シナリオ

葬列

#√汎神解剖機関 #天使化事変 #羅紗の魔術塔

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 #√汎神解剖機関
 #天使化事変
 #羅紗の魔術塔

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●きりんぐ・ぱれぇど
 賑やかな音が森の中に響いている。不釣り合いな音楽が奏でられている。喪服を着た黒一色、顔の解らぬものたちが音楽を奏でながら列を成し、ゆっくりと、進んでいる。

 列は続く。
 息を殺し、己の口を塞いで。『生えた』翼をぐっと縮め、列に勘付かれぬよう、木の陰に隠れているものがいる。
 ふたり縮こまり、互いの手を確と握って。

 列は続く。
 笛吹きを先頭に、その列は続いていく。
 列は続く。永遠に。
 子供を列に足しながら。大人も列に足しながら。翼あるものを足していこう、導いてもらおう、逃げようとする彼らの腕をへし折り膝関節を逆に曲げ、翼を鷲掴みにし、その腕に抱えて。殺しはしない、大切だから、大切だから。
 どこへ向かうのか、どこから来たのか? そんなことは今更ではないか。

 この『葬列』は続いていくのだ。
 加わりたまえよ、そこの君たち。

 ――これは君たちの|葬列《パレード》。
 さあ先頭に、立ちたまえ。

●おかえり。
「『おかえり』諸君! パレードはお好きかね」
 大げさに腕を広げ笑む白色の星詠み。翼まみれだが天使にあらず。ディー・コンセンテス・メルクリウス・アルケー・ディオスクロイ(辰砂の血液・h05644)、翼の怪人は実に愉快そうに、研究室の一角で笑っている。

「まったく残念なことに愉快なものではないのだがね。「天使化」事変の話だ。パレード……いや。あるヨーロッパの森の中に、『葬列』が続いている」
 残念そうには聞こえない声色で話す怪人、その爪が地図の上をなぞる。現時点で予想される、|葬列《パレード》のルートだ。森の中を丁寧に突っ切っている。進行方向には小さな山。それをひとつ越えれば、街に辿り着くようだ。

「天使を見つけ、捕らえ、どこかへ連れて行こうとしているようだが。まあ十中八九といったところだろう? 諸君らにはこの|葬列《パレード》の主役にされそうになっている天使たちを救って頂きたい」
 予知によれば、少なくとも四人。子供が三人、大人が一人。子供たちを連れて森に逃げたものの、そのまま捕らえられる――そのような結末。

「いやあ突然翼が生えるとはかわいそうに……わたくしも同じ翼あるものとしてひとつ言わせてもらうと、生え変わりの時期などめっちゃくちゃに痒いぞ」
 そんな不要な雑談を挟みながらも。天使たちが隠れていると思われる地点へ、とん、と爪を。ちょうど|葬列《パレード》が通る側だ。
 直接声をかけて連れ出し離れるか。あるいは葬列を誘導し天使たちから引き離すか……。手段は様々だ。

「彼らは戦力には数えられない。だがごく弱い√能力のようなものを行使できる者もいるようだな。予知に無い天使も居る可能性がある。……協力できるのであれば、そうするといい」
 翼の怪人。隠れた目元。何を思っているのか、考えているのかは定かではないが――。
「――ともあれ、さあいざ行け諸君! わたくしは働かないぞ! アッハッハ!!」
 宣言。煩いとばかりに彼の首へ巻き付くインビジブルの蛇。絞められてなお、彼の高笑いは止まらない。

マスターより

R-E
 おはようございます、親愛なる皆様!
 R-Eと申します。
 ヨーロッパの森にて、黒衣の|葬列《パレード》。
 賑やかに楽器を鳴らしながら、どこへ向かうのか。
 恐らく陰鬱。

●1章
 森の中を練り歩く葬列から逃れましょう。
 予知では子供が三人、大人が一人となっていますが、増える可能性もあります。
 そうです。Anker:天使のみなさんです。お気軽にご参加ください。

●2章以降
 分岐します。かなりうまいこといけば戦闘をすべて回避し、天使たちを安全に避難させられるかもしれませんが、期待はできません。そこは仕方がないですね。

 それでは、この|葬列《パレード》に加わらぬよう、お気をつけて。
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第1章 冒険 『助けを求める声』


POW 気合を入れて救助に向かう
SPD 必要な助けを素早く提供する
WIZ 魔法的な力を使って問題を取り除く
√汎神解剖機関 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

禍神・空悟
連携アドリブ可


大人も連れて行ってくれるハーメルンとは気前が良いじゃねぇか

嫌いじゃねぇぜ、騒がしいのは

その調子で景気良く奏でてくれ、|俺達《テメェら》の生前葬を断末魔でな

ま、滅多に死に切らねぇのが√能力者なんだろうがな


葬列に真正面から接敵し連中を引き付けにいくぜ

百錬自得拳で出会い頭の一体を殺し続く二体目を技能攻撃で殺し、攻撃の流れが途切れるまで繰り返し殺し続ける

攻撃の間合いを保つ為、回避を捨て敵の懐深くに踏み込み続けるぜ

敵の攻撃は装備と言える程に鍛え上げた肉体で受け耐える

こうやって派手に暴れてやれば葬列の他の連中も『おびき寄せ』られてくるだろ

そうなりゃ後は天使を逃がす奴らのお仕事って事で任せるさ

 黒衣の男が笛を拭き、それに続く人々が太鼓を叩き、列をなして歩いている。その手に握っているものは各々異なる。愉快な音楽を奏でる楽器、物騒な刃物、明かりであろうランタン、ありとあらゆる。アコーディオンの襞がぐわんと開いては閉じ、奏でる楽曲。どうにも愉快、どこかメランコリック。愉快、愉快……。

「大人も連れて行ってくれるハーメルンとは気前が良いじゃねぇか」
 ――ヨーロッパ。ドイツの都市、ハーメルン。連れて歩くのは子供でもネズミでもなくみな成人だ。向かう先は川か洞穴かそれとも都市か――騒がしく景気良く。
 どこへ向かっているとしても、彼らが往くべき道はただ一つ。この楽曲こそが死への凱旋、生前葬のため奏でられる|断末魔《曲》となればそれでよろしい。
 禍神・空悟(万象炎壊の非天・h01729)は小さく口笛を吹き、戦闘に立つ男を見た。黒衣であることは変わりないが、襞襟に細長い|喇叭《ラッパ》、先の尖った帽子を被り、視線は真っ直ぐ。その代わり、後続する喪服の「パレード」が言葉の代わりに楽器をやかましく騒がせながら、周囲に目を光らせている。

 ――その視線、意識、すべてこちらへ向けてやろう。藪から飛び出した空悟、楽曲が一瞬止まる。ざっと列を乱す隊列。空悟の拳が『パレード』を構成するホルンを抱えた男を捉えた。不意打ちめいた拳が顎を打ち、続く一撃が首を圧し折る。
 唐突な攻撃だ。しかし。

「ケッ……余裕そうじゃねえか!!」
 ――正気ではない。演奏が再開された。まるでパレェド、サァカス、愉快な喧騒! 奏でられる音を打ち消すように、頭部を掴みそのまま地面へと叩きつける。
 いったい何に使うつもりであったのか、磔刑の真似事でもする気だったのか。空悟の胴を長い木製の槍で打つもそれを逆に掴み上げ、勢いのまま倒れ伏した喪服の男の背を踏みつけた。
 その隙にと飛び出してくるナイフの男の腕を手刀で払い得物を取り落とさせ、腹部への前蹴り。お世辞にも「戦闘に向いている」とはいえないような者たちだが、一定の実力は持ち合わせているようだった。

 葬列は続く。立ち止まった奥から、湧き出るようにおびき寄せられてくる。葬列は増える。どこからともなく、彼を仕留めようと。
 湧き出るように現れる奴らを長々と相手にしていられるような時間はない。切り上げるべき時は来る。
「おら気張れやッ! そんだけ数が居ンだからよぉ、俺ひとりくらい余裕だろうが!」
 蹴り上げられ、うめき声と共に倒れる喪服の男。挑発しつつ、隠れる天使たちから葬列を引き離していく――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

澪崎・遼馬
アレンジ・連携歓迎

天使化を果たしたということは善良な者達なのだろう。みすみす葬列に並ばせる訳にはいかない。
この参列者達が何者なのかは気になる所だが、まずは天使達の安全を優先しよう。

天使の保護は他の者に任せて当人は囮になろう。
葬列がこちらに意識を向けるよう葬列の周辺で音を立て、上手く釣れたらそのまま天使達の隠れ場所から逸れるように誘導する。だが、当人が囮であることは極力気付かせたくない。囮がいる=近くに天使がいる、ということを悟られると面倒だ。幸い森なら暗がりも多かろう、木陰などに「闇に紛れる」で姿を隠しながら移動して連中に気付かれないように誘導していこう。

 葬列。葬列。葬列。葬列――異国のものだとしても、どこか見覚えのある列だ。だが日本のそれとは少々異なって見えるそれ。
 一時は列が乱され、しかし再度組み直された隊列。担がれているであろう棺は見当たらない。本来――ヨーロッパ、そして彼らの先頭。黒衣の「ハーメルンの笛吹き男」を見るに、このような葬列を組むならば「あって当然」のそれが見当たらない。
 まだ奥に構えているのか、『それすら不要』であるからか。終わりの見えぬその先にも、棺はひとつも見当たらなかった。

 一列から二列へと変化した、パレードを構成している者たち。自身らの仲間であったはずの屍を踏みつけながら、彼らは歩く。
 この参列者たちは何者なのか、どこへ向かうのか――善良なる天使たちを、これに加えるわけにはいかないことだけは確かだ。澪崎・遼馬(地摺烏・h00878)は鋭い目で葬列を睨めつけた。

 天使の保護は他の者に。藪の中でわざとがさり、音を立てる。止まる演奏。葬列に並ぶ無数の「にんげん」。その視線が、頭が、一斉に遼馬の方へと向いた。

 先頭の笛吹が再度、笛を吹き始めるのと同時、再開されるはゆかいなおんがく。彼の足先、尖った靴の先が、遼馬のもとへと向かってくる。喇叭を高く鳴らし、ざくりざくりと足音でもリズムを刻んで。
 遼馬はそれから遠ざかるように。暗がり、木々、草むらをかき分けて奥へと誘導していく。ああ、少し前に、子供を探してこのような――。
 割り込んでくる思考をもかき分けて、闇へと紛れながら彼は進む。星詠みの予知に記されていた天使たち、彼らが居ない方へと。

 囮であるとばれぬよう、静けさを保ちすぎないよう。
 逃げる獲物を、演じてみせようではないか。

 森の中へ紛れた|烏《からす》一匹。それを見つけることは困難を極める。目を凝らそうとも視界は暗く、遼馬の姿を一瞬捉えられたとしても、その影は森の中へと溶けていく。
 やや列を乱しながらも葬列は徐々に、本来予想されていた進行方向から逸れ、外れ――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

夜白・青
初の海外が火急の用事で駆けつけるのは慌ただしいけど、ちょっと前まで一般人だった人たちが怪異に巻き込まれてるのは見過ごせないねい。
…記憶喪失でもパスポートとか大丈夫かねい?

