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⚡️【オーラム逆侵攻】フラガラッハの鋒
●侵略からの、逆侵攻
「√ウォーゾーンが動き出している。それも、かなり大規模な√EDENへの侵攻計画だ」
集まってもらった√能力者を前に、今回の予兆を受け取った星詠みワーズ・ディアハルトはゆっくりと言葉を置いた。
「目的は、王劍『アンサラー』――敵さんにして見れば、√EDENに鹵獲されていると息巻いているようだが……√EDENに、そんな物騒なものはまだ現れても――いや、まだ誰もその在処を知らない、という非常にはた迷惑な状況でな」
星詠みは、その事象に深いため息をつくと、すっと息を吸い平静を伴って話を続ける。
「だが……放置していれば攻め込まれるのは時間の問題、ということだ。実際、大規模侵略に使えと云わんばかりに、そこには互いに大きな√の繋がりが見つかっている。――とはいえ、どうやら奴さん方は内々に抱えていた二重スパイの活躍により今は軍備を整えるどころでは無いらしくてな。ならば、」
場の星詠みは、一拍置いて言葉を告げた。
「今回は――これを機に【通常より弱体化している、とも云える√ウォーゾーンに先手で忍び込み、|派閥《レリギオス》のその1拠点『レリギオス・オーラム』を急襲する】――それが今回の目的だ」
●作戦
星詠みは、一拍間を置き言葉を続ける。
「今回は圧倒的な先手を取っている為、未来の詳細なゾディアックサインこそ詠めないが、行動の優位性は保証されている……当然大失敗こそしなければ、だが」
そして、持ち出し不可としてこの場に集めてきた閲覧用タブレットを各自に配り、随時説明に必要な情報を送り込んだ。
「データはスマホなり電子機器、魔法等で保存しておいてくれ。この行動データをベースに、作戦に参加してくれる人には臨機応変にソフト内の【一言掲示板】で、やりとりをして今後の目的を立てて欲しい」
星詠み自身も、己のスマホにそれらを表示させながら、
「予兆の中で、レギオンス・オーラムの支配地域である『川崎市』の一部地域に、戦闘機械群の支配下において、人類がすれすれながらも文明と生活を維持している地域を見つけた。まずはここに向かって現地の情報収集や、整理をしてもらえれば幸いだ」
そして、と、星詠みは続ける。
「今回ばかりは、個別単独活動のみで勝利が掴めるほど甘いものでもないだろう。何しろ敵側に戦力が整っていないとはいえ、各個撃破される可能性も高い。だから、収集した情報を元に、皆で相談した後に現地で最適と思われる行動を取ってほしい。それが作戦成功の鍵になる――かなりふわっとではあるが、星詠みとして目にした作戦の目安はタブレットのソフトに移しておいた。そちらをご一読願いたい」
タブレットを見れば、【1.統率官ゼーロットの撃破】【2.オーラム派機械群の壊滅】【3.大黒ジャンクションの破壊】【4.囚われている√能力者の解放】【5.カテドラル・グロンバインの破壊】――という内容が並んでいる。
仔細は、後で細かに読んだ方が良いかも知れない。到着現地で、詳細な情報を集めることも可能であろう。
●逆侵攻の意義
「本来ならば、これだけ詠み切ったのでこれだけ行えばいい! と宣言出来ればいいのだかね。ゾディアックサインの予兆について、俺は相変わらず役立たずでな……申し訳無い……」
情けなさを浮かべつつ、冷静に表情を切り替えて星詠みは口にした。
「『|派閥《レリギオス》オーラム』は人類殲滅派だ。ここで叩く事には、確実な意味があると思いたい。√能力者を殺す王劍との関わりもあるしな――それでは、どうか宜しく頼む」
そう告げて星詠みは一礼すると、集まってもらった√能力者に静かに頭を下げた。
これまでのお話
マスターより

数多いシナリオの中からご閲覧有難うございます。春待ち猫と申します。
今回は、プレイヤーキャラクター様にシナリオ進行を決めていただく、新しいシステムを含めた【⚡オーラム逆侵攻】のシナリオを出させていただきます。
●資料【オーラム逆侵攻】
『https://tw8.t-walker.jp/html/library/event/005/005_setumei.htm』
上記に、各目的地などの行動目安などが記載されております。何とぞ、ご参照頂けますよう宜しくお願いいたします。
●注意事項
今回のシナリオでは『第二章(第三章は、第二章の選択確定段階で決定致します)』の目的地が未定です。
※第二章目的地は、参加者様の『当シナリオの一言雑談ページ(画面右上アイコン)』より【皆様による雑談の中で】決定してください。
第一章はOPを参照に、得た情報は第二章への雑談目安としてくださって構いません。
●第二章決定一例:
行き先に触れた雑談数があまりに少ない:一番多い目的地意見を参照。
別場所への内容が同数:シナリオプレイングの内容から自然と思えるものをMS裁量で行き先を決定。
雑談場が荒れたと判断:MS裁量で行き先を決定。
●一言雑談におけるMS対応
不干渉:相談内容を閲覧し内容も反映しますが、一言雑談には発言しません。
(目的地相談は、タグによる告知と、第二章断章が投下された時点で停止とさせていただきます。
雑談等は引き続きご利用可ですが、全体を通しての明らかなプレイングの補足としてのご利用は受け付けておりません。あらかじめ、ご了承下さい)
●シナリオ進行について
第一章~第三章のプレイング受付開始期間、その他随時連絡事項等はシナリオタグにて告知致します。章間には都度断章を入れますので、プレイングは断章と受付タグの双方をご閲覧いただきました上で、プレイングの送信をいただければ幸いです。
それでは、お気軽に雑談などをしていただきながら進めて頂ければ幸いです。
皆様のプレイングを、心よりお待ち申し上げております!
