信念の槍
「やけにほこりを被った槍だね。あんた、これを一体どこで手に入れた? あたしは出所は聞かないけどね。また面倒なものを持ってきたもんだね」
路地裏の露店の前だった。この近くにはダンジョンがいくつもある。山間の町にはこれといった産業もない。そんなわけで駅前にはダンジョンで見つかったものを売る怪しげな露天が並ぶことになった。拾いものもあればとんでもない代物まで売っている。顔に傷がある中年の男が持ってきたのは明らかに後者だった。店主の老婆は呆れながら言う。
「まったく、懲りない男だねぇ。お前さんの目は節穴だよ。見る目がない。天使の涙の偽物で懲りておけば良かったんだ」
「今度は本物だ。地割れで開いた秘密の通路の奥にあったんだ。ビリビリするくらいの凄い魔力だぜ」
傷のある男はかき集めてきた戦利品を露天のテーブルの上に並べて言う。
「どうしてあの場所が閉じられていたのか、お前さんにはわからなかったのかい? 封じ込めてあったんだよ。こいつらはみんな呪いの品さ。力は強いが持ち主を不幸にする。高くは買えないね」
「この前の、√能力者ってヤツらなら使えるんじゃないか? 腕も立つみたいだしよ。このくらいの呪いなんて気にしないだろう?」
男が食い下がると老婆は面倒くさそうに言う。
「確かに目が利く客だったけどね。そう都合良くやってくるわけじゃない。あたしだって危険なんだ。何かを引き寄せる事もあるだろうさ。だからこれくらいだね。嫌だったらその√能力者とやらに自分で売りに行きな」
「はああ、これじゃまた大損だ」
男は代金を受け取るとがっくりながら去って行った。
「価値がわかっていないのはお主の方ではないかな、ベルカ」
どこからともなく声がする。
「ふん、信念故に身を滅ぼすもの、ルガルドが何を言うんだい。あたしの生き方とは真逆だよ」
露天商、ベルカは槍に向かって話しかけた。
「『見通す者』の名が廃るぞ。なに、問題はない。すぐに我を求める者が来る。我は運命を引き寄せるからな」
槍、ルガルドがしゃべる。
「昔の話さ。それにね、それがすでに呪いさ。ほら、誰か来るようだよ」
「外星体からの刺客『サイコブレイド』がAnkerを狙う事件が起きているの。みんなには狙われたAnkerを守ってほしいんだ」
集まった√能力者達を前に、ソーダ・イツキ(今はなき未来から・h07768)が話し始めた。
「今回狙われるのは『ルガルドの槍』って呼ばれている知性がある武器だね。ルガルドの槍は使う者の信念の強さに応じて鋭くなるって言われている魔法の槍なんだ。槍の人格はひねくれていて皮肉屋だけど面倒見はいいらしい。持ち主として認められればその力を貸してくれるそうだよ。まだ槍に使用者として認められている者はいないみたいだから気に入ったら槍の持ち主になることもできるんじゃないかな」
イツキは興味深そうな顔をして言う。
「話せる道具かあ、ちょっと楽しそうだよね。ルガルドの槍は√ドラゴンファンタジーのとある山間の町にあるらしいよ。その町の駅前にあるおばあさんがやっている露店にあるらしい。まずはその露店に行って敵が来るのを待ってほしい。露店には変わったものや価値があるものが色々あるみたいだからのぞいてみるのもいいかもね。ただ、店主のおばあさんがくせ者みたいだから上手くやる必要があるかもしれないかな。おばあさんに認めてもらえたらとっておきの道具を売ってくれるんだって。ちょっとドキドキするよね。と言うわけでよろしくね」
イツキはそう言うと√能力者達を送り出した。
マスターより
九野誠司こんにちは、九野誠司(くの・せいじ)です。
外星体からの刺客、サイコブレイドがAnker候補を狙っているようです。みなさんにはAnker候補の護衛をお願いします。
今回のAnker候補は『ルガルドの槍』と言うインテリジェンスウェポンです。ひねくれている上に皮肉屋の彼ですが面倒見が良い性格です。話しかければ文句を言いながらも真面目に答えてくれるでしょう。
もし希望する方がいれば『ルガルドの槍』をAnkerとして配布いたします。配布希望の場合はプレイングにその旨を記載してください。配布希望の記載はこのシナリオのプレイングでしたらどの章のプレイングでも大丈夫です。
※配布希望者がいる場合は第3章のリプレイの最後に配布者を記載します。
プレイングの受付は「プレイング受付中」のタグでお知らせします。みなさまらしいプレイングを是非送っていただけますと幸いです。
それではよろしくお願いします。
47
第1章 日常 『魔法露天商』
POW
気になったアイテムを色々買い込む
SPD
露天商と交渉し、安くいいアイテムを手に入れる
WIZ
自分も露店を出し、冒険で得たアイテムを売る
空地・海人※変身ベルト(h06741)と行動。呼び方は「相棒」。
店の前で張ってれば、いずれサイコブレイドに遭遇しそうだけど、折角来たんだ露店の商品も見ていこう。何か掘り出し物もありそうだ。…それに、相棒も同じインテリジェンスウェポンだし、『ルガルドの槍』と話したいこととかあるかもしれないしな。
……流石√ドラゴンファンタジー…√EDENじゃ見かけない商品が多い。写真撮りたくなるけど、怪しまれるから我慢だ我慢……。
槍が並んでるのは……あの辺か。どれがルガルドか分からないな。ちょっとそれとなく聞いてみるか。
おばあさん、何かおすすめの槍とかないですか?
