シナリオ

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深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ

#√ドラゴンファンタジー #プレイング受付:5月18日24時迄 #プレイングの集まり次第で変動する可能性有 #参加人数:制限無し #進捗状況:MSページの一言雑談にて随時更新 #プレイング受付中

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 #√ドラゴンファンタジー
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●地獄へようこそ
「皆さん。過去類をみない最悪なダンジョンの存在が明らかとなりました」

 |伽藍堂・空之助《がらんどう・からのすけ》(骨董屋「がらんどう」店主・h02416)が開口一番そう告げた。
 普段は、どのような依頼でも緩い空気感を以て話をする空之助が、これほど真剣な表情を浮かべることは稀である。ならば、自然とその内容は重要かつ困難なものであろうと推測した√能力者達は身構えた。

「いいですか。このダンジョンに潜んでいるのは『『悪童魔女』ルルフィア』ッス」

 なるほど。
 悪戯好きな魔女で、特に他人を辱めたり困らせる悪戯を好む厄介な相手だ。
 如何なる手段を以て、√能力者――√ドラゴンファンタジー内では冒険者である我々を陥れようと策を練っているのだろうかと、戦々恐々しつつ話の続きに耳を傾ける。

「『『悪童魔女』ルルフィア』に辿り着くには、絶対に通らなければならない、封印された扉がなんとニ個もあります」

 ふむ。
 モンスターという言葉が出てこないという事は道中に危険は無く、その扉を如何にして通るかが問題である、と。

「物理攻撃は一切受け付けない扉を解こうとすれば、自動的にその様子を全国ライブ配信される上に、更には一言一句を名前付きで詳細に入り口に存在する絶対に破壊不可能な石版に書き記されてしまうんすよ! つまり、未来永劫記憶として残されてしまう訳です」

 うん?
 そこまで話を聞いた者達が、一様に首を捻った。
 物理攻撃を一切受け付けないとなれば、物理とは違った手段――魔法や或いは難解な謎解きでもさせられるのか。
 だが、今までの攻略情報が全てご丁寧に入り口に設置されてある破壊不可能な石版に記載されているのであれば、扉を開くことはそう難しくないように思える。
 だからこそ、何処が最悪なのかが分からない。
 そして、その最悪たる所以を空之助は、おぞましげに顔を青くして語り始める。

「……魔法でもありません。謎解きでも、ありません。扉を開くただひとつの手段。それは――」

 ――『自分でもキツいと思える黒歴史を一つ語ること』です。

 その場にいた何人かが回れ右して逃亡を図った。
 だが、それは赦されない。このシナリオタイトルに興味を惹かれて覗いてしまった時点で、すでに深淵もまたそちらを覗いているのである。
 つまりは、だ。このダンジョン内にいる『『悪童魔女』ルルフィア』を倒すためには、全国ライブ配信された状況下で、己の黒歴史を語らなければならない。しかも、語った内容は一生消えない石版に書き記されてしまうという地獄付きである。

「更にですよ。このダンジョン内では、基本的には物理攻撃が一切出来ない仕様となっておりまして。『『悪童魔女』ルルフィア』との戦闘の際にも、√能力を使用して攻撃する、或いは通常攻撃するためには『黒歴史』を話さなければいけない決まりがあるッス。等価交換ってヤツです」

 なんとも嫌な等価交換である。
 ちなみに、対価である黒歴史が軽い内容でお茶を濁そうとした場合は、戦闘どころか扉を通過することすら出来ないらしい。
 それでは宜しくお願いするッスね~と、我関せずに見送る空之助に殺意すら覚える√能力者もいることだろう。何故ならば、『『悪童魔女』ルルフィア』を討伐できたとしても、心に負う傷は深い。
 それでもなお、この恐ろしいダンジョンに挑まんとする強者に最大限の賛辞を贈る。
 こうして、どちらにしろ惨事をお送りすることが確定している恐ろしい物語の幕が明けたのである……!
これまでのお話

第2章 冒険 『封印された扉』


POW 肉体や気合で封印の解除に挑戦する
SPD 速さや技量で封印の解除に挑戦する
WIZ 魔力や賢さで封印の解除に挑戦する
√ドラゴンファンタジー 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●断章
『ふっ……。よくぞ第一の関門を突破してみせた。見事だ。だが、侮ってもらっては困る。奴は四天王の中でも最弱……」

 第二の門が、何やら意味不明な言葉を語りかけてくる。
 二つしかない門のはずが、四天王とはなんぞ?
 すでに、このダンジョン内はギャグ空間に汚染されてしまっており、内部に居る者達は身体の芯までギャグキャラへと変貌してしまうのだ……!

