シナリオ

増殖するタイプの怪人

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 #√マスクド・ヒーロー
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「皆様お集まりいただきありがとうございます」
 いつもの謎会議室にて一礼するヴェイカー・ベークス(目指せパン罪者・h01060)は資料を広げて。
「少し前から広がっていたらしいシデレウスカードが事件を起こす事が予知されましてねぇ……今回の被害者というか容疑者というか、とりあえずカードを受け取ってやらかしてしまった方が既に怪人化しており、現場に到着次第、怪人本人を探してください」
 ここで『怪人を』ではなく、『怪人本人を』って言われた辺り、なんか嫌な予感がしてくる能力者。そして大体、嫌な予感程良く当たるもので。
「今回の怪人はカプリコーンメドゥーサ。星座と英雄というか、バケモンとバケモンを掛け合わせたような相手なんですが……」
 星詠み、何故か頭を抱え。
「下半身は筋肉ムキムキで上半身は完全にマグロになっており、全速力で走り回りながら目からレーザーを放ち、コレに命中すると同じ姿にされてしまいます。どうやら、変身に失敗して下半身が魚になったヤギの伝説と、目を合わせた相手を石化させる怪物の伝説が混ざり合った結果、上半身が魚になってしまい、当たった相手を自分と同じ姿にする眼光を放つ怪人となったようです」
 なんかもー、何処からどうツッコめばいいのか分からない能力者達が疑問符を量産するアルバイトを始めたところで、星詠みは街中で荒ぶるマグロの群れ(下半身はマッスル二脚)の写真を出してきて。
「怪人は既に増殖しており、かつ大本の本人もこの中に紛れてしまっております。まずは同化されてしまった被害者の中から怪人化した本人を探し出してください。巻き込まれた一般人なら怪人化した悲しみ(?)から暴走し、道連れを増やす為に眼光を撒き散らすだけですが、本人は同化レーザーを放つからにはなんかそれっぽい思想を持って事に当たっているはず。挑発すれば釣れるはずですが……まぁ、最悪全員ぶん殴って、やたら打たれ強いのが居ればそれが本人ですから、脳筋探知の方が早いかもしれませんね」
 そこまで述べると星詠みはドアを開く。その向こうは上半身マグロの筋肉レッグが荒れ狂う街並みになっており。
「それでは皆様、ご武運を」
 胡散臭いオッサンは一礼して能力者達を送り出すのだった。

マスターより

久澄零太
ヒャッハー!『ギャグ依頼』だァ!!

久澄です

なんかネタ依頼出そうかなーって思ってたら半魚人案件になってました

どうしてこうなった……

何はともあれ、まずは街中にあふれ返った走り回るマグロの中から、カードを受け取って怪人化してしまったオリジナルを探しましょう

なお、マグロレーザーを食らうと能力者も同じ姿にされます

全力で回避しましょう

ではでは、皆さまのフィッシングプレ(?)をお待ちしております
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よろしいですか?

第1章 冒険 『ニセモノが多すぎる!』


POW 気合と根気で、地道に本物を探す。
SPD 本物とニセモノの差異、違いを探す。
WIZ ひらめきと推理で、偽りを見抜く。
√マスクド・ヒーロー 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

久瀬・八雲
アドリブしてもいいよ

上半身はマグロという話ですけど、頭の向きが|こう《たて》なのか|こう《よこ》なのかで変わってくると思いません?
だって縦だったら嫌でもビームが上に行って
『ガハハ勝ったな!』
ってなるじゃないですか?わかる?

下半身のムキムキ振りから怪人は筋力に自信がある筈!
そしてマグロの赤みは持久力に優れた遅筋!
下半身に於いても遅筋is持久力に自信を持っている事は確定的に明らか!

ここでわたしが導き出した最適解は
ばーかばーか!おまえの筋肉息切れとんぼー!
悔しかったら100m走ってみろー!

この鮮やかな挑発で一本釣り間違いなし!
それっぽいのが出てきたら【天蓋】を発動し焔の結界で封じ込めしちゃいますね
ルビナ・ローゼス
※基本的に温厚な常識人です。突っ込み役にお使いください。

アイエェェェ?!マグロ怪人ナンデ?!
...あまりにカオス過ぎますわ?!築地ですか、ここは?!
とりあえず、一体ずつ相手するのは愚策。√能力で月光神鳳凰に変身して、閃光のブレスでなぎ払いますわ。空の上からなら、本物も見つけやすいですし。(白銀に輝く鳳凰の姿になります。)
敵のトンチキなビームは技能を使って、全力回避しますわ。あんなのになるのは御免ですわよ!

本物はどこですの?!○ォーリーを探せをやってる気分になってきましたわ...。

アドリブ、連携、大歓迎ですわ!
アーシャ・ヴァリアント
アドリブ・絡みは大歓迎。

石化光線がマグロの化物に変えるレーザーになっちゃうとか
化物合体しすぎでしょ、大元の本人は何考えてそんな事になったかしらね。
まぁ多分くだらない理由な気もするし考えても仕方ないわね。

んで、どうしようかしら迷惑野郎はぶっ飛ばしたいけど
マグロの化け物になるのは流石に嫌だし。

……よし、この能力でいきましょ。
案内人に√EDEN側での事件現場にあたる場所を聞いてその座標の人気のないビルの屋上へ。
そこから√マスクド・ヒーローの事件現場を観察。

他の能力者が大元の本人を特定したら次元を超えて
竜姫炎穿波で怪人を炙りマグロにしてやるわ。

セコい?こういうのは尊い犠牲っていうのよ。
星・真金大鴉
なぜ各伝説をそんなピンポイントで抽出した!!
なぜマグロなのだ!!扉の向こうの街並みが酷い!!

やらかした本人を探す。巻き込まれた方のマグロ達は暴走しているようなので
1.暴走ではなく、我々のような人間を狙っているマグロを探してみる
2.見つからなければ「マグロの脳味噌1センチ」「シーチキンマヨ美味い」など人間の言葉で挑発する

ただ、他の全マグロも人語を解した場合は全魚敵に回すと思われるので、その時は力技路線に変更
可不燃資源全焼却ビーム(武器)(分類:破壊の炎)を口から放射し焼く
レーザーは全力で回避するが、食らったら普通に怪人化します

(アドリブ・他参加者さんとの協力歓迎/挙動や台詞詳細おまかせします)
マーズ・ベル
お任せプレ、お好きに。

念願の戦隊になっての初仕事がこれか……まぁいい、変身!!
第壱九九九番七月戦隊青参号、推参!!とう!!
|表の職業《アイドル業》で鍛えた|殺陣《演技》技術によるカンフーアクションでマグロレーザーは回避しよう。回避しきれない分はヴァンブレイスブレイザーで|防ぎたい《鉄壁》ところだが、身体に触れてない光の手甲でも受けたらアウトとかねぇよな?まぁ、ダメだったらバラエティの予行練習と割り切ろう。ん?女装アイドルの時点ですでにヨゴレだから今更今更。
|随身鉄棹兵《偽如意棒》の|高圧電流《マヒ攻撃》でマグロを無力化していこう、耐えれるやつが本物だ。
兎玉・天
少しズレてる人のフリした明るい人外ちゃん。
好奇心の塊で楽しそうな事大好き!何でも持って帰りたがる。ニンゲンちゃんを守る事に協力的で他の√能力者の嫌がる事は自ら進んではしない。片仮名混じりで語尾に⭐︎がつく喋り方をするヨ⭐︎

「わ⭐︎マグロは足が速いって聞くけど本当なんだネ⭐︎下半分はニンゲンちゃんっポイから上側を狙おうカナ⭐︎
うさてんちゃん釣りしてみたかったんだヨ⭐︎【兎玉天⭐︎質量操作】で少し巨大化して建物の上から、半分マグロニンゲンちゃんを一本釣りしていくヨ⭐︎んーエサは今持ってるのはタコとかパンとかお薬とかその他モロモロだけど何かで釣れるよネ⭐︎」

何でも大歓迎です。好きに動かしてください!
黒木・摩那
半分マグロの大量発生と聞いて、マグロ包丁の活躍時! マグロ食べ放題かと思ったら、人が変身させられた姿では食べるわけにはいきませんね……がっかりです。
このまま食べられないマグロが増えるのは逆にストレスの素ですから、偽マグロ?達には早々に静かになってもらいましょう。

スマートグラスも人間の判別までは難しそう。
類友というから、ヤギとメドゥーサなら、元の人間は顔を見られたくない人なんですかね?
視線が嫌いとか?

暴れる偽者達には√【紅月疾走】を発動。
ヨーヨーでぶん殴って、落ち着かせます。
マグロになるわけにはいかないので、こちらに顔を向けた瞬間にヨーヨー攻撃です。
惟吹・悠疾
……取り合えず、その仮称ヤギゴン(やぎ座+ゴルゴーンを短縮)の同化レーザーも√能力なら《不能力》で打ち消せる筈
ヤギゴン達に片っ端から《不能力》を発動
ついでに神話に倣って鏡の盾で視線を跳ね返せないか試してみます
俺自身がヤギゴンになったらやっぱり《不能力》で…右手はどこという問題は敢えてスルーで

《不能力》が効果がなければいきなりオリジナルに当たったという可能性もあるから取り合えず二人目のヤギゴンまでは《不能力》が効くか試します
効かなければヤギゴンの目を塞いで敵陣に突っ込ませます
マグロらしく止まらずに勢いよく突っ込んで相打ちで両方気絶してくれれば最良
耐久力からして最後まで残るのがオリジナルだろうしな
白神・真綾
絡みアドリブ歓迎
ヒャッハー!見た目がもうヤベェバケモノ大量発生とか地獄みてぇデース!皆まとめて焼き尽くすデース!
目に付くバケモノは全て√能力でまとめて焼き尽くす
同化レーザーはあらゆる手を使って全力で回避する

ところで昔アニメや漫画で似たようなバケモノ見た気がするデスヨ。煮て良し焼いて良し、でもタタキは嫌とか言ってた気がするデース。これがアニメじゃない!現実なのさって奴デスネ
スノードロップ・シングウジ
オネエサマヨビダシテ、怪しいヤツぶん殴ってモラウのが一番、早くテ、楽ナンダケドナー。トンチキ依頼にバッカリ呼び出スとナー、ワタシが殴らレルんだよナー

フムン、ドウシマショ。ドウセ、ミンナ暴れるんデショー?スノーちゃんは賢イので良く知ってマス。ソシテ、ボス個体は1番頑張ってボケてるかツッコミ入れてる分かりやすい語尾シタ奴カナ。

