織の傭兵怪人……マスコットキャラクターでもある『ベンジャミン・バーニングバード』が、雪祭りで作られた雪だるまを勝手に改造し、自分風の雪だるまにしようとしています」
 ベンジャミン雪だるまといったところか。悪の組織が、姑息な手段で自分たちを宣伝するのを放ってはおけない。皆には雪祭り会場へと向かい、ベンジャミンの野望を阻止して欲しい。
 洸は、依頼の流れについても説明する。
「ベンジャミンの所属する企業が祭りを協賛していることもあり、敵は会場内を把握しています。悪事を行う直前の突入は、不利な状況で飛び込むようなものです。ですから、皆様には早めに会場入りし、会場の様子を把握していただきたい。作戦前の下見みたいなものですね」
 雪祭りは、屋外で行われている。何もせずにうろつくだけでは怪しまれる可能性があるため、時間になるまで、一般人のフリをして雪祭りを楽しむのが良いだろう。
 ちなみに、ベンジャミン・バーニングバードは一般客が居る間は、可愛いマスコットとして、明るく元気に子どもの相手をしているようだ。今回悪事を働くのは、一般人が会場からいなくなった後なので、一般人の心配はしなくて良い。
 下見が終わったら、閉会の時間まで会場に潜み、ベンジャミンが配下と共に悪事を行おうとする瞬間を待つといい。
「雪祭りには雪像の展示や屋台、雪遊びができる場所もありますから、下見ついでに楽しんできても良いかもしれません」
 最後にそう締め括り、洸は√能力者たちを送り出すのであった。

マスターより

鏡水面
 こんにちは、鏡水面です。雪祭りに参加し会場を下見した後、雪だるまを怪人仕様に改造しようとするベンジャミン・バーニングバードを撃破しましょう。
 
 第1章
 戦場となる雪祭り会場を下見しましょう。
 敵に怪しまれないよう、雪祭りを楽しみながら調査してください。
 
 第2章
 配下『クマぐるみ怪人』との戦闘になります。可愛いです。
 ※「下見はしてないが情報を共有した」的なイメージで、2章以降からの参加でも問題ありません。 

 第3章
 ボス『ベンジャミン・バーニングバード』との戦闘です。可愛いです。趣味はバーベキュー。特技は肉を削ぎ落とすことらしいです。
 ※2章と同じ時間軸イメージですが、システムの都合で2章後の攻略になります。
  
 その他詳細については、OPや各選択肢の説明をご確認ください。
 プレイングの採用状況については雑記にも記載しますので、ご確認いただけますと事故が減ります。
 ここまで読んでいただきありがとうございます。それでは、皆様のご参加お待ちしております! 
44

閉じる

マスターより・プレイング・フラグメントの詳細・成功度を閉じて「読み物モード」にします。
よろしいですか?

第1章 日常 『怪人組織の年中行事』


POW このトンチキイベントは、怪人の罠…?
SPD 悪逆無道の集団が、こんな馬鹿げた作戦を?
WIZ いや、騙されるな。これは敵の卑劣な策だ。
√マスクド・ヒーロー 普通5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォー・フルード
なるほど、バーニングバード…何というか人と触れ合うのが上手いですね。自分も友好AIを入れられた時にそのような見た目になれればよかったのですが。見習いたいものです。
さて偵察任務としてはアイテムの「EOCマント」を起動。一般的な人間の映像を投影し会場内を見回ります。
雪像を見ながら元ネタがある作品はその元ネタの作品を電脳で検索して人の娯楽を把握しておきます。話題を一致させるのは友好の第一歩と認識していますので。
一通り見終わった後はEOCマントを背景と同化させるモードに変更。人が減るまで雪だるまが見える範囲で待機しましょう。
待機命令は狙撃する際もいつもの事ですから落ち着きます。

●下見兼トレンド調査
 悪事が為される当日、雪祭り会場はイベント日和の晴天だ。空気は氷点下と冷え込んではいるが、人々の活気で温かな賑わいを見せている。
「なるほど、バーニングバード……何というか人と触れ合うのが上手いですね。自分も友好AIを入れられた時にそのような見た目になれればよかったのですが。見習いたいものです」
 フォー・フルード(理由なき友好者・h01293)は、依頼の情報を再確認する。人から警戒心をなくし触れ合える点は、敵ながら見習いたいものだ。
「さて、この姿のままですと偵察任務は難しいでしょうから、しっかりと偽装をしなくては」
 |EOC《電磁的光学迷彩》マントを起動し、ベルセルクマシンの姿を覆うように人間の映像を投影した。電磁的光学迷彩の高度な技術により、フォーの姿は雪祭りの来場客となる。
「正常に動作していますね。それでは、さっそく会場を回りましょうか」
 雪像が展示されている広場へと、フォーは移動する。広場には気合の入った作品がずらりと並んでいた。その中の1つに彼は目を留める。雪の胸像の横には、作品の名前が書いてあった。
 人の娯楽を把握するのも、人を知るためには大切だ。電脳を駆使し、元ネタの作品を検索する。人との友好の第一歩として、話題を一致させるのは重要事項であるとフォーは認識している。
(「戦隊モノのキャラクターですか。怪人の所属企業が協賛している祭りで、このような作品を見るとは思いませんでした」)
 協賛企業として主催の意向に口出ししない方針か。ともあれ、怪人にも事情があるのだろう。
 雪像を一通り見て、人々のトレンドも把握できた。フォーは人目に触れない場所に行き、EOCマントを背景同化モードへと変更する。
(「待機命令は狙撃する際もいつもの事ですから、落ち着きますね」)
 雪だるまを確認できる位置まで移動し、あとは時を待つだけだ。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

深雪・モルゲンシュテルン
怪人の所属企業が一般社会に紛れて催事のスポンサーですか
この√を蝕む問題も根深いようです、が……
そこまで社会に潜伏できているなら、宣伝を打つより密かに悪事を働いた方がよいのでは?
(悪の組織の様式美を全く理解しない√ウォーゾーン人)

暖かいコートに身を包んで、会場を歩き回ります
ベンジャミンと鉢合わせて怪しまれないように注意が必要かもしれません
初めに遠くからオペラグラスで見て、子供の相手をしている彼の居所を把握
以後は彼の移動経路上にいないように注意しながら下見を行い、雪像の配置や地形を確認します
人気キャラクターや著名な建造物を模した像が多いでしょうか
……本当に、表面的には√EDENと似た平和な世界です

●白
 子供たちに囲まれて、ベンジャミンが愛嬌を振り撒いている。その姿を遠くから、オペラグラスで捉える少女が一人。
 |深雪《ミユキ》・モルゲンシュテルン(明星、白く燃えて・h02863)は一般客に紛れる服装に身を包み、雪祭りへと潜入していた。
(「怪人の所属企業が一般社会に紛れて催事のスポンサーですか。この√を蝕む問題も根深いようです、が……」)
 ベンジャミンは手に持つ自動小銃を見せびらかしているようにも見える。
 さすが軍事会社のマスコット。一般の子供にそんなものを見せびらかして良いのか。だが、深雪が気にしているのはそこではない。
(「そこまで社会に潜伏できているなら、宣伝を打つより密かに悪事を働いた方がよいのでは?」)
 √ウォーゾーン人である彼女は、悪の組織の様式美を全く理解しない。当然、深雪には怪人の行動が奇妙なものとして映っている。
 ベンジャミンが子供たちに手を振り、ぺたぺたと歩き始めた。
(「彼の移動先を避けつつ、こちらも移動しましょう」)
 ベンジャミンの進行方向を避けつつ深雪は会場を回る。雪像の展示場へと入った時、一つの雪像に目が留まった。
「この雪像は……」
 深雪が日常的に見てきた√ウォーゾーンの戦闘機械兵と、姿形がよく似ていた。
 紹介の看板を見るとアニメの作品名と機体名が書かれている。親子連れが雪像の前を通り掛かり、子供が喜々と声を上げた。
「かっけー!」
「かっこいいわね~。ほら、行くわよ。お父さんが待ってるから」
 親子連れの背を見送りながら、深雪は考える。
 この√では……というのは言い過ぎかもしれないが、少なくともあの母子にとって、このような機械は恐怖と殺戮の象徴ではないのだと。
「……本当に、表面的には√EDENと似た平和な世界です」
 雪像を見上げる。それは太陽光に照らされて、まるで他の色を知らぬように白く輝いていた。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ルイ・ラクリマトイオ
正継さん(h05257)に誘われて赴く。
「雪でできている彫刻とは、存じておりましたが…これほど、大きなものなのですか」
自分が白い象牙の涙壺として愛されてきたために、雪でできた白い彫刻に対抗心めいたものを感じていたが。
そのサイズ感の違いに細い目を見開き、倒れんばかりに驚く。

