あの子をいますぐ返してください
●鍋の底へと落ちていく
聞こえる――嗚呼、聞こえる。
花嫁の痛哭が――『私』を呼ぶ。
千切り捨てられた誓詞。裏切りへの憤り。
いや……今回の、痛哭に関して謂えば。
最早――『私』が動く以外に、ありえない。
花嫁の復讐は勿論……『私』は……哀れな赤子の復讐も、遂げてみせよう。それが『私』に対しての、最上級の赦しとなるならば、そこに、否定したあの人と、違いなどなし。此度の花嫁は『私』の事を……手放しで、迎え入れてくれる筈だ。
如何なる√へも追い縋り、地の果てまでも決して逃がさず。
肉の一片たりとも、血の一滴たりとも、残しておくものか。
手始めに、肚を掻っ捌く。
●蓋をしていないのが原因か
「やあ、君達ぃ! 紅涙って古妖、聞いた事があるかい? ああ、その通り。嫁入り道具の付喪神みたいなやつさ。王権執行者でもある。如何やら、哀しみ背負った花嫁の復讐を代行するって星詠みに出てねぇ。それで、君達に声を掛けたっていうのさ」
星詠み、暗明・一五六の表情は、文字通りに窺えないのだが、その態度からして、人間災厄らしい雀躍を孕んでいた。君達は『これ』を嫌な予感として捉えても良い。
「まずは花嫁と接触し、何が起きたのか、誰に何をされたのか、訊いておくのが正解だろうさ。それで、花嫁の嘆きや怨みが晴らせたなら、運命、変えられるかもしれないぜ? そうそう、君達ぃ。先に言っておくが……今回の依頼は精神的に、けっこう、きついかもねぇ」
「それでも行くってんなら、覚悟しておく事だね。アッハッハ!」
マスターより

にゃあらです。
ごちそうさまでした。
第一章。
花嫁との会話パートです。
都合の良い幻想が見えます。
小さな、小さな、命がひとつ見えますね。
第二章。
不明です。
第三章。
不明です。
84
第1章 日常 『どこにもいかない祈りの澱』

POW
理想を貫く
SPD
幻想を払う
WIZ
夢を語る
√汎神解剖機関――クヴァリフの仔が蔓延るほどの黄昏において――何も、地獄というものは、怪異だけの仕業ではない。最早、誰も使う事のない廃教会の中、一人の女が何かを抱えていた。君達は――彼女こそが――裏切られた花嫁なのだと、直感で理解できるだろう。さて、花嫁に近づいてみたならば……彼女が抱えているものが、小さな、小さな命だとわかる。小さな命は……赤子は……安らかな顔をして、すやすやと、眠っているようにも視えた。
兎も角、君達は花嫁の嘆きを……怨みを、和らげなければならない。
取り敢えずは花嫁に声を掛け、何が起きたのかを訊いてみると宜しい。
ふつふつ、ふつふつ、何処からか。
煮えているかのような、音……。

(※アドリブ歓迎。いつも通り、狂気耐性は低いです)
……アノ~、は、初めまして……。
俺、エット……あなたのお話を……聞きに来ました。
なんでって、言われると……説明が、難しいんですケド……。
このままだと、チョット……あなたも、というか……世界が、危ないカモしれないんです。
だから……よければ、協力してもらえると——嬉しい、です。
それで……その、あなたに何が……あったんでしょうか。
聞きづらいんですケド、知らないといけなくて……。
だ、誰かに、ひ、ひどいことを……されたり、トカ……心当たりは、ないですか……?
……俺は、自分のことで精一杯なので、あなたに深入りみたいなコトは……きっと、できないですケド……。
真っ赤な蛸との違いを答えよ。
誰かの為に動いていると――何かの為に蠢いていると――本当に、心の底から、勇気に似た何かが涌いてくるものだ。傍から見たならば、覗き込んだのならば、蛮勇でしかないのかもしれないが、それこそ、藁のように、縋るに値する『もの』なのかもしれない。八手・真人の場合、それは『兄ちゃん』だ。兄の為ならば、何があっても『生き残る』事を選ぶだろうし、たとえ、苦渋の決断だったとしても最終的には『やる』筈だ。兎も角、今は話とやらを訊いてしまうのが宜しい。底知れない情念に沈んだとしても、兄とはまったく関係がないのだから――。……アノ~、は、初めまして……俺……エット……。早速発揮していく経験不足とやら、しかし、却って。その方が、花嫁にとっては良いのかもしれない。
あなたの話を……聞きにしました。耳にするのは当然として『危機』なのだ。小さな、小さな、ひとつの絶望が膨れ上がってしまえば何れ、√を侵す病魔となる。なんで……って、言われても……その……難しいんですケド……このままだと、チョット……あなたも……。花嫁は察してくれた様子だ。何度も、何度も、眠っているかの|ような《●●●》赤子を撫でながら――ええ、わかりました。話をすれば、良いのでしょう。それが、どのような破滅に、どのような地獄に、繋がるのかはわかりませんが……。あ……ア……ソノ……ゆっくりで……良いので……その、あなたに、何が……? だ、誰かに、ひ……ひどいことを……? 心当たりも何も、怨みを忘れたりするものか。物々しい雰囲気ではなく。まるで、聖母のような――ア……お、俺は……自分のことで精一杯なので、あなたに、深入りみたいなコトは……きっと、できないですケド……。蛸壺の中は暗く、故にこそ、何も見なくて済む。
……この子を、抱いてみてください。
誘われたのか、望まれたのか、意識するよりも前に|冷たさ《●●●》が脳髄へと這入っていく。冷たさが急激に熱され、沸騰するかのような思いに苛まれる。エッ……? ああ、グツグツと、煮込まれているかのような。いいや、ような、ではない。
煮込まれている。何かに、味見をされている。
🔵🔵🔴 成功

アドリブ・アレンジ・連携歓迎。
心情
…裏切られ…っ…
……貴女様の悲しみは…分かりませんが…宜しければ、お話…頂けませんか?
…多分、怒りを…腹に据えかねてる、ことが…ある…のでしょ…
…僕は、貴女様の敵では…御座いません。
…僕にだって、忘れられれば…いいと謂う、思いもあります。
…そういう物は、絶対に忘れない|悪夢《トラウマ》に、なっている物です。
…寧ろ…近い経験を…してるかも…しれません。
…話せば、話した分、楽になると…相棒に、教わりました。
行動
√能力で【魅力】を上げてお話を聴きたいです。
花嫁様の嘆きを、恨みを受け入れ、相槌打ち、しっかり、真摯に聴きましょう。
それが答えに近づく結果になるのでしょう。
海月のように――水母のように――自由気まま、フヨフヨ、浮かぶだけで良いのなら、頭痛にやられる事などなかった。悪趣味を極めた世界と謂うものは、蛇蝎を孕んだ現実と謂うものは、甘くて柔らかい脂を――彼方のように、美味しく調理をしてくれたのか。……裏切られ……っ……。人は人の悲しみを、怒りを、もっと謂うならば感情を、理解する事ができない。その事に関しては、成程、四之宮・榴、オマエの性質が証明をしてくれていた。……宜しければ、お話……して、頂けませんか……? ぬぞりと、這うかのような海の色が――クラゲを纏っているかのように――じっと、じわりと、花嫁を覗く。これが、深淵への片道切符だったとしたならば、花嫁は喜んで身を投げるだろう。……たぶん、怒りを……腹に据えかねている、ことが……。花嫁は理解できている。目の前の|クラゲ《それ》は敵ではない。敵ではないし、何故だろうか。自分と『似たような』生物だと、親近感とやらを覚えている。……僕にだって……忘れられれば……いいという、思いもあります。そういうものは……絶対に、忘れられない、|悪夢《トラウマ》に……。馬鹿げている。嗚呼、莫迦げている。これがトラウマなのであれば――如何して、自決をしていない。
……僕は……話せば、話した分、楽になると……相棒に、教わりました。たとえ……それが、どのような……最悪であっても……口にさえ出来れば……きっと……。素晴らしい。まったく、オマエの名前の通りではないか四之宮・榴。柘榴は何の代わりにされていた。しかし、哀れなる哉。鬼子母神は仔を育む為に仔を狙ったが、花嫁の場合は――彼女の旦那は――ジャムを作る事にご執心であったのだ。
狼狽えてはいけない。驚きの表情など、最早、ゴミ箱の中の住民だ。唾を飲み込む音すらも出してはいけない。嘆きと恨みを受け入れ、相槌を打ち、しっかり、真摯さを失くさないように。結果というものは勝手についてくる性質だった。
生きている価値は必ずあるのだ。我々はきっと、肉の一文字で救われる。
目には目を歯には歯を。
🔵🔵🔴 成功