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第1章 日常 『僕らは非日常な日常の中で生きている』

POW
心技体を鍛え上げます、訓練を行います。√能力者との模擬戦も面白いかもしれないです。ご自由にどうぞ。
SPD
現状を知るための状況確認、偵察任務、ハッキングといった技術面でのサポートです。ご自由にどうぞ。
WIZ
励ましたり、喝を入れたり、寄り添ったり、メンタル面でのサポートです。ご自由にどうぞ。
√ウォーゾーン 普通5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レギオンス・オーラムの支配地域である『川崎市』一帯の東。
辿り着いた√能力者が目にした光景は、立地建築物こそは√EDENの光景に近しい。しかし、生命攻撃機能を無効化したのがやっとの地域としては人間にとっての安住出来る居住区とは到底言えたものではなかった。
食糧や武器、物資の不足は世界共通。だが、√能力者が辿り着いた時、レギオンス・オーラムの活性化による不穏を感じ取っていた住民達の空気が、僅かだが和らぐのを感じ取った。
確かに別√の存在だとしても、自分達を消しにかかる戦闘機械群に比べれば、その存在は遥かに安堵出来る事には間違いないのだ。
――同時に、ここ数日で鹵獲した通信システムの改造が上手く行き、この周辺地域の状況把握が明瞭になった事が話題になっていた。
これで情報が薄らとしか無かった周辺地域と作戦の状況、戦況についても詳しく触れられるかも知れない。
斯くして、√能力者は各自の思慮を伴い動き始めた。確かな次の一手の為に。

「急に訪れてすまない。俺は傭兵のクラウス。一緒に来たのは俺の仲間だ」
まずは周囲の住民達に怪しくないことを伝え、活動の許可を貰おう
こういうのは√ウォーゾーンでの身分を持っている人間がやるのが一番いいだろう
行動を許してもらえたら、通信システムに接続して周辺地域の情報や作戦の進行状況を探る
特に次に向かであろう場所……恐らくは大黒ジャンクション……の状況や地理情報、敵の情報など探れそうなものは何でも探ろう
可能なら敵側のネットワークにもハッキングし、情報収集と偽情報のばら撒きによる撹乱を試みる
少しでも次の作戦が楽になるように、最大限の準備をしよう
※アドリブ、連携歓迎

おお~、鹵獲した通信システム!大変心がウキウキする響きです。ボクもその改造したシステムを見せてもらってもいいでしょうか~?レリギオス・オーラムの通信システムの構造は一度熟知しておきたかったので今回の改造についてぜ~んぶお聞きしておきたいです。機械と戦う上で通信システムの主導権を取ることが勝敗にかかってきますからね!ここさえしっかりしておけば『分解再構築プロセッサMk-II』で今後向こうの通信を傍受したり乗っ取ることが可能になるはずですし~。
あ、ついでに周辺地域や現状についてもおさらいしておきましょうか~。早速頭に叩き込んだオーラムの通信で現在の戦況を見ていきましょう!試運転です!

