シナリオ

11
⚡装宴

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⚡️大規模シナリオ『ユーカリが丘迷宮戦』

これは大規模シナリオです。1章では、ページ右上の 一言雑談で作戦を相談しよう!
現在の戦況はこちらのページをチェック!
(毎日16時更新)

 ユーカリが丘冒険王国。
 今その最奥部では、封印されていた大魔王の遺体を獲得したヘッドスライムが、恐るべき力を我がものとしていた。
 大魔王復活。それは、決して見過ごすことのできない脅威である。
 この異変に気づいたのはEDENだけではなかった。
 他の√からも、強大な力を狙う簒奪者たちが、続々とユーカリが丘へ向かっているのだ!

 その中に、ひときわ異様な存在があった。
「感じるぞ……!」
 ずるずる。
「この先から、実に素晴らしい気配を感じるぞ……!」
 何かが近づいてくる。
 それは、およそ人間の理解を超えた存在だった。
 人の形をしているようにも見える。だが、果たしてそれを人と呼んでよいものか。無数の触手が蠢いているようにも、幾千もの瞳がこちらを見つめているようにも思える。もっとも、実際のところはよく分からない。
 何故なら、その全身には丁寧にモザイクがかけられていたからだ。
 見る者を狂気へと誘う、冒涜的な姿。
 その恐ろしさたるや、モザイクなしでは直視することすら許されない。

「和装! 洋装! 中華服! 民族衣装!」
 何やら楽しそうな声がする。
「可憐なドレスもよい! 凛々しい軍服もよい! メイド服も捨てがたい! いや、ナース服という選択肢もあるな……!」
 楽しそうな声がする。
「だが、待て。待つのだ、我よ。まずは対象を見極めねばならん。衣装とは、ただ纏わせればよいというものではない! その者の魅力を最大限に引き出してこそ、真の着せ替えというもの!」
 モザイクの向こうで、何かが大きく頷いた。
 自分の発言に、深く感銘を受けたらしい。

 そう。
 彼こそは、着せ替え大好き異界の神!

 衣装に対する愛しさと切なさ、そして溢れんばかりの情熱を語れば、周囲一帯を己の理想とする着せ替え空間へと変貌させることができる。ひとたびその領域へ踏み込めば、誰もが異界の神の趣味嗜好に基づいた衣装を纏わされることになるのだ!
「ふはははは! 待っているがよい、ユーカリが丘の者ども!」
 高らかに笑う。モザイクが揺れる。
「我が彼の地へ辿り着いた暁には、全ての者に最高の衣装を与えてくれよう! もちろん、着替えは一着で終わりではないぞ! 何着でも! 何十着でも! 我が満足するまで着せ替えてくれるわ!」
 恐ろしい宣言だった。
 実に恐ろしい宣言だった。

「む? そういえば我は何をしに向かっていたのだったか」
 他√の簒奪者として、この地へ赴く本来の目的。
「――まあ、よいか。今は何より、着せ替えだ!」

 こうして、ユーカリが丘に新たな脅威が――脅威が、迫っていた!

✦

「……変な奴が来たな」
 ジャン・ローデンバーグ(裸の王冠・h02072)は、少しばかり困った顔をした。

 封印された大魔王の力をヘッドスライムが手に入れたことにより、今、この地では大規模な戦いが始まろうとしている。
 その脅威に引き寄せられた他√の簒奪者たちも続々と接近中だ。彼らの侵入を許せば、ダンジョン内部での戦いはさらに混迷を極めることだろう。
「よく来てくれた。おまえたちには今から、ユーカリが丘線の防衛に向かってもらいたい」
 机上の地図に指を滑らせ、ジャンが告げる。
「ユーカリが丘線は、冒険王国の最終防衛ラインだ。ここで敵を食い止めて、ダンジョンの中へは絶対に入れないようにする。そういう作戦だな」
 線路上には迎撃電車『こあら号』も配備されており、搭載された兵器を使って敵を迎え撃つことも可能だ。
 本来ならば、激しい攻防戦が繰り広げられるはずの場所である。

