スノーマンと雪の動物たち
「あのね……お星さまが教えてくれたの。あたらしいダンジョンができたよ、って」
√ドラゴンファンタジーに新たなダンジョンが出現した。
ゾディアック・サインによって知ったその情報を、|九枢・千琉羽《くくるる ちるは》は、√能力者たちへと伝えた。
「どんなダンジョンなのかは……わからないの」
星はそこまでは語らなかったと、千琉羽は目を伏せる。
「でも、ダンジョンの近くにあるエルムの街できいたら……なにかわかるかもしれないの」
近くにダンジョンが出来たとなれば、無関心ではいられない。おそらく様々な噂が飛び交っているに違いない。エルムの街で情報を拾い上げてから、ダンジョンに挑むのが良いだろう。
「エルムはね……スノーマンと雪の動物がたくさんなの……」
雪が降ると、エルムにはスノーマン、あるいは雪うさぎ、雪猫、雪犬、雪熊などの雪像が作られる。
冬の間、それらの雪像が街を守ってくれる、そう語り継がれているからだ。
「見るのもたのしいし……作ってあげたら……よろこばれると思うの……」
この時季、雪像を見るために訪れる観光客もいるため、エルムではスノーマンや雪うさぎなどを象った料理やスイーツも売られている。
「食べ歩いても……カフェで……ゆっくり食べても良いの……」
スノーマンアイスやケーキ、雪うさぎのムース、温かい飲み物には雪猫マシュマロを浮かべて。
冬のひとときを、雪で作られた守護者とともに。
そして得られた情報を元に、ダンジョンに挑もう。
「気をつけて……いってきてね」
千琉羽はぬいぐるみから片手を放し、小さく振った。
マスターより

新しいダンジョンに挑んでみませんか、というシナリオです。
第一章では、スノーマンや雪うさぎたちがいっぱいのエルムを楽しみましょう。
見る? 作る? 食べる? お好きにお過ごしくださいね。
そこで得られた情報をもとに、第二章でダンジョンに突入。
第三章でダンジョンの奥にいるモンスターを倒しましょう。
ではでは、ご参加お待ちしております。
42
第1章 日常 『冒険王国の観光名所』

POW
名所を歩いて巡り、絶景を楽しむ
SPD
名所おすすめの名物を買ってみる
WIZ
名所特産の食べ物をいただく
√ドラゴンファンタジー 普通5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

初めての冒険に出発!
戦闘はまだ怖いけど、情報収集なら僕でも出来るよね。
それに、雪に関連する街にも興味あるし。
叔父さんが心配だから、まずは観光を兼ねた聞き込み調査を初仕事にしよう。
僕と契約してる雪の精霊はどっちも半透明で白いシマエナガとネザーランドドワーフラビット。
この子達の雪像を作りながら、近くの人にダンジョンの話を聞こう。
わっ、スノーマンさん初めまして!
僕は真白って言います。
素敵な街ですね。
雪がキラキラ輝いてるし、雪像も可愛いのがたくさん。
そうだ、この近くに出来たダンジョンの事、何か知りませんか?
聞き込みをしたら、雪像を作ったり、景色を堪能しようかな。