アドリブなど歓迎
【心情】
ようやく今までの努力が報われる時が来るんだな。
折角の機会だ。必ずものにして見せる。
【行動】
物陰に隠れてハッキングを行い情報を収集する。
主に敵の機械群の位置や巡回ルートを改めて確認しておこう。
俺の記憶に齟齬があるとまずいからな。
どの作戦が選ばれたとしても対応できるようにしっかり情報収集しよう。
敵からバレないようにジャミングもしておいてもいいかもな。
√能力者の方とも情報を共有しておきたい。
●電子情報収集戦
その文明だけが進んだような『集落』とも呼べる土地の人々は、訪れた√能力者の一行を、一斉に値踏みするような眼差しで見つめ上げていた。
確かに戦闘機械群ではなく、人間ではあるが。だがそれは、自分達に利益をもたらす存在なのか。
食料物資を運びに来た者か――もしくは、戦闘機械群の人間利用派などに与した『人間の敵』なのか。
「急に訪れてすまない。俺は傭兵のクラウス。一緒に来たのは俺の仲間だ」
そう話す、クラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)がその場で外して見せた、演習時代から人類の為に戦ってきた事が伝わる使い古したゴーグルを目にして、住民の人々はその言葉に偽りはないと判断し、√能力者達を地域内の中心へと迎え入れてくれた。
受け入れたのは、戦闘機械群派に与した人間は、総じて人間を見下した目で見つめ、それが態度と瞳に表れるからだ、と後でこの場の敵警戒に当たっていた人物が教えてくれた。
――戦闘に出たばかりの人類側であったはずの|少女人形《レプリノイド》達が、戦力差に圧倒され裏切り、三ツ池公園の『カテドラル・グロンバイン』へ向かったときも――人と同じように動く存在でありながら、そのような態度と目を隠しもしなかったのだと。戦場で苦汁を舐めたらしき、その場にいた誰かがそう告げていた。
地域内を歩けば、立場を伝えて尚も囁くように、不安や希望を抱く視線があちこちを撫でるようにかすめていくのが伝わってくる。
この戦地を渡り歩く傭兵というのは、強く稀少である代わりに奇特でもある――それが複数の世界を渡り歩く√能力者であれば、そうは名乗らなくとも尚の事。だが、それを軽微な違和感にまで落とし込んだのはクラウスの紹介があるが故だった。これで、ある程度仲間たちも自由に動けるに違いない。
情報収集、己に出来る事を可能な限り――そう思うクラウスと、隣を歩いていたヨシマサ・リヴィングストン(朝焼けと珈琲と、修理工・h01057)は、目的として、ここしばらくで一気に戦闘が激化した『レリギオス・オーラム』の抗争に協力しに来た事を住人に伝えていく。すると住人はふたりを、最近ようやく鹵獲できたが、ここでは改造解析する為の技術者すら足りずに難儀している、という通信システムのところに案内してくれた。
破壊した、敵の大型戦闘機体から隔離した通信システム――それを目にしたヨシマサは茶色がかった赤の瞳を、感銘の声と共に大きく煌めかせた。
「おお~、鹵獲した通信システム!」
目の前の通信システムは、一応ながらに改造途中という事もあって、配線が剥き出しになっている。これが人材不足でまだ解析にも至っていないという、ある意味危機的な状況に、ヨシマサは数度噛みしめるように頷いて、必死にまずは改造に取り掛かろうとしている住人達へと声を掛けた。
「ボクもその改造したシステムを見せてもらってもいいでしょうか~? レリギオス・オーラムの通信システムの構造は一度熟知しておきたかったので今回の改造についてぜ~んぶお聞きしておきたいです」
「あなたは技術工か、助かる。何しろ人手が本当に足りなくてなぁ。向こうにも敵の記録媒体は端々に置いてあるんだが、これが通信機器も兼ねた大物だ。手伝ってくれ!」
「任せてください~。機械と戦う上で通信システムの主導権を取ることが勝敗にかかってきますからね!」
――この人類が戦う戦火において。人の命がゴミのように消えていく戦火だからこそ。一度仲間だと判断したものは、協力し合わなくては話にならない。
気さくな技術士は現状ほぼ手つかずな通信システムの様子を、二人に惜しみなく開示してくれた。
名乗り出たヨシマサに、数度ほど同じ依頼を共にして顔を知るクラウスが声を掛ける。
「ヨシマサ、出来そうかい?」
「はい~。ここさえしっかりしておけば『|分解再構築プロセッサMk-II《クラフト・リデュース・プロセッサマークツー》』で今後向こうの通信を傍受したり乗っ取ることが可能になるはずなので~……あー、これは少し手間が掛かりそうですね~」
戦闘機械群は、最終目的が同じなだけでその手段は派閥によって原型を留めない程異なり、派閥による小競り合いが当たり前のように行われている。そのため、通信などに使われるシステムが派閥により違う事などは日常茶飯事だ。そのため、過去のシステム知識が、確実に役に立つという保証が無いというのが現実なのである。
ここで、ヨシマサが己の告げた√能力の条件を満たしておけば、以降の行動に於いて迅速な情報収集と解析が可能となるであろう。
「ふふ~、楽しくなってきました。少し時間は掛かりそうですが、頑張っちゃいますよ~」