“喋る槍”みたいな掘り出し物があったら嬉しいなー…なんて。
※空地・海人(h00953)と行動。呼び方は「カイト」。
同じインテリジェンスウェポンと話せる機会はそう多くないし、『ルガルド』に念話で話かけてみよう。カイトや周囲には聞こえないから、変身ベルトとしてじゃない|素の口調《「私」ではなく「ボク」》でね。
ルガルド、君のことをいろいろ聞きたいんだ。これまでの人生……いや、槍生や、どんな気持ちで使用者を待ってきたのか、とか。今後のボクの生き方の参考にしたい。
……それから、もしよければボクとインテリジェンスウェポン友達……略して“イン友”になってくれないかな。ちなみに君で二人目のイン友だよ。(※他のシナリオでもインテリジェンスウェポンの友達を作ったため)
秋晴れの空が眩しい。駅前の一角には今となっては珍しい露店が軒を並べている。山間にある事もあってこのあたりにダンジョンは多い。ダンジョンで富をなしたものもいればその後で身を崩したものもいた。そんな誰が管理しているかわからないダンジョンに潜るものが後を絶たないのだ。柄の悪い冒険者が集えばそいつらを相手にする商売人も集まる。町の片隅に怪しげな区画ができるまでそう時間はかからなかっただろう。
「店の前で張ってれば、いずれサイコブレイドに遭遇しそうだけど、折角来たんだ露店の商品も見ていこう。何か掘り出し物もありそうだ」
空地・海人(フィルム・アクセプター ポライズ・h00953)は露店が並ぶ小路を歩いていた。武器はどうだい? とっておきのお守りがあるよ? と、賑やかに声をかけられる。
「……流石√ドラゴンファンタジー…。√EDENじゃ見かけない商品が多い。写真撮りたくなるけど、怪しまれるから我慢だ我慢……」
写真を撮ることが生きがいの海人だ。気になるものがあればフィルムに収めたくなる。だがそれは事件を解決してからでもできること、今は目当てのものを見つけることが大事だ。
「相棒も同じインテリジェンスウェポンだし、『ルガルドの槍』と話したいこととかあるかもしれないしな」
「同じインテリジェンスウェポンと話せる機会はそう多くないしな」
海人の相棒、変身ベルト・フォトシューティングバックル(空地・海人のAnkerの変身ベルト・h06741)が言う。気を引く魔法のアイテムに目を奪われながらも海人は目当ての店の前にたどり着いた。
(槍が並んでるのは……あの辺か。どれがルガルドか分からないな。ちょっとそれとなく聞いてみるか)
そう思い店主の老婆に声をかける。
「おばあさん、何かおすすめの槍とかないですか? “喋る槍”みたいな掘り出し物があったら嬉しいなー…なんて」
老婆が一瞬苦い顔をした気がする。それでも営業用の顔を作って海人に話す。
「しゃべる武器ね。あんた、物好きだね。武器にも力がある、使うものを選ぶということさ」
老婆はじろりと海人を眺める。しばらく品定めするようにしてからため息をついた。
「なるほどね。あたしにとっちゃいい話だね。あんたにとってはどうかは知らないがね、ルガルド」
老婆が振り返ると店の奥に飾ってある槍が話し始める。
「我は信じるもののために戦う者の力になれるなら異存はない」
ルガルドの槍は海人を見定めるように気を放つ。
「ルガルド、君のことをいろいろ聞きたいんだ。これまでの人生……いや、槍生や、どんな気持ちで使用者を待ってきたのか、とか。今後のボクの生き方の参考にしたい」
その様子を見て変身ベルトがルガルドに念話で語りかけた。
「ほう、珍しい存在だな。そこの男に力を貸していると言うことか。良い主に恵まれたな、お主らの縁の強さを感じる。我を使ったものか、夢を追い求めた者達だ。槍のように、な。道具とは使うものがあってこそ、使うものの願いに沿ってこそ。我は決意をこそと問えど、持つ者の技量には目をくれぬ。それ故、信念に準じて死ぬ者の槍と言われるようになったが、そんなことはたいしたことではない。我を打った者、はじめに我を使った者の意志を継ぐことこそ我の生きる意味」
ルガルドは自らを手に取った者を思い出すかのような優しい口調で言う。
「そうか、君はそうしてここまで来たのだね。……それから、もしよければボクとインテリジェンスウェポン友達……略して“イン友”になってくれないかな。ちなみに君で二人目のイン友だよ」
変身ベルトが言うとルガルドはおもしろそうに笑った。
「良いだろう。お主とは楽しい話ができそうだ」
武器同士のやり取りを知ってか知らずか、老婆が言った。
「ふん。それが危ないって言うのさ。あんたは死なないだろうが持ち主は死ぬことになるだろう?」
「刃が欠け、柄が折れれば我も滅ぶ。我は槍だ、持つ者の願いを叶えるためにある。お主の覚悟が足りぬだけのことだろう。ベルカ」
老婆が面倒そうに言った。
「こんな槍さ。説教臭くて叶わない。ほかにも色々あるんだ。欲しいものがあったら言っておくれ。……そうそう、写真を撮りたいなら好きにしていいよ」
老婆は笑顔に戻ってそう言った。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功
ルクレツィア・サーゲイト【SPD】※アドリブ・連携歓迎
「露店、それは掘り出し物のパラダイス!今日もきっと素敵な出会いが待っている~♪」
そして露天商との熱いバトルもまた露店巡りの醍醐味よね!