 この地獄から抜け出す手段は、ただ一つ。
 最深部に居る『『悪童魔女』ルルフィア』を倒すしか無い……!
 
 頑張れ!
 冒険者諸君!

●プレイング記載内容
黒歴史は勿論、ギャグ話でも最終的に面白おかしく師走文が調理するつもりです。
ご参加はお気軽にどうぞ。能力値による行動に変化はありません。
ルビナ・ローゼス
※やっぱり、妙なテンションです。

HAHAHA!!わたしが来た!!

秋葉原に行った時の事ですわ。キャラのモデルを頼まれたので、お姉様と衣装を買いにきました。無事、衣装を買った後、試着してみてと言われて、試着して出たらお姉様がいません。(隣の店で限定グッズの販売があり、そちらに行った)
お姉様が服を持っていたので、そのまま探す事になりましたわ。おかげで、コスプレイヤーと間違われて、撮影会をすることになりましたわ。知っているアニメだったので、ポーズに台詞まで完全再現しましたとも。...最後はお姉様が混じって、ようやく我に帰りましたわ。
...うふふ、ルルフィアちゃんと戦う時のネタを思いつきましたわ。うふふ

 第二の試練の門に最初に挑むのは――。

「――HAHAHA!! わたしが来た!!」

 テンションが壊れたままの、ルビナ・ローゼス(黒薔薇の吸血姫・h06457)であった。
 能力『先陣ロマンチカ』によって、存分に強化された全能力と、爽やかな風と共に壇上へ立ったルビナは、正に威風堂々といった姿である。

『貴様が、第一関門に“二撃決殺”を叩き込んだ剛の者であるか……』
 
 ここから先は死地。『一瞬たりとも気を抜くことは出来ぬ』といわんばかりの緊張感が辺りを支配する。
 それでもやはり、先に動いたのはルビナであった。
 相手は扉なのだから、動けるはずも無く。その結果は、当然と言えば当然なのだが、そういう駆け引きも楽しみたいものなのだ。

「……“秋葉原”に行った時の事ですわ」

 その言葉を聞いた一同に、電撃奔るッ……!

『ま、待て! まだ戦うにあたっての心構えが出来ておらんかった!』
「あ、はい」

 思わず、ルビナの言葉を遮る第二の門。
 その内心は、嵐の如く荒れ狂っていた。

(“秋葉原”……。あの“秋葉原”での出来事だと? 嫌な予感がしてたまらぬ。勢いでここまで来たが、引き返すべきか? 否、そうではない。登場からすべて、此奴の演出……! あの時からすでに此奴の術中に嵌まっておったというのか……!)

「(だが、今更引き返すことは出来ぬ!)……よぅし! 語るが良い!」

 それはまさに、ブレーキが壊れた車で崖の上で行うチキンレース。
 どうせ止めることがかなわぬのであれば、踏め……! アクセルを……!

「キャラのモデルを頼まれたので、お姉様と衣装を買いにきました。無事、衣装を買ったところ、お姉様に『試着して、魔法少女になってよ!』と言われて、試着して出たらお姉様がいませんでしたわ……」
「ア、ハイ」

 どんなに覚悟していても、地獄は地獄。はっきりわかんだね。

「お姉様が服を持っていったので、魔法少女のコスプレイ衣装のまま探すことになりましたわ。おかげで、コスプレイヤーと間違われて、撮影会をすることになりましたわ。知っているアニメだったので、ポーズに台詞まで完全再現しましたとも。……最後はお姉様が混じって、ようやく我に帰りましたわ。そして、お姉様に詰問しましたわ。『何故、わたしの服を持ったまま居なくなってしまったのか』と。『その限定グッズはどうしたのですか』と。ですが――」

――訳がわからないよ。

 たった一言。
 それが、ルビナの問いへの答えだったという。
 ならばせめて。
 戻ってきた時点で、言ってくれさえすれば。
 わたしは、あのような辱め(撮影会)の時間を僅かにも短く出来ていたというのに。
 そう問いただすルビナに、お姉様の返答は非情なものだったという。

