シナリオ

イケブクロ・ウェストゲート・タワー

#√EDEN #√ドラゴンファンタジー

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●池袋西口に建った塔
「誰だよ、迷惑なことをしやがって……!」
 九門・絢介(しがないタクシー運転手・h02400)は毒づいた。
 何時ものようにタクシープールを経由して、池袋西口の乗場で客を乗せようとしたところ、そのプールの右手にある池袋西口公園に、中世ファンタジー風の塔が建っているのを見たからだ。
 もっとも、√能力を持たない者にこの塔を視ることは出来ないようで、そうした者達は何らかの力に遮られているかのように、この塔を迂回する形で歩いていた。
 おそらく、誰かが√ドラゴンファンタジーから天上界の遺産を持ち込んで、ダンジョンである塔が建ったのだろう。
 そして、この塔を放っておくわけにはいかなかった。今は塔を避けるように歩いている人々が――そしていずれは、東口方面を含めて池袋やその周囲にいる非常に多くの人々が、次々とモンスターになってしまうからだ。
 同時に星詠みとしての予知を受けた絢介は、営業車を駐車場に放り込むと、手近なネットカフェに飛び込んだ。

●オンラインミーティング
 ネットを通じて、絢介は対処に当たる√能力者を募った。そして、クローズドのチャットスペースで、星詠みとして得た情報を√能力者に話していく。
「皆さんには、既に呼びかけさせて頂いたとおり、池袋西口公園に出現したダンジョンの攻略をお願いします。――それも、可及的速やかに」
 新宿や渋谷ほどでは無いにしても、人口密集地である池袋で人々がモンスターになるような事態となれば、その惨状は果たして如何程のものとなるか。
 その危機感は、チャットスペースに集まった√能力者の多くが共有するものであった。そんな惨事を防ぐためにも、この塔は速やかに攻略せねばならない。
 引き続き、絢介は塔内の探索において注意すべき敵について触れていく。
「まず低層階では、暴走インビジブルの群れが皆さんに襲い掛かってきます。
 これを倒して中層階へ上ると、何処に出るかによってですが、変容した獣人『ボーグル』か、六歳程度の少女の姿の切断魔『ロッソ・サングエ』と遭遇することになります」
 中層階でどちらと遭遇することになるかは、今の絢介にはわからないと言う。
「そして最上階では、天上界の遺産を持ち込んでこの塔を出現させた張本人である、堕落騎士『ロード・マグナス』が待ち受けています」
 ロード・マグナス自身がダンジョンの核となっているため、倒せば攻略完了となって、塔は自然に崩れ去る。ガラガラと崩れるのではなく、細かな灰と化してかき消えるように崩れて消滅するため、周囲の人々に危険は無いと絢介は説明した。
「場所が場所だけに、この塔の攻略は非常に重要で、何としても成し遂げなければなりません。
 私としては、皆さんの力に頼るしかありませんが――如何か、よろしくお願いします」
 √能力者達は、その発言に「大丈夫だ、任せろ」「ああ、待っててくれ」などそれぞれの言葉で返信を返すと、チャットルームから退出していった。

マスターより

緑城雄山
 こんにちは、緑城雄山です。
 √EDEN、2本目のシナリオをお送りします。
 今回は、池袋西口公園に建った塔(ダンジョン)の攻略をお願いします。

●第1章
 低層階を彷徨く『暴走インビジブルの群れ』との戦闘です。数が多く、複数の階に広範囲に存在しています。
 ですが、無理に広範囲の暴走インビジブルの群れを集めるプレイングをかける必要はありません。

●第2章
 集団敵『ボーグル』か、ボス敵『ロッソ・サングエ』の何れかとの戦闘になります。
 どちらに分岐するかは現時点では不明ですが、どちらかに分岐させるためのプレイングを第1章でかける必要はありません。

●第3章
 ダンジョンを出現させた張本人であり、ダンジョンの核でもある堕落騎士『ロード・マグナス』とのボス戦です。
 ロード・マグナスを撃破し、ダンジョン攻略を完了させて下さい。

 それでは、皆さんのプレイングを楽しみにお待ちしております。
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よろしいですか?

第1章 集団戦 『暴走インビジブルの群れ』


POW ブルータルファング
【赤い霊気】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【インビジブルの牙】」が使用可能になる。
SPD トランススイム
【無数のインビジブルによる突撃】を放ち、半径レベルm内の自分含む全員の【近接攻撃】に対する抵抗力を10分の1にする。
WIZ ポリューションレッド
爆破地点から半径レベルm内の全員に「疑心暗鬼・凶暴化・虚言癖・正直病」からひとつ状態異常を与える【赤き汚染】を、同時にレベル個まで具現化できる。
√EDEN 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

明星・暁子
「ダンジョンには金銀財宝があると聞くが、ここもそうなのかな?」
悪の組織を離脱した鉄十字仮面だったが、活動資金は必要だ。
ここらでひと稼ぎしておこう。インビジブルを倒して!