とりあえず「敵が来るのを待ってほしい」って事だから、件の露店へ行って品定めから始めましょう。
私とて絵描きとして世界中を巡り、貿易商とも交流がある冒険者の端くれ。モノの目利きには自信があるわ!(技能「野生の勘」「幸運」等)
「へぇ、なかなか良い品を扱ってるわ。どれも一癖二癖ありそうな逸品ばかり!…でも曲者過ぎて取扱いに困ってる…って感じかしら?」
本当に『見通す者』なら、コッチの真意もきっと伝わる。
「そのお悩み、私がお役に立てるかもよ?」
「露店、それは掘り出し物のパラダイス!今日もきっと素敵な出会いが待っている~♪」
ルクレツィア・サーゲイト(世界の果てを描く風の継承者・h01132)は駅を降りると鼻歌交じりに露天の立ち並ぶ一角へと足を運ぶ。あまりの陽気さに露店の店主達は一様にほくそ笑む。今時偽物まがいのものを売りつけるなどネットのサービスくらいのものだろう。だがこの冒険王国では偽物を掴まされた方が悪いとされる。八百屋だって肉屋だって売る方も買う方も冷たい視線が胸の奥にある。
それでもルクレツィアはどこ吹く風だった。
(露天商との熱いバトルもまた露店巡りの醍醐味よね!)
ルクレツィアは冒険者だ、それも絵を描きながら世界中を回るほどの。まずは小手調べとばかりに他の露店に足を運ぶ。一目見るとその価値が手に取るようにわかった。1つ目の店は値段通りの品だがほとんどはガラクタ。2つめは前の店よりも安いが偽物ばかり。通りの正面に面した店はどこも良くない商売をしているようだった。
「ねえちゃん、目端が利くならこの辺じゃダメだよ。ここいらは観光客向けのガラクタしかない。おじさんはお手上げだね。あっちにいっとくれ」
何件目かの店主が笑いながら言った。ここではものの価値がわかるかどうかが人の価値を決めるとも言う物言いだった。ルクレツィアはこの町に認められたようだった。
「へぇ、なかなか良い品を扱ってるわ。どれも一癖二癖ありそうな逸品ばかり!…でも曲者過ぎて取扱いに困ってる…って感じかしら?」
目当ての店にやって来るとルクレツィアは店主らしき老婆に声をかけた。
「なんだい? お嬢ちゃん。良い品ってのはね、持った人間に幸があるものさ。そして、扱うには度量が必要さ。嬢ちゃんはどうかね」
老婆は値踏みするようにルクレツィアを眺める。沈黙がその場を支配する。しばらくして老婆は肯く。
「なにかを『見て』きた目だね。それにその手、記憶を留めるための手だ。……なるほど、目が利くと言うわけかい。あんたが果てに向かうって言うのならうってつけのものがあるよ」
老婆は奥から一本の槍を取り出す。
「ルガルドの槍、槍のように信念を真っ直ぐに貫き通すもののために作られたものさ。だがね、こいつには一つ問題がある。こいつ自身がひねくれ者なのさ」
「言うではないかベルカ。我はルガルド、見ての通り槍だ。自らを貫き通す者のために打たれた。我は心の強さに応じて鋭さを変える。お主はどうかな? 浮かれた娘よ」
ルガルドは退屈そうに鈍い光を放つ、その刃は濁ったなまくらでしかないように見える。
「嘘は言っていないよ。こいつは持ち主の力を引き出す。ただね、運命を引き寄せる。特に戦わなければならない運命をね。乗り越えられない者はなまくらな槍を持って犬死にするだけなのさ。あたしに覚悟なんてものはないからね。この店にあると面倒がやって来るだけなのさ」
老婆がいかにも面倒だと言う顔で言った。
「そのお悩み、私がお役に立てるかもよ?」
「安請け合いすると命を縮めるよ。でもまあ、あんたの目は遠くを見てる。上手くやれるかもね。なら一つ頼まれてくれないかね。この槍を狙って誰かがやって来る。武器として欲しがってるってわけじゃない。こいつが繋ぐ縁を嫌ってのことさ。そいつを倒してくれないかね。うちの品物から好きなものを1つ譲ろう」
老婆はルクレツィアを見つめながらにやりと笑った。そこにはひとかけらの羨望が混じっていた。
「ガラクタ1つで命を賭けろとはずいぶんだな」
「そのガラクタにはあんたも含まれてるってことを忘れるんじゃないよ?」
老婆がやれやれとぼやく。
「当然だな。我の価値がわかるものは少ない。それに我が力を引き出せる者もな」
「ほら、ガラクタじゃないか。いい武器ってのは使う者を育てるもんさ」
老婆がそう言うとルガルドの槍は鈍く光った。
🔵🔵🔵 大成功
第2章 冒険 『ニセモノが多すぎる!』
POW
気合と根気で、地道に本物を探す。
SPD
本物とニセモノの差異、違いを探す。
WIZ