強い恨み、悲しみ、失望
そんなのを感じる
これがきっと身近にある地獄ってやつ
あたしはよーく見てきた
こんにちは、花嫁チャン
はじめまして
キミのことなんて呼べばいーい?
あたしはユーレイ
割と世の中に後悔とかネガティブな感情を抱いて果てたユーレイ
じゃないと今こうやって実体化できないでしょ?
男のことを許せない?
何があったんだろう…
あたしは沢山沢山、裏切りとか騙し合いとかを見てきたから
少しは気が晴れるカモよ?
ちょっと話してみてよ
あたしも男に泣かされてきたクチだからね
ホントろくでもないよね、あいつら
…あっ、えっと赤ちゃんの面倒も一緒に見るからさ
辛いのはおいしーお酒とお菓子で忘れちゃお!
今日は飲み明かすぞー!
小さな命に感謝をしなければならない。
胃袋へと墜落していった薬の効能について、さて、飲み込む前に如何して説明してくれなかったのか。今度こそ、次こそは、上手にやってみせると意気込んだところで、最早ないのだと返されてしまうのか。強い恨み……悲しみ……失望。そんな、凄惨な想いを、感じる。これがきっと身近にある地獄ってやつ。……身近になくたって、絶対、地獄。あたしはよーく見てきたつもりだし、あたし自身も……。後の祭りを楽しもうと試みた結果がこのザマだ。仮に、国を傾けてしまったとしても――首を垂れてやれば、はい、の合図で幕は下りる。
眩暈がするほどの馥郁だ。脳味噌があふれてしまいそうなほどの恍惚だ。そんな最中に怒りの念を蔓延させてしまっては、それこそ、狂乱の類にしか至れない。こんにちは、花嫁チャン。はじめまして。真っ白い|顔《かんばせ》に赫々とした果実がふたつ。ごろんと回してみせたのならば、嗚呼、魅せられた花嫁は転ぶしかない。キミのことなんて呼べばいーい? 無理をしなくてもいいのだと、抱え込まなくてもいいのだと、言葉を連ねるつもりはない。あたし? あたしはユーレイ。割と世の中に後悔とかネガティブな感情を抱いて、果てた、ユーレイ。花嫁はオマエの姿を見て、嗚呼、何かに、期待をしているかのよう。ちょいまち。花嫁チャン、なんで、そんなにあたしのこと見つめて……? あ、意外だった? じゃないと今こうやって実体化できないでしょ? 嫌な予感がする。何か、手遅れな事が『あった』のではなかろうか。……男のことを許せない? 何が……?
あたしは沢山沢山、裏切りとか騙し合いとかを見てきたから、少しは気が晴れるカモよ? ちょっと話してみてよ。ほら、あたしもさ、キミみたいに、男に泣かされてきたクチだからね。ホント、ろくでもない……。ろくでなしならば良かったのだ。ひとでなしならば楽だったのだ。あの人は……そう。あの人は人間で……何処までも、何処までも、嘘を吐かなくて……。あっ……えっと、赤ちゃんの面倒も一緒に見るからさ。辛いのはおいしーお酒と、お菓子と、スープで忘れちゃ……? へ? 今なんて……?
彼は嘘を吐かなかった。嘘を吐かなかったし、とっても、優しかった。
食べちゃいたいほどかわいいって、そういうこと。
食べ物、飲み物の話をしている場合ではない。
……あ……あ~……そーゆう……感じ……。
🔵🔵🔴 成功

アドリブ歓迎。
紅涙かぁ、以前関わった事あるけどアレ関連だと大体ドロドロ陰湿な話なのよねぇ、うへぇ。
まぁしゃあないか話を聞けっていうなら聞いてあげようじゃない。
赤子ねぇ……安らかに眠ってるって実は永眠とかってオチじゃないといいんだけど。
やっぱり紅涙絡みだと浮気とかかしら?
なんで人間って浮気とかするのかしらね、アタシは|サーシャ《宝石》一筋で他の娘なんて見ないのに。
まぁアタシの場合浮気されるなんてないけど。
もしも相手がいてそんな事したら焼却処分して無かったことにするから。
無かったものは最初からいなかったOK?ってやつね。
と、話がズレたけど結局何があったの?浮気男ならぶっ飛ばしてやらなくもないけど。
ぐしゃりと、拉げた結果が赤なのだ。赤くて、赤くて、赤くて、残りもしない輪郭。脳裡に刹那、こびりついたイメージは息絶え、何者かの哄笑だけを滓としていく。
――この世の中には、酢醤油のような情念もある。
人間の底知れない悪意――もしかしたら、善意なのかもしれない――の恐ろしさは、欠落する前のアーシャ・ヴァリアント、喪失する前のオマエがよく知っていた。獣の数字が咆哮し、強欲、貪り喰うサマは、まるで人のカタチをした蝗と謂えよう。紅涙かぁ……以前、関わった事あるけど、アレ関連だと大体、ドロドロ陰湿な話なのよねぇ……うへぇ。心の底から関わり合いになりたくない。もしも、義妹が巻き込まれたのなら、沈黙するなどありえないが。これは所謂|男と女《●●●》の奈落なのだ。故に、ヴァリアントの家にとってはまったく、繋がりの欠片もない。まぁ……これも仕事だし、しゃあないか。話を訊けっていうなら、聞いてあげようじゃない。んで……赤子……赤子ねぇ……安らかに眠ってるって、実は……「永眠とかってオチじゃないといいんだけど」。
やっぱり、あの王権執行者絡みだと浮気とかかしら? より魅力的なものに、欲しいものに、人間という生き物は傾倒し易い。ある意味では生物的なのかもしれないが、それは、人間精神にとっては致命的な代物だ。なんで人間って浮気とかするのかしらね。アタシは|サーシャ《宝石》一筋で、他の娘なんて見ないのに。何処かで誰かさんが頭を抱えているのかもしれないが、そんな罪は置いておくとよろしい。それに、アタシの場合浮気されるなんてないけど。もしも、相手がいて、そんな事したら、焼却処分して無かったことにするから……。「無かったものは最初からいなかった、OK?」ってやつね。地雷原でトリプルアクセルをするつもりなのかアーシャ・ヴァリアント。残酷な事だが、オマエの辿り着いた『オチ』こそが大正解なのである。……話がズレたけど、結局何があったの? 浮気男ならぶっ飛ばして……? それにしても、幻想的な赤子ではないか。磨り潰された果実のように、甘い甘い香りを漂わせている。……ぶっ飛ばすしかないわね、最悪よ。ドロドロだった。物理的に。
🔵🔵🔵 大成功

