君の胸にゲーミングダツは輝く
――その晩。1人の釣り人が、漁港で夜釣りを楽しんでいた。
ヘッドライトにライフジャケット。マーカーライトも付けているあたり、彼の安全への意識はかなり徹底されている言っても良いだろう。
リールをのんびり巻いていれば、不意に竿先が大きくしなる。一気に海底まで引き摺りこまれる様な手応え、この引きは大物だ。
釣り人はラインブレイクしない様に、しかし逃げられぬように時に竿を立て、時に果敢にリールを巻いて獲物を手繰り寄せてゆく。
そうして数分に渡るファイトの末、遂に力尽きた魚影が海面に浮かび上がったアレは、スズキだろうか。
あれだけ大きければ、ソテー、ムニエル、何が楽しめるだろう。
釣り人はその釣果を得るべく、タモ網を片手に水面を覗き込んだ。その時であった。
――どずっ!!
腹に、強い衝撃を受けた。突然の事に頭が追い付かないが。
魚が。一匹の魚が、ライフジャケットの上から腹に突き刺さっている。
――やられた、ダツだ。
ダツ。ダツ目ダツ科に分類される、最大1m程にもなる魚類である。
このダツ目にはメダカやサンマ、サヨリも含まれており、サンマの口吻をやたら長く、鋭くした魚であると思って頂ければよい。
このダツという魚、光に驚いて突進する習性があり、水中はおろか、水面から勢いよく飛び出してくる事もある。
それがダイバーや釣り人の首や胸に突き刺さり、死傷する事故の原因ともなっている。
一説によれば鮫よりも恐れられている場合もあるというのだから、その鋭さも伝わるであろうか。
傷の具合はわからないが、下手に抜けば酷く出血する可能性もある。釣り人は救急車を呼ぶべく、ポケットに入れた携帯端末を取ろうとして。
「――……は?」
――驚きに、眼を見開いた。
まるで矢の様に刺さっているダツが、虹色に輝き始めたのだ。
その色味は約1680万色。所謂ゲーミング発光である。
釣り人歴ン10年、こんなダツは見た事がない。訳の分からなさに、スマホを操作する事も忘れた。
……それが、運命の分かれ道であった。
さて、ダツの習性を改めて確認してみよう。
――奴らは『光に反応する』のである。
――翌朝。
身体の正面に無数のダツが突き刺さった変死体が、漁港で発見された。
●
「サメも怖いけど、ダツも怖いのにゃ……。しかも、ゲーミング発光し始めたにゃ……。」
半人半妖の星詠みの子猫・|瀬堀・秋沙《せぼり・あいさ》は、深刻さと虚無感の入り混じった表情で居並ぶ√能力者たちを見回した。
ーーダツ。まるでダーツみたいだな。
誰かがそう言って寒波が訪れた気がするが、そこはさておこう。
彼女の故郷である小笠原にも、ダツ目最大種のオキザヨリ(1.5m)という魚類が生息している。
これも死傷事故の原因となっており、オニカマスやサメなどの様に、ダイバーの間では恐れられている。
さて、このダツ。ただのダツであれば悲しい事故で済んだのであるが。
問題は、予兆で判明した『刺さった瞬間にゲーミング発光する』という訳の分からない生態である。
――また、ゲーミング発光生物か……。
とある√能力者は頭を抑え、とある√能力者は目元を抑えた。
そう。皆さまお待ちかね、ゲーミングダツである。
然も、思い出してほしい。『光に反応して』突っ込んでくるのだ。
ーーお分かり頂けただろうか。
ゲーミングダツ自身のゲーミング発光も対象である。
この危険極まりない怪生物も√能力を持たないというのだから恐ろしいが、耐久力は普通の魚類である。
骨は多いが淡白な白身魚であり、油ものと相性は良いという。
駆除ついでに持ち帰って食べるのも良いだろう。
「なんだか光につられて、色んなゲーミングの気配がするにゃ……。
なんなら、最初から最後までゲーミング発光の気配がするにゃ……。
みんな、的になったり、光に目をやられたり、ゲーミング発光させられたりしないように気を付けてにゃ……。」
ーーん?何だか最後、地味に恐ろしい事を言わなかったか?
EDENの√能力者たちがこの事件の最終章に辿り着いた時。
約1680万色に輝く、衝撃の真相を知る事になる……。
ーーかもしれない。
マスターより
多馬皆さまこんにちは、或いは初めまして。多馬でございます。
戦争も終わって、いきなりゲーミング発光です。
クリスマスイルミネーションの様に、約1680万色に輝きましょう。
●第1章
今回は詳細なマップはありません。
夜の√マスクドヒーローの漁港に現れるゲーミングダツの駆除を行って頂きます。
海から飛来して刺さるまでは、ただのダツです。
ただし、刺さってから『大当たりー!』とでも言うかの様にゲーミング発光します。
一度刺さるとそのゲーミング発光を目掛けて次々と新手が飛んで来ますので、その習性も駆除に利用できるでしょう。
物理面に於いては、この依頼最強かもしれません。
なお、√能力者ではないので殺せばちゃんと死にますし、耐久力も普通の魚類です。
●第2章
ゲーミング発光するクラゲが襲来します。
強くはないですが、視神経には相当な負荷が掛かると思われます。
夜ですが、サングラスの準備は出来ていますか?
●第3章
奴はゲーミング発光であり、対峙する者もまたゲーミング発光させられかねないという、人間の尊厳を破壊しかねない恐ろしい敵です。
ゲーミング√能力者にされないよう、頑張って斃してください。
●進行・プレイング受付について。
断章を執筆後、執筆開始の予定です。
最大でも4名様~6名様ほどの募集になろうかと思います。
また、それ以前に頂いたプレイングは再送をお願いする可能性が高いです。
採用は先着順ではなく、プレイングの内容によっては纏めて描写させて頂きますので、ご承知おきください。
以上です。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
84
第1章 冒険 『ゲーミングダツ』
POW
肉体で何とかする。
SPD
道具でなんとかする。
WIZ
魔法で何とかする。
√EDEN 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ーー某漁港、新月の夜。
この地に訪れた√能力者たちは、極限まで光源を減らしてこの地に降り立った。
それはそうである。光があれば、通常のダツ以上の殺意を持ってゲーミングダツが飛んで来るというのだから。
現場に足を踏み入れていきなり約1680万色のダーツの餌食になりたいという猛者は、そうは居ないであろう。
しかし、コレではターゲットがいるのかすらわからない。
試しに、適当な板に火を着けて、光源にしてみた結果……
ーーどかかかかっ!!!!
大漁である。板に突き刺さって、びぃぃぃん……とか。魚が出して良い擬音ではない。
着弾と共にゲーミング発光して、眩しい事この上なく。
その光目掛け、矢戦さながらに更なるダツがびゅんびゅんと飛来してくる始末。
しかも、狙いを外し、輝くこと叶わなかったゲーミングダツを拾い上げてみれば。
ーー口吻に、返しが付いている。
鏃などに付けられ、容易に抜けなくさせるアレである。
一度刺さったら抜けなくなるとか、この捨て身極まる精神は魚類、いや生物としてどうなのか。
無論、普通のダツにこんな物騒なものは付いていない。
あまりの殺意に戦慄しつつ、√能力者たちはゲーミングダツの駆除に挑む!
チェルシー・ハートサイス★心情
変な魚ね。けれど、余計なものを削ぎ落としたような形状と思い切りの良さは気に入ったわ。
★行動
岸壁に立ち、真横に【血蔦の縛鎖】の衝撃波を放つ。血は気持ち多めに、なるべく広めに。
ねえ、どなたか。また火をつけてくださらない?(断章と同じように)
火がついたら、血を紐状、更に折り重ねて網状へ変化。飛んでくるダツを文字通り、一網打尽にするわ(ダイナミック刺し網)
あとは火がなくとも待てば勝手に飛んでくるし、勝手に刺さるし、刺し合って死んでくれると思うけれど。取り切れなければ、生きたダツを【切断】してから縛鎖を解く。
あまり精密に切るのは難しいけれど、頭を飛ばせば問題ないでしょう?
青木・緋翠虹色に光るとゲーミングなのですね、なぜなのでしょうか
光ったら俺もゲーミングパソコンになれるかもしれません、高性能ですね
パワーアップのためにも頑張ります
ダツのお料理も良いですね。蒲焼やなめろうに出来るそうで
派出所の皆さんのおつまみに良いと思いますので、捕れるだけ捕ります
電磁バリアを二重に張り、水面に近い側のバリアを少し柔らかくしておきます
後ろのバリアで止めつつ、水面側のバリアで返し部分を引っかけて捕獲する作戦です
√能力のロゴマークを光らせて(目つぶし)おびき寄せ
消滅すれば暗くなりますので、スマートグラスで暗視しながらクーラーボックスに入れ、電子化して肩掛けカバンに仕舞います
沢山採れると良いですね
アネット・ファーネリア・リングストンなんか良く出て来ますわね、ゲーミング発光生物…おかしいわね。
なんで、こう言うのが増えて来たのかしらね…
プラグマの仕業かしらね。
とりあえず、手っ取り早く済ませる為に、藁人形とLEDを用意、仕込んでから、漁港に置いて観察。
もしもの場合に備え、瞬間移動も準備。
「厄介極まるわね…とりあえず、取れたら、いい食材になるわね」
――ここのところ、度々現れるゲーミング発光生物。
先の秋葉原の戦争においては、鬱陶しい程の約1680万色にギラギラと輝く翼を持つ、人型の大根の簒奪者まで現れたという。
――何故、彼らはゲーミング発光するのか。
――そも、ゲーミング発光とはいったい何なのか。
「虹色に光るとゲーミングなのですね、なぜなのでしょうか。」
|青木・緋翠《あおき・ひすい》(ほんわかパソコン・h00827)の一言は、根源への問いと言っても良い。
なお、虹色の発光が何故『ゲーミング発光』と称されるのか。筆者はその由来と効能について、明確な答えに辿り着く事は出来なかった。赦されたし。
勿論、これから光るであろう|本魚《ほんにん》たちも、理由など知る由もない。大方、彼ら?を作った怪人が面白がってそうしたのであろうが、基本的には謎である。
「光ったら俺もゲーミングパソコンになれるかもしれません、高性能ですね。パワーアップのためにも頑張ります。」
そう、翡翠は古いパソコンの付喪神であるのだが……彼がもしゲーミングPCの付喪神となった時、一体どうなってしまうのであろうか。
彼が纏うおっとりほわほわな空気との齟齬がどえらい事になってしまう気もするが、本人たっての希望であるならば、筆者に止める権利はない。
是非、彼にはゲーミングな輝きを手にして頂きたい。
……ダツのゲーミング発光は生態器官っぽいので、パワーアップに使えるかはわからないが……。
そんな、新たなる機能獲得と性能上昇を目指す翡翠の傍らで。
「変な魚ね。けれど、余計なものを削ぎ落としたような形状と思い切りの良さは気に入ったわ。」
と、チェルシー・ハートサイス(強者たれ・h08836)は、ゲーミングダツの特攻精神を評価した。
――『強者たれ、孤高であれ。』
それが、小柄な吸血鬼である彼女を形作ってきた教えであり、誇りであり、そして他者の価値を縛る呪いでもある。
ゲーミングダツの在り方も、光る者を見付けた際の|見敵必殺《サーチ&デストロイ》っぷりは、ある意味で洗練されていると言っても良いであろう。
余計な機能にも見える刺さった後に約1680万色に輝く能力も、集団で確実に止めを刺すためと思えば理に適っているとも言えるのかもしれない。
若干、彼女の姓を冠する大鎌『ハートサイス』を振るうには役不足な相手と思えなくもないが。
その命を刈り取るために、チェルシーも誇りを以て全力を振るうのであろう。
「なんか良く出て来ますわね、ゲーミング発光生物。……おかしいわね。」
それにしても、本当におかしい。誰だ、こんな怪生物を解き放ったのは。
これが万が一原生のダツなどと交雑した場合、とんでもない遺伝子汚染の発生である。
アネット・ファーネリア・リングストン(動物保護官・h06517)もまた動物保護官としての立場を持つからには、この遺伝的多様性に正面から喧嘩を売る様な違法放流をする輩を何とかとっちめて頂きたい。
「なんで、こう言うのが増えて来たのかしらね……。プラグマの仕業かしらね。」
そう、√マスクドヒーローのあれやそれやは、『全部プラグマの所為』という事にしておけば大体片付くのだ。
リンドー・スミスが全身をゲーミング発光させられたり、サイコブレイドが額の第三の目を只管に約1680万色の輝きに狙い撃ちにされ続けたりしたのも、全てプラグマの所為である。
というわけで。人間の尊厳を奪われた簒奪者たちのため、そして漁港を訪れる釣り人などから犠牲者を出さないため。
EDENの√能力者たちによる、ゲーミングダツ駆除作戦が始まった!