ひらめきと推理で、偽りを見抜く。
√マスクド・ヒーロー 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
「おい! なんだこれは。俺に黙っていたろう。こんなに同じ槍があるなんて聞いてないぞ」
傷のある男が老婆の露店にやって来ると両手に抱えた槍を投げつける。
「見てみろ! あんたに売った槍と一緒だ。寝言をしゃべるところまでな!」
老婆はため息をついた。
「それはお前さんの目が節穴だからさ。で、何しに来た!」
「全部さっきの槍と同じ値段で買い取ってもらうぞ」
男は息巻いた。
「同じ槍ならね。でもこいつらは違う。悪意しかないし、この場にあるものの魔力を吸い尽くす悪食だ。こっちこそ、店の品をダメにされた分の金を払ってもらわないと困るね」
「ええ!? なんてことだ。ダンジョンの前にいた男からただ同然で買ったって言うのに。これじゃ大損じゃないか」
老婆がぼやく。
「あんたの目は節穴なんだ。まずはそれを自覚しな。で、大丈夫かい? ルガルド」
「厳しいな。魔力を吸う鉄でできた槍だ。このままでは我も力を失うだろう。お主同様になまくらになってしまうな」
槍の中からルガルドの声が聞こえる。
「私達と一緒になるだけです。何も怖いことはないですよ」
別の槍が話す。
「やれやれ、この偽物の中から本物を探すしかないね。残りの偽物はそうとわかったらたたき折ればいい。そうすれば魔力を奪う力はなくなるからね」
「世話をかけるな、ベルカ」
「あんたのためじゃないさ。この世界の運命のためだよ。全く、年寄りに面倒なことをさせるんじゃないよ」
老婆はルガルドに嫌みを言った。
「見通す者、らしくなってきたじゃないか」
ルガルドの声にベルカは聞こえないふりをした。
偽物のルガルドの槍がたくさん露店に持ち込まれました。見た目はそっくりでそれぞれにしゃべります。ただ、よくよく観察すれば柄の色が違う、刃の光が違う、形状が微妙に違う、口調が違うなどで見分けることができるでしょう。
偽物は周囲のものの魔力を吸う性質があります。このままでは本物のルガルドの槍は自我を失い何の力もないなまくらな槍になってしまうでしょう。それを止めるためには偽物の歯を折ることです。そうすることで偽物は力を失い、魔力を吸収することができなくなります。
偽物を壊して本物のルガルドの槍を守ってもらえないでしょうか。
【WIZ】アドリブ・連携OK
安物買いの銭失いの典型だな。これに懲りたらアンタ、もう少し慎重になることだ。
(偽物を持ってきた男を一瞥しながらそう言う。偽物の槍をコイツに売った男が、恐らく『サイコブレイド』とやらだろうと当たりを付ける)
取り敢えず、その場にある槍を一本一本手に取って、僅かに魔力を籠めてみる。
(偽物が持ち込まれてから店に来たので見た目で判別がつけられない)
魔力が吸われる感覚があればそれは偽物だ。床に転がして、「チャトヤントスタッフ」の石突を突き下ろして刃を叩き折る。
途中で本物が見つかったら、「黄護のペンダント」を柄の何処かに括り付けて除けておこう。目印兼気休め程度だが護りだ。
空地・海人※アドリブ、連携歓迎
偽物の槍は魔力を吸い尽くすのか……。俺の|相棒《変身ベルト》も魔力で動いてる可能性があるし、この場に居たままだと、もしかしたら同じように自我を失ってしまうかもしれないな……。そんな危険は冒せない。
おばあさん、俺の|相棒《変身ベルト》を持って離れててください。本物のルガルドは俺が必ず見つけ出すんで!
本物を見極めるのは容易じゃないだろうけど、やるしかない。[第六感]で真贋を見極めた後、√能力を発動。指先から放つ念力属性の弾丸で偽物の刃を次々と破壊していこう。
最後に残った一本。これがルガルドだな。
ルクレツィア・サーゲイト【SPD】※アドリブ・連携歓迎
「うわぁ、ちょっとこれは拙い状況?おーいルガルド~、生きてる~?」
私に貰われるまではしっかりしなさいね!
まずは見た目。さっきの店主とのやり取りを思い出す。ルガルドは「鈍い光を放つ」「ガラクタ」「なまくら」に見える位だった。…そう、こんなに金ピカ艶々に光ってない!(廃棄~
次に知性。少しの間の会話だけでも本物は相当な「ひねくれ者」だった。ならば…。
「ねぇ貴方達、私と一緒に世界を旅してみたい?」
本物なら「浮かれた娘と一緒とは何とも不安だな…」とか言うはず。積極的に選ばせようとする奴らはアウト~(ベキベキ
最後は直感。本当に運命が繋がるのなら、この手で手繰り寄せてみせるわ!