遮蔽に身を隠しながら、ブラスターで的確にインビジブルを遠距離狙撃していく。
「数が多いが、無限というほどでもなさそうだ。あとはこちらの気力次第」

戦闘を続けていれば、他の√能力者が援軍に来てくれるだろう。多分な。

●活動資金の確保を目指して
 暗い目つきをした、やや長身の女学生の姿が、池袋西口公園でかき消えた。
 実際の所は、この公園に出現した非√能力者には見えないダンジョンに入っていったために、彼等からは消えたように見えただけなのだが。
 だが、公園の周囲にいる非√能力者は誰一人として、それを気にすることはなかった。
 女学生の名は、|明星・暁子《あけぼし・るしふぇる》(鉄十字怪人・h00367)。正義に目覚め、悪の組織から離反した鉄十字怪人である。
 しかし、世知辛い話ではあるが、経済的事情と言うものは正義だろうが悪だろうが関係なくのしかかる。今暁子に必要なのは、これから正義のために活動していくための資金なのだ。と言うわけで。
「ダンジョンには金銀財宝があると聞くが、ここもそうなのかな?」
 そんな風に独り言ちながら、暁子は鉄十字怪人の姿に変身していく。何としても、ここらで一稼ぎしておきたいところだ。暴走インビジブルを倒すことによって。
 なお、ダンジョンで倒したモンスターが金銭的価値のある品をドロップするかについては、必ずそうとは限らないことは予め断っておきたい。
 ともかく、暁子は遮蔽に上手く身を隠しながら、√能力『ブラスターキャノン・フルバースト』を発動。
 召喚された三基のヘビー・ブラスター・キャノン、そのそれぞれの砲口から放たれた光条が、一体の暴走インビジブルに突き刺さる。通常のヘビー・ブラスター・キャノンがもたらすダメージの九倍に相当するダメージを受けた暴走インビジブルは、耐えきれずに瞬く間に霧散して消滅した。
 それによって敵がいると察した他の暴走インビジブルは、赤い霊気を纏って速度を上げて暁子へと迫り、『インビジブルの牙』を突き立てる。
「くっ。だが、これくらい……!」
 重甲もろともに自身の身体を貫いてくる牙に暁子は傷を負うが、すかさず再度ヘビー・ブラスター・キャノンを三基召喚して攻撃し、暴走インビジブルを消滅させる。
「数が多いが、無限というほどでもなさそうだ。あとは、こちらの気力次第」
 そうつぶやく暁子には、こうして戦闘を続けていれば、おそらく他の√能力者が援軍に来てくれるだろうと言う、予感があった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

機織・ぱたん
うわー、大きな塔……。攻略しがいがありそうね。
んでもって、ここならライブ配信もできそう。
配信用スマホも準備ヨシ! 屠竜剛槍……と、この√で持ち歩く用の保護カバー、ヨシ!
さあ、ダンジョン攻略配信、始めましょー!

……って、あら。先客いるっぽい?
なら!
「さあ援軍到着! 機織ぱたんはここに在り! だよ!」

ダンジョンに突入したらすぐ変身。
まずは基本の【レディナチュラルフォーム】ね!
短剣サイズのハンドニードルと大槍サイズの屠竜剛槍、この二刀流で進んでいくよ!
無数の暴走インビジブルが居るなら、ダッシュで撹乱して重量攻撃でなぎ倒す!
昔の無双系ゲームみたいに、ちぎっては投げの乱闘スタイルで戦域を突破しましょー!

●無双スタイルのライブ配信
「うわー、大きな塔……。攻略しがいがありそうね」
 池袋西口公園に突如出現した塔を見上げながら、機織・ぱたん(スレッド・アクセプター・h01527)はつぶやいた。さらに言えば、ダンジョン攻略のライブ配信も出来そうだった。
(配信用スマホも準備ヨシ! 屠竜剛槍……と、この√で持ち歩く用の保護カバー、ヨシ!)
 配信機材と武器の確認を行ったぱたんは、配信をスタートして、塔の中へと入っていく。

 そこでぱたんが目にしたのは、先に塔に入り、現在進行形で暴走インビジブルと戦っている別の√能力者の姿だった。
「さあ援軍到着! 機織ぱたんはここに在り! だよ!」
 ならばと、ぱたんは√能力『|レディナチュラルフォーム《キホンノスガタ》』を発動し、カラフルな装束を身に纏う。その手には、新たに出現したナチュラルハンドニードルが握られていた。
「行っくよー!」
 数多の暴走インビジブルを前に、ぱたんは強化された移動能力によるダッシュでその注意を自身に向けさせた。それに暴走インビジブルが誘導されたところで、急激な方向転換。
 暴走インビジブルの勢いの向く先から逃れたところで、ブゥン! と屠竜剛槍を横薙ぎに払う。
 その重量を伴った一撃を受けた暴走インビジブルは、ダメージに耐えきれずに消滅した。大振りの攻撃の隙を衝いて懐に飛び込もうとしてきた暴走インビジブルを、ぱたんはハンドニードルで牽制する。
「昔の無双系ゲームを思い出すなあ」
「そうそう。ワラワラいる大群相手なら、やっぱりこのちぎっては投げスタイルだよねぇ」
 視聴者のコメントに、上機嫌でぱたんは返す。
「でもさー、無双系って集られると面倒なんだよな」
「ちょっとー! そう言うこと言わない! 確かにそうなんだけどさぁ!」
 別のコメントがフラグになったか、無数のインビジブルが矢のように突撃してきて、ぱたんに突き刺さる。さすがに、暴走インビジブルの数が多いのもあってか、ぱたんも無傷ではいられなかった。
 抗議するようにコメントを返しながら、ぱたんはダッシュで位置を変えて攻撃してきた暴走インビジブルの側面へと移動してから、屠竜剛槍で一息に薙ぎ払う。
 被弾しながらも暴走インビジブルを次々と蹴散らすぱたんのライブ配信は、その戦闘スタイルが受けたのか再生数もよく伸びて、コメントも大いに盛り上がった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

海堂・一真
いや、本当にダンジョンって生えて来るんだなー。
ここ暫く驚く事ばっかりじゃねーか。……で、わらわらインビジブルがたくさん沸いて来る、と……。
まずはこいつらをカタさないとどうにもならなそーだ。大味な攻撃は得意……というかまだそういうのしか出来ねえ!
遮蔽物を生かして放物線を描くようにプリズミック・ボムを[投擲]して攻撃して数を削るか。遮蔽物越しなら相手の攻撃も遮れるだろ。直線的なヤツなら。
数が集まって来たら√能力【超振動核】を放り投げて一気にガタガタ震えて貰うぜ。
以後は[投擲]でちくちくやりながら一気に、ってのを繰り返せばなんとかなるだろ、多分。あ、範囲広いんで味方巻き添えには注意しないとな。