●
さて。今回のターゲットであるゲーミングダツだが、今までのゲーミング生物と異なる、ある意味厄介な性質がある。
――対象に命中するまで、光らないのである。
彼らがその旺盛な特攻精神とは裏腹に控えめな性質なのか、ただ単純にそう造られたのかはわからないが。
普段から滅多矢鱈と光り輝きながら泳がないのである。
これは他のゲーミング怪生物とは大いに異なる習性であり、この新月の夜、足元の海に一体どれ程の天然危険物が泳ぎ回っているかの捕捉が困難であるとも言える。
となれば、先ずは下準備が肝要であろう。
「ダツのお料理も良いですね。蒲焼やなめろうに出来るそうで。
派出所の皆さんのおつまみに良いと思いますので、捕れるだけ捕ります。」
そう語る翡翠は、既に√妖怪百鬼夜行の職場に持ち帰る気満々だ。
ダツは小骨が多いものの、サンマやサヨリの仲間というだけあって味も悪くない。流通の少ない未利用魚に含まれているのが不思議な程である。
彼も含めて10人所帯、さて彼らの腹を満たす事が出来る程に捕れるであろうか。
翡翠は気合を入れると、海に向けて電磁バリアを二重に張った。水面に近い側のバリアは返し部分を引っ掛けるべく、少し柔らかく。
陸側のバリアで完全にシャットアウトする、という作戦である。
「厄介極まるけれど……そうね。獲れたらいい食材になるわね。」
「あら、随分と大きな藁人形ね、人ひとり分はありそうだわ。」
一方で、チェルシーが興味深げにその手元を覗き込む中、アネットはせっせと藁人形を作り上げていた。
吸血姫が言う通り、その大きさは人間ほど。それが数体である。その中にLEDを仕込み、完成だ。
「試運転は出来ないけれど、あとはうまく機能してくれるのを祈るのみ、かしら。」
シャーマンの血を引くという彼女であるが、何も藁人形でゲーミングダツたちを呪い殺そうという訳ではない。
呪術とは異なる歴史上の故事に基づいた、立派な『鹵獲』作戦である。この藁人形を立てて、ほぼ準備は整った。
「では、最後にわたくしね。」
チェルシーは最後の仕掛けを施すべく、岸壁の上に立つと。
岸壁と平行に己が魔力を籠めた血液の衝撃波を放った。効果範囲を広げるべく、用いた血はいつもより多めだが。
可憐な見目である彼女も、これしきで血が足りなくなる様な軟な吸血鬼では断じてない。
「――ねえ、どなたか。また火をつけてくださらない?他の灯りでも結構よ。」
一切の優雅さも崩さず、2人に問えば。
それに応え、3.5インチ|FD《フロッピーディスク》を取り出したのは翡翠である。
「では、僕の√能力でいきましょう。準備が出来たら、一斉に点灯しますね。
――>|召喚《call》 ヘルプキャラ:謎のマーク」
|古代語魔術師《ブラックウィザード》である彼は、この今では挿入口があるかも怪しいフロッピーディスクを媒介に、魔法を発動する。
果たして、投げられた青い正方形の懐かしいアイテムに封入されていた術式とは。
――青黄赤緑色に塗られた、ロゴのようなマーク。
これがぽんと、音を立てて虚空に現れた。これが、ひとつ、ふたつ……時が経つに連れて、どんどんと増えてゆく。
これらが翡翠のバリアとチェルシーの血の衝撃波の側面にくっ付いてゆく。
――【ヘルプキャラ:謎のマーク】
移動せず3秒詠唱する毎に、1回、目潰して消える謎のマークをひとつ創造するという√能力である。
動けば全て消えてしまうという制約はあるものの、今はバリアで完全防備した状態だ。
その上、彼の頭の中には『動けば消える』という特性も、全てうまく使い切る算段もついている。
「――それでは、いきますよ。」
翡翠の合図と共に、チェルシーは血を紐状に折り重ねて網を形成し、アネットはLEDのスイッチを入れ。
そして、謎のマークたちの|点灯《目潰し》と共に。
新月の夜を埋め尽くさんばかりの、大量のダツが宙へと躍り上がった。
●
「思っていた以上に居たわね?一網打尽という狙い通りになったのはいいのだけれども。
この、とても眩しいのはどうにかならないかしら。」
「ええ、まさかこんなにいるとは思いませんでしたよ。……こんなには持ち帰れませんし、食べ切るのに何年掛かるやら。」
「肉食魚だから環境に悪影響を出す事は間違いないし、今のうちに駆除に移る事が出来てよかったわ。」
バリアと血液の網の後ろで、チェルシーと翡翠とアネットの3人はのんびりと語らっていた。
そうこうしている間にも、次から次へと翡翠のバリアにはゲーミングダツがびぃぃぃぃん、と音を立てて突き刺さり。
チェルシーのダイナミック刺し網にも狙い通りにダツが飛び込み、其処に次から次へと新手のゲーミングダツが勝手に突き刺さって同士討ちが発生するという、中々の大惨事である。
この様な生態でよく今まで絶滅せずにいられたものだと心の底から思うが、それ故にこの程度の群れの規模で済んでいるのかもしれないと思うと、中々複雑な心境だ。
新月の夜であった筈の漁港は、それはもう数え切れない程のダツがそれぞれに放つ約1680万色の輝きに満たされ、眩しい事この上なく。
それがタイミングを合わせることも無くてんでバラバラに色合いを変えて輝くものだから、大変に目によろしくない。
3人とも、眼精疲労から来る種々の不調を感じそうになってきたところで。
「ねえ、そろそろ後の方たちに任せてもよろしいのではなくて?」
そう切り出したのはチェルシーであった。戦いはこの後にも続くのだし、一度目を休ませる必要もあるだろう。
「ここまでやれば十分、一度休憩にしましょうか。」
「そうですね、僕も十分に捕りましたし。他の方たちの分も残しておかなければ。」
同意した翡翠が一歩歩くと謎のマークは全て消滅し、光源はゲーミングダツを残すのみとなり。
「あまり精密に切るのは難しいけれど、頭を飛ばせば問題ないでしょう?」
――【|血蔦の縛鎖《ブラッドヴァイン》】
アネットのハートサイスで頭を斬り落としてやれば、その目に五月蝿かったゲーミング発光も大人しく消え去ってゆく。
次々とゲーミングダツたちの命を刈り取って。
一時的にではあるが、漸く漁港に新月の暗闇が帰ってくるのであった。
●
「いやぁ、沢山採れて良かったです。」
スマートグラスを掛けた翡翠が、どこかほくほくとしたような笑顔でクーラーボックスにゲーミングダツを収める。
何せ、今までの光が光だったものだから、スマートグラスで暗視しても中々像を結んでくれなかったが。
大漁も大漁、それはもう恐ろしい程に捕れていたのである。1m程にもなる魚体ではあるが、電子化して肩掛けカバンに仕舞ってしまえば問題ない。
さて、無事に持って帰るまでが仕事だが、果たして派出所の皆は喜んでくれるであろうか。
一方で、アネットとチェルシーの方を見てみれば、弁慶の立ち往生も生温いという状態になった藁人形たちをまじまじと観察していた。
「こちらも大漁だけれども……。」
「これがわたくしたちの身体に刺さっていたかもと思うと、少しばかりぞっとするわね。」
そう、アネットが倣った故事とは、『草船借箭』の計である。
三国志平話の周瑜か、或いは三国志演義の孔明か。
赤壁の戦いにおいて、曹操の陣より10万本もの矢を調達したという伝説だ。
……とはいえ。
実際に目の当たりにしてみれば、幾ら藁人形とはいえハリセンボンよりも無惨な状態である。
ともすれば普通の矢が刺さるよりも痛々しいその姿に、3人は思わず揃って閉口するのであった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
錫柄・鴇羽うわ、ヤバいですね。
口吻にカエシとか害する以外の意思を感じれません。
幸いな事に普通? ゲーミングに光るのに?
いや、まぁ普通の魚類の耐久力みたいですし適切に当たれば被害は最小限に抑えられると思いたいですね。
□SPD行動
フレックスウォールを展開して海側にレギオン達を配置。
適当に発光させて囮にします。 抗議は全部無視。
私も海側に立って囮です。よくよく考えたら幽霊の身体には物理通らないのだわ。
√能力魚じゃ無いので突破できないでしょうし。
見てくれるは酷くなりますが何事も経験ですよ。……この経験が役ん立つのかは不明ですけどね。
(ダツ貫通されつつ)「見てください私もゲーミングに光ってますよ」
アレスター・ペクスパンテーラぼくは通りすがりの渡り鳥!
スマホ開くと来ちゃうのかな?集めること自体は簡単そうだけど後始末だよね……ぼくは光り物はなんでも好きだけど自分が光るのは
…いやだなあ(棒読み
誰かタイミングを図ってる人、いない?
このあと誰か助けてー!ってなりそうな囮作戦なら思いつくんだけど!
√能力を使うなら全身に決まってるよ、対象は「ダツ」だけね
姿は一応、写真で見てきたので大丈夫
矢の様に飛ぶのならきみたちにも翼をあげよう
ただし、……ぼくの翼は飛べる羽とは限らない、けどね
翼に埋もれて、失速するんだね
飛ぶ鳥は落とすべし、……そうでしょう?
「ぼくも翼が生えてるだけのヒトではなく、一応人間災厄の分類なのさ。人助けだよ、これは」
深見・音夢なんか今回のゲーミング生物、殺意が高くないっすか? 習性との相性とか返しが付いているとことか。
割と本気で生物兵器でも開発してるんじゃないかと心配になってきたんすけど、死人が出るような案件とあっては放置はできないっすね。
でも光に集まるって点が分かっていれば逆に利用できるはず。
もったいないっすけどマフラーに火をつけて振り回して漁り火的な感じで囮にするっす。
で、一匹でも引っ掛かって絡まったら宙に投げて【火遁・連鎖爆雷変化の術】で起爆!
ゲーミングな明かりと爆発の閃光に釣られた敵を誘爆で一網打尽っす!
天ぷらとか唐揚げが美味しいって聞いたんで仕事終わりが楽しみっす。小骨ごとバリバリ行けば問題ないっすよねー
黄菅・晃アドリブ&連携歓迎
…ゲーミング何回目?というかうちの職員がこれ(仕事)を私に投げる理由は?
(眼精疲労軽減目薬、ビタミンA配合サプリメント持参。腕時計等の光る系のものは外している。準備万端の虚無顔)
まぁ働くけど
取り敢えずアンタには的になってもらうわよー
(悲しみの影を盾にしながらスマホのLEDライトをぴかぴかさせる)
(怯えてるけど影達には痛みはないから問題無しでしょ)
(スマホのライトに釣られた物騒なダツを悲しみの影の範囲攻撃で叩き落として仕留める。間に合わなかったダツは楽観の影でジャストガードからのクーラーボックスへ)
今回もいい感じのおつまみよろしくねー
(楽観の影になんかいい感じのおつまみを依頼)
「……ゲーミング何回目?というかうちの職員がこれ(仕事)を私に投げる理由は?」
余程、彼女の能力を信頼されているか、2度ある事は3度あるの精神で依頼されているか、はたまた別の意図があるかはわからぬが。
新月の暗闇の下、海風に白衣を翻す|黄菅・晃《きすげ・あきら》(汎神解剖機関のカウンセラー・医師兼怪異解剖士・h05203)の表情は。
――『虚無』。
ただ、その2文字であった。
少なくとも、あの星詠みの子猫が紹介したゲーミング生物が関わる仕事に晃が携わるのは、これで3度目である。
一度、どの様な意図を以て彼女に仕事を回しているのか、担当者に問い詰めた方が良いかもしれない。それはもう、懇々と。
「――まぁ、来た以上は働くけど。」
幸か不幸か、その√能力も無しにギラギラと輝いて視神経を葬り去りに来るその生態にも慣れてしまい、眼精疲労軽減目薬、ビタミンA配合サプリメント持参、更には何らかの反射で反応されても困るので、腕時計もしっかりと外しているという準備万端っぷりである。
「なんか今回のゲーミング生物、殺意が高くないっすか?習性との相性とか返しが付いているとことか。」
愛用のゴーグルで視覚を保護する|深見・音夢《ふかみ・ねむ》(星灯りに手が届かなくても・h00525)もまた、悲しくもそんな生物群を平然と比較できるほどに慣れてしまった人物の一人である。
「割と本気で生物兵器でも開発してるんじゃないかと心配になってきたんすけど、死人が出るような案件とあっては放置はできないっすね。」
そう。今までのゲーミング生物はといえば、ボラやらイカやら、精々視覚と人間としての尊厳を殺しに来る程度であったが、今回は違う。物理方面で殺しに来ている。
ただ光るボラから空中浮遊するイカ、そして今回の殺意マシマシなダツなど、技術ツリーが若干迷走している様な気がしないでもないが、洒落にならない存在であるのは確かだ。
そして、今回はゲーミング発光生物駆除に新たに加わった、心強い者たちも居る。
「うわ、ヤバいですね。口吻にカエシとか害する以外の意思を感じれません。」
悲しくも本懐を遂げることなく力尽きたゲーミングダツの亡骸、その鏃の様な口吻を見て。
その殺意を前面に押し出したデザインに、明らかに引いた声を上げたのは|錫柄・鴇羽《すずつか・ときは》(|不敗《しなず》の朱鷺・h01524)である。
朱鷺色の戦闘服を身に纏った彼女は、まるで重力を感じさせぬかのように軽やかに新月の夜闇を歩く。
「幸いな事に普通?ゲーミングに光るのに?」
ツッコミは御尤もであるが、これでも割と普通なほうなのだ。
このゲーミング生物群、ものによっては突然重力を無視して浮遊し始めたり、鰓呼吸の概念を何処かに置き忘れてきたり、元々の生物よりも巨大化していたりとどうしようもない変化を遂げている場合がある。
そんな中にあって、このゲーミングダツは鰓呼吸を忘れていない上に、まだ物理法則にも従っているだけマシと言えないであろうか。
「スマホ開くと来ちゃうのかな?集めること自体は簡単そうだけど後始末だよね……。」
そして、この場を締める最後の一人は、新月の夜にも浮かび上がる様な白装束。
ペストマスクの様な嘴型マスクに覆われた口元も、そして背から伸びる翼も。その全てが真白色の少年である。
|天上人《セレスティアル》を思わせる姿のアレスター・ペクスパンテーラ(彷徨の歌・h06027)は、マイペースな声音に似合わず、人類社会を滅ぼし得る『人間災厄』に数えられる存在だ。……存在なの、だが。
「ぼくは光り物はなんでも好きだけど自分が光るのは……いやだなあ。」
光り物が好きとはまた、鳥を思わせるその姿なりのジョークなのであろうか。
いや、しかし待ってほしい。最後の『いやだなあ』の一言が棒読みに聞こえたが、気の所為であろうか。気の所為であろう。
まさか、クジャクやケツァール、フウチョウ以上のゲーミングな煌びやかさを纏おうなどと言う魂胆など、決して無い筈だ。
――とりあえず。
各々に思惑やら戸惑いやらはあるであろうが、前のパーティーによって大量のゲーミングダツが水揚げされたところである。
残るダツは如何程かは解らぬが、駆除が無茶と言える様な数ではあるまい。
EDENの√能力者たち第2陣のダツ駆除が幕を開けた!
●
さて、このゲーミングダツ退治に関しては、星詠みの予知に加え、第1陣の経験からも『光』が覿面に効くという事が判明している。
それを利用すれば、残るダツも自然と退治できる事であろうが。
「誰かタイミングを図ってる人、いない?
このあと誰か助けてー!ってなりそうな囮作戦なら思いつくんだけど!」
「奇遇ね、囮作戦なら私もよ。」
「おや。皆さん物好きですね。何を隠そう、私もその物好きの一人です。」
「ちょ、ちょっと皆さん、もうちょっとこう、我が身を大事にして欲しいっすよ!?」
人間災厄、取り換え子、幽霊による、ダツにも負けぬ前のめりで突撃精神旺盛な提案に。
この中で唯一、静物を囮にする作戦を取ろうと考えていた怪人が、思わずツッコミを入れた。
「大丈夫だよ、音夢先輩。ぼくは通りすがりの渡り鳥!
ちゃんと、魚に翼を奪われない様に作戦だって考えてる……よ?」
「『助けてー!ってなりそうな作戦』って言ったのも忘れてないっすし、その間も聞き逃してないっすよ?」
ゴーグルの下、じとっと見詰める音夢の金色の眼差しから、アレスターが、つい、と空色の目を逸らす。
少年が気まずそうな一方で、鴇羽と晃の作戦はどうにも危険性が違う様だ。
「それなら、私は大丈夫よー。囮は、私じゃないから。」
晃がそう口にした途端に、彼女の足元から、ざわり、ざわり、湧き出してきたのは不定形の影。
【|怯える影の拒絶《シャドウオブソロウ》】、『哀しみの影』だ。
彼女が使役する喜怒哀楽4つの影の中では最も臆病な1体なのだが……主が口にした『囮は私じゃない』という言葉がどの様な意味であるか、その臆病さ故に理解してしまったのであろう。
「なんだか、尋常じゃないほどに震えていますね。
見てくれは酷くなりますが、何事も経験ですよ。……この経験が役ん立つのかは不明ですけどね。」
鴇羽の慰めが一切慰めになっておらず、先に待つ運命を想像したのか絶望に打ちひしがれる様な仕草を見せる哀しみの影である。
この仕事が無事に終わったら、主と一緒にこの仕事を持ち込んできた担当者に殴り込みに行くがよいであろう。
そして、同じ様に自身以外を囮にしようと考えていたのが、何を隠そう鴇羽である。
「では、下準備を始めましょうか。レギオンたち、出撃してください。抗議は一切聞き入れません。」
彼女は夜の黒々とした海面にふわりと身を躍らせ、宙を漂うと。
『アウターコート』と名付けられたフレックスウォールに加え、インビジブル化したレギオン『枯れ尾花』たちが洋上へと展開してゆく。
……抗議とは、一体何をさせるつもりなのであろうか。大方の予想は付くが。
「全機、配置につきました。こちらはいつでもどうぞ。」
「了解っす!晃殿も、アレスター殿も準備はOKっすか?」
「大丈夫よー。取り敢えず、アンタには的になってもらうわよー。」
「僕もいけるよ。みんなの作戦に合わせていくね。」
洋上の鴇羽、そして岸壁の上で己の影に無情の宣告を下す晃、アレスター、音夢が頷き合い。
「んじゃ、ちょっともったいないっすけど。漁火漁、始めるっすよー!」
――枯れ尾花たちがライトを。
――晃が哀しみの影を盾に、LEDライトを。
――音夢が自身のマフラーに着火し、振り回すと同時に。
――どどどどどどど!!!!
水面から飛び出した大量のゲーミングダツが、まるで雨あられの如く光源目掛けて降り注ぎ始めた!
