シナリオ

冬、雪降り、簒奪

#√ウォーゾーン #√EDEN

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 #√ウォーゾーン
 #√EDEN

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 空を見上げると、青く澄んで、高く高く、雲一つなく。
 吐く息が白くなる季節。空は何処までも高く、インビジブルが泳ぐ姿すらも幻想的な光景に一役買って。こんな穏やかな冬が続けば良いのに……。

●簒奪する者、される者
 √EDENの雪降る街の一画。穏やかな冬を過ごしている街。
 突如、路地から響く声。高らかに、勇ましく、穏やかな雰囲気とはかけ離れた声。
「私達は強くならねばならぬ。故に、謹んで学ばせていただく。」
「簒奪させていただくですの~。」
 冬の寒い空気の中に突如現れたメイド服姿の少女たちと、その一番後ろに構える機械装甲の少女。コスプレイベントか?と呆気にとられる通行人は足を止める。
 メイド服姿の1体が刃物を振り上げる。偽物にしてはよく出来ているなぁと言う眼差しの青年を、一思いに突き刺す。
「う、ぐ……。」
「う、うわぁぁあ!!!」
「きゃーーっ!!」
「簒奪ですの~。」
 その一突きでそれが偽物でも、コスプレイベントでもないと知らしめる。
「√EDENからインビジブルを持ち帰らねばならぬ。√能力者の邪魔が入る前に簒奪するのだ。」
「了解ですの~。」
 逃げ惑う人々を数多のメイド少女人形が追いかける。雪の上に血の赤が咲く……。

●時少し戻り
「は……っ!」
 風凪・真白(人間(√EDEN)の霊能力者・h03029)が、冬の空と重なって見えた光景に息を呑む。ゾディアック・サインを見た。
 今ならまだ、間に合うかもしれない。

 駆け出した先で皆に頭を下げる。肩で息をしながら、でも、今ならまだ。
「皆さんに、お伝えしたい事があります……っ。楽園に赤い花が咲く前にっ。」

 曰く、√EDENに簒奪者が、√ウォーゾーンから戦闘機械群ウォーゾーンの軍団が攻め入ってくると。
「この世界、√EDENには√ウォーゾーンに比べて、インビジブルが潤沢にあります。それを狙って戦闘機械群が攻めてくるのですが、更に多くのインビジブルを得るために、殺戮も行います。」
 皆が目を丸くするのを感じつつも、更に真白は続ける。
「時間がないです。多分、今から現場に皆さんが駆け付けても、簒奪者の方が一歩早いです。一般の方々にも多少の被害が出ている、かも……。それでも!」
 これ以上被害が、楽園が汚される前に。
「皆さんで√ウォーゾーンの戦闘機械群を倒して欲しいです。」
 敵リーダーは、傘下のメイド機械人形の後ろにいるようだ。まずは、『お掃除ロボット『DSN205型0番台』』を倒して、道を切り開いて欲しい、と。

●それから
 皆がそれぞれの準備をして、現場に向かおうとしている中。
 真白が少し提案してくる。
「もし、無事に簒奪者を退けたら……あの、季節を味わって帰って来て下さい。雪が降ると思います。冬らしさを、楽しんできて、リラックスしてきて欲しいな、なんて。」
 冬のお散歩を楽しんでは、との提案。
 それならば、余計に楽園の惨事は退けなければ。

マスターより

ありす
 こんにちは。マスターのありすです。
 新年明けまして、初の依頼となります。
 どうぞよろしくお願い致します。

●シナリオについて
 今回は、√EDENでの√ウォーゾーン勢力との戦闘になります。
 √ウォーゾーンから攻めてきた敵をやっつけちゃおう!というシンプルなお話の予定です。ぜひ参加して頂けたらと思います。

 1章はオープニングの通り、お掃除ロボット『DSN205型0番台』との戦闘になります。たくさんいます。
 2章はボス戦の予定です。
 3章は、ゆったりと√EDENで冬のお散歩を楽しみましょう。リラックスタイムです。暖かくしてきてください。

●執筆タイミング
 プレイングが来たものから、タイミング次第で書いていきたいと思います。合わせの際は時間にお気を付けください。

 プレイングの書き方に制限はありませんので、皆さまの素敵なプレイングお待ちしております!
15

第1章 集団戦 『お掃除ロボット『DSN205型0番台』』


POW メイドフォーメーションパターンAですの!
【複数のバックアップ素体 】による牽制、【複数のバックアップ素体】による捕縛、【複数のバックアップ素体】による強撃の連続攻撃を与える。
SPD メイドフォーメーションパターンBですの!
【隊列を組んだバックアップ素体たち 】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
WIZ メイドフォーメーションパターンZですの!
半径レベルm内にレベル体の【バックアップ素体たち 】を放ち、【メイドセンサー】による索敵か、【捕縛や拷問、自白目的】による弱い攻撃を行う。
√ウォーゾーン 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

鳳・楸
『させませんッ』
★アドリブ可、共闘可
■心情
天下の往来でいきなり虐殺とは銃砲刀剣類所持等取締法というのはやはり必要ですね。
まあ、私も持っているのですが。
それはともかくとりあえず凶行を止めましょう。

■戦い方
とにかく急いで駆けつけ被害者とメイドの間に割り込みます。聞いていたタイミングですと私の足で駆けつけてぎりぎりか間に合わないかというところかと思いますので全力疾走です。
接触の寸前に飛び込んで|能力《≪絶禍≫》で武器か腕を狙います。少なくとも|能力を使うのに必要な時間《六十秒》は納刀したまま駆け抜け、接触の一瞬に一撃を加えます。
被害者との間に割り込めたら、逃がしつつ相対します。
この場では銃は抜きません。とにかく刀の間合いに組みついて相手に銃を抜かせる暇を与えず畳みかけて決着まで付けたいです。
クラウス・イーザリー
「あいつら、俺の世界だけじゃなくて他の世界にも手を出しているんだな……」
自分にとっての敵が他の世界の脅威となるなら、尚更放っておけないな

現場に到着したら状況を確認
一般人が危機に晒されているなら割って入る位置で戦う
「大丈夫か?ここは任せて早く逃げろ」
生きている人間がいるなら戦場から離れるように伝え、決戦気象兵器『レイン』を起動
射程に捉えた敵を手当たり次第に撃って、気を引きながらダメージを与える
一般人を巻き込みそうならファミリアセントリーの弾道計算で一般人に当たらないように撃つ