●スロー・アンド・アウェイ
「いや、本当にダンジョンって生えて来るんだなー……」
 池袋西口公園に出現した塔を見上げながら、|海堂・一真《かいどう•かずま》(綺麗な色してるだろ?でもこれ爆発するんだぜ・h01834)はそう独り言ちた。
 ここ暫く、一真にとっては驚く事ばかりである。が、驚いてばかりもいられないので、一真は塔の中に入り、壁の陰に身を潜めながら進んでいった。
 すると、角を曲がった先に暴走インビジブルの群れが彷徨いているのを発見。
(まずは、こいつらをカタさないとどうにもならなそーだ。大味な攻撃は得意……というかまだそういうのしか出来ねえ!)
 壁の陰から、一真は暴走インビジブルの群れに向けて、紅い結晶をポイ、と投げた。コロン、と床に転がった結晶は割れ、中からゴウ、と猛烈な勢いの炎が巻き起こる。
 その炎に巻き込まれた暴走インビジブルの数体が、身体を焼き尽くされ、消滅。
 周囲にいる生き残りが一真の存在を察知して、赤色の霊気を纏いながら猛スピードで突き進む。だが、一真を攻撃するためには、角を曲がって減速しなければならない。
 九十度ターンのためにそのスピードが最も落ちた隙を、一真は衝く。
「来たな。全身ガタガタ震わせてやるぜ」
 一真は√能力『超振動核|《レゾナンス・コア》』を発動すると、再加速しようとする暴走インビジブルの群れの下に、先程とは違う結晶体を投げた。
「――!?」
 突如襲い来る、震度七にも相当する振動に、身体を翻弄され暴走インビジブルは困惑。
 その間に暴走インビジブルから距離を取った一真は、紅い結晶――プリズミック・ボムを再び投げて、追ってきた暴走インビジブルを破壊の炎で焼いて、消滅させた。
(あとは、こうやってちくちくやっていけば、何とかなるだろ、多分)
 一真のその判断は、当たっていた。同様の手法で攻撃を繰り返していった結果、一真は順調に暴走インビジブルの数を削り取っていた。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

アルバート・ベイカー
何者かの悪意で持ち込まれたダンジョン。放ってはおけんが、塔か……。
こういう、上下に展開するタイプには悉く良い思い出がない。
階段とか、落下罠とか、階段とか。
苦労して上り切った直後、階下に落とされて上り直し……。
うむ!思い出しただけで怒りが蘇ってきた!このダンジョンの主にぶつけるしかないな!

なるべく平坦なフロアをダッシュで駆け回り、精霊機関銃で弾幕を張って牽制。
進路上に【赤き汚染】が設置されたら避けて走るが、塞がれているようなら爆発範囲外から射撃して起爆処理を試みる。
暴走インビジブル達を引き付けてまとめたら『烈日の射法』で一気に薙ぎ払う!
階段を使って逃げる羽目になる前に、一気にケリを付けよう!

●低層階、踏破
(何者かの悪意で持ち込まれたダンジョン。放ってはおけんが、塔か……)
 ウンザリしたような表情をしながらこの塔を見上げたのは、アルバート・ベイカー(閃光の毛玉・h00397)だ。
 身長がほぼ一メートル程度のアルバートにとって、この手の上下に展開するタイプのダンジョンに関する思い出は、悉く苦いものばかりであった。
 階段。そして落下罠。また階段。
 通常の成人男性を基準に作られた階段を上るのは、アルバートにとっては決して楽なものとは言えなかった。そんな階段を苦労して上り切った直後に、落下罠によって階下に落とされて、再び上り直しの苦労を強いられた記憶。
 それを思い出しただけで、アルバートの中に憤怒が込み上げる。
「この怒りは、ダンジョンの主にぶつけるしかないな!」
 ――ダンジョンの主も、まさかそんな理由で憤怒を叩き付けられることになるとは、夢にも思わなかったであろう。

 ともあれ、アルバートは同じ階のフロアをしらみつぶしに駆け回った。まだ存在している暴走インビジブルと遭遇したら、まずは牽制のために精霊機関銃を撃ち、弾幕を張る。
 タラララララ……と言う軽快な発射音と共に放たれた、光の属性を宿した銃弾。その一部が、暴走インビジブルの身体に突き刺さった。被弾した暴走インビジブルは、敢えなく消滅する。
 その後ろにいた生き残りの暴走インビジブルが、多数の紅い球を漂わせてアルバートへと放つ。
 だが、球がアルバートのいた場所に命中し、床を紅く染めて汚染した時には、アルバートは汚染の範囲からとうに駆けて逃れていた。
 暴走インビジブルは、そのままこの場から逃れようとするアルバートを追った。だが、それはアルバートの計算のうちだった。
 同じ事を数回繰り返して、多数の暴走インビジブルを引き付けたところで、逃げ続けていたアルバートが反転して暴走インビジブルへの距離を詰める。
「薙ぎ払う!」
 暴走インビジブルを全て射程に収めたところで、アルバートは『|烈日の射法《デイライト・ディフュージョン》』の√能力を発動した。
 タラララララ……。精霊機関銃の銃口から、分裂したかのように複数――射程内の全ての暴走インビジブルと同じ数の銃弾が延々と放たれ続けていく。
 √能力を発動させる前に蜂の巣とされた暴走インビジブルは、力尽きて消滅。
 これを何度も繰り返すことで、アルバートは残る暴走インビジブルを一掃し、塔の低層階を踏破したのだった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 ボス戦 『切断の権能『ロッソ・サングエ』』