雪の街かー。やっぱりうれしくなっちゃうなー。
せっかくだから、満喫しちゃうよっ♪
街に行ったら…。
せっかくだから雪像をつくってみるかなぁ。
えーと、あまり大きなものだとあたしの背が届かないから、雪うさぎがいいのかも。
ちょこんと小さいけど、たくさん作っていくよ。
一緒に雪像を作る一般の人にお話を聞いたもしてみるよ。
ねね、ダンジョンが出てきたっていう話だけど、どんなお話があるの?
雪像が守ってくれるとはいえ、気にはなっちゃうよねっ!
一通り情報収集をしたら、あとはカフェであったまるよ。
雪像つくりはたのしかったけど、やっぱりさむーいっ!
ホットミルクに蜂蜜がはいっているものくださいー。
ふぅ、さむさむ…。
エルムの街へとやってきた細雪・真白(雪華の狙撃手・h01356)は、一面の雪に迎えられた。
冷たいはずなのに、積もった雪はふんわりこんもり、温かな綿のように見える。
「ここが√ドラゴンファンタジーの街……」
見知らぬ場所だけれど、見慣れた雪が真白の緊張を緩めてくれる。
「わあ、雪の街かー。やっぱりうれしくなっちゃうなー」
エアリィ・ウィンディア(精霊の娘・h00277)も雪景色にはしゃいだ声をあげた。
普段とは違う白一色の世界の中、エアリィの青い髪が弾んで揺れる。
「まずはここでダンジョンの情報収集するんだよね?」
「うん。ダンジョンに入る前に少しでも中の様子が分かるといいね」
真白はエアリィにそう答えはしたけれど、その先にモンスターとの戦闘が待ち受けていると思うと、正直怖い。この街で聞き込み調査をすることによって、先に進む勇気が出てくると良いのだけれど。
エルムの街のあちこちには、聞いていた通りに雪像があった。
今まさに作っている人もいる。
「せっかくだから雪像をつくってみるかなぁ」
郷に入っては郷に従え。エアリィはしゃがみこんで雪を集めながら、何を作ろうかと考える。
大きな雪像も面白そうだけど、あまり大きいと背が届かない。
「決めた! 雪うさぎにする」
ちょこんと小さい雪うさぎを、たくさん並べたらきっと可愛い。
エアリィが悩んでいる間に、真白はもうひとつめの雪像の大まかな形を作りあげていた。丸っこいフォルムからしゅっと伸びた尻尾、丸い目と小さなくちばしをつけて……シマエナガに。
シマエナガの雪像が完成すると、今度はネザーランドドワーフラビットに取りかかる。
雪像を作る真白の手に迷いがないのは、それが自分と契約している雪の精霊たちだから。
作る合間に、エアリィは近くにある雪像を眺めた。
「これは何だろう? 大きくてがっしりしてるから……熊?」
自分より大きな雪の動物に、エアリィは背伸びして首を傾げる。
「こっちは犬かな。すごく上手に出来てる」
真白が雪像の造形に感心していると、横からありがとうという声がかかった。
「それ、オレが作ったんだよ」
男性は犬の像に積もりかかった雪を払うと、尋ねた。
「見かけない顔だが、旅行者かい?」
「初めまして! 僕は真白って言います。ここは素敵な街ですね。雪がキラキラ輝いてるし、雪像も可愛いのがたくさん」
「気に入ってくれたのなら嬉しいよ」
自分ももうひとつと、雪像を作り始めた男性に、真白は聞いてみた。
「そうだ、この近くに出来たダンジョンの事、何か知りませんか?」
「あたしも知りたいな。どんなお話があるの? 雪像が守ってくれるとはいえ、気にはなっちゃうよねっ!」
エアリィが興味津々という様子で尋ねると、男性はそれがなぁと首を振った。
「ダンジョンが出来たと知って、早速挑んだ奴がいたんだよ。新しいダンジョンとなれば、少しでも中の様子が知りたいってもんだろ。オレも話を聞こうとそいつが出てくるのを待ち構えていたんだが……そいつ、街に入るか入らないかのところでぎゃあと叫んで、出て行っちまった」
「どうして?」
エアリィが尋ねると、男性は首を振った。
「分からない。何にそんなに怯えたんだか」
「その人はダンジョンのどの辺りまで行けたんだろう……」
「さあな。結構はやく出てきたから、そんなに奥まではいけてないと思うが」
真白の疑問にそう答え、中の様子が聞けなかったことを男性は残念がった。
一通り情報収集をしたあと、エアリィはあったまってくる、とカフェへと向かった。
雪像作りはたのしかったけど、やっぱり寒い。
「さむさむ……ホットミルクに蜂蜜がはいっているものくださいー。」
すぐに運ばれてきたホットミルクのカップを包み込んで、エアリィは手を温めた。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

ダンジョン攻略前のリラックスタイム。いいね。
もちろんやるべき事はやるつもりだけどね。
しかし……うん、やっぱり寒いね。ここはカフェに立ち寄って情報を集めるついでに体を温めようか。
カフェで温かい飲み物を注文して、それから店主にダンジョンについて聞いてみよう。
こういう商売をしているなら自然と色々な噂を聞いているはずだよ。
話を聞けて体も十分温まったら、ダンジョンに出発する前に雪像を見て行こうかな。
色々な動物を象った雪像があるみたいだけど、狼の像もあったりするのかな?

√ドラゴンファンタジーって1番観光向きな感じありますよね。
この時期くらいしか纏まった休みも取れませんし、せっかくなのでいつも行かない√に足を伸ばしてみましょうか。
というわけで、一応集音とかの魔術は軽めに走らせておきますが、情報は得られたらラッキーってことで。観光メインで行きましょう。
良さげなカフェを巡りつつ、おしゃべりそうな店員さんが居たら良さげな雪像の場所でも聞いてみますか。ダンジョンの情報もまぁ、ついでに聞けそうなら。
寒い時期に飲むココアとか好きなんですよねー。
美味しかったらお土産も買って帰りますか。アイスとかマシュマロだったら多少日持ちするかな?
エルムの街にやってきた水垣・シズク(機々怪々を解く・h00589)は、物珍しく周囲を見渡した。
「この世界って一番観光向きな感じありますよね」
√汎神解剖機関とはかなり雰囲気が違う。だからこそ、纏まった休みが取れるこの時期に、せっかくだからといつもは行かない√まで足を伸ばしてみたのだ。
一応、魔術を軽めに走らせてはおくけれど、シズク的には観光がメイン。ダンジョンに関する情報は、まあ、得られたらラッキー程度で。
「さあて、良さげなカフェはありますかね」
大小さまざまな雪像を観賞しながら、シズクはふらりとエルムの街を歩き出した。
厚手の防寒着に身を包んだスノウ・ドラゴネット(氷雪の竜狼・h04232)が、エルムの街路を歩いてゆく。
道は雪かきされているが、かいた上にもちらちらと雪が降りかかるから、スノウの歩いたあとには点々と足跡が。
「やっぱり寒いね……」
氷を自在に操る雪狼獣人ではあるけれど、実はスノウは寒いのが苦手だ。
ダンジョン攻略前にリラックスタイム、と思ったのだけれど、こう寒くてはリラックスするどころではない。
寒さから逃げるように、スノウはカフェに立ち寄った。
カフェの扉を開けると、温かい空気がほわんと流れてきて、それだけでも気分が癒される。
「お勧めの温かい飲み物をもらえるかな」
「それならジンジャーティーはどうだい? 少し甘めにして飲むと、身体がぽかぽかしてくるよ」
「いいね。それにしよう」
スノウが頼むと、店主がいれたジンジャーティーを店員が運んできた。
カップを近づけると、しょうがの香り、そして一緒に入っているらしきリンゴの香りが鼻腔をくすぐった。
ふう、と湯気を吹いてさましながら、スノウはゆっくりとジンジャーティーを飲み下した。
そこに、カフェ巡り中のシズクもやってくる。
「うーん、何がいいでしょうか」
メニューを開いて、じっくりと。
「スノウマンの……いややっぱり雪うさぎのムースにします。あと、寒い時季にはココアは欠かせませんよね」
迷いながらも注文して待つことしばし。
注文の品が店員によって運ばれてくると、シズクはさっそく、白くてふるふるのムースをスプーンで掬いあげた。
口の中でほどける優しい甘味。
湯気を立てるココアの中には、雪猫マシュマロを落として。
食べる合間に、シズクは店員に聞いてみる。
「ここに来るまでに雪像をたくさん見ました。どれも上手でしたが、これは見ておけというお勧めの雪像はありますかね?」
「隣の通りにあるトナカイの雪像は見ました?」
「まだです。詳しい場所を教えていただけますか」
そんなよもやま話をする中で、シズクはダンジョンのことも店員に尋ねてみる。
スノウのほうも店主相手に話しかけ、ダンジョンの噂を聞いてみた。
「まだ出来たばかりで、詳しいことを知ってる人はいないみたいですね」
どんなところなんでしょうと店員は首を傾げた。
「噂では、このエルムの街と関連あるんじゃないかって言われてるみたいだね」
「近いから?」
スノウの質問に、いやと店主は首を振る。
「近いと関係があるってわけじゃないからなぁ。ただなんか、エルムを思わせるようなもんがどうとか……なんのことを言っているやら。まあ、噂なんてそんなもんさ」
カフェで温まったあと、シズクはお土産にと雪猫マシュマロを購入した。持ち帰って、何かの飲み物に入れてみよう。
スノウは身体が温まっているうちにと、雪像を見物に行くことにした。
そこかしこに並ぶ雪像は、中にはこれは何の像だろうと首を傾げるものもあるが、多くは見事な出来だ。
毎年作っているために、街の人たちの腕も上がっているのだろう。
「狼の像もあったりするのかな?」
エルムの街名物と言われている雪像を、スノウは見て回った。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第2章 冒険 『モンスターの呪い』

