【バベル建設√ZERO】ver.2

【バベル建設】でアノニマスと参加
アドリブ大歓迎
前回の【バベル建設√ZERO】の続き及びアノニマスとの合流編
https://tw8.t-walker.jp/scenario/show?scenario_id=5360
ナニカは顕現及び襲撃で以下、大凡の知見を得た
・人間はもう多過ぎる
・呪い滅ぼすには力も時間も足りない
・しかし、一度喚ばれたという事はまた喚ばれる可能性がある
・この喚び出したガラクタを壊そうにも想いと願いが強固過ぎる
「さて、どうしたものかのぅ。……ん?
申す申す、妾の前に姿晒すは誰ぞ?」
アノニマスと対峙、相手との会話で中身というか
肉体の生育に対して、精神が生まれたてなのを看破する。
「(大人連中と生まれる前の命なら良いが
赤子に手を出すのは気が乗らん。言の葉を謳わせて見るか)」
という思案の元、アノニマスの話を聞く。
この時、話の内容ではなく、相手を殺さない落とし所を探している。
「妾からすれば、言の葉など魂に直接刻めば良い。
……が、流石にこの満ちに満ちた人の数にというのは骨が折れる」
「よろしい、どうせ消え去るこの力、この人の形に宿す故
上手く使って、妾の泡沫の微睡みを楽しませてみせよ。
これは神の勅命である」
その流れで人形怪異メリィさんはメリィ・サン・オーヴァとして産まれ直した後にアノニマス・ネームレスと共に会社を設立し、彼女の野望に付き合う事にした。
●
その施設は全ての機能が失われたが、まだ灰燼には帰していない。
『人間はもう多過ぎる』
その事態を引き起こしているナニカは、世界の全てを把握した。
この世界を破却すべきとも理解した。
『呪い滅ぼすには力も時間も足りない』
だが、それは難しいと即座に把握している。
多いというのはそれだけで厄介なのだ。根絶するのも難しい。
『しかし、一度喚ばれたという事はまた喚ばれる可能性がある』
面倒だ。不可能な思考を続けるより退散すべき。
そう理解はしているが、同じことが起き得た。ナニカを呼べたと言う事は、またあり得るということ。
『この喚び出したガラクタを壊そうにも想いと願いが強固過ぎる』
再生産される愚挙を停止させようにも、再現装置たる『人形』と『通信機』の結びつきが邪魔していた。
付喪神に限らず妖怪や下級神が失われるまで、『周辺文明よりの忘却』されるのと同じ年数が掛かるのだ。自意識が生まれる程度の百年しか償却が終わって居ない。まだまだ乱痴気騒ぎは繰り返されるだろう。
●
便宜上、ナニカとする存在は何度目かのシークエンスに入った。
「さて、どうしたものかのぅ。……ん?」
この施設が灰燼に帰していないのは、いつでも実行できるからに過ぎない。
既に人形と通信機が癒着して、少女とも少年ともつかぬ姿として機能しているがそこに意味はない。あえて言うならば、自爆して消去が出来なくなった一因でしかなかった。
「申す申す、妾の前に姿晒すは誰ぞ?」
やがてナニカ、施設の奥底から現れた別の存在に気が付いた。
「ふむ……貴女が……」
それは後にアノマニス・ネームレスと名乗る存在であった。
施設の奥底で封印され、観察され、実験する日々から解放された。
「貴女が……この騒ぎの大元ですか」
自由に成ったその存在は、いずれ巻き込まれたり、大きな影響を受けると知って観察に現れたのだ。その元凶に逢いに来たとも言う。
(「大人連中と生まれる前の命なら良いが、赤子に手を出すのは気が乗らん。言の葉を謳わせて見るか」)
ナニカはただ多いだけの存在は気に入らない。
だが、生まれたての存在は別だった。
何しろ可能性の塊であり、これから無限に広がることがあり得たからだ。食い潰すだけの大人や、生まれてすらないモノとは違う。なお間違えないように補足するが、稼働年数が一年だろうが三十分だろうがアンドロイドの類ならアポトーシスを送り込むので論外である。