●
「いや、まぁ普通の魚類の耐久力みたいですし。適切に当たれば被害は最小限に抑えられると思いたいですね。」
などと、鴇羽は軽く口にするが。
赤壁の戦いの矢戦も斯くやとばかりにダツが降り注げば、一瞬にして弁慶の立ち往生どころかハリネズミ待ったなし。
口吻に返しが付くという尋常でない殺意をその身に受けたなら、幾ら√能力者の身であろうと大きなダメージは免れないであろう。
そして、今まさに降り注ぐゲーミングダツの群れは確かに鴇羽の身体を捉え、次々と貫通し。
彼女の背後に展開していたアウターコートに突き刺さり、本懐を遂げた事を示す約1680万色の目に優しくないぎらついた光を洋上に輝かせた。
――しかし、当の彼女は眼鏡を輝かせながら涼しい顔である。
不思議な事に彼女の身体に一切の傷はなく。芒の名を持つドローンたちも損傷した様子はない。
「よくよく考えたら、幽霊の身体には物理通らないのだわ。√能力魚じゃ無いので、突破できないでしょうし。」
……そうであった。彼女も枯れ尾花たちも、全て『幽霊』。
さらに、如何に√能力者でも殺傷出来る様な能力を持つゲーミングダツであっても、それは『√能力』ではない。
故に、鴇羽の身を傷付ける事は一切叶わないのである。ああ、無情。
そして同じ様にノーダメージだが、悲惨な見た目になっているのが晃の使役する悲しみの影である。
物理的な効力を持つ影には容赦なく、これでもかと言わんばかりにゲーミングダツが突き刺さって影らしい部分は文字通り見る影も無くなり。
ゲーミング発光により少し早めのクリスマスとでも言わんばかりにびっかびっかと光り輝き、思わず目を背けたくなる様な惨状となっている。
(――怯えてるけど、影達には痛みはないから問題無しでしょ。)
泣いて怯えて、やけくその様に腕を振り回して飛来するダツを叩き落とす悲しみの影は、あとで同じように囮にされた枯れ尾花たちと良い友達になれるのではなかろうか。
なお、その脇で晃が使役する楽観の影が、しれっとダツをキャッチしてはクーラーボックスに放り込んでいる。
悲しみの影としては頼み込んででも代わって貰いたい事であろうが、これも適材適所。
精密な動作が利くのは彼女の秘書役を担う楽観の影なのである。
「今回もいい感じのおつまみよろしくねー。」
という主の声に、楽観の影は手を振り振り応え。
悲しみの影は『もう嫌だー!!!!』と言わんばかりに、益々豪快に腕を振り回すのであった。
●
「見てください、私もゲーミングに光ってますよ。」
鴇羽もアウターコートに突き刺さったダツのゲーミング発光で、無邪気に遊び始める余裕が出始めた頃。
海中のダツが飛び出してくる勢いは随分と弱まってきた。
粗方のゲーミングダツは幽霊が展開した壁とカウンセラーの悲しみの影が受け止めてくれたのであろう。
お陰で、新月の夜にも関わらず洋上から岸壁まで、何処ぞのテーマパークのパレードも斯くやと言わんばかりに大変な輝きを放っている。
「それじゃあ、そろそろ仕上げに移る頃かな?」
アレスターは空色の瞳を限界まで細めてゲーミング発光を直視しない様にしつつ。
――姿は一応、写真で見てきたので大丈夫。
「矢の様に飛ぶのなら、きみたちにも翼をあげよう。
――ただし……ぼくの翼は飛べる羽とは限らない、けどね。」
魚類としてのダツの姿を思い描き。己が身に宿った『災厄』の力を解き放つ。
――【|羽翼已成《オファニム》】
途端。彼の全身が真っ白な羽毛に包まれた。
いいや、それだけではない。アウターコートや悲しみの影に突き刺さったゲーミングダツたちの全身からも真っ白な羽毛が生え始めたではないか。
自身の『人間災厄』要素の異常性を起動することで、自身の身体部位ひとつを増殖する羽毛化することで、範囲内の指定した全対象の同じ部位も羽毛されるという√能力である。
矢やダーツの軌道を安定させるのは矢羽根の役目だ。
ダツも極限まで無駄を削ぎ落した空気抵抗の少ないデザインであるが故に、水面から飛び出して対象に突き刺さる程の威力を発揮する。
そんなスピードに特化した身体が羽毛に包まれたならば、果たしてどうなるか。
「翼に埋もれて、失速するんだね。飛ぶ鳥は落とすべし、……そうでしょう?」
――答えはアレスターの言う通り。
空気抵抗だらけになった体に加速する事など出来ず。力なく落ちてゆくだけだ。
「ぼくも翼が生えてるだけのヒトではなく、一応人間災厄の分類なのさ。人助けだよ、これは。」
そして、ゲーミングダツが落水する前に。
その鏃の如き口吻を、火が着いた緑のマフラーが捕えた。
「満足に泳ぐことも出来なさそうっすけど……随分と見分けがつきやすくなったっす。
今、水面に顔を出しているので最後っすかね!」
音夢が口にした通り、アレスターの√能力によって羽毛が生えているものが最後のゲーミングダツの一群ということで間違いないであろう。
「じゃあ、最後に派手に花火を打ち上げて……トドメの一網打尽は鴇羽殿、任せたっす!」
彼女のマフラーがその手を離れ、高々と宙に放り投げられた。
それは、約1680万色の輝きを放ちながら、綿雲の如く新月の空に浮かび……
――【|火遁・連鎖爆雷変化の術《ヒートエンド・シェイプシフター》】
――夜空で豪快に、爆ぜた。
ゲーミング発光も、爆発の閃光も同じ『光』である。
その習性から、水面から飛び出そうとして、しかし重たい羽毛を背負ったダツたちに向けて。
「承りました。では、これでおしまいにしましょうか。」
『天泣』と名付けられたレイン砲台の無数のレーザーが放たれ。
残るゲーミングダツたちを一掃したのであった。
●
「天ぷらとか唐揚げが美味しいって聞いたんで仕事終わりが楽しみっす。
小骨ごとバリバリ行けば問題ないっすよねー。」
さる依頼で酒を酌み交わした仲である晃が大量のゲーミングダツを確保していると知り、音夢はすっかり上機嫌である。
捌けば覗く骨は青やエメラルドにも見えるというが、さて。
このゲーミングダツは、果たしてどうであろうか。
今までのゲーミング生物は大抵美味しかったので、今回もイケる筈である。
――が。
「……しかし、ボクの見間違いっすかね?
ゲーミングダツは全て駆除したはずなのに、海が七色に……ゲーミング発光してるっすよ?」
音夢は遠く、ゴーグルの下から真っ黒な『はず』である大海原を眺め。
心底からうんざりしたような声を漏らすのであった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第2章 集団戦 『ゲーミングクラゲ』
POW
ぺかぺか
全身の【光】を【頭部】に集中すると、[頭部]が激しく燃え上がり、視界内の全員の「隙」が見えるようになる。
全身の【光】を【頭部】に集中すると、[頭部]が激しく燃え上がり、視界内の全員の「隙」が見えるようになる。
SPD
ぎらぎら
【ゲーミングクラゲ合体フォーム】に変身する。自身の【輝きと状態異常付与力】が2倍になり、新武器【マヒを付与するゲーミング針】を入手する。
【ゲーミングクラゲ合体フォーム】に変身する。自身の【輝きと状態異常付与力】が2倍になり、新武器【マヒを付与するゲーミング針】を入手する。
WIZ
きらきら
移動せず3秒詠唱する毎に、1回攻撃or反射or目潰しor物品修理して消える【ゲーミングエフィラ(クラゲの赤ちゃん)】をひとつ創造する。移動すると、現在召喚中の[ゲーミングエフィラ(クラゲの赤ちゃん)]は全て消える。
移動せず3秒詠唱する毎に、1回攻撃or反射or目潰しor物品修理して消える【ゲーミングエフィラ(クラゲの赤ちゃん)】をひとつ創造する。移動すると、現在召喚中の[ゲーミングエフィラ(クラゲの赤ちゃん)]は全て消える。
――ゲーミングの恐怖は、まだ終わっていなかった。
なんと、今度は驚きのアニメーション付きである。美しく、そしてクラゲの毒針の様に目に刺さってくる様な輝きである。
これで諸兄らの目にも、ゲーミングカラーの視覚的ダメージが大いに伝わることであろう。
なんなら、あまり直視しない方が良いかもしれない。
そんな冗談はさておき。
新月の夜、黒々とした海面を再び約1680万色に彩って現れたのは、ゲーミングクラゲである。
見ての通り大変に美しく、そしてゲーミングカラーが鬱陶しい事この上ない。
宙に浮いているあたり、|赤いクラゲ《インビジブルクローク》に近しいものを感じるが、ある1点に於いてはあの赤いクラゲよりよほど厄介であろう。
――そう、兎に角眩しいという1点に於いて。
そんなこんなで無視出来なくなってきた眼精疲労を抱えつつ。
√能力者たちは、やたらと光り輝くクラゲ退治に挑む!
チェルシー・ハートサイス★心情
……。(しかめっ面で目を揉み込んでマッサージしながら)
光には、影ね。
★行動
【鏡像】を使い、先程のダツを闇にて複製。矢のように飛ばしながら戦うわ。
この鏡像、壊れても自在に復活するの。最初は一匹だけれど、新たに生まれる分と、復活する分を合わせれば少しずつ数は増えていく。
そうして海月に闇の楔を増やしていけば、少しずつ光は弱まっていくはずよ……はぁ。
ダツの動きはわたくしが関与せずとも勝手に行われるわ。わたくし自身は【怪力】を用いた【なぎ払い】、【重量攻撃】で海月を減らしていく。……目が疲れたら、【闇に紛れる】ことで休憩するわ。わたくしが休んでいても、闇のダツは刺さるから。勘弁して頂戴。
青木・緋翠派手派手しいのですね。ゲームをするときに邪魔なのではないでしょうか。ゲーミングとは奥が深いのですね。
ところでこのクラゲはどうやって、さきほどのダツと共存していたのでしょう。不可解です。こちらも消灯できるのでしょうか。
今のところ悪いことをしていないクラゲを排除するのは気が引けますが、こう光っては船舶の事故にもつながりかねません。大人しくしていただきましょう。
スマートグラスを白黒モードにしてから、√能力でイルカを召喚します。水中で体当たりして攻撃して貰いましょう。眩しくて敵の位置が分からないときは超音波で索敵します。
クラゲの赤ちゃんが出てきたら、親を体当たりで移動させます。
アネット・ファーネリア・リングストンあ、これは…
秋葉原で見かけたわ。
しかし、目が痛くなるわね。
クラゲって、水分の塊だから、食料になっても栄養少ないのよね。
そういう事だし、倒した後のがあれば、麺みたいにするかもしれないわね。
それでも無理な場合は、√能力『光子爆裂弾』でも撃ち込んでクラゲを粉微塵にするしかないわね。
とにかく、早目に切り上げたいところですわね。まだ何かがいるようですし…
白影・畝丸やけに視界が眩しいと思ったらコレですか…
では、新たな√能力を試すとしましょうか。
シデレウスカード・タウラス
白きツールボックス
この2つの|武具《アイテム》と完全融合します。
(牡牛座の力を宿した牛のツノを生やした兜が特徴的な黄金の鎧を纏い、周囲には毒を帯びた白い工具が浮遊)
輝きには星の輝きで対抗します。
【武器改造】によって精霊弓銃に更なる毒の力と空間を引き寄せる程の星の加護を宿し、放ちます。
敵の能力攻撃には大盾鎧展開からのいつもの防御系技能全乗せで防ぎます。
これまでの戦いから編み出した、武具を取り込み纏う力をお見せしましょう。
(アドリブ歓迎)
矢の如き口吻を持つゲーミングダツなる怪生物が雨霰の如く降り注ぐ、物理的に危険極まりない仕事は終わりを迎えたが。
海の向こうから、ぎらぎら、ぺかぺか。鬱陶しいまでの輝きを伴って、新たに現れたのがゲーミングクラゲの群れである。
兎に角、眩しい。まるで昼になったようだとか、そんなものではない。√能力でもないのに、ごりごりと視神経の体力を削ってくるのである。
なんなら、目標に刺さった時のみ約1680万色の輝きをこれでもかと放つダツの方が、まだ優しかったのかもしれない。
「――…………。」
チェルシー・ハートサイス(強者たれ・h08836)は、彼女の身の丈程はあろうか大鎌ハートサイスの石突を岸壁に立て。
幼さの残る顔には似合わぬしかめっ面で、無言で己の目を揉み込んでマッサージをしていた。
もしもあの光量さえ抑えてくれたならば、美しさを鑑賞する余裕もあったであろうが……流れる様に赤青黄緑と体色を変えられては、直視していてはその内に目をやられる事請け合いである。
「派手派手しいのですね。ゲームをするときに邪魔なのではないでしょうか。ゲーミングとは奥が深いのですね。」
古いパソコンの付喪神である|青木・緋翠《あおき・ひすい》(ほんわかパソコン・h00827)にとって、ゲーミングパソコンとは数世代も後の大後輩である。
一説によれば、『かっこいいから士気が上がる』などという定かではない情報もあるようだが……彼の疑問も尤もな話であろう。
あと、この漂ってきたゲーミングクラゲたち程は光り輝いてはいない筈だ。キーボードからこれだけの光が漏れ出してきたら、彼が考える通り眩しくてモニターを見るどころではなくなるであろう。
「ところでこのクラゲはどうやって、さきほどのダツと共存していたのでしょう。不可解です。こちらも消灯できるのでしょうか。」
これまた御尤もな疑問である。エフィラの段階でゲーミング発光しているため、消灯は不可能且つ、光源を狙って突っ込んでくるゲーミングダツとの共存はまず不可能であろう。
√能力者としての耐久力でゲーミングダツを受け止め、刺胞毒で仕留めて餌にする可能性は高いと思われるが……実際の生態はわからない。
どこぞの愉快犯の怪人も、そこまで考えて放流したり、不手際で脱走させてはいない……のでは、ないだろうか。
「あ、これは……秋葉原で見かけたわ。しかし、目が痛くなるわね。」
アネット・ファーネリア・リングストン(動物保護官・h06517)も、彼女は彼女でチェルシーの様にしかめっ面である。
なんと、彼女が秋葉原の現場で相対したゲーミングクラゲは喋り、更に犯行予告動画まで作ったという記録も残されているが、このクラゲたちは喋らないので安心して頂きたい。
光り輝く上に喋られたら、更に鬱陶しさが増す事請け合いである。
「クラゲって、水分の塊だから、食料になっても栄養少ないのよね。
そういう事だし、倒した後のがあれば、麺みたいにでもしてみようかしら。」
実際、クラゲ100㎏を加工すると5㎏も残らぬという話もあれば、中華クラゲや酢の物以外の利用法は然程聞かぬのがクラゲの利用界隈である。
アイスに混ぜ込んだという商品の話も聞くため、食感を楽しむのが主という事であろう。
なお、平城京から出土した木簡に備前産クラゲが朝廷に献上されていた記録が残されていたため、食習慣そのものはあったようだ。
さらに、この現場に新たに加わった者が、もう一人。
「やけに視界が眩しいと思ったらコレですか……。」
|白影・畝丸《しらかげ・うねまる》(毒精従えし白布竜武者・h00403)がゲーミング発光する怪生物と対峙するのは、これが初めてではない。
その際はサイコブレイドの第三の目が散々に約1680万色の激しい輝きに曝され、大いに被害を受けていたのだが……それはそれとして、畝丸の表情に何処か辟易としたものが見えるのは気の所為であろうか。
とはいえ、彼は駆除に携わらずに済んだとはいえ、あれだけの殺意溢れる仕様でありながら√能力者ではなかったゲーミングダツに対し、今度のクラゲはしっかりと√能力者に分類される存在だ。油断してよい相手ではない。
「今のところ悪いことをしていないクラゲを排除するのは気が引けますが、こうも光っては船舶の事故にもつながりかねません。大人しくしていただきましょう。」
翡翠の言葉に、顔を顰めたり、眩しげに目を細めながら皆が頷く。
今はまだ何もしていなくとも、ゲーミングクラゲは√能力者であり、簒奪者なのである。放っておけば、船舶の運航や、沿岸地域の人々に害を為す恐れもあるだろう。
各々が得物を手に、美しくも毒々しく煌めくクラゲたちの退治に乗り出した!