「人の愛はそれぞれですね、また一つ、学びました」
ものを作り、愛でて楽しむ…その気持ちは尊いものです。が、ここで、どんな悪事を……?
そう思わせることが、すでに罠、なのでしょうか。

など考えつつ、正継さんとともに雪まつりを楽しみながら下見をし、潜む際は場所が狭ければ涙壺に…文字通り、小さくなってます。
ほか、詳細はお任せします。
眞継・正信
ルイ・ラクリマトイオ(h05291)と同行。
ふむ…。これが怪人の罠 か……。
罠とは一体何だったろうか。ルイが雪像にたまげていたり互いに認めあっているように見えるのも罠所以だろうか。
こうした雪像はどうやって作るのだろうな、確かにずいぶん大きいものだ。立て看板などを眺めて雪像の作り方を学んだり、会場内の通路やその他の設置物の位置関係を確かめる。
ここにいるかは不明だが、可能であればゴーストトークでインビジブルにも雪祭りに付いて意見を聞こう。冬にまつわる思い出などあるだろうか?
うむ、何でも聞かせてほしい。それがこの作戦で必要になるかもしれないからな。

屋台ではお汁粉をもらいたい。私はつぶあん派だ。

●平和な風景
 青空の下、雪像の白さはより際立ち、存在を主張しているかのようだ。
 歴史的建造物を模した巨大な雪像を見上げ、ルイ・ラクリマトイオ(涙壺の付喪神の御伽使い・h05291)は目を丸くする。
「雪でできている彫刻とは、存じておりましたが……これほど、大きなものなのですか」
 付喪神である彼は、白い象牙の涙壺として愛されてきた。生い立ちゆえ、雪像という『白い彫刻』に対抗心めいたものを感じていたのだが。いざ目の前にすると、そのサイズ感に驚かされる。
 ルイが驚く一方で、|眞継《まつぐ》|・《・》|正信《まさのぶ》(吸血鬼のゴーストトーカー・h05257)も精巧かつ壮大な雪像を鑑賞していた。
「地道で大変な作業の積み重ねのようだな。ふむ、雪像はこのように作るのか」
 雪像の横に立てられた看板には、完成までの流れが写真付きで掲載されている。多くの時間と雪、道具やその他資源を駆使したことが見て取れた。
 ルイも看板へと目を向けて、感慨深げに息をつく。
「人の愛はそれぞれですね、また一つ、学びました」
 雪像作りには尊い気持ちが込められている。想いを込めた雪像が立ち並ぶ様を、ルイは瞳に焼き付けた。
 このような場所で、怪人たちは悪事を働くというのか。
(「そう思わせることが、すでに罠、なのでしょうか」)
 お互い口には出さないが、正信も似たようなことを考えていた。
 此処まで平穏であると、後に怪人が悪事を働く現場になるとは想像も付かない。否、平穏だからこそ、怪人に狙われるのか。
(「ふむ……。これが怪人の罠、か……念のため、インビジブルにも話を聞いておくとしよう」)
 正信はゴーストトークを発動し、祈りの力により視界内のインビジブルを生前の姿へと変える。
 インビジブルは、ここ数日の雪祭りについて語り始めた。ルイも隣でインビジブルの話に耳を傾けている。
 一通り話を聞き、正信は確認するように紡いだ。
「楽しげな人々の声や、祭りのスタッフが盛んに行き交い、賑わいを見せていると」
 敵もこの数日、悪事を働いてはいないようだ。
 インビジブルの言葉に、ルイは風景を想像する。祭りを楽しむ、あるいは成功させるために尽力する人々の姿を。
「雪像だけでなく、この会場全体が人の情で満ち溢れているのですね」
 ふわりと、ルイは柔らかな笑みを浮かべた。
 調べられる情報はこれくらいか。会場内の通路や設置物も確認しつつ、二人は屋台へと向かう。
 腹が減っては戦ができぬ。作戦前の腹ごしらえも大切だ。二人は粒あんのお汁粉を頼んだ。食べやすく切った餅も中に入っており、なかなか腹持ちが良い。
「やはりつぶあんにかぎるな」
 正信は餅にお汁粉をたっぷりと絡め、口へと運んだ。汁粉の温かな甘みと餅のもっちり食感が口の中で調和する。
 ルイも同様にお汁粉を咀嚼し、その美味しさに表情を綻ばせた。
「美味しいですね」
「ああ。体が温まるな」
 ルイの言葉に正信が返す。寒い中で食べるお汁粉は、体にじんわりと染み渡るようだ。美味しさも温かさも一層増すというものである。
 雪祭りの様子は、まさに平和そのものだ。
「悪事を為すための前準備に、人知れず画策をしているのだろうな」
 正信は瞳を細め、表面上は見えぬ怪人の悪意に思考を巡らせる。
 同意するようにルイは頷き、会場に並ぶ雪だるまを熱の籠った視線で見つめた。
「雪だるまも、人々が想いを込め、愛でながら作ったのでしょう。手を出させるわけにはいきませんね」
 お汁粉を食べ終えた二人は、会場内へと隠れることにする。あとは怪人が動くのを待つのみだ。ルイは涙壺へと戻り、正信がルイを抱えるかたちで、人目のない場所に潜む。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

鬼島・祥子
【黒辻・彗(h00741)と】
アドリブ連携等歓迎

クマぐるみに、ゆるキャラ……。
人は見かけによらないっつーけど、怪人もそうなんだなぁ。
だが、子どもらが作った雪だるまを勝手に弄るなんざ不逞ぇ野郎共だ。
いっちょ仕置きしてやらねぇとな!
行こうぜ、彗!

ここが戦場になるって話だし、怪しまれないように雪だるまを作って遊ぶぜ。
もちろん、ただの雪だるまじゃねぇ。
怪人たちが改造しようと近づいてきたらビックリさせる罠を仕掛ける!
トンチキな企みには、稚気が効くってな!
彗の錬金生物のおかげで誤作動は防げるし、そうだな……適当な店で爆竹を買って、湿らない包みに入れて仕込むか!