ふにゅ……
怒り、憎しみ、怨み……
それらの感情がどのように作用するか、それこそ、その人にしか計り知れないものでしょう……
なので、完全に理解することはできません……
ですが、お話を聞いて、共感や、あるいは何かしらのお手伝いができるかも、しれません……
感情を吐露するのも、心を整理するのに大切なことです……
僕でよければ、お話してくれませんか……?
子守唄を、歌うのも良いかもしれませんね……
歌唱や幻影使いを使用して落ち着いて話をしてもらえるように場を整えましょう……
幸運にもお話してくださればいいのですが……
耐性はあるので、遠慮なくお話してください……
階段を転がり落ちていった桃は、可哀想なほどに傷んでいた。
腐っていく、朽ちていく、幻のように。
夢だろうと、現だろうと、人を真に救う事など出来はしない。成程、当人にとっては救いなのかもしれないが、神にとっての『それ』は慰めにしかならないのか。ふにゅ……。まるで、誰かの夢の中のようだと、まるで、誰かの脳内に迷い込んだかのようだと、鬼灯・睡蓮、オマエは今とやらを見通してみせた。怒り、憎しみ、怨み……それらの感情が、それらの情念が、どのように作用するのか、それこそ、その人にしか計り知れないものでしょう……。人間は人間の事を完全には理解できない。ならば、如何して、人間ではないものが、人間災厄が、紐解けると謂うのだろうか。ですが……お話を聞いて、共感や、或いは、何かしらのお手伝いができるかも、しれません……。オマエのお手伝いの先に有ったのは、そう、文字通りの泥ではないのか。泥のように眠る有り様は、嗚呼、EDENのような陽光を讃えている。感情を吐露するのも、心を整理するのに大切なことです……。そっと、花嫁の背中を撫でてやれ。赤子の顔を見てやりながら、ゆっくりと、ぬくもりとやらを与えてやれ。僕でよければ、お話をしてくれませんか……? 幻影は要らない。今、花嫁に必要なのは詩なのだ。それも、只の詩ではない……。白昼夢は読み取った。彼女に降り掛かった災厄の正体を。
……むにゃ……そう……ですか……。子守唄。いいや、鎮魂歌。誰の魂の鎮めているのかは『今まで』の通りで、赤子は|魂《たま》のように可愛らしい。……お話しなくても、大丈夫、です……僕は……あくまで、お手伝いなのですから……。ブカブカとしたシーツの一部を破ってやると良い。お包みを作ってやったならば、さあ、贈り物とするのが最適か。僕は……やっぱり……完全には理解できませんが……せめて、これくらいは……。
世の中は何処までも度し難く、それを拭う為にも枕が必須と謂えた。
🔵🔵🔴 成功

WIZ 〈狂気抵抗〉〈コミュ力〉連携アドリブ歓迎
子供は好きですよ
無限の可能性に満ちていて
いつも予想外の振る舞いを見せてくれる
それぞれの子供が一つの宇宙のように尊いものです
しかし、これは…この思いは…ふむ…
『ありえた』未来の可能性ですか?
それの思索にリソースを割いても仕方がないでしょう
これは『諦め』ではなく『希望』です
どうも私の役目は悲嘆を終わらせることではなく
苦悩は苦悩のままに
願望は願望のままに
おはなしは現実と切り離したままで
次の選択を下すためのお手伝いのようです
お話を伺いましょう
私、地獄のような情報の山にも慣れてますから
辛い話も最後まで聞き届けますよ
宇宙は消化されていた。消化されて、最早、流されるだけの段階だった。
紫色の珠を転がすよりも前に手を取ってやるといい。
やるのだ。やるしかないのだ。
それが修羅道への入り口であっても。
臭い物に蓋をするのではない。臭くなっても、腐っても、大切な『もの』なのであれば、絶対に手放してはならないという、意地の悪い現実であった。誑かされていたのだとしても、狂わされていたのだとしても、直視、する以外に這い上がる術などない。子供は好きですよ。無限の可能性に満ちていて、未曾有、いつも予想外の振る舞いを見せてくれる。それぞれの子供がひとつの宇宙のように、曼陀羅のように、尊いものです。そっと、近づいてみた星越・イサ。さて、オマエの惑星級な接続に、如何様な『違和』が落っこちてきたのか。しかし、これは……この、思いは……いえ……思っているのは……彼女だけ……それなら……。ありえた未来の可能性。決して、覆す事のできない『もの』への深い絶望。……それの思索に、袋小路に、リソースを割いても仕方がないでしょう。これは『諦め』ではなく『希望』です。幻想の類に――幻影の類に――救われたいと願ったって意味のないこと。誰かに復讐を頼むのならば、いっそ、自分の手でと、言わせてやるのが正解か。
どうも、私の役目は悲嘆を終わらせることではなく、苦悩は苦悩のままに、願望は願望のままに、おはなしは現実と切り離したままで――次の選択を――次の地獄を下すためのお手伝いのようです。生き地獄が続くと謂うのならば修羅にでもなってやると良い。これが花嫁の修行なのであれば、嗚呼、餓鬼を討つ手段くらいは持たせるべきか。お話を伺いましょう。私、地獄のような情報の山にも慣れてますから、針の筵の只中でも、最後まで、聞き届けますよ。……わかりました。私は『私の手』で決着をつけると、心に決めました。
我が子の為にも、己の為にも、あの、わんぱくな旦那を、
屠らなければならない。
🔵🔵🔴 成功
第2章 ボス戦 『紅涙』

POW
千切
【千切り捨てられた誓詞や嫁入り道具達の怨嗟】により、視界内の敵1体を「周辺にある最も殺傷力の高い物体」で攻撃し、ダメージと状態異常【悲運招く呪詛】(18日間回避率低下/効果累積)を与える。
【千切り捨てられた誓詞や嫁入り道具達の怨嗟】により、視界内の敵1体を「周辺にある最も殺傷力の高い物体」で攻撃し、ダメージと状態異常【悲運招く呪詛】(18日間回避率低下/効果累積)を与える。
SPD
血霧
10秒瞑想して、自身の記憶世界「【鬼哭啾啾の修羅場】」から【血霧に霞む愛しき人】を1体召喚する。[血霧に霞む愛しき人]はあなたと同等の強さで得意技を使って戦い、レベル秒後に消滅する。
10秒瞑想して、自身の記憶世界「【鬼哭啾啾の修羅場】」から【血霧に霞む愛しき人】を1体召喚する。[血霧に霞む愛しき人]はあなたと同等の強さで得意技を使って戦い、レベル秒後に消滅する。
WIZ
契
【全てが満ち足りていた、幸せな頃の断片】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【虚しき花嫁道中奇譚】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
【全てが満ち足りていた、幸せな頃の断片】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【虚しき花嫁道中奇譚】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
花嫁は――赤子を喰われていた花嫁は――己の手で決着をつけると『覚悟』した。他人の力を借りずに『やる』と決めた花嫁は、最早、か弱さの欠片もないと謂えよう。そんな花嫁の隣に|出現《●●》した|嫁入り道具《それ》は言の葉とやらを繰ってみせた。
花嫁よ……『私』は赤子の痛哭も、耳にした。
その復讐、『私』が代わりに完遂してみせよう。
如何なる√へも追い縋り、地の果てまでも……?
花嫁……その、貌はなんだ。『私』を手放しで迎え入れてくれる筈の、花嫁が……何故、そのような……まさか……『私』は不要だと……そう、謂いたいのか……? その柔らかな手で、折れそうな腕で、裏切り者の肚を……掻っ捌くと。
……仕方がない。これでは『私』も、赦されないのではないか。『私』は再び、裏切られたと、そういう事なのか。裏切り者には……そう。血溜まりが……。
幸せは返ってこないし、赦される事などありえない。
花嫁に拒絶された『紅涙』の道は只のひとつ。
花嫁も、旦那も、何もかも、殺し尽くさなければ終われない。