●
ふわふわ、ふわふわ。ぎらぎら。
ゲーミングクラゲたちが海風に流されるように、EDENのパーティーに迫る中。初手を打ったのは畝丸である。
「では、新たな√能力を試すとしましょうか。」
妖怪『白うねり』の彼は、ドロッサス・タウラスがばら撒き、彼が事件を解決する中で鹵獲した『シデレウスカード』を用いて様々な姿に変身して戦うというスタイルを得意とする。
その彼が取り出したのは|金牛宮《タウラス》のカードと、武器改造用の工具が詰まった、白いツールボックス。
「輝きには星の輝きで対抗します。
――武具を合わせ、毒鎧と成し、次元を裂かん……。」
√能力を発動するトリガーとなる言葉を唱えれば、彼の白い大鎧が見る見るうちに変形してゆくではないか。
兜からは大水牛脇立兜の如く雄々しい角が生え、周囲には毒を帯びた白い工具が浮かび。純白の鎧は、星の輝きを宿す黄金の鎧へと生まれ変わる。
――【|毒錬鎧装吸撃術《ドクレンガイソウキュウゲキジュツ》】
装備している装備2種と完全融合し、装備と毒を組み合わせた鎧を得るという√能力だ。
さて。ドロッサス・タウラスといえば星界の力をばら撒き、周囲を星の輝きに満ちた空間にすることで自分以外の行動成功率を半減させるという√能力を保有していたが……
幸い、今回の畝丸の√能力にその様な効果は付随していないようだ。少し、眩しいが。
そして、戦場の光が強まれば、影も増すものである。
「――光には、影ね。」
チェルシーの口より一言放たれたのは、煌びやかなゲーミングクラゲたちの輝きを闇に呑むという死の宣告。と、共に。
――どずっ。
洋上に漂うゲーミングクラゲに、一本の矢が突き刺さった。
――いいや、矢ではない。
新月の夜に紛れる様に、真っ黒なそれは。
――ダツだ。
先の戦いで嫌という程見たであろう、口吻に返しの付いた、ダツであった。
とはいえゲーミングダツと違って、刺さっても虹色に輝かないのは不幸中の幸いと言ってもよいであろうか。
標的を捕え、穿ち貫いたダツは砕け散り……しかし、それだけでは終わらない。
「この鏡像、壊れても自在に復活するの。
海月に闇の楔を増やしていけば、少しずつ光は弱まっていくはずよ……はぁ。」
ため息混じりの吸血鬼の言葉とともに。
海風を切裂いて、2本目、3本目が次々と飛来しては砕け散り。益々数を増やしてクラゲたちを貫き闇の黒で塗り潰してゆく。
――【|鏡像《ソンザイシナイハズノオノレ》】
自身が受けた武器や√能力を複製する闇の幻影を想像するというこの√能力。
1回発動すると壊れるが自在に復活するという特性から、チェルシーが撃ち出す事で新たに生まれる分と、復活する分を合わせれば少しずつ数は増えていく。
更に恐ろしい事に、この√能力は彼女の通常の行動を阻害しないのだ。
七色の輝きの照らされる中、大きな赤いリボンに飾られた金髪がふわりと躍る。
「海月の何処に目があるかなんて、どうでも良い事だけれども。わたくしから目を切る余裕があって?」
まるで舞踊の如き軽やかな踏み込みと共に、彼女の拳以上の大きさはあろうかという宝石が埋め込まれた大鎌が夜闇を薙ぎ。
海の月というにはあまりに不相応な輝きを喪ったクラゲが、次々と漁港に墜ちてゆく。
しかし、ゲーミングクラゲも浮いている者ばかりではない。
海月らしく、波間に漂いながら此方に接近してくる者もある。
個体によってはその場に留まり、その√能力によりエフィラ……クラゲの幼生をばら撒き始めていた。
ただでさえ目が痛いのに、これ以上光源を光らされては、この後に控える敵との戦いにも支障を来すであろう。
――だが。その心配はいらなかった。
「――>|召喚《call》ヘルプキャラ:イルカ。」
翡翠の『呪文』とともに、エフィラの群れが突如として全て消失したのである。
――【ヘルプキャラ:イルカ】
スマートグラスを白黒モードにしてゲーミング発光による刺激を最大限にした翡翠が操る古代語魔術により、41匹もの空を飛ぶイルカのキャラクターを呼び出す√能力である。
ゲーミングクラゲのエフィラをばら撒く能力は厄介であるが、その場から移動すると今まで発生させた幼生が全て消滅するという弱点を抱えているのだ。
目晦ましを受けても問題の無いようエコロケーションによる索敵に加え、威力は低いが体当たりによる攻撃能力を持つイルカたちがクラゲに体当たりする事によってその場から強引に移動させ、エフィラを放出する√能力の効果を掻き消したのである。
光によって視界を奪い、強引に戦場を支配しようというゲーミングクラゲの目論見は不首尾に終わったと言っても良いであろう。
さて。一方的にダツの雨に打たれ、チェルシーの大鎌に斬り裂かれ、翡翠に√能力の出足を潰されてはいるが。
しかしこのゲーミングクラゲ、まだまだ最終形態と呼べるものを残している。
追い込まれつつあったことを理化したらしいクラゲたちは、その最終形態の封印を惜しげもなく解き放った!
「クラゲの成体に、そんな習性ってありましたっけ?」
その姿を見て、翡翠は首を捻りながら再び尤もな疑問を差し挟み。
「……私は目が疲れたから、休憩するわ。わたくしが休んでいても、闇のダツは刺さるから。勘弁して頂戴。」
チェルシーは一目見て瞼をぎゅっと瞑り。約1680万色の輝きを避ける様に闇に溶けた。
さもありなん。そこに現れたのは海に漂っていたクラゲたち、そして宙に浮かんでいたクラゲたちが一か所に集まったゲーミングの中のゲーミング。
合体する事で己の輝きを倍加させた、巨大ゲーミングクラゲだったのだから。
そう、ただでさえ目に痛かった輝きが倍である。ぎんぎらぎんで、直視など出来よう筈も無い。
こうなってしまえば√能力者たちが眉を顰めるのも当然の話であろう、滅茶苦茶もいいところである。
なお、通常のクラゲは幼生の頃に合体して成体となるが、成体が合体するという習性は、今のところ確認されていない。
それはさておき、巨大化する事で気も大きくなったのであろうか。
闇のダツをその身に受けながらも、新たに手に入れたゲーミング針を仕込んだ触手を振り回して暴れ回る。
「……これは、直撃したら流石に身動きが取れなくなりそうですね。」
畝丸が金色の大鎧で受け止めるが、辺りどころが悪ければ麻痺毒にやられるであろう事を、毒の使い手である彼は瞬時に察した。
――が。
「大きくなったら、いい的よね。」
「ええ、その通りです。それに、防御力自体は据え置きでしょうし。」
そう。このクラゲ、輝きは増したが状態異常付与力以外に特に上昇した能力は無いのである。
輝きに全てを懸けたのがこの最終形態……なのかもしれない。果たして力を入れるところはそこで良かったのであろうかとも思うが、獲物が目潰しで動けなくなるのならそれで良いのであろう。
とはいえ、今日ばかりは相手が悪かった。
マルチツールガンに弾薬を籠めたアネットと、精霊弓銃を構えた畝丸は、寧ろ敵が一所に集まった点に目を付けたのである。
「――光子弾セット、ターゲット確認!ブラスター発射!!」
――【|光子爆裂弾《フォトン・エクスプロージョン》】
アネットが撃ち込んだ光弾の着弾と共に、ゲーミングクラゲの2倍になった輝きに負けぬ様な光子が爆ぜて。
巨大ゲーミングクラゲは呆気なくもバラバラに吹き飛んだ。
一か所に集まりさえしなければ、纏めて爆発に巻き込まれる様な事は無かったであろうに……。
だが、まだ合体が解けただけで、個々の個体の中にはまだ息がある者もある。
「では、そろそろトドメといきましょうか。
これまでの戦いから編み出した、武具を取り込み纏う力をお見せしましょう。」
そのクラゲたちが、まるでその周囲の空間ごと切り取られたかのように。ずるずると畝丸に向けて引き寄せられてゆくではないか。
白竜の妖怪が用いた√能力【毒錬鎧装吸撃術】のもう一つの効果、空間引き寄せによるものである。
空間ごと引き寄せるこの力の前には、幾ら逃げようと試みたところで抵抗する事は不可能。
クラゲたちにその意図があったかは解らぬが、例え逃走の選択を取ったとしても、土台無理だったという訳だ。
毒と星の加護を籠めた精霊弓銃の鏃を突き付け、零距離で撃ち抜き。
残るゲーミングクラゲたちも翡翠のイルカの群れと弓箭の雨と化したチェルシーの闇ダツによって、為す術もなく駆逐されてゆくのであった。
●
「第1陣は今ので最後だったようですね。僕は|これ《スマートグラス》のお陰で大丈夫ですが……皆さんは大丈夫ですか?」
クラゲの群れの第2陣を後続のパーティーに任せた翡翠たちは、ゲーミング発光の届かぬ物陰に退避していた。
これ以上戦っていては、下手をすれば視神経が擦り切れた状態でこの事件の黒幕と対峙せねばならぬ事になる、と判断しての事である。
「僕は然程問題ありません。光で打ち消し合ったお陰、なのでしょうか。」
「わたくしはもう少し目を休ませて頂きたいわ。夜空を見上げても、まだちかちかするのだもの。」
援軍として現れ、ゲーミング発光生物と対峙した経験を基に対策を取った畝丸の被害は軽微なようだが。
チェルシーは己の小さな両掌を当てて目を温めていた。あんなものと対峙したのだから無理もない。
「とにかく、早目に切り上げたいところですわね。まだ何かがいるようですし……。」
そう。星詠みの子猫は、まだ何かゲーミング的な何かが居る事を予感させるような事を話していた気がする。
それを思い出したアネットの不吉な言葉に、チェルシーは瞼を抑えながら、眼精疲労の方面で厄介な事件に関わってしまったものだと再び小さく溜息を吐くのであった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
深見・音夢あー……やっぱりあの輝きは見間違いじゃなかったっすか。
まぁ、前向きに考えるっすよ。これだけ光ってるのに飛んでこないってことはダツの方はちゃんと片付いてるってことっす。
しかしあれっすね。水族館でほんのり照らされて展示されてる分には奇麗なのに、自己主張激しすぎるとこうも厄介になるのかと。
まぁこれだけ目立ってくれるなら遠慮なく【三点式連装弾】の的に……スコープ覗き込むのが辛いんすけど! ゴーグル無しだとヤバかったっすよこれ!?
ともかくこういう時は一番眩しく光ってるところを撃ち抜くのがセオリーっす。過剰火力とか気にしない! いっそまとめてぶち抜いてやるっす!
アレスター・ペクスパンテーラダツの明るさもすごかったけど、クラゲたちはもっとすごいね!?
集まられるとビカビカすごいし、散らそうか?そういうのは得意だよ(√能力)。
ぼくが先輩と形容するのは言葉を話す存在だけだから、当然あれらは呼び捨て対象さ
……聞いてない?ああ、そう
レーザー射撃(断頭台)か、制圧射撃(絞首台)がこういう時いいかな
ぼく専用弾だから√能力ぱわーを与えて打てば物理的に散ってくれると思うけど(知らん顔して翼からメイン武器の主砲を出します)
ねえねえ、あれを狙撃したら、良い花火になったりしない?
それはそれで"散って"るし、ぼくの能力通りだと思うけどね
攻撃しなくてすむなら、深海系住処に還らせたい心はとても在るよ
黄菅・晃アドリブ&連携歓迎
ゲーミング√能力クラゲってことで合ってるー?
(ビタミンA配合サプリメントを飲み、眼精疲労軽減目薬をさして目頭を軽く押さえている。もう諸々のツッコミは放棄した)
(行く前にも飲んだし、さしたけど念のためね)
さてさて、やるかぁ。
…なんか増え始めたけど大丈夫そ?…大丈夫じゃなさそうねー。動きが止まったら量産してくる感じー?
(悲しみの影の範囲攻撃でクラゲのベイビー達を量産されないようになぎ払い。またゲーミングと対面したことにブチギレの怒りの影の手もクラゲを怪力で引き千切り)
ただでさえ目に毒すぎるのに増えられると困るのよ。
(わざわざ自分自身を1つ枝分かれさせて蛇の形で泣きつきに来た悲しみの影を片手間で撫でてあげる)
はいはい、頑張れ頑張れー。あとで大好きな書類整理(悲しみの影の趣味)させたげるから。
(クラゲが合体しないように晃自身もシリンジシューターでお手製弾薬の炸裂弾や貫通弾で牽制射撃)
錫柄・鴇羽だいぶキラキラしてますね。
確か深海に光るクラゲがいた様な? 全身は光ってなかったと思いますけど。
□WIZ戦闘
夜の事もありゲーミング発光が目立ちますね。
レインで光量を制御してあげれば他の人も戦いやすくなるでしょうか?
どこまで出来るかは分かりませんがやってみる価値はありますか。
ではレインでまとめて焼いていきましょう。
こっちも光を操作出来ますよ。ゲーミング発光させてみましょうか? ……冗談ですって。
「あー……やっぱりあの輝きは見間違いじゃなかったっすか。」
ゲーミングクラゲの群れの第1陣を迎撃し、蓄積した眼精疲労を癒すべく一時撤退したパーティーと入れ替わりに飛び出した|深見・音夢《ふかみ・ねむ》(星灯りに手が届かなくても・h00525)は、クラゲの群れのお代わりに思わず嘆息した。
新月の夜であるにも関わらず兎にも角にも滅多矢鱈と輝くものだから、その眩しさ故に接近には気付いていたが。
それにしても、実際に目の当たりにすると頭が痛くなってくる。眼精疲労も、多分にあるかもしれない。
「ダツの明るさもすごかったけど、クラゲたちはもっとすごいね!?」
新月の夜であろうが何だろうが、約1680万色節操なく輝いて夜闇を強引に捻じ伏せるかの様な光量に、アレスター・ペクスパンテーラ(彷徨の歌・h06027)も若干引き気味だ。
そう、すごいのである。
何がすごいって、滑らかに体色を変化させながらびかびかと輝く事は勿論であるが、先の戦いでは合体して巨大化し、2倍の光量で√能力者たちの視神経を粉砕せんと輝いたのだ。
何を言っているかわからないと思うが、SPDの【ぎらぎら】の項、√能力の効果説明にその様に書いてあるので、是非目をやられない程度にご参照頂きたい。
これと比較してしまうと、刺さるまでは発光しなかったゲーミングダツはまだ優しかったのかもしれないと思えてしまうのだから不思議なものだ。
「ゲーミング√能力クラゲってことで合ってるー?」
|黄菅・晃《きすげ・あきら》(汎神解剖機関のカウンセラー・医師兼怪異解剖士・h05203)の目は、ゲーミングクラゲの出鱈目な光量と生態と眼精疲労とその他諸々の要因によって、既に死に瀕している。
ツッコミというツッコミを完全に放棄した彼女は、この仕事に赴く前に飲んだビタミンA配合サプリメントをざらざらと流し込む様にお代わりし、眼精疲労軽減目薬をさして目頭を軽く押さえた。
念のための処置ではあるが、もう、色々と頭が痛い。そりゃ、普段から無気力さを然程隠さぬ彼女の声にも、虚脱感がいっぱいいっぱいに混ざり込んでくるというものである。
それにしてもゲーミング発光だけでもお腹いっぱいなのに、合体とは何を考えているのであろうか。
光量さえ適切な値まで落としてくれればまだ美しいと言える見た目の割に、生態のぶっ飛びっぷりが釣り合わない。
「夜の事もありゲーミング発光が目立ちます。だいぶキラキラ……いえ、ぎらぎらしてますね。
確か深海に光るクラゲがいた様な?全身は光ってなかったと思いますけど。」
約1680万色が新月の漁港の夜に無理矢理にご退場願おうと輝きまくる中、重力を無視する様に浮かぶ|錫柄・鴇羽《すずつか・ときは》(|不敗《しなず》の朱鷺・h01524)は、|幽霊である《ひとでない》。
彼女の言う通り、クラゲの中にはハナガサクラゲの様に体内に蛍光タンパク質を持つ事で自ら発光するグループと、カブトクラゲの様に櫛板列と呼ばれる遊泳器官を波打たせることで光を反射して輝くグループがある。
なお、自ら発光するグループのクラゲであるオワンクラゲから緑色蛍光タンパク質を発見した事で、医学研究用の重要なツールへと発展してゆきノーベル賞を受賞したという研究者もいらっしゃるので、興味があればぜひ調べて頂きたい。
さて。ノーベル賞を受賞する程の高尚な熱意を持って、このゲーミングクラゲをはじめとするゲーミング生物群が作られたとはとても思えないが。
このまま放置していれば海上交通だけでなく、沿岸の住民たちにも被害が出る事であろう。
何よりもまず、真っ先にやられるのは√能力者たちの目である。
「まぁ、前向きに考えるっすよ。これだけ光ってるのに飛んでこないってことはダツの方はちゃんと片付いてるってことっす。」
にしし、と鮫を思わせるギザ歯を見せて笑う音夢に、アレスターはこくりと頷く。
幾らゲーミングクラゲが光り輝いても、あの矢の様な身体構造を持っていたゲーミングダツは飛び出してこないのである。
それは、彼女たちの駆除活動が完全に成功した事の証左に他ならない。
「そうだね。攻撃しなくてすむなら、深海系住処に還らせたい心はとても在るよ。
――でも、向こうはやる気みたいだね?」
となれば、アレスターとしても人間災厄としての力を発揮せざるを得ない。翼をはたり、軽く羽搏かせ。
「さてさて、やるかぁ。やらないと、いつまでも仕事が片付かないものねー。」
晃の足元の影が、ざわり、自らの意思を持つ事を示す様に蠢き始め。
「それではゲーミング生物退治、第2幕。始めましょうか。……いい加減、眩しいですし。」
ちらりと上空を見た鴇羽が、今にも漁港に上陸せんというところまで近付いたゲーミングクラゲの群れを改めて……若干、焦点をずらしつつだが……見定めて。
新月の暗闇に真っ向勝負を挑むゲーミングクラゲたちを退治するべく、戦いの火蓋が切って落とされた。
●
「しかしあれっすね。水族館でほんのり照らされて展示されてる分には奇麗なのに、自己主張激しすぎるとこうも厄介になるのかと。」
音夢がボヤくのも無理もない。確かにクラゲの癒し効果を求めて水族館を訪れるファン層もあると聞く。
暗いフロアの柔らかな青い光に照らされる中、ふわり、ふわりと泳ぐ美しさは、何10分でもぼーっと眺めたくなる程だ。
勿論、ウリクラゲの様にプリズムの様に輝くものや、カラージェリーフィッシュの様に黒、白、青と個性的なカラーリング、サカサクラゲの様な個性溢れる姿を見るのも水族館のクラゲの楽しみであろう。
が、これでは全く、癒し効果など望むべくもない。まず、目の疲れが酷い。
その上。クラゲの変化を見て取った晃の顔から、遂に感情が消えた。虚脱、ではない。全きこと、無である。
「……なんか増え始めたけど大丈夫そ?……大丈夫じゃなさそうねー。」
――増 え た 。
漂う事を止めたゲーミングクラゲから、クラゲの幼生『エフィラ』が次々と放出されているのだ。
クラゲの成体になるべく合体するようなことも無いし、光量が2倍になったわけでもないが、無法は無法。約1680万色の範囲が少しずつ、じわりじわりと広がってゆく。
念のために用いたサプリと目薬がこれほど早く功を奏するとは、酷い話もあるものだ。
観察するのも目にしんどさを感じるが、晃はハイライトまで失ったターコイズブルーの瞳でクラゲたちの様子を窺った。
「んー、動きが止まったら量産してくる感じー?」
その場に留まる事で、3秒ごとに何らかの召喚行動を行う……そのような類似の√能力に、彼女は直ぐに思い当たった。
ならば、対処は簡単である。その場から、強引にでも動かしてしまえばよい。
足元の影より、ショットガン型のシリンジシューターをずるりと引き出すとともに湧き出すのは、悲しみの影と怒りの影の2体。
――【|怯える影の拒絶《シャドウオブソロウ》】
そう、先のゲーミングダツ駆除の際に晃の盾となり、約1680万色の輝きを放つ羽目になり。
影としての尊厳を完膚なきまでに破壊されるという悲しみまで背負う事となった、あの悲しみの影である。
かつてゲーミング生物と対峙したがため、見覚えのある輝きにフラストレーションを爆発させた怒りの影は早くもクラゲに襲い掛かり、引き千切っては投げの大暴れだが。
悲しみの影は今にも大泣きしそうな気配を背負いつつ、主の方をちらりと見た。
――やるの?