POW
体力と根性で呪いに耐え抜く
SPD
呪われたエリアを最短経路で駆け抜ける
WIZ
魔法や祈りで呪いの影響を和らげる
√ドラゴンファンタジー 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
雪の降る外よりは幾分かましだが、ダンジョンの中もまた寒い。
薄暗い通路をモンスターに警戒しながら進んでいくと……。
なんだろう。身体が重い……それとも心が重いのか。
足を進めることが難しくなる。
そればかりではない。速度の落ちた冒険者へと、白の群れが襲いかかる。
人型、犬型、猫型、うさぎ型……さまざまな形の白い塊はまるで雪像のよう。
冷たく押し包んでくるその呪いに凍りついてしまう前に。
逃げる? それとも……。

ひーっ!さっむいわね、耳が凍っちゃうわ!
でも、えてして冒険というのはつらく苦しいもの、これくらいなんともないわ!
へっくしゅん!
進んでいくと、なんだか体が重い?
というより、苦しい感じがするわね。呪いの一種かしら?
であれば、なんとかかんとかして影響を軽減しようとやってみるわ、これでとりあえずは戦えるでしょ。
進んでいくとおそらく敵が出てくるだろうから、【全力魔法】で応戦するわ。あっ、うさぎさんかわいい。
敵の数が減ってきて、不意打ちもされないだろうという段階になったら、『十三匹のねずみ』を使って残党を掃討するわ。
みんな寒かっただろうけど、よく着いてきてくれたわね。最後の一押し、行くわよ!