空から様子を伺いツツ、適当に音楽流して歌ッて騒ぎを大きくシマス。モリアガルのには、BGMは大事デス。

一応、天使の戻し歌を使って、一般人が元に戻れるヨウニシマスカ。今のウチに今月の善行ポイントノルマを貯めてオクデス

「なぜ各伝説をそんなピンポイントで抽出した!!なぜマグロなのだ!!扉の向こうの街並みが酷い!!」
 星・真金大鴉(数多の星々よ・h02569)のツッコミから始まった今回の事件。とりあえず会議室はもう閉店の時間なんで、続きは外でお願いしますねー。
「おい待て!やめろ!我を斯様な地獄に押し込むんじゃない!!」
 えぇい!この会議室に来た時点で地獄を見る覚悟はできていただろう!?タグを見ていないのか!参加した時点でお前もネタ枠なんだよ!!諦めてトラウマを抱いて来な!!
「ぐぁーっ!?」
 というわけで真金大鴉……くそぅ、変換で出ねぇ!とりあえずマッキン「初依頼だというのに名前を略されただと!?」うるせーな表記できないんだから我慢しろや!!
「解せぬ!斯様な蛮行が許されると思うてか!?」
「落ち着いてください!」
 騒ぎ立てるマッキンを久瀬・八雲(緋焔の霊剣士・h03717)が宥め、なんかいい解決法を提示してくれるのかと思ったら。
「上半身はマグロという話ですけど、頭の向きがこうなのか、こうなのかで変わってくると思いません?」
 などと手刀を掲げて空を示した後に、腕を水平にして見せる。あ、コレ依頼の事しか話してないわ。もっかい腕を縦にした八雲はニッコニコで。
「だって縦だったら嫌でもビームが上に行って『ガハハ勝ったな!』ってなるじゃないですか?わかる?」
 ほら!と、八雲が示したのは腰辺りから下がブーメランパンツ一丁の筋骨隆々二脚、腹から上がマグロっていう、魚の尾鰭を脚に変換したかのような悲しきモンスター。当然揃いも揃ってお空を見上げている。
「あの状態で目からレーザーを撃ったところで、視線は真上にしか行かないから私達は一方的に攻撃できるってわけです!!」
「なるほど!では上を向いていない奴が本体だな!!」
 手を打ったかと思ったら急に結論を叩きだしたマッキン。というのも。
「周囲の民間人は暴走しているという話だったが、そもそもアレではレーザーを撃てない。つまり、やらかした本人は横を向いていて、レーザーを撒き散らし的確に人を狙っているはずという事だ!」
 ゆーて、込み合う街のど真ん中の交差点でやらかしてくれたため、数が多すぎて日の光を鱗が反射し、ギンギラ光ってそもそも捜索どころじゃない。
「うぅむ。仕方ない。挑発して向こうから攻撃を仕掛けさせるか……マグロの脳味噌一センチ!シーチキンマヨ美味い!!」
「ばーかばーか!おまえの筋肉息切れとんぼー!悔しかったら百メートル走ってみろー!」
 マッキンと八雲が二人そろって挑発。八雲はそこはかとなくドヤッてむふー。
「下半身のムキムキ振りから怪人は筋力に自信がある筈!そしてマグロの赤みは持久力に優れた遅筋!下半身に於いても遅筋is持久力に自信を持っている事は確定的に明らか!ここで白身魚よろしくスタミナのなさを煽れば、この鮮やかな挑発で一本釣り間違いなし!!」
 などと、自信満々だったのだが、二人に向かってマグロの群れが一斉にクルっと振り向いたかと思ったら。
『変身!バトルモード!!』
 ジャキン!ジャキン!ジャキィン!!両足の踵を揃えて直立したかと思ったら、腰から頭を下げて九十度。お辞儀をした格好になる事で視線を能力者達に向けるマグロ軍団。
「クソアマ共め!お前達もマグロメェンの仲間入りをさせてやるぜ!!」
「なんなんですかアレー!?」
 いきなりぶっ放して来たレーザーをギリギリのところで飛び退き、躱した八雲に対してマッキンは一つ頷き。
「どうやらマグロが人語を介した為に、我等で全てのヘイトを集約させてしまったようだな」
「気にするのはそこですか!?」
 どう見ても重心とかあったもんじゃない姿で全力疾走してくるマグロ軍団。物理法則の一種を無視してんじゃねぇかって事の方にツッコミを入れたかった八雲がおめめ真っ白状態であわあわしていると。
「なーに、気にする事はない……敵がレーザーを撃ってくるというのなら、こちらはビームで対抗するのみ!」
 ビカァン!両目から黄金の光を放ち、コイツも目からなんか出るのかと思ったら。
「口からビームッ!!」
 絶叫と共に光を吐き出した!?マグロレーザーと焼却ビームがぶつかり合い、拮抗。境界線が右往左往していると。
「……取り合えず、その仮称ヤギゴンの同化レーザーも√能力なら『不能力』で打ち消せる筈……そのまま押さえてくれ!」
「はひははっは!(あい分かった!)」
 ビームを維持する為に口が開きっぱなしになっているマッキンの横から惟吹・悠疾(人間(√EDEN)の妖怪探偵・h00220)飛び出していき。
「その権能を、ぶっ潰す!!」
 右アッパー!!マグロヘッドの顎を捉えてスパァン!思いっきり殴り飛ばすが、レーザーがビルを舐めて天へと登り、マッキン砲に焼かれてコンガリジュワーッ!!
「マグロ化が解けないだと!?いや待て、コイツが本体で元々この姿って可能性もあるな……というわけでもう一発行くぞオラァ!!」
「トゥナァ!?」
 理不尽なようなそうでもないような、曖昧な暴力がカプリコーンメドゥーサを襲う!!しかし、効果はないようだ……。
「何ッ!?こいつら……√能力とは別の異能でこんな姿にされているって事か!?」
「いってーじゃねぇか何しやがんだゴラァ!?」
「しまっ……ぐぁあああ!?」
 殴り飛ばしたマグロと、コンガリしたところにマッキンがオリーブオイルと唐辛子をかけて調理してたマグロの二体から同時にマグロレーザーを放たれ、ボフン!悠疾はマグロの仲間入り。
「くそぅ!こうなったら俺自身にも不能力で……って、右手がねぇ!?」
 腰から上がマグロだからね。おててはヒレになっちゃってるね。ビックリした拍子に転倒して、起き上がれなくなってピチピチジタジタもがいている悠疾の姿に、マーズ・ベル(第壱九九九番七月戦隊青参号・h06295)は死んだマグロの目になってしまい。
「念願の戦隊になっての初仕事がこれか……」
 うん、割と本当に来る依頼を間違えたと思うよ?お前を送り出して来た蒼い液体の人を恨んでおくといい。外見ロリータな少年風魔神的なサムシングは虚無の表情のままため息をつくと、腕時計のようなデバイスを操作。
『ベガ!』
「まぁいい」
 電子音に合わせて片腕を斜めに振り下ろし、反対の腕を横移動。斜めに叩きつけるようにして三角形を描く。両腕のデバイスがぶつかった時、新たな電子音声が響き。
『アルタイル!』
「変身!!」
 宣言と共に青い光が降り注ぎ、マーズの姿を包み込むと光の玉を形作る。繭にも似たそれを突き破り、飛び上がっていったのは先ほどまでのロリータファッション系男の娘型魔神風地球外脅威生命体ではなく、青いスーツに身を包んだ正義っぽいヒーロー。
 三点着地を決めた彼の両腕には、デバイスが変化して長さの異なる四本の光の刃を備えた、翼のような武装があった。
「第壱九九九番七月戦隊青参号、推参!!とう!!」
 横薙ぎに降り注ぐマグロレーザーの中を、恐れることなく自ら飛び込んで走り抜けていくマーズ。わずかな動きだけで被弾を避けているようだが、彼にはマグロの視線が見えているのかと言えばそうではなくて。
「殺陣の稽古の時にちょっと聞いたんだよな、銃弾や矢の中を走り抜けるシーンで、なんで当たらないのかって理由。芝居だからってのもあるが、弾丸も鏃も、まっすぐに『しか』飛ばないからあんな乱れ打ちしたら当然狙いもブレて、数を撃ってるから当たるだけ。ビビらなければ怖くはない!」
 などと盛大にフラグを立てながら突っ込んでいったものだから、案の定。
「ちぃっ!?」
 避け損なったレーザーに当たりかけて、腕の武装で受ける。
「体に触れてない光の手甲でも受けたらアウトとか、ねぇよな?」
 恐る恐る『こちら』に確認するマーズだが、ボフン!
「ぐぁーっ!やっぱりだめかー!?くっ、バラエティの予行練習と割り切ろう。ん?女装アイドルの時点ですでにヨゴレだから今更今更」
 などと、マグロ化を覚悟していたマーズだが、煙が晴れると……。
「というわけでお前等全員食い殺してやるぜー!!」しゃーくっ
『何故!?』
 全身タイプの鮫の着ぐるみに身を包み、両手っていうか両ヒレを上げて威嚇のポーズをするマーズ。そりゃーマグロ軍団だってビックリするよ。
「貴様!何故マグロメェンにならない!?」
「言っただろう?俺は既にヨゴレ(性質の悪い人食い鮫)だってなぁ!!」
 うーん、カオス。ルールもへったくれもないひっでぇ状況になって来たが。
「半分マグロの大量発生と聞いて、マグロ包丁の活躍時!マグロ食べ放題かと思ったら、人が変身させられた姿では食べるわけにはいきませんね……がっかりです」
 黒木・摩那(異世界猟兵『ミステル・ノワール』・h02365)は何を言っているんだ……?とりあえずそのギランギランに研いで来たのであろう包丁を仕舞いなさい。マグロった悠疾がめっちゃ震えて鱗撒き散らしてるから。
「食べられないマグロに、存在価値なんてないと思いませんか……?」
「気持ちは分かるが、それを何で俺に言うんだ!?」
「アスファルトのマグロ……」
「落ち着こう、まずは深呼吸してその刀を納めるんだ……!」
 失望のあまり、完全に目が据わっている摩那がマグロ包丁とは名ばかりの隠し剣を抜いてたらそりゃビビる。しかも食べられないお魚状態の自分を見下ろしてたら猶更ビビる。
「このまま食べられないマグロが増えるのは逆にストレスの素ですから、偽マグロ?達には早々に静かになってもらいましょう」
「その中に俺は含まれていないよな?なぁ!?」
 地面でブルブルザリザリしていた悠疾だが、摩那は眼鏡を通して敵さんをスキャン。しかし結果の方は芳しくなく。
「スマートグラスも人間の判別までは難しそう。類友というから、ヤギとメドゥーサなら、元の人間は顔を見られたくない人なんですかね?視線が嫌いとか?」
 そこで見事正解を引き当てると、速攻で本体が見つかるってギミックだったわけですが、誰も正解者がいないんで頑張って始末してね☆
「食べられないマグロと向き合わなくてはいけないだなんて……なんという拷問でしょう……!」
 などと、摩那が歯噛みしていると、空からうにょーん……タコが降りて来た。
「タコ……シーフード……カルパッチョ……」
 今回は食べられない依頼だと思っていたところに、文字通り降ってわいた食材。フラフラと引き寄せられていく摩那……だがしかし。
「唐揚げ。最近温かくなってきましたし、冷たい飲み物とセットで唐揚げにしましょう!」
 などと、タコを掴んだ瞬間、ビューン。摩那の姿は空の彼方へ消えていった……何が起こったか、時を少し遡り別のカメラで見てみよう。


「わ☆マグロは足が速いって聞くけど本当なんだネ☆下半分はニンゲンちゃんっポイから上側を狙おうカナ☆」
 こいつは高みの見物(物理)を決め込んでいる兎玉・天(うさてん堂・h04493)。地上は走り回りながらマグロレーザーをぶっ放すマグロ怪人に対して、既にマグロ化した悠疾を盾にすることでやり過ごす能力者達に、その隙に背後に回り込んだマーズが思いっきり食らいついて振り回されながらなんとか逃れようとするマグロ怪人。割と大惨事である。
 じゃあ天のとこは平気かっつうとこいつもおかしい。主にサイズ感がおかしい。具体的には高層ビルを座椅子代わりに腰かけて、腿に肘をつきニコニコしながら地上を観察している……一番おかしいのは、これほどの巨大化した姿でありながら、ただのコンクリートの塊がその重量に耐えている事だろうか?天が前のめりになっている分、彼女の体重はビルに偏ってかかっており、窓ガラスくらいは圧壊しそうなものだがそんな様子は欠片もない。まぁ、こいつ人間災厄だからその辺に関する異能持ってんだろうな……そんな事は置いといて。
「うさてんちゃん釣りしてみたかったんだヨ☆んーエサは今持ってるのはタコとかパンとかお薬とかその他モロモロだけど何かで釣れるよネ☆」