 だが。
「今回の敵は……『着せ替え大好き異界の神』という奴らしい」
 ジャンは一度、手元の資料を見直した。
「名前からしてふざけてるけど、これでもちゃんとした敵だ。星詠みで確認した限り、すごく強い力を持っている。直視したら発狂するような姿をしてるらしい」
 なんでも、あまりにも冒涜的な姿をしているため、全身にモザイクがかかっているのだという。
「ともかく、そいつは着せ替えが大好きなんだ。とにかく大好きなんだ。何よりも好きなんだ」
 和装、洋装、中華服。異国情緒溢れる民族衣装に、優雅なドレス、格好いい軍服。果てはメイド服やナース服まで、その趣味は実に幅広い。
 そして困ったことに、この異界の神は、目に入った者を片っ端から着せ替えようとする性質を持っている。
「気に入った衣装を着せるまでは攻撃をやめないらしい。嫌がっても駄目。逃げても駄目。何なら嫌がる姿も楽しむらしい」
 実に厄介な相手である。
「だけどな。こいつには、ひとつ大きな弱点がある」
 ジャンは、そこで勿体ぶるように一度言葉を切った。

「……着せ替えが大好きなんだ! つまり! おまえたちが着せ替えられてやればいい!」
 それは先ほども聞いた気がする。
 しかし、ジャンは自信満々に続けた。
「こいつは衣装を着せることに夢中になると、他のことがどうでもよくなるらしいんだ。だったら、その気が済むまで着せ替えに付き合ってやればいい! そうすれば、ダンジョンに向かうどころじゃなくなるだろ?」
 つまり。
 ――今回の作戦は、「異界の神が満足するまでひたすら着せ替えられる」ことだ!
 華やかなドレスに身を包むもよし。
 普段は袖を通さない民族衣装に挑戦するもよし。
 可愛らしいメイドさんになってみるもよし。
 もちろん、格好いい騎士服や、きりりとしたスーツ姿だって歓迎されるだろう。
 異界の神は、ありとあらゆる可能性に情熱を燃やしている!
「自分から『こういう服を着てみたい』って言ってみるのもいいかもな。あいつ、衣装の話だったらいくらでも乗ってくるみたいだから」
 気に入った衣装を持参して、着こなしを披露してもいい。
 あるいは、異界の神に全てを任せ、見たこともない自分と出会ってみるのも悪くないだろう。
 仲間同士で衣装を選び合う、なんていうのも楽しそうだ。
「普段とは違う格好をするのも楽しいだろ? せっかくだから、おまえたちも楽しんでくればいいさ」
 ジャンは笑って、それから地図へと視線を戻した。

「それと、もうひとつ。今回の戦いでは、おまえたちに決めてもらいたいことがある」
 ユーカリが丘迷宮戦は、これ一度きりの戦いでは終わらない。
 大魔王の力を得たヘッドスライムの撃破を目指し、各地では今も様々な作戦が進められている。
「この先どこで何をするか。それは、現地に行ったおまえたち自身に選んでもらうことになっている」
 ジャンは地図に記された五つの作戦を順に指差した。
「どれも大切な作戦だ。一緒に戦う仲間と相談して、次はどこへ行きたいか、意見を聞かせてくれ」
 その選択がこれからの戦況を左右することになる。
 やがて訪れる最終決戦の行方にも繋がっていくだろう。

「ま、おまえたちなら大丈夫だろ。どんな服を着たって、きっと似合うさ」
 王様は、そう言って笑った。

 さあ、出発だ!
 迫り来る異界の神。
 脅かされる冒険王国の平和。
 そして、待ち受ける数々の衣装!

 世界を守るために必要なのは、勇気か、知恵か。
 それとも圧倒的な着こなし力か。
これまでのお話

第2章 集団戦 『プティフィー』


POW (すぴすぴ)
【もこもこフォーム】に変身する。自身の【もふもふ】が2倍になり、新武器【もふだまりボディ】を入手する。
SPD シャーーッ
【威嚇の牙】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
WIZ (じー)
【舞い踊る綿毛】を放ち、半径レベルm内の自分含む全員の【もふもふ】に対する抵抗力を10分の1にする。
イラスト はこと
√ドラゴンファンタジー 普通11

「みんな。異界の神への対応、お疲れ様!」
 着せ替え大好き、異界の神!
 その名に相応しく、奴は数多の衣装を着せては満足げに去っていった。
「いやあ、よくやった! おかげでユーカリが丘線も無事に守れた。俺からも礼を言うぞ!」
 王様は満足げに頷き、それから、こほんとひとつ咳払いした。
「で、だ。悪いが、次の仕事を頼みたい」
 どうやら、まだ少しばかり後始末が残っているらしい。