敵の数が減っても油断せず、一般人への危機が去るまで傷付いても戦い続けるよ

※アドリブ、連携歓迎です

 駆ける、駆ける――只ひたすらに、地を駆ける。
 雪の上には数多の足跡。氷雪で滑り転んだ跡、数多の人が駆けた跡。そして、それに反する方向へと足跡刻むは、鳳・楸(|源流滅壊者《ルートブレイカー》・h00145)。
 真っ白な雪積もる中を、フリルとリボンを靡かせて駆ける。その手には2尺7寸、1mと少しの太刀、合金鍛造刀«緋閃»。その腰には50口径回転式拳銃。あまりに服装とのバランスが取れていないが、しかし、それを気にしている場合ではない。

(天下の往来でいきなり虐殺とは銃砲刀剣類所持等取締法というのはやはり必要ですね。)

 そう思うも、彼女自身も刀も銃も持っている。しかし、それは今まさに行われている虐殺を止める為。その凶行を止める為。

「あいつら、俺の世界だけじゃなくて他の世界にも手を出しているんだな……。」
 √ウォーゾーンの戦闘機械群と戦う兵士を養成する学園に所属しているクラウス・イーザリー(人間(√ウォーゾーン)の学徒動員兵・h05015)。自身の住む世界で戦闘機械群と戦う事は日常茶飯事だが、まさか、この約束された楽園の地√EDENでも敵が脅威になっているとは思ってもいなかった。
 自分にとっての敵が他の世界の脅威になるのなら……。
(尚更、放っておけないな)

 気合を入れるようにクラウスと楸は、力強くダンと地を蹴る。

 ――見えた!

 現場に到着すれば、未だ逃げ遅れた一般人が呻いて倒れていたり、既に事切れていたり、今まさに襲われそうになっていた。

 メイド服を来た少女、『お掃除ロボット『DSN205型0番台』』が剣を男性に振りかぶっている所を視界に捉えた楸。誰よりも早く駆け、静寂と共に男性とお掃除ロボットの間に入る。√能力『|疾駆《シック》』。
 雪降る夜のように、シンと静まり返る。雪が音を飲み込んでしまったかのように、時までも飲み込んでしまったように。

「させませんッ!!」

 一瞬の静寂を引き裂くように、楸の声が戦場に音を取り戻させる。駆ける間に溜めた戦意を、居合と共に高速での一撃を放つ。『|絶禍《ゼッカ》』。
 男性を襲おうとしていたお掃除ロボットが切断される。それだけじゃなく、周囲の敵すらも一刀両断と化す。

「なんですの!?」
「何事ですの~!?」

 それは粗相をするメイドに制裁を加える女主人の如く。
「今のうちに早く逃げてください。」
「あ、あ、ありがと……!」
 男性が震える足腰を何とか動かして戦場を後にするのを確認し、楸はまた刀を納刀する。そうして、チャージを開始する。静寂と共に現れた少女が、一瞬にして薙ぎ払い仕留めた跡には、黒いオイルの花が咲く。
 お掃除ロボットはあまりの一瞬の出来事に怯む。
「何を怯んでいるのです。私達は屈してはならないのです!」
 戦場の奥に立つ統率者が声をあげる。屈してはならない、簒奪するのだ、と。お掃除ロボットを鼓舞する。
「メイドフォーメーションパターンBですの!」
 崩れた隊列を再形成し、バックアップ素体達が戦意をチャージする楸へと向かう。

 クラウスは楸が戦場を混乱させている間に、動ける一般人に声をかけて周った。
「大丈夫か?ここは任せて、早く逃げろ。」
「き、キミは……。」
 大丈夫だ、と力強い青い瞳が戦線を離れるようにと、一般人へと伝える。そうすれば、一般人は無我夢中で雪の上を転びながらも駆けて逃げる。

 呻く一般人を抱えて戦線を離れようとしていたクラウスは、楸が次の攻撃の溜めに入ったのを確認すれば、援護するように√能力『決戦気象兵器『レイン』』を展開し、お掃除ロボットたちの動きを阻害する。一撃は弱くとも、300回のレーザー攻撃がメイド服を焼き、武器の軌道を逸らし、歩を進めるのを牽制する。

 再び、楸が√能力『|絶禍《ゼッカ》』を放ち、一閃。戦場のお掃除ロボットメイドの数を減らす。
「メイドフォーメーションパターンZですの!」
「そうはさせないっ!」
 楸が作った隙を、好機とばかりに、今のうちだ、とクラウスは手当たり次第にレーザーを撃ちながら、一般人を逃す。レーザーが一般人に当たらないようにファミリアセントリーで弾道計算をしつつ。
 楸は、腰に下げた銃は抜かず、刀の間合いで薙ぎ、斬り、お掃除ロボットメイドの数をドンドン畳み掛けるように舞い踊る。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​ 成功

エアリィ・ウィンディア
ところで…。
なんでメイドさんなんだろうね?油断を誘うためだとか、そんな感じなのかなー。
まぁ、何はともあれ…。
奪わせないよ、何もかもっ!!

空中移動からの急降下空中ダッシュで一気にメイドさん達の方へ移動を開始っ!
到着と同時に、左手の精霊銃を乱れ撃ちっ!
これであたしの方に気を惹いて…。
そのまま乱戦に持ち込むよ。

高速詠唱で隙を減らしてから、使うものは、六芒星増幅術精霊斬。
スピードの強化をして、残像も生み出しての機動を行って側面や背面に回って、攻撃を仕掛けていくよ。

バックアップ素体たちには精霊銃の乱れ撃ちで対処。
まぁ、√能力としても、素体があるからそれを打てれば何とかなるでしょ!

さぁ、次は誰かなっ!
千葉・陽姫
どいつもこいつも、この世界を狙ってくる。
私達の生きる世界は、幸せに生きて、笑い合う人々がいるというのに。
そんな幸せを壊す、この世界を餌場か何かとしか思ってないような連中なんて。
──絶対に、赦してなんかやるものか。

相手は群体。数の不利は否定は出来ない。
けれど、私にはそれを補う手段がある!