 というわけで地上に釣り餌としてタコが降りてたわけだが。
「ありゃ、マグロじゃなくて人間ちゃんが釣れちゃったヨ☆」
「ぇええええ!?どういうことですかコレ!?」
 能力者達が背にして戦っていたビルの屋上まで釣りあげられた摩那は、隣のビルの屋上に降ろしてもらうと。
「もしかして人間ちゃんはお腹が空いてたのカナ☆タコは釣り餌だから食べられないけど、タコ焼きならあげられるヨ☆」
「え、本当ですか!?」
 棚からぼた餅ならぬビルからタコ焼き。喜んで受け取る摩那だったが……。
「あの、なんか青いんですけど……?」
 大満足のビッグサイズなタコを使ったボリューミーなタコ焼き。タコは生地を貫通する贅沢な一品だが、その表面がまるで大海原のようなマリンブルー。どう見ても人類の食資源ではない。
 さすがに警戒する摩那に、天はニッコー。
「大丈夫ダヨ☆食べられるように加工してあるらしいから、きっと美味しいヨ☆」
「成程!それなら安心……できませんね?元々は食べられない物って事じゃないですか!?」
 しかし、マグロ食べ放題の夢が消えてしまった摩那にとって、目の前に突如現れたタコ焼き(のように見える何か)は実に魅力的。理性と食欲の狭間で揺れる摩那の下へ、スノードロップ・シングウジ(異端の末裔・h01215)が降りてくると。
「逆に言えば、本来なら食べられないモノを食べられるチャンスって事デース……」
 種族的には天使っぽいアレのはずなのに、悪魔の囁き。
「うぐっ……」
 揺らぐ摩那の後ろで、ギターを鳴らしてバラードを引きながら。
「今しか食べられない特別な味デース……もし何かあっても、ワタシの歌で十分以内に復帰できマース……」
 果たして、摩那の運命は……!?っていうオチは本人次第だから一旦置いといて。
「ワ☆空からもニンゲンちゃんが降りて来たヨ☆」
「人間……?ンー、ワタシ、セレスティアルなんですガ……広義的には人間なんですかネ……?ある意味では、ワタシよりオネエサマの方が人間らしからぬところもありますケド」
「ニンゲンちゃんには姉妹がいるのカナ☆うさてんちゃんも会ってみたいナ☆」
 人間大好き系人間災厄の笑顔に、スノードロップはそっと目を逸らして。
「多分やめておいた方がいいデース……依頼的にはオネエサマヨビダシテ、怪しいヤツぶん殴ってモラウのが一番早くテ、楽ナンダケドナー。トンチキ依頼にバッカリ呼び出スとナー、ワタシが殴らレルんだよナー」
「ニンゲンちゃんのお姉さんは、ニンゲンちゃんにも頑張ってほしいってことカナ☆」
「そんな教育的なアレじゃなく、単に面倒事に巻き込むなって怒られてるだけデス。それよりホラ」
 スノードロップはため息をつきながら地上を示す。自力では動けない悠疾をマッキンが背びれを掴んで投げ飛ばし、それを対面した八雲がその辺で拾って来たいい感じの鉄パイプで打ち返す事で高速射出。敵陣に打ち込む事でマグロレーザーの盾としながら布陣を崩し、開かれた突破口にマーズが突っ込んで噛み散らす混戦具合だが。
「ドウセ、ミンナ暴れるんデショー?スノーちゃんは賢イので良く知ってマス。ソシテ、ボス個体は一番頑張ってボケてるか、ツッコミ入れてるか、分かりやすい語尾シタ奴カナ」
「ボスちゃんをうさてんちゃん達が上から探してあげる作戦ってことだネ☆でも、さすがに声は聞こえないカナ☆」
「敵側にも今の所、奇妙な動きをする個体がいないんですヨネ……とりあえず、歌って一般人が元に戻れるヨウニシマスカ。今のウチに今月の善行ポイントノルマを貯めてオクデス」
 などと、スノードロップの歌が戦場に降り注ぐと同時にそのリズムに合わせて天が体を揺らして、釣り糸の先の餌もぷらんぷらーん。ただし、さっきのタコからなんか見覚えのあるパンに餌が変わっており、それがマグロ怪人に当たった瞬間、チュドーン!!大爆発☆
「おい空から爆撃されてるぞ!?」
「我等マグロメェンを上空から狙うとは卑怯なり!」
「されど、我々とて対空兵器くらいは積んでいる!!」
 ジャキジャキジャキィン!スターゲイジーフォームに変形したマグロ怪人は上に向かって視線レーザー!マグロ化の脅威が屋上組へと迫る!!
「ゲェッ!?あいつらコッチ狙ってマース!?」
「こ、この距離はさすがにヨーヨーで狙うのも難しいですね……」
 殴って軌道を逸らそうとしていた摩那が冷や汗を流すと、天が懐をごそごそ。
「ニンゲンちゃんを苦しませるわけにはいかないネ☆そんな時にはこれカナ☆ぴょっぴょぴょーん☆照界鏡~☆」
 出て来たのは手鏡。ただし、今の天は巨人状態であるため、本来は姿見なのだろう。その鏡面に当たった光は反射することなく、どこかへと消えていく。
「なんですかソレ?」
「ただの鏡ではなさそうですが……」
「うさてんちゃんのお店のうさてん堂には、色んな物が置いてあるヨ☆たまーにこういう、売り物にならない変なのも混じってるんだよネ☆これが説明書だったカナ☆」
 などと、明らかに劣化した古文書染みたモノを取り出した天。スノードロップと摩那が覗き込むと。
「「異界を観測する呪われた鏡……?」」
 どう見ても能力者関係の物騒な代物ですありがとうございました。じゃあそんな鏡に取り込まれた光は何処に行ったかっていうと……ここで別ルートの同一地点を見て見よう。
「石化光線がマグロの化物に変えるレーザーになっちゃうとか、化物合体しすぎでしょ、大元の本人は何考えてそんな事になったかしらね。まぁ多分くだらない理由な気もするし考えても仕方ないわね」
 部隊とは別行動をとっていたアーシャ・ヴァリアント(ドラゴンプロトコルの竜人格闘者・h02334)。彼女が立っているのは√マスクド・ヒーローにおいて天が座ってたビルの向かいのビルの上。
「んで、迷惑野郎はぶっ飛ばしたいけど、マグロの化け物になるのは流石に嫌だし、ここであっちの√を観測してるわけだけど……ん?」
 異世界から敵を狙撃するタイプの能力持って来たアーシャは、味方に特定を任せて安全圏から戦うつもりだったらしい。しかし、観測してた世界から『こっち』に向かうマグロレーザーを目視すると。
「あっぶな!?……って、別√なんだから当たんないのよね」
 反射的に避けてから、自分で自分に笑ってしまったアーシャ。その頬を、レーザーが掠めていく。
「……」
 後方の床についた焦げ跡を確認してから、頬に触れる。大丈夫だ、当たってはいない。ギリギリのところを素通りしていっただけだ。問題は……。
「なんでこっちに攻撃が飛んでくるのよ!?」
 ネタ依頼だから。
「元も子もない理不尽な返答をどーも……ッ!」
 まさか敵が見えもしない自分を狙っているとは思えず、アーシャが戦場になっている方の√の周囲を見回すと、手を振って笑っている天と驚いた様子のスノードロップ、そして何かを察して合掌する摩那の姿。
「え、何、√を飛び越える鏡ってこと!?なんでそんなご都合主義な代物を持ってんのよ!?新手のド え んだってそんな事しないでしょ!?」
 ネタ依頼だから。
「もういいわよそれはッ!!」
 自身の安全性が担保されない事に気づいたアーシャは苛立たし気に髪をかきあげて。
「早く……早く本体を特定しなさい……じゃないとアタシが巻き添えになる……!」
 というわけで、ネタ依頼に安地なんてものは存在しない事が発覚したところでカメラを戻すと。
「アイエェェェ!?マグロ怪人ナンデ!?」
 お嬢様、発狂。
「……あまりにカオス過ぎますわ!?築地ですか、ここは!?」
 ルビナ・ローゼス(黒薔薇の吸血姫・h06457)の精神はやはり耐えられなかったか……真っ当な常識人である彼女が、混沌としたネタ依頼に来るのは早すぎたんだ……。
「あんなのになるのは御免ですわよ!」
 などと、さっきから何故かマッキンに振り回される鈍器と化している悠疾を横目に青ざめるルビナは白い光に包まれると、白銀に輝く羽毛を持った鳳凰に姿を変えて、空へと飛び立っていく。ビル風に乗って急上昇した彼女だが、その背中に白神・真綾(白光の堕神・h00844)が飛び掛かり。
「ヒャッハー!真綾ちゃんも連れていくデース!!」
「それは構いませんが……落ちないでくださいね?」
 真綾を乗せたルビナが摩那達の前を通り過ぎ、風に煽られない高度から戦場を観測。旋回しながら敵を目視するも、普通に小さいし、全員同じ外見だしで。
「誰が誰だかわかりませんわー!!」
 まぁ、そうなるな。
「本物は何処ですの!?ウ ーリーを探せをやっている気分になってきましたわ……」
「何を言ってるデース!やる事は簡単じゃねーデスカ!」
「え?真綾さん、本体が分かりまして!?」
 ルビナが尊敬の念を込めて振り向くと、真綾の周囲には無数の浮遊砲台が展開されており。
「見た目がもうヤベェバケモノ大量発生とか、地獄みてぇデース!皆まとめて焼き尽くすデース!」
「えぇえええぇえええええ!?」
 冗談でも何でもなく、本気の目で言い切った真綾にルビナ絶叫。
「地上には能力者の皆様もいるんですわよ!?」
「じゃあ逆に聞くデース。真綾ちゃん達の攻撃で、あいつらがくたばると思いマスカ?」
(意訳:誤射で倒れる方が悪い)
「……成程。皆さんを信頼しているからこそという事ですわね!!」
(意訳:味方の実力を信じて巻き込めばいい)
 ヤベーなコレ。純粋な悪意と純粋な善意がすれ違ったまま噛み合って意見が揃ってしまった。
「そうと決まれば……!」
「ヒャッハー!気色悪いバケモンは皆殺しデース!!」
 ルビナが吹きつける光の吐息を取り囲むように降り注ぐ光学兵器の雨。遠目に見れば光の柱が天より落とされた光景に見えただろう。その実態は回避を許さぬ熱光の蹂躙。ビルの窓ガラスは融解してコンクリートとアスファルトが赤熱。マグロはコンガリキツネ色に染まり、能力者は熱中症寸前。
「突然真夏が襲ってきました!?」
「新手の異常気象か……?」
 八雲とマッキンは服をパタパタさせて空気を取り込むが。
「水……水をくれ……」
 マグロ化していた悠疾は干しマグロ状態でヒクッ……ヒクッ……虫の息ならぬ打ち上げられた魚の息。マーズ?『着ぐるみが暑すぎるので撤退します』の書置きを残して近所の銭湯に向かって走ってったよ。
「こ、このままでは全滅する!?」
「あの鳥を落とせ!!」
「あわわわわわ……!」
 マグロ達は上空のルビナに狙いを定め、上半身を真上に向ける。このままでは集中砲火を受けてしまうルビナは慌てだし。
「ど、どうしましょう!?」
「とりあえず、デッカイ鳥が盾になるから真綾ちゃんは無事デース」
「真綾さん!?そこは協力して乗り切るのが能力者というモノでは!?」
「そんな綺麗ごとぶん投げて、生き残るために手段を選ばないのが能力者デース!!」
「そんな……!」
 利用するだけ利用して、ルビナを見限った真綾が彼女の体を壁代わりにしようとするが。

 ビカーッ!キラン……ビカーッ!!

『ぅええええええ!?』
 何という事でしょう。ルビナに命中したマグロレーザーは彼女の白銀の羽毛に反射してしまい、逆にマグロ怪人達を直撃して周囲を白煙で包み込んでしまったのだ!
「うわー……マグロ共が自分の光で調理されてマース……アレ?」
 眼下の様子を確認していた真綾の目に飛び込んで来たのは、全身がマグロ化した回遊魚……ではなく、多種多様な服に身を包んだ老若男女。恐らくはマグロ化の被害に遭っていた通行人達だろう。
「元に戻ってるデース!?」
「なるほど……そういう事か……」
 八雲がその辺の自販機で買って来てくれたペットボトルの水を全身にかけてもらい、復活した悠疾はピチピチ跳ねて。
「俺の鱗を使え!」
「だから先ほどから使っているが?」
「使い方が違うんだよ!!」
 さっきから悠疾を投げたり叩きつけたりしていたマッキンが首を捻れば。
「神話に倣って鏡の盾を持ち込んだ影響で、俺の鱗は他のマグロ共よりピッカピカだ!鏡代わりに使えばあいつらの光を反射できる……そして、こいつらのマグロ化を解く方法は、自分自身の眼光を浴びる事なんだ!!」
「それなら任せておけ」
「どこ持ってんだテメー!?」
 悠疾のエラに手を突っ込んで、巨大武器のような構え方をするマッキンが真正面から突進。迎撃すべくマグロ軍団は目からレーザーを放つも、振り回したりせずに悠疾で受け止めれば、ピカァン!悠疾の読み通り、反射した光を浴びて元の姿に戻っていく……のだが。
「一人だけ、光を浴びても戻らないマグロさんがいらっしゃいますわ!!」
 ルビナが観測した個体がビクゥ!?形勢不利を悟ったのだろう。そそくさと逃げ出そうとするが。
「見ーつーけー……たぁあああっ!!」
 八雲が刀を抜き放ち、その斬痕がマグロ怪人の四方を囲む。すぐさま刀を戻し。
「結ッ!!」
 納刀と共に斬痕が炎の壁を噴き上げて、焔の箱の中に封印。逃走を封じられてジリジリ焼かれるマグロ怪人だが。
「よくもやってくれたわねこの半魚人がー!!」
 別√から観測していたアーシャが炎を噴きつけ、その熱波のみが次元の壁を越えて到達。炎で作られた箱の中に鞴よろしく送り込まれた炎の吐息は更なる酸素を求めて激しく燃え上がり、しかし炎の壁により広がる事はできず、ついでに焼け焦げていくはずのマグロ怪人は結界の加護により皮膚が炭化した傍から再生して……。
「して……いっそ……殺して……」
 うーん、この生き地獄。その様子を眺めていた真綾がふと、何かを思い出したようで。
「そういえば、昔アニメや漫画で似たようなバケモノ見た気がするデスヨ。煮て良し焼いて良し、でもタタキは嫌とか言ってた気がするデース。これがアニメじゃない!現実なのさって奴デスネ」
 藁焼きの話かな?何はともあれ、いくら敵って言っても、生きるも死ぬも叶わないこの状況はあまりにもアレなんで、マッキン、よろしく。
「任された。メタ的には大体一ターン……六十秒。開幕からぶつけられた理不尽に対する怒りは我が拳に宿っているぞ。この憤怒、放たずにいられようか!食らえ、怒りの一撃ッ!!」
 直撃させて殺害してしまうとマズいため、地面に拳を叩きつける事でアスファルトを打ち砕いて、結界ごとマグロ怪人を空高く吹き飛ばしてしまったマッキン。青空の向こう、マグロが泣いている……そんな気がした。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 冒険 『シデレウスカードの所有者を追え』


POW 戦いを挑み、シデレウス化した人物を無力化させる
SPD 他の民間人が事件に巻き込まれないよう立ち回る
WIZ シデレウス化した人物の説得を試みる
イラスト yakiNAShU
√マスクド・ヒーロー 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 というわけで今回の怪人、カプリコーンメドゥーサが空の彼方に吹っ飛んでいってしまった隙に、能力者達は被害者達を避難させて戦闘準備を整える。そこへ空中散歩から帰って来たマグロ怪人がズドーン!道路に叩きつけられてビクンビクン。なんか既に死にかけている気もするが、コイツにトドメを刺すまでがお仕事です。
「クッ、我がマグロレーザーを反射で防ぐばかりか、マグロ化を解除するとは……小癪な連中め……」
 全身コンガリして周囲に香ばしい匂いを振りまくマグロ怪人は、自分が落ちた時に作ったクレーターから這い上がって来ると。
「こうなれば致し方ない……お前達により強力なマグロ化攻撃を仕掛け、全人類平等作戦の足掛かりにしてくれる……!」
 なんか物凄い勢いで突っ込んできたー!?