現地に駆け付けたら木々と音楽に紛れて御伽語り・妖妖を使用。妖精のおはなしはこっちの場所が本場かねい。
まずは霧や布みたいなかたちの幻影の目つぶしで視界を奪えないか試してみて、効果が薄そうだったら攻撃と反射の二種類の幻影に切り替えて葬列を足止めするねい。
天使になった人たちにとってはオレの語りは異国の言語だからちょーっと怪異が増えた感じもあるかもしれないけど、逃げるチャンスとして捉えてくれたら助かるねい。

共闘・アドリブ歓迎だよう。

 日本と比べれば、遥か彼方。ヨーロッパの森林、その中に駆けつけることになろうとは。慌ただしくとも、身分の証明が出来ないとしても、√EDENの忘れる力を使えばなんとかなるものだ。
 それはそれとて、此度の舞台は非常に賑やかな様子。もちろん悪い意味でだが。パレェドは遠くから訪い、だが遠くへ去ることなくゆっくり、森の中を進んでいる。

 夜白・青(語り騙りの社神・h01020)は進む列を観察しながら、その性質を見極める。先頭に笛吹。次に各々、奏でる楽器。隊列を乱さず。足音までもを同一として。
「(これが『死』を押し売りしようとしているのだから、さながらたちの悪いチンドン屋だねい……)」
 音楽そのものは見事なものだ、揃える足並みも同様。ならば乱してやろうかと。扇子で口元を隠し、彼らの音楽に紛れるよう、小さく詠唱を始める青。
 周囲に立ち込めていく霧――よくあることだと思っているのか、たいして気にせず進む葬列。それを『|苔人間《モースローテ》』たちがせせら笑う。緑の苔に包まれた彼らが霧を発生させている。そうして――遠くに、人影。

 ひとである。光輪を背負っている。虹の輪を。天使のように。

 それを目指し列は進む。その先には何もない、森が広がっているだけだ。ブロッケン現象――または、ブロッケンの怪物。列をなすものの背につくそれが、人影を生んでいる。霧の中にこそ『生きる』彼ら。このように深い霧、そして小さくはあれど山。ともすれば、まぼろしを産むなど造作もない。
 黒い森に住まうヨーロッパの『あやかし』たち。己が役割をよく理解している。己の脅威を、ようく、理解している――。

「(……天使たちにとっては、これも怪異のように見えるかもしれないねい)」
 この異国の言語を用いた青の詠唱。それが聞こえているのならば、きっと彼らも違和感を覚えたことだろう。

 ……青と妖たちが生み出した霧は、『彼ら』の目にも異様に映る。何せ大人数、聞こえてくる足音も音楽もなにもかもわかりやすい。それが聞こえる方向に発生した霧を、彼らも見逃しはしなかった。
 彼らは逃げる。互いの手を引いて。『おむかえ』を拒む。
 誰にも、つかまってはならない。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

四之宮・榴
アドリブ・アレンジ・連携歓迎。

心情
…悪趣味…です。
…生きていればいいなどと…それでは家畜では…ありませんか…っ!
……赦せない。
…絶対に、五体満足で…返してあげたい。
言葉は通じないかもしれませんが、敵でない事は…どうすれば伝わるのでしょうか?

行動
捉えられる前に、救ってしまえばいいのですから、索敵は必須なのです。
【幾何学模様を展開する機械の半身】で|半身《レギオン》を25体展開させて、いち早く発見して保護をしたい所です。
別途でドイツ語が必要だったので片言ながら少しは話せるかと。
助けに来た旨を。此処から安全に離れるのを誘導する旨を。
発見しても手数の関係でどうにもならない場合は同じ能力者に頼みましょう
瀬条・兎比良
また各地で腐った犯罪が横行しているようですね
ヒトを護るのが警察の職務ですから、ただ粛々と遂行しましょう

私は天使の保護を行います
√能力で気配を消し、葬列から身を潜めて周囲を探りましょう
視力や暗視といった視界矯正や、各種耐性には強みがありますから有効活用します
捜索しながら道順を記憶し、安全な経路を把握することも忘れずに

保護対象を発見したら驚かせないよう静かに声をかけ、
警察であり公的な身分であり貴方がたの味方であること、
保護しに来たことを努めて冷静に手早く伝えます
もし葬列に見つかりそうになっても保護を優先するため潜伏を重視
万が一避けられない場合は能力を解き、彼らの逃走をかばいながら迎撃する覚悟です

 悪趣味め。それだけではもはや、おさまらない。四肢を圧し折ってでも確保しようなどと、生きていればよいと。
 それではただの家畜、実験動物、瞬きを封じて薬液を点眼する、そのような所業と同じではないか――!
 許せない。赦せない。ゆるしてはならない。五体満足で帰してやらなければ。
 ……それでも、心に傷を負う事だけは、避けられないだろう。四之宮・榴(虚ろな繭〈|Frei Kokon《ファリィ ココーン》〉・h01965)は唇を噛む。

 ――腐った犯罪。ふざけた話。腐った実ひとつを放り込んだ果物籠のようだ。
 それらから『ヒト』を護るのが警察の職務である。異国であろうと粛々と。瀬条・兎比良(|善き歩行者《ベナンダンティ》・h01749)の使命は変わらない。
「手分けを。僕は、上空から……そちらは、地上を」
「了解した」
 短いやり取りの後、各々が自らの得意とする手段で『天使』を探す。
 森の暗闇に溶ける|【物語】「消失と沈黙」《ハンティング・ブージャム》。さながらワイルドハント。勿論今回は狩りではなく、『|ベイカー《えもの》』を消失させるような事はしないが――。

 さて榴が放った|半身《レギオン》の数、25体。|捉え《捕らえ》られる前に救ってしまえばいい。そう広くはない範囲に居るはずだ――感覚を研ぎ澄ませる。
 葬列。二列になったそれが森をめぐっている。ぐるりとひとまわり、同じところを巡って、そうして進路を変えていた。
 ……葬列の端が、榴の索敵に引っかからない。兎比良の視界、その先にも終わりが見えない。この葬列は、間違いのない怪異である。

 だが吉報もある。他の√能力者たちが進行方向を『いじって』やったのだろう、探し回る列がぐわんと一度ねじ曲がって、そして戻っている。まるで|Ω《オメガ》の字のように。
 これならば道順を記憶するのも、安全な経路を導き出すのも容易いか。獣よりももっと静かな『ひとならざるもの』は葬列に察されることなく、木々の間を抜けていく。

 どうやら天使たちは分断された様子だ。双子と――親子だろうか。互いの手を握りうずくまる影と、足音や気配から逃げようと、子供を抱えて森を移動している大人。
 近いのは双子か。榴の索敵を元にし、暗がりの中を進む兎比良。榴も同様、葬列を避けながら天使たちの元へと向かう――。

「――ッ!!」
 見つけた天使たち。木陰に隠れていた彼らが、榴の姿を見てびくりと肩を跳ね上げた。その脇から現れる兎比良。気配なく忍び寄っていた彼にも反応し、互いの体をぎゅうと抱き締める。

「えっと、あの……大丈夫、ですか?」
 敵意のない、榴のたどたどしい言葉。彼らはきょとんとして、二人の顔を交互に見る。あの奇妙な男ではない。楽器も持っていない、顔も隠れていない――。
「日本の警察です。『こちら』の警察と連携し、貴方がたの保護をするため、ここに来ました」
 その言葉を聞いて、ぱあっと表情を明るくする双子。
「安心、してください。敵ではないです。ここから逃げるのを、手伝いますので……!」
「その身の安全を保証しよう。経路は既に確保している」
 身振り手振りを含めて訴えかける榴と、冷静に話す兎比良。双子は顔を見合わせて。
「……ありがとう」
 ゆっくりと、聞き取れるようにそう言って。――ああ、ひどく明るい笑顔。
「大丈夫、平気」
 なんて無責任な安心。
「……ねえ、『テオ』はどこ?」
 純粋で、無垢で、真っ白な。さながら羽化する前の繭か、それ以前の蚕か。
 自分たちを救おうとするものに対して、彼らはあまりにも愚直で。そして、他人の心配を優先する。天使たちは不安げな表情で、森の奥へと視線を向けた。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

ふにゅ……突然の事とはいえ、大変な状況になっているようですね
でも、この立地ならある程度やりやすくはありますね
とにかくある程度安全な状態にしないとですね

(√能力を使用。天使たちを見つけてから一緒に逃げることにして、逃げる速度を上げる為に最適な隷属者を呼び出して天使たちを運んで貰い、自分はその間に追っ手を足止め、うまくいけばそのまま逃走完了できるように森に自分の植物を急速的に生やして、森の立地状態を根本的に変えて、敵に見つかりずらく、更に追いずらいように植生状態を変えていって)

ふにゃ~……流石に疲れますねこれは……
お菓子を食べながら、もう少し頑張ってしっかり逃げて貰いましょう

「ふにゅ……突然の事とはいえ、大変な状況になっているようですね」
 奏でられる楽曲、神咲・七十(本日も迷子?の狂食姫・h00549)の呟きは、その音色と雑踏に紛れ、黒衣の集団には聞こえない。
 森の中、小さなベリー入りのチョコレートをぱくり。舌の上で溶かしつつ、藪の中から葬列を眺める。じつに、ゆかいそうだ。でもあの曲、きっと「わたしたち」の誰にも似合わないだろうな、なんて考えて。
 静かにしていれば、実におとなしく探してくれるものではないか。奏でる|行進曲《マルシュ》と、なぜだか葬列、喪服を着たそれらの靴が血でべったり汚れていることは、ひとまず置いておいて。

 しかし深い森の中。木々の群れに、この立地。
「ある程度やりやすくはありますね」
 ――などと、七十は言うが。『ある程度』などではない。人間災厄「万理喰い」、それがどのように『餌』を喰らうのか。餌を喰らうには捕らえねばならない、捕らえるならばどのように?