「やれやれだよ。道楽だけでやってる店だったらこの槍を全部叩き折れば済む話なんだがね」
「ほこりを被ってるだけか? それともその奥に光を忍ばせているのか? 我に言わせれば出し惜しみしているだけだな」
ルガルトがぼやく。
「余計な力を使ってるんじゃないよ。しょうがないね。このままじゃ店のものもダメになるからね。あんた達、偽物の処分を手伝ってくれたら何か一つ魔法のアイテムをやろうじゃないか」
老婆が言うと傷のある男が笑う。
「おお! 太っ腹だな。俺が全部たたき壊してやる!」
「お前さんが持ってきたんだろ? お前さんはダメだね。ダメになった道具の分は耳をそろえて弁償してもらうよ」
「ガラクタばかりだって言っただろうに!」
男が抗議する。
「魔法のかかったガラクタね。お前さん、そんな物があるって本当に思うのかい?」
老婆はぴしゃりと言った。
「安物買いの銭失いの典型だな。これに懲りたらアンタ、もう少し慎重になることだ」
キアル・スアールカ(真実を追い求める者・h07946)は男を一瞥しながら言う。
(偽物の槍をコイツに売った男が、恐らく『サイコブレイド』とやらだろう)
キアルは店に転がっている槍を掴んだ。キアルは本物を確認できていない。店にやって来たのは偽物が溢れかえってからだ。それならばどうするか、魔力を槍に少しずつ込めてみる。奪われる感覚があった。自分の力が減るような、疲れるような感覚だ。キアルはその槍を床に置くと杖の石突きを振り下ろそうと構える。
「待って。私はいい槍だよ。折るなんて酷い。もう一度チャンスを!」
キアルは槍の懇願には耳を貸さなかった。バキンと穂先の折れる音が響く。店の空気が少し軽くなった気がする。
「偽物の槍は魔力を吸い尽くすのか……。俺の相棒変身ベルトも魔力で動いてる可能性があるし、この場に居たままだと、もしかしたら同じように自我を失ってしまうかもしれないな……。そんな危険は冒せない」
空地・海人(フィルム・アクセプター ポライズ・h00953)は変身ベルトを外すと老婆に渡す。
「おばあさん、俺の相棒変身ベルトを持って離れててください。本物のルガルドは俺が必ず見つけ出すんで!」
老婆はベルトに呪いをかけると言った。
「あんたの瞳がどれだけの物か、と言うところだね。久しぶりに術を使うと疲れるね。あんたの大事な相棒は預かっておくよ」
「こんなにやさしいベルカは初めて見るな。悪いものでも食べたか? なら我も守れば良いだろうに」
ルガルドが毒づく。
「お前さんに縁を繋ぐような前をできるかい。あたしは命は惜しいと言っているだろうに」
老婆はさも面倒だと言わんばかりの表情を浮かべる。その横で海人は真剣な顔で槍に向き合う。
「本物を見極めるのは容易じゃないだろうけど、やるしかない。ルガルドの姿は写真に写したように憶えている。こいつらは偽物だ!」
指先から念力で弾丸を飛ばすと数個の槍の刃が折れる。
「なかなかの記憶力だな。我はまだ無事だぞ。力も少し戻って来たようだ」
ルガルドが満足げに言った。
「うわぁ、ちょっとこれは拙い状況? おーいルガルド~、生きてる~?」
ルクレツィア・サーゲイト(世界の果てを描く風の継承者・h01132)が意図的に明るく言う。
「生きているか死んでいるかと問われれば生きていると答えるだろう。そもそも死んでしまっては答えられるはずはない。お主頭こそ生きているか問いたいところだな」
気怠げな声が響いた。
「どうやらこの反応は本物ね。問題はどこにいるかだけど」
ルクレツィアは残る槍を観察する。ルガルドの特徴はさっきのやり取りから『鈍い光を放つ』『ガラクタ』『なまくら』と言ったところだろう。
「……そう、こんなに金ピカ艶々に光ってない!」
ルクレツィアはキラキラ光る槍を叩き潰す。
(次に知性。少しの間の会話だけでも本物は相当な『ひねくれ者』だった。ならば……)
「ねぇ貴方達、私と一緒に世界を旅してみたい?」
「僕と一緒に世界の果てを目指しましょう!」
「あなたの力になれるなら!」
それを見てルクレツィアはにやりと笑った。
「本物なら「浮かれた娘と一緒とは何とも不安だな…」とか言うはず。積極的に選ばせようとする奴らはアウト~」
バキバキと折られていく槍達。
「私に貰われるまではしっかりしなさいね!」
ルクレツィアが言うと残る槍が答える。
「お前に使ってもらえるなら嬉しいぞ。目が利く娘よ」
「そんなことは我を見つけられてから言う事だ。手にする前から言うなど、釣つり上げる前の魚をどう料理するかを話すようなものだ」
「誰がお主などを。無鉄砲なだけの者など願い下げだな」
槍は三者三様の答えをする。
「最後は直感。本当に運命が繋がるのなら、この手で手繰り寄せてみせるわ!」
ルクレツィアは一瞬の間の後に迷わずに真ん中の槍を選んだ。手にした槍の穂先が一瞬白く輝いたように見えた。その光に頷くとルクレツィアは残りの槍を叩き折る。