――訊かれなかったからさ。知らなければ知らないままで、何の不都合もないからね。

 語り終え、遠い目をしながら次に控えているルルフェイアとの戦闘に思いを馳せるルビナ。
 だが、そこまで黙って聞いていた第二の門と、視聴者は思った。

――それ、お姉様っていうか、マスコットのフリした鬼畜地球外生命体じゃね?
🔵​🔵​🔵​ 大成功

紬・レン
アドリブ等歓迎

黒歴史かあ……うーん……(眉間に皺が寄る)
よし分かった。ここは腹を括って話をしようじゃないか。

俺が持ってる霊剣な。|花霞《はながすみ》っていう名前があるんだけど、この名前には由来があってね。
そう、あれは俺が中学生ぐらいの時だったか。多感な時期の俺にそれはもうぶっ刺さる、刀使いを題材にした格好いい漫画があったんだよ。
で、劇中に登場する刀にもそれぞれ名前が付いてて。それにすっかり影響された俺は、修学旅行で買った木刀に名前を付けたんだ。
……もう分かるだろ?それが「元祖」花霞ってことさ。
更に言うと花霞は異世界からの精霊が宿ったっていう設定もあって……(以下延々と設定秘話が続く)

「“黒歴史”かぁ……。う~ん……」

 壇上に立って、頭を悩ますのは、|紬・レン《つむぎ・れん》(骨董品店「つむぎや」看板店主・h06148)。
 ようやく、まともに己の黒歴史を晒すことに忌避感を抱いている様子の能力者に、第二の門も自分の気持ちが高揚するのを感じた。

『ふっ……。やはり、所詮は人間。我が恐ろしさに怖じ気づいたか』
「……よし。分かった。ここは腹を括って話をしようじゃないか」

 第二の門の挑発とも取れる言葉に、紬は覚悟を決めて己の黒歴史を語りだす。

「俺の持ってる霊剣な。|花霞《はながすみ》っていう名前があるんだけど。この名前には由来があってね」
『おぉ。良いぞ良いぞ』

 由来というものは、黒歴史の宝庫である。
 その単語の登場に、第二の門も人の身であれば前のめりで話を聞いていたことだろう。その先を急かすような雰囲気が見て取れる。

「そう、あれは俺が中学生ぐらいの時だったか。多感な時期の俺にそれはもうぶっ刺さる、刀使いを題材にした格好いい漫画があったんだよ。で、劇中に登場する刀にもそれぞれ名前が付いてて。それにすっかり影響された俺は、修学旅行で買った木刀に名前を付けたんだ」

 扉も、動画を視聴していた者達もウンウンと頷く。
 あれに憧れを抱かぬ者など、男の中におらぬであろうと。各々が考えていた刀の名を語るコメントが動画内に溢れていた。
 つまりは――。

「――もう分かるだろ? それが「元祖」花霞ってことさ」

 照れながらも告げる紬の姿に、中性的な容姿も相まって爆速でコメントが流れ出す。そんな状況に、扉もほっこりである。

 永遠は、ここにあったよ。

 そんな想いが去来した。
 すでに第二の門は目的を見失ってしまっている。ただ、黒歴史を語り明かす場へと変化してしまっていた。

「更に言うと花霞は異世界からの精霊が宿ったっていう設定もあって……」
『ほほう。なるほど。であれば――』
「――あぁ。そういうのもいいよな。でもやっぱり、この設定は俺的には外せなくてさ」

 様々な設定秘話を交えながら、意見を交換して、笑い合う。
 男友達の部屋で駄弁っているような感覚で言葉を交わす。
 憧れを語り、共有し合うことが、これほどまでに素晴らしいことだということを忘れてしまっていた。

『それは、どんな風な口上で行うつもりなのだ?』
「えぇ? そりゃまぁこうしてさ。ピンチだけど静かに、厳かな感じで。そんな状況下なのに、敵に恐怖を与えるような感じでさ」

 その全てが、余すこと無く全国配信されており、凄まじい勢いで入り口の石版に刻まれ続けている事を忘れて。
 紬は、第二の門と懐かしい時間を共有した。
 それはもう、密度の濃い時間を、共有してしまったのだ。

『おっと。そろそろ、我は次にいかねば』
「お。確かに長々と話しちまったな。悪い悪い」
『いやなに。こちらも、徳難い時間であった。また機会があれば』

 和やかムードで紬は開かれた扉の奥へと進み、閉まりゆく扉に手を振る。
 心なしか扉も、手を振って見送ってくれているように思えた。
 そして、完全に扉が閉じられてから、紬は我に返った。

「……って! なんで長々と黒歴史を語らされてるんだよ、俺は!?」

 地面に寝転がり、悶え苦しむ紬。
 ひとしきり悶絶してから、息も絶え絶えなままで内側から扉を殴るが、扉はフフンと笑い声を上げて、紬に告げた。

「ふっ……。憧れを共有出来たじゃろう? だが、それは違う。貴様がそれを一番理解しているはずだろう。『憧れは理解から最も遠い感情なのだから』」

 その言葉に、紬は愕然とした表情を浮かべることしか、出来なかった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功