 ――万花変生。
 森の木々が形を変える。ぐにゃりと曲がる。新しい木々が生え、どんどんと複雑化していく。草花が植わり、花咲いて、植生状態が変わっていく。
 異界の植物。誰にもそれが何だか同定できない、ありそうで存在しないそれらを、そこらの土塊や枯れ枝などへ植え付けた。植物相手だ、好き勝手やっても構わないだろうと。

 さて天使探しだ、どこにいるのやら。敵性生物ではないのだから、万花変生を――呼び出す隷属者たちを用いれば、傷つけてしまう可能性がある。
 ……暗い森を進むパレェド、先に現れた木々を前に進路を変えた。葬列、葬列、続けや続け、喧しい先頭が過ぎ去っていく。天使が「あれ」の音から逃れているのは確かであろう。さて、天使の位置は初め、どこだったかな……。
「ふにゃ~……流石に、疲れますね、これは……」
 あたま、まわんなくなってきた。変化させた対象が多いのだ、疲労もそれなり。ああそれから、お菓子が切れてきたのかも。
 とりあえず現地で調達していたチョコレート。残り少ない、名残惜しい。まあ、ゆっくり味わう余裕はないので、さらっと食べてしまうのだけれど……。
 天使よ天使、どこにいる。ともあれ|植物《隷属者》どもは仕事を果たしている。ろくに身動き取れぬ存在にも、感情はあるのか。木々は適切に葬列の行く手を遮り、パレードはぐるりと折り返す。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

玉巳・鏡真
【寂煙楼/2名】
アドリブ歓迎

ハーメルンの笛吹きじみた、どうにも奇妙な葬列だ。
幽霊だっている世の中だ。天使が居たって不思議じゃあないか。信じ難い気持ちはあるけどな。
助けない理由はねえや。行こうぜ詩匣屋。……おいやめろ。急に森が怖い気がしてくるだろうが。

俺や|爺さん《詩匣屋》だけなら森を抜けるなんて朝飯前なんだが。
とにかく子どもや大人の居場所を探すのが先決か。
<追跡><忍び足><情報収集><闇に紛れる>森の中で人探しに関しちゃそれなりに知識はある方だ。
葬列が向かう先に範囲を絞って探索して、早々に保護したい。
驚かせたならすまない。アンタらを助けに来たんだ。きっと俺たち|お仲間《同類》さ。
詩匣屋・無明
【寂煙楼】アドリブ歓迎
彼らは死にゆくのかね。天国への道すがらにしては随分と陰鬱じゃのう。根の国に通ずると言われた方が納得できよう。ふむ、相変わらずまっすぐ行くのう。仕方がない、手伝うとするか。

して、きょーま。知っておるか。ヨーロッパにおいて森とは畏れの対象じゃ。光は薄く、凍てつく空気、何かが棲みつく薄暗がりの森。なんとも御誂え向きの舞台ではないか。
《怪談蝋燭》を灯し、怪奇現象で足止めと行こう。なに、ほんの少し道を迷えばよろしい。ぐるぐると惑えばよろしい。ここは異界の繋ぎ目ぞ。〈精神攻撃〉〈恐怖を与える〉

化けて出るのが幽霊だ。魔女にも悪魔にも倣う。
わしが遊んでるうちにさっさと見つけてくるがよい。

 奇妙な葬列。言葉に表せばまさしくその通り。ずらり並び、成すはパレードの列。
 幽霊も怪物も人ならざるものが山程居る中、むしろ『天使』と呼ばれるそれが居ないことを疑問に思っても良い程度に、この世は「かいぶつ」に溢れている。この数え切れぬほどに闊歩するパレードのように。
「――彼らは死にゆくのかね。天国への道すがらにしては、随分と陰鬱じゃのう」
 奏でる行進曲だけが明るく聞こえる中、物陰から様子を窺うは、詩匣屋・無明(百話目・h02668)と玉巳・鏡真(空蝉・h04769)。天使が存在するのだ。それも、セレスティアルなどとは異なるそれが。ならば天国とやらも存在するかもしれない。……信じがたくとも、助けない理由はない。
 喪服のパレードはどこへ向かうのか。天国か? そんなわけはない。根の国、黄泉平坂に通ずると言われた方が納得できるだろう。罪や穢れが流される場所と考えれば、あれらにお似合いの行き先かもしれないが。
「行こうぜ詩匣屋」
 相変わらず。無明の先を真っ直ぐと進む鏡真。仕方がないと息を吐きながらも、手伝わない理由も、ない。

「して、きょーま。知っておるか。ヨーロッパにおいて森とは畏れの対象じゃ」
 ほれ、思い出せ。ここらの国のホラー映画、やたらめったら、森が登場するじゃろう?
 光は薄く、凍てつく空気、何かが棲みつく薄暗がりの森――ああ、そうだ。この森も、そう。
「なんとも御誂え向きの舞台ではないか」
「……おいやめろ。急に森が怖い気がしてくるだろうが」
 ――文化は違えど、この「くらがり」への恐怖は確かなものだ。自分たちだけならば森を抜けることなど容易い。それこそ朝飯前。だが森を抜けるにも、天使たちを探すことが先決だ。√能力者たちによって結構に森が弄られたり、葬列の向かう先が弄られたりとしているようだが、こちらとしても好都合。

 さらに迷わせてやればいい。
 怪談蝋燭の火がぼう、と森の中に灯る。小さな小さなそれは、葬列に察されることなく。ただ「それ」が引き起こす現象は、先に霧中を彷徨っていた|彼ら《葬列》をさらに迷わせるものとなる。
「なに、ほんの少し道を迷えばよろしい」
 ほんの少しとは、よく言ったものだ。
「ぐるぐると惑えばよろしい」
 どこがどこだかわからなくなる。先頭を歩く喇叭と葬列が『すれ違う』。だが彼らはそれを気にしない――何故か?
 天使を探しているのだ。自分たちを探しているわけではない。気にする必要などないからだ。
 異界の繋ぎ目。あるいは、メビウスの輪。見えぬ己の尻尾を探すように、行進、行進――。

 化けて出るのが幽霊である。魔女にも悪魔にも倣う。だが無明の場合、これは本物の|鬼火《イル・リヒト》も顔負けの異変ではないか。
「さて、わしが遊んでるうちにさっさと見つけてくるがよい」
「言われずともよ」
 ふんっと鼻を鳴らした鏡真が森の奥へと忍び入る。人探しにも、暗がりを歩くにも知識がある。はじめ、葬列がどこに向かっていたか。どのような経路で、あの親子らしい二人を捕らえたのか範囲を絞り、耳を澄ます。騒がしい喇叭の音ではなく――「ヒト」の気配がした。

「……ぁ、う、来ないでッ、来ないで!」
 視界に入った、子供を抱えた女性。ほんの少し、人影を見つけただけだ。だというのに、こんなにも遠くからこちらを視認できたらしい。逃走しようとする彼女を鏡真が慌てて呼び止める。
「待て、待てって! 敵じゃない!」
 その声を聞いてか、やや足をもつれさせながらも、こちらを振り向いた女性。抱きかかえた子供も、近付いてくる鏡真をじっと見つめてくる。

「驚かせたならすまない。アンタらを助けに来たんだ」
「助け、に……」
 瞬きを繰り返す女性。何度か浅く呼吸をして……ふと、その場でうずくまった。どうやら緊張が一気にほぐれてしまったようだ。そしてぐす、と鼻を鳴らし、腕の中の子供を抱きしめ、その背をとんとんとあやすように手で軽く叩く。

「……だあれ?」
 向けられる、小さな子の青い目。瞬きをして、どうにも不思議そうに。そもそも善悪を理解していないかのような、まっしろな視線と翼。
 きっと俺たち|お仲間《同類》さ。差し伸べられた手を、天使の小さな指が握った。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 集団戦 『オルガノン・セラフィム』


POW 捕食本能
【伸び縮みする爪】による牽制、【蠢くはらわた】による捕縛、【異様な開き方をする口】による強撃の連続攻撃を与える。
SPD 生存本能
自身を攻撃しようとした対象を、装備する【黄金の生体機械】の射程まで跳躍した後先制攻撃する。その後、自身は【虹色の燐光】を纏い隠密状態になる(この一連の動作は行動を消費しない)。
WIZ 聖者本能
半径レベルm内の敵以外全て(無機物含む)の【頭上に降り注がせた祝福】を増幅する。これを受けた対象は、死なない限り、外部から受けたあらゆる負傷・破壊・状態異常が、10分以内に全快する。
√汎神解剖機関 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 きりきり。ぎり、ぎり。異様な足音がする。
 葬列、葬列、葬列、長かったそれが終わりを告げた。
 愉快な行進曲を奏でるそれらを端からざくざく刻んでいる。
 仲間割れ? いいや違う。敵対している? それも違う。

 彼らこそがこの『|葬列《パレード》』の主役である。

 いびつな、いびつなセラフィムが、まるで戯れるかのように爪を振るう。ぎちりと鳴る関節、きん、と擦り合った羽根のなんたる不愉快な音。倒れ伏す屍はだあれも気にしない。

 ――キリング・パレェド!
 サァカスへ向かおう!
 服と皮肉を脱ぎ捨てて笑って泣いて列を成せ。
 喜劇と悲劇、空中ブランコ、自由落下!
 猛獣ショーはお好き? まともなはらわたありはしませんが。燃え盛る火の中も平気ですが。

 ああでも脱いだ「それ」の切れっぱし、からだにへばりついている。叫ぶ『天使』に何と答えようか――。
 ゆめのまくあけが、来たとでも言うか?

 ともあれ聖者の行進は、葬列は、なりそこないの爪で乱されていく。
 幸い『あの女』はここにはいない。
 解体してやろうか。
ゼーア・アストラ
アドリブ連携歓迎
ちょっとここは恐ろしくておそくなっちゃったわね…。
さすがにこの惨状は恐ろしいですね…。怪異には怪異といきたいところだけど、自由度の高い行動の方が強いですよね?
ってことで開幕早々レリックマキナ(アイテム)でマキナ・モードを起動します。
起動したらSFAレーザーライフル(アイテム)にモジュールをインストールしましょう。熱感知センサーと連射性強化、威力増強にします。
敵の行動はブーストランナー(√能力)で回避します。敵を認識できなくなると困るので熱感知センサーで敵を逃しません。
かなりおぞましいと思っているので回避しつつ乱れ打ちします。敵をある程度殲滅できればそれでいいです。

「ちょっとここは恐ろしくておそくなっちゃったわね……」
 暗い森の中、喧しいパレェド、切り刻まれる葬列、叫ぶ天使。惨状、惨状。
 羽根と呼ぶには鉄くず。骨と呼ぶには歪。変異した肉体を本能のままに使うオルガノン・セラフィム、纏う金色、どろりと。ゼーア・アストラ(星々の名・天使の力・h00110)はその惨状を見て、思わず眉をひそめた。

「さすがにこの惨状は恐ろしいですね……」
 到着してすぐアストラの目に入ったのは、ありとあらゆる意味で森を荒らし回るものたちの姿であった。なりそこないの天使たち。もっとじょうずに、もっとただしく、美しく変化できれば。きっとこのようには、ならなかった。数としては――ひとつの村を形成できる程度、だろうか。

「怪異には怪異といきたいところだけど、自由度の高い行動の方が強いですよね?」
 アストラの、自分自身への確認。容赦はいらない。そう考えてなお、その不気味さは確かなものだ。

 レリックマキナ装着。マキナ・モード起動――。
「イミテイトオブナインオーソリティ!」
 マキナ・カスタム・スターターによる変身。SFAレーザーライフルを抱えたアストラに気が付いたか、葬列を切り刻むのを止めたセラフィムたちが一斉にアストラを見た。
 武装にインストールされるモジュールの数、まず3つ。熱感知センサー、連射性強化、威力増強。ゆっくり歩いてくるセラフィムに向けられる銃口。
「食らえぇっ!」
 乱れ打たれるレーザー射撃。だがその射撃が直撃する寸前、彼らの姿がふっと消えた。