ああ。きっと、大事な思い出になるだろうからな。
黒辻・彗
【鬼島・祥子(h02893)と】
アドリブ連携等歓迎

マーケティングのやり方がえげつないな……でもこれは……世界最大の危機の予感がする。(天然)
子どもたちの安寧を守るためにも、しっかりと対処しないとね。
ああ行こう、祥子さん。

罠付き雪だるまか。
それなら、錬金生物『ボーン・スライム』を球状に変形させて、雪だるまの核として使ってみようかな。
俺の言葉に反応して雪だるまを爆散させるなり、触手でびっくりさせるなりできそうだしね。
祥子さんも何か入れるかな?
爆竹とか、石ころとかも良いかもね。

……子どもたちが作ったものには被害を出さないようにしないと。

●雪だるま作ろう
「クマぐるみに、ゆるキャラ……。人は見かけによらないっつーけど、怪人もそうなんだなぁ」
 見た目だけは可愛らしい怪人の姿を思い、|鬼島《きじま》|・《・》|祥子《しょうこ》(武装少女レティシア・h02893)はしみじみと呟いた。
 その姿で人の目を欺き、大きな悪事を為すための手段か。恐るべし、民間軍事会社『BBB』。
「マーケティングのやり方がえげつないな……でもこれは……世界最大の危機の予感がする」
 危険は平穏な場所に隠されているものだ。言わば今の状況は嵐の前の静けさ――|黒辻《くろつじ》|・《・》|彗《せい》(自在変異の『|黒蓮《ブラック・ロータス》』・h00741)は世界の危機をひしひしと感じていた。最大かどうかはさておき、危機の一部であることには間違いない。
 放っておけば、子供たちが作った雪だるまが改造されてしまう。そのような事態は避けなければ。
 祥子は気合を入れるように、ぎゅっと拳を握った。
「子どもらが作った雪だるまを勝手に弄るなんざ不逞ぇ野郎共だ。いっちょ仕置きしてやらねぇとな! 行こうぜ、彗!」
 祥子が呼び掛ければ、 彗は力強く頷いてみせる。
「子どもたちの安寧を守るためにも、しっかりと対処しないとね。ああ行こう、祥子さん」
 いざ、陰謀潜む雪祭り会場へ! 
 会場内には雪遊びのできる広場があり、市民が作った雪だるまがずらりと並んでいた。
「……っつーことで、雪だるま作ろうぜ! とっておきのヤツをな!」
 祥子が意気揚々と言う。遊んでいれば怪しまれない上、雪だるまに罠を仕込めば怪人たちを驚かせることもできよう。
 怪人たちが近付けば罠が発動する雪だるま。姑息な怪人に、悪戯を仕掛けるワクワク感もある。
「罠付き雪だるまか。それなら、錬金生物『ボーン・スライム』を使ってみようかな」
 本来は装備者の四肢に纏わり付き、運動補助を行う錬金生物である。これを応用し、雪だるまに仕込もうというわけだ。上手く調整すれば、彗の言葉に反応して爆散したり触手を突き出す罠の完成である。
 さっそく彗は錬金生物を中心に埋め、雪を丸く固めていった。
「祥子さんも何か入れるかな?」
「アタシはコレだ」
 祥子は買っておいた爆竹を取り出してみせた。防水加工の包みに仕掛けを施した爆竹を入れて、錬金生物と一緒に雪だるまの中へと仕込んだ。彗の錬金生物のおかげで誤作動は防げるため、怪人が来たタイミングで爆ぜさせることができる。
「爆竹か。いいね、驚かせるのにちょうどいい」
 彗の言葉に、祥子はニヤリと口端を上げてみせた。
「だろ? トンチキな企みには、稚気が効くってな!」
 二人は協力して雪だるまの体を作る。怪人たちの目に付くように、大きければ大きいほど良い。
 そして、もう一つ大事なことがあった。
「……子どもたちが作ったものには被害を出さないようにしないと」
 彗は胴体となる雪の塊をゴロゴロと転がして、他の雪だるまから少し離れた場所に固定する。
 祥子も雪だるまの頭部分を作り上げ、胴体の上にコロリとのせた。
「ああ。きっと、大事な思い出になるだろうからな」
 仕上げに顔のパーツをくっ付け、胴体と頭の間にはマフラーをくるりと巻く。胴体の脇に枝を差し込めば、見た目は可愛い罠付き雪だるまができあがった。
 完成した雪だるまに、祥子は達成感から誇らしげな笑みを浮かべる。
「特製雪だるま、できたぜ!」
「ああ、よくできてる。これなら罠だとは気づかないだろうね」
 爆発させるのは少し勿体無いかも……と彗が思ってしまうほどに、大きな雪だるまだ。
 雪だるまはつぶらな瞳で、生みの親である二人をじっと見つめていた。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 集団戦 『クマぐるみ怪人』


POW ファンシーフィールド
半径レベルm内の敵以外全て(無機物含む)の【ファンシー力】を増幅する。これを受けた対象は、死なない限り、外部から受けたあらゆる負傷・破壊・状態異常が、10分以内に全快する。
SPD カワイイ悪巧み会議
先陣を切る(シナリオで、まだ誰のリプレイも出ていない章に参加する)場合、【カワイイ仕草】と共に登場し、全ての能力値と技能レベルが3倍になる。
WIZ くまくま行進曲
「【くまくま行進曲】」を歌う。歌声をリアルタイムで聞いた全ての非√能力者の傍らに【対象を誘うミニクマ】が出現し、成功率が1%以上ある全ての行動の成功率が100%になる。
√マスクド・ヒーロー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 閉会時間を過ぎ、スタッフの姿も見えなくなった頃。冷え込んだ冬夜の真ん中で、怪人たちは動き出す。
 クマぐるみ怪人の群れを引き連れて、ベンジャミン・バーニングバードが広場へとやってきた。作業用の道具や資材までバッチリ用意して、ベンジャミンはやる気に満ちた表情をしている。
「さあ、仕事だよ。クマぐるみたち! この広場の雪だるまを、すべてこのぼく……ベンジャミン・バーニングバードの姿へと変えるんだ!」
「わかったクマ~!」
「クマ~! とってもおっきい雪だるまもあるクマ!」
 怪人たちは、√能力者たちが潜んでいることに気付いていない。今こそ彼らを襲撃し、彼らの計画を阻止する時だ。
フォー・フルード
人目が無くなって良かったですね。クマぐるみ怪人を倒す姿は何とも…体裁が悪いですから。(ハチェットを手慰みに回しながら)
戦闘ですがEOCマントによる迷彩をつけたままハチェットで暗殺しましょうか。いかんせん見た目だけではどれほどの戦闘能力なのか分かりませんので先手必勝という事で。反撃された際は√能力のオートキラーを発動して反撃し返した後また闇に紛れて攻撃…というのを繰り返しましょう。
正規の手順を踏んで雪像を作ればいいと思うのですが悪の組織がそれでは駄目なのでしょうね。ある種のプロ意識すら感じます。こちらも仕事として対応しましょう。
深雪・モルゲンシュテルン
呑気なものですね。既に計画は破綻しているとも知らずに。

雪だるま型ではない像の裏側や露店のカウンターの後ろなどに隠れて待ち伏せ
敵が雪だるまの前に集まるのを確認したら、『複数目標追尾システム』で対象に取れる距離の全員を纏めて攻撃です
《神経接続型浮遊砲台》の砲口から拡散する[レーザー射撃]を[乱れ撃ち]、全て貫きます

敵の使う技からすると、「√能力者ではない部下や攻撃用ドローン」が隠れている可能性があるのでしょうか?
此方が待ち伏せに成功している以上は杞憂かもしれませんが、死角からの横槍を回避できるよう警戒
攻撃者が生物でなければ√能力に巻き込み破壊します