ふみゅ……
月並みかもしれませんが、復讐というのは、そもそもとして、死者の為ではありません……
まぁ、弔いもそうですが……
残された者が、死者を思っての、自己満足なのです……
だからこそ、彼女の自由にさせるべきだと、僕は考えるのです……
ですから、道具であるあなたを止めますね?
道具は、道具らしく、見守るのに徹すればいいのです……むにゃ……
駆け抜けるは、時の夢……
能力値と技能値を増幅させてPOWに物言わせた持久戦
狂気と呪詛耐性に精神抵抗、霊的防護付与
焼却、霊力攻撃、精神攻撃、生命力吸収を主軸として攻撃を行う
空中浮遊から空中ダッシュと地形を利用して撹乱しつつカダスと連携しながら倒しましょう
アドリブ連携歓迎
フヨフヨと浮かび、くるくると踊り、撹乱に続いたカダスの蠕動。
怪異をぶん殴るかの如くに仕掛けてやった数珠、
さて、鮮明になった記憶は誰にとっての最悪か。
縁を断ち切られたのかと、絆を蔑ろにされたのかと、思えてしまうほどの悲哀であった。悲哀を孕んでいると同時に憤懣、訴え続けているサマは如何にも、憐れとしか謂いようがない。ふみゅ……月並みかもしれませんが、復讐というものは、そもそもとして、死者の為ではありません……。まぁ、弔いも似たようなものですが……。血で血を洗うのも酒で臓物を洗うのも同じ事だと仰っているのか。いや、確かに、ベクトルは違うのかもしれないが、鬼灯・睡蓮、オマエの言の葉は正しいものだ。残された者が、死者を想っての、自己満足なのです……。自己満足、その言の葉に対して花嫁は、若干、貌を顰めていたが。すぐに『その通り』なのだろうと、自嘲をしたのか。だからこそ、彼女の自由にさせるべきだと、僕は考えるのです……ですから……。『紅涙』は嫁入り道具だ。嫁入り道具の付喪神紛いだ。『私』に、その資格はないと……そう、謂いたいのか? ふみ……理解されているのです……道具は道具らしく、見守るのに徹すればいいのです……むにゃ……。うぞりと、膨れ上がった何かしら。血溜まり――修羅場――愛しき誰かへの瞑想、させてはいけない。
駆け抜けるは、時の夢……。10秒間の瞑想とやらを、馳せる思いとやらを、如何して赦してやる事が可能なのか。文字通り、空を翔けるかの如くに肉薄したオマエは――情けも容赦もなく――王権執行者の肚を抉ってみせた。いいや、抉ったのは肚ではない。きっと『これ』は精神で、精神であると同時に胎であったのだ。……『私』の……。やはり……其処が、弱点、なのですか……? 半狂乱に陥った『紅涙』、虚空を殴りつけたのか、地面を蹴りつけたのか。これで……一時的ですが……瞑想は、出来ない筈なのです……。
呪っているのだ。呪われたって仕方がない。
🔵🔵🔴 成功

アドリブ歓迎。
うーん、ロクでもない話とは思ってたけどまさかの上手に食べましたってワケとは。
まぁ、今はそっちは置いといてそこでお呼びじゃないのに勝手に表れて裏切られたとか嘆いてる
バカ女をぶっ飛ばしましょ、恨み辛みがあるなら自分を裏切った奴にだけぶつけてさっさと新しい相手でもさがしなさいっての。
しょうがないからこのアタシがそのお堅い頭を吹っ飛ばして軽くしてやるわ。
|集中《チャージ》などさせるものかと√能力を使用して瞬時に距離を詰めてボコボコに打ちのめしていく。
最終的には密かに相手に送り込んでいた竜漿が内部で爆発を起こして吹き飛ばす。
しまった、頭だけじゃなくて全部吹き飛ばしちゃったわね、ま、いっか。
次の機会に巧くやればいい。
何処の部位が美味なのだとか、何処の部位が柔らかかったのだとか、云々、雀躍としていた|旦那《ざいにん》の笑顔。成程、其処に悪徳の欠片もなく。想いは極めて純粋だったのであろう。そう、きっと、旦那は正直病を患っており、それに花嫁、惹かれてしまったのだ。うーん……ロクでもない話とは思ってたけど、まさかの大正解だし、上手に食べましたってワケとは……。なんとなくイメージ出来ていないのは、嗚呼、アーシャ・ヴァリアント、オマエが義妹一筋故か。もしも、義妹が『食材』と見做されたのであれば、刹那の停滞もなく、罰を与えようとする筈だ。まぁ、今はそっちは置いといて、お呼びじゃないのに勝手に表れて「裏切られた」とか嘆いてるバカ女の処理よね……ぶっ飛ばしましょ。……『私』を……莫迦にしているのか……いや、それに関しては『私』も受け入れる他にないのだが……しかし、遂行しなければ……。アンタね、恨みつらみがあるなら、自分を裏切った奴にだけぶつけて、さっさと新しい相手でも探しなさいっての。それが可能なのであれば『紅涙』は王権執行者をしていない。恋は盲目と、よくよく口にはされるものだが、最早、狂気の領域に頭、浸かっていた。しょうがないから、このアタシが、文字通りにそのお堅い頭を吹っ飛ばして軽くしてやるわ。瞑想できないほどの半狂乱、今までのやり取りで消失したのか。王権執行者の頭の中にはしっかりと、真面ではない地獄が広がっている。
遅い――遅すぎて、一服できちゃうくらいよ。ま、アタシは未成年だけどね。距離を詰めると同時に『紅涙』の顔面、血涙を拭うのではなく悪化させてやる。裂いてやった皮膚の、|顔《かんばせ》の裏側には如何様な憤怒が隠れていた。ほんと、地獄みたいな面してんじゃないわよ。で、何処まで打ちのめしてやれば、断末魔を聞かせてくれるのよ。贈り物の名前は|竜漿《ニトロ》が如く。流れに流れたエネルギーの行く先は――さて、勿論。脳味噌だけに留まらない。これが、爆裂。これこそ、爆散。
涙ひとつも残さない。
しまった……全部吹き飛ばしちゃったわね。
ま、いっか。
🔵🔵🔴 成功

アドリブ・アレンジ・連携歓迎。
心情
…復讐は、何も産みません。
……恐らくは。
…いえ、もしかしたら…その当事者だけが…救われるのかも…しれません。
…僕には、永遠に…理解出来ない感情、です。
…ですから、此処で貴女様に…花嫁様を殺させる訳にも、その大罪を持つ…旦那様を殺めることも…させません。
行動
攻撃が必中になるなら、此方も同じくです。
避ける必要がないのは、お互い様に。
ファイタースターターで毒使いも併用して|複合神経毒《麻痺》を使用して近接戦をします。
外れは少ない方がいいですし、回復はインビジブル融合と生命力吸収を使用して、僕が届かない場合やジャストガードや受け流せない場合は、深海の捕食者に頼ります。
埋まってしまいそうなほどの直面だ。
ある種の致命に仕掛けてやった真っ向勝負。
――無粋の二文字は臥せっていた。
カラカラと、カラカラと――空々と、虚々と――花嫁を乗せた馬車が、馬のないのに駆けていく。馬もなければ手綱、握っていそうな旦那もなく。奇譚にまみれた花嫁は何処からともなく嫁入り道具を取り出した。……復讐は、何も産みませんし、ほじくり返しても、意味なんてありません……おそらくは。ぽつぽつと、言の葉を紡ぎ始めた四之宮・榴。ザクロ・ジャムの味わい方については散々、教えてもらったのではなかったのか。……いえ、もしかしたら……当事者だけが……生きている人だけが……救われるのかも……しれません。永遠にわからない。永劫にわからない。そんな事を呟いているオマエの目の玉、さて、如何様な琥珀が這い寄っていたのか。……筆舌出来ない、困難な、感情、です。ですから……此処で、貴女様に……王権執行者様に……花嫁様を殺させるワケにも、その、大罪を背負った……旦那様を殺めることも……させません。『紅涙』はオマエをじっと、じっと、見つめた。それから、王権執行者は言葉を一切返さずに――幸せな頃の断片へと、身投げをした。
……何故……いえ……今は、この場を如何やって、切り抜けるのか……考えないと……。幾つもの夜を越えてきたのは結構だが、オマエ、ひどい頭痛の砂嵐ではなかったのか。軌跡を残す事もなく、軌跡を追いかける術もなく。されど、この星空とやらは――美しい。……お互い様です……僕が倒れたとしても、貴女様が倒れたとしても……同じようなもの、なのかも、しれないのです。縋るようにして仕掛けてやった痺れ薬。泥沼にでも浸かっていたのか、王権執行者、微動だにせず。……『私』は……まだ……。虚しいほどの過去が得物となって嘲笑う。穿たれた臓腑の再生速度、間に合っているのか、否か。
……この勝負……僕が、かなり、有利です。
……ですので、どうか……化けて出ないで、ください……。
深淵――黒色の蠢きについて――眩暈の描写としても悪くはない。
🔵🔵🔴 成功