 生存本能はご立派に――ここまで変異してなお、『生きたい』という本能だけは、残っているのだ。死に繋がるような苦痛から逃れようと、虹色の燐光と共に姿を消す。
 だがアストラは|ゴーグル《レリック・マキナ》の視界から見える「それら」を熱感知センサーで確かにとらえている。ブーストランナーを起動し、彼らの攻撃を避けながらレーザーを乱れ撃つ。

 至近距離に迫るその体、視線の見えぬそれが確かにこちらを「みている」のを感じながら。
 爆ぜる装甲やはらわた、それらを撃ち抜かれ――ダメージは確かに与えているはずだというのに、その『肉体』をよろめかせるセラフィムに不気味さを感じながらも。倒れ伏すセラフィムへ視線を向けた。
 ……『天使』という病の侵食は、ひとを、ここまで。おぞましさを感じながらも、アストラはセラフィムたちを撃ち抜いていく。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

四之宮・榴
アドリブ・アレンジ・連携歓迎。

心情
…黒服の葬列。
…気味が悪い、です。
…でも、無事に返すと…五体満足で…しっかり安全な所に戻すと…お約束しましたので…僕は、貴方様達を、決して…汚しはしません。
…汚れは、僕らだけで…十分なのです。

行動
つまり、|彼ら《天使様達》に、近寄らせなければいいってこと…ですね。
…森で、|これ《√能力》は過剰戦力かもしれませんが、圧倒的な力で完封する方が…きっと楽かなって思います。
【見えない怪物達の天泣】を使用します。
隠れても、回復しても…それを超える破壊で…

天使様達を極力[庇い]ます。
敵の攻撃は[第六感]で感知して[ジャスガード]で防ぐ。
遠距離はタロットでチクチク攻撃です。

 途切れた喪服の列に加わった、オルガノン・セラフィム。皮を脱ぎ捨てたそれ、踊るように。パレェドの音楽に合わせるようつま先をざ、ざっと鳴らしながら、なりそこないは歩く――。
 気味が悪い。彼らが『何から』変異したのか。そして、この葬列がなぜ、このようなものを導いているのか。
 扇動したのはアマランス・フューリーだが、先導するのは笛吹である。四之宮・榴(虚ろな繭〈|Frei Kokon《ファリィ ココーン》〉・h01965)は小さく唇を噛みながら、彼女へ迫る『彼ら』を見た。

 だが。無事に返すと。五体満足で、しっかり安全な所に戻すと、『天使』たちに約束したのだ。
「(僕は、貴方様達を、決して……汚しはしません)」
 汚れるのは自分たちだけで十分だ。
 たとえ己が穢れても、なお――止めなければ、ならない。

 天使たちに近づけてはならない、それならば。葬列もセラフィムをも巻き込み、すべてを「圧して」しまえばいい。森の中で『呼ぶ』には些か似合わぬ場所を泳がせる、だが|D.E.P.A.S.《デパス》たる彼女の呼び声に――それらが、応えないわけはない。

 ――振る。雨のようと呼ぶにはどうしようもなく巨大。本来ならば海を泳いでいたはずのそれら。天泣。大粒の涙、|白鯨たち《インビジブル》が降り注ぐ。
 だが彼らに降るはインビジブルだけではない。祝福。オルガノン・セラフィムたちの聖者の行進は、そのような奇跡をも引き寄せた。苦痛を誤魔化すかのように。圧死するものがいようと――破壊と再生、すべては、平等に。
 地面をすり抜けるも大地は衝撃で抉れ、土埃を立てセラフィムたちの視界を遮る。その中から響く不気味な音に音楽――そうして、晴れた視界。

 ……奥に見つけた『天使』を見るその首、ぎりぎり音を立て首を傾げるそれ。
 生き残り、じわじわと生体機械を再生させていくおぞましい肉体。その頭部に向け放たれるタロットカード。命中したが、ぐわんとバランスを崩すだけで、耐えてみせた。
 きりがない、奥から奥から、奥から奥から。無限ではないとしても。葬列の参列者を踏みつけながら立ち上がるもの。

「テオ」
 ――小さく呟く『天使』の声に、榴は小さく息を飲んだ。
 キリング・パレェド、どこまでも。だれもかれもを巻き込んで、まだまだ続く、その先に。
 彼らの知るものが含まれていない、わけはない――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

瀬条・兎比良
発見出来たのは幸いでした
テオ、というのが誰を、何を指しているのかが気になります
他の味方が保護している人物…だと敢えて楽観的に考えることにしましょう

引き続き被害者…もとい天使の方々の保護と避難誘導を最優先に
心配と不安を募らせないよう、先んじて周囲には充分な警戒をします
義眼の視力や暗視での注視と、率先して彼らをかばうことが出来る立ち位置を意識しましょう
ケアとして音量は控えめながらもお声がけは細やかに
ただし周囲の気配や状況次第では勿論静かにしていただきます

彼らを落ち着かせたり、逃げ切らせたりとサポートはしますが、
必要ならば√能力で補いましょう
大丈夫です、貴方がたは、必ず救われる
それが私の職務ですから

 嫌な言葉を聞いた。気がする、では済まされない、楽観的に考えることはもうできない。テオ。テオドール。何度も名を呼びながらオルガノン・セラフィムへと手を伸ばし、飛び出そうとする天使を抱えて制止するその腕に力が入る。
 瀬条・兎比良(|善き歩行者《ベナンダンティ》・h01749)は強く、金属に変異した双子の冷たい体を抱きしめる。
 泣いている、喚いている、呼ばれた『それ』がこちらを見ている――。

「……理解しているとは、思いますが」
「でもっ、でも……!」
「テオ……」
 泣きじゃくる双子。だが、彼らも理解しているのだ。あれはもう、自分たちが知った存在ではない。良き隣人たちは変異してしまった。真に|善き《・・》人々だけが、彼らのように『残されて』しまった。
 彼らの泣き叫ぶ声は正しい形では届かない。ただ、えものがいる。ゆらりゆらりと揺れ今にも迫ってこようとするその姿。……天使たちはまだその場から離れる気になれないらしい。金属の重い体、二人を抱えるには文字通り少々重荷か。

 ――|【物語】「心無き物の狂想曲」《ディアアンデルセン》。
 300年間の呪い、あるいは300年後の祝福。……現れるのは、人魚の泡影。美しい声色が静かに響く。小夜啼鳥の歌、優しく、柔らかく。双子をあやすように。突然現れた人魚に困惑する彼らだったが、次第に落ち着いてきたようだ。
 ……鼻をぐずらせていた彼らだったが、しばらくして兎比良の手を取り。彼に導かれながら、その場から逃走する。

 周囲を警戒しつつ、葬列から離れる。暗い森の中、先を行く双子に安全な道を指示しながら森の中を駆けていく。
 喧しいパレェドから、行進曲から離れ、人魚の甘い声を聞きながら森を駆けていく。

 ……ここまで来れば、ひとまず安全だろう。息を切らし、まだ微かに聞こえる音を頼りに振り返り、口惜しそうに唇を噛む彼ら。不安そうに震える二人へ、兎比良は優しく声を掛ける。
「大丈夫です、貴方がたは、必ず救われる」
 それは、気休めなどではない。自らと仲間を、そして『天使』たちを信頼した言葉である。
「……どうして、そんなに」
 双子の片割れが小さく呟く。不安そうに、困ったようにまばたきをする彼。その頭をそっと撫でて、兎比良は頷いた。
「それが私の職務ですから」
🔵​🔵​🔵​ 大成功

詩匣屋・無明
【寂煙楼】アドリブ歓迎
ほう、わしに子守をさせるか。まあよい、子のあやし方も知らぬ不器用な男なのだろう。でなければ、幼子の目の前でかような――人殺しの本能とも謂える――闘い方などするものか。子供にはちと刺激が強かろう……許してやってくれ。目を瞑り、耳を塞いで待つとよろしい。悪い夢が覚めるまで抱いてやろう。

【百話目の怪談】
正しく、血と肉が踊るパレェドだ。悪夢の坩堝だ。酷く歪んだサァカスの特等席に座して己は見物といこう。無理にでも舞台に誘うのならば、子供に手を出そうものならば、わしの領域に踏み入ったと知れ。
蝋燭の火を灯し、語るは百話目。
どのような法螺話も全て真になり得る。
その首を落とすのも容易いぞ。
玉巳・鏡真
【寂煙楼/2名】
アドリブ歓迎

耳障りな音を震わせやがって。昏い森によくお似合いだ。
……憐れには思うが慈悲は無いさ。早く楽にしてやった方が良いようにさえ思う。
とりあえず、だ。子どもたちに無理も無茶もさせられねえ。
|爺さん《詩匣屋》、子守りを頼めるか?守るのはどうにも不得手でな。
アンタに任せりゃ安心だ。

|封魂煙《たばこ》の煙で肺を満たす。吸えば理性は灰となり。
残るは|蝉の抜け殻《おのれ》が一つ。
――人には得意分野があるだろ。
不本意だが、殺し方だけはよく知ってる。
混戦乱戦お構いなしだ。隠密に徹すれば死角に潜り込むのもたやすい。
気づくのは俺がその身体を掻っ切ってから。
ああ、【蟲の羽音】がやかましいや。

 耳障りな音が鼓膜を震わせる。昏い森によくお似合い、奏でられる|行進曲《マルシュ》はいまだ、喧しいまま。
 圧死した屍を踏み荒らしオルガノン・セラフィムは天使を、ひとを求めて爪を伸ばす。彼らに意識など最早ない。意思はひとつ。この葬列の参列者を切り刻んでいたのだ。すべてをうばうだけ。
 失った肉も皮も戻りはしない。憐れには思うが、慈悲は無い。そんなものをくれてやるより、早く|楽にして《殺して》やった方が良いようにさえ思う。天使たちを守るように並び立つ玉巳・鏡真(空蝉・h04769)と詩匣屋・無明(百話目・h02668)。

 一先ず。|彼ら《天使達》に、無理も無茶もさせられない。
「|爺さん《詩匣屋》、子守りを頼めるか?」
 守るのはどうにも不得手。自らのことだ――|理解《・・》、している。火を熾す鏡真の姿を見ながら、ほう、と小さく笑う無明。
「わしに子守をさせるか」
「アンタに任せりゃ安心だ」
 これから何が起こるのか、何を起こすのか、互いに理解している。子のあやし方も知らぬ不器用な男。小さな青い瞳がじっと鏡真の姿を見ている。天使たちの視界を遮るようにしながら、彼らに後退を促しつつ無明もゆっくりと下がっていく。

 火を点けた|封魂煙《たばこ》の煙が肺を満たしていく。吸い上げる煙、ぢり、と理性と共に、煙草の先が灰となり。
 残る|蝉の抜け殻《おのれ》。羽化したのは、ああ、なんだっただろう。これら『なりそこない』どもも、このように殻を割ってしまったのだろうか。

 ――ああ、おまえたちが向かうべきサァカスは、もはや「あちら」にはない。『此処』にある。
 人には得意分野があるだろ。鏡真の思考、語る、語る。
 たとえばそう、そこのアンタだ、切れっ端を大事そうに纏った。捕食しようと爪を伸ばすアンタ。不本意だが、このような「ひとがた」の殺し方だけは、よく知っている。

 伸ばされた爪は届かない。はらわたを掻っ切るナイフ。食らいつこうとした顎を肘で打ち、よろけたその喉笛がばくりと『咲いた』。

 キリング、キリング。崩れ落ちるからだに気を取られたオルガノン・セラフィムたち、気に留めぬ葬列、その間に潜り込んだ鏡真がなりそこないの背骨を砕いた。ばきりと二つ折り、抵抗出来ぬまま落ちる肉体。

 さあさ血と肉が踊るパレェド、サァカスの幕開け! 悪夢の坩堝! 観客はだあれ? 少しは居る、けれど本来だあれもいない。
 だって皆このように、葬列に加わっているはずだから!