「なるほどな。見通す者よ、お主の見立て、やはり間違いはない。だがお主は楽をしすぎだな」
本物のルガルドが楽しげに言った。
「ふん。あたしはただ商売をしているだけさ。縁を繋ぐことさね。運命になることじゃない。あんたこそ、お節介が過ぎるんじゃないかい?」
老婆は軽く目をつぶる。
「そんなことはない。ベルカよ、しっかりと見届けてくれたようで何よりだ」
「一番言って欲しくないことを言う槍だよ」
ベルカはため息をついた。
「さてお嬢ちゃん、そいつを使うなら使ってみるといい。槍に認められたならあんたに譲ろう。だがまだ認められたわけじゃない。次に来るものを倒せたらもしかしたら認めてもらえるかもしれないね。面倒なヤツだからね」
それを聞いてキアルが傷のある男に尋ねた。サイコブレイドの容姿を告げると男はそいつだと肯く。
「そうだ、なんだか難しい顔をしたヤツだったな。そんなに嫌なら俺に槍を売らないでもいいのにと正直思ったくらいだ」
戦いの時はすぐそこまで迫っていた。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第3章 ボス戦 『外星体『サイコブレイド』』
POW
ハンターズ・ロウ
【暗殺】の体勢を取る。移動力と戦闘力を3分の1にする事で、肉眼以外のあらゆる探知を無効にする。嗅覚・聴覚・カメラ・魔術等、あらゆる探知が通用しない。
【暗殺】の体勢を取る。移動力と戦闘力を3分の1にする事で、肉眼以外のあらゆる探知を無効にする。嗅覚・聴覚・カメラ・魔術等、あらゆる探知が通用しない。
SPD
サイコストライク
【装備中の「サイコブレイド」】による高命中率の近接攻撃を行う。攻撃後に「片目・片腕・片脚・腹部・背中・皮膚」のうち一部位を破壊すれば、即座に再行動できる。
【装備中の「サイコブレイド」】による高命中率の近接攻撃を行う。攻撃後に「片目・片腕・片脚・腹部・背中・皮膚」のうち一部位を破壊すれば、即座に再行動できる。
WIZ
ギャラクティックバースト
60秒間【サイコブレイドに宇宙エネルギー】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【外宇宙の閃光】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
60秒間【サイコブレイドに宇宙エネルギー】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【外宇宙の閃光】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
果たして、『外星体『サイコブレイド』』は現れた。サイコブレイドは露店に現れると√能力者達に広場へと来るように促す。
「Ankerに選ばれようとしているか。それも俺が殺せば止められるだろう。その槍を折られたくなければ俺と戦うことだ」
「迷いあるお主に我を折ることは叶わぬだろうよ。我も見届けよう。手にするが良い」
ルガルドの槍の一言にサイコブレイドの顔が歪む。だがそれも一瞬のことだった。人払いが済んでいる広場に一陣の風が吹く。
サイコブレイドを倒すことによってルガルドの槍を守ることができます。
また、第2章でルガルドの槍を手にした方はこの章でルガルドの槍を持って戦うことができます(強制ではありません)
※この章の結果でルガルドの槍を配布する方が決まります。
義手の右手と顔の右眼を隠す眼帯、身長よりも大きな斧が特徴的な青年。
普段の口調は『男性的(俺、相手の名前、だ、だな、だろう、なのか?)』であり、目上の人には『丁寧な口調(俺、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)』になります。
サバサバした性格で、細かい事は気にしません。
あまり頭を使う事は得意でなく、どちらかと言えば戦闘の方が得意です。
与えられた仕事を遂行する事を優先しますが、他の√能力者に迷惑がかかる行為と公序良俗に反する行動はしません。
√能力は指定した物をどれでも使用、多少の怪我は気にせず行動します。
動物(特にモフモフしたもの)が好き。
不明な点はお任せです。よろしくおねがいします。
「それでは、始めようか」
『サイコブレイド』が剣を構える。外套からのぞく3つの目からは表情は覗えない。日向・炎陽(信仰心無き金烏武者・h07672)は金属の腕で大斧を構える。
「来ないのか?」