POW 切り裂きロッソ
自身の【武器のハサミ】を【鈍色】に輝く【双剣】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
SPD 純粋な力の権能《ゲブラー・パフォーマンス》
【鎌鼬】による牽制、【リボン】による捕縛、【大型ハサミ】による強撃の連続攻撃を与える。
WIZ 質の悪い悪夢
10秒瞑想して、自身の記憶世界「【力の権能柱】」から【眼前の敵のそっくりさん】を1体召喚する。[眼前の敵のそっくりさん]はあなたと同等の強さで得意技を使って戦い、レベル秒後に消滅する。
√EDEN 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●待ち受けるは、戦闘狂の幼女
「ふぅん。暴走インビジブル程度じゃ、相手にならなかったかぁ」
 √能力者達が中層階へと進入したことを察した少女――と言うよりも、幼女と言った方が相応しいであろう簒奪者は、にんまりと嬉しそうな笑みを浮かべた。
 わざわざ、塔が出現するに際して自身が喚ばれ、攻略せんとする冒険者を阻む障害となることを容れたのだ。そうでなければ、興も醒めようと言うものだった。
「どんな冒険者なのかなぁ。強いといいなぁ。そうじゃないと、面白くないもんね?」
 自身の身長の半分もあろうかと言う長さのナイフを手に、その幼女はとても愉しそうな笑みを浮かべ、√能力者の到着を待ち受けていた。
機織・ぱたん
■【画面酔い注意】ぱたん、増えます
……おっけー。枠、取り直せたね。
じゃあ改めて! 塔を登ってくよー!
中階層だし、そろそろ強敵登場かも?

――で、なんかアタシが増えてるんだけど?
しかも襲ってくるんだけど?
……1体だけ?

……ちがーう! 分身ってのは、もっとこう……こうするの!
変身、シノビスカイフォーム! ……これ使うの久々!
てわけで増えろアタシ! でもって全員でボコるよアタシ達!
目標はそこのニセモノと簒奪者!
鶴翼・十文字槍と屠竜剛槍、掛ける沢山! これで針山にしてやる!

……あ、酔ったら無理せず休憩してね?
あと今度はアタシがザコ敵枠とか思った人。怒らないから言わないように。
アタシもちょっと思ったから。

●数多に増えたぱたん
「……おっけー。枠、取り直せたね。じゃあ改めて! 塔を登ってくよー!」
 低層階を踏破したところで、|機織・ぱたん《はたおり ぱたん》(スレッド・アクセプター・h01527)はダンジョン攻略配信の枠を取り直していた。
「中階層に来たし、そろそろ強敵登場かも?」
「ワクワクテカテカ」
「フラグ建築乙」
 低層階での盛り上がりもそのままに、いい雰囲気で配信は進んでいく。
 そんなぱたんの前に、一人の幼女が現れた。簒奪者ロッソ・サングエだ。その手には、刀身の長いナイフが握られている。
 明らかに異様なその雰囲気に、ぱたんは素早く身構えた。視聴者達も、コメントを打つのを忘れて、固唾を飲んで見守っている。
 その間に、ロッソは目を閉じ、短時間の瞑想をした。すると、その傍らに、ぱたんの姿をした何かが出現する。
「二対一か、厳しくね?」
「偽物の実力次第だよな」
 そうしたコメントが流れる中、ロッソとぱたんの偽物――偽ぱたんは、本物のぱたんに襲い掛からんとしていた。
「――なんか、アタシが増えてるんだけど? しかも襲ってくるんだけど?」
「偽物作られて、オコ?」
 わなわなと身を震わせるぱたんに、視聴者は心配そうなコメントを投げかける。だが、ぱたんが身を震わせた理由は別の所にあった。
「……たった、1体だけ? ちがーう!! 分身ってのは! もっとこう……! こうするの!!
 変身、シノビスカイフォーム! これ使うの久々!」
「そっちかーい!」
 √能力『|空忍装・連襲裂破《シノビスカイ・ボコボコアタック》』を発動して多数の分身を発生させたぱたんは、分身達と共に手にしている鶴翼・十文字槍と屠竜剛槍の穂先をロッソと偽ぱたんに突き立てんとする。
「これで、針山にしてやる!」
 ロッソは手にしたナイフで、偽ぱたんは鶴翼・十文字槍と屠竜剛槍で、迫り来る槍を薙ぎ払い、受け止めようとする。だが、鶴翼・十文字槍も屠竜剛槍もその数はあまりにも多く、その一部こそ防げたが、到底全ては防ぎきれなかった。
 多数の槍をその身に受けて、偽ぱたんは敢えなく消滅。だが、ロッソは何カ所も身体を貫かれて血をだらだらと流しながらも、愉しそうに|微笑《わら》っていた。
「そうじゃないと、面白くないよねぇ。ほらぁ、もっと遊ぼうよ♪」
 その異様さに、ぱたんはゴクリと唾を飲み込む。配信画面には、視聴者達の「ええ……」「簒奪者エグい」「幼女、丈夫すぎ……」とドン引きしたようなコメントが流れていた。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

アルバート・ベイカー
ただならぬ殺気!
迷子の少女でないな!どう見ても!

愉しそうなところ悪いが、俺は急いでいる。階段を上るのに時間が掛かるんでな。
可及的速やかに退いてもらおう!

まずは牽制の鎌鼬をダッシュ回避と|魔力《エネルギー》バリアで凌ぐ。
続く捕縛をあえて受けることで締めの強撃を誘い、『陰日向』を発動。「アマツミカボシ」の射程まで跳躍する。
空振った相手に一撃加えることもできるが、ここは撃たずに潜伏し、狙撃の構え。光魔法で光学迷彩を纏って身を隠す。
相手が狙撃を警戒して遮蔽物に隠れるなら、弾道計算して狙いを定め、貫通攻撃で遮蔽物ごと撃ち抜こう!