代わりじゃダメなんだよ
自分の手でやんなきゃいけないの
ソレをやるのはあんたじゃない
あんたは引き際を誤るどころか、引けない状況なんでしょ?
ならあたしらがあんたを消滅させて、赦してあげるから
その物騒なモンしまってくれる?
攻撃は受けてあげる
というか、避けてあげない
あんたもあんたで可哀想じゃん?
でもさ、刃を向ける方法が間違ってんの
その刃をしまえないなら、あたしがあんたごと折るしかないもんね
花嫁チャンが裏切り者? あんたはただの部外者だよ
ダメ男の方だけやるんなら応援できたんだけどねー、残念残念
ってことで扇を閉じてあんたの肧に突き刺してあげる
扇を開いたら、切り裂いていくね
――ホント、損な役回りだよね
馴染む必要などない。我慢する必要などない。
誰に対しての罰だったのか。
惨事を招いたおまわりさんのように――醜態を晒した何者かのように――追随するかのような、ある種の出来レースに眩暈を覚えたのは全員であったのか。覚悟を決めた者に退路はなく、それは、目と鼻の先の|王権執行者《かのじょ》も同じと考えられた。……代わりじゃダメなんだよ。自分の手を汚してから、ようやく、全てが始まるの。ソレを『やる』のはあんたじゃない……。最早、酩酊している場合ではない。頬を赤くして、すっかり、目を回している場合ではない。あんたは引き際を誤るどころか、退けない状況で、あたしも含めた全員が、そんな感じ。なら……あたしらが、あんたを消滅させて。赦してあげるから、その物騒なモンしまってくれる? 嫁入り道具は贈られた。贈られてしまったのだから、嗚呼、元の場所には返せない。……まあ、そうなるよね。幸せだった誰かの思いが――永劫に積み重なったマイナス感情が――情念が。如何様な|主役《ヒロイン》を世に落としたのか。受けてあげる。あたしは、あんたの『それ』を躱したりなんか、してあげない。
まるで割腹を促されたのかと――自決をさせられたのかと――疑うほどの鋭利さだった。ぷつ、と、臓腑を貫くかのような痛痒に、オマエ、悲哀の念を抱くと謂うのか。あんたもあんたで可哀想じゃん? 『私』が……可哀想だと。それは『私』に同情をすると……? 同情。それは=で屈辱に似た思い。『紅涙』は裂くよりも押し込むようにして、只、幽霊の『目』を覗き込もうとする。刃を向ける方法が間違ってんの。その刃をしまえないなら、その殺意を抑えられないなら、あたしがあんたごと折るしかないもんね。何を萃めるのが正解なのか。何に縋りつく事が正常なのか。花嫁チャンが裏切り者? あんたはただの部外者だよ。刹那、揺らいだ|局外者《アウトサイダー》の肉体、呼吸が上手に出来ないのは誰の仕業か。
ダメ男の方だけやるんなら応援できたんだけどねー……いや、仕事的にダメかな、残念残念。閉じても開いても深淵はわからない。ならば、閉ざした儘、肺に風穴開けてやれ。……『私』は……花嫁の痛哭を……。
上なのか下なのか、極端にも、ワインの味を改めるかの如くに。
裂いて、裂いて、咲き乱れて。
――ホント、損な役回りだよね。
🔵🔵🔴 成功

WIZ アドリブ連携歓迎
誰とも分かち合えないその失意が、その絶望が、あなたを作るのです
それらを抱えて前進する覚悟が、未来を築くのです
覚悟を決めた人類はいつだって美しい
ふふ…久々に見た気がします
私達はもはや脇役であり観測者
語りもほどほどにお暇しましょう。紅涙さん?
ふむ…認められませんか
彼女の決断が。自由な意思が。
自分が思い描いた筋書きに従わないことが嘆かわしいですか?
それを嘆くことにリソースを割いても仕方がないでしょう
可能性を拒絶し、運命を裏切っているのは彼女ではなく、あなた
あなたが目を背けた未来の一欠片をここに見せましょう
嫁入り道具に眠る記憶に触れ【運命の不調和】を行使します
腹を割って話すべきだ。その為に、臓腑を晒すなど莫迦げている。
濃霧の最中に見出したのは――晴れぬと謂うのに――二度と戻らぬ情念の種であった。変質し、反転し、脳髄へと埋め込まれた苗の所以については、愈々、取り返しのつかない悪夢となって現実とやらを侵蝕するのか。誰とも分かち合えないその失意が、その絶望が、あなたを作るのです。たとえ、プラスへと向かう機会がなくとも、それらを抱えて前進する覚悟が、未来を……何もかもを築くのです。神のような、悪魔のような言動だが、星越・イサも花嫁とおんなじ種族であった。ええ、覚悟を決めた人類はいつだって美しい。美しくて、何よりも、誇らしい……ふふ……久々に見た気がします。確信すべきは人の思い、溢れんばかりの混沌こそが最も愛おしいのではないか。……私達はもはや脇役であり観測者。語りもほどほどに……蛇足をせず、お暇しましょう。紅涙さん? 人間は自由だ。人類は何処までも自由だ。では、嫁入り道具は――付喪神紛いは如何に。『私』は……お互い、譲れないものだと、思うのだ。赫々とした霧が場を満たす。ふむ……認められませんか。
彼女の決意が、自由な意思が、自分が思い描いた筋書きに従わないことが、嘆かわしいですか……? いいや、違う。嫁入り道具なのだから、花嫁の『やりたいこと』にこそ、道具は従うべきなのだ。これは王権執行者として選ばれ、簒奪者として振る舞う為の、ある種の枷だったのかもしれない。……『私』は……如何して、嘆いているのだ。そもそも、これは『嘆き』の思いなのか。随分と、自分を見失っているようです。それを嘆くことにリソースを割いても仕方がないでしょう。可能性を拒絶し、運命を裏切り、自分を殺しているのは彼女ではなく、あなた。あなたが目を逸らした……背けた、未来の一欠片をここに見せましょう。腹立たしいほどに正論だ。正しいものにこそ蓋をしなければならない。たとえ、未曾有なまでに、盲目と成り果てたとしても。
塵も積もれば山となる。
カラカラと、カラカラと、無価値な情報の波。
――ぴしりと、貌が罅入った。
🔵🔵🔴 成功