つぶらな瞳で感情に訴えようとしても、私には無駄です

●カワイイ(?)クマぐるみ
 偉大なる計画を前にして、興奮を隠せない怪人たち。
 露店の裏に身を隠し、|深雪《ミユキ》・モルゲンシュテルン(明星、白く燃えて・h02863)は、冬の夜よりも静かな眼差しで怪人たちを観察する。
(「呑気なものですね。既に計画は破綻しているとも知らずに」) 
 ベンジャミンの命令に従い、クマぐるみ怪人たちが雪だるまを取り囲もうとしていた。
 深雪は|複数目標追尾システム《マルチプル・ターゲット・トラッキング・システム》を展開し、神経接続型浮遊砲台の砲口を敵の群れへと向ける。
「全ターゲットロックオン。射線クリア。掃射を開始します」
 言葉と同時。拡散する光線が夜を切り裂き、クマぐるみ怪人へと伸びた。後方や側面から光に貫かれ、彼らは驚きに声を上げる。
「クマッ!?」
「レーザークマッ!」
 敵襲に反応し、彼らはくまくま行進曲を歌い出す。
「流石は軍事会社の怪人といったところでしょうか。切り替えが早いですね」
 敵の使う技を考えるに、√能力者ではない部下や攻撃用ドローンが潜んでいるはずだ。姿を現さないあたり徹底している。
「しまった一般人がいないクマ! こうなったら、撮影用に使う予定だったBBB製ドローンの出番クマ!」
 ……徹底というより、行き当たりばったりであった。
 やはり杞憂でしたか、と思い直しつつ。深雪は神経接続型浮遊砲台を再展開した。
「生物でないのであれば、容赦なく巻き込んで破壊できますね」
 レーザーの嵐を、再びクマぐるみ怪人へと降り注がせる。
 深雪が攻撃を開始する中、フォー・フルード(理由なき友好者・h01293)も攻撃態勢へと移っていた。ハチェットを手で遊ばせながら、一匹のクマぐるみ怪人へと狙いを定める。
(「人目が無くなって良かったですね。クマぐるみ怪人を倒す姿は何とも……体裁が悪いですから」)
 ターゲットは、何やらカワイイ仕草で自身の士気を上げようとしているようだ。
「クーマッ! 敵襲にも可愛く応戦するのが僕たちクマよ!」
 表面上から変化は見えにくいが、戦闘能力は上がっている。それが敵に対するフォーの評価だ。だが、『具体的にどの程度の戦闘が行えるのか』までは、不明瞭といっていい。
(「いかんせん見た目だけではどれほどの戦闘能力なのか分かりませんね。ならば……」)
 |EOC《電磁的光学迷彩》マントによる迷彩で身を隠したまま、ハチェットを手に跳躍する。
(「――先手必勝です」)
 射程内まで距離を詰め、背後からオートキラーを振り下ろした。鋭い一撃が、敵の背を深く斬り裂く。
「ピャッ!? よくもやってくれたクマね!」
 背から綿のようなものを溢れさせながらも、敵は反撃しようと腕を振り回す。
 だが、奇襲の後、即座に闇を纏ったフォーへと攻撃を命中させるのは至難の業であった。
(「冬夜の闇の中で、こちらの姿を見つけられるでしょうか」)
 心の内で囁くフォー。当然、敵が気づけるはずも無い。
「どこに隠れてるクマ……!」
 必死に周囲を見回すクマぐるみ怪人。その首を、フォーは無慈悲に刎ね飛ばした。
 敵の一匹が、√能力者たちの武器に瞳を輝かせる。
「威力スゴイクマー! どこ製クマ? 気になるクマ!」
「仲間が倒されているというのに、真っ先に武器に興味を抱くのですね」
 反応のミスマッチにフォーが言葉をこぼした。そこへ、深雪が淡々と所感を述べる。
「軍事会社に所属する怪人ですから、一般的な反応とはズレが生じるのでしょう」 
「おねがい、おしえてクマー!」
「つぶらな瞳で感情に訴えようとしても、私には無駄です」
 深雪の問答無用なレーザー射撃が、煩いクマぐるみ怪人を貫いた。
「クマーッ!?」
「そちらの仕事を阻むのが、こちらの仕事ですので」
 ある種プロ意識すら感じつつ、フォーもハチェットを叩き込んだ。――不正と力。それこそが、悪の組織の仕事における流儀なのであろう。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

眞継・正信
連携・アドリブ歓迎

ルイ(h05291)と潜伏場所から姿を現す。
彼が投げよと言っていたのでやや心配ではあるがくまたちに目掛け、ルイ(の涙壺)を投げつける。
多少は驚かせれば良いのだが…追って犬型の死霊の「orge」を向かわせる。
ルイの護衛をさせながら、私もくまたちの元へ向かおう。
距離を詰めた後は「ウィザード・フレイム」で攻撃を。仲間と合わせて、1体ずつ破壊していこう。

戦闘中、くまたちが雪だるまの改造を優先するなら、その改造を「ウィザード・フレイム」で修理し、元の姿に直す。
「君たちも、勝手に染められたりウサギに改造されるのは、嫌じゃないかね」
…嫌じゃないのかもしれないな…。まあ、人それぞれか。
ルイ・ラクリマトイオ
正継さん(h05257)に投げていただいて壺から人の形に変じ、御伽絵巻で先制攻撃を仕掛けることで、先陣を切ることの阻止を狙いたいです。
「作り手の方の愛を歪めること、許しませんよ」

その後は正継さんや他の方とも連携して、オートキラーや絵巻物で攻撃し、敵を撃破していきます。
女性がいれば特に積極的にフォローする。
「微力ながら、お手伝いいたしますよ」
何分初めてのこと、そこまでは余裕はないかもしれませんが、心がけたいところ。

その他はルイらしく活躍させていただければと思います。
よろしくお願いします。

●いろんなクマぐるみ
 √能力者たちは、次々にクマぐるみ怪人へと強襲を仕掛ける。
「本当に投げて良いのか?」
 |眞継《まつぐ》|・《・》|正信《まさのぶ》(吸血鬼のゴーストトーカー・h05257)は手のひらに包み込むように持っている涙壺――ルイ・ラクリマトイオ(涙壺の付喪神の御伽使い・h05291)へと声を掛けた。
 心配する正信に、ルイがさらりと返す。
「はい。どうぞ思い切り投げてください」
 迷いのない声だ。彼が言うなら大丈夫だろうと、正信はルイの言葉を信じる。
「わかった。それでは行くぞ」
 正信はルイをクマぐるみ怪人の群れ目掛け、力いっぱい投げつけた。
 野球投手が球を投げる時のような軌道を描く。ルイは宙を飛びながら人の姿へと戻り、クマぐるみ怪人を驚かせた。
「クマーッ!? ちっちゃいのがヒトになったクマ!?」
 喋って動くクマのぬいぐるみが驚くような所ではないと思うが。
「作り手の方の愛を歪めること、許しませんよ」
 ルイはクマぐるみ怪人へと迫る。一方で、正信も大型犬の死霊Orgeを呼び、指示を出した。
「オルジュ。ルイの護衛を頼む」
 Orgeは頷き、すぐさまルイへと駆け寄った。頼もしいその姿に、ルイは表情を綻ばせる。
「護衛まで付けていただいたのですから、私もしっかりと応えなければなりませんね」
 オートキラーを発動し、ハチェットへと即座に持ち替えた。武器の射程まで距離を詰め、クマぐるみ怪人のふわふわなお腹へと狙いを定めた。
 もふっとしたお腹だ。カワイイ仕草で何とか乗り切ろうとしているようだが、ルイの心には響かない。
「いくら可愛らしい仕草で惑わそうとしても、揺らぐことはありません」
 ハチェットによる一撃を容赦なく叩き込んだ。クマぐるみ怪人の腹が斬撃によって斬り裂かれ、綿のようなモノが弾け飛ぶ。
「クマ~ッ! カワイイのは好きじゃないクマ!?」
 攻撃を受けたクマぐるみ怪人が、つぶらな瞳をうるうるさせながら叫んだ。
 痛ましい光景ではある。だが、それはそれ。ルイが攻撃の手を緩める理由にはならない。
「あなたたちのような者に、心を寄せることはありません」
 ルイはオートキラーの効果により闇を纏った。
 完全に闇に紛れる前に反撃せんとするクマぐるみ怪人。だがその足にOrgeが噛み付き、動きを阻害した。
「ワンッ!」
「この犬っころ離すクマ―! このままじゃ雪だるまを改造できないクマァ!」
「こうなったら腹いせにぶっ壊してやるクマァ!」
 敵にも色々な性格の者がいるらしい。短気なクマぐるみ怪人が、雪だるまへと一人向かおうとする。
 だが、それを見逃す正信ではない。詠唱を行うことでウィザード・フレイムを創造し、敵へと解き放つ。眩い炎がクマぐるみ怪人を包み込み、その体を赤く燃え上がらせた。 
「雪だるまに手出しはさせない」
「あっッツゥ! アッついクマァ!!」
 燃え盛る姿は夜によく映える。炎を見つめながら、正信は語り掛けた。
「君たちも、勝手に染められたりウサギに改造されるのは、嫌じゃないかね」
 その問いに、他のクマぐるみ怪人たちが反応する。
「クマな上にウサギにもなれるってことクマ?」
「二度美味しいクマ!」
 ――騒がしい。どうやら彼らにクマぐるみとしての矜持はないらしい。本当にそれで良いのか。正信の頭に疑問が過ぎる。
「……嫌じゃないのか。まあ、人それぞれだからな」
 呟くと同時、ルイのハチェットが闇の中で閃き、騒ぐクマぐるみ怪人の頭を斬り飛ばした。
「この世には、多様な思考が存在するものですね」
 理解できない者が存在するのも自然の理か。ルイの言葉へと正信は頷き、ウィザード・フレイムを再び喚び出す。
 二人は力を合わせ、着実に敵群を減らしていった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