――一方、クラウスの紹介から敢えて外れ、ひとり別口から密やかに地域内部への侵入を果たす、まだ年若き少年がいた。
セージ・ジェードゥ(影草・h07993)――齢十四にして抵抗組織に属する√ウォーゾーンの特殊部隊員だ。だが、この世界の住人であり、現状スパイとして戦闘機械群に侵入していた以上、クラウスが仲間だとして紹介したときに味方としての信憑性が下がると判断し、自ら離れすぎない距離でありながらも、単独行動を選択したのである。
「(ようやく、だ……ようやく)」
物陰に隠れ潜みながら、静かに息を整える。
「(今までの努力が報われる時が来るんだな――)」
首に巻いたマフラーを正すように硬く握りしめる。それは、過去の幸せ。戦闘機械群に殺された両親に買ってもらった、とても優しい記憶の一部――今は、改造され戦闘道具の一部であるが、その想いはどこまでも心に根付いて離れない。
「(……折角の機会だ。必ずものにして見せる)」
色づく当時の目の輝きはとうに失われていた。代わり、深く心に傷跡を残してなお生きるその瞳に、深く重い復讐と信念の炎を灯して、セージは己の身を隠す為の物陰に視線を巡らせる。
目を付けた先は、戦闘機械群の破損パーツの山の一部。セージはその一部に、まだ情報が拾える、微弱な通信機能を宿した記録のユニットパーツがあることに気が付いた。それは、この世界の敵側に在していたスパイであり特殊部隊であるが故に、気付けたもののひとつ。
情報はどこに転がっているかも分からない。セージはまさにこの地の為に立ち上がった存在であり、少なからず敵勢力の配置や、敵が人間を殺害して回る為の巡回ルートなどの特殊知識には己に信を置いている。だが、それでも齟齬が無いかの確認は重要。それだけ――今回の作戦に掛ける熱量と努力も人一倍大きなものだった。
そうしてセージは早速、スマホに見える手持ちの端末――本来の機能から盗聴までを行えるハッキングツールを繋いで、情報を拾い上げ始めた。
「ふふ~。これは我ながら少し自信を持ってしまう出来ですね~」
通信システムの改造と、こちらの陣営のものとして利用する為の再構築。それらを完全に終わらせたヨシマサはその知識を確かに自分のものとして叩き込んだ。
「これで使えるようになったかな……」
「はい~。これで、この地域のデータ閲覧、一帯の通信網はある程度回復です。とは言えここのエネルギー、供給が不安定らしくて長くは使えないようですね~……」
どうやらここのエネルギーは恒久供給とはいかないらしい。それを聞いたクラウスが静かに頷く。
「そうだね……でも、戦闘情報なら敵が勝手に広めてくれるはず。ここで出来る事は全部やっておこう。必要そうな情報を手当たり次第洗い出したら、誤情報で敵を攪乱してみようか」
「名案っす! それじゃ、周辺地域や現状についてもおさらいしておきましょうか~。早速頭に叩き込んだオーラムの通信で現在の戦況を見ていきましょう! ――試運転です!」
軽快な音を立てて、ヨシマサが改造した通信システムの稼働スイッチを押す。表示されたインターフェースを即座に理解し、二人が最初に仲間と話し合った大黒ジャンクションを中心にデータを引き出していく。
溢れるようなデータの中から、以下の情報が認識出来た。
――渦を巻くように大地を巡る巨大通路『大黒ジャンクション』に、√EDENに通じる道が最近発見されたこと。
統率官『ゼーロット』がそれを発見した事もあり、今回の√EDEN侵攻作戦が決行に移されようとしている様子。
しかし戦力が整うまでの間は、戦闘機械群によって無数の通路は全て監視と共にゲートが封鎖されているという事が判明した。
破壊を目指すには、一難ある事は避けられないであろう。
「この戦闘機械だけでも遠ざけられたらいいのだけど……」
出来る限りの戦闘疲労は避けたい。クラウスはしばし思案し、届けられる範囲――大黒ジャンクション方面の戦闘機械群に向け、
【羽田空港に築かれた『カテドラル・ゼーロット』が、襲撃されている。大黒ジャンクションのシステムを監視している戦闘機械群は直ちに防衛へ戻るべし】
という、通信に誤情報を伝達する。
しばらくしてノイズ混じりだが【了解した】という一方と共に、監視の戦闘機械群が僅かな混乱を残しつつも姿を消す様子が確認された。
――一方、通信が復旧した二人の会話を傍受し耳にしていたセージの方も、傍らの記録ユニットに、扇島にある『扇島地下監獄』の情報がある事を確認していた。
セージが復帰した通信を伴い様子を窺うと、
扇島『扇島地下監獄』――こちらも、やはり戦闘機械群の監視と共に、確認出来た範囲では、入り口は封鎖に近く内側からも外側からも堅く閉ざされているのが伝わってきた。
同様に、侵入は一筋縄ではいかないだろう。
そして、こちらの戦闘機械群は現場を死守せよとでも言われているのであろう、クラウスの誤情報にも一切動く様子はなさそうである。
「敵だけでも――」
セージは、現場へのジャミングと共に【内部にいる√能力者の一部が集団で反乱を起こした】という情報を流す。ジャミングは軽度、伝わる音声は明瞭ではなく。しかし、それが現実味を帯びて伝わったのであろう、表の監視をしていた戦闘機械群を攪乱させる事に成功した。