あたしはレイシー。Ankerには女子の割に口調が荒いとか、ガサツだとか言われてる。ま、気にしてないけどな!
細かいこと考えて戦うのは苦手だから、作戦とかは立てずに突撃して、√能力も適当に選んで使う。近くに頭いいやつがいたらそいつに合わせたり、他のやつに迷惑かけないように空気読んだりもするぜ。
多少怪我するくらいなんてことねーし、うっかり死んでも……ま、すぐ蘇生するだろうし、いっか。
戦いがいらないなら、冒険だろうが日常だろうがその場を全力で楽しむぜ。ダンジョンのトラップだって、結構楽しいしな!
エルムの街のほど近く。
ダンジョンがぽかりと口を開けていた。
レイシー・トラヴァース(星天を駆ける・h00972)は早速ダンジョンへと入ると、どれどれと周囲をぐるりと見回した。ごつごつとした土の壁に囲まれた通路が続いている。
「へー、ここが新しく出来たダンジョンか」
中に入れば雪は吹き付けて来ない。にもかかわらず底冷えのするような寒さだ。
「ひーっ! さっむいわね、耳が凍っちゃうわ!」
ベティ・スチュアート(ねずみのたびだち・h04783)はピンクのネズミ耳を両手で覆って温めた。
雪多いエルムの街の近くだからある程度は覚悟していたけれど、予想以上に寒い。
ぬくぬくとしたところに潜り込みたい気分だけれど。
「えてして冒険というのはつらく苦しいもの、これくらいなんともないわ!」
家で読んでいた本に書かれていた冒険にも、困難はつきものだった。次々に襲い来るトラブル、敵。けれど物語の主人公たちはへこたれなかった。だって、それを乗り越えた先にこそ……。
「へっくしゅん!」
ベティは全身でくしゃみをした。
「大丈夫か……っくしゅん」
心配して声をかけたレイシーもつられたようにくしゃみをひとつ。ぶるぶるっと身を震わせた。
「本当に寒すぎるな。こんなところにずっといたら、風邪ひいちまうぜ」
早く抜けなければと、レイシーは足を急がせた。
体温を奪われてしまわぬうちに。
そう思っているはずなのに、だんだん足が鈍ってゆくのを感じ、レイシーは首を傾げた。
疲れるほど歩いてなどいないのに、足が重くて前に進まなくなってしまう。
「なんかおかしくねぇか?」
「体が重い? ……というより、苦しい感じがするわね」
息までし辛い気がして、ベティは胸に手を当てて深呼吸をした。
「寒さのせいばかりじゃなさそうね。呪いの一種かしら?」
念のため、とベティは幾つか魔術を展開しておく。これでとりあえずはなんとかなるだろうか。
だが、それだけでは終わらなかった。
通路の向こうに、白いものが見える。
スノーマン、犬、猫、くま、うさぎ……雪像がやってくる。
「あっ、雪うさぎさんかわいい。でもくっつかないで、寒いんだから!」
ベティが魔法で応戦すると、雪像はぼろぼろと崩れた。
「どけどけー! どかないとあたしの霊剣のサビになるぜ!」
寄って来る雪像へと、レイシーは霊剣を薙いだ。剣に上下真っ二つにされて、雪像はごろりと倒れた。
動けなくなった雪像をあとに、レイシーは先へと進む。
「扉があるぞ。あそこまで行ければなんとかなりそうだな」
「よーし、あと少しね!」
12体のねずみの兵隊へとベティは呼びかける。
ベティを含めた|十三匹のねずみ《ザ・サーティーン・ソルジャーズ》。
「みんな寒かっただろうけど、よく着いてきてくれたわね。最後の一押し、行くわよ!」 雪像を蹴散らして、ベティとレイシーは扉へと飛び込んだ。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功

[連携・アドリブ歓迎]
雪像もスイーツも良かったですねー……っと、いけない。一応予知への対応で来たんでした。
ダンジョンって入るの初めてですね。
今感じてるのは√ドラゴンファンタジーの呪いの類でしょうか?
同じ呪術でも随分と体系が異なるんですね。
まぁ、便宜上呪いと呼んでるだけの怪異の干渉と魔法の一種としての呪いでは名前こそ同じでも……後にしましょうか。
なんか気が逸れがちですねー。敵地なんだから気を抜いちゃダメなんですけど、√ウォーゾーンと違いすぎて……。
とりあえずこの環境だとドローンは仕事しにくそうですね、WZを動かして機銃で掃討しながら探索しましょうか。ついでに私も運んでください、イォド。

予想はしてたけど……うん、やっぱり寒いね。それに呪い?急いでこのエリアを抜けた方がよさそうだね。
【氷竜の凍舞】を使って体が動かなくなる前に急いで進もう!
能力を使うことで一層冷えるけど、移動速度はぐんと上がるよ。
ここでこのまま凍えてしまうよりマシさ。
そして群がってくるのは雪像?可愛らしくはあるけど……ごめん、加減する余裕はないよ。
スピードを活かして回避して、それも難しくなってきたら衝突ギリギリに【咄嗟の一撃】で破壊させてもらうよ。
とにかくいち早くここを切り抜けるのが先決だからね。襲われたからっていちいち足を止めてはいられないよ。
暖かなカフェでお茶を飲み。
街中にあるスノーマンや動物たちの雪像を見て回り。
「雪像もスイーツも良かったですねー。こうやって嗜好品を楽しんでいると、観光に来たなーという気分になります」
お土産も買えましたし、と水垣・シズク(機々怪々を解く・h00589)は満足そうに帰路に……。
「観光に来てたんだ。てっきりダンジョンに来たのかと思ってたよ」
スノウ・ドラゴネット(氷雪の竜狼・h04232)の声にぴたりと足を止めた。
「……っと、いけない。一応予知への対応で来たんでした。さて、ダンジョンへはどうやって行けば良いんでしょう?」
「ボクもこれからダンジョンに行ってみるから、良かったら一緒にどう?」
「それはありがたいですね」
誘ってくれたスノウと一緒に、シズクはダンジョンへと向かった。
「ここみたいだね」
ぽっかりと口を開けているダンジョンの入り口をスノウは指した。
「ここが……そういえば私、ダンジョンって入るの初めてです」
シズクが踏み出した記念すべき第一歩が、外から吹き込んだ雪の上に足跡をつける。
「……うん、やっぱり寒いね」
スノウは防寒具を着こんだ腕をぎゅっと身体に引き寄せた。
エルムの街自体が寒かったから、ダンジョンもそうだろうと予想はしていたけれど、それ以上に寒い。
せっかく温まっていたスノウの身体の熱が、ダンジョンの冷気にぐんぐん吸い取られてゆくようだ。
「それになんだか身体がすごく重い……」
進めば進むほど、何かにのしかかられているように動きが制限される。足は重く、それに引きずられるように気分までもが重くなってくる。
「今感じてるのは√ドラゴンファンタジーの呪いの類でしょうか?」
通常の現象ではないとのシズクの判断に、スノウは顔を引き締めた。
「呪い? 急いでこのエリアを抜けた方がよさそうだね」
スノウの周囲に漂う氷晶が、氷色の輝くスケートシューズを形づくる。
ぐんと空気が冷えるのは、呪いの所為ではなく、氷晶が発する冷気が原因だ。だが寒さが増すとしても、ここでこのまま凍えてしまうよりマシだ。
|氷竜の凍舞《アイスボーンシューズ》を蹴りだせば、スノウの身体は氷上を滑るように進む。
凍えてしまうより早く、ここを抜けるのだ。
一方シズクは、己の身に降りかかっている異常を味わうように観察していた。
「同じ呪術でも√によって随分と体系が異なるんですね……まぁ、便宜上呪いと呼んでるだけの怪異の干渉と魔法の一種としての呪いでは名前こそ同じでも……」
興味深くはあるのだが、そうしているうちにシズクの頭が何かを被せられたかのように、重く、重くなってゆく。
「……後にしましょうか」
√ウォーゾーンとの違いに、気が逸れがちになるが、ここは敵地。今は気を抜いたらダメだとシズクは考察を後回しにすることにした。
そのとき、
「雪像?」
前方からわらわらと近づいてくるスノーマンや動物たちの雪像に気付いたスノウが、驚きの声をあげた。
とことこと近づいてくる様子は愛嬌があるともいえるが、あの数に囲まれたら命まで凍らされてしまう。
スノウはスピードを活かして雪像の間を抜けてゆくが、回避した先に雪像が! それをスノウは咄嗟の一撃で破壊する。
「……ごめん、加減する余裕はないよ」
一刻も早く抜けたいから、いちいち足は止めていられない。通路を滑りきって、スノウは扉へと飛び込んだ。
「とりあえずこの環境だとドローンは仕事しにくそうですね、イォド、出番です」
シズクは自身のAnkerであるイォド・アムノクァを呼び出した。
|既定要請:機神一体《プリセットオーダー・エクス・マキナ》。決戦型ウォーゾーンと合体し、機神:建御雷《タケミカヅチ》に変じたイォドに、機銃で雪像を掃討させて進路を確保する。
「ついでに私も運んでください、イォド」
こんなところからは早く脱出しなければと、シズクはイォドに手を伸ばした。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