●かくれんぼとおにごっこ
(――ただならぬ殺気!)
 自身に投げかけられている殺意を察し、アルバート・ベイカー(閃光の毛玉・h00397)は身構えた。
「お兄ちゃあん! 遊ぼうよぉ♪」
 その視線の先には、幼女の姿をした簒奪者『ロッソ・サングエ』がいた。先の√能力者との戦闘で受けた傷は癒えかけてこそいるがまだ残っており、さらにその手には巨大な鋏の片刃が握られている。
「迷子の少女でないな! どう見ても!」
「そうだよぉ~。私は、お兄ちゃん達が言う『簒奪者』なの。お兄ちゃんには、ココで死んで欲しいなぁ♪」
「……愉しそうなところ悪いが、俺は急いでいる。階段を上るのに、時間が掛かるんでな。
 可及的速やかに、退いてもらおう!」
「そうはいかないの。死んで?」
 √能力を発動したロッソは、まず鎌鼬を牽制で放つ。アルバートは、その包帯は素早く躱した。だが、続くリボンには捕まってしまった。
「あははは! もーらった!」
 大きく振り上げられたロッソの刃が、アルバートに迫る。だが、これはアルバートの策のうちだった。
「――鬼さんこちら、ってな!」
 √能力『|陰日向《ブリンク・ハイディング》』を発動したアルバートの姿は、ロッソが全力でハサミの刃を振り下ろした先にはいなかった。対竜精霊狙撃銃『アマツミカボシ』の射程ギリギリ近くに|跳躍《ワープ》した上、光学迷彩で姿をくらましたのだ。
「何処? 何処に行ったの、お兄ちゃん? 隠れんぼなんて、つまんないよぉ!」
 そう叫ぶロッソを、アルバートは対竜精狙撃銃『アマツミカボシ』のスコープで捉えていた。照準をロッソの心臓に当て、静かに引金を引く。
 タァン!
「いっ……たあーい! でも、見ぃつけた♪」
 アマツミカボシから放たれた銃弾が、ロッソの胸を貫いた。ドクドクと絶えることなく流れる血が、ロッソの服を赤黒く染めていく。
 一方、その狙撃によって、アルバートの位置もロッソに捕捉された。
「今度こそぉ……死んで♪」
 ロッソは一息にアルバートとの距離を詰め、再度√能力を発動する。だが、アルバートもまたリボンに捕まった時点で『陰日向』を発動したため、全く同じ結果が繰り返された。
「隠れんぼも、鬼ごっこも、つまんない!」
 もう二度同じ展開を続け、さらに深い傷を受けたロッソは、癇癪を起こしながらアルバートの前から去っていった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

カンナ・ゲルプロート
ダンジョンであの大きい鋏、取り回しが良くなさそ
不意打ち一閃【瞬動術】で奇襲をかける
移動も兼ねてるから、まあ有効打にならなくてもいいんだけれどね
「ごきげんよう、クソガキ。ちゃんとおうちに帰れるなら、乳歯でも噛めるリコリス飴買ってあげようか?」
蝙蝠と黒猫で死角をフォローしながら挑発し、周囲の地形を確認
自分の動きやすい位置を確保するわ
「帰り道分からないのー? じゃあお姉さんが強制送還してあげるね」
影技で動きを封じたり中~遠距離から牽制し、空中移動も交えて的を絞らせないわ
鎌鼬は動きから予測して致命傷を避け、隙を見て瞬動術で部位破壊を狙いつつ殴る
捕縛は影技で武器受けしたり、強引にねじ切るわ
※アドリブ歓迎
明星・暁子
「援軍は十分そろったようだな」
では一気に攻め立てよう。
敵は幼女に見せかけて、立派な簒奪者だ。油断はしない。
戦いは数なのだ。
静かに、√能力の詠唱ソングを歌いだす。
「ふーしぎ・まーかふしぎ・どゅーわー」
電波ソングにより生み出された魔空間の中では、鉄十字怪人の想像力のままに様々な怪異が現れ、絶対命中の嫌がらせ(文字通り足を引っ張ったり、スカートをめくったり)を幼女簒奪者に行い、戦闘に対する集中力を失わせる。
「今だ、正義の√能力者よ。畳んでしまえ」