鬼島・祥子
【黒辻・彗(h00741)と】
アドリブ連携等歓迎

来やがったな。まずは本命の前に、取り巻きから片付けようか。
……ん……そっか。オッケー、やり方は彗に任せるぜ。

おうよっ!
彗が雪だるまの仕掛けを発動するのを合図に、潜んでいた場所から飛び出してクマぐるみ怪人に白兵戦だ!
使う武装は、チェーンソードが良いだろう。切断系が布地に効く気がする。
そんで、ファンシーフィールドを使った奴には拳……じゃなくて、掌底を叩き込んでやるよ!
ついでにルートブレイカーを発動すりゃあ、こいつの√能力を無効化できるって訳だ!
後ろにいる彗の援護も活用して、遠慮も容赦もなく暴力を振るうさ。
あいにく、アタシは彗と違って優しくないんでな!
黒辻・彗
【鬼島・祥子(h02893)と】
アドリブ連携等歓迎

あんな目で雪だるまに見つめられてしまったなら、爆発なんてできそうにないな……。
……というか、あの雪だるまもこのイベントの主役の一人になった訳だし、ちょっと方法を変えよう。

ボーン・スライムの性質は2つに切り替わるから、雪だるまから地面へと浸透してもらって、爆竹付きの触手を地面から生やして点火、敵を驚かせてみよう。
祥子さん、今だ。
俺は後方から【空隙に潜む影】の伸縮する影の刃で敵を引き裂き、祥子さんの目の前に敵を引き寄せたりするよ。
クマぐるみもなかなか殴り辛い敵だな……。マーケティングなら別の場所でするんだね。

●ぬいぐるみの解体作業
「来やがったな。まずは本命の前に、取り巻きから片付けようか」
 チェーンソードを構え、|鬼島《きじま》|・《・》|祥子《しょうこ》(武装少女レティシア・h02893)は好戦的な笑みを浮かべる。
 一方で、|黒辻《くろつじ》|・《・》|彗《せい》(自在変異の『|黒蓮《ブラック・ロータス》』・h00741)は悩むように眉を寄せていた。
「あんな目で雪だるまに見つめられてしまったなら、爆発なんてできそうにないな……」
 雪だるまのつぶらな瞳を見ていたら、どうにも愛着が湧いてしまった。
「……よし、あの雪だるまもこのイベントの主役の一人になった訳だし、ちょっと方法を変えよう」
 彼の様子をさりげなく窺っていた祥子は、ふっと表情を和らげた。
「……ん……そっか。オッケー、やり方は彗に任せるぜ」
 新たな作戦を共有し、二人はクマぐるみ怪人の軍勢へと攻撃を仕掛ける。先だって、彗は雪だるまに仕込んだボーン・スライムを操作した。
(「雪だるまから地面へと浸透させて、爆竹付きの触手を地面から生やして点火すれば――」)
 錬金生物が雪だるまの下部から滲み出る。爆竹を膜で包み、錬金生物は地面を密やかに進んだ。敵の群れ近くに到達した瞬間、爆竹を打ち鳴らす。
「クマァッ!?」
「爆発したクマ!」
 驚くクマぐるみ怪人たち。彗が祥子へと声を掛けた。
「祥子さん、今だ」
「おうよっ!」
 待ってましたと言わんばかりに、祥子が戦場へと飛び出した。ヒーローマスクで顔を隠し、彼女はチェーンソードを振り翳す。
「てめぇら! 他人が作ったモンを勝手に改造とか、狡いコトやってんじゃねーぞ!」
「クマ―! ヒーローが来たクマ!?」
「予定外クマ!」
 驚きながらもファンシーフィールドを展開するあたり、会社で戦闘訓練を受けているのだろう。
 だが、今の祥子にとってファンシー力など敵ではない。こういう時のためのルートブレイカーである。
 祥子は√能力を使った敵へと掌底を叩き込んだ。小細工も策略も、正面から全力でぶん殴って破壊する! 真っ直ぐな彼女の戦闘スタイルである。
「クマッ!? ファンシー力が消えちゃったクマ!」
「これで布が裂けても繕えないだろ? 喰らいな!」
 チェーンソードが唸り声を上げ、クマぐるみ怪人の頭へと振り下ろされた。
 ギャリリリイィ!
「クマママァッ!」
 豪快な一撃だ。遠慮も容赦もない、暴力的な攻撃とも言えよう。駆動音と切断の衝撃に、敵の叫び声が重なった。
 巨大な動力剣に取り付けられた鋸状の刃が高速回転し、クマぐるみ怪人の内臓――綿と布切れを、冬の夜空に飛び散らせる。
 グロくはないがある意味ショッキングな映像に、彗は複雑な想いを抱く。クマぐるみも、なかなか殴り辛い敵だ。
「……けど、見た目がどうとか、言ってられないよね」
 マーケティングならば別の、真っ当な手段でやってもらいたいものだ。
 彗は√能力を発動し、錬金生物『|空隙に潜む影《フェイタル・シャドウ》』と、己の意識と肉体を融合させる。
「出番だ、深淵の暗殺者。祥子さんが戦いやすいように援護していこう」
 夜闇よりも昏い深淵の影は、自在に変質し、超伸縮する影の刃である。
 狂気の片鱗を残すソレは彗の意思に従い、クマぐるみ怪人を鋭く切り裂いた。切り裂くだけでは終わらない。影で包んだ空間を収縮させ、敵の群れを強引に引き寄せる。
 引き寄せた先では、祥子がチェーンソードを響かせていた。暴力的な流れ作業だ。再びクマぐるみ怪人を斬り捌き、祥子は彗へと呼び掛けた。
「やるじゃん彗! この調子でガンガン行こうぜ!」
 祥子のご機嫌な声に彗は静かに頷いて、空隙に潜む影を意のままに駆使し続ける。
 かくして、√能力者たちは、クマぐるみ怪人をすべて倒しきったのであった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 ボス戦 『ベンジャミン・バーニングバード』


POW BBB式戦闘術
【自動小銃】による牽制、【素手】による捕縛、【サバイバルナイフ】による強撃の連続攻撃を与える。
SPD ゆるキャラ分隊
事前に招集しておいた12体の【自動小銃を装備したゆるキャラ】(レベルは自身の半分)を指揮する。ただし帰投させるまで、自身と[自動小銃を装備したゆるキャラ]全員の反応速度が半減する。
WIZ ジャックポット・タクティクス
あらかじめ、数日前から「【幼稚園バスジャック】作戦」を実行しておく。それにより、何らかの因果関係により、視界内の敵1体の行動を一度だけ必ず失敗させる。
√マスクド・ヒーロー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