【ダッシュ】で一息に敵との距離を詰め、√能力を発動。
持ち得る技能の限りを尽くし、攻撃を放ち続けて相手の数に対抗する。
多少の攻撃は受けるだろうけど、私、痛みには強い方(【激痛耐性】)だからそこは無視。むしろ近寄ってくれるなら、移動の手間が省けて好都合。

とにかくこの敵を、簒奪者を打ち倒す事。
今はそれだけを考えよう。
サイプレス・グレイヴァー
※アドリブ・共闘可

●心情
ご連絡感謝します。サイプレスは承りました。
一方的な簒奪、殺戮。それは許されざる行為であるとサイプレスは既に認知しています。
妹に危害が加えられてしまう前に、この姉が成敗します。

●行動
まずは現場に至急移動。
到着次第、模倣した剣を投げつけ牽制。続いて十字架で殴りつけます。
可能であれば敵の頭上や背後を狙いたいですが、一般人が襲われていれば真っ向から挑みましょう。
バックアップ?サイプレスにも役に立つマリオネットがいますよ。こちらも一体ではありません。
簒奪には複製で対抗です。
|√能力《糸操り》で能力を複製。同じ攻撃をお返しです。
いかがですか?
簒奪できなくなるまで姉は殴りますよ。
深雪・モルゲンシュテルン
人間との区別が困難な外観の戦闘機械ですか
市街地の中心部まで浸透されれば対処は困難
今の内に逃さず殲滅します

『超過駆動・大軍掌握』を起動し、少なくとも6台の移動型浮遊砲台を展開
敵の√能力で壊滅しないように密集しすぎないように注意
まずは既に一般人を攻撃中の敵を処理します
私の≪対WZマルチライフル≫による狙撃と砲台の[レーザー射撃]
手数が増えれば複数の敵の処理も早まります
間違っても巻き込むことが無いように射撃の角度には注意

その後は浮遊砲台を一般人が逃げていく方向を塞ぐように展開
ライフルをビームバルカン形態に変形させ、砲台と共に[弾幕]を張ります
隊列を早期に崩し、敵の攻撃の威力を削りつつ押し留めましょう

「どいつもこいつも、この世界を狙ってくる。」
 千葉・陽姫(|復讐者《アベンジャー》は『旋風』と共に・h00444)が小さく、苦く、呟く。この幸せに生きて、笑い合う人々がいる、約束された故にか弱く尊い√EDEN。陽姫もまたこの世界で幸せを掴んでいたが、簒奪者に幸せを壊された一人であって。

(そんな幸せを壊す、この世界を餌場か何かとしか思ってないような連中なんて。)

 拳を握り締めて駆ける。
「一方的な簒奪、殺戮。それは許されざる行為であるとサイプレスは既に認知しています。」
 そう淡々と述べるのはサイプレス・グレイヴァー(姉を名乗る不審|人形《ドール》・h00768)。身長と同じ程の十字架を背負い走り、濃緑の頭巾の下で思うは妹のこと。
「妹に危害が加えられてしまう前に、この姉が成敗します。」

「ところで……なんでメイドさんなんだろうね?」
 空中を飛ぶように跳ぶように駆けるのはエアリィ・ウィンディア(精霊の娘・h00277)。風のように、風よりも早く駆ける。
 視界に捉えた『お掃除ロボット『DSN205型0番台』』の服装を見て、率直に素直な疑問を持つ。純粋故か、否、それは他の者も思うところあるようで。
「人間との区別が困難な外観の戦闘機械ですか。市街地の中心部まで浸透されれば対処は困難。」
 人間と戦闘機械の区別がつかなくなれば、対処にも時間が掛かると判断した深雪・モルゲンシュテルン(明星、白く燃えて・h02863)はそう答える。

「まぁ、何はともあれ……奪わせないよ、何もかもっ!!」
「──絶対に、赦してなんかやるものか。」
「今の内に逃さず殲滅します。」

 エアリィはぐんっと地面に向かって急降下し、一気にお掃除ロボットメイドの方へ移動をする。陽姫はダッシュでその下に滑り込むようにお掃除ロボットとの距離をゼロにする。
 エアリィの左手に構えた精霊銃『エレメンタル・シューター』の射程にお掃除ロボットを捉えれば、右に左に左右正面にと、乱れ撃ち。パシュッパシュッと精霊の力を込めた魔力を撃ちだす。エアリィの方に敵のターゲットが向く。

(これであたしの方に気を惹いて……。)

「その隙もらった!!」
 陽姫が√能力『|百錬自得拳《エアガイツ・コンビネーション》』を発動させる。エアリィに向いていた隙をつくように拳をお掃除ロボットに叩き込む。
 一気に乱戦に持ち込む。複数のバックアップ素体による強撃をフェイントで避け、カウンターで撃ち込む陽姫。
 陽姫が連続攻撃をして、エアリィはその最中に高速詠唱。
「世界を司る六界の精霊達よ、あたしに力を……!」
 √能力『|六芒星増幅術精霊斬 《ヘキサドライブ・ブースト・スラッシュ》』でスピードの強化。青空のような髪が風に攫われるように靡く。
「精霊達とのコンビネーション、じっくり味わってねっ!」
 トンと軽く雪の積もる地を蹴れば、残像を残すスピード。トン、トトンと地を蹴り、お掃除ロボットの側面に回って右手の精霊剣『エレメンティア』で斬り伏せる。
 メイドセンサーによる索敵に引っ掛からないように、残像を残し、次点に付けば、今度は精霊銃を背後から頭部に撃ち込む。

 サイプレスは、逃げ遅れ倒れた一般人に襲い掛かるお掃除ロボットに向かって、模倣した剣を投げつける。牽制し、お掃除ロボットが止まった所で。
「簒奪は許されざる行為ですよ。」
 等身大の十字架でお掃除ロボットを上から、頭上から叩き潰す。躊躇はない。
「メイドフォーメーションパターンAですの!」
 そう言い複数のバックアップ素体による連続攻撃を仕掛けようとするお掃除ロボットに、サイプレスはきらりと瞳を反射させて言う。
「バックアップ?サイプレスにも役に立つマリオネットがいますよ。こちらも一体ではありません。」
 対抗するように繰り出すは√能力『|糸操り《トレーストリング》」。
「今の動きに続いていきますよ。さん、はい。」
 小型のマリオネットを創造すれば、ピアノの上で指を躍らせるように、指で社交ダンスを踊るように、鏡の前でお掃除ロボットが踊るように模倣する攻撃。
「どうして真似してくるですの~?!」
「いかがですか?簒奪できなくなるまで姉は殴りますよ。」
 動揺するお掃除ロボットが出てくれば、その隙をつくように十字架で薙ぎ殴る。簒奪には複製で対抗を。