 頭で喚く人殺しの本能のままに踊る彼。幼子に見せるわけにはいかないと、天使の女性が息を呑み、抱えた子のその目を手で塞いだ。何もわかっていないのか、その手を退けようとする子供。震える女性が膝から崩れる。目を見開く彼女たちに無明が落ち着かせるように、優しく声をかける。
「ちと、刺激が強かろう……許してやってくれ」
 目を瞑り、耳を塞いで待つとよろしい。悪い夢が覚めるまで抱いてやろう。これは、ただの悪夢である。
 だがそこの女。目を閉じたはいいが、すべて「みえて」はいないか? 顔ごと背け、それでも。音のない一撃にすら震えるその姿は――。
 ああ、酷く歪んだ、醜いサァカス。その特等席に座しているのは己だけではないようだが。見物といこう。

 鏡真の手から逃れたか、セラフィムが数匹迫りくる。無理矢理にでもこの列へ。主役はそう、自分たち。おまえたちもそうあるべきだと。ぐるり向いた葬列――まったく積極的である。それが、彼の領域に踏み入る事となるとも知らずに。

 ああ火が灯る。吹き消してはならぬ蝋燭に。百話目の怪談が始まる。死神は知っているか。おまえたちの頭ひとつ、ひとつ、それが蝋燭よ。
 それを刈り取るものが何か、ご存知か? 悪念の塊。だがこちらでは、「このような姿」をしているという。
 ――グリム・リーパー。アレゴリのひとつ。巨大なる|髑髏《されこうべ》、それが手に握る大鎌が静かに、すうと引かれた。
 セラフィムの首が、参列者の首がぐらついた。
 ぽろりと首が落ちた。熟れた果実のように。

 ――響く|蜩《ヒグラシ》の声。葬列の奏でる曲よりもずっと、やかましいや。|蟲の羽音《アンセトリングバズ》はまだ、鏡真の脳の中。炙られる理性のどこか、すみっこで――誰かが、耳を塞いだ気がした。

 ……あぁ、消える……。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

澪崎・遼馬
アレンジ・連携歓迎。

どうやら天使は保護できたようだな、流石だ。
あれがオルガノン・セラフィム。元は人間だというのに、ああも人間離れしてしまうのか。外見も中身も。天使の子の反応を見るにセラフィムが脱ぎ捨てたのは−−−−−−いや、どうであれ今は排除することだけを考えよう。

『聖者本能』は厄介な能力だが、要は回復するより早く殺し切れば良いだけだ。『貴方の為の葬送曲』を使って銃撃を繰り返す。範囲攻撃なら祝福を受けた敵も纏めて攻撃できるはずだ。ショーにしてもパレードにしても音楽が必要だろう。似合いの曲をくれてやる。
「望み通り主役にしてやろう。キリング・パレェドではなくブラック・パレードの、だが」

 パレェドから逃れる天使たち。笛吹が高く高く音を鳴らす。まったくもって不愉快極まりない不協和音が響き渡り、|葬列《パレェド》の奏でる音が徐々に乱れていく。

「どうやら天使は保護できたようだな、流石だ」
 短い称賛、だが最大限。澪崎・遼馬(地摺烏・h00878)の見つめる先には、未だ途切れぬオルガノン・セラフィムたちの姿。元は人間「だった」。今となっては人ならざる。
 人間離れと呼ぶにもまだ歪、何と形容すれば良いのだろうか。あれは肉か、それとも金属や機械なのか。ぎちぎちと不気味に蠢く群れ。

 脱ぎ捨てたのは肉体。失った精神。得たものはあのような、ひとを捨てた体。本能で振る舞うも、すべては満たされぬ。本来なら。このような『病』に罹らなければ、人間でいられたのだ。ヒトでいられたのだ。ああ、あの切れっ端、元が誰だったのか――。
 ただ、今は排除することだけを。弔うためにも準備と相応のものが必要だ。この葬列が行く先は、火葬場やら墓所ではないのだから。
 銃口を向けられた『それ』が遼馬へ頭を向け、ぎり、と首を傾げた。

 ショーにしてもパレードにしても、良き音楽が必要だ。|このような曲《行進曲》ではおまえたちは満足できない。そのまま葬列を切り裂いていけば、いつかはそんな曲すら失うだろう。
 似合いの曲をくれてやろう。
「望み通り、主役にしてやろう」
 オルガノン・セラフィムへ。もはや生者とは呼べぬ彼らへと。
 ――死者のために贈られる、最期の音。一発、二発、掃射。降り注ぐ祝福。それすら撃ち抜く無数の弾丸。
「キリング・パレェドではなくブラック・パレードの、だが」
 引き金を引く音すら、ひとつの楽曲へと昇華する。再生は間に合わない。襲いかかろうとする爪を遼馬の放つ弾丸が砕き、頭部を撃ち抜かれた。向かってくる葬列の参列者すらも掃討していく弾の数々。どれだけ撃とうときりがない、とはいえ確実に数は減っていく。

 聖者の行進、途切れぬそれに終止符を、最後の一体まで狩り尽くそう。セラフィムが呻くように関節を鳴らす。人間とはかけ離れた腕の角度、遼馬を求めるように爪を伸ばす。
 それを撃ち抜く黒衣の男の弾丸。|貴方の為の葬送曲《ベルリオーズ》は高らかに響いていく。葬送と勝利を。幻想を奏でて。
 この音こそが、彼らが最期に聞く音となるように、願う。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

禍神・空悟
連携アドリブ可


んだよ、騒がしいのは終いか?

それとも次は俺達が楽器になって騒ぐ番かよ?

ま、どっちにしろ鳴くのはテメェらの方だろうがなクラウン共


引き続き天使は他の奴らに任せ、真正面からオルガノン・セラフィムに接敵し少しでも天使の方へ逸れる数を引き付ける

牽制、捕縛、強撃、要はそっちから俺の間合いに近づいてきてくれるんだろ?

踏み込む手間が省けてありがたいこった

敵の攻撃は回避せず装備と言える程に鍛え上げた『鉄壁』の肉体で受け、至近から百錬自得拳を叩き込む

特に【異様な開き方をする口】による強撃の時は敵の方から頭をこっちに寄せてくれるんだ

その機を逃さず頭ブチ抜いてやるよ

一体ずつ途切れるまで確実に殺していくぜ

 セラフィムへの攻撃に巻き込まれ数の減った葬列、その参列者。楽器の足りなくなった行進曲は単純なものへと変化していく。それでもまだ奏でられる音、雑踏、先の見えない黒衣と、衣類も肉も脱ぎ捨てた天使のなりそこないたち――。

「んだよ、騒がしいのは終いか?」
 笑う禍神・空悟(万象炎壊の非天・h01729)への返答は当然ない。だがその代わりに、飛びかかる影がある。真正面から迫るオルガノン・セラフィムに上等だとばかりに拳を打ち付け、その脚を払って転倒させた。
「それとも次は俺達が楽器になって騒ぐ番かよ?」
 ああ、是である。奏でられる天使の悲鳴を歌声とし、歩こうとしていたものたちだ。回避する必要もなければ、その場から動かずとも良い。餌がある。肉がある。皮がある。それだけで寄ってくる知性の薄い『それら』への対処は簡単なものだ。踏み込む手間が省けるというもの。
 転倒したなりそこない、その頭を踏みつけ砕くと同時。次なるオルガノン・セラフィムが伸ばしてきた爪を掴み上げ往なし、背骨を膝で叩き折る。

「ま、どっちにしろ鳴くのはテメェらの方だろうがなクラウン共」
 なあ、ゆかいなピエロども。爪の牽制を半歩で避け、飛び出すはらわたを掴み上げ。食らいつこうと顎がギリギリと開くその口へと叩き込まれる空悟の拳。
 まともな声帯、ありはしませんが、このようにぎちりと音を鳴らしてみせるのだ。ならばそれを声としよう、音としよう、曲としよう。貫かれ引き抜かれ、膝から崩れるセラフィム。

「おーおー、どうしたよ? やる気ねぇのか? あんだけ居たクセに随分貧相になったもんだなァ!」
 倒れ伏した『仲間』であっただろうなりそこないたち。その溢れ出したはらわたを踏みしめ、まだよろよろと歩き、こちらへと向かうセラフィムたちへ空悟が手招きをする。
 情けだ? 今更何を。物事は単純な方が良い。こちらを害するために存在しているのだ。『天使』を求めて葬列を成しているのだ。群れてはじめて戦力となる。そんなものにかけてやる言葉などありはしない。
 背から忍び寄ろうとしていたなりそこないの頭部を空悟の肘が打ち砕く。一撃で崩れ落ちるその肢体。
 萎びた草を踏み。血反吐と肉と金属、骨、それらで脚を汚し。ゆらり。悪夢は揺れる、悪夢は潰えていく。一体、また一体。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

ふみゃ~……あれを超えてきましたか……結構疲れたのに……
まぁ、いいですけどね…念のための事前準備も兼ねていましたから
では、安全のために倒しましょうか


(√能力を使用。隷属者を呼び出し突撃させながら後方で観察)

んぅ、再生力があるようですね……普段だったらこのまま永遠に森の肥やしに使ってやると言っている所ですが……流石に相手が相手だけに自重しましょうか

(あまり前には出ずに、隷属者を増やしながら一体一体確実に倒し、数を減らしていって。)

ふにゅ…こういうのはお腹に収め辛いですからね。
とりあえず、しっかりと倒してはあげますから…
それで満足して終わって下さい……それ以上はもうあげれません

「ふみゃ~……あれを超えてきましたか……」
 呟くは神咲・七十(本日も迷子?の狂食姫・h00549)。いびつな森を形作り、ぐるぐる、ぐるぐると|葬列《パレェド》をその場に留め。
 ぐるりぐるり、いまだ葬列は回っている。デス・スパイラル。アントミル。死の行進。そのまま進み続ければ、いずれは死を迎えていただろう。
 迷って迷ってここまで届かなければ良かったのだが、行き先不明の行進は、どうやらひとまずの駐在点を見つけたらしい。
 ここでサァカスを開こう。興行を。凶行を。主役をみつけたのだから。