「よし、これで良いな……ん?」
セージが仲間との合流地点へ戻ろうと、通信を切ろうとした刹那――川崎市・川崎臨海部周辺を映し出していた地図に、一際激しい光を放つ一筋の熱源が見えた。それは『大黒ジャンクション』に飛翔の速度で移動して、そして消える――。
「今のは……」
不思議に思いつつも、己の立場では長居は出来ない。
セージは首を僅かに傾げつつも、自分の得た情報を共有すべく、その場所を後にした――。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

アドリブ・連携歓迎
『さて。情報収集する人間が多いのなら、俺は住民のメンタルケアでもするか』
星詠みから保存しろと言われた資料を、戦闘でも外れないように改良したスマートグラスに落とし込んで。√ウォーゾーンには来たことが無かったが、この状況を知っていたら食料や薬を詰め込んで車で来れば良かったなと少し後悔。が、無い物は仕方ない、手持ちで手放せる物資を選んで住民に話し掛け、必要なら薬やちょっとした携帯食料などを渡しながら歩き回っていると、どこからか幼い子供らがやってくる。お菓子を渡して痛い所は無いか、困った事はないか、逃げる場所はちゃんとあるかと頭を撫でて話を聞きつつ、子供らのメンタルケアに努めよう。

支援物資として、大きな段ボール箱一杯のあんパンを持って行くよ
住民の皆から情報収集しようにも、皆の頭が空腹のせいで回ってなければ、状況を正確に伝えられないかもしれないし
それに、僕らが信頼を得ることも大事だしね
一人一個だよ
一列に並んで、順番に受け取ってね
食べ終えてからでいいから、聞きたいことがあるんだ
皆に聞きたいことは以下
・周辺地域、特に大黒ジャンクションと扇島地下監獄の状況はどうなっているか
・現在進められている作戦の内容と、詳しい状況
・戦況はこちらに有利か、厳しいか
嘘をつく人はいないと信じて、目元の包帯は外さない(心を読む能力を使わない)で接するよ
コミュ力を駆使し、急かさず、穏やかに話を聞くね
●人心懐柔戦線
「これでよしっと……」
ジョーニアス・ブランシェ(影の守護者・h03232)は、依頼を託された際に渡された資料を、激化する戦闘でも外れないよう顔にしっかりとフィットする最先端のスマートグラスに落とし込みながら、『集落』とも呼べるこの√ウォーゾーンの地域に足を踏み入れた。
街並みは人類のみに被害を与え、建物自体は自動修復されるために、ほぼ√EDENと変わるところではない。しかしその結果、心身共にぼろぼろである周囲の風景に見合わない人々が、あちこちに溢れているという結果となっていた。
住民のメンタルケアでも、と思っていたジョーニアスであったが、これでは何を取っ掛かりとして良いものか。この状況を知っていれば、食料や薬を詰め込んだ車で来れば良かったと、先に立たない後悔が思考を巡る。
手持ちにも小さな携帯食料や菓子は無いわけではない。だが、ここの人々に心の余裕がないのも確かなのだ。不平等は一気に反抗心――引いては敵意すらも煽りかねない。
「さて……どうするか」
ジョーニアスが考え込む中、
「んっ、よいっ…しょ……」
その視界の先を、仲間の一人である久遠寺・悟志(見通すもの・h00366)が、正面がぎりぎり視野に入っているかも分からない大きな段ボール箱いっぱいのあんパンを抱えて歩いている。
悟志は、人妖「さとり」としてその能力を抑えるために、目に包帯を巻いている、見えている様子は動きから分かるが、見ている側としてはどうしても不安になるもの――ジョーニアスは思わず、悟志に声を掛けた。
「重そうだな、手伝わせてくれないか」
「……うん。ジョーニアスさん、それならお願いしてもいいかな?」
「ああ、任せろ。力仕事なら得意だ」
体躯的にも、前が見えなくなりそうな悟志よりも身長的にも高いジョーニアスの方が適任であるには違いなかった。
段ボールは鉛が入るほど重たいわけではなかったが決して軽いものでも無い。
「これは何が入っているんだ?」
「あんパンだね。配ろうと思って――情報収集しようにも、住民の皆が空腹のせいで疲れてしまって思考が回っていなければ、状況を正確に伝えられないかもしれないし」
それに、と悟志は続ける。
「――僕らが信用を得ることも大事だしね」
仲間の紹介があった。それでも、外部からの来訪者への目は様々なものが含まれている。
それだけ、この世界では【外部からこの地に到る】という事が奇特なことの表れでもあったから。
「それなら手伝わせてくれ。ここまで情景が酷いと思わずほぼ手ぶらで来てしまってな……」
「ああ――それなら喜んで。一緒に配ろうか」
そうして、あんパンの配布会が開かれた。
「あんパン配ってるぞー!」
広がるジョーニアスの声に周囲が気付き、近づいてきた相手に、
「一人一個だよ。一列に並んで、順番に受け取ってね」
まるで促す様に優しく響く悟志の言葉に、人々は静かに大人しく従っていく。
その中のひとつを配っていく最中に、ジョーニアスは、あんパンを配った先、並んでいて正面に立っている年端もいかない幼い少年が、困ったように口をもごもごさせている様子を目に映した。
「おう、どうした? 何か困ったことでもあったのか?」