「こうなれば、死んだ奴だけでも簒奪するですの~!」
「生きてる奴も簒奪するですの!」
「そうはさせないです。」
 『|超過駆動・大軍掌握《オーバードライブ・バタリオンコマンダー》』で、6台の移動型浮遊砲台を展開をするモルゲンシュテルン。
 敵の√能力で壊滅しないよう、密集しすぎないように距離を取っての行動。そして、特に一般人を攻撃し、簒奪しようとするお掃除ロボットに攻撃を集中させる。変形銃、『対WZマルチライフル』により、一般人を襲うお掃除ロボットをサイプレスと共に攻撃。
「手数が増えれば複数の敵の処理も早まります。」
 隊列を組んだバックアップ素体達が範囲攻撃で、一般人すら巻き込んでの攻撃を行おうとするのをモルゲンシュテルンは察知。
「させません。」
 『対WZマルチライフル』をビームバルカン形態に変形。6台の砲台と共にレーザーの弾幕を張る。
(間違っても巻き込むことが無いように射撃の角度には注意。)
 正確に、精密に、一般人には当たらないように、お掃除ロボットには当たるように、銀髪揺らし、宝石のような青い瞳を忙しなく動かし。
 お掃除ロボットの数が減ったところで、モルゲンシュテルンは残る一般人に声をかける。
「今のうちに逃げてください。援護します。」
「た、助かります。」
 浮遊砲台を一般人が逃げていく方向を塞ぐように展開する。
「行かせません。簒奪させるわけにはいかないので。」

 陽姫の連撃は止まらない。バックアップ素体の牽制に拳を止められて、連続攻撃を返されても、止まらない、止まっていられない。黒い瞳の決意は揺るがない。
 痛みを感じないわけではないが、それよりも……。
(とにかくこの敵を、”簒奪者を打ち倒す事”。今はそれだけを考えよう。)
 敵が近寄ってくるなら好都合とばかりに拳を叩きこんでいく。

「さぁ、次は誰かなっ!」
 声高らかにエアリィの言葉が響く。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 ボス戦 『『ドクトル・ランページ』』


POW ドクトル・リッパー
【装甲と一体化した斬撃兵器】を用いて「自身が構造を熟知している物品」の制作or解体を行うと、必要時間が「レベル分の1」になる。
SPD マテリアル・キラー
【物質崩壊光線】を放ち、半径レベルm内の自分含む全員の【打撃】に対する抵抗力を10分の1にする。
WIZ ドクトル・テイル
【長大な尻尾状の部位】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
√ウォーゾーン 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

 その場所に残るのは、『お掃除ロボット『DSN205型0番台』』の残骸と、オイルの黒い花、いや、オイルの黒の溜り場。
「おのれ……!私の簒奪の邪魔をするとは。」
 簒奪者たちを統率する、巨大派閥レリギオス・ランページの統率者が苛立ちを隠せない。
「ドクトル・ランページ、私自らお前たちを倒し、この楽園からインビジブルと生体パーツを頂戴する。」
 ドラゴンのような装甲の機械が、冬の空の下で光る。バーントオレンジの繊維の髪が戦場に花を咲かせる。
クラウス・イーザリー
「させないよ」
これ以上、奪うことは許さない
全力で目的を阻んでやるよ

敵が接近してくるまでは遠距離から弾道計算+レーザー射撃でダメージを与え、自分が攻撃されそうになったら√能力先手必勝でハンドアックスを叩き付けて身を隠す
以降はガントレットのワイヤーやクローを用いての遊撃で動き回って死角から暗殺
装甲が硬い時は鎧砕き、至近距離に飛び込まれたら零距離射撃と色々な武器を使って接近戦
接近戦が不利なら距離を取ってレーザー射撃で対応するよ

一緒に戦う味方がいるなら積極的に連携
味方の攻撃に合わせてワイヤーで動きを封じたり、暗殺を差し込んだりと攻撃を合わせよう

※アドリブ、連携歓迎です
千葉・陽姫
随分と偉そうに名乗り出てきたけど、結局のところは『簒奪に来ました』って事だけだよね。なら、遠慮なんていらないね。
お前には、何も持ち帰らせはしないよ。

機動力を活かして、相手との距離を一気に詰め、右手で相手の動きを封じる。
そう、今度の狙いは、攻撃……ではなくて。相手の√能力を封じる事。
どれだけ相手が強力であろうが、能力を封じてしまえば隙は出来る。隙が生まれれば、こちらの有利に事態は動くはず。

本当は、私がこの手で、この脚で、簒奪者を潰してやりたい。
けれど、今はこれが私に出来る精一杯。あとはこの場にいるはずの『誰か』が、繋いでくれるはず。
……他の√の人を計算にいれなきゃいけないのは、歯痒いけれどね。

 長大な装甲尻尾を威嚇のように動かしながら、√能力者たちが対峙するのは、√ウォーゾーンのドクトル・ランページ。
「随分と偉そうに名乗り出てきたけど、結局のところは『簒奪に来ました』って事だけだよね。」
 黒い瞳を復讐の炎で燃やしつつ言い放つのは千葉・陽姫(|復讐者《アベンジャー》は『旋風』と共に・h00444)。
「簒奪するのが私達の義務だからな。」
「させないよ。これ以上、奪うことは許さない!」
 クラウス・イーザリー(人間(√ウォーゾーン)の学徒動員兵・h05015)もまた、陽姫の隣に立つと、青い瞳に決意を灯す。

「お前には、何も持ち帰らせはしないよ。」

 陽姫の始まりの言葉と同時に、ダンと地面を蹴り、陽姫が一気にドクトル・ランページとの距離を詰める。
 ドクトル・ランページは距離を詰めてきた陽姫に、即座に反応し、装甲と一体化した斬撃兵器を彼女に向ける。ドクトル・ランページの振り上げた腕が陽姫を切り裂き解体するのが一手早いように見えた。
 しかし、臆することなく陽姫は右掌をドクトル・ランページに向かって伸ばす。

「なんだと!?」
 パンッと力が分散するように弾ける。ドクトル・ランページの√能力が打ち消される。陽姫は決められた、と内心安堵するが、即座に気を引き締めて。
 陽姫の狙いは、攻撃ではなかった。√能力『ルートブレイカー』による、相手の√能力の無効化による隙を作る事。

(どれだけ相手が強力であろうが、能力を封じてしまえば隙は出来る……。隙が生まれれば、こちらの有利に事態は動くはず!)