幼女簒奪者が泣いたら、鉄十字怪人の勝ちである。

●魔空間での嫌がらせ
「援軍は十分そろったようだな」
「援軍は揃ったって……此処にいるのは、私とお前だけじゃねえか」
 怪人姿の|明星・暁子《あけぼし・るしふぇる》(鉄十字怪人・h00367)の言に、|カンナ・ゲルプロート《Canna Gelbrot》は(陽だまりを求めて・h03261)は思わず素を出しながらツッコミを入れた。
「だが、手負いの簒奪者が相手なら、私達だけでも十分だろう?」
「それは否定しねえけどよ……」
 そう会話する二人の前には、服を血で赤黒く染めた簒奪者『ロッソ・サングエ』がいる。既に二度、別の√能力者と交戦したロッソの傷は浅くはない。
「では、一気に攻め立てよう……ふーしぎ・まーかふしぎ・どゅーわー♪」
「急に歌うな!」
 暁子が歌うことで、√能力『|不思議摩訶不思議魔空間《フシギ・マカフシギ・マクウカン》』が発動する。暁子を中心に、その周囲が「不思議摩訶不思議魔空間」へと変わった。
 場の空気が変わったことを、カンナもロッソも敏感に感じ取り、ゴクリ、と固唾を飲んだ。果たして、この空間がもたらす効果は何なのか……!
「ちょっ、ちょっと! 何なの、これ!」
 半透明の手が現れ、ロッソのスカートをめくる。突然のことに、ロッソは困惑しながらも思わずスカートを押さえた。
「うう、お姉ちゃんの仕業なら、お姉ちゃんを殺しちゃえば……!」
 ロッソは巨大ハサミの片刃で暁子に斬りつけるべく、駆けた。だが。
 すてーん!
 床からにゅっと手が生えて、ロッソの足首を掴む。そのためロッソはバランスを崩し、盛大に前のめりに転けた。
「|ほふ、はんはほひょう!《もう、なんなのよう!》」
 さらに、半透明の左右の手が現れると、むにぃ、とロッソの頬を掴んで引っ張る。
「……何、これ?」
「絶対命中の嫌がらせだ」
 半ば呆れながら問うカンナの声に、堂々とした態度で暁子が答えた。
 不思議摩訶不思議魔空間の中では暁子の攻撃は必中となるのだが、暁子はそれをロッソへの嫌がらせに用いたのだ。これは決してふざけているわけではなく、ロッソを立派な簒奪者と見做した上で、その戦闘への集中力を失わせるためである。
「今だ! 正義の√能力者よ、畳んでしまえ!」
「確かに今だな――ごきげんよう、クソガキ。
 ちゃんとおうちに帰れるなら、乳歯でも噛めるリコリス飴買ってあげようか?」
「うぐうっ!」
 暁子に促されて√能力『|瞬動術《ブリッツトリット》』を発動したカンナは、瞬間移動じみた速度で起き上がろうとしつつあるロッソの横に立つと、その脇腹を全力で蹴った。
「その大きい鋏、取り回しが良くなさそうだよな。こうやって近寄られたら、詰みだろ?」
「そんなこと……ないもん!」
 脇腹を蹴られた衝撃で床を転げ回ったロッソだったが、√能力を発動して反撃に出ようとする。しかし、それがカンナに有効打を与えることはなかった。
 暁子の「嫌がらせ」によって鎌鼬を放とうとする腕はその軌道をずらされ狙いを逸らされ、リボンはカンナが|影技《シャッテン》で操作する自身の影で叩き落される。巨大ハサミは、暁子の使役する半透明の手がガッチリと押え込んでいた。
「帰り道分からないのー? じゃあお姉さんが強制送還してあげるね」
「あ、あう……ぐえっ!」
 襟首を掴んでロッソを引きずり起こしたカンナは、その鳩尾に鉄拳を叩き付けた。引きずり起こされた際に四肢を半透明の腕やカンナの影に拘束されたロッソは、防御もままならずまともに直撃を受けてしまう。
 あとはもう、ただひたすら鉄拳で殴打し続けるだけであった。ロッソも心が折れていない間は反撃に出ようとしていたが、その度に暁子とカンナの妨害を受けて不発に終わる。
「ひどいよ! ひどいよ! もっとちゃんと、戦わせてよぉ!」
 やがて耐久力の限界を迎えたロッソは、半ば泣きべそをかきながらこの場から消えていった。
「幼女簒奪者は泣いた。と言うことはこの勝負、鉄十字怪人の勝ちである!」
「勝敗の基準、どうなってるんだか……だが、助かったよ。ありがとな」
 暁子の勝利宣言に、カンナはまた半ば呆れつつも、援護に対する礼を述べた。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 ボス戦 『堕落騎士『ロード・マグナス』』


POW 英雄は死なず
【鎧】と完全融合し、【剣】による攻撃+空間引き寄せ能力を得る。また、シナリオで獲得した🔵と同回数まで、死後即座に蘇生する。
SPD ファルス・ソード
自身が受けた武器や√能力を複製した【偽りの聖剣】を創造する。これは通常の行動とは別に使用でき、1回発動すると壊れる。
WIZ カースドフレア
移動せず3秒詠唱する毎に、1回攻撃or反射or目潰しor物品修理して消える【呪いの炎】をひとつ創造する。移動すると、現在召喚中の[呪いの炎]は全て消える。
√ドラゴンファンタジー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

●塔の主
 池袋西口公園に突如出現した塔。その最上階では、この塔を出現させた張本人であり、またこの塔の核でもある『堕落騎士『ロード・マグナス』』が待ち受けていた。
「随分と、早かったな……もう少し手こずるかと思っていたが、奴等では力不足だったか」
 重苦しい雰囲気と声で告げながら、ロード・マグナスは大剣を両手で持ち、眼前の√能力者達に対して構えた。
「さぁ、来い! かくなる上は、貴様等が斃れるか、我とこの塔が滅びるか、これで決着を着けようではないか――!」
 そう告げながら、ロード・マグナスは√能力者達が挑みかかってくるのを待ち受けた。
明星・暁子
アドリブ歓迎
身長200㎝の鉄十字怪人モードで事に当たる。

「良い甲冑に剣だ。かつては名のある英雄だったのだろう」
「私は明星・暁子。推して参る」

愛用のブラスター・キャノンと半自律浮遊砲台・ゴルディオン1~3号機(アイテムです)で、
『弾道計算』された『一斉射撃』を行い、味方√能力者の援護に回る。

また、《怪人大作戦》でこの日のために予め占拠していた巨大ダム付属の水力発電所から高圧電流を流す。
最寄りの電線から、ファルス・ソード【偽りの聖剣】に落雷させて、致命の一撃を失敗させる。

「そーれ、ポチッとな」(スイッチオン)

頼りになる仲間がいる戦場は、良い。孤独な英雄殿にはご退場願おう。
アルバート・ベイカー
※アドリブ・連携歓迎

……お前か、このダンジョンの主は。

よくもこんな縦長違法建築を!
上に伸ばすならエレベーターを設置しろ!

『セイリオス』に魔弾装填!
バリアフリーのなんたるかをこいつで叩き込んでやる!

――なんと!? 
俺の技を複製した!?

だがその技で俺と撃ち合うのは悪手だぞ!