※敵さんは皆さんに対し、ダメージを発生させる攻撃はしてきませんが、目から放つレーザーはもちろん。超高速移動、及び物質透過潜航などで攪乱して直接触れてきます。捕まってしまえば最期、コイツを撃破するまでマグロ化したまま解除できません。コイツの言葉から、何のためにマグロ化してしまったのかを言い当てる事ができればワンチャン説得もできるかも……?

次回執筆は二十一日の予定!当日の朝十時くらいまでにプレくれると嬉しいな!
ルビナ・ローゼス
※基本的に温厚な常識人です。突っ込み役にお使いください。

何のために...?水泳選手か何かで良い記録が出なかったから、泳ぐのが速いマグロになりたかったとか...?それで失敗したから暴れてるのかしら?
ひとまず、その方向で説得(√能力で震度7の揺れを食らわせて動きを止め、敵の攻撃は幻影と残像を駆使して回避)
違ったら、面倒なのでハチェットと黒いナイフの二刀流で攻撃し続けますわ。(揺れも維持、味方の命中補助)

無事に勝たないと、お姉さま(Anker)が怒り狂ってWZでやってきますわ...。オソロシヤ...(ガタガタ)
アーシャ・ヴァリアント
何だまだ生きてたのしぶといわね(現地までやってきた)
全人類平等作戦?全員おんなじ見た目になれば皆平等とか言いたいわけ?
はっ、バッカじゃないの、姉妹とか見た目似てても性格全然違ったり
アタシと|義妹《サーシャ》みたく支え合ってるのもいれば一方的に搾取されてる関係があるんだからその程度で平等なんかなるわけないでしょ。
変えたいなら外見なんかじゃなくて中身の方変えなさい。
あと全人類がマグロ人間になったら食べ物とか困るでしょうヒレで調理とかなんとかできると思ってんの?

そんな事もわかんないで暴れるやつにはキッツいお仕置きをしてあげる、数には数で今度こそ綺麗に焼き尽くしてやるわっ!!。
(指定した√能力で攻撃)
兎玉・天
人間大好き少しズレてる人のフリした明るい人外ちゃんです

説得⁇
「みーんな平等にマグロに…!?マグロは24時間動き続けるって聞いたヨ…それってつまり全てのニンゲンちゃんを24時間働き続けられるようにするってコト!?そんな…昔と比べてニンゲンちゃんの体力が落ちてるからってそれはやり過ぎだヨ!一日中働いてたら誰がうさてんちゃんと遊んでくれるのカナ!
だからちょっと落ち着こうネ⭐︎さっき使わなかったケドうさてんちゃんイイモノ持ってるんだヨ⭐︎(薬の入ったシリンジを取り出す)何が入ってるかはよくわっかんないケド、きっと足が止まって空とか見たくなるんじゃないカナ⭐︎」

何でも大歓迎です。好きに動かしてください!
黒木・摩那
この青いたこ焼き、見た目はびっくりですが、味は悪くないですよ。というか結構いけます(もぐもぐ)。

思わず腹ごなしもできたし、あとはマグロ退治ですね。
人類皆マグロにしたいということは、マグロが大好きなんですかね?
それとも毎日マグロを見続けて飽きた方でしょうか。
マグロ缶詰の工場にでも働いていたのでしょうか。

どちらにしても言葉の端々にストレスMAXであるのは間違いなさそうです。

食べられないマグロを量産するのは悲しいことです。
いったん落ち着いて、たこ焼きでも食べれば、少しはストレスの素も減るでしょう。
お腹がいっぱいになれば、大抵のことは許せるものですよ。
白神・真綾
ヒャッハー!特攻とかいい度胸デース!こいつは徹底的にぶっ潰すデース!
物質透過潜航とか厄介なのでプロテクトビットの防御フィールドを足場に空中で待機
レーザーは防御フィールドで屈折させて回避、特攻は防御フィールドで受け止めて勢いを殺し√能力で滅多斬りにする。特に目はレーザーとか出して厄介なので徹底的に潰す
「これでもう自慢のレーザーも撃てないデスネェ!ヒャッヒャッヒャー!」
マーズ・ベル
お任せプレ、お好きに。

しゃーく!!……あれを倒さないと元には戻れないのか……
逆に言えばもうなっちまってるから特攻しても問題はないな、しゃーく!!
でもちょっと動きづらいな、|もうちょいこうどうにか《武器改造、変形合体、変身》、お、腕が生えてきた……どこぞの|ナマモノ《変態》みたくなってしまったorz

まぁいい、このまま食らってやるわしゃーく!!って、触ったら魚類のキメラみたいになって変態度があがったぞ……おい、|教え《平等》はどうした!!|教え《平等》はよ!!あ、俺|人類ではなかったわ《恐怖の大王》、だからってこれはねぇだろうがよぉ!!!!
もういい、サメ映画みたいな挙動で追い詰めてやる!!
惟吹・悠疾
……恋人か、或いは夜のお店のお姉さんからマグロだと指摘されて、それがショックだったせいで自分も含めて全員纏めてマグロにしてしまえ、なんて考えに至ったんじゃないだろうな…?

まあ既にマグロ化している俺は相手がどんな攻撃をしてこようが今更知ったことではないな
ところで、俺にもマグロレーザーは撃てるのか?
……いや、ここまで好き勝手に扱われて、それを全て許せるような菩薩のような人間なんてまずいないし、それ以前にそんな広い心を当然のように相手にだけ要求するというのは幾ら何でも図々しいと思わないか?
これが致死性の能力だったなら兎も角、マグロ化しても普通に動けるのは実証済み
マグロ怪人を仕留めれば元に戻るんだしな
星・真金大鴉
青空の向こう、マグロが泣いている……そんなはずはない!!
勿論レーザーはがんばって回避、可能な限り触れられるのも回避したい
黒木が「顔を見られたくない人」なのではと言っていた
そして「全人類平等作戦」
全人類をマグロ化すれば全員平等になる、という意味か? なんでマグロ選んだ?
人間の方の容姿にコンプレックスがあるのか、人と目を合わせるのが苦手なのか
だとすれば、本当は人と目を合わせたいと思っているかもしれない
今はレーザーだが

説得できるのならその方が良いが、我は頭が悪い
他の者に任せて武力行使を担当する
話しかける時は横からだ!!

(引き続きアドリブ・他参加者さんとの協力歓迎/挙動や台詞詳細お任せです)