うぅ……あ、赤ちゃん? から、音が……。
変だ、こんなのおかしい……おかしい……。
アッ、ヒィ……さ、簒奪者……!! これが、復讐を代行するっていう……。
恨みで、復讐するなんて……よくない……と、思うのは——俺が当事者じゃないから、ですよね。
こんなことになったら、復讐するのも仕方ない……の、カモ……?
でも、アナタが簒奪者なので止めます——理由はそれだけ、です。正しいとか、正しくないとかは、俺にはわかんないので……。
……つ、強そう、だけど……倒さないと。少しくらい痛いのは、我慢してでも。
たこすけ、ちゃんと守ってよね。俺が、死なないように。俺が死んだら、兄ちゃんが困るんだから。
ぼこぼこと、ぶくぶくと、泡を吹いているのは赤子なのか、或いは、八手・真人なのか。兎にも角にも赤子こそが幻想で、本物の赤子は最早、肚にすらも残されていない。うぅ……あ、赤ちゃん? から、音が……。変だ、こんなのおかしい……おかしい……? 何が一番奇怪なのかと問われたならば、成程、タコマンマ、情け容赦なくプチプチさせるかの如くに。柔らかかった。柔らかくて、何よりも珍味だった。びちびち、びちびち、頭の中で、依代としてのお役目を反芻してくれ――アッ……ヒィ……。小さな、小さな悲鳴の原因は赤子なのか。否、不意を打たれた蛙のように竦んでしまった所以は、そう、嫁入り道具の血の涙であった。さ、簒奪者……! これが……復讐を代行するっていう……。月並みな感想なのかもしれないが、ありきたりな返答なのかもしれないが、だからこそ、人間性と謂うものがハッキリと現れる。恨みで、復讐するなんて……よくない……と、思うのは――俺が当事者じゃないから、ですよね。その通りではないかオマエ。仮に、犠牲になったのがオマエの『兄』だったら如何なのか。きっと正気ではいられない。
こんなことになったら復讐するのも仕方ない。赤子を喰われてしまったのだから、報復するのも仕方ない。ほんのり、不安な部分もあるのだが、しかし、それでも、止めなければならない所以は此方にもある。……アナタが、簒奪者であることは、王権執行者であることは、変わらないので……止めます。理由は、それだけ。正しいとか、正しくないとかは、俺にはわかんないので……。結局のところ不倶戴天に意味などなく、其処に仇の字が有ろうと無かろうと、世の理からは逸脱できない。流れ出てきた怨嗟は尽きる事なく、地獄の釜の底めいて、悲運、長きに渡り蔓延させたいのか。……つ、強そう……だけど、倒さないと。少しくらい痛いのは、我慢してでも……。困った時の神頼みだ。神に願って、神に縋って、その、触腕とやらに身を絡ませてやると宜しい。たこすけ、ちゃんと守ってよね。俺が、死なないように。俺が死んだら……兄ちゃんが、困るんだから。蠢く触腕、ぶつ切りにされたとしても構わない。再生し、伸縮し、罰当たりな輩へと叩きつけてやると良い。
しかし、嗚呼、本当に、神を煽るのが上手なのではなかろうか。
……花嫁よ、自分でやりたいのだな。
ならば『私』も手段を選んではいられない。
――そこの神に倣うとしよう。
🔵🔵🔴 成功
第3章 ボス戦 『三途海の戦巫女『乙霧』』

POW
悪役万歳
あらかじめ、数日前から「【同時多発大火災】作戦」を実行しておく。それにより、何らかの因果関係により、視界内の敵1体の行動を一度だけ必ず失敗させる。
あらかじめ、数日前から「【同時多発大火災】作戦」を実行しておく。それにより、何らかの因果関係により、視界内の敵1体の行動を一度だけ必ず失敗させる。
SPD
神降ろし
【八匹の大蛇の髪】による高命中率の近接攻撃を行う。攻撃後に「片目・片腕・片脚・腹部・背中・皮膚」のうち一部位を破壊すれば、即座に再行動できる。
【八匹の大蛇の髪】による高命中率の近接攻撃を行う。攻撃後に「片目・片腕・片脚・腹部・背中・皮膚」のうち一部位を破壊すれば、即座に再行動できる。
WIZ
冥府魔道
【神話「黄泉平坂」】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【黄泉の国の軍団】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
【神話「黄泉平坂」】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【黄泉の国の軍団】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
倒せばいい。倒せばいいのだ。
倒しさえすれば問題なく、花嫁の意識は戻ってくる。
その時こそが、手を汚す最大の機会なのだろう。
賽の河原など――子供に石を積ませるなど――それこそ、度し難い沙汰ではなかろうか。煮え滾る釜へと放り込まれた|我が子《●●●》の思いは、いったい、どのようにして晴らすべきなのか。成程、確かに。忌々しいほどに純粋な、わんぱく|旦那《やろう》を葬ればスッキリするのかもしれない。しかし、ダメだ。その程度の『目には目を歯には歯を』では一切を晴らす事など出来ない。いや、この情念とやらは、もしかしたら、先程の|王権執行者《かのじょ》の思いも受け継いでいるのかもしれない。くらりと、憤死でもしたのかと、疑ってしまうほどの、花嫁の卒倒――そうして、三途海と繋がった。
それは怨嗟の化身であった。それは情念の具現であった。それは|星詠み《●●●》の力を有する、戦巫女の霊体であった。それは『ありとあらゆる種族の子供達』を愛しており、子供達の為ならば『ありとあらゆる悪を許容し執行する』ものであった。|大瓢箪《三途海》を背負い、六道へと誘う姿形はまさに|覚悟《●●》と謂えよう。
世界は子供達の為にある。子供達が愛されない世界など、殺してしまえばいい。火と硫黄、黄泉の国の軍団、混沌とした有り様なのかもしれないが、清濁を呑み尽くしてこそ――復讐というものは成立する。あの子をいますぐ返してください。
返せないと謂うのならば――いますぐ、死んでくれますか?

ふぁ……
他者を慮り行動を起こすことは、素晴らしいことですね……
ええ、エゴではありますが、それを悪いとは言わないのです……
ただ、そのエゴは相手がどう思っているか、あなたが救おうとする存在がどう思うかにもよって、様々変わることでしょう……
殺してしまえば、それ以降の復讐は果たしてどうなるのでしょうか?
永遠にも等しい時間、地獄の責苦を与える方が、より長く、怨みを晴らせると、僕は思いますけど……
さて、問答はここまで……
駆け抜けるは、時の夢……
能力値、技能値を底上げして持久戦
カダスにも手伝ってもらいつつ霊力攻撃、焼却主体に
各種耐性や抵抗を上げつつ攻撃を繰り返しましょう
これはもう、エゴのぶつかり合いなので
毒を以て毒を制す、噛まれたとしても芯には届かなかった。
花嫁の思いも――王権執行者の思いも――未曾有、全ての情念を接ぎ木するかの如くに、戦巫女は悪を背負った。背負ってほしいは言わずもがな、背負ってほしくない『思い』まで、一切合切を六道へと誘ったのだ。強欲であれ、傲慢であれ、何であれ――この、濃霧の内側では皆々同じか。ふぁ……。地獄の底の底、底無しの情念を前にしてもその|欠伸《たいど》。腹を立てるべきなのか、頭を抱えるべきなのか、仮に、本体だったとしても、三途海の彼方にて悩ましく棒立ちだ。他者を慮り、行動を起こすことは、素晴らしいことですね……ええ、エゴではありますが、それを『悪い』とは、口が裂けても言えないのです……。夢が現にちょっかいをかけるなと、夢が現に干渉するなと、威勢よく罵倒されたかのような感覚だ。ただ……そのエゴは、相手がどう思っているのか、あなたが救おうとする存在がどう思うかにもよって、様々変わることでしょう……。見ないふりをするのが、見ていないふりをするのが、随分と上手な瞼ではないか。ぎりりと、噛んでやったのは苦虫か、或いは唇か。……お前は……お前は……これが、問答できる『もの』ではないと、知っているのではなかったか? その通りです。殺してしまえば、それ以降の復讐は果たしてどうなるのでしょうか? 永遠にも等しい時間、地獄の責苦を与える方が、より長く、怨みを晴らせると、僕は思いますけど……。だまれ、だまれ、お前がそのような事を口にするな。お前のような|舞台装置《●●●●》が……悪役にすらもなれない奴が……! 口腔に広がったのは鉄のような味わい。まるで、絶対に眠ってやらないと、意地とやらを叩きつけるかの如くに。
八岐大蛇が憤慨した。
さて、問答はここまで……駆け抜けるは……。
阿鼻叫喚の沙汰であろうと、八寒地獄の吐息であろうと、真に、戦巫女を滅ぼす事はできない。殴られようと、燃やされようと、憑かれようと、後退の二文字は死んでいる。これはもう、エゴのぶつかり合いなので……。そうか、そうなのか? お前にエゴがあるとは、自我があるとは、驚きだ……! 滅ぼす事が不可能であれば、さっさと、削り尽くしてやると良い。世界の歪みに触れたのがひとつの失態だったと謂えよう。
沈黙させるのは容易だった。
🔵🔵🔴 成功