「今だよっ!!」
「任された!」

 遠距離から弾道計算をしたレーザー射撃で、陽姫の動きを悟られないように動いていたクラウス。陽姫の作った隙に即座に反応。
 √能力『|先手必勝《センテヒッショウ》』で、装備する機械も叩き割りそうなハンドアックスの射程まで跳躍。自由落下の勢いのまま、ドクトル・ランページに叩きつける。
 ドクトル・ランページは装甲の一部を叩き割られ、苦虫を噛み潰したような表情を顕わにする。
「なかなか、これでも硬いな。」
 ドクトル・ランページの反撃の物質崩壊光線が放たれる前に、光学迷彩を纏ったクラウスは姿を眩ませる。
「小癪な。」
 クラウスがガントレットのワイヤーやクローを用いて、動き回りながら死角から攻撃を繰り出していく。それを追うようにドクトル・ランページの攻撃が放たれる。
 ゼロ距離の接近戦に持ち込まれれば、陽姫が割り込み、『ルートブレイカー』で能力を無効化する連携。
 陽姫が隙を作れば、至近距離で零距離射撃と鎧砕きのハンドアックスの叩き付け。即座に距離を取れば、今度はレーザー射撃で相手に手番を渡さない連携攻撃。

(歯痒いけれど。)

 本当は、陽姫自身の手で、この脚で、簒奪者を潰してやりたいという気持ちが溢れるのを、今だけはぐっと堪えて。仲間が繋いでくれることを願って。
 その願いを繋ぐクラウスもまた、その一人である。
 
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

鳳・楸
『本命が出てきました、これを押さえればこの場は落ち着きま。』
★アドリブ可、共闘可
■心情
奪う者は奪われても文句はありませんね?
裏側で隠れたままでそのまま逃げられたりしたら目も当てられませんから、素直に出てきたことについては良いことだと言えるでしょう、
あとはこの強敵ここで倒し切れるか、ですが、それについては全力を尽くすのみでしょう。
それでは・・・推して、参ります。

■行動
味方が遠距離攻撃に入ったタイミングで、|√能力《≪閃光刃≫》で割り込みます。
まずはとにかく手数で撹乱し、強引にでも隙を隙を作り出し、|次の一手《≪絶禍≫》につなげます。
敵の光線は全方位の光波の様にも思えますのでこれは避けるのが難しそうですから
この際割り切って攻撃に注力します。

うまく装甲の一部でも尻尾の先でも斬り飛ばすなりなんなりして破壊することができれば敵の攻撃力を削ぐことができそうなので、むしろあえて積極的に防御させてその上から打撃力を叩きつけるのもありかもしれませんね。
敵が防御の姿勢を見せたら|銃撃《√能力≪フェイクショット≫》で、大口径弾頭の打撃力を至近距離から叩き込みます。
サイプレス・グレイヴァー
※アドリブ・連携歓迎

●心情
√ウォーゾーンはサイプレスが製造された√だと伺いました。
記憶領域に覚えはありませんので、同調はいたしません。
簒奪の邪魔?サイプレスは、ドクトル・ランページが日常生活の邪魔であると意見します。
妹の平和の為。速やかに、大人しくお帰り下さい。

●行動
『DSN205型0番台』より強固と想定しますが、構いません。
サイプレスの攻撃は鎧の強度でも破砕可能。真っ向から叩き潰しましょう。
長い尾部は行動を阻害します。隙の発生を確認後、抉らせていただきます。
|大地切削粛清砲《ガイアグレイヴァー》、起動。発射いたします。
残骸は再利用されないよう回収、隠蔽です。姉もお掃除人形を名乗れそうですね。
エアリィ・ウィンディア
簒奪させるわけにはいかないからそりゃ邪魔させてもらうよ?
それに、この世界はほんとにおいしいものとか多いからね。それもしっかり守るよっ!

今回は近距離戦かな?
左手の精霊銃を撃ちながらダッシュで接近して、右手の精霊剣を一閃っ!
そのままフェイントを交えつつ、銃と剣の連撃をお見舞いするよ。
でも、これはあくまで布石。
本命は、高速詠唱で隙を減らした、六芒星精霊収束砲・零式!
チャージ時間を稼ぐためにも連撃を止めないようにしないとね。
今、ここで必要なのは大きな一撃っ!
チャージ完了したら、限界突破で全力魔法の六芒星精霊収束砲・零式!
あたしの限界を超えた一撃だよっ!!

後追いダメージは耐えるけど痛いものはいたーい!

「本命が出てきました、これを押さえればこの場は落ち着きます。」
 そう仲間たちを鼓舞するのは鳳・楸(|源流滅壊者《ルートブレイカー》・h00145)。13歳にしては落ち着きのある対応力と物腰で、年長者と間違われるくらいである。

「奪う者は奪われても文句はありませんね?」
「小さき娘よ、私達は簒奪者だ。強者だ。奪われることはない。簒奪の邪魔だ。」
「簒奪の邪魔?サイプレスは、ドクトル・ランページが日常生活の邪魔であると意見します。」
 √ウォーゾーンで製造されたが、記憶領域にその記録がないサイプレス・グレイヴァー(姉を名乗る不審|人形《ドール》・h00768)は、同調いたしません、と拒否をする。『DSN205型0番台』の残骸を再利用されないように、さりげなく回収隠蔽をしつつ。
(姉もお掃除人形を名乗れそうですね。)

 裏側、後方で指揮を執り、そのまま逃げられては目も当てられない。素直に出てきたことについては良い事だと言えると、楸は思うが、その強者の圧に当てられていないわけではない。

(この強敵、ここで倒し切れるか……いえ、全力を尽くすのみでしょう。)

「それでは……推して、参ります。」

「妹の平和の為。速やかに、大人しくお帰り下さい。」
 サイプレスはドクトル・ランページを見て、『DSN205型0番台』よりは強固で強いと想定はするが、それは関係ない。どんな敵だろうと、この身長程の十字架と自身の体への自信で、破砕可能と信じて。
「真っ向から叩き潰しましょう。」
 ガンと十字架を、雪が抉れるくらいに地面に叩き付ける。それが起動となり、十字架が瞬く間に変形。
「エネルギー充填完了。システム正常。変形機構異常無し。……|大地切削粛清砲《ガイアグレイヴァー》、起動します。
 肩に抱え、ロケットランチャーを構えるような体勢になるサイプレス。√能力『|対決戦用変形機構《コード・トランス》』。
「ほう。」
 興味深そうにドクトル・ランページはサイプレスを見る。が、それも一瞬。マテリアル・キラーのレーザーを発射する。
「発射いたします。」
 変形したサイプレスの十字架の先からもまたレーザーが発射される。レーザーとレーザーがぶつかり、火花が散り、花火のように咲く。