「ヒャッハー!特攻とかいい度胸デース!こいつは徹底的にぶっ潰すデース!」
 真っ直ぐ突っ込んで来た敵に対して、真綾は浮遊機を展開して障壁を張らせると、それを足場にして空中に立つ。アスファルトの下に潜り込んだ敵が出てくる瞬間に合わせて斬り捨ててくれようと、レーザーを収束して光の大鎌を生成、振りかぶった姿勢で迎撃に備えるが……。
「そんな能力で大丈夫か?」
「既にマグロになってる奴に言われたくないデース」
 アスファルトに打ち上げられた(?)マグロ状態の悠疾からの忠告に、じゃこを見る目を向ける真綾だが。
「これはネタ依頼だぞ?下手にガチると、大抵は酷い目に遭うと相場が決まっている……というわけでお前もマグロになるんだよォ!!」
 目からレーザー!しかし、光の障壁が屈折させて真綾を庇う!!
「コイツ!?味方を撃ちやがったデース!?」
「いや、ここまで好き勝手に扱われて、それを全て許せるような菩薩のような人間なんてまずいないし、それ以前にそんな広い心を当然のように相手にだけ要求するというのは幾ら何でも図々しいと思わないか?これが致死性の能力だったなら兎も角、マグロ化しても普通に動けるのは実証済み……マグロ怪人を仕留めれば元に戻るんだしな。というわけで全員マグロにしてやるよコンチキショー!!」
「ちょ、やめ……揺らすんじゃねーデース!!」
 マグロレーザーは撃てるようだが、物質透過能力までは持っていなかった悠疾は跳ねて真綾の障壁に頭突きをかまし、思いっきり揺らして彼女を叩き落そうとする。対する真綾は鎌を障壁に突き立てて何とか姿勢を維持するものの。
「こんの……やるからにはやられる覚悟もできてるはずデース!!」ザックゥ!
「ぐわーっ!?」
 あーっと!ここで悠疾の目に振るわれた鎌が突き刺さる!!
「これでもう自慢のレーザーも撃てないデスネェ!ヒャッヒャッヒャー!」
「なんのこれしき!」にゅっ
「新しい目玉が生えたデース!?」
 真綾は驚きのあまり、理解してはいけないタイプの生命体に直面したかのような顔でガクブル。
「お前の体どうなってるデスカ!?」
「くっくっく……我等ネタに染まりし混沌に生きる者共はなぁ……覗きやおっぱいダイブやその他諸々のセクハラの際に致命傷を貰う事も多い……目潰しから次の段落で復活するくらい、日常茶飯事なんだよォ!!」
「簒奪者よりタチ悪くないですかコイツ!?」
 と、真綾が別の能力者にSOSを発しようとすると。
「この青いたこ焼き、見た目はびっくりですが、味は悪くないですよ。というか結構いけます」もぐもぐ
「オヤツ食ってる場合じゃねーデース!!」
 今回の真綾はツッコミ枠か……帰るまでに原型が残ってるといいね。
「真綾ちゃんは大根おろしみたいな扱いになるのは嫌デース!!」
 白いのがなんか騒いでる間に完食した摩那は、けぷっと小さく息を吐くとお茶を飲みつつ。
「思わず腹ごなしもできたし、あとはマグロ退治ですね。人類皆マグロにしたいということは、マグロが大好きなんですかね?それとも毎日マグロを見続けて飽きた方でしょうか。マグロ缶詰の工場にでも働いていたのでしょうか。どちらにしても、言葉の端々にストレスMAXであるのは間違いなさそうです」
 そーね。大分追い詰められてる人なのは正解。そこから原因の方に意識が向けばよかったのだが……。
「食べられないマグロを量産するのは悲しいことです。いったん落ち着いて、たこ焼きでも食べれば、少しはストレスの素も減るでしょう。お腹がいっぱいになれば、大抵のことは許せるものですよ」
 さすがは脳内の九割が食う事しか考えてない摩那!食欲に全振りの思考回路をしてやがる!!
「何だまだ生きてたのしぶといわね」
 タコ焼きのような何かを食べきってしまった摩那が追加のタコ焼きを買いに全国チェーンらしいたこ焼き屋『銅蛸』に向かって走っていくと、入れ替わりに別√から合流したアーシャが半眼ジト目で。
「全人類平等作戦?全員おんなじ見た目になれば皆平等とか言いたいわけ?はっ、バッカじゃないの、姉妹とか見た目似てても性格全然違ったり、アタシと義妹みたく支え合ってるのもいれば、一方的に搾取されてる関係があるんだからその程度で平等になんかなるわけないでしょ。変えたいなら外見なんかじゃなくて、中身の方変えなさい。あと全人類がマグロ人間になったら食べ物とか困るでしょう。ヒレで調理とかなんとかできると思ってんの?」
 ひょこ。アスファルトから本物の方のマグロ怪人が鼻先を出して。
「お前のように本質を理解している人間が、世の中には少ないんだ……故に、私はあえて全人類マグロ化という手段を取る!たとえ、愚者とののしられようとも!!」
 ちゃぷ。言うだけ言って、アスファルトに消えた。割とヒントになりうるところをついて来たアーシャ。この発言を受け、真綾に焼き切られた傷跡で『バカマグロ』と胴体に刻まれた悠疾はハッとして。
「……恋人か、或いは夜のお店のお姉さんからマグロだと指摘されて、それがショックだったせいで自分も含めて全員纏めてマグロにしてしまえ、なんて考えに至ったんじゃないだろうな……?」
「恋人にマグロ呼ばわりされた……?」
 おーっと、なんか連想ゲームみたいな流れになって来たぞー?次は真金大鴉(以降マッキン表記)のターン。
「黒木が『顔を見られたくない人』なのではと言っていた。そして『全人類平等作戦』。全人類をマグロ化すれば全員平等になる、という意味か?なんでマグロ選んだ?人間の方の容姿にコンプレックスがあるのか、人と目を合わせるのが苦手なのか……だとすれば、本当は人と目を合わせたいと思っているかもしれない。今はレーザーだが、それだって人と向き合いたいが故の渇望が文字通りの熱視線になったと言うなら分からんでもない」
 悠疾の言うマグロとマッキンの言うマグロは多分別物なんだけど、まぁ置いといて。マッキンの脳内ではマグロっぽい顔をした男が恋人にフラれてへたり込む様子が描かれており。
「自分の顔が悪いから他人の顔も同じモノにしたところで、貴様がモテる事はないぞ!分かっているのか!?そんな事をするくらいならもっとこう……こう……」
 言いたい言葉が出てこないのか、わなわな震えていたマッキン。
「とにかく、メッ!!」
 幼児を叱る時のような言い方になってしまったが、その音量はすさまじく、ビル街の窓ガラスが一斉に震えてコンクリートジャングルを揺らし、アスファルトに潜っていたマグロ怪人は全身をぶん殴られた衝撃を受けて地面の中からパァン!吹き飛ばれた所に、なんか手頃な位置にあった電柱をぶっこ抜いたマッキンは、それをそのままブゥン!
「マグロ一本釣りぃいいいい!!」
「アババババババババババババ!?」
 ぶん回される電線がマグロ怪人をスパァン!強烈な鞭撃ついでに絡みついて、電気ショックを叩き込むマグロ漁の再現に、続けて何がどうなっていたのか分からないが、配線が繋がっていたらしい室外機が吹っ飛んできてマグロにドーン!白目剥いて白煙を上げていたマグロの頬を強打ァ!!
「これがマグロの痛みだ!貴様はこの痛みを全人類に強要しようというのか!?」
「マグロっていうか……暴力通り越して事故なんだが……?」
 ここまでくると、正直マグロ関係ないと思う。それはさておき、通常サイズに戻って降りて来た天が、口元を両手で押さえて。
「みーんな平等にマグロに……!?」
 結構ヤベー事言ってる敵なんだって、今気づいたのか?と思っていたら。
「マグロは二十四時間動き続けるって聞いたヨ……それってつまり、全てのニンゲンちゃんを二十四時間働き続けられるようにするってコト!?そんな……昔と比べてニンゲンちゃんの体力が落ちてるからってそれはやり過ぎだヨ!一日中働いてたら、誰がうさてんちゃんと遊んでくれるのカナ!」
 そっちぃ!?人類の危機とかそっちの方を心配して欲しいんだけど!?ていうかそういうレベルの案件だからお前等能力者を招集したんだが!?
 しかし、マイペースな天はにこっと急に微笑んで。
「だからちょっと落ち着こうネ☆さっき使わなかったケド、うさてんちゃんイイモノ持ってるんだヨ☆」
 取り出したるはやたらキラキラする薬液が詰まったシリンジ。なんかラメかかってない?中身本当にお薬?
「何が入ってるかはよくわかんないケド、きっと足が止まって空とか見たくなるんじゃないカナ☆」
「え、ちょっと待っ」ぷすっ
 問答無用で天がインジェクション。謎リキッドを注入すると。
「あっははははははははははは!!」
 マグロ怪人は全身から七色の光を放ち、空を見上げたままそこら中を走り回り跳ね回り、アクティヴに荒ぶるハイテンション☆
「しゃーく!!あれを倒さないと元には戻れないのか……逆に言えばもうなっちまってるから特攻しても問題はないな、しゃーく!!」
 戻って来て両ヒレを掲げて威嚇のポーズを取るマーズ。そんな彼の前には目に痛々しい光を振りまきながら謎のBGMと共にバグ挙動するマグロのような何か。
「なんか無敵モード入ってないか!?」
「アハ☆元気になってよかったネ☆」
「敵を元気にしてどーする!?」
「あ、君も一本欲しいのカナ☆」
 天が別色のシリンジを取り出すと、マーズは尾鰭を抱きかかえて盾にしながら。
「断る!それ絶対頭おかしくなる奴だろ!!」
 目の前で笑いながら空を見上げてギュインギュイン回転するマグロを示し、戦々恐々するマーズだが、自分の胸鰭を見やると。
「でもちょっと動きづらいな、もうちょいこうどうにか……お、腕が生えてきた」
 もそもそ。動き回っていると、ヒレの先から手が出たわけだが。
「……どこぞのナマモノみたくなってしまった」
 別に鮫化が解けたわけではないため、なんていうか、アレよ。変態途中のオタマジャクシみたいな珍獣状態なんよ。
「まぁいい、このまま食らってやるわしゃーく!!」
 半ば自棄を起こして飛びかかっていくマーズ……だがしかし!
「おい、パイにならねぇか?」
「何言ってんだコイツ……って、触ったら魚類のキメラみたいになって変態度があがったぞ……おい、教え(人類皆平等)はどうした!!教えはよ!!あ、俺人類ではなかったわ、だからってこれはねぇだろうがよぉ!!」
 なんという事でしょう。マーズが敵に噛みついた途端、頭と尾鰭は鮫のままだが、肩から腰にかけてマグロ(大トロ)、サーモン(炙りチーズ)、サバ(こぶ締め)、イワシ(アンチョビ)、アジ(フライ)、ニシン(干物)と六種類に変化。頭と尾の鮫も含めれば七つのお魚と合体☆
「おかしいだろコレ!絶対おかしいだろコレェ!?」
 なんていうか、こう、寿司ネタと食材を串刺しにしたような不思議な姿になってしまったマーズ。しかし、彼の悲劇は終わらない。
 ふわ……ゆっくりと七色に輝くマグロ怪人が浮かび上がると、その頭上には回転する円盤状のパイ生地が飛来していて。
「さぁ……星を見るのです……パイとなって観測者に名を連ねるのです……」
「誰かあのアセンションした怪物魚を止めろぉおおお!?」みょんみょんみょんみょん
 マーズがキャトられてパイ生地に吸収されながら断末魔を遺したところで。
「えーっと、そもそも、何のためにマグロ化をさせていたのでしょう?」
 ルビナ、根本的な所に疑問を抱くの図。
「水泳選手か何かで良い記録が出なかったから、泳ぐのが速いマグロになりたかったとか……?それで失敗したから暴れてるのかしら?」
 全人類平等作戦。つまり、能力値を全て平等にしてしまおうとしているのではないかと考えたルビナは、頭上で回転するフィッシュパイを崇めているかのようなマグロ怪人に手を翳し。
「お待ちになって!」
「ままままままま!?」
 建造物すら倒壊させる強烈な振動を相手に叩き込み、足止め。高速シェイクされる敵さんに向かって拳を握りながら身を乗り出し。
「もしもあなたが速さを求めておられたのなら、そこに至る努力にどれだけの苦労、価値があるのかはよくご存じのはず!だというのに、何故それを踏み躙るような事をなさるのですか!?」
 と、真っ当な事を口にしたのだが。
「「「「「「「いや、我等はアスリートではないし」」」」」」」
「マグロさんが増えましたわー!?」
 何しでかしてんだルビナァ!?強烈な振動で色彩分離したマグロメェン。びっくりした拍子にルビナが振動を止めてしまうと。
「マグロレッド!」
「マグロオレンジ!」
「マグロイエロー!」
「マグログリーン!」
「マグロブルー!」
「マグロインディゴ!」
「マグロパープル!」
「「「「「「「我等、七人揃って、マグロレインボー!!」」」」」」」
 チュドーン!虹色の爆発をバックにビシィ!決めポーズを決めるマグロ怪人。そこへタコ焼き片手に戻って来た摩那は瞬きをすると一旦眼鏡を磨いて、かけ直し。
「あれ、見間違いじゃなかった……敵が増えてませんか?」
「わー☆綺麗な花火だよネ☆マグロショーカナ☆」
 困惑する摩那にキャッキャとはしゃぐ天。ちょっと依頼の方向性が迷子になって来てるんですが、誰か何とかしてくれません?
「もはや収拾がつかんな……よし、我に任せよ」
 マッキン!何か策があるのか!?
「困ったときは武力行使!これに限る!!」
「ドゥッフ!?」
 コイツただの脳筋だー!?ぶん回された電柱がマグロパープルを直撃して、カッキィン!空の彼方へ吹き飛ばす!!お星様になったマグロが登場シーンの短さに涙している。そんな気がした……。
「青空の向こう、マグロが泣いている……そんなはずはない!!何故なら、まだ本体が残っているはずだからな!!」
「あ、そうか。俺がマグロのままって事は残り六人の誰かを仕留めれば戻れるのか」
 と、マグロってる悠疾がぽふっとヒレを打ち。
「まぁそれはそれとして俺の目的は道連れを増やす事だがなぁ!!」
 急に振り返ってマグロレーザーを放つ悠疾だが、その光を摩那が抜き放った包丁の腹で受けて反射。跳ね返された光で悠疾がボフッと人の姿に戻ってしまうと。
「何ッ!?まだロクに暴れていないのにネタ要素を奪われただと!?」
「なんで戻れたのに絶望しているんですか……」
 買ってきたタコ焼きを食べさせようと思ったら、人数が増えてたから自分で食べちゃった摩那は包丁……ていうか刀を構え直し。
「何はともあれ、あの増えたマグロを全滅させればいいんですね?」
「まだ自分達が勝てるとでも思っているのか?ならば貴様もマグロにして分からせてくれる……!」
 などと、インディゴがアスファルトに潜って姿を消し、摩那の足元から……と見せかけて、尾鰭を見せただけのフェイント。ビルの壁から飛び出し、背後から頭突きをかましてマグロ化させようとするが。
「な、何故だ?体が……動かない……!?」
 直撃したはずの摩那の背中はマグロから数メートル先にあり、自身は空間に固定されたかの如く動けない。振り返り、ゆっくりと近づいて来る摩那は包丁を掲げて。
「ぶつかる寸前に、極低温のインビジブルと入れ替わったのです。さぁ、冷凍マグロは出荷の時間ですよ!」
「いやー!競りに出されるー!?」
 というわけで足とか尾鰭とかを切り落とされて、真っ白になったマグロインディゴが地面をズサーッ。そのおでこには八千七百円の貼り紙。
「ば、馬鹿な……我々がこうも容易く制圧されるはずが……!」
「ヒャッハー!よくわかりませんガ、とりあえず皆殺しの時間デース!!」
「な……不意打ちはズル……アバーッ!?」
 ザザシュッ!真綾の振るう大鎌がマグロブルーを頭、前半身、後半身、尻尾と下半身に四分割。
「マグロ怪人の尾頭付きデース!!」
 と、高笑いしていた真綾だったが、光の大鎌の熱に焼かれたマグロブルーは……。
「ゴメン、皆……俺、マグロじゃなかったんだ……」
 カキフライに!!
「何がどうしてそうなるデース!?ていうか真綾ちゃんをトンチキ展開に巻き込まないでくだサーイ!?」
 揚げたてジューシーなカキフライに頭を抱える真綾を前に、マグログリーンが震えて。
「立て続けにマグロレインボーが撃破されるだと!?こ、このままでは……」
「うんうんわかるヨ☆もっと遊びたいよネ☆」
「はっ!?」
 いつのまにかマグログリーンの背後を取っていた天。マグロが恐怖でガタガタしている間に、彼女はその首に手を伸ばして……。
「手には持てなさそうだから、首にかけておくヨ☆これ持って踊ると恵みの雨が降るって言い伝えがある首飾りなんだッテ☆これで台風とか呼んだら会社もお休みになって、もっといっぱい遊べるネ☆」
 いやまぁ、確かに魚にとって乾燥は天敵かもしれんけども、今それいる?しかし、人の感性からずれている天は自分がいい事をしたとニッコニコであり。
「それじゃ、踊ってみよッカ☆」
「え、えぇ……?」
 困惑するマグログリーンだが、理解しがたい天の言動についていくことができず、ここで従わない方が何が起こるか分からない怖さがあったのだろう。なんかこう、水っぽい動きをし始めるのだが。
「あ、言い忘れたケド、一割強の確率で破滅しちゃうらしいから気を付けてネ☆」
「それ先に言えよぉおおおお!?」
 というわけで十三パーセントの確率でマグログリーンが爆ぜます。運命の、ダイスロール!!