アドリブ歓迎。
なるほど、なるほど、そう来るわけね。
うん、うん、分かる、分かる、愛しいもののためならなんだってできるわよね。
───じゃあ|義妹《サーシャ》のためにぶっ飛ばされてちょうだい。
√能力を使用してチャージしながら高速でボコられる。
相手が破壊する自己部位がなくなった所でチャージ終了し限界まで
強化した|灼熱の吐息《サラマンドラ・バーン》で復讐心から何から全部焼き尽くして上げる。
ああ、痛い痛い、死んじゃうかも。
まぁ安いもんだわ、アタシの命なんて、生き返るし。
度の過ぎた復讐なんてやり返されるもんなんだから
この程度で満足しておいてちょうだい。
燃え盛る肉の塊よ、それが誰なのかを教えてくれ。
中途半端だからダメなのだ。
竜頭蛇尾な有り様だと――蛇足も蛇足な始末だと――世界に嗤われているのかもしれない。されど、花嫁の思いと|王権執行者《おんな》の思い、ふたつの重みを背負っているのだ。具現化された霊魂は……霊体は、星を詠んでいるかの如くに、キッとオマエを睨んでみせた。なるほど、なるほど、そう来るわけね。さっきの紛い物よりかは『マシ』かもしんないけど、結局のところ、アンタも似たようなもんじゃないの。まあ、でも、うん。分かる、分かる。愛しいものの為ならなんだってできるわよね。出来ない、不可能、そんなナンセンスな言の葉で飾ろうとしたって無駄なのだ。地獄に導など無いのだから、自力で、殺すべき者を連れていくしかない。じゃあ――|義妹《サーシャ》のために、ぶっ飛ばされてちょうだい。戦巫女はオマエの『目』を知った。たとえ、曲がりに曲がっていたとしても、反転して、まっすぐに思えるのだから脱帽ものか。お前……お前なら、私の思いの全てを、ぶつけるに値するかもしれない。はん! 首が幾つあってもアタシを食い殺せはしないわよ。ペラペラ喋ってる暇があんなら、かかって来いっての。
八岐大蛇の咆哮が――降ろした神の暴虐が――無防備な竜の肉とやらを味わった。喰らっていく。喰らっていく。喰らえば喰らってやるほどに、|戦巫女《それ》の部位まで壊れていく。……上等な娘だ。お前が、子供を作る事など、万に一つもないのかもしれないが、もしもの事を考えるなら……生かしてやるのも悪くない。……何? 土下座でもしてくれるっていうの? アンタ、アタシのこと何にも知らないクセに? 違うわね。アンタは、自分のことも知らないのよ、わかる? わからない。わかっている事など何一つない。誰も彼もが盲目で、無知で、だからこそ、無我夢中になれるのだ。
ああ、痛い痛い、きっと、痛くて死んじゃうかも。
蛇の丸焼きなど喰えたものではない。犬もきっと食わないのだから、炭にするしか道がない。皮も肉も骨も復讐心も、何から何まで全部、全部、焼き尽くしてやるのが葬送だ。まぁ、安いもんだわ。アンタの命もアタシの命も……生き返るし。
度の過ぎた復讐なんてやり返されるもんなんだから、この程度で……? アーシャ・ヴァリアント、ドラゴンプロトコル、何か、大切な事を忘れてはいないか。……この程度で、満足しておいてちょうだい。獣の数字は幾つだった?
🔵🔵🔴 成功

アドリブ・アレンジ・連携歓迎。
心情
…別に…何も感じない。
…確かに、悲しい…寂しい…会いたい…とは、思う。
…けど、それ以上は…ない。
…僕が、|何故か《・・・》…その先の、想いを…理解できない…から…。
…同じ星読みでも…僕は、助けることしか…助力しか、出来ないけど…貴女様はこの恨みを?
…貴女様を、倒せば…花嫁様は、満足されるの…でしょうか?
…きっと…一生、降ろせない…重荷を背負うの…でしょうね。
行動
√能力で必中に。
前とあまり変わらない気がしますが、近距離で|ファイヤースターター《殴り合い》です。
回復は、インビシブル融合と生命力吸収を併用。
当たるの前提ですから、ジャストガードに受け流しも使用します。
すれ違いの権化とでも謂うべきか。
|魔王《ダイモーン=スルタン》の隣で寝転がるといい。
正体不明の情念が――渾沌とした回転が――脳味噌を埋め尽くしたところで、一切合切、ムカムカするほどの入れ替えか。取り替え仔も吃驚な有り様で、最早、食屍鬼すらも溜息を吐く冒涜さか。粘ついていたとしても、こびりついていたとしても、悉く、浄化をされてしまっては憤怒の欠片も失せていく。……別に……何も感じない……? 確かに……悲しい、寂しい……会いたい……とは、思う。……けど……。屏風に描かれているのは虎なのか、虚無なのか。そもそも、屏風など存在すらもしていないのではないか。……僕が、何故か……その先の、思いを……想いを、理解できない……から……? 戦巫女は沈黙している。いや、きっと|それ《●●》は抑え込んでいるだけだ。抑制し、我慢し、四之宮・榴の一言一言を塵のように、石のように扱っている程度なのだ。……同じ星詠みでも……僕は、助けることしか……助力しか、出来ないけど……貴女様は、この|怨み《●●》を……? 倒せば万事解決だ。ただし、その解決とは『花嫁が旦那を殺せる』以外にない。花嫁が、花嫁として、復讐を遂げる、それにしか続かない。貴女様を……倒せば……花嫁様は……? お前……なあ、お前。何か、筆舌に尽くし難い勘違いをしていないか? 私はな、花嫁の思いの怪物であると同時に、|王権執行者《あいつ》の思いなんだ。お前……いったい、何処を見て、何を伝えようとしている。……僕には、わかりません。わかりませんが……花嫁様は、きっと、一生、降ろせない重荷を背負うの……でしょうね。戦巫女はいよいよ大罪だ。憤死するよりも前に『やる』と、修羅をしたのだ。
お前な……ふざけんなよ?
理由は不明だ。不明だが――それこそ、渾沌だが――冥府魔道、黄泉の国の軍団が星空の下に集結した。まるで、ワイルドハントが如くに槍衾、前へ前へと歩んでいく。それを受け止めようとしたのは――ああ、古き歌の通りなのか。……貴女様は、どうして、そのような顔を……。不可思議だと宣いながらも肉薄するオマエ。最早、何方が霊体なのかも解せない儘に。私は、お前のような奴が、この世で一番嫌いなんだよ。
知らない記憶を増やしてやれ、何方の頭が割れたのか。
🔵🔵🔴 成功