――やるの。
主従のアイコンタクトは、一切の異論を許さぬ形で一瞬にして終わった。
「ただでさえ目に毒すぎるのに、増えられると困るのよ。」
より一層の悲壮さを背負った悲しみの影は自棄っぱちでゲーミング発光の中に突撃し。
両手を振り回し、範囲に入った親クラゲを吹き飛ばす事で幼生もまた掻き消してゆくのであった。
さて。敵が数いるとなれば、その扱いはさておいても『悲しみの影』の様な範囲攻撃は非常に有効である。
(――光量を制御してあげれば、他の人も戦いやすくなるでしょうか?)
先に天を見上げた鴇羽が用意していたのも、範囲内の敵を纏めて薙ぎ払う√能力であった。
そして光と光をぶつけ合えば、多少は相殺し視覚への負担を和らげる事も出来るかもしれない。
それに、どちらにせよ|光源《クラゲ》を焼き払ってしまえば、自ずと光も弱まる筈である。
(――どこまで出来るかは分かりませんが、やってみる価値はありますか。)
「対象周囲の気象情報を入力。……光拡散率設定。位置情報隠匿開始。」
√ウォーゾーンという、死してなお過酷な戦地に在り続ける彼女の判断は早い。
漂うゲーミングクラゲたちがより多く範囲内に収まるまで、その武装を隠匿し続けていた。
そして、引き金を引くなら……今!!
「――……発動!」
鴇羽の号令と共に、雲一つない天より光の雨が降る。
ゲーミング発光に紛れながらも、そのレーザーの総数は300発にも及び。上方からの攻撃を全く警戒していなかったクラゲたちを容赦なく貫き、破れ傘に変えた。
――【|隠匿型決戦気象兵器「天気雨」《サンシャワー》】
運用開始時は何度も所有者を焼いた事があるという、ある意味曰く付きの武装であるが、その効果は彼女自身の折り紙付きだ。
「そんなわけで、こっちも光を操作出来ますよ。ゲーミング発光させてみましょうか?
――……冗談ですって。」
軽口を叩いた結果、周囲から物凄い眼で見られた鴇羽は。
目を逸らしながら輝きに満ちた提案を取り下げるのであった。
●
鴇羽の決戦気象兵器と晃が操る悲しみの影による、範囲への猛攻を前に。
クラゲたちは見る見るうちに数を減らしていっている。
窮地に陥った時こそ、人間というものは団結する……時もある。このゲーミングクラゲたちは、正にそうであった。
自分たちの群れが壊滅するかもしれないという瀬戸際に、クラゲたちのあるかもわからない心は、無言の内に、輝かしい団結を見たのである。
――合体だ!!!!
シリンジシューターから炸裂弾やお手製弾薬を撃って妨害しようと試みる晃の攻撃もなんのその。
喪って仲間たちの輝きを補ってあまりある、その巨体が放つ光量はまさに2倍。
新月の漁港に聳え立つ、約1680万色の輝きに満ちた威容に。
「「……うわぁ。」」
アレスターと音夢の辟易とした声が見事に重なった。
ゲーミング発光が散らばっているのもそれはそれで十分な光害であったが、だからといって1か所に集まったところで光害の本質は何ら変わらないのである。
「まぁこれだけ目立ってくれるなら、遠慮なく射撃の的に……って、スコープ覗き込むのが辛いんすけど!
ゴーグル無しだとヤバかったっすよこれ!?」
何なら、一体を覗き込んだ時の倍になったその輝きっぷりは音夢の金色の瞳にもダメージを与えうるようになり、彼女にツッコミ混じりの悲鳴を上げさせた。
――だが。
この場には一人、『合体』に対する天敵がいた。
「音夢先輩、音夢先輩。
集まられるとビカビカすごいし、散らそうか?そういうのは得意だよ。」
そう、人間災厄『渡り鳥』。アレスターである。
周囲をやがては放浪状態にさせるという彼であれば、合体状態のゲーミングクラゲたちを『散らす』ことなど造作も無い。
「お、ありがたいっすね、アレスター殿!
――じゃあ、一発ぶち込んでから発動をお願いするっすよ!」
白い翼を羽搏かせながら、|警視庁異能捜査官《カミガリ》らしく敬礼する渡り鳥と作戦を共有しつつ。
音夢は改めてスコープを覗き込む。
(ともかくこういう時は、一番眩しく光ってるところを撃ち抜くのがセオリーっす。)
少なくとも、ダメージを負ったクラゲたちをも巻き込んで合体している以上、光が強い箇所は体力がまだ十分にある個体が集まっている部分であろう。
ならばそこを撃ち抜く事で、『群れ』としての体力を一気に削ってしまえば後が楽になるであろう。
「過剰火力とか気にしない!いっそまとめてぶち抜いてやるっす!」
――だん!だん!だん!
対物狙撃銃から続けざまに排出される、白、赤、青の3色の薬莢。
光が爆ぜ、巨大ゲーミングクラゲの身体にトリモチがへばりつき。その上から、対物貫通弾が風穴を開けた。
――【|三点式連装弾《トリコロール・バレット》】
威力は十分、巨大クラゲがよろめく様に動いたならば。
「――アレスター殿!今っす!」
「うん、任せて。――散らせば、いいんだよね。」
その瞬間。渡り鳥の翼から、ざわりと。得も言われぬ波動が放たれた。
効果は視界内の全対象。ただし、何かダメージがあるという訳ではない。
――だが。
あれ程強く団結し、合体していたゲーミングクラゲたちが。ぼろぼろと、個から群へと戻ってゆく。
――【渡り鳥】
人間災厄たるアレスター・ペクスパンテーラの、災厄の本領である。
彼の波動を受けた者に与える効果は、最大震度7相当の揺れと、渡り鳥の如き『放浪』。
一所に集まる『合体』と正反対に位置する能力であるからこそ、その力は覿面に表れたのである。
「散ったなら、後はどこかしら傷を負った、有象無象クラゲだね。
……ぼくが先輩と形容するのは言葉を話す存在だけだから、当然あれらは呼び捨て対象さ。
……聞いてない?ああ、そう。」
知らん顔をして、広げた翼から撃ち放たれるのは『|断頭台《ハリファックス》』、そして『|絞首台《ガロウズ》』によるレーザー射撃とミサイルによる雨霰である。
本人もこの主砲などをどれだけ翼の中に隠したか覚えていないというのだから、何かドングリキツツキやカラスの習性を彷彿とさせられないでもないが……。
「ねえねえ、あれを狙撃したら、良い花火になったりしない?
それはそれで『散って』るし、ぼくの能力通りだと思うけどね。」
無邪気な思い付きと共に、ばらけゆく巨大クラゲにミサイルが殺到し。
――ちゅどーん。
エレクトリカルパレードのクライマックスに、誰も予想していなかったであろう爆発演出のサプライズまで加わる事と相成った。
最早、生き残りも虫の息。音夢に狙撃され、鴇羽のレーザーの雨に打たれてまた一匹、また一匹とあれだけ賑やかだった輝きを喪って墜ち。
「はいはい、頑張れ頑張れー。あとで大好きな書類整理させたげるから。」
わざわざ自分自身を1つ枝分かれさせて、蛇の形でめそめそと泣きつきに来た悲しみの影を晃が片手間で撫でてあげている。
まだ、黒幕との戦いは残っているが、ゲーミングダツの盾となり、そして今も主に撫でて貰いながら残敵を掃討している悲しみの影には、何らかのご褒美があっても良いであろう。
帰ったら悲しみの影の趣味を思う存分やらせてあげる事を約束している内に。
新月の漁港は、今度こそ新月らしい真っ暗闇を取り戻すのであった。
●
――かつて、これ程にまで新月の真っ暗闇が有難く感じられる事があったであろうか。
静かに寄せては返す、波の音。
冬の潮風は、少し体に沁みる。
未だ目がちかちかするが……これだけ暗ければ、少し目が回復すれば冬の星空だって楽しめるのではないだろうか。
ある者はゲーミングダツを持ち帰るべく。
またある者は色々と見なかった事にして帰りたい、などと思ったが。
見過ごせないものを見てしまった以上、感傷に浸っている暇はない。
――なんか。まだ、ゲーミング発光してる。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第3章 ボス戦 『愉悦の七彩狂創者・Drアルコバレーノ』
POW
全てのワザよ、ゲーミングたれ…
自身の【とっても優秀でパーフェクトな頭脳】に刻まれた【ゲーミング化学式&様々な生物の遺伝子配列】と融合し、【ゲーミングマイスター・アルコバレーノ】に変身する。レベル秒の間、自身の現在地周辺に24時間以内に存在した全対象の√能力が使用可能になる。
自身の【とっても優秀でパーフェクトな頭脳】に刻まれた【ゲーミング化学式&様々な生物の遺伝子配列】と融合し、【ゲーミングマイスター・アルコバレーノ】に変身する。レベル秒の間、自身の現在地周辺に24時間以内に存在した全対象の√能力が使用可能になる。
SPD
ときめき☆ゲーミング
【ゲーミング発光液を持ったゲーミング生物】を召喚し、攻撃技「【喰らえ!ゲーミング発光液シャワー!!】」か回復技「【静脈お注射!ゲーミング発光エナドリ!!】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[ゲーミング発光液を持ったゲーミング生物]と共に消滅死亡する。
【ゲーミング発光液を持ったゲーミング生物】を召喚し、攻撃技「【喰らえ!ゲーミング発光液シャワー!!】」か回復技「【静脈お注射!ゲーミング発光エナドリ!!】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[ゲーミング発光液を持ったゲーミング生物]と共に消滅死亡する。
WIZ
アタシの|理想郷《ユートピア》
【ゲーミング発光への熱い想い】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【極彩色に燦めく素晴らしくゲーミングな世界】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
【ゲーミング発光への熱い想い】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【極彩色に燦めく素晴らしくゲーミングな世界】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
「嗚呼……うっとりする様なゲーミング発光だった……。
うん、ゲーミングダツも、ゲーミングクラゲも、更に色鮮やかな発色・発光パターンを作れそうな気がするなぁ。
さあ、早く研究成果をラボに持ち帰ろう!彼らに気付かれない内に!」
漁港の荷捌き場でこっそり、そして、うっとり。
ゲーミング怪生物たちの戦いの様子を窺い終え、いそいそと帰り支度を整えていたその人物からは。
虹彩から、幾本かの髪の房、ボタン、襟ぐり……隠しきれないゲーミングの輝きが漂っていた。
何なら、色素の薄い皮膚の下からもゲーミング臭がするのも気の所為ではないかもしれない。
そう、彼女こそ最近巷で話題になってしまったゲーミング怪生物たちの創造主……
色んなゲーミングカラーに包まれた|喜劇《悲劇》を生み出した張本人。
――人呼んで『愉悦の七彩狂創者・Drアルコバレーノ』、その人である。
「って、もうこっちに来たぁ!!!?」
まあ、キジも鳴かずば撃たれまいというが、これだけ光っていれば当然直ぐに居場所もバレる訳で。
駆け付けた√能力者たちの姿を見て、かのゲーミングテロリストは脱兎のごとく逃走を開始した。
そう。何を隠そう彼女、戦闘は苦手なのである。
一瞬呆気に取られた√能力者たちだったが、この迷惑系怪人を逃がす訳にはいかぬ。
「こっち来るなー!!!!」
いや、追うに決まっている。――が。
一人の√能力者が、危険を感じて足を止めた。弧を描いて投擲された試験管を認めたためだ。
――これに当たってはならない。武器で防いでもならない。
√能力ではない。しかし、全力で警鐘を鳴らす|本能《イヤなよかん》に従って回避した。
途端に、床で砕け散るゲーミング試験管!飛び散るゲーミング薬液!荷捌き場のコンクリートを彩る、約1680万色の輝き!
「ちっ、外したか。当たれば無機物であろうと1週間はゲーミング発光させるのに。」
――はい。今、彼女、大事な事を言いました。
無機物であろうと、ゲーミング発光させるのである。剣とか。服とか。色々。
更に、√能力じゃないのである。通常攻撃が、これである。ゲーミング発光液の効果、1週間持続である。
肉体的なダメージはないだろうが、精神的、社会的なダメージはゲーミングダツ並の威力はありそうな気がする。なんでだろう。
――成程。星詠みが気を付けてと言っていたのは、これか。
事件の最終幕にとんでもない√能力まで持つ怪人が現れたが、本人の力はそれ程でもない……はずだ!
ゲーミング発光√能力者にさせられぬよう、細心の注意を払いながら√能力者たちが挑む!
ウィズ・ザー【SPD】アドリブ◎
何ならその液体と研究結果が欲しい所だなァァァ??
喜び勇んで参加させて貰うぜェェ!!
戦闘力皆無の脚に遅れ取る訳無ェよなァ?
空中浮遊移動ダッシュで宙を泳ぐ水大蜥蜴に。敵の方へ
刻爪刃で転ばせ、√梟刃で不思議な液体を掠め取る技能フル使用
1週間ゲーミング発光とか面白すぎるだろ!
奪取直後に風に溶けて不可視に。そのまま去るぜ
トドメは仲間に任せた!