「結構疲れたのに……まぁ、いいですけどね」
 愚痴を言っていられる場合でもない。事前準備も兼ねていた――この地において利があるのは己。絶対者と呼べるほどの。

「では、安全のために倒しましょうか」
 天使たちは葬列から離れた。のであれば。

 体内の異界から創造される住人の召喚。各々の標的に放たれる隷属者、自分自身は後方に下がりつつその様子を窺う。
 隷属者たちがなりそこないたちの体をへし折り顎で食らいつく。だがそんな彼らの体は、降り注ぐ祝福によって徐々に回復していく。数の暴力同士とはいえ、一体、一体と互いに、徐々に数を減らしていく。
 関節をひねる。外れる。顎が開く、肉に食らいつく。派手に引き伸ばされ千切られる皮膚、咀嚼しようとしたが、オルガノン・セラフィムの顎からはぼたぼた、隷属者の肉片が落ちていく――。

 普段であれば、このまま森の肥やしへと。だが今回の相手は元を辿れば――それを言ってしまえば、隷属者たちとて、彼女が『食らった』ものとたいして変わりはないのかもしれない。しかしそれでも。多少の慈悲というものはあるものだ。

「ふにゅ……こういうのはお腹に収め辛いですからね」
 だって、歯ごたえぜったい、わるいので。後味もきっと、すごくわるい。おなかにおさめづらくてまずいのなら、無理に喰らう必要はないのだ。
 噛みしめればきっと金属の味。はらわたも同じように、肉の味がするのかどうかわかりはしない。

「とりあえず、しっかりと倒してはあげますから……」
 それで、満足して、おわって。
 それ以上はもうあげられない。渡せるものはなにひとつない。

 チョコレートのひとかけら。それすらおまえたちは、味わうことはできないのだろうから。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

夜白・青
追い方が激しくなってきたなら、こっちも力で押しとどめないとねい。
怪異でできた葬列ひとつ、灰に帰して清めるねい。

ドラゴンプロトコル・イグニッション使用。
葬列と天使の人たちの間をふさぐようにドラゴンの姿に変化し、灼熱のブレスでオルガノン・セラフィムを燃やしていくねい。
猛獣ショーならこっちの方が本場もの。牽制も捕縛も強撃も、全部弾いて焼き尽くすねい。
人をさらうパレードもサーカスの出し物も、カーテンコールも不必要だねい。

共闘・アドリブ歓迎だよう。

 激しい戦闘、ぐるりとまわる怪異たち、その屍を踏みしめ歩くオルガノン・セラフィム。
 対話の通じぬ相手にかける言葉は見当たらない。夜白・青(語り騙りの社神・h01020)は爪を振るってくる彼らの腕を避けながら、その様子を観察する。どれもこれも。誰も、彼も。元が人間だったとは思えぬ姿。

 葬送の火を。土の中に眠れるならば、それが一番良かったのかもしれない。だが彼らは「やりすぎた」。本能のまま――この葬列に加わる前に、彼らはおそらく既に、『喰らっている』。張り付く肉片。参列者を切り刻んでいた事実。『天使』は何故、逃げてきたのか?
 ――人としての道理を外れてしまった彼らには、善き未来は待ち受けていない。
 青の見つめる先、何もかもをかなぐり捨て、こちらへ向かってこようとするオルガノン・セラフィム。

 ……怪異でできた葬列ひとつ、灰に帰して清めてやろう。
 ――ドラゴンプロトコル・イグニッション。ばきり逆立つ青の鱗、巨大な真竜へと変化した彼の吐息が、森を舐めた。
 焼けていく。燃えていく。とけていく。参列者も、セラフィムも。灼熱。灰になる。金属が溶ける。何が何だか分からぬものが炭化する。

 ――猛獣ショーはお好き? こっちは本場もの!
 火をも恐れぬ獅子だけがこの輪を潜り、我が体に噛みつきたまえ! ただそれで餌にありつけるかは、まったく別の話だが。
 群がるセラフィム、翼の羽ばたき、尾を振るう、森という広いようで逃げ場のない戦場においてその体は凶器である。
 ひと撫で。それだけで、払われてしまう。圧倒的な力にはリスクも伴うが――この調子であれば、何ら問題、ありはしない。掃討だ。慈悲の炎。すべてを灰に帰すために。

「人さらいのパレードも、サーカスの出し物も、カーテンコールも不必要だねい」
 たとえこの葬列、続くとしても、長くは持たない。まだ抵抗を続ける――否、自らの本能に従うしかない彼らの足掻きは、踊る様は。どうにも滑稽で、あわれで。同情を誘う。だがそんなピエロのお辞儀は、もう必要ないのさ。

 葬列……葬列……パレェド……ゆかいな。おんがく。
 すべて自ら、火葬炉に入り。そうして、列はようやく途切れた。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 ボス戦 『羅紗の魔術士『アマランス・フューリー』』


POW 純白の騒霊の招来
【奴隷怪異「レムレース・アルブス」】を召喚し、攻撃技「【嘆きの光ラメントゥム】」か回復技「【聖者の涙ラクリマ・サンクティ】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[奴隷怪異「レムレース・アルブス」]と共に消滅死亡する。
SPD 輝ける深淵への誘い
【羅紗】から【輝く文字列】を放ち、命中した敵に微弱ダメージを与える。ただし、命中した敵の耐久力が3割以下の場合、敵は【頭部が破裂】して死亡する。
WIZ 記憶の海の撹拌
10秒瞑想して、自身の記憶世界「【羅紗の記憶海】」から【知られざる古代の怪異】を1体召喚する。[知られざる古代の怪異]はあなたと同等の強さで得意技を使って戦い、レベル秒後に消滅する。
√汎神解剖機関 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 葬列は止んだ。森は開けた。そうして、女は降り立った。

「随分と派手な『パレェド』だったようだな」

 不治の病、治療法を求めたか。否、彼女が「来い」と手招いた。
 行き着く先は彼女の元であった怪異ども。そしてなりそこないは既に地に臥せている。『アマランス・フューリー』は不快そうに、焼け焦げたそれらが放つ臭気に己が纏う『羅紗』を口元へとやった。
「それで? 『興行収入』はあの『四羽』だけか。残念なことだ」
 まったく。残念だなんて、思ってもいないくせに。首を傾げる先、天使の逃げた方向へと視線を向け。彼女は小さく鼻を鳴らす。

「相手をしよう。連れ帰らねばならない。理由は今更だろう?」
 寄越したまえ。
 女の目は、どこまでも正気である。
四之宮・榴
アドリブ・アレンジ・連携歓迎。

心情
…『羽』? …|人《・》ではなく、|羽《・》と謂いました、か…?
…何故、人類として…カウントしないんですか?
…なんで、こうも人権を…蔑ろに…?
…理解できないし、理解したくないですが、遠慮なくご帰還頂くとしましょう…

行動
…瞑想させなければいい。ただ、それだけ。
だから、僕の援護は|半身《レギオン》に。ミサイルを不規則に。でも絶え間なく隙をあげない。
26体の同時起動は脳を焼き焦がす可能性がありますが、そんなのは二の次です。
数も揃えば、意外とばかにできないのですから。視界を奪えば回避も自ずとし易くなりますし、天使様も隠せる。タロットの愚者の逆位置は気にってくれますか?

 今、この女は何と言った。
 一羽は一羽。二羽は二羽。翼を持つものの数、あるいは長耳をもつものの数。いち、にい、さん、よん。わざとらしく、女性らしい、細い指が天使を数えていく。
「四羽だ」
 彼女に半端な良識は通用しない。首を傾げる? 不可解そうにする? そのような態度すら見せず。常識があれどそれを捨て去り、|新物質《ニューパワー》を求める。羅紗の魔術塔は容赦しない。神秘をもって怪異を退ける、そのためならば――。

「何故、人類として……カウントしないんですか?」
「人類の定義から話せと? そのような余裕はない。|新物質《ニューパワー》を求めている。黄昏を迎えたこの世界が、ようやく一歩『進みかけている』――それを阻もうとしているのはどちらか、理解しているのか?」
 ――なんだって、する。

 遠慮する必要はない。理解する必要もない。明確な、相容れぬ相手がそこに立っている。数多の屍を踏み、そこに。
「では……記憶の海へ潜ろう」
 瞑想が、始まった。

「……させない!」
 脳が焼ける。物理的。インビジブルが補う。一時的。シナプスが爆ぜる音は鳴り止まない。苦痛を代償に、己の肉体をひとかけら切り取るようにして、|半身《レギオン》を呼び出す。ミサイルを不規則に発射させる。
 咄嗟に腕を振るうアマランス・フューリー。詠唱が一時的に、中断された。

「ふむ……阻害。阻害か、よい選択だろう」
 纏う羅紗でレギオンの攻撃を弾き、そして布を振るうようにして幾らか叩き落とす彼女。何度も撃ち抜かれて、何度か中断されるも、二十六。
 ――瞑想を、終えた。騒がしい中でも終えるその胆力は正しく『本物』の魔術士である。閉じていた目、天使は見失ったようだが。

 ――喇叭。翼に喇叭だ。
 羽根がまばらに生えた翼、それが癒着した肉塊。尖る口らしきものが喇叭を加え、手らしきものがそれを持つ。鳴らすは不愉快な音、思わず耳を塞げばレギオンが落ちていく。恐怖。困惑。脳を埋め尽くすよく分からぬ曲の、歌詞のような――。

「善きパレェドの締めには、善き音が必要だろう」
 だが……『天使』の覚えた恐怖に比べれば、こんなもの! 頭部を狙い放たれたタロットカードがアマランスの手のひらへと突き刺さる。
 彼女は爪の先でつまむようにそれを取り、くるりとひっくり返してみせた。

 ――『愚者』のカード。ふ、と、女は笑む。
「――似合うは審判、不滅なり」

 どこまでも、不愉快なひと。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

禍神・空悟
連携アドリブ可


興行収入?

皮算用って言葉を知らねぇんだな

それとも六文銭でも強請りに来たか?

卑しい奴だなぁ、羅紗緬と笑われちまうぜ?


召喚、指示、奴隷怪異自身の行動、なにか事象を起こすのに敵は少なくとも三手を要する

ならその三手の内に敵の懐奥深くに踏み込み√能力を叩き込む

装備と言える程に鍛え上げたこの肉体が有する五感をフルに使って敵の召喚の初動に踏み込みを合わせ『不意打ち』だ

奴隷怪異がなにをしようが常に体術の間合いに喰らい付き攻撃を途切れさせねぇよう攻め続ける

防御も回避も捨て、全てを攻撃の為の一手に替えていく

殺しに来てんだ

なにを捨てても必ず完遂するぜ


さて、テメェの羅紗の重さはどれほどになるんだろうな?