亡くなった生命は返せませんが
八つ当たりはいわゆる一種のバタフライ・エフェクト
即ち混沌。私は予測不能性を愛しますから
甘んじて受け入れましょう
でもひとつだけ聞かせてください
未来に生まれる子どもも愛してますか?
その前途のために|悪《狂気》を受け入れるものならば
きっと私たちは同じ側の存在。そうですよね?
一緒に無限の可能性を愛でましょう
かつて愛されなかった子に妄執し
未来の世界を閉ざそうとしているならば
私とあなたは真逆の存在です
無限の可能性に押しつぶされるが相応しい
対話するにせよ対立するにせよ
私が用いるのは【運命の不調和】
無数の『もしも』の情報をでたらめに生み出して送りこみます
矛盾していたとしても、滅茶苦茶だったとしても。
母は強く、蛇のように林檎を擂り潰すのか。
我を忘れた不可視の沙汰に――意識の欠片も無いインビジブルに――何を贈るべきなのか。不可思議な粉末とやらを、奇天烈な粉塵とやらを、文字通りに、爆発的に流行らせてやるのも正しいのかもしれない。……亡くなった生命は返せませんが、八つ当たりはいわゆる一種のバタフライ・エフェクト。即ち混沌、まさしく無秩序。私は……私達は予測不能性を愛しますから、甘んじて受け入れましょう。私であれ『私』であれ、花嫁であれ王権執行者であれ、人のような思いに振り回されているのだから、愈々以て、如何しようもないのか。でも……ひとつだけ。ひとつだけ、聞かせてください。未来に生まれる子供も愛していますか? ざわついたのは世界だろうか、もしくは、三途海単体だったのだろうか。兎も角、質問をされたのだ。素早く「その通りだ」と答えてやると宜しい。……即答ですか。その前途のために|悪《狂気》を受け入れるものならば、きっと、私と貴女は同じ存在。そうですよね? 何を宣うのかと思えば随分と突拍子もない。いや、きっと、√能力者にとっては、ティーカップの座席のように、当たり前の如くに回っている思考か。一緒に無限の可能性を愛でましょう。一緒に、未知の全てに身投げをしましょう。成程、お前、私は『お前』の僅かだけだが、わかるのかもしれない。私は、身を投げるならば大人であるべきだと思っているのだ。すれ違っているのか、激突しているのか、何方にしても神は降りてくる。
かつて愛されなかった子に妄執し、未来の世界を閉ざそうとするならば、私と貴女は真逆の存在です。ええ、これは、一応の答え合わせなのかもしれませんが。無限の可能性に押し潰されるが相応しい……。お前……一瞬でも、理解を肯定した私が、愚かだったのか? いや、違うな。お前、その、可能性とやらを……何処まで見せようとしているんだ? 無数の『もしも』だ。無数の『もしも』が波のように――羊水の如く。
良いだろう。お前の『それ』、私が全部、愛でてやろうではないか。
素敵です。まさか、こんな人に出会えるなんて。
🔵🔵🔵 大成功

う、ワワ……し、しらない、人? だ……。
でも、む、無害そうなヒト、ではないし……。
は、『花嫁さん』を、返してもらうには——倒すしか、ない、のカナ。
……アナタを倒しても、『花嫁さん』は浮かばれないし……あ、赤ちゃんも、戻ってはこないし……悪い人も罰は受けない、ケド。
俺は、死ぬわけにはいかないし……覚悟なら、俺にだってある。……やることは、『神頼み』だけど。
——ウネウネ、ズルズルと背から這い出る触腕。
頼んだ依代を飲み込んで、頼まれた蛸神様のお出まし。
其方が神を降ろすならば、此方も直々に出向いてやろう。
どちらが より『神様』か。どちらが優れた『八』か、思い知らせてやらねばなるまい。
じっと、じっと、見つめてやれ。
泡を吹いている巫女の面を、穴が開くほど見続けてやれ。
無尽蔵たる|三途海《エネルギー》を背負いつつも、戦巫女、語り尽くした後に出会ったのは依代である。八手・真人の内側に『なに』が潜んでいるのかを刹那の内に予想したところで、ふと、思う。まるで、神に庇護されている子供のようだと。まるで、箱入りにされ続けた息子のようだと。お前……その、貌は……まさに……。顰めていた面が若干緩んだのは気の所為であろうか。う、ウワ……し、しらない、人? だ……で、でも、無害そうなヒト、ではないし……。あ、あの……花嫁さんを……起こして、くれたら……嬉しいな、って……。残念だが……私を倒さない限り、彼女は目覚めない。もしくは、私が『旦那』を殺したなら、起きてくれるかもしれんが……。結局のところ、この物語にハッピーエンドは赦されない。せめて、花嫁の手で終わらせてやらねば報われないか。……アナタを倒しても、花嫁さんは浮かばれないし……あ、赤ちゃんも、戻ってこないし……悪い人も、罰|は《●》受けない、ケド。俺は、死ぬわけにはいかないし……それに……生き抜く覚悟なら、俺にだってある。そうか……お前は、成長している、最中なんだな。なら、その証として、私を倒してみせると良い。そ、そうですね……? やることは『神頼み』だけど……。神を憑かせているのだ。神を降ろしているだけの輩に、易々と、命を盗られるつもりはない。
ウネウネ、ズルズル――無気味さを孕んだ|音《それ》の正体。依代の背中から這い出てきたのは触腕だ。お前が……『神』か。私が、お前を信仰する事はないだろうが、一応、敬意を以て戦う事だけは、誓おう。中々に殊勝な巫女ではなかろうか。他の神を降ろしている事を抜きにして、嗚呼、蛸神様が『倒す』相手に相応しい。直々に出向いてやったのだ。どちらがより『神様』か。どちらが優れた『八』か、理解させてやらねばなるまい。締め付け対決は蛸神様の圧勝だ。何故ならば此方の命、猫のように気紛れだった。食事が咽喉を通らない。酸素だって同じこと。
🔵🔵🔴 成功

たしかにね、子供たちは可哀想
たった1つしかない浮かばれない命の無念とか、色んな思いを晴らすために
そーいう暴力沙汰に出る気持ちも分かるんだ
でもあたしはちゃんとあんたの存在を抹消しなきゃいけない
人として――いや、もう人じゃないんだろうけど
とにかく、生物としてあんたはやっちゃあいけないことをしたんだから
その責任は命でつぐなってもらおうか
復讐のために、殺す。殺された人は、また復讐に走る。
そーやって負の連鎖が続いてくなら、どこかで断ち切んなきゃね
催眠効果と、当たっても弱くない攻撃でじわじわ優しく攻撃するよ
最後に恨まれても嫌だもん
命を奪ったぶん惨たらしく、と思ったけど
子供たちの味方ではあったなら、優しくね
坂道を転がっていくのは何者か。
黄泉の色の真実、嗚呼、母子並んで見るといい。
混沌――矛を近づけたのであれば――ぐるぐる、ぐるぐる、千日ほど寝かせてやるのが良識か。眩暈か頭痛か、わからぬ儘に、咽喉を焼いていくサマは文字通りにやけ酒。いいや、今はしっかり、素面をしている。素面をしながら狂気と対面し、堂々と、言の葉とやらを紡いでいく。たしかにね、子供たちは可哀想。たったひとつしかない浮かばれない命の無念とか、色んな思いを晴らすために、情念を抱えながら、そーいう暴力沙汰に出る気持ちも分かるんだ。……そうか。わかってくれるのか。しかし、私とお前では『住んでいるところ』が違うのだろう? 羽衣を気合で浮かせてやるかのような『こびりつき』だ。たとえ、修羅だけが道なのだとしても、戦巫女は止まれない。そう、あたしはちゃんとあんたの存在を抹消しなきゃいけない。人として――いや、もう、人じゃないんだろうけど。人ではない? 確かに私は人でなしだ。なあ、だけどよ、私を倒せば花嫁の意識は戻ってくるんだ。元々、そういう話ではなかったのか。元々、この話は旦那を仕留めるだけで十分ではなかったのか。……とにかく、あんたはやっちゃあいけないことをしたんだから、その責任は|霊魂《いのち》でつぐなってもらおうか。復讐のために、殺す。殺された人は、また復讐に走る。そーやって負の連鎖が、修羅が、続いていくなら……どこかで断ち切んなきゃね。途絶えたところで何時かは戻ってくる。ならば、戻ってきたところを両断してやるのが正解か。正解も何もないっての。そのくらい、あたしにだって理解はできる。
まるで万華鏡だ。万華鏡のど真ん中へと、背中を押されたのかと疑ってしまうほど。最後に恨まれても嫌だもん。惨たらしく、なんて、一度は思ったけど。ほら、子供たちの味方であったなら――優しく、ね。くらり、戦巫女の身体が揺り籠のように斃れていく。鼻腔を擽った鱗粉の効果は絶大らしく――巻物ひとつ、残してやるのも慈しみか。
あの子は絶対に返ってこない。
返ってこないと知りつつも、この胡蝶だけは逃さない。
🔵🔵🔴 成功