【出目:40】

 チッ、生き残ったか。
「良かったよう……良かったよう……!」
 などと、メソメソするマグログリーン。だがしかし、空は暗雲に包まれ天上より大地を揺らす音色が響く……。
「あれ、マジで天災呼んじゃった!?お、俺は悪くない!巻き込まれたんだ!帰らせてもらう!!」
「あ、待ってヨ!折角だからもっと遊んで……あぁ、行っちゃったネ☆」
 ゴロゴロ言い始めた空模様にビビったマグログリーンが逃走してしまい、取り残された天がちょっと呆然としているその後ろで。
「おい、マグロにしろよ」
「何でぇ!?」
 マグロイエローに悠疾が迫る!その表情は人類の暗黒面を煮凝りにしたような邪悪な笑みを浮かべており。
「散々振り回されたにもかかわらず、俺が暴れる前にマグロ化が解ける事故が起こったからな……この恨み、はらさでおくべきか……!」
「我々を貴様の復讐の道具にするのはやめて頂きたい!こっちにも相応の大義があってマグロ化させていてだな!?」
「いいからマグロレーザーを寄こせやオラァ!!」
「うわーっ!変態に襲われるー!?」
 威圧感だけでマグロイエローの心を折ってしまった悠疾から、マグロはダッシュ!自動車どころじゃないスピードで走り去ってしまった……。
「マズい……マズいぞ……あっという間にこちらの戦力が削られて……ん?」
 冷や汗ダラダラのマグロオレンジに、影が落ちる。見上げた先には巨大なパイ。
「人の事を勝手に調理しやがって!こうなったらビックリドッキリB級サメ映画みたいな挙動で追い詰めてやる!!」
 ゴゴゴゴゴゴ……空から巨大なスターゲイジーシャークパイが降って来た!
「そんなんあり!?」
「うるせー!B級だから何やっても許されんだよ!!」
 中心に突き刺さったマーズが吠え、パイ生地からボコボコとマグロ、サーモン、サバ、イワシ、アジ、ニシンの頭が生えてくるとパクパク口を動かしながら虚無の瞳をマグロオレンジに向けて。
「お前も食ってフィッシュパイの具材にしてやらぁ!!」
「嫌だー!そんなよく分からなすぎる料理の一部になるのは嫌だー!?」
 しかし逃走虚しくズドォン!巨大なパイ生地に押しつぶされたマグロオレンジはフィッシュパイの餌食っていうか具材になったのだ……。
「で、後はアンタだけって事ね」
「クッ……」
 腕を組んで仁王立ちするアーシャと対峙するマグロレッド。どう見ても形成不利と見た怪人は素早く回れ右して。
「三十六計逃げるに如かず!勝てぬ相手に挑むほど私はバカではない!!」
「ふーん。それで、何処に逃げるのかしら?」
「アレェ!?」
 百八十度反転したはずなのに、目の前にはアーシャ。さっきまであっちにいなかったっけ!?っと振り返ってみてもアーシャ。気づけば八人のアーシャに包囲されており。
「何よ、分身できるのは自分だけだとでも思った?」
「れれれ冷静になれ。全方位から一斉攻撃なんかしたら、お前自身にも命中するはずだぞ……!」
 などと、時間稼ぎしながら物質透過でアスファルトに潜る隙を探ろうとしていたマグロレッド。しかし、突然足元が大きく揺れて転倒。同時にルビナが黒いナイフを投擲。尾鰭を貫通し、地面に縫い留めてしまう。
「これで逃げられませんわ!!」
「全人類がマグロになったら普通に社会生活が成り立たないでしょうが……そんな事もわかんないで暴れるやつにはキッツいお仕置きをしてあげる、数には数で今度こそ綺麗に焼き尽くしてやるわっ!!」
「あっぢゃぁあああああ!?」
 八方向から一斉に吹き付けられる灼熱の吐息にコンガリ焼かれて、マグロレッドはブラックにカラーチェンジしてしまうのだった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 ボス戦 『中華風タコ怪人娘『リンメイ』』


POW 本気出すアルヨ
【タコ足触手に黄金のオーラ】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【真・触手|格闘者《エアガイズ》】」が使用可能になる。
SPD 骨抜きにするアル
【タコ足触手】を召喚し、攻撃技「【触手ビンタ】」か回復技「【触手マッサージ】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[タコ足触手]と共に消滅死亡する。
WIZ 世の中お金が全てアル
任意の対象から「対象レベル万円の賄賂」を受け取った場合、対象が攻撃したのと同対象を即座に【タコ足触手】で攻撃する(これは行動を消費しない)。
イラスト nno
√マスクド・ヒーロー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 真っ黒こげになったマグロ怪人から炭を剥がすと、中から疲れ切った様子の女性が出て来た。彼女を能力者達が介抱していると。
「あちゃー、能力者に邪魔されて、カードが真っ黒こげヨ。このままだとバイト代もらえないかもしれないネ……」
 物陰で様子を窺っていたらしいタコっぽい簒奪者が姿を見せて。
「こうなったら仕方ないヨ。こいつら倒して失態を帳消しにするネ!」
 と、敵さんが構えているのだが。
『お前女だったの!?』
 能力者はマグロ怪人の正体の方にびっくりしていた。


※敵さんは蛸怪人だけあって、√能力と同時に墨を噴きかけてきます。これを食らうとイカにされます。更に敵は擬態能力を以てイカやら他の能力者やらに化ける為、骨抜き(物理)になって動きが鈍ったり、攻撃したら実は味方だったなんて同士討ち事故起こしたりと地味にやりにくい相手です。誤射前提で殴るプレを組むと有効かも?

なお、次回執筆は二十七日の予定。しばらく執筆できない為、プレイングをかけるタイミングにご注意ください。それこそ前日のうちにくれると嬉しいな!
惟吹・悠疾
蛸怪人なのに烏賊にされるんだな
なにはともあれ《無限の敢行》を発動
謎ブレスでリンメイの服を消し飛ばしつつおっぱいダイブを敢行します

どーせ誤射どころか敵味方関係なく攻撃してくる方ばかりだろう
攻撃は|煩悩形態《おっぱいダイブモード》で耐えつつ、煩悩エネルギーを得る為にもおっぱいダイブを敢行し続けます
男性に擬態されれば女性の服しか消せない謎ブレスで判別します

|煩悩形態《おっぱいダイブモード》なら墨を受けても烏賊にされることはない…とは思うけど、ネタ依頼だしな
もし烏賊になれば烏賊足触手を使用して成人同人誌的な意味で女性を辱める【性・触手|格闘者《エアガイズ》】に開眼して、女性に烏賊足触手を絡みつかせます
アーシャ・ヴァリアント
マグロの次はタコ娘がでてきた……お腹空いてきたわ(美味しそうな目でタコ娘を見つめる)
というかバイトってアンタ首謀者じゃないの?

返事は墨だったので巨大化して灼熱の吐息で迎え撃ち。
伸びてくるタコ足触手は竜斬斧で【切断】するわね。
他者に変身された場合面倒くさいので纏めて吹っ飛ばす。
(骨抜きされてないなら竜斬斧で【なぎ払う】されたなら灼熱の吐息で纏めて【焼却】)

大人しくたこ焼きになりなさいっ、美味しく頂いてやるからっ!!
仲間?……(ぽっくぽっくぽっく、チーン)尊い犠牲だったわね……忘れないから10秒ぐらいは。
(イカになった場合)あ、アタシがイカにー……ってタコじゃないのっ!?(墨代わりに灼熱の吐息)
ルビナ・ローゼス
※基本的に温厚な常識人です。(守護神ディアナ様はトラブルメーカーですが。)

あのマグロ怪人、女性だったんですの?!いやいや、予想できませんわよ?!...あら、なんかインパクトの薄いのが出て来ましたわね。

ハチェットと黒いナイフを使って、フェイントをかけながら、攻撃しますわ。
敵の攻撃は、幻影と残像を組み合わせて避けたり、看板を盾代わりにして防ぎます。
(√能力の演出)
そういえば、何日か前にディアナ様が対簒奪者トラップを全ての√に無差別に仕掛けたと言ってましたけど、この街、何か見覚えが...。あ、まさか...。(演出はお任せします。ピ○ゴラス○ッチのノリで罠が発動します。)...わたし、知~らないですわ
兎玉・天
元半分マグロニンゲンちゃん、これ食べて元気出してネ⭐︎うさてんちゃんが採った新鮮★ダンジョン産瓶詰めスイーツだヨ⭐︎

タコは調理前に叩いて柔らかくするんだっテ⭐︎洗濯機とかに入れて回したりするらしいヨ⭐︎だからコレ(殴り棺桶とか)に入れてシェイクしちゃうヨ⭐︎下拵えバッチリだネ⭐︎

・誰かに擬態した場合は炙り出すために煽る!
配布用食用怪異肉の青いタコ串を高らかに見せ「ニンゲンちゃんに悪いコトするコはこんな風にしちゃうんだヨ⭐︎ちなみにうさてん堂で絶賛取り扱い中だヨ⭐︎ご贔屓にネ☆(CM)」
仲間のニンゲンちゃん達になら誤射で殴られても楽しいから怒らないヨ⭐︎

何でも大歓迎です。好きに動かしてください!
白神・真綾
ヒャッハー!やっとボスが出てきたデース!さっさと狩ってギャグ依頼から解放されるデース!
√能力で強化して攻撃、タコ足を狙って斬り落としていく
タコ墨は全力回避
擬態による同士討ちは気にしない!最悪自分以外は全部斬るつもりで倒しにかかる
大体蛸とイカじゃぁ見間違うのも難しいデース!間違うわけがないのデース!

全てが終わってから
結局、なんでマグロだったデスカネェ?
スノードロップ・シングウジ
ふっふーん♪このアイスは当たりデスネー。次は別の買おうカナ
(一般人を避難させた後、そのままアイス買いに行ったセレスティアル)
ンー???何ダ?あの集マリ?Oh、マダやってタのネ…(アイスぱくー)

赤い迷彩用のレインコートを羽織って空を飛ぶヨ。ステルスシマショ
前回イイ感じにフェードアウトシテタカラ、ワタシの事は気づかれない筈ヨー
アイス食べ終わったら、しゃーないノデ呪文詠唱シマス。
「増えろ」「増えろ」「増えろ」と高速かつ多重詠唱。
「これは増殖するタイプの魔剣デス。タイトル回収デスネー。という訳で踊れ!鮮血小太刀!」
 高速詠唱で増殖サセタ鮮血小太刀をタコ女に向かって飛ばシマス。誤射ったらドンマイ!
黒木・摩那
タコ怪人!
先ほどたこ焼きを食べたばかりですが、タコの刺身もよいですね。
新鮮なタコが目の前にありますし。

タコをゲットする前に自分がイカになってはいけません。
墨は【敵を盾にする】して回避します。
敵が味方に擬態しているということですから自分以外は敵ということで油断大敵です。
マグロ包丁と√【怪異解剖執刀術】でタコ足ゲット狙います。

そういえば。
さっきまでマグロになってた女性はなぜにあんな形になってしまったのでしょう?
タコ焼きあげるので、少し事情を話してみませんか。
星・真金大鴉
貴様女だったのか!?!?
なんだタコ中華、今それどころではないのだが
イカァ!?
ひとまず元マグロ怪人に上着を掛け、シーチキンを食わせ、まな板の上に寝かせておく
全てが終わったら漁協、いや病院に連れて行くのでしばし待て!

新たな食材の登場か
ひとまず触手は可能なら避けたいが、無理なら極力殴るか焼くしかない(破壊の炎)
擬態能力があると聞いたが、おそらく見分けがつかん
タコの焼けた匂いがすれば… いや全部屋台の匂いだ。美味そうだということしかわからん
ここまで共に戦ってきた仲間達のその強さを信じ、疑わしきは全部攻撃するしかない
許せ。大丈夫だ、死なん!

(アドリブ・他参加者さんとの協力歓迎/挙動や台詞詳細お任せです)
久瀬・八雲
そろそろアドリブしたいのでは?(アドリブ可の意)

流石は|🦀《たこ》怪人……
|🦞《いか》にされるとはなんとおそロシア!
|🦑《えび》の名にかけて負けるわけには行きませんね!

じゃあみなさまお願いしまーす。
(手を数回叩いて合図を送ると、地平線の向こうからそりゃもうこの世の終わりかってくらいの地響きを鳴らして妖怪sが殺到するかも)

では🐙怪人目掛けて……あっ違う違う
目標はこの辺一帯!じっくりねっとり走り回ってくださーい。
みなさんガタイも良いし轢かれたら痛いかもしれませんけど……
|轢かれたら事故《轢かれる奴が悪い》と言うことで一つ……
マーズ・ベル
お任せプレ、お好きに

おっと、うっかりプレ忘れるとこだった。最終戦だし、はでにいくぜ、来いマールス!
(どこからともなく|無人《インビジブルが操縦してる》の車両達が変形合体して人型重機に……なったとたんに墨を浴びて烏賊型重機に)
いやなんでだよ!!マールスは確かに火星のことでもあるが火星人なら蛸型だろうが!!(とかいいつつもちゃっかり搭乗はしてる)
む、擬態するのか……まぁこんな依頼に来てる連中なら覚悟完了してんだろもといなんとかする実力はあんだろ、俺はそう信じる。というわけで喰らえやおらー!!
げ、機体に融合された、脱出!!
爆発オチなんてサイテー