複製された射撃を弾道計算。
回避方向を見極め、ダッシュで直撃を避ける。
同時に光属性攻撃に最適化した|魔力《エネルギー》バリアを展開。
乱反射レーザーのダメージを軽減して耐える。
ダメージレースなら軽減手段のあるこちらが有利なはずだ。

さらに味方が連携してくれるなら、光属性付与で強化する。
火力と手数で押し切るとしよう!

●強制失敗させられた反撃
 池袋西口に建った、中世ファンタジー風の塔。その最上階に、堅牢な装甲に身を包んだ身長約二メートル程の怪人と、その怪人の背中におんぶされている身長約一メートル程のコーギー系の犬獣人が登ってきた。
 鉄十字怪人の姿をした|明星・暁子《あけぼし・るしふぇる》(鉄十字怪人・h00367)と、アルバート・ベイカー(閃光の毛玉・h00397)だ。
「ありがとう。ものすごく、助かった」
「ああ、どういたしまして」
 アルバートは最上階に到達したことを確認すると、暁子の背中からスタッと下りて礼を述べる。実感のすごく篭もったその礼に、暁子は嬉しそうな声色で返した。
 二人は最上階に登る最中に偶然出会い、共にロード・マグナスを倒すべく同行することにしたのだが、コーギー系の犬獣人で足の短いアルバートは階段の段差を越えるのに難儀していた。それを見かねた暁子はアルバートをおんぶすることを申し出て、アルバートとしても暁子の足を引っ張るのは避けたい思いがあり受け入れたと言う経緯があった。
「……お前か、このダンジョンの主は。よくも、こんな縦長違法建築を! 上に伸ばすなら、エレベーターを設置しろ!」
 今まで散々階段の段差を登らされた恨み節を込めながら、アルバートが叫んだ。同時に、精霊機関銃「セイリオス」に魔弾を装填する。
「この程度の塔を登るのに、エレベーターだと? 何を、軟弱な……」
「人の苦しみがわからない奴め! バリアフリーのなんたるかを、こいつで叩き込んでやる!
 励起、共振! 光彩の風よ、暗雲を払え!」
 ロード・マグナスの言葉に侮蔑を感じ取ったアルバートは、全ての冒険者の足が難無く階段を越えられるほどに長いと思うなと言わんばかりに、√能力『エレメンタルバレット『|光彩陸離《イファルジェンス》』を発動。
 セイリオスから放たれた、光の属性を宿した弾丸が、ロード・マグナスの胸甲の中心に直撃する。のみならず、その着弾点を中心にレーザー光線が乱反射し、ロード・マグナスに鎧の上から強かなダメージを与えた。
 ロード・マグナスは、偽りの聖剣を創り出し同じ√能力を再現する事で、アルバートに反撃しようとする。だが。
「そーれ、ポチッとな」
 暁子が、手持ちのリモコンのスイッチを押す。それがきっかけとなって、√能力『怪人大作戦』が発動した。数日前から予め占拠していた巨大ダムに付属する水力発電所から、高圧電流が電線を伝って流れていくと、塔に最も近い電線から偽りの聖剣に落雷となって命中!
 これにより偽りの聖剣は消滅し、ロード・マグナスは反撃に失敗した。
「な――!?」
「良い甲冑に剣だ。かつては名のある英雄だったのだろう。
 私は、明星・暁子。推して参る!」
 すかさず暁子は名乗りながらの追撃に出て、愛用のブラスター・ライフルと半自律浮遊砲台「ゴルディオン」三基による一斉射撃を行った。アルバートの√能力により光属性を宿した弾丸と砲弾が、ロード・マグナスを襲う。
「――おのれ、小癪な!」
 ロード・マグナスは手にした剣での受けを試みたが、到底防ぎきれるものでは無く、鎧の胴部に三つの穴を開けられた。その穴からは、周囲に拡がるように亀裂が入っている。
「隙ありだ! もう一度、バリアフリーのなんたるかを叩き込んでやる!」
 暁子とロード・マグナスの攻防の間に、アルバートは再度√能力『エレメンタルバレット『|光彩陸離《イファルジェンス》』を発動していた
 セイリオスから放たれた魔弾が、ロード・マグナスの胴部を捉えると、その周囲を多数のレーザー光線が迸ってロード・マグナスの全身を灼く。
「くっ……だが、小細工はもう使えまい!」
「――なんと!? 俺の技を、再現した!? だが、その技で俺と撃ち合うのは悪手だぞ!」
 アルバートは再現された射撃の弾道を観測し計算することで、光属性の弾丸の直撃を避けた。さらには、対光属性のエネルギーバリアを展開することで、ダメージを軽減して軽傷を負うに留めた。
 再現されたのが自分の√能力である以上、その対処は使い手であるアルバート自身がよく理解していた故の結果だ。
「暁子!」
「任せろ!」
 さらに、この攻防の間に暁子が、すかさず光属性の射撃と砲撃をロード・マグナスに叩き込む。
 そうしてダメージレースを繰り広げた結果、アルバートと暁子は撤退を余儀なくされるまでの間に、連携して次々と繰り出す攻撃によって二人ロード・マグナスの鎧の過半以上を破損させ、その生命力もまた過半以上を奪っていた。
 これは、アルバートが攻撃の軽減手段を用意していたこともさることながら、暁子がロード・マグナスの最初の反撃を失敗させていたのが大きかった。それがなければ、奪えた生命力は半ばにも至らなかっただろう。
「頼りになる仲間がいる戦場は、良い。孤独な英雄殿のご退場は、もうすぐだ」
 それが明暗を分ける差だと、暁子はロード・マグナスに告げていった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