「……実はな、ダンジョンに妙な奴らが住み着いちまってるようなんだ」
 ジャンが机の上へ広げたのは、ダンジョン内部の地図だ。
 その一角には、色とりどりの花に囲まれた庭園が描かれている。
「プティフィーっていう妖怪らしい。見た目は可愛いんだけどな、どうもここがすっかり気に入っちまったらしい」

 なんでもダンジョンの奥には、とても迷宮の内部とは思えない美しい庭園が広がっているのだという。
 柔らかな芝生に、咲き誇る花々。薔薇のアーチや小さな噴水、木漏れ日の差し込む小道。
「問題は、あそこが見た目以上に複雑な迷路になっていることだ」
 花壇の間を縫う小道は幾重にも枝分かれし、緑の生け垣が視界を遮る。
 同じような景色がどこまでも続き、うっかりしていると自分がどこから来たのかさえ分からなくなってしまう。
「それなのに、あいつらときたら呑気なもんでさ。寝たり、遊んだり、花畑に埋もれたり。帰る気配がまるでないんだよ。――っていうか、多分、帰り道が分かってないんじゃないか?」
 ジャンは呆れたように肩を竦めた。
「このまま放っておいたら、ずーっと居座られちまう。だから、おまえたちには庭園に入って、一人につき一匹、プティフィーを捕まえて外まで連れ出してほしいんだ」

 もっとも、捕まえるといっても、無闇に追いかけ回す必要はない。
 プティフィーは基本的にのんびりした生き物で、人と遊ぶことにも興味があるらしい。
「もふもふしてやるのもいいし、おやつをあげたり、一緒に昼寝したりするのもいいかもな。おもちゃで誘ってもいいし、庭園を探検しながら仲良くなるのも楽しそうだ」
 もちろん性格は一匹ずつ違う。
 人懐っこく擦り寄ってくる奴もいれば、臆病で花陰に隠れる奴、気が強くて牙を剥いてくる奴もいるだろう。
 中には、もこもこの身体をさらに膨らませたり、不思議な綿毛を舞わせたりする個体もいるという。
「綿毛には気をつけろよ? あれを浴びると、もふもふしたい気持ちが抑えられなくなるらしいんだ。……いや、ちょっと分かる気もするけどな!」

 とはいえ、相手は妖怪だ。可愛らしいからといって油断は禁物である。
 暴れる個体にはきちんと対応し、逃げ回る個体には根気よく付き合う必要もあるだろう。
「何なら、もふもふ対決でもしてみるか? どっちが先に相手を満足させられるか、勝負するのも面白いかもしれないぜ!」
 ジャンは楽しそうに笑った。

「それから、ひとついい話がある」
 王様は、そこで少し得意げに胸を張った。
「プティフィーって奴ら、満足すると、自分の宝物を分けてくれるらしいんだ」
 それは小さな装飾品。
 花を象ったブローチ、星の髪飾り、宝石のついたリボン、繊細な飾り鎖。あるいは、帽子や耳飾り、衣装の胸元を彩る小さなチャームかもしれない。
 どんな品が貰えるかは、プティフィー次第だという。
「不思議なことにな、おまえたちの服装にぴったり似合うものを選んでくれるんだってさ。あいつらなりに、一生懸命考えてくれるらしい」
 それらは、プティフィーたちが大切に集めてきた宝物なのだとか。
 気に入った相手へ贈る、彼らなりの友情の証なのかもしれない。
「欲しいものがあるなら、そっと教えてやるのもいいんじゃないか? もちろん、あいつらに全部任せてみるのもいい」
 先ほどの異界の神が仕立ててくれた衣装に、新しい装飾品を添えるのも素敵だろう。
 あるいは、普段から愛用している服に合わせて、とっておきの一品を選んでもらうのもいい。

「――ま、そんなわけだ!」
 ジャンは地図を畳み、仲間たちを見渡した。
「悪いが、もうひと頑張り頼むよ。あいつらも別に悪さがしたくて住み着いたわけじゃなさそうだし、できれば仲良く連れ出してやってくれ」
 迷路の探索に、ふわふわの妖怪探し。
 場合によっては、ちょっとした追いかけっこや、もふもふの誘惑との戦いも待っているかもしれない。
「帰り道が分からなくなったら、仲間と声を掛け合うんだぞ。プティフィーを見つけても、自分まで迷子になったら意味ないからな!」