「あのマグロ怪人、女性だったんですの!?いやいや、予想できませんわよ!?」
「貴様女だったのか!?!?」
 ルビナとマッキンもビックリのマグロ怪人の正体。おかしいな、ヒントは出してたはずだけど……?
「そんなのありましたか!?」
 まずOPに、それっぽい思想を持ってるって言ったやん?
「ありましたわね……」
「あのー、お前等?私の事無視しないで欲しいヨ」
 おっと説明の途中だが簒奪者だ。決戦の為に出て来たのにほったらかしにされたタコさんが萌え袖をプンプン振って、存在をアピールすると。
「なんだタコ中華、今それどころではないのだが」
「えぇ……」
 振り向きもしないマッキンの態度に、タコさんことリンメイはげんなりしつつ。
「こうなったら卑怯もズルもないネ!不意打ち上等ヨ!!」
 シッシッと言わんばかりに手を振って追い払おうとしていたマッキンの後ろからタコ墨をブシャーッ!!
「ぬわーっ!?いきなり何をす……イカァ!?」
 なんということでしょー。マッキンは初手でイカってしまいました。
「そりゃ我だって怒るぞ!回避判定すら振らせてもらえないとはどういうことだ!?」
 じゃかぁしいわ!どっからどう見てもノーガードな状況になるプレ組んだお前の責任じゃろがい!カタカナ表記を悪用して烏賊を怒(り)に変換して逆ギレすんなや!!
「まずはお前から仕留めてやるネ!」
 そしてその隙にリンメイが背中から伸びる四本のタコ足触手を黄金に光らせて、絡み合わせて錐状に揃えた先端でマッキンを刺し殺そうとするのだが。
「話の途中で邪魔をするでない愚か者がーッ!!」
「アイヤーッ!?」
 これは酷い……襲い掛かって来た敵さんを右の触腕で殴り返すカウンター!√能力を無力化して敵の強化が解けたところに強烈な右フックが炸裂!絡み合った触手を吹っ飛ばして顔面を強打ァ!!……女の子なんだから顔は勘弁してあげなさいよ。
「今どきのご時世、そんな言い訳は通用せん!男女平等だからな!!」
 まぁ、それもそうね。キパッと情け容赦などしない宣言をしたマッキン(イカの姿)は触腕を握るが……イカって十本脚じゃなくて八本脚に二本は腕なんだよね……マッキンがそこまで分かっててやったのかどうかは知らないが、右手で能力を打ち消す能力はイカ状態でも使えてしまう。
 何はともあれ敵さんをぶっ飛ばしたマッキンはタコ墨で黒く染まってしまった学ランを気絶している女性にかけ、巨大なまな板の上に寝かせるとシーチキンと醤油、そして微塵切りにした新玉ねぎをお供え(?)してから。
「全てが終わったら漁協、いや病院に連れて行くのでしばし待て!」
 一瞬出荷しかけてたぞ大丈夫か!?その人一般人なんだから丁重に扱えよ!?
「マグロの次はタコ娘がでてきた……お腹空いてきたわ」
 なんかうなされてる女性の傍らで、お供えされていたツナ缶に玉ねぎを混ぜて醤油かけながら勝手に食べてるアーシャが殴り飛ばされていく敵さんを眺めていると。
「というかバイトってアンタ首謀者じゃないの?」
「その辺は守秘義務が絡むから話せないヨ」
「コンプライアンスはしっかりしてんのね……」
 だったらこんなバイトしてないで、もっとまともな仕事しなさいよ……っていう呆れ顔をしながらツナ缶を食べきったアーシャに対し、敵さんの目がキュピーン☆
「油断したネ!!」
「しまっ……!」
 ブッシャー!噴き出されるタコ墨にブレスで対抗。黒煙と炎がぶつかるが……。
「何よコレ、消えないですって!?」
 今回ばかりは相性が悪かった。タコ墨とイカ墨は別物って言われる通り、タコ墨は完全に煙幕。そこに炎を噴きつけたところで空気の対流に乗って広がってしまい、アーシャを包み込んでしまった。
「な……なによコレー!?あ、アタシがイカにー……ってタコじゃないのっ!?」
「蛸怪人なのに烏賊にされるんだな」
 イカにされて地面にぬちゃぁ……するアーシャだったモノを見る悠疾は腰を落とし。
「何はともあれ、そう何度も状態異常を食らうわけにはいかない……行くぞッ!はぁああああああ!!」
 全身から凄まじい闘気を発し、髪を逆立てて周囲のアスファルト片を浮き上がらせる悠疾。据わった眼光は真っ直ぐにリンメイを捉え、簒奪者に恐怖を与える。
「クッ、こんなヤバい奴が出てくるなんて聞いてないヨ……!」
 タコ足に黄金の光を宿し、リンメイは左右にステップを刻んで挙動を読ませず、距離を詰めて一足に跳ぶ。距離を詰めると同時にタコ足を左右から伸ばし、先端で串刺しに、それが敵わずとも圧殺せんとするが。
「おっぱぁあああああい!!」
「……は?」
 悠疾が叫んだ途端にリンメイの服がパァン!あ、いい感じにタコ足が展開していた為、隠すべきところは隠れていて健全です、ご安心ください。
「アイヤァアアアア!?」
「逃がすかァ!!」
 敵さんが体を隠そうとする瞬間に悠疾が飛び掛かり、B級のクッションに顔を押し付ければ濡れているわけでもないのに、しっとりとした質感に滑らかな肌触り。貼りつく様な柔肌に頬を擦りよせながらしがみついて。
「さぁ、俺が敵を抑えている内に!!」
「アイツ、自己犠牲みたいな事言ってますケド、目が『煩悩』になってるデース」
 もしかして真綾ちゃん、アレと仲間だと思われてるデスカ?とでも言いたげに胡乱な目をこちらに向けて、無敵状態を悪用(?)してリンメイのやや控えめながらも確かな膨らみを堪能するセクハラ探偵を指さす真綾。
 気持ちは分かるが、同じ能力者である以上、お前は同類の存在だ。
「よーしあの変態諸共ぶっ飛ばして真綾ちゃんの汚名返上デース!!」
 光学兵器の出力を絞って生成した光の大鎌を振りかざし、更に浮遊砲台からレーザーを当てて光り輝く大鎌を強化。半弧を描く刃は激しく光を放ち、周囲を白銀に照らしながら熱波を纏う。
「ヒャッハー!さっさと狩ってギャグ依頼から解放されるデース!」
 嫌ならもっとカッコいい依頼扱ってる星詠みの所に行けばいいのにー。
「うるせーデース!帰還が速い分経験値稼ぎには都合がいいんデース!!」
 これだからバトジャン系脳筋は……何はともあれ自身の構えた姿すら置き去りに、敵背後に回り込んだ真綾は灼熱の大鎌を振るい、敵を切りつけたその瞬間に大爆発。
「今度は何デースカ!?」
 タコの敵さんに高温の刃を叩きつけた為に、敵の触手が含んでいた大量の水分が一瞬にして蒸発。小規模な水蒸気爆発を起こした事で周囲は白霧に包まれてしまう。
「見えないからナンデース!だったら戦場ごとぶった斬るだけデース!!」
 地面と水平に構えた大鎌は刃を拡張。道路を挟んだ両隣のビルを巻き添えにハーベストアタック。斬り払われた空間の中、倒壊する建造物が巻き起こす粉塵と突風に霧が振り払われると……。
「イカしかいねーデース!?」
 そこには四匹のイカが!!
「話が違うデース!タコとイカだから見間違うわけねーって話じゃなかったデースカ!?」
 敵も擬態するってゆーたやんけー。敵を倒す事しか考えてないんだからほんとにもー……。
「ふっふーん♪このアイスは当たりデスネー。次は別の買おうカナ……ン?」
 ここでビル倒壊の大騒音に気づいたスノードロップ。避難誘導の帰りにコンビニによって、牧場直送牛乳バニラアイスプリン味なる、何言ってるのかよく分からないモノを食べながら、目を細めて。
「ンー?何ダ?あの集マリ?」
 目を凝らしてよーく見ると、粉塵の向こうで荒ぶる大鎌と、その斬撃からヌルヌル逃げる四匹のイカ。大体察したスノードロップは遠い目でアイスをもう一口。
「Oh、マダやってタのネ……」
 このまま帰っちゃおうかとも思ったスノードロップだが、途中で帰った事が姉にバレようものなら……。
「オネエサマに何言われるか分かりませんネー……仕方ない、ちょっと援護射撃くらいはしておきましょうカ」
 赤いレインコートを羽織れば不思議のその姿はコンクリートに馴染んでぼやけ、ビルに沿って飛び戦場の上に陣取るスノードロップ。アイス最後の一口を頬張るとゴミをまとめてから。
「増えろ、増えろ、増えろ……」
 口の中で呟くように小さく素早く、同じ単語を繰り返す。その言葉が一つ綴られる度に、虚空に浮かぶ赤いナイフ。一振り、また一振りとギラつく刃が増える下で。
「先ほどたこ焼きを食べたばかりですが、イカの刺身もよいですね。新鮮なイカが目の前にありますし」
 おめめキラッキラで四匹のイカを見る摩那にイカ、一斉にビクッ!?
「待て!俺達は味方だぞ!?」
「ていうか、アンタまだ食べるの!?」
「ハッ!そうか、我等が自分で自分を焼き、タコの焼けた匂いがすれば……」
「「「ギャーッ!?」」」ジュワーッ
 イカの一匹が突如火を噴いて、戦場を炎で包み込むと、辺りに漂うソースの香り……火を噴いて自分も含めて真っ赤に焼き上げたイカは首(腹?)を傾げ。
「いや全部屋台の匂いだ。美味そうだということしかわからん」
「コイツバカナノ!?自分だけ焼いて証明すればよかっただけネ!何で私達まで焼くノ!?」
 イカの一匹が割とガチ目にキレるも、焼いたイカはフッと笑み。
「ここまで共に戦ってきた仲間達のその強さを信じ、疑わしきは全部攻撃するしかないだけだ……というか、さっきまでタコだった娘が我々の中にイカとなって混ざっている以上、そうしないとこの戦いは終わらない。というわけで許せ。大丈夫だ、死なん!」
「ざっけんじゃないわよ!焼き払うのはアタシの専売特許なんだからね!!」
 別にそんな事はないと思うんだが、どうやらアーシャと思しきイカとマッキンと思しきイカが睨み合うと、アーシャイカが全身を膨張させながら近隣ビルに脚を伸ばして絡みつき、倒壊したビルと自身の巨躯で挟み込む事で退路を断つ。
「どうせこの中の誰か一人は敵なんでしょ!?だったら全員纏めて焼けばいいだけじゃない!大人しくたこ焼きになりなさいっ、美味しく頂いてやるからっ!!」
「おっと、ニンゲンちゃんを巻き込んじゃったら大変だネ☆」
「あ、ズルい!」
「一人だけ逃げただと!?」
 シュゴォオオオオオ!!アーシャイカの放つ業火が戦場を呑み込んで全てを焼き払う中、天は気絶していた被害者をまな板ごと抱えて、ッピョーン!天高く飛び上がって巻き添えを回避して、炎が止んでからひゅーん……ぽて。明らかに挙動と落下エネルギーが噛み合っていない着地を見せてまな板と降ろすが、バンジージャンプ並のフリーフォールを味わった被害者はさすがに意識を取り戻し。
「う……あれ、一体何が……?」
「元半分マグロニンゲンちゃん、これ食べて元気出してネ☆うさてんちゃんが採った新鮮☆ダンジョン産瓶詰めスイーツだヨ☆」
「え、何、え?」
 そりゃー、目を覚ました途端に真っ黒こげの町の中で取っ組み合う四匹のイカとそれを狙う包丁(という名の刀)とか光る鎌をぶん回す女が駆けずり回る背景に、ニュッとフェードインして来た見た目はケーキの自販機から出て来たような瓶詰スイーツ。誰だって混乱すると思う。
「えー……っと?」
 反射的に受け取ってしまって、頭がナウローディングな女性に天はニッコニコで。
「タコは調理前に叩いて柔らかくするんだっテ☆洗濯機とかに入れて回したりするらしいヨ☆」
「はぁ……」
 人間サイズ(一匹除く)のイカが共食いしてる所に襲い掛かるハンターっていう、何かのゲームみたいな光景を背にしてそんな事言われても、なんでイカを指さしてタコの話?とついていけない女性は目が点である。
「エヘヘ☆びっくりしてるニンゲンちゃんも可愛いネ☆」
 置いてけぼりになった女性を観察しながら、天が取り出したのは青くてぶっといタコ足の串焼き。それを高く掲げると。
「ニンゲンちゃんに悪いコトするコはこんな風にしちゃうんだヨ☆今自白して大人しくするなら見逃してあげてもいいよ☆」
 などと、敵に圧をかけるのだが。
「ちなみにうさてん堂で絶賛取り扱い中だヨ☆ご贔屓にネ☆」
 急に『こっち』を見てにっこり。商品アピールも忘れない……ってコッチ見んじゃねぇよ!?
 それはさておき、当の天がこんなほんわかっぷりなために、イカ側には脅しとしては効きが甘い。一瞬チラって見て、向き直り。
「たこ焼にしてやるわー!!」
「我とて炎なら吐けるぞ!!」
「クソッ、無敵を貫通して烏賊にされたら日本の古き良き浮世絵よろしく『春画:烏賊と蛸』ごっこするはずが敵まで烏賊に……あっつい!お前等焼き合うなら他所でやれ!!」
「こいつ等自由過ぎだヨー!バイト代に見合わなすぎネ!!」
 この惨状である。しかしイカオンリーのプチ怪獣バトルを制したのは。
「これは増殖するタイプの魔剣デス。タイトル回収デスネー。という訳で踊れ!鮮血小太刀!」
 高みの見物決め込んでたスノードロップだー!?降り注ぐ赤い刃がイカの体をメッタ刺しにして動きを止めると消滅。再びイカが動き出すまでのわずかな隙を突いて。
「今夜はげそから揚げですね!!」
 スパァン!!イカ脚をぶった切った摩那が一本担いで、食欲の液体をたらり。
「そういえば、さっきまでマグロになってた女性はなぜにあんな形になってしまったのでしょう?イカ焼きあげるので、少し事情を話してみませんか」
 などと、切り分けて自分もモヒモヒしながら、今まさに二種類の炎で焼き上がったばかりのイカ焼きを差し出すが。
「え、いらない……」
 まぁ、そうなるな。
「食べれば元気になりますよ?あ、もちろん変な意味じゃなくてですね」
「いやほら、今お腹いっぱいで……」
「じゃあコッチならどうカナ☆一口サイズならニンゲンちゃんがお腹いっぱいでも食べられるよネ☆」
 目を逸らした女性に視界に回り込んで来た天が、さっきまで掲げてた青い蛸串を口元に寄せて来る。
「ひっ」
 迫りくる馬鹿でかいイカ焼きと、青い焼き蛸。どっちにしても普通に生きてたらまず口にはしない二者択一に女性は段々青ざめて……。
「ワァ☆ニンゲンちゃん真っ青だネ☆青い蛸の方が好きだったのカナ☆」
「い、イカで!イカでお願いします!!」
 迫りくる未知の恐怖(青い焼き蛸)にビビり散らかした女性の叫びに、摩那がイカ焼きをスパパーン!
「はい、どうぞ」
 一口サイズにカットしてつまようじを刺した摩那が差し出して、女性が恐る恐る口に運ぶと。
「あ、意外と美味しい……」
 ちゃんと√能力で食べたら元気になる代物になってるから何とか食えるんであって、本来は大惨事だから良い子はマネしないようにね。
 少し顔色が良くなった女性の前に、ズイと天が身を乗り出し。
「それで、元半分マグロニンゲンちゃんはどうしてマグロになってたのカナ☆」
 事情を話すまで帰してもらえないやつだと察した女性は、諦めたように視線を外して。
「私、地球の反対側で女性の性差別問題の解決に取り組む活動をしていまして……」
 本人は現地に蔓延る人身売買や差別的な法律、果ては肉体の切除に至るまで、伝統として根付いてしまった問題の解決に当たっていたのだが。
「久々に帰国したら、男女平等を謳うだけ謳って、何もしない、知らない人が物凄く増えてる上に、私達の活動にまで口を出してきて……」
 で、精神的に病んでしまっていたところにシデレウスカードを提示されて、世界平和を望んでしまった為に取り込まれてマグロに至る、という経緯らしい。
「……え、背景が重くありませんか?こんな前振りありましたっけ?」
 などと、呆気にとられている摩那だが、ほら、第二章でアーシャとの会話で、「お前のように本質を理解している人間が、世の中には少ないんだ……故に、私はあえて全人類マグロ化という手段を取る!たとえ、愚者とののしられようとも!!」って言うとったやん?
「自分が間違っている自覚がある辺り、常識人さんという事ですわよね。そのくらいは私にも分かりますが……」
 その正体は『本物の』活動家の女性で、ワーギャー騒ぎ立てるだけのバカ共のせいで活動を邪魔される苦労人であり、そこにシデレウスカードが絡んで「全人類が皆平等に、仲良くなれますように」という願いが「全人類をマグロにしてやるぜ!!」という狂気に塗り替えられていたというオチでな?
「あぁ~……なるほど、分かりません」
 やっべ真顔で否定されたわ。
「うんうん、ニンゲンちゃんは苦労してたんだネ☆それならうさてん堂からこれをプレゼントだヨ☆罵声を浴びせると浴びせた分だけ、言った方の精神が弱っていく呪詛返しのネックレスを……」
「い、いらない!いらないです!!」
 シレッととんでもねぇ呪物を渡されそうになった女性が首をブンブン。
「えぇー?まぁ、ニンゲンちゃんがいらないって言うならイッカ☆」
 などと、残念そうに天が呪物をしまうと。
「そろそろアドリブしたいのでは?」
 スッと不穏な事を囁きかけてくる八雲。やめてくださいこれ以上のカオスとか俺が死ぬ。ただでさえお前のプレ読んで頭痛いのに……。
「えー?ちょっとルビ振っただけじゃないですかー」
 スタンプと読みがあってねぇんだよ!こちとら使える記号には制限があるんだからややこしいモン寄こすなや!?
「そんな!「蟹」と書いて「たこ」と読んだり「蝦」と書いて「いか」と読んだり「烏賊」と書いて「えび」と読んだだけなのに!!」
 こっちはその表記をコピペできねぇからネタが死ぬんだよォ!!いやワンチャンできるかもしれんけど、危ない橋は渡りたくねぇ!!
「そこに危ない橋があるのなら、ノックでデストロイするのがネタ依頼では!?」
 だまらっしゃい!物事には限度ってモンがあるんだよ!!俺だって何でもかんでも通すと思うなよ!?
「ぶー、つまんない依頼ですねー……」
 不満げに唇を尖らせていた八雲はスッと手を上げて、パンパン。叩いて音を鳴らすと。
「じゃあみなさまお願いしまーす」
 ドドドドド……地平線の向こうから土煙が迫って来る。アレは一体……?
「では蛸怪人目掛けて……あっ違う違う。目標はこの辺一帯!じっくりねっとり走り回ってくださーい」
 八雲が呼び出したのは、筋骨隆々の妖怪軍団。『久瀬連合』とか『祖威夜』とか書かれた幟を掲げてバイクに跨り、集団でブォンブォオオオン!!
「思ってたのと違うのが来ちゃいました!?」
 バイク軍団の中心には大型トラックの上に仁王立ちするマーズが……。
「どうしてこうなった!?」
 いきなりツッコミを入れて来た。
「いや、確かに悪いのはプレを忘れてた俺だろうけども!何で暴走族のトップみたいな扱いになってんだ!?」
 八雲に聞いてください。
「どういう事だ!?」
「地の文に聞いてください」
「責任のなすりつけ合いしてんじゃねー!!」
 おかしいな、アイツ本来ならボケ枠のはずなのにすっかりツッコミが板について来てやがる……摩耗してネタ堕ちするまでこのまま使い倒すか。
「地の文殿もワルですねぇ……」
 スタンププレ組んでこっちの精神をすり潰しに来る八雲程じゃねぇよ……。
「むっ、私は視覚的に分かりやすい行動説明書を用意しただけですもん!」
 ふくれっ面で抗議してくる八雲だが、そっちにそっちのルールがあるように、こっちにはこっちの書式がある……なんだその半眼ジト目は?
「地の文さん、既定の書式無視して記録書いてますよね?」