アデュー♪♪
アネット・ファーネリア・リングストンこの男が元凶ですか。
出来ればブチハイエナの集団をけしかけたいところですけど…
仲間たちがゲーミングになるのは避けたいのでやめておきますわね。
こういう敵には近づかないようにしますわ。
銃で【スナイパー】で狙いつけて【援護射撃】で撃ちますわ。
敵が何かしそうになったら、√能力で瞬間にワープして後ろから銃で撃ちます。
「シャレにならない汚染物質ですわね。焼いておいた方がいいかしらね?」
場合によっては【焼却】で敵に火炎放射する。
――時はクリスマス。
恐らくは日比谷などの各地でゲーミングカラーなクリスマスツリーなどが輝き、道行く人々の目を楽しませている事だろう。
それはそれとして、此方はクリスマスもへったくれも無く、ただただ真っ暗な筈であった漁港である。
本来ならゲーミング発光要素など何処にも無い筈のこの場所に、何の因果かゲーミングダツやらゲーミングクラゲが大量発生した訳であるが。
それらの創造主であるDrアルコバレーノが今、√能力者たちの前に現れ……約1680万色の輝きを撒き散らしながら全力で逃げ回っていた。
アネット・ファーネリア・リングストン(動物保護官・h06517)はその背を追いながら、最早見飽きたであろう鬱陶しい輝きに対して眉間に皺を寄せる。
「あの女が元凶ですか。」
「元凶とは人聞きが悪いなぁ! 私は私がやりたい事をやっているだけさ?
それが鮮やかなゲーミングカラーをしてるってだけー!」
そのやりたい事が、結果として各√世界にゲーミング発光生物をばら撒くというゲーミングバイオテロとなっている訳である。
ゲーミングダツやゲーミングシャークなど危険生物も多々造られている事もあり、巻き込まれる側としてはたまったものではない。
「出来ればブチハイエナの集団をけしかけたいところですけど……
仲間たちがゲーミングになるのは避けたいのでやめておきますわね。」
約1680万色の輝きは見えても反省の色など浮かべる筈も無いアルコバレーノに、アネットはブチハイエナを嗾けようとも思ったが……このゲーミングマイスターと真面に相対したら、群れが丸ごとゲーミングハイエナと化すであろう。
そんな、千日手にもなりそうな追い掛けっこの中。
「――何なら、その液体と研究結果が欲しい所だなァァァ??」
にたりと笑って、闇より這い出た者がいる。
「な、何者っ!? 私の大事な研究結果を横取りしようだなんて、そんな無法が許されていいものだろうか。いやよくない」
反語にて行われる、豪快なまでの己の行為の棚上げである。
ならばゲーミングバイオテロという無法が許されるという道理もないのだが、それはさておき。
「戦闘力皆無の脚に遅れ取る訳無ェよなァ?喜び勇んで掠め取らせて貰うぜェェ!!」
新月の闇の如き水大蜥蜴……ウィズ・ザー(闇蜥蜴・h01379)は、戦場に現れるなり宙を泳ぎ、ゲーミングテロリストとの距離を詰めてゆく。
「追ーいー付ーかーれーるー!? ぷぎゅるっ!!!?」
無論の事こと、必死に逃げるアルバレーノであったが。突如として、前につんのめる様に思いっ切りすっ転んだ。
ウィズが操る黒い霧の如き不可視の刃……その名も刻爪刃によって足を取られたのである。
こういう咄嗟の時の対応に、現場慣れしているかどうかが現れるのであるが……先にも述べた通り、アルコバレーノは戦士でもないし、実戦経験を積んでいるわけでもない。
――なので。
「ちょ、ちょちょ、私を守ってー!!」
――【ときめき☆ゲーミング】
とりあえず頼りになる従者を喚ぶのも当然の事であろう。
現れたのはゲーミング発光液を持つ名状し難きゲーミング生物。
こう、通常のゲーミング発光怪生物でも頭がどうにかなりそうだというのに。
これはもう、見ているだけで輝きにより正気度と視神経をごりごりと削られていきそうな代物である。
「――喰らえ! ゲーミング発光液シャワー!!」
約1680万色に輝く怪生物は、タコを思わせる漏斗にゲーミング発光液を装填し。
いざ、ウィズをゲーミングオオトカゲにしようとゲーミング発光液を吹きかけようと身を反らす。
――だが。
戦場で敵が無策で突っ込んでくるなど、先ず有り得ない事である。
実戦経験の足りていないアルコバレーノは、その点の理解が足りていなかった。
「――その攻撃を待ってたぜェ!」
ウィズが|嘲笑《わら》うと共に、その姿はアルコバレーノの懐に一息に跳躍し。
大きく裂けた闇顎が、ゲーミングテロリストに喰らい付いた。
――【|星脈精霊術【梟刃】《ポゼス・アトラス》】
敵の攻撃に対し、必ず先制攻撃を行うという√能力である。マッドサイエンティストはまんまと攻撃を誘われ、その力の発動条件を満たされてしまったのである。
「あ|痛”《いだ》っ!? よくもやったな……!」
ぺいっ、ぐしゃっと放り捨てられた彼女。
流石、宿敵というだけあり……ついでに、EDEN、簒奪者問わずにゲーミング色の怨みを買っているためもあってか、中々頑丈ではあるようだ。
よろりと立ち上がり、反撃するべくポシェットをまさぐると。……何かが、足りない。
「お探しのモノはこれかァ?」
声がする方向に、彼女が目を向けて見てみれば。海風に紛れ、闇に溶け行く大蜥蜴の口元に。
「あああああああ!? 私のゲーミング発光液ぃぃぃぃ!?」
燦然と……いや、鬱陶しくも約1680万色に輝く液体の入った試験管が咥えられているではないか!
「クカカッ、1週間ゲーミング発光とか面白すぎるだろ!」
そう。先の攻撃の最中に、彼女のゲーミング発光液が納まったポシェットから器用に抜き取ったのである。
そして、【|星脈精霊術【梟刃】】の追加効果により、ウィズの姿は完全に闇に溶け。
「そんじゃ、トドメは仲間に任せた! アデュー♪♪」
何とも上機嫌な声と共に、彼の気配は完全に消失したのであった。
●
「くぅぅぅ、泥棒蜥蜴めぇ、悔しい!!
あ、でも、世界にゲーミング発光が広まり、私の研究を基に更なる極彩色が編み出されるなら、それはそれで面白いのでは?」
――ぱぁん!!
「あいたたたぁ!?」
何とも前向きで希望に満ちた物語を語り、辺りを燦然たる極彩色の世界に変えたアルコバレーノだが。そんな隙だらけの彼女をアネットの容赦ない銃撃が襲う!
「こういう敵には近づかないに限りますわ。」
それはそうであろう。ブチハイエナもそうであるが、自分がゲーミング発光してしまっては正月まで約1680万色に光り輝きながら迎えるという事にもなりかねない。
初日の出の輝きは望むところだが、ゲーミング発光などという輝かしさは心底から御免蒙りたいのも当然の話だ。
「シャレにならない汚染物質ですわね。焼いておいた方がいいかしらね?」
「ちょっ!? これを焼くだなんて とんでもない!! お前もゲーミングになれー!!」
アネットの至極真っ当な提案に抵抗すべく、試験管を投擲したアルバレーノ。
さて。この空間ではマッドサイエンティストな彼女の√能力により、攻撃全てに必中効果が付与される。
つまり、狙われたら逃げられず。必ずゲーミング発光する羽目になるという訳である。
――まさか、この依頼で初のゲーミング√能力者となるのはアネットか……!?
そう期待したひともいるかもしれない。
――だが、残念。
彼女の代わりに試験管の中の極彩色の液体を被ったのは。魚類の如き姿をした、哀れなインビジブルであった。
――【|瞬間移動《フォゾン・ジャンプ》】
視界内のインビジブルと場所を入れ替わるという√能力であり、インビジブルはそもそもが何処にでもいる存在だ。
この必中効果に支配されたゲーミング空間の中であろうとも、身代わりになってくれるインビジブルの残弾は幾らでもあるのである。
……まあ、時間を掛け過ぎるとゲーミングインビジブルが増えすぎるため、目には大変よろしくないであろうが。
それはさておき。この√能力を駆使してアルコバレーノの背後に回ったアネットは、容赦なく引き金を引いた。
ウィズの時にもそうであったが、宿敵として方々で怨みを買いまくっているだけあって、打たれ強さは筋金入り。
強くはないとはいえ、まだまだ斃すには至らなさそうだ。
――それにしても。
と、アネットは冷や汗を一筋垂らしながらぽつりと呟く。
「あれを喰らっていたらと思うと、やはりぞっとしますわね。」
彼女は新たに約1680万色に輝く羽目になったインビジブルの姿を見ながら、おまけとばかりに火炎放射を放って、ゲーミングテロリストを炎上させるのであった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
青木・緋翠怪人の人も光るのですね。負けてはいられません、俺も光ります。ぺかー。
むぅ、色数が足らない気がします、敗北感です。グラフィックボードを買うべきでしょうか。最近お高いのです、世知辛いですね。
試験管の攻撃は電磁バリアで防ぎます。虹色の輝きは気になりますが、消灯できないのであれば|派出所《職場》の迷惑になりますからね。
逃走しようとしたら√能力で震度7の揺れを与えて足止めします。外れた試験管が増えて周辺が虹色になってきたら、虹色に輝く電磁バリアで壁を作り閉じ込めましょう。保護色ですね。
捕まえたら虹色を解除できる薬を出して貰いましょう。荷捌き場が1週間虹色なのは迷惑なのです。もうすぐ繁忙期ですからね。
錫柄・鴇羽黒幕の√能力者の登場ですね。
ゲーミングに光らせる事に何故ここ迄の情熱を傾けるのでしょうね。
実害さえ出ていなければ放置でも私的には良かったのですが、ほら。ねぇ。
□WIZ戦闘
触れたモノが何であれゲーミング発光する薬剤ですか。幽霊だから当たりませんと、嘯いて一週間光続けたくは無いですし真面目に対応しましょう。
実質防御行動は不可能っと。本当に?
生成物に対応させて汚染された個体は廃棄すれば無効化できてしまったりしません?
では答え合わせてといきましょう。|汎用兵装チーム「C」《コールファミリア》召喚。行動開始。余裕があれば他の人の身代わりになりなさい。……ひどい? それが役目でしょ。早くしなさい。
チェルシー・ハートサイス★心情
ねえ。貴女。
この光もいい加減飽きたから、そろそろ終わらせるわよ。
異論も議論の余地もないから。
★行動
【闇に紛れる】状態から【怪力】を乗せた【重量攻撃】を浴びせるのが基本。
……「アレ」には当たりたくないわ。エレガントじゃないというのもあるけれど、単純に迷惑だから。わたくしにも、周囲にもね。
故に、【帳】で出鼻を挫く。色々と光っているから、物陰には事欠かないでしょう。帳を活用しつつ、物陰からの攻撃を続けるわ。
万一、当たりそうになったら【衝撃波】で吹き飛ばす。好きなんでしょう?光るの。好きなだけ自分で浴びるといいわ。
「あいたた……もう、このか弱い研究者から可愛いゲーミング発光液を奪ったり、銃で撃ったり。全く酷いことするよね!」
などと述べてぷんすかと怒っている本事件……いや、種々のゲーミング発光生物の生みの親であるアルコバレーノであるが。
緒戦に於いて、方々でEDEN、簒奪者問わず怨みを買っているためか、非常に心許ない力量の割に心身ともにやたらと打たれ強い事が判明した。
その上で必中効果を持つ空間まで展開してくるので、ふざけた輝きをしている割に中々どうして厄介である。
あの聖夜の夜空をクリスマスイルミネーションよろしく泳ぐゲーミングインビジブルも、これから正月にかけての1週間、発光し続けるのであろう。
必中攻撃の身代わりにされたためとはいえ、随分と目に痛い個性を手に入れたものだ。
「怪人の人も光るのですね。負けてはいられません、俺も光ります。ぺかー」
古いパソコンの付喪神である|青木・緋翠《あおき・ひすい》(ほんわかパソコン・h00827)は、そんなゲーミングテロリストに対抗する様に光ってみせたが、何とも不満げである。
「むぅ、色数が足らない気がします、敗北感です。グラフィックボードを買うべきでしょうか。最近お高いのです、世知辛いですね」
「じゃあ、ゲーミング発光液、ぐびっと一本いっとく? 性能は上がらないだろうけど、ものすっごく光るよ!」
「外付けパーツの様なものと考えれば……いえ、やはり遠慮しておきます。
虹色の輝きは気になりますが、消灯できないのであれば|派出所《職場》の迷惑になりますからね」
一瞬、心が揺らいだような音が聞こえたが。仲間との絆がその約1680万色に光り輝く誘惑に打ち克った。
近年の技術の発展と生成AIの普及により、翡翠の後輩であるパソコンたちを取り巻く環境は刻一刻と変化している。
近頃の価格高騰も種々の要因が積み重なって発生し、暫く収まる見込みはないという推測もあるが、それはさておき。
そも、√能力で呼び出した物を光らせるところまでは見ていたが、翡翠自身まで光るという機能をここまで隠していた事、そしてアルコバレーノの人体が発する輝きが勝利した事にまず驚きである。
PCの世代による格差は覆しようがないが、もしも彼が最新型に追い付き追い越した場合、どうなってしまうのであろうか。
きっと、栄光に満ちたゲーミングの輝きを生む技術の発展に、ゲーミングテロリストが歓喜する気がする。
「それにしても、ゲーミングに光ったり、光らせたりする事に何故ここ迄の情熱を傾けるのでしょうね」
「美しいし、面白いから!」
「見た目がハイスペックそうに見えるから、でしょうか?
パソコンに生まれて、その演算能力の高さを示す輝きに憧れない者がいないと言えば嘘になるでしょう」
|錫柄・鴇羽《すずつか・ときは》(|不敗《しなず》の朱鷺・h01524)の言葉に、マッドサイエンティストと付喪神がそれぞれに答えを示してみせるが。
√ウォーゾーンの戦場で幽霊と化した彼女には、いまいちピンとこなかったようだ。小首を傾げるが。
……いや、ゲーミングダツ退治の時に、しれっとゲーミング幽霊化していましたよね貴女?
鴇羽の故郷の世界と言えば、視覚的にも食欲的にも食べる気を失わせるカロリーの暴力、ゲーミングスイーツの名産地として知られている。
そのため、極彩色そのものに対しては耐性があるのかもしれないし……眼鏡の下の理知的な瞳の割に、なんだかんだでお茶目な一面を見せる彼女である。
「実害さえ出ていなければ、放置でも私的には良かったのですが、ほら。ねぇ」
と語る通り、今回は人的被害が出るため対応に乗り出したが、その要素さえ無ければなんだかんだで楽しんでいたのかもしれない。
約1680万色の輝きに流されたか、虚脱感に溢れる空間であるが。
「――ねえ。貴女」
――かつり。
荷捌き場の闇に響く、|銀鋼《ミスリル》の踵が鳴らす冷たい音に。場の空気が僅かに引き締まる。
その手には幼い顔立ちに似合わぬ、身の丈以上はあろうかという大鎌『ハートサイス』を携えて。
そしてもう片方の白磁の様な指先で瞼を揉み込みながら現れたのは、チェルシー・ハートサイス(強者たれ・h08836)だ。
あの巨大クラゲを退治して目を休めていたというのに、本件の最後の敵までゲーミング発光である。
「この光もいい加減飽きたから、そろそろ終わらせるわよ」
「ええっ!?そんな、逃げられないならいっそのこと仲良くみんなでゲーミンg」
「異論も議論の余地もないから」
「そんなー!?」
アルコバレーノの言葉をぴしゃりと遮る声音、そして所作の一つ一つに。
高貴なる家門に生まれ身に着けた優雅さと、そして苛立ちが滲んでいる。
チェルシーの言う通り、問答無用で早いところ叩きのめさねば、引き締めた空気も再び虚脱の方面に緩んでいきそうだ。
何とか逃走を図ろうとじりじりと後退るゲーミングテロリストを始末するべく、約1680万色に彩られた第二戦の火蓋が切って落とされた。
●
「触れたモノが何であれゲーミング発光する薬剤ですか。幽霊なので当たりませんが」
「ふっふっふ。インビジブルだって光ったんだから、幽霊だっていける気がするんだよね!」
鴇羽はこう嘯くも、このマッドサイエンティストの事だから霊的存在であろうと光らせかねないと思わされるのが恐ろしいところである。
彼女とて、一週間も光続けて視覚的に輝かしい新年など迎えたくは無い。真面目に対応する事を決意して。
「では、先手必勝といきましょう。――汎用兵装チーム「C」コールファミリア召喚。感覚リンク良好。……目標設定完了、行動開始」
√ウォーゾーンの戦場で文字通り死ぬほど戦い慣れている鴇羽は、アルコバレーノの目的が逃走にあると見るや否や、真っ先に進路を遮断するべく動いた。
「くぅ、逃げ道を塞ぐなんてぇ……!」
ゲーミングテロリストの逃げ道を奪うべく漂い始めたのは、ウサギの耳を思わせる2対のアンテナが特徴的な銅色のレギオン。
――【|汎用兵装チーム「C」《コールファミリア》】
その場から移動しなければ、3秒ごとに攻撃、反射、目潰し、物品修理など、多様な機能を持つ新たなるレギオンを召喚するという√能力である。
「――余裕があれば他の人の身代わりになりなさい。……ひどい? それが役目でしょ。早くしなさい」
こう、主の指令に承諾し難い、甚だ不本意なものもあったようだが……逆らえないあたりに、仕える者の悲哀を感じさせた。
さて。先手を奪われ逃げ道まで失ったが、窮鼠とは猫を噛みに行くものである。
そしてこのゲーミングテロリストの場合、何が何でも光り輝かせに行く方向に思考が向いたようだ。
「どうせ死ぬなら……ゲーミングな輝きに包まれて眠りたい!