柳檀峰・祇雅乃(サポート)
√EDEN生まれの人間で、本人曰くおもちゃ屋で魔女です。
子供好きで、困っている人がいたら出来る範囲で助けてあげようとする程度には善良です。
頭を使って解決できそうな問題は出来るだけ頭を捻りますし、何事も丁寧に対応しようとしますが、一方で敵対者に暴力を振るうことを厭わない程度には好戦的です、
戦闘スタイルは、生来の若干異常な身体能力と格闘センスを活かした喧嘩殺法に魔法を組み合わせたものです。
(例えるならば魔法の使えるゴリラのような感じ)
魔導書は鈍器として使うことが多いです。
√能力は状況に応じてどれでも使います。

以上を基本として、シナリオに合わせて思うままに動かして頂ければと思います。

●光の雨は降り注ぎて
「池袋で人々がモンスター化するなんて、ちょっと洒落にならないわよね。止めさせてもらうわよ」
 身長二メートルにもならんとする|柳檀峰・祇雅乃《りゅうだんほう・ぎがの》(おもちゃ屋の魔女・h00217)は、ロード・マグナスの前に至るとそう告げた。
 人口密集地である池袋で人々がモンスター化すれば、その被害は如何程になるだろうか。それを思えば、モンスター化を止める為にもロード・マグナスは速やかに討たねばならない。
「やれるものなら、やって――」
「光よ、収束し降り注げ!」
 祇雅乃の口上にロード・マグナスが返すのに割り込んで、祇雅乃は√能力『光の雨』を発動。雨の如く微細な光が、ロード・マグナスの身体へと降り注ぐ。
 微細な光の一つ一つには、大した威力はない。だが、それが三百回もロード・マグナスの身体に当たれば、既に傷ついているロード・マグナスの生命力をじわじわと削り取って行くに十分だった。
「ぐ……!」
 ロード・マグナスは光の雨から逃れず耐えて、詠唱を完成させると呪いの炎を創造して祇雅乃へと放つ。
「このぐらい、何てことないわよ」
 身を灼く炎の熱に耐えながら、祇雅乃は言った。全くのノーダメージとは行かないが、祇雅乃の鉄壁の身体は、祇雅乃の被ダメージを大きく軽減していた。
 そして、ロード・マグナスが呪いの炎を創造して攻撃する間にも、祇雅乃は再び光の雨を降らせながらその手にしている魔導書でロード・マグナスを殴打する。
 かくして、祇雅乃は既に半減しているロード・マグナスの生命力を、さらに削り取っていったのだった。
🔵​🔵​🔴​ 成功

クラウス・イーザリー
「潔いのは嫌いじゃないな」
……騎士なんてのは、俺にとっては御伽噺の存在だ
そんな相手と戦うのは何だか不思議な気分だね

アクセルオーバーを使って一気に接近
紫電一閃や鎧無視攻撃を主体に鎧による防御を打ち破る
武器落としで剣を狙ったり、ワイヤーでの捕縛も用いて隙を作りながら戦っていこう

呪いの炎がたくさん創造されたら一旦排除に集中
ダッシュで逃げながら弾道計算+レーザー射撃で一つずつ撃ち落としていく
敵からの攻撃は見切りで回避を試みて、躱し切れない時はジャストガードで凌ぐ

自分の負傷は顧みずに戦い抜くよ
早くダンジョンを消滅させて、周りの人達をモンスター化の危機から救いたいからね

※アドリブ、連携歓迎です

●池袋の人々、救われり
 最後にロード・マグナスの前に現れたのは、クラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)だ。
 √ウォーゾーンを出身とするクラウスにとって、騎士と言うものは御伽噺の存在と言えた。それだけに、ロード・マグナスと戦うのは何だか不思議なものを感じるところであった。
「潔いのは、嫌いじゃないな……行くぞ」
「くっ、速い……!?」
 クラウスは、初手から√能力『アクセルオーバー』を発動。全身に電流を纏う事で強化された身体が、瞬く間にロード・マグナスとの距離を詰める。
 バトルアックスによる紫電の如き一閃が、大剣による防御を間に合わせられなかったロード・マグナスの胸甲を斬り裂き、深々とした傷を刻む。
「うぐっ……だが!」
「――遅い」
 ロード・マグナスはその場に踏み止まり、大剣で反撃しようとする。だが、クラウスはその太刀筋を見切って下からバトルアックスで払い上げる。
 カラァン。刀身を跳ね上げられ、ロード・マグナスの手から離れた大剣が、あらぬ場所に落ちて乾いた音を響かせる。
 こうなると、ロード・マグナスは呪いの炎を創造してクラウスを攻撃するしかない。だが、クラウスとて悠長にそれを待つ理由はなかった。
 ロード・マグナスが呪いの炎を創造するまでの三秒間に、クラウスは『アクセルオーバー』を連続して発動し、「紫電一閃」を二度、三度と叩き込んでいく。
 ようやくロード・マグナスが呪いの炎を創造してクラウスに放ったが、クラウスはバトルアックスの刃の側面で受け止めて防ぐ。防ぎきれなかった余波がクラウスの身体を灼くが、クラウスが負った傷は軽いものでしかなかった。
 その傷を省みることなく、クラウスはさらに「紫電一閃」を連発してロード・マグナスを攻め立てていく。速やかにダンジョンを消滅させ、池袋周辺の人々をモンスター化の危機から救わんが為だ。
 元より、ロード・マグナスの生命力は先に交戦した√能力者達によって削られていた。そこに、一度攻撃する間に高威力の攻撃を二度も三度も叩き付けられては、ロード・マグナスの生命が風前の灯火に陥るのも時間の問題だった。
(これで、終わらせる)
 渾身の力を込めて振るわれたクラスのバトルアックスが、ロード・マグナスの胴体を上下に両断する。
「見、事……!」
 ロード・マグナスはそれだけを言い残し、かき消えるように消滅。同時に、池袋西口公園に建った塔もサラサラと崩れゆく灰へと変じて、消滅していった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

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