「あの、ね。パパが遠くからやっと帰ってきてくれたの……でも、大怪我しちゃったから元気ないって……」
ここは、子供も大人も等しく餓えている。見える所での子供だけの贔屓は許されないだろう。そう判断して、あんパン配りを悟志に任せ、ジョーニアスは少年と少し離れたところに向かうと、元気になれるように薬として、所持していた痛み止め、気つけ用のスピリタスをこっそりと渡してあげた。
悟志の方も、順調にあんパンを配り終え、周囲には涙ながらにあんパンを食べる人々の姿を目に心を痛めていた。これで目の包帯を外していたら、どれだけの衝撃が胸を襲ったかは想像もつかない。
「(でも良かった、皆に行き渡ったかな……?)」
皆、幸せそうにパンを食べている。その幸せを遮っていいかは分からなかったが、少なくとも現状の戦闘状況を把握しなければ、この状況はいくらでも続くのだ。
悟志の優しい心が僅かに痛む――その時、
「あの、あんパンを配っておられたのはここでしょうか……?」
一人の病み上がりを思わせる、顔を薄らと青白く染めた中年の男が悟志と戻って来たジョーニアスの元へと訪れてきた。
「先程、は子供が失礼をしました。薬まで頂いてしまって――ですが、」
男は小声でこう続ける。
「私も……√能力者なので、後は放置していても自力で何とか……なので、こちらは」
そっと、ジョーニアスにスピリタスの瓶が返されて、
「このタイミングでいらっしゃったという事は、『レリギオス・オーラム』の動きについて、来てくださったのだとお見受けします。――私は、大黒ジャンクションで捕まって、扇島地下監獄から命からがら逃げ出してきた身ですが、もしお役に立てる情報があるなら」
静かな中に強い光を瞳に湛えて言った男に、悟志とジョーニアスは顔を見合わせる。そこのふたつは相談でも上がっていた重要拠点であったのだから。
「……ありがとう。丁度僕たちもその情報がほしかったんだ。そのふたつ――大黒ジャンクションと、扇島地下監獄はいまどうなっているんだろう……?」
そっと、優しく心の傷に触れないように気をつけながら、悟志は優しく問い掛ける。
この経緯で現れた人物であれば、嘘をつく存在ではないであろうと判断し、悟志は人狼『さとり』としてではなく、一人の存在として相手の心と向き合うことを決めた。
「大黒ジャンクションは、√が開いたと聞いた瞬間に、様子を目にして、場合によっては破壊しなくては――と思ったところで、丁度同じくそのルートを確認しに来た『ぜーロット』の戦闘機械群と遭遇し、訳も分からず捕まってしまい……申し訳ありません」
その謝罪は『詳細は分からないという事』――だが、
「扇島地下監獄の方はどうなっているんだろう……? ああ、苦しいとかあったらゆっくりでいいからね?」
目の前の男に、言葉で寄り添うように悟志が告げる。
「ええ、扇島地下監獄の方は――厳しい監視網が引かれていました……脱走を試みて、監視している戦闘機械群に見つかった√能力者は、皆動けぬほどにボロボロになって牢屋や独房に逆戻りされられていました……。私は仲間の助力で戦闘機械群に見つかる前に脱出出来ましたが――皆、死ねない分意識はあるものの……あれでは、先に心が」
男はそこで一旦沈黙する。己の無力さを嘆くかのように。
「――すみません、知っている事は全部話すと決めているのに……他に、知っていることと言えば――」
悟志の問いに、男は答えていく。
『現在進められている作戦の内容と、詳しい状況』――これについては、先程仲間が分解再構成していた通信システムの奪取が、ようやく長く潜んで計画を進めた結果得た、第一歩であること。これ以上の戦果は得られず、だが同時に『これからだ』という気運もあるということ。
同時に『戦況はこちらに有利か、厳しいか』――この問いに、男は、長い沈黙の後に苦渋の表情で、強く抑えた声で告げた。
――厳しい。どこも外部助力が無くては、現段階では人類側が勝てる道理が一切見出せない程である、と――。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

【三課】で参加【アドリブ歓迎】
基本丁寧語 呼び方は名字+さん付け
タバコを吸いながら
「さてと、とりあえずは情報収集からですかね?」
「かたまっていてもアレですし、個別に情報を集めましょう。大体1時間くらいしたらココにもどってくるでいかがでしょうか?」
「もしも周辺の調査をする際は十分気を付けてくださいね。」
近くに避難している人にタバコを差し出しながら
「すいません、まだ情報が集まりきっていないのでいくつかお話を伺っても?」
「わかる範囲で良いので、敵の兵数や種類等些細な事でも良いので教えてもらえませんか?」
金菱さんと合流後集まった情報を共有
「今集められるのはこれくらいですかね?後は次の作戦が決まってからになりそうですね」
「なんにしても川崎市を開放できれば人類にとって安全地帯を確保できますし、頑張りましょう」

【三課】で参加【アドリブ歓迎】
飄々とした口ぶり 呼び方は「名字呼び捨て」か「お前さん」
現場に着いて早々辛気臭い雰囲気を感じ取る。
「いかにも戦争前ですって感じのきな臭い雰囲気が漂ってるな」