さ、さっむーいっ!
まだ、外で雪像を作っているほうがまだあったかかったかもー。
早くここを駆け抜けないと…。
…え?雪像がこんなにたくさんくるのっ!?
しかも、どんどん寒くなってきているし…。
…もしかして、この雪像みたいなものって、この影響でなっちゃったとかかな?
ということは、ここで立ち止まったら仲間入りしちゃいそう…。
そんなのやだっ!
あたしは帰る場所があるんだからっ!!
お母さんのあったかいご飯とかが待っているんだっ!
だから、ここであなた達の仲間入りはしないよっ!!
左手で精霊銃を抜いて乱れ撃ち。属性攻撃で炎属性を付与して少しでもあったかくなるように!
少し道が開いたら強行突破して走り抜けるよ!
「いざダンジョンに挑戦っ!」
エアリィ・ウィンディア(精霊の娘・h00277)は元気よくダンジョンへと足を踏み入れた。
途端にびっくりして目を見開く。
「さ、さっむーいっ! なんでっ?」
外は吹き付ける風が冷たかった。けれどここは、ぎゅうっとしみ込んでくるように寒さが押し寄せてくる。外よりも中が寒いなんて、どういうことなんだろう。
「まだ、外で雪像を作っているほうがあったかかったかもー」
雪像を作るために暖かい恰好をしてきているのが幸いだけれど、それでも長くはもちそうにない。
「早くここを駆け抜けないと……」
重くなってくる足を励まして、エアリィは通路を駆けだしたのだが。
「え? 雪像がこんなにたくさんくるのっ!?」
エルムの街にあったような雪像がこちらにやってくる。エアリィが作ったような雪うさぎもぴょんぴょんと。
雪像が近づくにつれ、寒さも増してゆく。
重くなる気分の中、エアリィの脳裏にいやな推測が浮かんだ。
「……もしかして、この雪像みたいなものって、この呪いの影響でなっちゃったとかかな?」
ということは。
「あたしも立ち止まったら仲間入りしちゃいそう……」
そして次にダンジョンに入ってくる冒険者へと、エアリィの姿をした雪像が……。
「そんなのやだっ! あたしは帰る場所があるんだからっ!!」
エアリィの帰りを、お母さんのあったかいご飯とかが待っている。ここで雪像の仲間入りなどするわけにはいかない。
エアリィは左手で精霊銃『エレメンタル・シューター』を抜くと、迫りくる雪像たちを乱れ撃ち。
炎の属性を付与された射撃は、雪像を溶かし、そして周囲を熱で暖める。
雪像が崩れて出来た隙間を、エアリィは強行突破で走り抜け。
「とうちゃーく!」
通路奥の扉を潜り抜けた。
🔵🔵🔵 大成功
第3章 ボス戦 『堕落騎士『ロード・マグナス』』