眞継・正信
ルイ(h05291)と引き続き連携
アドリブも歓迎

「流石に名のある怪人だ。部下の使い方も巧みなものだね」
「援護してくれるのか。助かるよ」
ゆるキャラたちは厄介だが、ルイ君が彼らを引き受けてくれるのなら、死霊の「Orge」を彼の援護に回し、私は本丸を狙っていく。
ちょうど刻限は夜だ。「漆黒の外套」で黒い霧をまとい姿を眩ませながら、正面からベンジャミン君の懐へと飛び込み、鉤爪での一撃を叩きつける。


しかし…数日前から幼稚園バスジャック作戦を実行していたとはね。
今回の件よりもよほど悪辣な事件のように思うが…どういう因果でこの事件にも影響を及ぼしているのか、解決の足を引っ張らない程度に見極めてみたいものだ。
ルイ・ラクリマトイオ
正信さん(h05257)とともに行動。
前は花を持たせて先陣を切らせていただきましたから、この度はフォローに回ろうかと。
持ちつ持たれつ、です。
正信さんがベンジャミンとやらの相手に向かうのでしたら。
私がゆるキャラの方を引き受けることにいたしましょう。

「皆皆さま、どうです、おひとつ……こわいお話を、物語りいたしましょうか」

怪談「番町皿屋敷」 を使用してから、あとは武器とオートキラーで攻撃していきます。

ただ、正信さんが万が一、何かを失敗し、ピンチにおちいるような状況あれば、依頼の成功に、何より正信さんが致命的なことにならないよう、フォローに努めます。
元が従者気質なので、親しみを感じている人には尽くします。
「正信さん、お気をたしかに……あなたは強い方です、私がお支えいたしますよ」

基本的には依頼の成功を第一に、あとは正信さんを支えることを考えて行動します
その他、ルイらしい感じで活躍させてください。

●連携で連携を制する
 クマぐるみ怪人たちが掃討され、ベンジャミンは光のない眼に殺気を籠らせた。
「これじゃぼくの計画が台無しになっちゃうよ~。でも、そうはさせないんだからね!」
 ゆるキャラ分隊を整列させるベンジャミンを、|眞継《まつぐ》|・《・》|正信《まさのぶ》(吸血鬼のゴーストトーカー・h05257)は冷静な眼差しで見据えている。
「流石に名のある怪人だ。部下の使い方も巧みなものだね」
 ルイ・ラクリマトイオ(涙壺の付喪神・h05291)も敵を視界に捉え、御伽絵巻の紐をしゅるりと解いた。
「正信さんがベンジャミンとやらの相手に向かうのでしたら。私がゆるキャラの方を引き受けることにいたしましょう」
「援護してくれるのか。助かるよ」
 ゆるキャラたちは厄介だが、引き受けてくれるのならば安心だ。
 ゆるキャラに気を取られることなく本丸――ベンジャミンに目を向ける正信へと、ルイは柔らかに笑みを返す。
「持ちつ持たれつ、です」
 微笑むルイに視線をやり、正信は力強く頷いてみせた。|漆黒の外套《クロノガイトウ》を身に纏い、自身の体を夜闇に紛れる黒い霧で包む。
「……さて、行こうか。オルジュ、引き続きルイ君の援護は任せたよ」
 正信の言葉にOrgeは一声鳴き、ルイの傍へと駆け寄った。一方で正信は闇へと溶け込み、ベンジャミンへの接近を試みる。
 見えなくとも気配を感じるのか、ベンジャミンとゆるキャラ分隊は警戒態勢を取った。
 警戒するゆるキャラ分隊へと、ルイが穏やかに語りかける。
「皆皆さま、どうです、おひとつ……こわいお話を、物語りいたしましょうか」
 一息置いた後。ルイはとっておきの話をするように、そっと口を開いた。
「日本に古くより伝わりし怪談……『番町皿屋敷』にございます」
 より改まった口調で、ルイは紡ぐ。
 武家屋敷で腰元として使えていたお菊が、家宝の十枚揃いの皿の一枚を割ってしまった。お菊は殿様に手討にされ、屋敷内の井戸に投げ捨てられてしまった。その後、幽霊となり、夜な夜な足りない皿の数を数え続ける……。
「……その後、殿様の奥方が産んだ赤子には、右手の中指が無かったとか。実は手討にされたお菊も、右手の中指を切り落とされていたのです」
 一枚、二枚……どこからともなく女の声が聞こえてくる。怪談空間の効果により、冷たく湿った気配が空間に満ちる。
 ゆるキャラ分隊は、ルイの怪談に反応を示した。
「ひっ、ひええぇ!?」
「の、呪いだぁ!」
「中指がないなら、付け足せばいいじゃない」
 ズレた感想を言う者も居るが、掴みは成功だ。
「三者三様の反応ですね。ですが、それも当然のことでしょう。皿屋敷にも様々な解釈やアレンジがありますから」
 ルイは御伽絵巻からハチェットへと持ち替えて、オートキラーを発動する。
「さて、私の御話はこれにておしまいです。ご静聴ありがとうございました」
 丁寧にお辞儀をした――かと思えば、直後には瞬く間に敵へと距離を詰めている。彼は、ゆるキャラ分隊の首をハチェットで刎ね飛ばした。その斧捌きには、一縷の躊躇いすら存在しない。ルイに合わせ、Orgeもゆるキャラ分隊を威嚇し、隊列を搔き乱す。
 斧に付いた赤い綿のようなモノを払い落としながら、ルイは正信を気に掛けた。
(「正信さんのご様子は……」)
 ちょうどベンジャミンが、闇に姿を眩ませた正信の居所を探っているようだ。
「そう簡単にはやらせないよ。ジャックポット・タクティクス、発動!」
 奇妙な力が圧し掛かる感覚を正信は覚える。
(「幼稚園バスジャック作戦による因果か。今回の件よりもよほど悪辣な事件のように思うが……どういう因果でこの事件にも影響を及ぼしているのか」)
 思考を巡らせつつ、鉤爪による一撃は忘れない。闇から繰り出された爪が、ベンジャミンを鋭く切り裂いた。
「うーん、使える駒が足りなかったかな」
 ベンジャミンが呟く。もしや、ゆるキャラ分隊が因果を為すための『駒』であったか。無論、あくまで可能性の一つに過ぎず、必ずしもそうであるとは限らないが。
 一見しただけでは、どのような因果なのか不明瞭だ。今回の事件が幼稚園バスジャック作戦と似た作戦だったならば、見え方は違ったかもしれないが。ともあれ、因果による致命的な失敗は免れた。
「やはり、あなたは強い方ですね。私がお支えするまでもなかったかもしれません」
 ルイが尊敬の眼差しを正信へと向けるが、正信は首を横に振ってみせる。
「ルイ君が支えてくれているからこそ、私は今こうして立っていられるのだ。もし君がいなかったら、滑って転んでいたかもしれないね?」
 冗談めかしたように言う正信へと、ルイはほっと息をついた。
「そのように仰っていただけますと安心します。ちゃんとお役に立てているようで良かったです」
 互いに言葉を交わしつつ、彼らはベンジャミンと対峙し続ける。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

フォー・フルード
アドリブ連携歓迎 苦戦ok
さて、残ったのは指揮官であるバーニングバードあなただけです。撤退か降伏を推奨しますが悪の組織がそれを聞いてくれれば世界はもう少し平和なのでしょう。
戦闘ですが片手に銃片手にハチェットを持って接近戦を挑みます。攻撃を受け次第√能力を発動します。攻撃を受けて反撃を繰り返し分隊の数を確実に減らしていきたいです。
分隊を減らすことができれば後は指揮官を撃ち抜くだけ…確実に当てます。