 サイプレスが先程までの近接戦闘とは打って変わっての遠距離攻撃をする中。
「我が壱閃は弐拾重はたえとなり、参佰重みおえとならん。」
 トンと地を跳ね身に纏うフリルとリボンを躍らせて、社交ダンスでも踊るかのようにステップを踏み出す楸。
「無限の剣閃、避けるに能わず。遍く刻め霊光の刃。」
 √能力『|閃光刃《センコウジン》』。抜刀した合金鍛造刀«緋閃»を高速で、縦に横に斜めに、縦横無尽に後方へも、それこそ円を描いて舞うように刀を、そして剣圧を放つ。
 一閃がドクトル・ランページの長大な尻尾状の部位に当たり、弾き、二閃が装甲を弾き飛ばす。
 |閃光刃《センコウジン》に合わせるように、ドクトル・ランページの尻尾状の装甲もまた、宙を舞う。
 キンと甲高い音、ガンと重たい音、それがまるで踊るリズムを刻むように。

「やるではないか。」
 ドクトル・ランページはまだまだ余裕のある表情で楸の攻撃を受け、流し、合わせるように刻む。
 楸の目的はこの攻撃ではない。攻撃の手数で強引に隙を作る。
(次の一手までの隙を……!)
 300回の剣戟の中で隙を見逃さないように、夜よりも濃い漆黒の瞳をギラつかせて、喰い付き。
 ドクトル・ランページの尻尾状の部位が大きく弾かれ上に向く。胴体がガラ空きになる。
(今だ!!)

 敢えてキンと音を立てて納刀。ここから60秒、耐えるんだ、と。
「戦意を喪失したか?」
 刀を鞘に戻した楸にドクトル・ランページは容赦なく、物質崩壊光線を放つ。
 楸は納刀し、戦意をチャージしているのを悟られないように、しかし、完全に物質崩壊光線に当たらないようにする。
 光線は全方位に乱射、反射するかのように、右に避ければ、次の足場に次弾が入る。
「く……っ!」
 重心移動にも限界が来て、楸は雪の上に顔面から倒れる。が、ここで倒れるわけにもいかない。肘と足だけで立ち上がり、刀から手は離さない。
 あと、10秒。
「大人しく簒奪されれば良いのだ。」
「……させません。『|絶禍《ゼッカ》!』」
 ドクトル・ランページを見上げる体勢から、60秒間耐えきった楸は、気合と共にドクトル・ランページに向かって居合による高速の一撃を放つ。
「……!!」
 ドクトル・ランページが長大な尻尾状の厚い装甲部位で受け止めようとする。
 しかし、猛攻を受け続けたそこはパリンと静かに破壊され、装甲の一部が雪に落ちる。その一撃は装甲だけでなく、ドクトル・ランページ本体にも傷を与える。
「おのれ!」
 激昂したドクトル・ランページが残る尻尾で楸を弾き飛ばす。

「簒奪させるわけにはいかないからそりゃ邪魔させてもらうよ?」
(この世界はほんとにおいしいものとか多いからね。それもしっかり守るよっ!)
 ご褒美は何を食べようか、甘い物がいいな、と思うエアリィ・ウィンディア(精霊の娘・h00277)も、決して油断をしているわけではない。
 楸が弾き飛ばされたのと入れ替わるように、左手の精霊銃を撃ちながらダッシュでドクトル・ランページに接近。その勢いのまま、右手の精霊剣で一閃!
「小さい者が多いな。この楽園は。容易く渡せばいいものを。」
「小さくても、守れるもの、守るものがあるんだよっ!」
 フェイントを交えつつの、エアリィの剣と銃の連撃も、ドクトル・ランページは腕と残った尻尾を巧みに用いて応戦する。しかし、エアリィの攻撃、これはあくまで布石。
「六界の使者よ……。」
 小さく、ドクトル・ランページの聴覚部位に入らないように、高速詠唱。剣が弾かれ、爪で切り裂かれても、詠唱は止めない。連撃も痛みを堪え止めない。銃が放たれ、弾かれた剣を回収し、走り、また剣を当て。
「我が手に集いてすべてを撃ち抜きし力を…!!」
 60秒。
 両手で銃を構え放つは『|六芒星精霊収束砲・零式《ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト・ゼロ》』。
 今、ここで必要なのは、大きな一撃っ!限界突破と言葉通りに、エアリィの限界を超えた一撃が、火・水・風・土・光・闇の精霊六属性の魔力砲撃放たれる。
 ドクトル・ランページの体勢が崩れる。
(痛いのは耐えてたけど……痛いもはいたーい!)
 エアリィの心の叫びは戦場には出さず。ドクトル・ランページを劣勢にもって行ったのを見て、笑みが零れる。

「く……。ここは一度退かせて頂こう。」
「そうはさせないです。」
 劣勢に劣勢を重ねて、撤退を決断したドクトル・ランページの背後に立つのは、今まで腰に下げていた50口径|回転式拳銃《リボルヴァ》を構える楸。
 ボロボロのロリータ服を風に靡かせながら、ドクトル・ランページの頭部に密接。カチリとトリガーを引く。
 至近距離、いや、零距離の銃撃。
「さようなら、です。」
 バンっと大きな音が一度。しんしんと降る雪の中で響く……。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 日常 『冬のぶらり散歩』


POW ウォーキングコースを見つけた。歩いてみる。
SPD 冬毛の野鳥の姿を眺めて和む。
WIZ 街路樹や空にある雲、肌寒さに季節を感じる。
√EDEN 普通5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 帰り道。
 しんしんと、静かに、牡丹雪が降る。
 静かに、音を飲み込むように。それは冬の贈り物。
 簒奪者を退けた今だからこそ、ゆっくりと季節の、その季節らしさを味わっていこうではないか。
クラウス・イーザリー
「……綺麗だな」
少し前まで激しい戦いを繰り広げていたとは思えないくらい、静かで真っ白な景色に見惚れる

雪の中を特に目的も無く歩き回って足跡を付けて
冬毛の野鳥を見付けて目を細める
雪も鳥も、自然が少ない俺の世界(√ウォーゾーン)では殆どお目にかかれないものだから
物珍しくて、何だか楽しい気分になる

温かい飲み物でも買って飲んでみようか
寒い中で温かいものを口にするとすごく美味しく感じる
食糧不足のウォーゾーンではやっぱりあまり体験できないもので
物資が豊富なこの世界が時に羨ましくなる
欲しいからって奪うのは言語道断だけどな

そんな風につらつらと思いを巡らせながら雪景色の中を歩くよ

アドリブや他参加者との交流歓迎です
千葉・陽姫
守るべきものを、守ることが出来た。
嬉しいと思う反面、『あの時』も出来ていればと思いもして。なんだか複雑な気分になるね。