POW
英雄は死なず
【鎧】と完全融合し、【剣】による攻撃+空間引き寄せ能力を得る。また、シナリオで獲得した🔵と同回数まで、死後即座に蘇生する。
【鎧】と完全融合し、【剣】による攻撃+空間引き寄せ能力を得る。また、シナリオで獲得した🔵と同回数まで、死後即座に蘇生する。
SPD
ファルス・ソード
自身が受けた武器や√能力を複製した【偽りの聖剣】を創造する。これは通常の行動とは別に使用でき、1回発動すると壊れる。
自身が受けた武器や√能力を複製した【偽りの聖剣】を創造する。これは通常の行動とは別に使用でき、1回発動すると壊れる。
WIZ
カースドフレア
移動せず3秒詠唱する毎に、1回攻撃or反射or目潰しor物品修理して消える【呪いの炎】をひとつ創造する。移動すると、現在召喚中の[呪いの炎]は全て消える。
移動せず3秒詠唱する毎に、1回攻撃or反射or目潰しor物品修理して消える【呪いの炎】をひとつ創造する。移動すると、現在召喚中の[呪いの炎]は全て消える。
√ドラゴンファンタジー 普通11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
扉を入ると、さっきまでの異様な寒さは途絶えた。
うねうねと続く薄ら寒いダンジョンを、迷いながらも進んでゆくと。
……何かが聞こえた。
唸り、それとも呻き、だろうか。
意味を聞き取ることはできないけれど。
それが、そびえ立つ大扉の向こうから聞こえてくることだけは確かなのだった。

年齢の割に怜悧で落ち着いた娘です。良く言えば優等生的、悪く言えば面白みのない人間。どんな相手にも丁寧で穏やかな物腰で対応します。冷静沈着を旨としどんな状況でも年齢に不釣り合いなくらいの落ち着きと豪胆さを持って応じます。戦いは果敢で小さな体躯に似合わない中大型の刀を危なげなく操り前衛に立ちます。手足の短さはリーチの短さなので、後の先を取った戦い方をします。基本は刀のみで戦いますが裏をかいて至近距離で銃を抜くこともあります。

うー、寒かったぁ……って、出たな、モンスター! 丁度運動してあったまりたいと思ってたんだ、いざ尋常に勝負!
それにしても堅そうな鎧だなー。向こうが強化してくるならこっちも強化してくか。空間引き寄せ能力は厄介そうだけど、【竜漿魔眼】を使って隙を突きながら戦うぜ。あたしの霊剣の切れ味、よ~く見とけ!
味方の隙を狙ってるって気付けたらできるだけカバーもする。意外と気が利くってよく言われんだ……年に一回くらい。
あっ、すぐ蘇生しちまうのか! うーん、じゃ蘇生しなくなるまで倒すのみ! 戦いは先に諦めた方の負け、根性には自信あるからな!
進路を遮ってそびえ立つ大扉を、レイシー・トラヴァース(星天を駆ける・h00972)は見上げた。
「これってやっぱり、ボス部屋ってやつかな?」
「恐らくはそうでしょうね。これまでの扉とは明らかに違っています」
追いついてきた鳳・楸(源流滅壊者・h00145)が扉へと耳を寄せた。
「……だ……せいけん……てに……しの……たしの……」
誰かと話しているわけでは無さそうだ。ただただ低くだらだらと続く呻きに楸は耳を澄ましてみたが、くぐもっていてひどく聞き取りにくい。
何がいるのだとしても、普通の状態ではないだろう。
楸がそう伝えると、レイシーは緊張を見せる……かと思いきや。
「モンスターかな。とりあえず覗いてみようぜ」
大扉へと手を掛けると、力を入れて押し開けた。その横で、楸は合金鍛造刀«緋閃»の柄に手を当てて身構えた。
扉を開けた先はがらんとした部屋だった。
その奥にうずくまっていた何かが、ゆっくりと身をもたげる。
「おまえも……聖剣を……のか……」
ソレが身に着けている全身鎧には金が施され、手にした武器も立派なものだ。だが、立ちのぼる気配は禍々しい。
「……堕落騎士『ロード・マグナス』ですか」
楸はその伝説を思い出す。
世界に安寧をもたらす聖剣を探索する勇者として有名だったロード・マグナス。だが、彼は実は√能力者ではなかった。
数多のダンジョンを制覇していった彼は、やがて……天上界の遺産の影響を受け、哀れモンスターと化してしまったという。
その後ロード・マグナスは、モンスターとしてダンジョン内を徘徊する姿が目撃されている……。
「出たな、モンスター! 丁度運動してあったまりたいと思ってたんだ、いざ尋常に勝負!」
霊剣を手に、レイシーはロード・マグナスを観察した。
気になるのは、モンスターが身に着けている鎧。かなり堅そうだ。
まともに斬りつけても、あの鎧に守られて効果的にダメージを与えられるかどうか……。
ならば。
レイシーは全身の竜漿を右目へと集中させた。燃え上がる右目が、ロード・マグナスを見据える。
元勇者と言えども、必ずどこかに隙はあるはず。
隙を突き、隙を生み出してみせる。
ロード・マグナスが空間を引き寄せるその動きに乗じて、レイシーは霊剣を振り下ろした。
緋閃を手にした楸はロード・マグナスに対峙した。だが、刀は鞘におさめたまま。ひたすらに戦意を注ぎ込む。
そんな楸へと振るわれるのは、レイシーの√能力を複製した偽りの聖剣。
楸の隙をついての攻撃。だがそれを受け止めたのもまた、レイシーの霊剣だった。受け止められた偽りの聖剣が、砕け散る。
「へへ、どうだ。意外と気が利くってよく言われんだ」
年に一回くらいはな、とレイシーは付け加えた。
「あたしの霊剣の切れ味、よ~く見とけ!」
レイシーがロード・マグナスを相手取っている間に、楸は|絶禍《ゼッカ》を完成させた。目にも留まらぬ居合の一撃が、ロード・マグナスに放たれる。
「やった、倒した!」
喜んだレイシーだったが、ロード・マグナスは再び立ち上がった。
「あっ、すぐ蘇生しちまうのか! うーん……じゃ蘇生しなくなるまで倒すのみ!」
戦いは先に諦めた方の負け。ならば自分は負けやしない。
レイシーは気を取り直し、ロード・マグナスへと斬りかかるのだった。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功