それがアタシの|理想郷《ユートピア》、みんなみんな輝いて!!」
――とんだ理想郷もあったものである。
アルコバレーノ以外、ひと時たりとも目も魂も休まる時間など与えられぬであろう。
だが、その語りに呼応して展開される√能力が彼女の周囲の空間を極彩色に燦めく素晴らしくゲーミングな世界に変えてしまった。
付与される効果は、『必中』。此処から先は1ミスでゲーミング発光と共に社会的な死を迎えかねないという、笑い事では済まされない状況だ。
だが、世界全てが光り輝いているというのであれば、当然影も生まれるというものである。
「……『アレ』には当たりたくないわ。エレガントじゃないというのもあるけれど、単純に迷惑だから。わたくしにも、周囲にもね」
「光らず嫌いはよくないよ! 一度光ってみれば、きっと世界も自分も周囲の視線も輝かしいものに変わるから!」
「それが迷惑だといっているの」
「まあまあ、そう言わずー。という訳で、【ときめき☆ゲーミング】!
【喰らえ!ゲーミング発光液シャワー!!】 あなたも頭の先からつま先まで輝いて、ゲーミング発光の世界へおいでまし!」
物陰の闇に紛れたチェルシーを狙うべく、放たれたのはタコの様な姿を持つ、名状し難くとってもゲーミングな怪生物である。
正気度、視神経、やる気、その他諸々に悪影響を及ぼしそうな外見であるが、シャワーとくればとんでもない量の飛沫が飛び散るであろう。
更に、この空間は必中の効果が付与されている。最早、逃れる術は無いといったところであろうか。
「……何が何でも光らせようという気概だけは認めてあげる」
今にもゲーミング発光液を噴き出そうとするゲーミング発光生命体を眩しげに睨んでから、吸血姫は溜息をひとつ。それは、呆れか、発光を受け入れた諦念か。
――そんな筈がない。
それよりも早く、ハートサイスの刃の重さを乗せた一閃が、発光怪生命体を両断していたのだから。
「ちょ、私の可愛い実験体がー!?」
――【|帳《トバリ》】
相手の『攻撃』に反応し、必ず先制攻撃を行い、闇に姿を溶け込ませて隠密状態に移るという√能力である。
先ず大きな脅威を排除したチェルシーは、僅かな闇から闇へと蝶の様に舞い、出鼻を挫かれ次の手を打てないアルコバレーノを見目に似合わぬ怪力で斬り刻む。
「痛い痛い、痛いって!?」
流石は方々で怨みを買いまくって縁を紡いできた宿敵。まだまだ悲鳴を上げる余裕もあるが、逃げなければジリ貧という事もよくよく理解している。
死なば諸共面白おかしく、という心境ではあるが、それはそれ。逃げられるなら逃げたいのである。
チェルシーに斬り刻まれながら、マッドサイエンティストは何とか立ち上がろうとして。
「>|実行《execute》 古代語魔法 "広域震動"」
「――へぁっ!?」
腰が抜けたかのように、すっ転んだ。
突然、視界が、足元が、とてもではないが立っていられぬ程に揺れ始めたのだ。
だが、そんな揺れにも関わらず、手元の試験管内の水面の揺れはそれ程でもないし、何より√能力者たちは揺れを一切気にしていないようである。
とっても優秀でパーフェクトな頭脳(分野は限る)は、これが敵の√能力である事を把握した。
――【|広域震動《コウイキシンドウ》】
『震動』の古代魔術入りフロッピーディスクを放つ事で発動される、翡翠の√能力である。
この力の影響下では震度7相当の揺れが指定した対象を襲うという、ダメージは無いが強力な|弱体化《デバフ》を与える事が出来る。
視界も定まらなければ、揺れで段々と気持ち悪くもなってくる。術者である翡翠を倒して、これを早く止めねばと思うのも当然であろう。
融合するは、ゲーミング発光方面で暴走する程に優秀な頭脳に刻まれたゲーミング化学式と、自らの肉体も利用して実験してきた様々な生物の遺伝子配列。
「……【全てのワザよ、ゲーミングたれ……】。
このゲーミングマイスター・アルコバレーノが、あなたのイルカにゲーミングな技術革新を与えてあげよう!!
――>|召喚《call》 ヘルプキャラ:イルカ!!」
「!?」
白衣どころか全身を煌めかせたアルコバレーノが高らかに叫ぶのは、翡翠が先の戦闘で使用した古代魔法。
宙を泳いで翡翠に襲い掛かるのは、大量のゲーミング発光するイルカである。
――【ヘルプキャラ:イルカ】
本来は付喪神が使用する√能力であるが、ゲーミングマイスターと化したアルコバレーノは、それをゲーミングに改変した上で使用する事を可能にするのである。
つまり。チェルシーの√能力も、鴇羽の√能力も、その全てがゲーミングに輝く√能力として使用されかねないという、大変に冒涜的な√能力……それこそが【全てのワザよ、ゲーミングたれ……】である。
「……悪趣味ね」
「ふむ。ゲーミング発光レギオン対普通のレギオンですか。
興味はありますが……いえ、冗談ですって」
その事を理解したチェルシーは一言で切り捨て。鴇羽の提案はレギオンたちに却下されたらしい。
なんにせよ、己の√能力を無断借用された上にゲーミング改変されるという直接的な被害を受けた翡翠の精神へのダメージは如何許りであろうか。
彼は電磁バリアでゲーミングイルカたちの攻撃を防ぎながら、がくり、漁港の冷たいコンクリートの床に膝を突き。
「――再び味わう敗北感です。俺のイルカたちが色彩一つでこうも変わるのだと、ゲーミングの可能性を見せられては……やはり、グラフィックボードを買うべきでしょうか」
無断借用されるという尊厳破壊よりも、何か違う思いを植え付けられているようだが……どちらにせよ、動きが止まったのなら敵にとっての好機である。
「そう、ゲーミング発光の世界は可能性と輝きに満ちているのさ!
さあ、あなたもゲーミングの深淵に触れにおいで!」
未だに視界はぐわんぐわんと揺れているが、ゲーミングイルカたちの様にゲーミング発光液の詰まった試験管も必中の効果を付与されたままだ。
うちひしがれた翡翠を見た目だけゲーミングPCの付喪神にするべく、有り得ないフォームから、有り得ない軌道、有り得ない数のゲーミング試験管が、彼目掛けて飛ぶ。
今にも雨霰の如く降り注がんとした、その時であった。
「――実質防御行動は不可能っと。本当に?
生成物に対応させて、汚染された個体は廃棄すれば無効化できてしまったりしません?」
鴇羽の問いと共に、銅色のレギオンたちが翡翠の壁となる様に整列した。
この戦いの中で、前衛を担うチェルシーと、そして翡翠が気を引いてくれていたために、レギオンたちは無数に増殖している。
そして、前述の通り、この浮遊機械たちはこの場に対応できる多様な能力を持っているのだ。
チェルシーも鴇羽の意図を理解したのであろう。微かに口元に笑みを浮かべると、ハートサイスを振りかぶり。
「では答え合わせといきましょう」
「ええ、そうね。好きなんでしょう?光るの。好きなだけ自分で浴びるといいわ」
ゲーミング試験管は、盾となったレギオンたちに命中し。
――【反射】された。
そう、レギオンの機能の一つである。一回発動してしまえば消滅してしまうが、幸いにもゲーミング発光汚染されぬままに消えられたのは、幸いな事であろう。恐らく。
そして、有り得ぬ軌道でアルコバレーノに向けて返っていく試験管目掛けて、チェルシーが衝撃波を放てば、ゲーミング薬液はまるで霞の様に広がった。
「嗚呼……素晴らしき哉、ゲーミング……。成程、ゲーミング気象操作とかも面白いかもしれないね……」
それを見上げながら、うっとりと、何か悍ましい事を口にしたアルコバレーノは、ばしゃり、全身にゲーミング発光液を浴び。
「保護色ですね。では、あなたには尋ねたい事があります」
壁の様に展開された虹色に輝く翡翠の電磁バリアが、ゲーミングテロリストを捕えたのであった。
●
さて。周辺の極彩色空間は解けて、きっちりと電磁バリアの囚われの身となったアルコバレーノ。
「荷捌き場が1週間虹色なのは迷惑なのです。もうすぐ繁忙期ですからね。
――虹色を解除できる薬、あるのでしょう? 出してください」
薬を作ったならば、それを消し去る薬を持っていると考えるのは当然の事だ。
ゲーミング発光液をぶちまけられた事により極彩色に輝く事になったコンクリートの床を見回してから、翡翠はそれを期待して詰め寄るが。
「え、ないよ?」
ゲーミング発光液まみれになったアルコバレーノは、キョトンとした表情で、こてりと首を傾げた。
「いえ、あるでしょう?」
「だから、ないってば。折角のゲーミング発光、消えたら勿体ないじゃん」
何を当然の事をと言わんばかりの言い種である。彼女自身の眩しさと相俟って、中々に腹立たしい。
そう、彼女は『面白いから』という理由でゲーミング発光生物をばら撒く愉快犯。例え実験の過程でその様なものが生まれ、保管していたとしても、そんなものを戦場に持って来ないのも道理であろう。
「成程。それは良い事を聞きました」
「――そう。なら、話は益々早くなったというものね」
もし解除できる薬液を持っていたならば、その奪取のための一手を打つ必要が生じたかもしれないが。
それがない、解除できないというのであれば、生かしておく理由は完全に無くなったわけである。
解除される電磁バリア。放たれるは翡翠の魔法、チェルシーのハートサイス、そして盾にされてゲーミング発光させられないかと戦々恐々とさせられた、鴇羽のレギオンたち。
「ああっ、アルちゃんったら正直者さんなんだから!
嘘でもいいから持ってるって言っておけばよかったぁぁぁぁ!?」
無言の怒りを込めた√能力者たちの怒涛の攻撃が、一斉にアルコバレーノに叩き込まれたのであった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
深見・音夢分かりやすく黒幕なのが出てきたっすねぇ。
この分だと他の事件もこいつが元凶っすかというかそうであってくださいお願いします。こんなの何人もいたらたまったものじゃ無いんす!
で、本人は大したこと無さそうっすけどゲーミングの輝きだけは本当に何とかならないんすかね。
1週間ゲーミング発光なんかした日には生活できないっす……! 買い物とかコンビニのバイトシフトとかどうしてくれるんすか!
で、下手に持久戦するよりいっそ覚悟を決めた方が早いっすよね。
本当はこんな状況で使うものじゃないんすけど【擬装限定解除・夜鮫】で一気に仕留めにかかるっす。
あえて怪人形態の肌で薬液を受けて、擬装の張り直しで誤魔化……せると良いなぁ。
アレスター・ペクスパンテーラ……ぼくもね、野鳥に助けを借りる事があるけれど
野鳥にあのヤバそう先輩のあれそれを被らせるわけにはいかないね
なら力は(√能力)誰にも迷惑が掛からないのがいい
ぴかぴかな鳥は好き?ぼくは自然界に普通に生きてる姿が好きかな
白衣のDr先輩、きっと貴方はその道の、輝きのプロだろうけど
白いぼくにそんな酷いことするのなら、寿命ある限り恨むよ?(ジト目)
鳥をぶつける、のに痛む心はないかな。能力対策には、レーザー射撃とか遠距離から対処するようにするよ。ヒールとストライクは状況に応じて使い分ける。
ぼくよりよっぽど歩く人災じゃないか。輝く創造の翼をあげようか?(融合を指示する)その羽の輝き分、行動を鈍らせるんだね。
黄菅・晃アドリブ&連携歓迎
…アンタか
(ゲーミング事件の親玉を見て「あー、確かにこんなことする見た目してるわー」とか思って納得している)
分かった分かった。ほら、動いてないわよー
(怒りの影や他の影達は敵に気付かれないように地面に潜伏させておく)
(自分がゲーミングになるのは避けたいし、援護射撃しよっか)
(敵が投げる直前の試験管をシリンジシューターで撃ち抜いて敵側がゲーミングになるように破壊する)
…うーわ
(撃ち抜いた試験管の中身が敵もしくは敵側の地面にぶちまけられた光景を見て感情のこもっていない感動詞が思わずこぼれる)
足元、お留守なんじゃないのー?
(隙ができたら潜伏させた影で敵を攻撃。茨の形をした楽観の影で敵の足をなぎ払い、茨を足に絡ませて転ばせる。そして√能力でデバフをかけつつブチギレた怒りの影でタコ殴り)
(この場合、この子のための威力ある武器ってやっぱりアレかしらね、と予想)
まぁ、何であれ贅沢言わずに戦いなー?
「――ぐぇぇ。酷い目にあったよぅ、どうしてアタシがこんな目に……」
クリスマスイルミネーション以上に極彩色に彩られた戦いも、遂に佳境。
宙にはゲーミング発光するインビジブルが漂い、荷捌き場の床はゲーミング発光液で輝くという、なんとも目を背けたい惨状ではあるが。
方々でEDENの√能力者や簒奪者たちにまで恨みを買っているがために心身ともにやたらと頑丈であったアルコバレーノも、遂にボロ雑巾の様になりつつある。
――しかし。
「でも、この姿は収穫かな! ふっふっふ、見給えこのアタシの研究成果!
全身でアピールしちゃうもんね!」
ボロ雑巾はボロ雑巾でも、約1680万色に輝くボロ雑巾である。
何を言っているのかわからないであろうが、それ以外の言葉が思い浮かばない。
これまでの戦いの中で、彼女は逆に全身にゲーミング発光液を浴びてしまったのだが、むしろそれを喜び、陶然とする始末。前向きも此処まで来ると手が付けられない。
「……アンタか」
「分かりやすく黒幕なのが出てきたっすねぇ」
そんな見た目も性格も輝かしいゲーミングテロリストとは対照的に。
彼女の姿を眺める|黄菅・晃《きすげ・あきら》(汎神解剖機関のカウンセラー・医師兼怪異解剖士・h05203)と|深見・音夢《ふかみ・ねむ》(星灯りに手が届かなくても・h00525)の目からは、揃ってハイライトが消えていた。
ボラ、イカ、ダツ、クラゲ、あと大根もだろうか。多くのゲーミング発光生物が関わる事件の裏に、この変人……もとい、怪人が関わっていたと思われる。
まさに、ゲーミング事件の親玉とも言うべき存在だ。
しかも、自分の身体で実験して喜ぶ、中々にマッドで好奇心極まった存在であることも窺える。
(あー、確かにこんなことする見た目してるわー。)
などと考えて、晃はひとり納得し。
「この分だと他の事件もこいつが元凶っすかというかそうであってくださいお願いします。
こんなの何人もいたらたまったものじゃ無いんす!」
同じ怪人という存在である筈の音夢の声音には、その切実な願望も合わさって悲痛な色が見えている。
そう、こんなものに増殖されたら、世界は忽ちゲーミング一色に染まるであろう。
√そのものが支配されたら、王劍も虹色なのだろうか。虹に関わりのある剣といったらケルト神話のカラドボルグが該当するが、まさかゲーミングカラーであった訳ではあるまい。
そんな剣があったらアルコバレーノは感極まるであろうが、それはさておき。
いや、そもそも約1680万色にも関わらず一色とはこれ如何に?