それにしても、寒いと思ったら雪かぁ。冬本番、って空気だね。
……冬といえば、もう選手権の季節かぁ。
男子だけじゃなくてね、女子サッカーもこの季節にあるんだよ。高校選手権。
去年はいいところまで行けたけど負けちゃって、今年こそは! って。
毎日練習を頑張って。そんな私を、友達みんなが応援してくれて……。

ダメだなぁ。どうしたって、幸せだったあの頃が頭を過っちゃう。
みんなに、会いたい。また一緒に、笑いあいたいよ。
……どうして私は、ひとりだけ生き残っちゃったんだろう。
エアリィ・ウィンディア
ふぅ、おわったね~。
後は帰るだけー。せっかくだからお散歩していきたいな。

雪の中、のんびりとお散歩して帰り道を楽しんでいくよ。
空から降りてくる妖精って感じできれいだよね、この雪たち。
せっかくだから…。
空中浮遊で空へ移動。
なんでって?
そりゃ、この雪と空を全身で感じたいから。

冬の風に乗ってのんびり空中移動。
雪の冷たさや風の冷たさに冬を感じながら、それでものんびりしちゃうよ。

一通り満喫したら、地上に降りて…。
寒いから、帰りにはあったかいもの買って帰ろっと。

寒いからこそ、温まれるものが恋しいよねー。
あ、コンビニがある。それじゃ、行ってみよっと。

ふふ、何を買おうかなー♪
鳳・楸
『あれで倒せたのでしょうか・・・?』
★アドリブ可
■心情
とりあえず敵を退けられたので一安心ですね
正直なところあれで倒し切ったのかは少々不安ではありますが。
ともあれ、目の前にいない以上これ以上心配しても仕方ありません。
今を楽しむとしましょう。

■行動
さしあたって、たまには何も考えず飛び回ってみるのも良いかもしれません。
というわけで|√能力《≪狐式変身術≫》でエナガになって自由に飛び回って散策します。
なにか珍しいものでも見つかるかもしれません。
サイプレス・グレイヴァー
●心情
戦闘対象ロスト。
『√EDENは、インビジブルが他の√に比べ豊富である』、その知識はございます。
しかし一方的な簒奪は許されません。
何故友好的な方法を模索しないのでしょうか、とサイプレスは考えます。
……通常モードに移行。思考を切り替え、妹からの依頼を遂行しましょう。

●行動
当依頼を受ける前、Ankerである妹のメノウからのおつかいを実行します。
買う物は画材に紙、シール……文具を余すこと無く購入です。
あとは、掛け布団?これは母親からもお願いされていましたね。
雪の日は気温が低下します。妹が風邪で機能低下しないよう、分厚い物を買います。
両腕で抱え持ち帰路へ。妹が家で待っています、疾く帰りましょう。

「……綺麗だな。」
 ほんの少し前まで、幾らか離れた場所で激しい戦闘を繰り広げていたとは思えない。それほどまでに、世界は、冬の景色は、静かで真っ白で、純粋で。
 クラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)は、思わず空を見上げて、落ちてくる雪が顔に付こうとも、高い水色の空と、白い雪に見惚れる。
「冷たいな。でも……いい。」
 自身の生まれた、クラウスの世界、√ウォーゾーンは自然が少なく、殆どお目にかかれないのもあり、ソワソワとした好奇心が疼く。
 まだ誰も踏み入っていない、小さな雪原を見つければ、真っ先に足跡を一つ付けて見る。ギュッと心地よい踏みしめる音が響けば、また一歩、二歩と踏み出して、小さな公園の木々の間をクラウスは、静かにそれでも楽し気に歩く。
 暫く奥に進んで雪だまりを見つければ、大の字に仰向けに倒れて見る。ぼふっと雪が舞って、雪布団に埋もれたみたいに、冷たいが心地も悪くなくて。全身で冬を堪能する。
(楽しいな。あ、鳥だ。冬毛でふんわりしている。)
 頭上を飛んでいった鳥に、笑みが零れる。丸々として可愛らしい。

 流石にいつまでも雪の中を戯れては凍えてしまうと、暫く堪能して立ち上がる。
 ここに来るまでに自動販売機があったのを思い出して、戻ってみる。
「温かい飲み物は……これにしよう。」
 温かいココアの缶を選択する。おまけのルーレットが回って、ピロリロリンと楽し気な音楽と共に、もう一つ缶が出てくる。当たったらしい。
「食料不足の√ウォーゾーンではあり得ないな。」

 ココアを開けて、当たったお汁粉缶は小脇に抱えて。クラウスは、缶から伝わる温かさと、喉を通るココアの温かさと甘さを堪能しながら、また雪の中を歩く。

(守るべきものを、守ることが出来た。)
 公園の池のほとり。池の水は凍ってしまい、その上にうっすらと雪が積もるのを見つつ、しゃがんでいるのは千葉・陽姫(|復讐者《アベンジャー》は『旋風』と共に・h00444)。
 自分にも戦う力があるのだ、と。力があったのだと嬉しい思いを噛みしめる。反面、”あの時”も出来ていれば、と過去を思い起こす。簒奪者によって奪われていった家族、頼れる先輩に傍にいた幼馴染に、笑い合った級友達。皆の顔が、脳内に一人ずつ浮かんでは、複雑な思いになり、クシャっと顔を歪めて、組んだ腕の中に顔を埋める。
 陽姫の手に、ひんやりとした小さなモノが当たって溶ける。繰り返す。
 ゆっくりと顔をあげれば、空から雪がしんしんと舞う。
「寒いと思ったら、雪かぁ。冬本番、って空気だね。」
 積もってはいたが、今も降るとは思わなかった、と。

(……冬と言えば、もう選手権の季節かぁ。)
 男子サッカーだけではなく、女子サッカーもこの季節に高校選手権にある。昨年、陽姫の学校のチームも良い成績の所まで行けたが、敗退。今年こそは!と燃えていたところで、”あの時”だった。
 毎日、日が暮れるまで練習をして。そんな陽姫を、友達とメンバーが、皆が応援してくれて……。
 どうしたって幸せなあの頃が頭を過っていく。降る雪の一つ一つが思い出のように見えて。

「みんなに、会いたい。また一緒に、笑いあいたいよ。」
 そう小さく、雪に吸い込まれる位に小さく呟いて、また顔を埋める。
(……どうして私は、ひとりだけ生き残っちゃったんだろう。)
 陽姫が雪の中で蹲っているのを見つけたクラウスは、お汁粉の缶をそっと陽姫の手に当てる。
「良ければ飲む?」
「あったか……いや、馴れ合うつもりはないから。」
 しかし、その温かさに優しさも感じて。
「……ありがとう、貰っておく。」
 お汁粉缶なんだ、とも思いつつ、陽姫は不器用に礼を言いつつ受け取って、缶の温かさを手に伝えるように抱えた。