ドラゴンプロトコルの|載霊禍祓士《さいれいまがばらいし》×古龍の霊剣士です。
普段の口調は「丁寧口調(ワタシ、~殿、ございます、ございましょう、ございますか?)」です。
√能力は指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
戦闘時は他の人が動きやすいように、敵の注目を引き受けるように戦います。
自分か味方が危険と判断した場合は【古き龍神の凱歌】を使用して正面からの殴り合いに切り替えます。
他の√能力者に迷惑をかける行為はしません。やむおえない場合は、公序良俗に反する行動をする場合はあります。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!

ロード・マグナス……このダンジョンの主はキミなのかな?
モンスターになったとはいえ、元勇者サマが相手なら気を引き締めないとだね。
真っ向勝負といこうか。【氷竜の砕撃】で両手斧を生成、彼との打ち合いに備えるよ。
引き寄せも移動の手間が省けたと前向きに捉えて動揺せず斧を打ち下ろしていくよ。
そしてボクの攻撃は万一外れても無駄にはならないよ。
生み出された凍結地帯は近接攻撃の範囲内なら間違いなくマグナスに悪影響を与える。
……仲間のみんなには悪いけど、ね。でもこれで勝ち筋が見えるはずだよ!
扉の向こうの部屋で冒険者を待ち受けるモンスター。
その相手を見分けたスノウ・ドラゴネット(氷雪の竜狼・h04232)は、彼の名を口にした。
「ロード・マグナス……このダンジョンの主はキミなのかな?」
かつては有名な勇者として響き渡っていた彼の名は、今は堕落騎士『ロード・マグナス』として人に知られている。
「ダンジョン……しが制覇……聖剣……れる……」
うつろに紡がれる言葉は低く這うようで。
途切れ途切れの呟きから、立岩・竜胆(今は古き災禍の龍・h01567)はロード・マグナスが言わんとしている内容を推測する。
「モンスターになってなお、聖剣を追い求めているのでございましょうか」
聖剣を手に入れるというロード・マグナスの望みは、彼が√能力者でなかったが為に叶えられなかった。
モンスターとなっても続くその妄執を、哀れと思うべきか、見事と讃えるべきか。どちらであってもここで断ち切らねばならないだろうと、竜胆は牙刀を抜き放った。赤い刃紋の浮かぶその太刀は、竜胆のかつての肉体、その牙の一部。
鎧に青い炎をまとわせたロード・マグナスへと、竜胆は牙刀を上段に構える。
「お相手つかまつります」
大振りに斬り下ろされた牙刀は鋭く速く。
がきりと硬い手応えでロード・マグナスの身を覆う頑丈な鎧へと食い込み、鎧を越えてダメージを押しこんだ。
ロード・マグナスもただ斬られはしない。ぐいと空間をゆがめて引き寄せ、竜胆へと大剣を突き込む。だがそれこそも、敵の目を引きつけておこうとする竜胆の作戦のうちにあることを、ロード・マグナスは理解できているのだろうか。
「モンスターになったとはいえ、元勇者サマが相手なら気を引き締めないとだね」
スノウの手の中で、変形型竜漿兵器『グレイシャルカレイド』が両手斧へと形を変える。
「では真っ向勝負といこうか」
冷気を立ちのぼらせる両手斧を眼前に掲げて打ち合いに備えるスノウへと、ぐるりとロード・マグナスの首が巡らされ。
鎧に隠されロード・マグナスの顔は見えない。だがそれでも確かに目が合った、と感じた刹那。
ぐいとロード・マグナスが身を乗り出すような……いや、そう見えるのはあるべき空間が引き寄せられたため。
至近距離から振り下ろされるロード・マグナスの闇の如くに黒い大剣。
それを受け流すスノウの光を通す透明な両手斧。
打ち合いでわずかに削られた氷がきらりと光を撒いた。
「そっちから引き寄せてくれて、移動の手間が省けたよ」
ロード・マグナスの引き寄せ能力にも動揺せず、スノウは斧を打ちおろした。
だが重い大剣を受けたばかりのスノウの体勢は整わず、斧はロード・マグナスの鎧の表面をかすめただけ。地面に打ち付けられた斧は砕け散る。
けれど。
斧が叩いた地面から周囲へと、連結地帯が広がった。
|氷竜の砕撃《アイスボーンアックス》は外れても無駄にはならず、凍り付いた地帯では敵味方なくその行動は妨げられる。
スノウ以外、思うように動けない連結地帯。
「みんなごめん。でもこれで勝ち筋が見えるはずだよ!」
再び作り出された氷の両手斧を手に、スノウはロード・マグナスへと挑み。
ついにその命のひとつを砕いたのだった。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功

この奥は強い相手がいそうだよね。
でも、ダンジョン攻略のためにもここは頑張らないとっ!
そして、早く帰ってあったかいご飯を食べるんだーっ!!
騎士様、たしか炎を生み出していたよね。
移動させるには…。無理やり押し通す?
それならっ!
高速詠唱で唱えるのは、六芒星増幅術精霊斬。
まずは、強化したスピードで空中移動で少し高く飛んで、空中ダッシュで騎士様に向って突進っ!
直線状にある炎はオーラ防御とエネルギーバリアーでダメージを軽減っ!
そして最短距離で直進して、勢いよく体当たりっ!
少しでも騎士様を移動をさせたらその隙に六芒星精霊収束斬で一刀両断っ!
これでフィニッシュっ!
…ふぅ、これで終わったかな?
つっかれたぁ~。

