香気と雨の聲は隙間を埋める

全くキャラ設定がないので、彼がどういう暮らしをしていて、家族がどうで、何のために生きてるのか知るためのお任せノベルお願いします!勝手に設定生やしたりして構いません。
白→人と妖怪(河泊モチーフ)の間の子
中華系。レインメーカー。水系の能力を使う。今は穏やかで争いを好まない。
激情が欠落してる?
anker→衛・梅劍
(白・冰夷のAnkerの従者・h03059)
人?妖怪?間の子?クール。
虐殺されて生き残ったあと、放浪してたら白に拾われたという設定。
Blとかブロマンス並の関係かもしれない(尚どっちが攻めでも良い)
白梅の香気が部屋に満ちる。
静けさは雪のよう。
だが、香炉より溢れるは穏やかな心へと整えるものだ。
時計の針のように、何もかもが規則正しく流れてゆく。
ひとの感情のように脆く崩れるものはなく、情動のように掴めずに過ぎゆくものはない。
――或いは、この部屋の主は激しさを喪っているのか。
ふ、と瞼が開く。
長い睫毛を震わせて、ゆるりと泳ぐは青の眸。
白い髪は雪のようだが、ただ一房ばかり青のいろを宿す。
柔和な表情を浮かべるが、とても物静かな美貌であった。
ひとの情念の激しさの一切を喪ったかのような、白花を浮かばせる水面めいた風貌。
名を|白《パイ》・冰夷《ビンイー》という。
「いるかな……」
わざわざ名を呼ぶ必要もない。自らの従者でありankerである彼を求めて冰夷がひっそりと囁く。
「そろそろ新しいお香も欲しいのです。今のも良いのですが……」
私の代わりに買いにいってくれないか。
あなたの選ぶものであれば、なにとて間違いはないはず。
「そうですね。次は鮮やかな匂いがいい。君の黒髪に炊き染め、しっかりと存在を確かめることが出来るような」
紅い眸のような赤椿の香も良いだろう。あの艶やかさと甘やかさ。
いいや、やはりぬばたまの黒に合わせるなら沈丁花か。
「ああ、やはりあなたに任せます。あなたに相応しい香を買ってきたください」
緩やかな動きで冰夷の指先が、机の上の筆をとる。
「私は助けを求めるこの手紙に、お返事をしなければなれませんから」
そうやって続く冰夷の聲は、何処か雨音のようだった。
規則正しい旋律と音。ゆったりと耳朶に残る余韻。
求めるというより、離れることを嫌った従者は椅子から立ち上がらない。
「……はて。私の声をもう少し聞いていたい? 意外と甘えてみせるのですね」
いやと強い男の声が響く。
――助けを求めるその手紙の主に、会いに行くのだろう。
――それはきっと戦いだ。|馮夷《フェンイー》が新しい香を求めるのはそういう事だ。
「困った従者ですね」
字名を呼ばれて、冰夷がくすりと息を零す。
目敏く、親しく、そして困った従者。
――甘えているのは、買い物を任せる馮夷だ。
離れたくないというように囁く従者の声に、冰夷は瞼を閉じた。
「かもしれません。が、あなたなしに、もはや今の私はあり得ないのですよ。……花は雨がなくば枯れてしまうように」
しっとりと濡れた言葉が、ふたりの間にはらりとおちる。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功