「ふぅ、おわったね~。」
 大変だったぁ、と伸びをしつつエアリィ・ウィンディア(精霊の娘・h00277)。
「あれで倒せたのでしょうか……?」
 とりあえず敵を退けられたことで一安心する鳳・楸(|源流滅壊者《ルートブレイカー》・h00145)だが、正直なところあれで倒し切ったのかは少々不安である、と。
「大丈夫だよ。だって、いなくなったし。」
 後は帰るだけ、とエアリィが安心させるように、気楽さも交えて言う。

「せっかくだから、お散歩していきたいな。」
 小粒だった雪が、だんだんと大粒でふんわりした雪に変わるのを見て、帰り道に少し遊びたくなるエアリィ。
 それなら、自分も偶にはそんな時間があってもいいかと思った楸。√能力『|狐式変身術《コシキヘンシンジュツ》で、シマエナガへと静かに変身する。
 楸は、シマエナガの翼をゆっくり羽ばたかせてみる。
(う……意外と風を読むって難しいな。)
 最初はヨロヨロと飛ぶ。楸の姿を見て、エアリィも思う。
「空から降りてくる妖精って感じできれいだよね、この雪たち。シマエナガは雪の妖精とも呼ばれているし。」
(せっかくだから……。)
 雪の上を、キュッと踏みしめて跳ぶ。空中浮遊。何故わざわざ空中に、と思う。
 そりゃ、だって、この雪と空を全身で感じたいから……!
 ひんやりと、冷たさをやや通り越して、痛みすら感じる冷たい風。エアリィのエルフの耳先を少し赤くする。しかし、冷たいだけじゃない、澄んで、肺の奥まで行き届く感覚がはっきりとする空気。羽織の紺色に雪が付き、よく見れば雪の結晶まで見えて。
 羽織を靡かせながら、エアリィは冬の風に乗ってのんびり空中移動。体いっぱいに冬からの贈り物を堪能する。

 暫くエアリィの傍を飛んで見た楸。雀より小さな体で、最初はヨロヨロと、落ちかけつつ飛んでいたが、だんだんと風の読み方、翼の動かし方に慣れていき、同じく冬の空中を堪能する。
 しかし、小さな体で慣れない飛行は疲れるもので、暫くしたら近くの木の枝に休みに行った。
(鳥になって冬の空を飛ぶって、新鮮だな。)
 そう素直な感想が出てくるのも、新鮮な空気のお陰か。
 暫く休んでいると、パタタと羽音がして、小さな鳥が同じ枝に飛んでくる。
(あ、鳥だ。小さくて可愛いな……いや、今の自分と同じくらいの大きさかな。)
 チュリリ、と鳴くその姿は、背中の羽は黒く、尾は胴体と変わらないくらいの長さで、お腹と顔は真っ白で。空気を蓄えた羽毛でふわふわと丸い体つきで。
(あ……この子たち、本物のエナガだ。)
 あちらも仲間がいると思って来たのだろうか。嘴に赤い実をつけた枝を加えている。そして、暫く見ていると、近づいてきて。
(え……もしかして、くれるのかな。でも、流石に木の実を食べるのは……。)
 暫く逡巡する楸。もう少しエナガを近くで見ていたかったが、礼を述べるように鳴くと、飛び去る。
 話しかけられるとは、思わなかった。と、少し離れたところで普段の姿に戻りながら楸は思った。

 ふわっと粉雪を飛ばしながら、エアリィ地面に降り立つと、すっかり体は冷え切って。
 流石に空中に長居しすぎたな、とも思いつつ。寒いから、帰りにはあったかいものを買って帰ろう、と。
「寒いからこそ、温まれるものが恋しいよねー。」
 近くのコンビニを見つけると、自動ドアを開け、店内の温かさに手足が痺れるのを感じる。しかし、レジ横のホットスナック……特に肉まんに心惹かれる。
「ふふ、何を買おうかなー♪」
 おでんも気になる香りをさせている。戦闘の後でお腹も空いて、誘惑だらけだ。

 √EDENは、インビジブルが他の√世界に比べて豊富である。
 その知識は、サイプレス・グレイヴァー(姉を名乗る不審|人形《ドール》・h00768)にもある。
 しかし、一方的な簒奪は許されない、と同時に思う。
(何故友好的な方法を模索しないのでしょうか……。)
 そう考えつつ、サイプレスは雪降る中、目的の店に向かって歩く。
 ギュムっと足を止めて、雪を踏みしめて、一度目を閉じてから、通常モードに移行する。
 次なる依頼は、最愛の妹である玉剞・メノウからのだ。血の繋がりは決してないが、その愛は雪を融かすくらいに本物で。おつかい、という依頼を完璧にこなさなければ、と意気込むサイプレス。

 大きめの画材店の前で、サイプレスは買い物メモを広げる。
 踊るように可愛らしく幼い文字で書かれたメモを読む。
「買う物は……なるほど。」
 サイプレスには読めたらしい。
 七色以上にある色紙のコーナーで、雪のように真っ白な紙と冬の空のように薄い水色の色紙をスルリと折らないように、破らないように取る。今度はどんな作品を作るのだろうか、と楽しみが疼くサイプレス。
 それから、シールのコーナーに向かう。
 そこで事件が起きた。シールの種類が……多い!!ものすごく多い!
「なるほど……。」
 サイプレスは考える。ラインストーンの連なったシールに、図鑑顔負けな大人向けのシール。シーリングスタンプ風のシール。動物やキラキラが可愛らしいシール。
 見れば見るほど、情報が雪崩れ込んでくる。
「余すことなく購入です。」
 漏れが合ってはいけない、とサイプレスは手当たり次第に籠にシールを入れていく。会計がすごい事になったのは、また別の話。

 それから、丁寧に雪に濡れないようにしてもらった荷物を抱えて、冷えた空気を感じる。
「そういえば、掛け布団を母親からもお願いされていましたね。」
 雪の日で、晴れた日は特に放射冷却で夜は冷える。妹が風邪を機能低下してしまっては、サイプレスは悲しい、と。
「分厚くて、しかし、軽くて、とてもとても温かい物を買いましょう。」

 冬は静かに訪れて、それぞれに贈り物を残していく。
 春はやがて来るけれど、今は冬の寒さにじっと耐えて。そして、冬にしか得られないものを得て。
 そして、それを糧に、また一つ、そして一つと守る力に変えて。
 次の冬に楽園が無事であることを祈って……。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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