√能力を使いを使い、
有力な証言をしてくれるインビジブルを
探ってみるのも手かと思案する。
「志藤が避難民から聞き込みをするなら、俺は少し離れた場所を探って来る。まぁここから一時間で回れそうな場所となるとこの辺りになるか……」
そう言って川崎市周辺の地図を取り出し、『大黒ジャンクション』と『扇島地下監獄』の
中間地点を指さして見せる。
志藤と合流後集まった情報を共有
「なかなか、曰くありげなものが見れたかねぇ……」
●人力情報収集戦線
「いかにも戦争前ですって感じのきな臭い雰囲気が漂ってるな」
見渡す限りの剣呑を滲ませた気配。通信システムを入手しての勝利の凱旋を経たとはいえ、それが心の安寧とイコールではない事が叩き付けるように伝わってくる。
その殺伐とした雰囲気を読み取るように、金菱・秀麿(骨董好きの異能刑事・h01773)は思わず微かながらに眉を顰めた。
「――さてと、とりあえずは情報収集からですかね?」
その傍らで、指で挟んでくゆらせていた煙草をひと吸いして、志藤・遙斗 (普通の警察官・h01920)は辺りをざっと見渡した。
『集落』とも呼べる環境の地域ではあるが、立地自体は√EDENと大差なく、人も少なくない上に土地としては決して狭いわけではない。複数が一緒に同じ行動を取るには難が出ることは直ぐに察することができた。
「かたまっていてもアレですし、個別に情報を集めましょう。大体一時間くらいしたらココにもどってくるでいかがでしょうか? 俺は集まった人達から聞き込み行ってきます」
「志藤が避難民から聞き込みをするなら、俺は少し離れた場所を探って来るとするか――さて、どの辺りにしたもんか……」
秀麿は、何か外部情報を得る手段を思い至ったのか――遙斗と同様に所属する場で支給されているスマホに指を滑らせ始める。
「まぁここから一時間で回れそうな場所となると、この辺りになるか……」
表示させたのは川崎市臨海部周辺の地図。そこから少し拡大させた先――『大黒ジャンクション』と『扇島地下監獄』の中間地点に、トンと肌黒で逞しさを感じる指を置いた。
「周辺の調査をする際は十分気を付けてくださいね」
食料が一切無いこの場所でさえ、人が戦闘機械群から生きられる空間としてようやく勝ち取ったのが、この安住の地なのである。生きている存在にとって、この外は危険しか無く、それは√能力者でも変わらないのだ。
秀麿は遙斗の言葉に頷くと早速見張りをしている人間と二、三ほど言葉を交わして姿を消した。手際として見るに、このような行動には慣れている様子が窺えた。
「さて、と――」
秀麿が外部からの情報を捜査してくる。そうなれば、遙斗の方も収穫無しとはいかないであろう。遙斗は早速、その内部を歩き始めた。
建物は復元される――だが、いざこの地が戦闘機械群に襲撃されて戦闘が起きたとき、家や建物などは逃げ場なく砕かれ殺されるための第二の墓でしかない。避難してきたばかりの人にとってはその感覚が肌身に焼き付いているのであろう、外や公園に集まっている人の数は決して少ないものではなかった。
遙斗は、その中から公園近くの路上に座り込んでいる男に目を向けた。片足は義足であり、座り込んでいても、尚も着ている戦闘服から明らかに過去、もしくは最近まで戦場に身を置いていた事が分かる人物に足を向ける。
屈んで、そっと煙草を差し出しながら、軽く敵意のない事を示す挨拶代わりの笑顔を向けた。
「すいません、まだ情報が集まりきっていないので、いくつかお話を伺っても?」
「……ああ、お前さん。噂になってる外から来た傭兵か。という事は、レリギオス・ゼーロットの動向だな? 俺はあまり詳しくないんだが……――ありがとよ」
そう言いつつ、男は差し出された煙草を手に取り、火を受け取った。この世界にも煙草は存在する。だが、戦闘機械群との『第三次世界大戦』以降、腹が膨れる食料が優先される世界での通常の煙草は、他√から手にしても尚も貴重な嗜好品である。
「わかる範囲で良いので、敵の兵数や種類等些細な事でも良いので教えてもらえませんか?」
煙草の煙を深く深く肺に入れ、大きく吐き出しながら男は考え答える。
「これは、俺が撤退を余儀なくされた時の話なんだが……」
男は自分の足を見やりながらも口を重く、独りごちるように言葉を置き始めた。
「大黒ジャンクションで、人類側が負けて撤退が起きた――その時に……√の連絡通路を、別の派閥が狙っているというのは聞いていたが『アレ』がそうだったのだろうか……だとしたら、恐ろしすぎる……」
「『アレ』とは……?」
「俺が逃げ出しざまに見た、あれは――間違いない『スーパーロボット』への進化体だ」
鳥を思わせる飛翔体――男はそう語った。
それは凄まじい破壊力を伴う超大型光線砲により、コンクリートを灼き切った。
輝くオーラを纏って翼と共に空を飛翔し、防御壁などものともしない高速の体当たりは全てを砕いた。
激しい光を放つ、放電による無数の波状型電撃攻撃は無数の戦闘機械群を稼働停止に追いやったのだ、と――。
「異なる派閥同士の小競り合いだったのだろう…とは思う。だが、たった一体で――あの力量差は圧倒的過ぎた。アレがまだいるなら、対面して普通の人間が生きていられる道理はない、生きてる……自分が奇跡だったんだな……」