炎陽の問いにサイコブレイドは無言のままだ。広場に落ち葉が舞う。その最後の人葉が地面に落ちる瞬間、炎陽は駆け出す。大斧を大上段に構え一気に振り下ろす。サイコブレイドは身じろぎもせずに剣でそれを受ける。力の限りに振り下ろされた斧はサイコブレイドを押し込み肩口を切る。サイコブレイドは斧をいなして右足を引く。広場の石畳に斧がめり込むが炎陽は何食わぬ顔で斧を引き抜くとそのままサイコブレイドに叩きつける。力任せな一撃だが威力は十分、受けることを諦めたサイコブレイドは身をそらしてから屈み左手を支点に回転して足払いを仕掛ける。右足を引っかけられた炎陽はたたらを踏むが左足を引きながら回転して横殴りに斧を振る。
「ぐっ!」
受け止めたサイコブレイドが呻く。サイコブレイドは距離を詰め炎陽を貫こうと迫る。炎陽は再び斧を振り下ろす。石畳は抉られ土煙が上がった。サイコブレイドは左腕を振りながら炎陽の間合いの外に立っていた。
🔵🔵🔴 成功
空地・海人※アドリブ、連携歓迎
行くぞ、相棒!…相棒?しまった、おばあさんに預けたままだった。
仕方ない。どこまで通用するかは分からないけど、たまには変身せずに戦ってみるか。
それに、サイコブレイドとは何度もやり合ってきたけど、一度くらいは仮面越しじゃない形で顔を合わせてみたかったしな。
…あ、でも変身してないと俺だと気付かないか。なら、以前の戦いの記憶を√能力で撃ち込んで、誰なのか思い出させてやろう。
敵の近接を警戒し、一定の距離を取って戦う。指先から念弾を撃って攻撃。弾には「これまでのサイコブレイドとの戦闘の記憶」を込め、その記憶を植え付ける。さらに着弾と同時に広がる激しい念動波で、再行動も封じられるはずだ。
ルクレツィア・サーゲイト【SPD】※アドリブ・連携歓迎
「…ねぇルガルド、即興だけど少しだけ私に力を貸して。貴方の使い手に相応しいかを見定めてくれると嬉しい。」
奴の狙いはルガルド本体。下手な場所へ安置するより私達の傍に居た方が安全なハズ。
ただ、さっき破壊した偽物みたいにルガルド自体の強度は高くないから、壊れないように“お化粧”が必要ね。
「少し違和感あるかもだけど我慢して。私の中に流れる『竜漿』の力をお裾分けすれば貴方も立派な『竜漿兵器』。さぁルガルド、【対標的必殺兵器】となった貴方の力を見せて頂戴!」
基本は回避&パリィで接敵しつつ懐へ入り、強化したルガルドの一撃で相手を討つ。
私と一緒に『世界の果て』へ行こうルガルド!
常夢・ラディエアドリブも連携もいいよ〜
んふふ、ぼくは空気の読める良い子だからね〜。
ここはルガルドちゃんの活躍を応援しちゃうよ〜。
【かちかちミスト】でおっきい霧に変身して〜、一緒に戦う子をすっぽり覆って守ってあげるね〜。
霧のふわふわぼでぃでサイコブレイドちゃんの攻撃を防ぎながら〜、どこに隠れても見つけられるように、見通す視線で周りをしっかり視て、見つけたら知らせておくよ〜。
あとは中に居る子がいつでも飛び出して攻撃できるように〜、みんなに合わせて動くねぇ。
サイコブレイドちゃんは悪い子じゃないかも知れないし、出来るならぼくは仲良くしてみたいな〜。
「行くぞ、相棒! ……相棒? しまった、おばあさんに預けたままだった。仕方ない。どこまで通用するかは分からないけど、たまには変身せずに戦ってみるか。それに、サイコブレイドとは何度もやり合ってきたけど、一度くらいは仮面越しじゃない形で顔を合わせてみたかったしな」
空地・海人(フィルム・アクセプター ポライズ・h00953)はそう言うとサイコブレイドの前に立つ。顔を撫でる風の匂いがした。屋台があるのだろうか、肉の焼ける匂いに秋の花の匂いが混ざっている。
「何度もやり合った?」
サイコブレイドは怪訝な顔をする。
「変身してないと俺だと気付かないか。なら、以前の戦いの記憶を√能力で撃ち込んで、誰なのか思い出させてやろう」
海人は指を折り込むと弾丸を放つ準備をする。何度も戦ってきた相手だ、それに思うところがないわけでもない。
「んふふ、ぼくは空気の読める良い子だからね〜。ここはルガルドちゃんの活躍を応援しちゃうよ〜」
常夢・ラディエ(惰眠・h08858)は夢の中にいた。それでも広場に現れると【かちかちミスト】を使っておおきな霧に変身する。霧は仲間を包み込むと仲間を守る力となった。
「……ねぇルガルド、即興だけど少しだけ私に力を貸して。貴方の使い手に相応しいかを見定めてくれると嬉しい」
ルクレツィア・サーゲイト(世界の果てを描く風の継承者・h01132)はルガルドの槍を掴むと槍に向かって宣言した。
「是も非もない。我は使われるものだ。だが我が刃がどれだけ鋭くなるかで答えは自ずとわかるだろう。浮かれた娘よ」
ルガルドがからかうように言った。だがその刃の光は増している。
「少し違和感あるかもだけど我慢して。私の中に流れる『竜漿』の力をお裾分けすれば貴方も立派な『竜漿兵器』。さぁルガルド、【対標的必殺兵器】となった貴方の力を見せて頂戴!」