「興行収入? 皮算用って言葉を知らねぇんだな」
 アマランス・フューリーにとって、此度の『パレェド』はまさしく皮算用であった。たった四羽――されど四羽。彼女でなければ唇やら爪を噛んでいてもおかしくはない。『一羽』相手に苦戦を強いられ、撤退を余儀なくされる時もあるのだ。此度の事件において広く手を広げた彼女、こぼれ落ちる天使の数も相応、そして相手をする√能力者の数も同様である。

「それとも六文銭でも強請りに来たか? 卑しい奴だなぁ、|羅紗緬《らしゃめん》と笑われちまうぜ?」
「下品な言葉を使うものだな。遊女ならばもっと上手く誘惑をするとも」
 禍神・空悟(万象炎壊の非天・h01729)の挑発に、そうは返せど彼女は冷静。一触即発の空気、先に動くはアマランス・フューリーだ。

 召喚するは奴隷怪異「レムレース・アルブス」。白き悪霊。冥府に行けずさまよう魂。その隙に空悟がアマランスの懐へ潜り込む。この手の術を使うもの、本体を叩くに限る……!
 不意打ちは見事に。胸骨を打つ一撃、一瞬彼女の呼吸が止まった。睨み、声なく怪異に命じるは排除である。空悟を狙い叩き潰そうとする怪異の腕を蹴り上げて退けてからアマランスに迫り、殴りかかる。羅紗を振るいそれを阻むも、そのままの勢いで途切れぬ空悟の体術が彼女へと痛打を与えていく。
 アマランスにとって不得手な距離感だ。かといって、彼女自身が√能力以外の自衛手段を持っていないわけではない。彼女が羅紗を振るえば、まるで打撃のように布が空悟の体を打ち――だが、彼は退かなかった。
「……死にたいのか?」
「殺しに来てんだ」
 にやり笑う空悟。眉をひそめたアマランス。――その一瞬の動揺を見逃さなかった。空悟の前蹴りが彼女の腹へ炸裂し、地を転がる女。血液の海から立ち上がるその姿、真っ白な衣類が血と臓物で汚れ。舌打ち――。

 それを見てからりとした笑い声を上げる空悟。
「さて、テメェの羅紗の重さはどれほどになるんだろうな?」
 ずいぶんと汚れちまったみてぇだが。続く挑発に、流石の彼女も不愉快そうに目を細めた。

「……この世に、私に価値を付けられる者はいないさ」
 強がりか――それとも。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

澪崎・遼馬
アドリブ連携歓迎

もう十分だ。十分に彼女達は喪ったはずだ。ゆえに、これ以上何一つ奪わせはしない。それが彼女達の日常を守れなかった当人の責務なのだから。
「あの4人は渡さん。代わりに迎えの御使いなら呼んでやろう」

右腕と溶け合う双銃、右腕に咲き乱れる翼。覗くガン・バレル。『祈ることでしか逃れられない苦痛』を与える魔銃ネバーモア。

最早工夫や小細工は不要だ、真っ向勝負といこう。防御や回避は二の次にして攻撃を最優先、ネバーモアで魔女を撃ち続ける。
これで魔術師を仕留めたとして、所詮は仮初めの死だろう。だが、それでも−−−
「連れて行かれるのは貴様の方だ。行き先が天国か地獄かは知らぬが、精々天国であるように祈れ」

 もう十分だ。
 もう、十分に彼女たちは、喪ったはずなのだ。家族、友人、知人、ありとあらゆる「見知ったひとびと」を。

 ゆえに。これ以上何ひとつ奪わせはしない。右手に握る銃へ意志を込め、澪崎・遼馬(地摺烏・h00878)は、彼の目前で自分の衣服の塵を払うアマランス・フューリーを見た。
「あの四人は渡さん。代わりに迎えの御使いなら呼んでやろう」
 ――|彼女《「天使」》たちの日常を守れなかった、|当人《自分》の責務。罪なきものたちの罪を己の内に抱え込んだ彼が、アマランスへと銃口を向ける。明確な敵意を向けられようと彼女は、変わらない。
「御使い? 私へ奴隷を献上しようと?」
 ふ、と鼻で笑った女。だが彼女に向けられた『それ』は、ただの御使いではない。

 彼の右腕と銃が溶け合う。添えた左腕、双銃が咲き乱れる翼に埋もれ、混ざり、そうして咲き誇る――!
 向けられたガン・バレル。眉をひそめたアマランスが動いた。羅紗を振れば浮かび上がる文字列。輝くそれが遼馬へと向かうも、彼は避けようともしなかった。ぢりと焼ける肌、脳に染み込むような痛み。
 工夫や小細工は不要――真っ向勝負。真正面から、撃ち抜く!
 放たれた銃弾、一発目は羅紗が弾く。だが連射されるそれを捌き切ることはできない。輝く文字が目潰しをしようと迫るも、遼馬はその程度の輝きで眩むような目は持っていない。

 肩を貫通する弾丸。その瞬間、アマランスの動きが止まった。

「……ッどいつもこいつも、肝が座っているな――」
 唇を噛むアマランス。苦痛。その身を苛むそれへの対処。魔術士は放たれる弾丸をどうにか避けつつ思考する。何だ。これは、魔術か? 魔法か。どう対処を――思索に耽る彼女へ、遼馬が吐き捨てるようにアマランスへとこう告げる。

「祈れ」
 魔銃ネバーモア。祈ることでしか逃れられない苦痛。
 その指を組み、己の神に祈るがいい。この苦痛が二度と続かぬように、と。

 ここで彼女を仕留めたとして、所詮は仮初めの死。√能力者たる彼女だ、どこかでまた復活し、再度「天使」を追うことだろう。
 だが、それでも――殺さぬ理由はない。

「連れて行かれるのは貴様の方だ」
 パレェドの行き先たるおまえ。
「行き先が天国か地獄かは知らぬが、精々天国であるように祈れ」
 その「おまえ」の行き先が、どこか、考えたことはあるか?

「……は。どこでも良い、そこが黄昏の地で無いのなら!」
🔵​🔵​🔵​ 大成功

継萩・サルトゥーラ
R-Eマスターにおまかせします。かっこいい継萩・サルトゥーラをお願いします!

アドリブ歓迎。
「やったろうじゃないの!」
「まぁ焦んなや、楽しいのはこれからだ」

√能力は指定した物をどれでも使用ます。
戦うことが好きで好きで楽しく、戦闘知識や勘を活かしてハデに行動します。
楽しいからこそ冷静でいられる面もあります。
多少の怪我は気にせず積極的に行動しますがヤバいときは流石に自重します。
仲間との連携も行えます。
軽口を叩いたりやんわりと皮肉を言ったりしますが、他の√能力者に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!

 ここはどこだ。自分は誰だ。そんな事はどうでもいい。僅かに混濁した思考と脳、かき混ぜられたそれは直ぐに「正気」へと戻った。駆けつけた戦場、その惨状を見て一瞬。思い出した、だけで。
 戦場へと立つ継萩・サルトゥーラ(|百屍夜行《パッチワークパレード・マーチ》・h01201)は足元、戦場を覆うほどの屍と肉の数に辟易とした表情をしながらも、確りと目的を理解していた。
「ったく、コレは何だよ、あんたの仕業か?」
 いまだ「天使」を探し周囲へと視線をやる、目前の魔術士。アマランス・フューリー。それを滅するために、ここに立っているのだと。
「ああ、お前たちに言わせれば、私のせいなのだろうな」
 現れた新手に視線を向けるアマランス。まるで他人事かのようにサルトゥーラへそう応えると、彼女はふ、と小さく息を吐き、瞑想のためにか深く息を吐く。

「随分余裕そうで何よりだぜ――アバドン展開ッ!」
 ――5番目の天使が喇叭を吹く。ぎらりと|C《サルトゥーラ》の義眼が輝いた。|葬列《パレェド》が奏でていたあの笛吹の音色は既にない。展開されるアバドンプレイグ、大量のドローン兵器「アバドン」が放たれる。

「黙示録か」
 不快そうに呟くアマランス。妨害されること自体は慣れたものだ。たった10秒、されど10秒。喇叭の音の代わりに轟くはミサイルとレーザーの音だ。記憶の海へと潜り瞑想するその秒数で、彼女の体は傷ついていく。

 現れる異形、|蝗《イナゴ》の群れに覆われ正体の見えぬ怪異。それが、すっと『手』にするは指揮棒。
 振るわれるそれに合わせて、己の体に纏わりついた蝗の群れが動きサルトゥーラを襲う。それをドローンの攻撃と浮遊する大型ガトリング砲で撃ち落とす。
「あっはは! 楽しくなってきたじゃねえか! ちょっとキモいけど!」
 なにせ飛んできているのは虫の大群なのだから。蝗の群れの合間を縫いアマランスへと迫るサルトゥーラ。

 群れを突っ切り、半ば唐突に目前へと現れた彼にアマランスが目を見開いた。
 近距離で炸裂するショットガン。かふ、と血を吐く音。いまだ向かってくる虫を払いながら、サルトゥーラがへらりと軽口を叩く。

「で? 黙示録がなんだって?」
 ショットガンを肩に担ぎ。ふんっと鼻で笑う彼に、魔術士は小さく舌打ちをした。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

詩匣屋・無明
【寂煙楼】アドリブ歓迎
お主、わしが幽霊であることを忘れておらぬか。何かに触れるのにも手間が要るのだぞ。――かぷかぷと煙草を呑んで苦言を呈す。肉体がない身軽さは気に入ってはいるが、こうした唐突なお願いには些か不便で仕方ない。

わしが担がなくとも、サァカスの帰りにはバスに乗って楽しい思い出を語り合うものだ。なに、こんな所にバスなど来ないと申すか。ならば呼べばよろしい。《バス停》を地面に立てて幽霊バスを待とうぞ。そのしばしの時間、わしも手伝ってやるとも。

【巷説・鬼語り】
此処らで名立たる化け物の威を借りよう。ヨーロッパの森、古から語り継がれた悪鬼を象り。さあ、地獄からの生還。黄泉帰りといこうではないか。
玉巳・鏡真
【寂煙楼/2名】
アドリブ歓迎!