考えごとしてる間に置いてかれちゃいましたけども。
あれが所謂、核と呼ばれるモンスターですかね。確か潰すとダンジョンごと消えるとかなんとか。あれ?違うんでしたっけ?
依頼になってるって事は多分消しちゃって大丈夫なダンジョンなんですよね、多分。
確か、√能力者以外にとっては、ダンジョン自体が危険なんですっけ?違う?
他所の√の事もうちょっと勉強しますか……。
さて、一見したところ防御性能は非常に高いものの、遠距離からの攻撃に対応している最中には動けないようですね。
なら、とにかく火力をぶつけるのが丸いですかね。
分からないけど高速大質量が効かない事無いでしょ、対物貫通弾頭用意。
エアリィ・ウィンディア(精霊の娘・h00277)もまた、ダンジョン奥の大扉へと到着した。
「この奥は強い相手がいそうだよね」
これまでのような、ただの区切りとしての扉ではなく、開けるのに覚悟を要求してくるようにそびえ立つ扉を、エアリィは見上げた。
けれどここで引き返すわけにもいかない。
「ダンジョン攻略のためにもここは頑張らないとっ! そして、早く帰ってあったかいご飯を食べるんだーっ!!」
その前に立ち塞がる障害となれば、打ち倒すしかない。
エアリィは扉に手をかけると、思い切って開けた。
「やっと追いつきましたー」
そこに水垣・シズク(機々怪々を解く・h00589)がやってくると、ちょうどエアリィが開けた扉の中を興味津々にのぞき込んだ。
「なんかゴツイのがいますね」
「あれって、もしかして……ロード・マグナス?」
エアリィの脳裏を、彼に関係する話がよぎってゆく。
かつては勇者として名を馳せたロード・マグナス。彼は√能力者ではなかったが、√能力を持たぬのに数々のダンジョンを制覇したというその力は計り知れない。
「ええっと、あれが所謂、核と呼ばれるモンスターですかね。確か潰すとダンジョンごと消えるとかなんとか……あれ? 違うんでしたっけ?」
普段√ドラゴンファンタジーを訪れることのないシズクは、ダンジョンについての知識を呼び起こそうと、疑問を口に出す。
「依頼になってるって事は多分消しちゃって大丈夫なダンジョンなんですよね、多分。確か、√能力者以外にとっては、ダンジョン自体が危険なんですっけ? 違う?」
「シズクさん落ち着いて。ダンジョンの|核《コア》は天上界からばらまかれた遺産だよー。あのモンスターは倒しちゃって大丈夫だから」
エアリィに言われ、シズクはぐるぐるした思考にブレーキをかけ、
「他所の√の事もうちょっと勉強しますか……」
呟きながらロード・マグナスを観察した。
「さて、一見したところ防御性能は非常に高いものの、遠距離からの攻撃に対応している最中には動けないようですね」
ならば、とにかく火力をぶつけるのが良いかと、シズクはAnkerであるイォド・アムノクァを召喚した。
『イォド、出番です』
|既定要請:機神一体《プリセットオーダー・エクス・マキナ》。決戦型ウォーゾーン『神楽』とイォドが合体し、|機神:建御雷《タケミカヅチ》へと変身する。
「対物貫通弾頭用意」
高速大質量が効かないことは無いだろうと、シズクはイォドに命じる。
「目標、ロード・マグナス――発射!」
轟音とともに発射された弾がロード・マグナスの鎧を貫いた。
そうしている間にも、ひとつ、ふたつ、みっつ……ロード・マグナスの周辺には呪いの炎が作り出され、こちらを攻撃し、あるいは反射し、目潰しをしてくる。
「こんな勢いで呪いの炎が増えていったら対処できなくなっちゃう……」
エアリィが危惧する間にも、炎はまた増えてゆく。
これを消すにはロード・マグナスを移動させれば良い。そのためには……無理やり押し通す?
「それならっ!」
高速詠唱で唱えるのは、|六芒星増幅術精霊斬《ヘキサドライブ・ブースト・スラッシュ》。
小柄な身体は宙へと跳ねて、空中からダッシュでロード・マグナスへと迫る。
その道筋にある呪いの炎を受けるのは覚悟の上。強行突破するエアリィへと、防御に弾かれた炎の欠片が火花となって振りかかってくるが、ぐっと耐えて。
「それっ!」
勢いをつけての体当たり。
ロード・マグナスがよろめいたのはほんの一歩、けれど炎を消すにはそれで十分だ。
火・水・風・土・光・闇。複合された魔力を束ね、エアリィは六芒星精霊収束斬でロード・マグナスを袈裟懸けに断つ。
六芒星精霊収束斬はロード・マグナスの頑強な鎧を貫通し。
最後のひとつとなっていた彼の生命を完全に断ち切ったのだった。
「……ふぅ、これで終わったかな? つっかれたぁ~」
エアリィははぁっと息を吐き出した。
「そのようですね……」
シズクは塵と崩れたロード・マグナスの亡骸を見やった。しばらくの間その上に僅かに青い炎がちらちらと燃えていたが、それも消え。
ロード・マグナスは次の蘇生までの眠りについたのだった。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功