 \ギクッ/

「あ、目を逸らした!言い逃れは許しませんよ!!」
 いやほら、世の中には効率とか信念とか色々思う所があってだな……。
「だーっ!もう!話が進まねぇから無駄話してんじゃねぇ!行くぞマールス!!」
 マーズのツッコミと共に彼が仁王立ちしていたトラックの左右に消防車とクレーン車がピタリとつくと、トラックの後ろから四輪駆動車がハイジャンプして前に飛び出して来た。
 トラックの荷台が左右に分かれて、上下がスライドして伸長すると消防車とクレーン車がスピンターンして車体後部で接触。そのまま連結すると乗車部位が左右に開いてシートを押し上げながら五指が迫り出し、車体側面が前後に割れて中心に関節部位を備えた内部を見せる。
 トラックのヘッドが上下から接触部分を包み込むようにして広がれば、マーズはそのまま落ちてしまうが、そこへ急ブレーキをかけて突っ込んで来た四輪駆動車が受け止め天井が回転。マーズを内包すると同時にエンジン部位が格納されてマーズが座っていたシートが九十度寝かされた。
 合体した四台をスポーツカーが凄まじい速度で追い抜いていくと、前方で車体の半分を左右に開いて織り込み、後部を二つに割った前部で挟み込む奇妙な形で接続。途端に全車両のマフラーから火を噴いて一気に跳ね起きたのは五台の車が合体した人型重機。その名も……。
「マールス、合体完りょ……」ぺしょっ
『あっ』
 誰もが固まった。分かりやすく処刑用ロボが完成した瞬間にタコ墨を吐きかけられたから。当然コイツも烏賊っぽいマシーンに早変わりである。
「いやなんでだよ!!マールスは確かに火星のことでもあるが火星人なら蛸型だろうが!!」
 ツッコむ所そこ!?
「巨大ロボットなんて大きな的を用意するからいけないのです!さぁ皆さん、突撃しちゃってください!!」
 いつの間にかチャリンコに乗って先導していた八雲を追い抜いて、バイクに乗った妖怪集団が突撃!乗ってるバイクも妖怪なのか、ヌルヌルしたイカの体も滑ることなく登って行き。
「いだだだだだ!?俺達まで踏むんじゃねぇ!?」
「誰よアタシの上でスピンターンしてる奴!?焼き殺すわよ!?」
「やめろー!我を轢いてものし烏賊にはならんぞ!?」
「こ、このままでは轢き潰されるネ……!」
 暴走する妖怪バイク軍団に物理的に蹂躙されるリンメイ(と、イカ化した能力者)はブラックマークで真っ黒になりながら。
「まぁこんな依頼に来てる連中なら覚悟完了して……もといなんとかする実力はあんだろ、俺はそう信じる。というわけで喰らえやおらー!!」
「「「「ギャーッ!?」」」」
 マールスから放たれる必殺触腕ビーム!!具体的に何が起こっていたかって?アレだよ、こう、戦隊物のトドメの一撃的なアレだよ。どんな風に撃ったかはちょっと文字列で表現できる代物ではない為、ご想像にお任せします。
「ほら!文字だけでは説明が難しいことだってあるんですよ!」
 八雲は引っ込んでろ!話がややこしくなるから!!
「ふぅ、一件落着……ん?」
 マーズが見たのは、地面に伸びている悠疾、目を回しているアーシャ、腕を組んで仁王立ちしたまま気絶しているマッキン。
「アイツがいねぇ!?」
「派手な技で私を見失ったのが運の尽きネ!!」
 必殺技を放った隙に足元に取り付いていたリンメイが触手を叩きつけると、自切。すると機体のエネルギーはどんどん減って行き、ついでに触手に浮かんでいた数字も減って……。
「げ、機体に融合された、脱出!!」
 マーズが飛び出した途端に、チュドーン!マールスは爆発四散してしまったのだ!!
「……あれ、ここで巻き込まれて、爆発オチなんてサイテーって叫ぶところだと思ってたんだが?」
 無事に脱出できたことに困惑するマーズ。その頭上をタイヤがポーン、と飛んでいき。
「アイヤッ!?」
 こっそり逃げようとしていたリンメイに命中。倒れてマンホールに尻もちをついた瞬間、カチッって言った。
「……ん?」
 青ざめながら首を傾げるリンメイは、びよーん!突如バネ式マンホールに吹っ飛ばされてビルの看板にぶち当たるとなんとこれが高速回転。散々振り回してからスポーン、反対側に投げ飛ばされるとこっちの看板は素早くスウィング。打ち返されて地面に叩きつけられたリンメイをポストが……ナイスショット!今度は信号にぶち当たって高圧電流がビリビリビリビリ……。
「なんでしょう、この嫌がらせのカラクリ屋敷のような仕掛け……」
「とりあえず全部引っかかるように計算されてる辺り、性格の悪さが見え隠れしてマース」
 摩那と真綾がちょっと引きながら見てると、ルビナはそーっと物陰に隠れて。
「そういえば、何日か前にディアナ様が対簒奪者トラップを全ての√に無差別に仕掛けたと言ってましたけど、この街、何か見覚えが……あ、まさか……」
 冷や汗が出てきたルビナの前で信号から滑り落ちて来た敵さんを、横断歩道の白い部分が跳ね上がってパァン!打ち出された反対側の横断歩道は真上に飛び上がり、リンメイをトス。そこで待ち受けていた物が、ぐねっと曲がった歩道橋。放物線を描いた簒奪者を、スパァン!!
「アイヤァアアアァァァ……」
「私、知~らない、ですわ」
 空の彼方へ吹き飛んでいったリンメイからルビナはそっと目を逸らすが、飛んだものは落ちるもの、これ常識。
「オーラーイ☆オーラーイ☆」
 下で待ってた天が棺桶で、キャッチ!すぐさま蓋を閉めて、頭上でブンブン振り回すと。
「しっかりシェイクしちゃうヨ☆下拵えバッチリだネ☆」
 もはや悲鳴すら聞こえなくなってから棺桶を開けると、そこには遠心分離で水分をしっかり抜かれた……。
「タコセンできたヨ☆」
 何という事でしょう、タコが圧縮されて『名』になったお菓子、略して『名菓』簒奪者煎餅が出来上がってしまったのでした。







「え、終わりですか!?」
 文句あんのか八雲?
「もうちょっとこう、面白みのあるアドリブとか……」
「真綾ちゃんも暴れたりねーデース!!」
 おめーは他所の戦闘依頼に行って来い!!
「終わったならワタシはコンビニアイス買い直しに行ってきマース」
 スノードロップは事後処理手伝えや!?
「タコセンも食べていいですか?」
 摩那!ステイ!!
「……」
 若干、取り残された感のあるマーズはふと、振り返り。
「ちゃんちゃん、って言っとけばいいのか?」
 半分死んだ目で、今度こそ依頼の幕を引くのだった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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