――今度こそ、さておこう。
「で、本人は大したこと無さそうっすけど、ゲーミングの輝きだけは本当に何とかならないんすかね」
「……ぼくもね、野鳥に助けを借りる事があるけれど。
野鳥にあのヤバそう先輩のあれそれを被らせるわけにはいかないね」
此処まで音夢、晃と共に戦って来たアレスター・ペクスパンテーラ(彷徨の歌・h06027)の若い眼も、流石にそろそろ疲れてきたところだ。
あのゲーミング発光を直視したら、視力に優れた鳥などは卒倒しかねない。
恐らくアルコバレーノの輝きだけであれば、まあ直視くらいは出来たであろうと思うのだ。
それがまさかあのゲーミングテロリストが、自身のゲーミング発光液を被った状況で戦闘になるなどと想像できるはずもない。
結果として、音夢は視力を守るためのゴーグルを外せぬままである。
「1週間ゲーミング発光なんかした日には生活できないっす……!
買い物とかコンビニのバイトシフトとかどうしてくれるんすか!」
「大丈夫! アタシは生活できてるからさ!
それに、コンビニ? だったら集客力ばっちりじゃない?」
虹色に輝く笑顔で、マッドサイエンティストは、ぐっとサムズアップを贈った。
約1680万色の輝きが外にまで溢れ出るコンビニ。それは実際、どうなのであろうか。
そりゃ目立つであろう。激しい輝きの前に失神者が出ないか心配になる程に目立つに決まっている。
常軌を逸した事態に、人だかりだって出来るであろう。しかし、その集客がそのまま売り上げに結びつくかは、全く別の話なのだ。
話の通じなさに音夢はがくりと肩を落とし、アレスターがその肩をぽんと叩いて慰めるのであった。
それに、である。
「生活できてるって言っても、アンタ、外に出てるのー?
内に籠って研究し続ける奴の話なんて、何の参考にもなりゃしないわ」
晃の言う通り、アルコバレーノ自身は本来、進んで表に出てくる性質ではない。
戦闘慣れしていないが故に、戦闘に巻き込まれた時は戦う以外の選択肢が奪われた時を除いて逃げて逃げて逃げ回るのが基本姿勢だ。
病的なまでに白い肌も、日光に当たる環境よりも、避ける様な場をメインに活動を行っている事を窺わせる。
……まあ、今は直視したくない程にゲーミング発光液まみれになって光り輝いているため、とてもじゃないが見えやしないのだが。
さて。このまま虚脱感溢れるゲーミング発光と彼女のペースに呑み込まれていては、戦いが何時まで経っても始まらない。
「で? 下手に持久戦するよりいっそ覚悟を決めた方が早いっすよね」
場を仕切り直し、速攻を掛ける事を暗に示す音夢の言葉と共に。
この最初から最後までゲーミング発光に包まれた仕事に遮光素材で出来た幕を引くべく、戦闘が開始されるのであった。
●
「ねえ、白衣のDr先輩。ぴかぴかな鳥は好き?」
「そりゃ勿論! カワセミやハチドリ、ケツァールの様に光沢のある羽根を持つ鳥は好きだよ!
ああ、しかしニシツノメドリも紫外線を当てれば嘴が光るらしいね、生命の神秘!
中々独特な顔立ちだけど、光るというその一点で、アタシは大いに評価しているかな!
ああああ、もう、紫外線を当てれば光るなんて奥ゆかしくてじれったい!
もう、嘴だけでもゲーミング発光させたくなってきた……!」
「そう。ぼくは自然界に普通に生きてる姿が好きかな」
ちょっとした疑問ではあったが、アルコバレーノの語るソレは、ぴかぴかどころではない。目に痛いレベルでぎらついている。
アレスターは熱を入れて語る彼女の勢いに若干引いた。このままいくと、新たなゲーミング発光生物のアイデアをゲーミングテロリストに与えてしまいそうだ。
「しかし、君の翼だって真っ白で素晴らしいものだね、白は可能性に満ちている!
あ、そうだ! このゲーミング発光液、一本いっとく? 1色から1680万色まで一気にカラーリングを増やしてみない?」
「きっと貴方はその道の、輝きのプロだろうけど。
白いぼくにそんな酷いことするのなら、寿命ある限り恨むよ?」
それではまるで秋葉原の戦争に姿を現したという、極彩色の翼を持つ大根の様ではないか。
嘴状のマスクの下、青空を思わせる目でじとりと……いや、ぎらついたその体を直視しないよう、僅かに焦点をずらして。人間災厄の少年は早々に会話を打ち切った。
「音夢先輩、晃先輩たちもいる。なら、力は誰にも迷惑が掛からないのがいい。
――声は此処に、音はただ響かせて」
ふるり、翼を広げて人間災厄の少年が囀れば。
現れたのは、あらゆる世界に生息していない空想上の鳥。
――【|花鳥諷詠《チャーピング》】
【|擬音語《オノマトペ》属性の空想の鳥】を召喚し、攻撃や回復などを担わせる√能力だ。
「鳥をぶつける、のに痛む心はないかな。いっておいで」
翼に隠し持っていた各種砲台によるレーザー射撃で、ゲーミング発光するアルコバレーノ目掛けて飛翔する『鳥』を援護して。
そして、それに合わせて駆け出したのは音夢である。
「本当は、こんな状況で使うものじゃないんすけど。
……可愛い推し活女子の、可愛くないとこ見せてやろうっすかねぇ……!」
その言葉と共に、彼女の肌、そして歯が。夜闇を映したかの如くに輝いた。
それこそが彼女の『偽装』を限定的に解いた、鮫をベースにした冥深忍衆怪人としての姿である。
――【|擬装限定解除・夜鮫《オトメノスガオ》】
音夢の身に通常の4倍にも及ぶ速度を与え疾風怒濤の攻撃を可能とするこの√能力は、防御力を半減させるというデメリットも抱えている。
更に、普段はコンプレックスによりひた隠しにしている姿も衆目に曝す事になるのだ。
だが、彼女はデメリットよりも『この戦闘を速攻で終わらせられる』というメリットを取った。
「うわ、わわわ!? こっち来るなー!!」
神速で迫りくる鮫の怪人と突撃してくる鳥を振り払うように動きながら、アルバレーノは動きの無い晃を牽制する様にゲーミング発光液の入った試験管を抜く。
「分かった分かった。ほら、動いてないわよー」
そんなゲーミングテロリストを刺激しないよう、怒りの影や他の影達は敵に気付かれないように地面に潜伏させ、晃はひらひらと左手を振った。
とはいえ、戦闘が始まった以上は何もしない訳にもいかない。
(――接近戦を仕掛けてるなら、ここは援護射撃ねー。)
ゲーミング発光する事だけは避けたい彼女が取ったのは、アレスターと同じく遠距離攻撃。
最早、アルコバレーノが語る|理想郷《ユートピア》によって世界が輝いているのか、彼女が浴びたゲーミング発光液によって世界が輝いているのかはわからないが。
もしも彼女の√能力が発動しているのならば、世界は既に必中効果で満ちている事になる。
適当に放り投げたゲーミング発光液の詰まった試験管も、摩訶不思議な軌跡を辿って必ず味方に命中する事であろう。なら、どう対策すればよいか。
――こうすればよいのである。
投げ放たれる前に散弾銃型のシリンジシューターで狙い撃つのは、アルコバレーノの手元、その掌中にある試験管。
そう、通常攻撃の手段が試験管に依存するなら、投げられる前に破壊してしまえば良いのである。
ショットガンから放たれた|注射器《シェル》は、狙い過たず標的を狙い撃ち。
「――……うーわ」
齎された結果に、晃は快哉を叫ぶでもなく。
思わず感情のこもっていない感動詞がこぼれ落ちた。
悲しい事に、かのゲーミングテロリストが発光するのには何故か慣れてしまったが。
コンクリートの床にゲーミング発光液がぶちまけられた光景を見れば、そんな声も漏れ出るであろう。それ以外に一体全体、何と口にすればよいというのか。
既に戦場には薬液がばら撒かれている状態ではあるが、実際に『浴びれば無機物でもこうなるぞ』という結果を見せられれば、怪人体の音夢も思わず引き攣った笑みを浮かべ。
「ぼくよりよっぽど歩く人災じゃないか」
ハイライトを喪った瞳で、アレスターが的確にそう評するのも無理からぬ事であろう。
実際、周囲を放浪させるようになる『渡り鳥』の災厄も、何れは世界を滅ぼし得るとして人間災厄としての指定を受けた訳であるが。
ゲーミング発光も、致命的ではないが直接的な被害は遥かに大きい様に思われる。
早くトドメを刺さねばならぬという思いを音夢と共有したアレスターは、飛び回る空想の鳥に新たな指示を与えた。
「輝く創造の翼をあげようか? その羽の輝き分、行動を鈍らせるんだね」
晃による銃撃に加えて音夢の高速の連続攻撃に対応しながら、アレスターの行動に対応できるほどの力量を、アルコバレーノは持っていない。
鳥はゲーミングテロリストに突っ込み……
「……あれ? 痛くない?」
――忽然と姿を消してしまった。
また【|擬音語《オノマトペストライク》】が来ると思って身構えていた彼女としては拍子抜けであるが。しかし。
とっても優秀でパーフェクトな頭脳が、彼女の身に起きた変化に警鐘を鳴らす。
そう、音夢の連続攻撃を受ける度に、身体が鉛の様に重くなっていくのである。
――アレスターの【花鳥諷詠】の効果、『融合』によるものだ。
この効果の対象となった者は、ダメージは受けなくなる。代わりに攻撃を受ける度に行動力が削られてゆく。
通常の4倍もの攻撃回数を発揮し、体力を見る見る削っていく音夢の【夜鮫】との相性は非常に良いと言ってよいだろう。
「これは、マズいかも……! 【全てのワザよ、ゲーミングたれ……】!!」
事態を打開するため、研鑽を積んできたゲーミング化学式と様々な生物の遺伝子配列と融合し、ゲーミングマイスター・アルコバレーノに変身するも、この事態を如何にして打開すればよいのか。
科学者ではあっても現場慣れした戦士ではない彼女は、咄嗟に有効な√能力を選び取る事が出来なかった。それこそが、晃が待ち望んでいた大きな隙。
「足元、お留守なんじゃないのー?」
全身がぎらぎらとゲーミング発光していようとも、影を打ち消すには至らない。
アルコバレーノの足元の影が、突如として肉体とは異なる動きを示し。
不意を突いて足元から伸びて彼女の足元を薙ぎ払うのは、楽観の影が変じた茨の鞭。
体勢を崩したゲーミングテロリストの足元に絡み付いて引き倒し、尻餅をつかせた。
そんなアルコバレーノを見下ろすのは、まるで指をぽきぽきと鳴らす様なジェスチャーを見せ、そして茨状になった楽観の影を引っ掴んだ怒りの影である。
「あーあー、やっぱり荒れてるわねー。
元々短気だけど、ゲーミング発光はやっぱりお気に召さないかー
まぁ、何であれ贅沢言わずに戦いなー?」
「なんで!? 真っ黒な君も、輝いてみれば世界が変わるだろうに!」
虹色に輝くのは、傷心の悲しみの影だけで十分である。
抗議と提案に更に怒りを募らせたか、怒りの影は影の鞭での怒涛の連続攻撃を放つ。
――【|獰猛な影《シャドウオブアンガー》】
視界内の敵1体を周辺にある最も殺傷力の高い物体で攻撃する事で、【影縫い】の状態異常による回避低下を与える√能力だ。
(この場合、この子のための威力ある武器って、やっぱりアレかしらね?)
と、晃が予想していた通りのものであったかはわからぬが。やはり、己の手で殴った方が気が晴れると思ったのであろうか。
得物にしていた楽観の影が変じた鞭をぽいと投げ捨てて、回避低下に加えて行動力まで枯渇しつつあるアルコバレーノをタコ殴りである。
もし、ゲーミングマイスターに変身したアルコバレーノがその√能力の真価を発揮して、アレスターの【|羽翼已成《オファニム》】を使用していたら。
漏れなく全員が全身ゲーミング羽毛の怪生物と化していたであろう。
音夢の【擬装限定解除・夜鮫】を無断借用していたら。ゲーミング発光する自分によく似たサメ怪人の姿に、音夢の尊厳は破壊されていたであろう。
しかし、今それらの嫌がらせを思い付いたとしても、瀕死かつ動きが鈍った今のアルコバレーノでは有効な運用は出来ない。
だが、彼女は鈍り切った指先で、奇跡的に早撃ちの如くポシェットから試験管を引き抜き。
「せめて一太刀ーー!!!!」
――投擲を成功させてしまった。
勢いはない。試験管が描く軌道は、恐ろしい程に山なりだ。しかし、此処は既に、アルコバレーノが理想とする燦然と輝くゲーミング空間に置き変わっている。
つまり、命中率は100%。その対象となったのは……
「……うーわ。私かー」
本日2度目の感情のこもっていない感動詞が、晃の口から零れ出た。
避けられないとあらば、撃ち落とすか、何かを盾にするしかない。
シリンジシューターで撃ち落としたところで中の薬液が彼女を襲う事は間違いの無い事であるし、喜びの影や悲しみの影を盾にした場合、果たして普段の自身の影はどうなるのか。
足元から1週間ほどゲーミング発光するのだろうか。全身か、影か。どちらにしても色々と終わる気がする。
そして、自分が主治医を務める患者は果たしてどんな反応を見せるだろうか。
様々な思いが去来する中、諦観の溜息を吐いたところで。
「晃殿ーっ!!」
「!? アンタ……」
彼女の前に、立ちはだかった者がいる。移動速度を大幅に上昇させていた音夢だ。
試験管の山なりの軌道が幸いして、追い越す事が出来たのである。そして、カウンセラーの盾とならんとする鮫怪人には勝算があった。
(あえて怪人形態の肌で薬液を受けて、擬装の張り直しで誤魔化……せると良いなぁ。)
――いや、勝算というには非常に不安が残るようである。何なら駄目かもしれない。
それでも音夢は身を挺して晃を庇い。見た目に限れば彼女が手を伸ばし続ける星よりも遥かに輝かしい約1680万色に包まれた。
輝いている誰かを推したい音夢は、1週間限定で自らも光り輝く存在となったのである。
それこそが哀しき鮫怪人……ゲーミング冥深忍衆爆誕の瞬間であった。
まかり間違ってもかつての上司には見せられない、忍ぶ者としては最悪な姿である。絶対零度の瞳で射抜かれるであろうことは想像に難くない。
「音夢先輩……変わり果てた姿に、なって。在りし日の姿、ぼくは忘れないよ」
誤解を招きそうであるが、生きている。肉体に限れば音夢はぴんぴんしている。その他の要素はわからぬが。
兎も角、彼女の献身にアレスターはほろりと零れ落ちそうになる涙を堪えて|断頭台《ハリファックス》のレーザー射撃と、おまけの|絞首台《ガロウズ》……ミサイルを発射し。
「ありがと。アンタのおかげで命拾いしたわー。その分、最後は任せて頂戴な」
力量の割に非常に頑健であったアルコバレーノの身体に、怒りの影の拳が吸い込まれ、追撃の爆炎が包み込み。
アルコバレーノの動きが、遂に止まった。体力……いや、行動力が底をついたのである。
「あ、ああ……私が目指した理想郷も、これまでか…………!
全てのゲーミング発光に、栄光あれーーーー!!!!」
とても本気とは思えぬ、最期までどうしょうもない断末魔の声と共に。
様々な√世界を騒がすゲーミング発光生命体の創造主、愉悦の七彩狂創者・Drアルコバレーノは。
【花鳥諷詠】の効果によって、約1680万色の輝きと共に霞の様に消滅したのであった。
――散々にゲーミング汚染した荷捌き場の床と、音夢を遺して。
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ゲーミングダツに始まり、ひたすらに極彩色の輝きを放っていたこの事件はこうして終わりを告げた。
新月らしい夜闇は、どこまでも目に優しいが。
しかし、漁港のコンクリートの床には、ゲーミング発光生物たちの首魁であるアルコバレーノの置き土産であるゲーミング発光液の輝きが文字通り色濃く残っている。
あのゲーミングテロリストが生きている限りゲーミング発光生物は増え続ける事であろうし、望む望まざるに関わらず縁があればまた相対する事もあるであろう。
√能力者たちは【忘れようとする力】を持つ者を中心に、被害を受けた者とコンクリート床を汚染したゲーミング発光液の除去を試みつつ、クリスマスの夜は更けてゆく。
宙に浮かび、正月まで約1680万色に輝く運命が決まったゲーミングインビジブルが、そんな彼ら彼女らの姿を見下ろしているのであった。
――なお。後日、音夢が無事にコンビニへのアルバイトに出勤できたかは……また、別のお話。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功