●風穴を開ける
 雪で踏み固められた地面には、大量のクマぐるみ怪人が廃棄された玩具のように転がっている。
 彼らの遺骸を越え、フォー・フルード(理由なき友好者・h01293)はベンジャミンを視界に捉えた。
「さて、残ったのは指揮官であるバーニングバードあなただけです」
「まったく面倒だね。まぁ、邪魔が入るのは怪人の宿命かも」
 ベンジャミンの命令に応じ、ゆるキャラ分隊がフォーへと銃口を向ける。面倒と言いながら、徹底抗戦の構えを崩さない。
 ハチェットと銃をそれぞれの手に構え、フォーは淡々と紡ぐ。
「撤退か降伏を推奨しますが、悪の組織がそれを聞いてくれれば世界はもう少し平和なのでしょう」
 武力行使で平和を取り戻すしかあるまい。
「ぼくらゆるキャラ分隊の連携をとくと味わうといいよ!」
 ゆるキャラ分隊は隊列を組み、自動小銃から銃弾を発射した。狙いは勿論フォーである。
「自動小銃による射撃ですか。ならば、こちらも銃器にて対抗しましょう」
 銃弾の嵐が襲い来る。同時、フォーは自身のプログラムに変更を掛けた。
「交戦規定を専守防衛に変更します」
 フォーの装甲を銃弾が掠めるが、彼は構わず弾丸の嵐の中を突き進む。
 ハチェットで最後の弾丸を弾き飛ばし、己が持つ銃の狙いをゆるキャラ分隊へと定めた。
「ターゲット、ロックオン――」
 |後の先《セカンドディール》――フォーの銃器が火を噴いた。弾は真っ直ぐに飛び、ゆるキャラ分隊へと撃ち込まれる。
「ギャッ!?」
 敵が叫び声を上げた。フォーの放った弾丸が、ゆるキャラの頭を撃ち抜いたのだ。
「まずは1体。このまま確実に数を減らしていきましょう」
 ゆるキャラ分隊の攻撃により消費したエネルギーを回復しつつ、フォーは弾を再装填する。
 狩りは、まだ始まったばかりだ。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

深雪・モルゲンシュテルン
ベンジャミン・バーニングバード……あの手で銃を扱えるなんて驚きです
実は中身はサイボーグで、機械化脳と銃を無線接続し論理トリガで発砲を制御しているのでしょうか?(それはない)

12人の手下を引き連れてきたようですが、物量なら負けませんよ
仕込みを行う時間は十分にありましたから
『超過駆動・大軍掌握』により大量の浮遊砲台を制御下に
これも予め見えづらい所に隠しておいた甲斐がありました
周囲で展開して私に狙いを定めている敵部隊の背後や側面から、[レーザー射撃]を浴びせかけます 
逆包囲による殲滅。砲台達の[集団戦術]です
自動小銃に対しては《伸展型防壁》を展開し、遮蔽物とします

手下を片付けたら、多数の砲台に狙われ逃げ場を失ったベンジャミンに接近
《戦線工兵用鎖鋸》を『対WZ用大鎖鋸<滅竜>』に変形させ、大剣状のチェーンソーで斬りかかります
回転鋸刃で着ぐるみを斬り裂いて防御力を貫通し、中身にまで致命傷を与えましょう
そもそも、中の人がいるのかわかりませんが

ミッションコンプリート
これで平和な雪まつりが帰ってきますね

●光と斬撃
 冬夜に無数の銃声が鳴り響く。氷点下の中で相対するは、ヒヨコのような姿をした怪人だ。
 |深雪《ミユキ》・モルゲンシュテルン(明星、白く燃えて・h02863)は、改めてベンジャミンの姿をじっくりと観察する。
「ベンジャミン・バーニングバード……あの手で銃を扱えるなんて驚きです。実は中身はサイボーグで、機械化脳と銃を無線接続し論理トリガで発砲を制御しているのでしょうか?」
 純粋な疑問を感じる深雪に、ベンジャミンが返す。
「それは企業秘密だよ!」
 ベンジャミン本人もよくわかっていない可能性はあるが、それはそれとして。
 狙いは指揮官を守るようにズラリと立ち並ぶゆるキャラ分隊だ。
「物量なら負けませんよ。仕込みを行う時間は十分にありましたから」
 深雪は|超過駆動・大軍掌握《オーバードライブ・バタリオンコマンダー》により、無数の浮遊砲台を展開する。
「神経接続型浮遊砲台、全機コネクション確立」
 脳波コントロールにより全砲台へと指示を出す。砲台は彼女の手足のように容易く動き、敵群の後方、そして側面へと位置取った。
「レーザー砲、一斉掃射」
 夜闇を焦がす光が、冬の冷気を焼きながらゆるキャラ分隊へと浴びせられた。
「きみも穴だらけにしてあげる!」
 レーザーの雨に打たれながらも彼らは銃火を発射する。
「お断りします」
 深雪は即座に伸展型防壁を地面へと突き立てた。彼女の体を覆うように堅牢な金属板が広げられ、弾丸を受け止める。
 弾を撃ち尽くし、レーザーに身を焼かれるゆるキャラたち。銃撃が過ぎ去ったのを確認し、深雪は次の√能力を展開する。
「チェーンソーユニット、安全装置解除。工作モードから戦闘モードに移行します」
 戦線工兵用鎖鋸を戦闘特化モード――|対WZ用大鎖鋸<滅竜>《アンチウォーゾーンメガチェーンソー・ノートゥング》へと変形させた。身の丈を遥かに超える大剣の如きチェーンソーを軽々と持ち上げ、深雪は凍った大地を蹴り上げる。そのまま全力で前進。ゆるキャラ分隊の波を割り裂き、ベンジャミンへと肉薄した。
 回転鋸刃の駆動音が夜を貫く。振り下ろされた衝撃が、ベンジャミンの体を深く斬り裂いた。裂かれた腹を必死に押さえながら、ベンジャミンが声を上げる。
「ちょっ! 可愛いガワが剥がれちゃうじゃないか!」
「……やはり中の人がいるのでしょうか」
「中の人なんていないよ!」
 中の人がいないのに『ガワ』なんて言うだろうか。しかしながら、事の真相は不明だ。
 ともあれ、深く追求する必要はない。中の人がいようがいまいが、深雪には関係がなかった。
「まあ、どちらでも構いません。私がやるべきことは決まっていますから」
 ベンジャミンの姿を真っ直ぐに捉える。倒すべき敵を前にして、滅竜が再び咆哮を上げた。
「平和な雪まつりのため、あなたには退場してもらいます」
 敵を徹底的に斬り刻み尽くすまで、その咆哮が止むことはない。凍えるような空気の中で、深雪は戦闘を続行する。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

ウィズ・ザー
【竜獣宮】
SPD/アド絡み◯呼称は彗と鬼島
「ぉーおー、楽しそうなコトしてンじゃねェの!俺も混ぜてくれよ。」
形態変化。闇顎に依り宙を泳ぐ豹海豹型へ
「応、任せろ。」
鬼島がメインをヤってくれンなら俺ァ
ゆるキャラ分隊、纏めて相手してやるぜェ
彗の援護なら心配も無用で戦い易い。余裕だな
「雪像に当てない様に、だァな。承ったぜ。」
事前に因果関係仕込むとすりゃ、雪像の破壊かねェ?
クカカ、時限式だろうが何だろうが雪内の闇顎で捕食してやらァ
先制攻撃、黒縄で捕縛し銃を無効化、刻爪刃で一気に貫く範囲攻撃の2回攻撃だ

戦後
「なァ、どうせなら2人が作った雪像も見せてくれよ。」
「コレかァ…おー、こりゃァ…立派じゃねェか!」
鬼島・祥子
【竜獣宮】
アドリブ連携等歓迎

おう、来たかウィズ! いいぜ、一緒にやっちまおう!
クマぐるみ怪人は倒し終わった、あとはベンジャミンだ!
子どもらの楽しい思い出、台無しにさせる訳にはいかねぇよなぁ!
行くぜ、彗! ウィズ!