責任者さまのお出ましか。
なかなか盛大なパレードだったが何から何まで趣味が合わねえ。
あんなのに預けるなんてクソくらえ、だ。
詩匣屋。子どもたちを連れてとっとと森を出よう。
アンタ怪力なんだし二人ぐらい担いでいけるだろ。二人とも頼むよ。
俺はやるにしても|コレ《ナイフ》しかないからな。アンタの近くの方が安心だ。
そういやそうか。幽霊ってのは不便だねえ。

子どもたちを連れて森の外に出よう。
敵からの攻撃や妨害は【意識外の犯行】でやり返して、子どもたちには被害が被らないようにうまくやりてえな。

 責任者さまのお出ましだ。パレェドの先頭、向かうべき先、葬列、それが向かう先がこの女。壮大なパレードだったが何から何まで趣味が合わない。賑やかとは掛け離れた雑音であった。
 あんなのに預けるなんて。クソくらえ、だ。圧し折り攫おうとする|葬列《パレェド》など。玉巳・鏡真(空蝉・h04769)が眉をひそめ、「天使」たちを連れて森の中を抜けていく。

 ――「天使」と人影。遠く見つけたそれを見て、アマランス・フューリーが羅紗を振るう。輝く文字が浮き上がり、遠方から放たれる攻撃。それから天使たちを守るように立ちふさがり、肌を焼くそれを鏡真が受ける。

「詩匣屋。とっとと森を出よう。アンタ怪力なんだし、二人ぐらい担いでいけるだろ」
 二人とも頼むよ、爺さん。
 自分でやるにしても己の得手は|コレ《ナイフ》しかない。鈍く光る刃をちらりと見ながら鏡真は言う。アンタの近くの方が安心だ。

「お主、わしが幽霊であることを忘れておらぬか」
 詩匣屋・無明(百話目・h02668)はやや呆れた様子で。かぷかぷ、煙草を呑み、煙を吐き出す。ふわり風に乗るそれが示すは、森からの出口。さながら彼自身のような、掴みどころのない。「天使」の女性に抱えられた子供が、それを掴もうと手を伸ばして、すうと煙が消える。
「何かに触れるのにも手間が要るのだぞ」
「そういやそうか。幽霊ってのは不便だねえ」
 ――幽霊。かたちのないもの、だがそこに「在る」。「居る」もの。無明の肉体は既にない、その身軽さこそ気に入っているが、このような状況ではまったく不便なものだ。
 軽口の応酬をしながら女性と子どもたちを連れ、入り組んだ森を出ようと動いていく。

 最後のショーが始まる。カーテンコールが始まる。
 遠くで動くアマランス。瞑想を終え――記憶の海より走らせるは六脚の巨大な獣。駆け抜ける脚――それを迎撃するため、鏡真が走り出した。
 その背をちらり眺めて、「天使」たちへと向き直る。「あれ」なら大丈夫だとも。確かなる信頼関係がそこにある。

 鏡真が六脚を四脚にする。たった数秒。突撃してきたそれの脚、不意に消えたことで挫かれたそれ、その前二本を「持っていった」のだ。一瞬、一閃、ナイフの輝きすら見えぬ速度。
 勢いのまま地面に転がる怪異、木々を薙ぎ払い砂埃を立てながらも四足で立ち上がる――。

「……わしが担がなくとも、サァカスの帰りにはバスに乗って、楽しい思い出を語り合うものだ――」
「……バス?」
 呼べばよろしい。待てばよろしい。無明がふうと煙を吐けばぽつん、やや開けたところにバス停が立った。彼女たちにとっては見慣れぬ、√妖怪百鬼夜行における古めかしいそれ。

 さてしばしの時間――残り数秒だが、わしも手伝ってやるとも。
 名立たる化け物の威。ヨーロッパの森、古から語り継がれる悪鬼。トイフェルよ。煙を纏う体――山羊を忘れた神へと告げる。こちらの|獣《山羊》はもらっていこう。カシの木を探そう。巨大なり、山羊の頭に人の体!
 抉られ悪魔の目を借りたそれ、|地獄《黄泉》を見る目が、怪異を捕らえた。掬い上げるように無明の腕が振るわれる、心臓を掴む。怪力。それを引きちぎらんばかりに空中へ放り投げれば――鏡真に切り裂かれ、怪異は毛皮となって消えていく。

 そこへちょうどと突っ込んでくるは幽霊バスである。不運というべきか怪異の血飛沫を浴びて、ただでさえ錆まみれのそれがさらに物騒な見た目へと。

「では、楽しい話でもして帰ろうかね」
 何事もなかったかのように。煙の中から現れる無明、すっと無から現れた鏡真が天使たちの背中を押す。ぎい、建付けの悪い扉が閉まり。
 次は、|迴セ荳《うつしよ》駅前。|迴セ荳《うつしよ》駅前――。
「おい詩匣屋! 乗り心地が悪いぞ!」
「幽霊バスに期待をするな」
 笑う笑う無明、どうにも揺れる車内。道の悪い未知なる森を、幽霊バスは突っ切っていく。

「――逃がしたか」
 悔しげな呟きは、彼らには聞こえていない。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

夜白・青
これを興行とみるなら言うこととしては、お代は見てのお帰りだねい。
幻想的なおはなしをひとつ、お代はそちらの敗北で。

使うのは御伽語り・蜃気の楼。
語るのはこの森そのものと深い霧。
ここをそっくりそのまま再現した空間と霧の幕の蜃気楼で、アマランス・フューリーを閉じ込めてしまうねい。状態異常【幻影束縛】だよう。
天使の人たちを追わせないというこちらの意思表示として、天使の人たちの痕跡を覆い隠したり、アマランス・フューリーの視線を遮るのも兼ねるねい。


共闘・アドリブ歓迎だよう。

「これを興行とみるなら……言うこととしては、お代は見てのお帰りだねい」
 彼女が手中におさめようとした「天使」たち。カーテンコールの最中に、お帰りになられるところである。未だ目で追おうとする彼女の前に立ちふさがるは夜白・青(語り騙りの社神・h01020)。嫌でも目に入るその出で立ちに、アマランス・フューリーは明らかに焦燥していた。
「お前たち。私の邪魔をして、何になるというのだ? あれらは人類が歩みを進める、そのための一手になる可能性が――」
「それよりも大切なものを、そちら、忘れているからねい」
 人命。「天使」と化してなお――そして、「セラフィム」と化してなお。彼らは、彼女たちは、元は人であった。それを解剖して得られる|新物質《ニューパワー》など、こちらは求めていない。青も、他の√能力者たちも。もっと穏便なる解決策があるはずだと信じている。
 ……今まで確保してきた怪異たち、それらの体を裂いてきた機関。それへと協力しているのは確かだが。今回ばかりは少々、状況が異なる。人間。人間なのだ、どこまで変異しても、「天使」たちは……。

「幻想的なおはなしをひとつ、お代はそちらの敗北で」
 霧が立ち込める――蜃気の楼。彼の御伽語りは異国でも、魅力的な響きとなる。
 羅紗が輝き、浮かぶ文字を放とうとした。だが。
「暗い暗い、霧の立ち込める森の中――」
 優しく囁く青の声。
「……!」
 息を呑むアマランス。気がつけば、目前は霧で覆い隠されている。発光する己の羅紗、その灯りすらも飲み込まんばかりの霧と、暗がり。周囲を探ろうと振り返れば指の先、樹木の肌に触れた感覚。
「幻覚か――!」
 ならば、闇雲にでも、放つ!

「ゆっくりと、パレェドの音が迫ってくる。葬列のように黒いそれが、無数の人影引き連れて」
 青の語りは止まらない。声のする方へと文字を放っても、命中した感覚がない。ぎりと歯噛みをし、それでも。彼女は、抵抗することしか出来ない。ああ、聞こえる、喇叭の音。足元がぬちゃりと滑る。

「おまえを列に、加えに来る」

 ――捕らえた。
 無数の腕がアマランスの体を掴む、脚を掴む。拉げる腕。歯を食いしばりぐるりと体をよじり、羅紗で霧と腕どもを払おうとするも。もう、遅い。

 ――視界には、だあれも。青の姿も、「天使」の姿も、いなくなって。ただ深い森だけが、そこにある――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

瀬条・兎比良
さて、元締めのお出ましですか
パレード?心当たりがありませんね、違法な|葬列《デモ》なら見かけましたが
貴女は長い名乗り口上も無さそうで助かりますね
速やかに職務を遂行出来そうで、大変助かります

天使達は逃がす事が出来た様ですから私も前線に向かいます
得物はこの拳銃で充分
距離を詰めながら牽制射撃で牽制攻撃を続け、
多少の負傷があれど警察として覚悟はとうに決まっていますから
とはいえ周辺は乱闘などで視界が悪い可能性もありますから、
視力補強で見切りつつ視野は広く保ったほうが良いでしょう
√能力を用いて必中射撃にて召喚体を優先駆逐した後は、
本体の彼女にも遠慮は無用でしょう

 元締めたるアマランス・フューリーは随分とぼろぼろの様子である。見える場所では手、拉げた腕、内臓にもダメージを受けているようだ。ふらつく体で、だが真っ直ぐとこちらを見る彼女と向き合い。眼鏡を静かに上げて、「天使」たちの気配が消えたことを確認する。

「役に立たない|葬列《パレェド》め……」
 悔しげに呟く彼女へと。
「パレード? 心当たりがありませんね、違法な|葬列《デモ》なら見かけましたが」
 皮肉で返すは瀬条・兎比良(|善き歩行者《ベナンダンティ》・h01749)。どのような形であれど、『行進』をするのなら行政への許可を取るべきだ。ここが異国の地であろうともそれは変わらない。
 もっとも、彼女たちや怪異には通用しない話なのだが、そこは――御愛嬌。

「貴女は長い名乗り口上も無さそうで助かりますね」
「無駄は嫌いでな。おまえもそうであろう」
 速やかに職務を遂行出来そうだ。「大変助かります」という返答と共に銃口が向けられた。だがそれは、直接彼女を狙うような弾丸は放たなかった。
 アマランスへと放たれるのは牽制射撃だ。足元、脇、頭部の横を抜けるよう。的確に「外す」その妙技。アマランスも何をしようとしているか察しているであろう、だが――ならば。目を閉じる。避けられるように撃つ、ならばそれでいい。瞑想、10秒――しかし。

「目を――閉じましたね」
 夢を見ているのは誰か?
 おまえだ。
 その言葉で、はっと顔を上げるアマランス。怪異の召喚には成功した、だがそれは。

「……何が起きている!?」
 視界は晴れた。暗がりになっていた森が、変化している。チェスボードの上に立つアマランスと兎比良。
 記憶海から呼び出したはずの古代の怪異。己の尾を食む竜を呼び出した、そのつもりであった。だが今そこにいるのは、『トランプの鱗』をもつ竜である。
 ウロボロスではない。――ジャバウォック――!
「ええい! もう貴様で|良《よ》い! 捕らえろ、締め上げろッ!」
 声を荒げ、竜を兎比良へと向かわせる。だがその牙すらもトランプだ、拳銃による数発の弾丸で頭部が散り、横へと一歩避けるだけで、風が吹き抜けるかのように鱗を散り散りにさせながら抜けていく。その鱗の数枚が兎比良を傷つけるも、覚悟の決まった彼には当然かすり傷、以下だ。

 視野は広く。空を泳ぐトランプの竜が再度飛翔し落下してくる。ヴォーパルの剣、それが『剣』の形であると、ルイス・キャロルは言ったのか?
 |特殊警棒《らくよう》がそのぼろぼろの顎を捕らえた。突っ込んでくるそれを二枚卸にしていく。はらはら切り刻まれていく竜の体、そして、がら空きのアマランスの懐へそのまま抜けて。
 兎比良の拳銃。弾丸が、その胸を……心臓を射抜いた。

「……此度は、お前たちの勝利だ。称賛しよう――」
 高い銃声の後。げほと咳き込むその口から血を吹き、アマランスは……笑う。
 周囲のチェスボード、白黒のタイルが剥がれ落ちていく。宙へと浮かび、砕けて……。

 ――赤の王が目覚めると、どうなるか。
 すべてが夢と化し。泡沫に消え……。

●目覚め
 ――目を覚ます。
 何の変哲もない朝。抱えた子も、双子も、まだ起きない。それでも、からだを捩ってすがりついてくるその姿に、ひどく安堵した。
 ああ、夜明けだ。目覚めだ……。
 私たちが私たちでなくなった。新たなる、一日目。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

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