ルクレツィアが力を注ぎ込むとルガルドの穂先から滴のような光がキラリと零れた。
「我に力を注ぐ、か。考えるものだな、娘よ。お主の意志も流れてくる、素直すぎだな。裏をかかれたのならどうするのだ?」
「捉えるまで何度でも立ち向かうだけよ!」
ルクレツィアが笑顔で言った。ルガルドはため息をつく。やれやれ、という声が聞こえてくるようだ。
「それじゃ、挨拶代わりだぜ!」
海人が『これまでのサイコブレイドとの戦闘の記憶』を込めた念力弾を撃ち出す。サイコブレイドはそれを剣でたたき切るが吹き出した記憶に巻き込まれた。
「そうか、お前は! だが心は変わらない。俺は計画を実行するだけだ」
サイコブレイドは海人に向かって飛び込むと剣を突き立てる。ルクレツィアはそれを手にした槍で弾くとサイコブレイドの眼前に立つ。
「あなたの狙いはルガルド本体でしょう?」
ルガルドの身はうっすらと白い光を放っていた。その身には意志の力が宿っている。
「自分の身を一番に考えるのだな、娘よ。お主が倒れれば我はただの棒きれだ。まあ、力を注いでもらったからな、しばらくはヤツの刃を受けられるだろう」
サイコブレイドの左目から血が滴る。目を潰し無理矢理に力を振り絞りサイコブレイドがルクレツィアを襲う。すんでの所でラディエが霧を深くする。ふわふわとした感触がサイコブレイドの剣にまとわりつく。剣はルクレツィアの肩に当たるが切り裂くには至らない。海人の念弾がサイコブレイドの胴を襲う。サイコブレイドはそれを甘んじて受けると腹から噴き出す血に気づかないかのようにルガルドの槍を折るべく剣を振り上げる。
「そんなことでは俺は止まらないぞ」
サイコブレイドは己に言い聞かせるように叫んだ。ルクレツィアは槍の柄で剣を受け止めるとサイコブレイドの脚を蹴る。右足を蹴飛ばされたサイコブレイドは体勢を崩しかけるが左足一本で無理矢理体を起こす。海人がもう一度サイコブレイドを狙う。それは違わずに左腕に突き刺さった。サイコブレイドの心に悲しみが広がる。サイコブレイドは胸を押さえて顔を歪める。ルクレツィアが槍を突き立てるがサイコブレイドは飛び上がってそれを避ける。
「うしろだよ~」
ラディエが言った。サイコブレイドの刃がギリギリのところで避けられる。ルクレツィアは後ろにいるサイコブレイドに向けて槍を突き出した。ルガルドの槍がサイコブレイドの左太ももに突き刺さる。
「気を抜くな、娘よ。ヤツの気は死んではいない。揺らいではいるがな」
ルガルドの声にサイコブレイドが苦しそうな表情を浮かべる。サイコブレイドは歯を食いしばる。サイコブレイドの右目から血が噴き出す。サイコブレイドはそれにかまわずルクレツィアの心臓に向けて剣を振り下ろす。
「左に跳べ」
ルガルドの声に導かれてルクレツィアが地面を蹴る。ルクレツィアは右脇を斬られるが必死に耐える。そのまま左に一回転しながら右手一本でルガルドの槍を突き出す。サイコブレイドも最後の力を振り絞って剣を振るう。2人が交差した後に倒れたのはサイコブレイドだった。
「記憶、か」
仰向けに倒れたサイコブレイドが言った。
「サイコブレイドちゃんは悪い子じゃないかも知れないし、出来るならぼくは仲良くしてみたいな〜」
ラディエがサイコブレイドに向かってそう言うと、サイコブレイドは一瞬虚を突かれたような顔になった。サイコブレイドは残る額の目を閉じた。
「お前さんには魔法の寝袋だな。呪文一つで大きくなる」
老婆は約束通り魔法のアイテムを一つずつくれた。まずは一つ目、ラディエに寝袋。海人に皮でできた袋。
「中は見た目の何倍かになっている袋だね。温度も変わらないからあんたのフィルムを入れるにはいいだろう」
老婆はルクレツィアの前に立った。
「お嬢ちゃんにはもういらないだろうよ。確かに役に立ってくれたよ。厄介払いできてせいせいしたね」
「やれやれ、お主も心を伸ばしたらどうだ、ベルカ。ルクレツィアの方が見所があるぞ。考え無しだが意志はある」
ルガルドが言うとベルカは面倒そうな顔をする。
「あたしの腰が伸びるなら考えてもいいけどね。良かったね、お嬢ちゃん。こいつに気に入られたようだ。まあ、本当に良かったかどうかはわからないがね。その槍は約束通りあんたのもんだよ」
ベルカの言葉にルクレツィアは笑顔になった。
「本当!? ありがとう、ベルカさん。 私と一緒に『世界の果て』へ行こうルガルド!」
ルクレツィアの言葉にルガルドはいつもの調子で応えた。
「もう少し落ち着くことだな、ルクレツィア。それでは果てにたどり着く前に死んでしまうだろうな。我の使い手にしても浮かれすぎだろう。これからが心配だな」
※『ルガルドの槍』はルクレツィア・サーゲイトさんに配布します。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功