アタシは前衛、ウィズと一緒に奴の攻撃を引き受け、そして殴る!
マスクをつけて六式武装を展開して、真正面から応戦だ!
自動小銃はチェインハンマーで受けて弾く、素手の攻撃は破壊の炎を宿した拳で掴み返し、サバイバルナイフはチェーンソードでブッタ切る!
敵の分隊も作戦も、ウィズと彗に任せておけば問題はねぇな!
チャンスがあればパイルバンカーを叩き込んでやるぜ!

おう、これがアタシたちの造った雪だるまさ!
黒辻・彗
【竜獣宮】
アドリブ連携等歓迎

銃を乱射なんてされたら折角のイベントが台無しだ。
そうだね、ここの主役はあなたじゃない。早く帰ってもらおう。

火炎の詠唱錬成剣は周囲への被害が凄いから無理だな。ここはみんなのフォローに回る。
煌星銃『アステル・ノヴァ』で魔法の弾丸を連射して牽制、【紅蓮鴉】を発動する。
血の鴉を散開させて、血の鴉羽をベンジャミンの周りに拡散、五感を狂わせよう。
前もって仕掛けられた作戦で無力化されるかもしれないけど、攻撃に専念できる状況を作り出せれば良い。
祥子さん、ウィズさん、後は頼んだよ。

ああ。雪像……というか、そこの大きな雪だるまなんだ。

●終幕の安らぎ
 冬夜の戦闘は終局へと向けて加速する。
 援軍に訪れたウィズ・ザー(闇蜥蜴・h01379)は、寒い中白熱する戦場に、ニヤリと大きな口端を上げた。
「ぉーおー、楽しそうなコトしてンじゃねェの! 俺も混ぜてくれよ」
「おう、来たかウィズ! いいぜ、一緒にやっちまおう!」
 ウィズの参戦に、|鬼島《きじま》|・《・》|祥子《しょうこ》(武装少女レティシア・h02893)が明るく返した。
 |黒辻《くろつじ》|・《・》|彗《せい》(自在変異の『|黒蓮《ブラック・ロータス》』・h00741)もウィズへと目線を向け、安堵の息をつく。
「ウィズさんも援軍に来てくれたんだね、心強いな」
 三人寄れば戦力もより大きなものとなろう。祥子はバシッと両手を打ち合わせ、気合を入れ直す。
「子どもらの楽しい思い出、台無しにさせる訳にはいかねぇよなぁ! 行くぜ、彗! ウィズ!」
「応、任せろ。邪魔くせェゆるキャラ分隊なんざ、纏めて相手してやるぜェ」
 ウィズは力強く頷き、水大蜥蜴から豹海豹へと形態を変化させた。
 彗も煌星銃『アステル・ノヴァ』を堅く握る。その銃口はベンジャミンへと真っ直ぐに向けられた。
「ここの主役はあなたじゃない。早く帰ってもらおう」
 折角のイベントを台無しにする怪人など、雪祭りに必要ない。
 アステル・ノヴァから発射された魔法の弾丸が、流星の如き輝きを放った。牽制攻撃と共に、彗は|紅蓮鴉《ブラッディ・レイヴン》を発動する。
「暁を翔べ、深紅の鴉――五感を紅く塗り潰せ」
 錬金生物『ブラッディ・レイヴン』を喚び出し、ベンジャミンに向けて解き放った。
 五感を狂わせる血の鴉羽が、夜の闇に舞い落ちる。鴉羽は周囲に紅の帳を下ろし、ベンジャミンを包み込んだ。
「むむ? 目の前が真っ赤だ……!」
 視覚を狂わされ、ベンジャミンは焦りを滲ませた。ただでさえ攻撃を受け続け消耗している。その上、敵の位置を正確に捉えられぬ状況に、流石の怪人も冷静では居られない。きっかけは作った。彗は二人へと呼び掛ける。
「祥子さん、ウィズさん、後は頼んだよ」
 指揮官が焦れば、配下のゆるキャラ分隊も乱れるというもの。
 動揺する隊列へと狙いを定め、ウィズは闇顎の射程まで跳躍する。気付いたゆるキャラ分隊が、隊列を崩しながらも銃を構える。
「敵が接近してくる!」
「迎え撃とう!」
 彼らへとウィズは黒縄を放った。身体の一部でもあるその縄は、見た目からは想像も付かぬほど強靭だ。黒縄は銃にぐるりと巻き付き、敵の手から得物を奪い取った。
「させねェよ。大人しく俺に食われてろ」
 一連の動作は、|星脈精霊術【梟刃】《ポゼス・アトラス》から成る先制攻撃である。ウィズは刻爪刃を無数に展開し、ゆるキャラ分隊へと撃ち放った。不可視の刃は黒霧を纏いながら、敵群を容赦なく串刺しにする。串焼きのように刃が突き刺さった敵を眺め、ウィズは上機嫌に笑った。
「クカカッ、仕上げだな。メインディッシュは平らげといてくれよな、鬼島ァ!」
 祥子は既に六式武装を装着し、真正面からベンジャミンへと突っ込んでいた。
「当然ッ! アイツはアタシがぶっ飛ばす!」
 接近する祥子へと、ベンジャミンが銃を構える。だが、発射された弾丸は、五感を狂わされたことで正確性に欠けていた。ゆえにチェインハンマーで弾き飛ばすのも容易い。
 すぐ傍まで距離を詰めれば、慌てたベンジャミンが素手を振り回す。祥子は破壊の炎を拳に纏わせ、彼の腕を掴み返した。
 そのまま、力のかぎり投げ飛ばす。――凄まじい腕力だ。背負い投げの如くベンジャミンを放り、その体を雪上へと転がした。
「ぶわーっ!?」
 叫びながらもサバイバルナイフで応戦しようとする彼へと、祥子はチェーンソードを振り下ろす。
「終わりだ! もう二度とこんな悪巧みすんじゃねぇぞ!」
 ギャリリリリィッ!
「ギエエエエェッ!」
 戦場を震わせる駆動音。高速回転する刃はついに怪人の心臓へと到達し、その身を完膚なきまでに引き裂いたのであった。
 ベンジャミンがついに力尽き、深夜の会場に本来の静けさが戻ってくる。
 紅蓮鴉を解除し、彗は引き締めていた表情を和らげた。
「……ふう、倒せたね。二人とも、お疲れ様だよ」
 怪人の脅威は過ぎ去った。彗の言葉に祥子は笑顔で頷き、立ち並ぶ雪だるまたちへと目を向ける。
「これで子どもらが作った雪だるまも安心だな!」
 深夜の雪祭り会場は、穏やかな静寂に包まれている。そんな中、ふと思い立ったようにウィズが口を開いた。
「なァ、どうせなら2人が作った雪像も見せてくれよ」
 壊さずに取っておいた雪だるまの前へと、祥子と彗はウィズを案内する。
 マフラーを巻いた雪だるまが快く三人を出迎えた。心なしか、作った当初よりもニコニコしている気がする。
「おう、これがアタシたちの造った雪だるまさ!」
 祥子が誇らしげに雪だるまの体を撫でた。大きな雪だるまに、ウィズは心から感心する。
「コレかァ……おー、こりゃァ……立派じゃねェか!」
「最初は爆発させようと思ってたんだけど、やめることにしたんだ」
 彗は話しつつ、雪だるまをじっと見つめる。彼は思った――改めて、壊さずに済んで良かったと。
 人々が作った雪だるまは、溶けるまで……或いは祭りが終わるまで、妙な改造を施されることなくその場に残り続けるだろう。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

挿絵申請あり!

挿絵申請がありました! 承認/却下を選んでください。

挿絵イラスト