そう、大黒ジャンクションでの話を、男はそう締め括った。
一方、地図が指し示す大黒ジャンクションと扇島地下監獄との中間――出来る限り道が絞り込まれたY字路の中心で、秀麿は手にしていた『反魂万華鏡』を覗き込んだ。
きらきらと、同じ形を取ることの無い世界が反魂万華鏡越しの瞳に映る。そこにひとつ、ふわりと映し出された存在に、秀麿は問い掛けた。
『少し前の事についてちょいと尋ねたい』
その言葉と共に――映し出されていたインビジブルはひとつの女の形を取る。
【|前世尋問《ゼンセジンモン》】――√能力により明瞭な形を持った人物に、秀麿が大黒ジャンクションと扇島地下監獄について知っているかを問うと、『それ』は「扇島地下監獄」であれば、と言葉重く語り始めた。
「私、人間なのに√能力者と勘違いされて……捕まっていたんです……」
曰く――
あそこでは、女型の古い西洋召使い型の監視機械がいて、見つかった者は例外なく脱出失敗している事。
生かさず殺さず。√能力者だから生きているだけ、の者も多い。
敵に一瞬目を奪われただけで全ての動きが鈍るのだと、共に脱走を企てた誰かが言っていた――
「自分を逃して残ってしまった、挙げ句脱走したのに自分も死んでしまって……無事にいるかどうか……」
そのように、さめざめと悔恨の涙を零す相手に、優しく声を掛けつつも秀麿は続ける。
「そこには、何か目を付けられていない隠し通路みたいなモンはないかね」
それについても、インビジブルとなっていた女は語った。
地下監獄の出入り口は監視も一際厳重で複数のロックの解除が必要になるが。近くの小さな建物内にある大型排気口が、外部へと繋がっていた。そこならば厳重な防御設備ひとつを越えることで恐らく内部へ侵入出来るであろう、と――。
そして、最初の拠点地で遙斗が数本ほどの煙草を吸い終える頃――約束の時間通りに、秀麿が入り口の見張りに挨拶して、こちらに歩いてくる姿が見えた。
「何とか無事に戻って来られたな」
「それじゃあ、さっそく情報の共有をしましょうか」
不確定な情報も少なくない。ふたりは、拠点の人々に聞こえない程度の声で、慎重に場を選んで互いに手に入れた情報の内容を互いに話し始めた。
「――こちらは、ゼーロットとは直接の関係はないかもしれませんが、もし『ソレ』がまだいた時には脅威になるでしょうね」
遙斗が、自分の得た情報を伝えていく。
確かに話の内容が事実であれば、ゼーロットの戦力とは関係が無いかも知れない。だが、大黒ジャンクションそのものを叩く場合、それが出てくる可能性があるという可能性を胸に置けば不意討ちは防げるはずだ。
「こちらの方は――と、まぁ……なかなか、曰くありげなものが見れたかねぇ」
こちらは脱出者だったものの体験談だ。敵情報については不明瞭な点も多いが、言葉通りであれば扇島地下監獄へ侵入する有力ルートのひとつを得たことになる。
「今集められるのはこれくらいですかね? 後は次の作戦が決まってからになりそうですね」
軽く伸びをしてから、遙斗が再び煙草に一本火を付ける。
情報は集めきった――仲間たちと情報を統合すれば、次の作戦の指針に繋がることは間違いないであろう。
「なんにしても川崎市を開放できれば人類にとって安全地帯を確保できますし、頑張りましょう」
そうして、一同は再度、話し合いを行う為に集合場所で落ち合うことにした。
次の作戦は、自分も知らぬ√能力者も全体で動いている、文字通り世界に刻む行動になる――その事実に、各々に抱えられた思いを胸に秘めながら。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第2章 冒険 『封鎖されたゲート』

POW
ゲートの破壊を試みる
SPD
ロックの解除を試みる
WIZ
隠し通路を発見する
√ウォーゾーン 普通7
●大黒ジャンクション
規則は正しくも、人を圧倒する巨大さでひたすら無尽に旋回する巨大通路――大黒ジャンクション。ここから行き着いた先には√EDENに通じる『道』がある――。
それを戦闘機械群のレリギオス・オーラム統率官『ゼーロット』が知ったことが、【オーラム逆侵攻】に至る全ての切っ掛けとなったと言っても過言ではないであろう。
√能力者の一行は、意志の交流による相談を重ねた結果、情報を元に苦渋の決断を迫られつつも、ここ大黒ジャンクションの破壊を次の目標として立てる事にした。
現状――情報収集を行っていた拠点で、通信諜報と偽情報拡散といった次につながる手際によって、重要拠点でありながら、群がっていた敵の監視を撤退させる事に成功していた。
そのため、あちこちから電子稼働音は聞こえるものの、今のところ敵対勢力の影は見受けられない。
しかし、現地に向かった√能力者を待ち受けていたものは、無数の物理バリケードに、強固なゲート、ロックの掛かった巨大扉など多岐無数にわたる妨害壁だった。
大黒ジャンクションの中核に辿り着くためには、これらを何かしらの方法で突破しなくてはならない。
その方法を咎められる事はないであろう。
√能力者に今、未来の窮地を救うため、この場を乗り越える手段が問われている――
。