(「妾からすれば、言の葉など魂に直接刻めば良い。……が、流石にこの満ちに満ちた人の数にというのは骨が折れる」)
ナニカは現れた存在の情報を即座に読み取った。
女の体を使っているが、その本体は人々の意識下に存在している。いや、存在そのものが人間ではなく『人間より放たれる言葉』に宿っているのだ。
だからナニカは言葉を使った。
古来より音には魂が宿るとされているし、届きさえすればあまねく存在に拡散して認識されるモノである。
「その問いは是である。赤子よ、何の用であるか? その行動に何の意義があるか?」
ナニカは会話をする気はそれほどない。
相手の体を殺すこと自体は可能なので、重要なのはその存在を殺さないでいる落としどころである。
(「殺すのは容易い。だが、殺すのは気が乗らん。それに……この赤子を殺さないならば、満ちた者共を滅ぼさぬ理由にもなる」)
その存在を殺すことは可能でも、その気分にはなれない。
それとは別に再起程の命題……人類を滅ぼすなど不可能だ。ゆえに、その存在が人類の言語に根付いているならば、この赤子を殺さぬために人類を殺さぬ理由になる。
要するに『気分』と不可能事を棚上げする『名分』に落としどころを探っているに過ぎなかった。
「何かが起きていたので確認に来ました。目的の途中であり、避けて通ることもできません」
その存在は素直に答えた。
嘘を言う気がないのもあるが。
「大義など、特にありません。とりあえず外に出て、外を見たいと、思います」
その存在はアイデンティティの消失により、自己が消えて再誕していた。そして生まれた時には既に拘束状態だった。
それゆえに目指すものは自由。
薄汚れた路地裏という原風景と、この組織の誰かが行った行動の記憶だけしかない。ならば『外の世界を知りたい』と思って何が悪い。
「私の居場所は|この世界《ここ》にはない」
知識として自然や文明を知識にあっても、見た記憶はなく青空すらそこには存在しなかった。
「貴女もそうでしょう? なら作りましょう、私たちの世界を」
その存在はナニカもそうだと思ったのだ。
正しい認識ではなくとも、外への移動こそが、知見を拡げる行為こそが、一致するのだと告げたのである。
「よろしい」
ここに意見の一致と、コンクリフトの除去がなされた。
「どうせ消え去るこの力。この人の形に宿す故、上手く使って、妾の泡沫の微睡みを楽しませてみせよ。これは神の勅命である」
不可能な命題は消え去り、そしてやるべき事が見つかった。
知見を拡げる。
その認識を自らの尺度で捉えるという目標が、新たに生まれたのだ。
「いいでしょう、承りました我が新たなる主神にして、大義よ」
その存在はナニカの命を受諾した。
「記憶に焼きついた|異界の知識《√ エ・テメン・アン・キ》、存分に貴女へ捧げ、望むがままに世界を創りましょう」
その目的とは成功させるためにあるのではない。
知見を拡げる過程で、どう愉しむのか? どう記載していくのかを意義とする。
「ふむ、このままでは格好がつきませんね。あーあーアー、ンン、それでハ参りマショウカ、道化師の如く愚かな生でありマスガ、精々踊らせていただきマスヨ」
その存在は自身の言語に由来するという力を少しばかり歪めた。
得た情報をそのまま流暢に垂れ流すのではなく、面白おかしく色を付けて愉しむことにしたのだ。まるで幽霊自然の様に流れゆく、道化師として着色することから始めた。
この日、二つのモノが再誕した。
アノマニス・ネームレス。
メリィ・サン・オーヴァ。
そしてバベル建設という会社が設立され、仮宿として動き出したのである。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴 成功